JP2022044883A - 酢酸の回収方法 - Google Patents

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直之 福井
Naoyuki Fukui
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Shigenori Matsui
秀隆 早水
Hidetaka Hayamizu
一隆 三好
Kazutaka Miyoshi
充宏 河野
Mitsuhiro Kono
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    • C08B3/06Cellulose acetate, e.g. mono-acetate, di-acetate or tri-acetate

Abstract

【課題】省蒸気効果若しくは生産効率向上効果に優れる酢酸の回収方法を提供する。【解決手段】本開示の酢酸の回収方法は、前記酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を逆浸透膜処理に付して酢酸と水を含む膜透過液(A)と酢酸と水と酢酸セルロースとを含む膜濃縮液(B)とに分離する工程(1)、膜透過液(A)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と主に水を含む抽出残相とに分離する工程(2-A)、抽出液相を蒸留塔に仕込む工程(3-A)、膜濃縮液(B)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒と酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と酢酸セルロースを含む抽出残相とに分離する工程(2-1-B)、抽出液相を蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する工程(2-2-B)、前記蒸気を蒸留塔に仕込む工程(3-B)、蒸留塔から缶出液として酢酸を回収する工程(4)を含む。【選択図】なし

Description

本開示に係る発明は酢酸の回収方法に関する。
酢酸セルロースは、たばこ用のフィルタートウ、繊維、写真用フィルム、人工腎臓等の種々の用途に用いられている。酢酸セルロースの製造方法としては、酢酸水溶液中において、セルロースにアセチル化剤を反応させる方法が知られている。また、酢酸セルロースを得た後の残液には酢酸が含まれるが、残液に含まれる酢酸は抽出工程及び蒸留工程を経て回収され、再利用される。
しかし、残液中には、酢酸セルロースが溶解した状態で含まれており、溶解した状態の酢酸セルロースが蒸留塔に導入すると、酢酸セルロースが塔底部において析出するため、送液不良や伝熱不良を引き起こし、蒸留塔の安全運電を維持することが困難となることが問題であった。
そこで、残液を、有機溶媒を用いた抽出処理に付して水を除去し、その後、得られた抽出液(酢酸と有機溶媒と酢酸セルロースを含む)を気化させることにより酢酸セルロースを含まないガス(酢酸と有機溶媒を含む)を得、更に、得られたガスを蒸留塔に導入して、酢酸より低沸点の有機溶媒を留出させることで、酢酸を缶出液として回収していた(例えば、特許文献1)。
特表2014-520080号公報
しかし、抽出液をガス化させるには膨大なエネルギーが必要である。さらに、ガス化した状態で蒸留塔に仕込むと分離効率が悪化すること、分離効率の悪化は、還流比を高めることで対応可能だが、それにより酢酸の回収コストが嵩むことがわかった。
従って、本開示に係る発明の目的は、省蒸気効果若しくは生産効率向上効果に優れる酢酸の回収方法を提供することにある。
本開示に係る発明の他の目的は、省蒸気効果若しくは生産効率向上効果に優れる方法で、高純度の酢酸を回収し、これを再利用して、酢酸セルロースを製造する方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の事項を見いだした。すなわち、
1.蒸留塔の仕込みの少なくとも一部を気相から液相に変更すれば、分離効率が向上し、それに伴い還流比を低下させることができるため、省蒸気効果が得られること
2.酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を、逆浸透膜を利用した膜処理に付せば、酢酸セルロース濃度が蒸留塔の塔底部に析出する問題を生じない程度にまで低減された膜透過液を得ることができ、当該膜透過液はガス化して酢酸セルロースを除去する操作を行う必要がなく、そのまま液相にて蒸留塔に仕込むことが可能であること
本開示に係る発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本開示に係る発明は、酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液から酢酸を回収する方法であって、前記酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を逆浸透膜処理に付して酢酸と水を含む膜透過液(A)と酢酸と水と酢酸セルロースとを含む膜濃縮液(B)とに分離する工程(1)、
膜透過液(A)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と主に水を含む抽出残相とに分離する工程(2-A)、抽出液相を蒸留塔に仕込む工程(3-A)、
膜濃縮液(B)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒と酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と酢酸セルロースを含む抽出残相とに分離する工程(2-1-B)、抽出液相を蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する工程(2-2-B)、前記蒸気を蒸留塔に仕込む工程(3-B)、
蒸留塔から缶出液として酢酸を回収する工程(4)を含む、酢酸の回収方法を提供する。
本開示に係る発明は、セルロースを酢酸水溶液中にてアセチル化して酢酸セルロースを得る酢酸セルロースの製造方法であって、前記アセチル化後の反応液から酢酸セルロースを回収し、その残液から、前記方法により酢酸を回収して、前記酢酸水溶液の原料として再利用する酢酸セルロースの製造方法を提供する。
本開示の方法によれば、従来の方法(すなわち、蒸留塔への仕込み前に、酢酸セルロースを除去するためガス化を行い、蒸留塔への仕込みを全量気相で行う方法)に比べて分離効率を向上することができ、それに伴い還流比を下げても、従来と同じ純度の酢酸を回収することができる。そのため、還流分の気化に要していた膨大なエネルギーコストを削減することができる(省蒸気効果)。
また、還流比を低下させることにより、蒸留塔への仕込み量を従来の方法の場合より上昇させることができるので、増産が可能となる(生産効率の向上)。
更に、本開示の方法で回収された酢酸を再利用すれば、酢酸セルロースの製造コストの削減が可能となる。
本開示の酢酸の回収方法の一例を示す概略フロー図である。示す。 本開示の酢酸の回収方法における、蒸留塔への液相仕込み比率と省蒸気率の相関図である。
[酢酸の回収方法]
本開示の酢酸の回収方法は、酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液から酢酸を回収する方法であって、前記酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を逆浸透膜処理に付して酢酸と水を含む膜透過液(A)と、酢酸と水と酢酸セルロースとを含む膜濃縮液(B)とに分離する工程(1)、
膜透過液(A)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と主に水を含む抽出残相とに分離する工程(2-A)、前記抽出液相を蒸留塔に仕込む工程(3-A)、
膜濃縮液(B)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒と酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と酢酸セルロースを含む抽出残相とに分離する工程(2-1-B)、前記抽出液相を蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する工程(2-2-B)、前記蒸気を蒸留塔に仕込む工程(3-B)、
蒸留塔から缶出液として酢酸を回収する工程(4)を含む。
(工程(1):膜分離工程)
工程(1)は、酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を、逆浸透膜を使用して膜透過液(A)と膜濃縮液(B)とに分離する工程である。
前記酢酸水溶液には、不揮発分として、可溶性酢酸セルロース以外にも他の成分を含有していても良く、例えば、酢酸水溶液に溶解しない酢酸セルロース(以後、「不溶性酢酸セルロース」と称する場合がある)を含有していてもよい。酢酸水溶液に不溶性酢酸セルロースが含まれる場合、すなわち、酢酸水溶液中に溶けずに懸濁若しくは沈殿した状態の酢酸セルロースが含まれる場合、逆浸透膜による膜分離に付す前に、精密ろ過膜等を利用してこれらを除去することが、逆浸透膜の目詰まりを防止することができる点で好ましい。
逆浸透膜処理は、例えば、少なくとも1つの逆浸透膜モジュールを具備する濾過装置を利用して行うことができる。逆浸透膜モジュールは、逆浸透膜を透過した膜透過液と逆浸透膜を透過しない膜濃縮液とを分離する構成を有している限りにおいて、特に制限されない。
逆浸透膜モジュールとしては、例えば、集水管のまわりに逆浸透膜を巻き回した円柱状の逆浸透膜エレメントを円筒状のケーシングに収納した、いわゆるスパイラル型逆浸透膜モジュール等が挙げられる。逆浸透膜の材質としては、ポリアミド、ポリスルフォン、セルロースアセテート等が挙げられ、これらの中でも芳香族ポリアミドや架橋芳香族ポリアミド等のポリアミドが好ましい。
本開示に係る発明においては、クロスフロー濾過方式による膜処理を施すことが、ろ過速度低下を防止できる点で好ましい。尚、クロスフロー濾過方式とは濾過膜面に平行に被処理水を流し、濾滓の沈着による濾過膜汚染を防ぎながら被処理水の一部を、被処理水の流れの側方で濾過する方式である。
逆浸透膜を使用した膜分離は、例えば30~50℃で行うことができ、なかでも35~45℃で行うことが好ましい。
逆浸透膜を使用した膜分離の濾過圧力は、例えば0.001~6.0MPaG程度であり、好ましくは0.01~5.0MPaG、特に好ましくは0.1~4.0MPaGである。
逆浸透膜を使用した膜分離の膜面を流れる液の循環量(=循環流量)は、使用する膜モジュールのサイズに準じて変更することができる。例えば、4インチ膜モジュールを使用する場合、循環流量は、例えば10~40L/min、好ましくは15~30L/min、特に好ましくは20~25L/minである。2インチ膜モジュールを使用する場合、循環流量は、例えば5~22L/min、好ましくは6~17L/min、特に好ましくは8~12L/minである。
逆浸透膜を使用した膜分離操作は、循環膜濾過方式等を利用して、膜透過液(A)中の酢酸セルロース含有量が1000ppm以下(好ましくは500ppm以下)となるまで繰り返すことが好ましい。
酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を、逆浸透膜を使用した膜分離工程に付すことで、膜透過液(A)と膜濃縮液(B)が得られる。膜透過液(A)は逆浸透膜を通過した液であり、酢酸及び水が含まれる。一方、膜濃縮液(B)は逆浸透膜を通過しなかった液であり、酢酸、水、及び可溶性酢酸セルロースが含まれる。
(工程(2-A):抽出工程A)
工程(2-A)は、工程(1)を経て得られた膜透過液(A)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と、主に水を含む抽出残相とに分離する工程である。
前記有機溶媒としては、酢酸の溶解性が高く、且つ水への溶解性が低い溶媒を使用することが好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n-アミル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸イソアミル、安息香酸メチル等のエステル;クロロホルム、四塩化炭素クロルベンゼン等のハロゲン化物;1,2-ジメトキシエタン、ジメチルエーテル等のエーテル化合物等が好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記有機溶媒としては、なかでも、酢酸エチル等のエステル(特に好ましくは、酢酸エステル)とベンゼンなどの芳香族炭化水素との混合溶媒が好ましく、エステルと芳香族炭化水素の混合比(前者/後者;重量比)は、例えば5/95~95/5、好ましくは20/80~90/10、特に好ましくは40/60~85/15、最も好ましくは55/45~85/15である。
前記有機溶媒の使用量としては、膜透過液(A)の使用量の例えば1.0~5.0倍(体積比)程度である。
前記抽出操作は、間欠的又は連続的に行うことができる。また、抽出効果が不十分である場合は、繰り返し抽出操作を行うこともできる。
前記抽出操作は、膜透過液(A)と有機溶媒を、抽出液相(=有機相)と抽出残相(=水相)に分離できる装置を用いることが好ましい。このような装置としては、特に制限されないが、例えば、抽出塔等の抽出装置を用いた公知の方法等が挙げられる。前記抽出塔としては、通常用いられる形式、例えば、ミキサーセトラ型抽出塔、多孔板型、充填塔型、バッフル塔型、振動多孔板型、撹拌混合型、脈動充填型、遠心抽出型等の抽出装置等が使用できる。このような抽出装置を用いた場合、膜透過液(A)と有機溶媒は、前記抽出装置内部で向流接触する。
膜透過液(A)と有機溶媒の接触温度は、例えば20~60℃、好ましくは30~50℃の範囲で行うことが好ましい。接触時間は、例えば0.1~10時間程度である。
膜透過液(A)と有機溶媒の接触は、常圧下、加圧下、又は減圧下で行うことができ、ゲージ圧力は、例えば、約-30~30kPa程度である。
前記条件下で抽出操作を行うことにより、酢酸の抽出液相への抽出率を高めることができ、水の分離・除去効率を向上することができる。
本工程で得られる抽出液相は主に酢酸と有機溶媒を含み、水の含有量は例えば15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。また、酢酸セルロース含有量は200ppm以下(好ましくは150ppm以下)である。一方、抽出残相は主に水を含み、酢酸の含有量は例えば0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である。
(工程(3-A)~工程(4):蒸留工程A)
工程(3-A)から工程(4)は、工程(2-A)を経て得られた抽出液相を、液相状態で蒸留塔に仕込み、沸点の差異を利用して酢酸と有機溶媒を分離し、有機溶媒を留去して、高純度の酢酸を缶出液として得る工程である。蒸留工程Aは、後述の蒸留工程Bと並行して行うことができる。
前記蒸留塔としては、例えば、棚段塔、充填塔等が挙げられる。塔頂温度は、例えば20~120℃、好ましくは30~100℃、より好ましくは40~80℃である。また、蒸留塔内の圧力は、例えば0~60kPaの範囲で適宜調整することができる。蒸留工程は、単一の工程で構成してもよく、複数の工程を組み合わせて構成してもよい。
前記蒸留塔の実段数は、例えば1~100段であり、分離効率に優れる点で、好ましくは10~100段、特に好ましくは30~80段、最も好ましくは40~60段である。
そして、本開示に係る発明においては、蒸留塔への仕込みの一部を液相にて行うため、蒸留塔への仕込みの全てを気相にて行う場合に比べて分離効率が向上する。従って、本開示に係る発明においては蒸留塔での還流比を低く設定することができ、還流比は、例えば0.5~1.0の範囲であり、好ましくは0.6~0.9の範囲である。
上記工程を経て、缶出液として高純度の酢酸が得られる。缶出液中の酢酸濃度は、例えば90重量%以上、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上である。また、缶出液中の水の含有量は、例えば0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、更に好ましくは0.0001重量%以下である。
また、留出液中の酢酸濃度は、例えば0.02重量%以下であり、好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下である。留出液中の酢酸濃度は、還流比を調整することによりコントロールできる。
(工程(2-1-B):抽出工程B)
工程(2-1-B)は、膜濃縮液(B)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒と可溶性酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と可溶性酢酸セルロースを含む抽出残相とに分離する工程である。本工程は、膜透過液(A)に代えて膜濃縮液(B)を使用する以外は上記抽出工程Aと同様に行うことができる。本開示に係る発明においては、なかでも、上記抽出工程Aと抽出工程Bにおいて同じ有機溶媒を使用することが好ましい。
本工程で得られる抽出液相は主に酢酸と有機溶媒と可溶性酢酸セルロースを含む。
また、抽出残相は主に水と可溶性酢酸セルロースを含む。
(工程(2-2-B):蒸発工程)
工程(2-2-B)は、工程(2-1-B)を経て得られた抽出液相を蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する工程である。本工程において、抽出液相中に溶解した酢酸セルロースを分離し、除去することができる。
本工程では、酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離することができれば良く、例えば、前記抽出液相を加熱処理及に付すことにより行うことができる。加熱処理温度は、例えば80~100℃である。また、加熱処理は、常圧下、加圧下、又は減圧下で行うことができ、ゲージ圧力は、例えば、約-50~50kPa程度である。単一の工程で構成してもよく、複数の工程を組み合わせて構成してもよい。また、蒸留塔形式の蒸発槽を用いてもよい。
本工程で得られる蒸気は主に酢酸と有機溶媒を含み、水の含有量は例えば15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。また、可溶性酢酸セルロース含有量は50ppm以下(好ましくは20ppm以下)、不溶性酢酸セルロース含有量は25ppm以下(好ましくは10ppm以下)である。
(工程(3-B)~工程(4):蒸留工程B)
工程(3-B)から工程(4)は、工程(2-2-B)を経て得られた蒸気を蒸留塔に仕込み、沸点の差異を利用して酢酸と有機溶媒を分離し、有機溶媒は留去して、高純度の酢酸を缶出液として得る工程である。本工程は、工程(2-A)を経て得られた抽出液相に代えて工程(2-2-B)を経て得られた蒸気を使用する以外は上記蒸留工程Aと同様に行うことができる。蒸留工程Bは、前述の蒸留工程Aと並行して行われる。
本開示に係る発明においては、蒸留塔への仕込みの一部を、上記蒸留工程Aで記載の通り液相にて行い、その他の仕込みを蒸気(=気相)にて行うため、蒸留塔への仕込みの全てを蒸気(=気相)にて行う場合に比べて分離効率が優れる。そのため、還流比を引き下げても従来と同様に優れた純度の酢酸を得ることができ、還流比の引き下げに伴い、エネルギーコストを削減することができる(省蒸気効果)。また、還流比を引き下げる場合は、蒸留塔への仕込み量を増量することができ、それによって酢酸の回収量が増加する効果が得られる(生産効率向上効果)。
本開示に係る発明においては、蒸留塔への仕込み量の少なくとも一部が液相にて行われておればよいが、液相仕込み量の割合が多ければ多いほど(例えば、液相仕込み割合が蒸留塔への仕込み量全量の10重量%以上、好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上であることが)、分離効率を向上する効果が得られる点で好ましい。尚、液相仕込み割合の上限は、例えば90重量%である。例えば蒸留塔への仕込み量全量における液相仕込み量の割合(重量比)が23重量%である場合、還流比の引き下げに伴いエネルギーコストを10%程度削減することが可能となる。従って、本開示に係る発明は工業的に酢酸を回収して再利用する方法(特に、酢酸セルロースの製造により排出される残液のリサイクル方法)として極めて有用である。
以下、本開示の酢酸の回収方法の一例を図1により詳細に説明する。
図1では、酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液(若しくは、酢酸セルロース製造後の残液)がライン1により膜分離装置Aに供給され逆浸透膜処理に付される。そして、逆浸透膜を透過した膜透過液(A)は、ライン2より抽出塔B-1の塔頂に導入される。有機溶媒はライン3より抽出塔B-1の塔底に導入され、抽出塔B-1内において膜透過液(A)と向流接触し、主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と主に水を含む抽出残相に分離される。前記抽出液相はライン4より蒸留塔Cに液相で仕込まれる。前記抽出残相はライン13より系外へ排出される。
抽出液相を蒸留塔Cに仕込むと、前記抽出液相に含まれていた有機溶媒の大部分が塔頂からライン8を経て冷却器Dで冷却され、ライン9よりタンクEに導入される。タンクEに導入された液のうち上層液は主に有機溶媒を含有し、ライン10より系外へ排出される。これは再び抽出塔B-1若しくはB-2へ導入する有機溶媒として再利用することができる。タンクEの下層液は主に水を含有し、ライン11より系外へ排出される。タンクEの上層液の一部は液相のまま蒸留塔Cにリサイクルしてもよい。図1の例では、タンクEの上層液の一部を、ライン12を通じて蒸留塔Cにリサイクルしている。一方、蒸留塔Cの塔底からは、ライン5を経て高純度の酢酸が缶出液として回収される。
また、膜分離装置Aにおいて逆浸透膜を透過しなかった膜濃縮液(B)はライン14より抽出塔B-2の塔頂に導入される。有機溶媒はライン15より抽出塔B-2の塔底に導入され、抽出塔B-2内において膜濃縮液(B)と向流接触し、主に酢酸と有機溶媒と可溶性酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と可溶性酢酸セルロースを含む抽出残相に分離される。前記抽出液相はライン16より蒸発器Gに導入される。前記抽出残相はライン17より系外へ排出される。
抽出液相は蒸発器Gにおいて蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離され、酢酸と有機溶媒とを含む蒸気はライン18より蒸留塔Cに気相で仕込まれる。以後のフローは蒸留塔Cに液相で仕込まれた抽出液相と同じである。可溶性酢酸セルロースを含む蒸発残液はライン19より系外へ排出される。
[酢酸セルロースの製造方法]
本開示の酢酸セルロースの製造方法は、セルロースを酢酸水溶液中にてアセチル化して酢酸セルロースを得る酢酸セルロースの製造方法であって、前記アセチル化後の反応液から酢酸セルロースを回収し、その残液から、上述の酢酸の回収方法により酢酸を回収して前記酢酸水溶液の原料として再利用するものである。
酢酸セルロースの製造は、例えば下記工程1~3を含む。
工程1:セルロース原料を、離解・解砕し、その後、酢酸又は少量の酸性触媒を含んだ酢酸を散布して、セルロースを活性化する、活性化処理工程
工程2:活性化処理後のセルロースを、酢酸水溶液中にてアセチル化して、酢酸セルロースを得るアセチル化工程
工程3:精製工程
前記アセチル化後の反応液には、アセチル化により得られた、不溶性酢酸セルロース、可溶性酢酸セルロース、及び酢酸水溶液が含まれる。
前記酢酸水溶液には、酢酸と水以外にも他の成分、例えば、アセチル化剤(例えば、無水酢酸)や酸性触媒(例えば、硫酸)を含んでいてもよい。
アセチル化工程を経て得られる1次酢酸セルロースは、加水分解することにより所望の酢酸化度の2次酢酸セルロースを得ることができる。
本開示の酢酸セルロースの製造方法では、アセチル化工程後の反応液から、酢酸を回収して再利用するため、酢酸セルロースの製造コストを削減することができる。
以上、本開示に係る発明の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本開示に係る発明の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。また、本開示に係る発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
以下、実施例により本開示に係る発明をより具体的に説明するが、本開示に係る発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
酢酸セルロースが溶解した30%酢酸水溶液(酢酸セルロース含有量:1%)を逆浸透膜(日東電工(株)製ES15、2インチ膜モジュール、液の循環量:8L/min、材質:ポリアミド)で処理して、膜透過液(a)と膜濃縮液(b)とを得た。
前記膜透過液(a)を有機溶剤(酢酸エチル:75%、ベンゼン:25%)にて抽出して、抽出液相(a)を得た。
また、前記膜濃縮液(b)を有機溶剤(酢酸エチル:75%、ベンゼン:25%)にて抽出して、酢酸セルロースを含む抽出液相(b)を得、得られた抽出液相(b)を蒸発器(留出率:99%)に付して酢酸セルロースを除去して、ガス(b)を得た。
抽出液相(a)とガス(b)を3:10の重量比で同時に蒸留塔(オールダーショウ60段)に仕込んだ。仕込段は、抽出液相(a)を上から24段目、ガス(b)を上から34段目とし、抽出液相(a)の仕込液量を233g/h、ガス(b)の仕込液量を776g/hとした。
塔頂圧は常圧であり、温度計は塔頂(上から1段目)、上から4段目、8段目、14段目、18段目、24段目、28段目、38段目、44段目、48段目、54段目、58段目、リボイラー液(BTM液)に設置し、抽出液相(a)/ガス(b)の各温度もそれぞれ計測した。
還流比(還流量/(上層液量+下層水量))は0.6で連続運転を行い、缶出液(製品酢酸)を172g/hを得た。
この結果より、シミュレーションソフトを用いてフィッティングした結果、段効率(理論段/実段)=0.35を得た。
実施例2
抽出液相(a)とガス(b)の蒸留塔への仕込み段、及び還流比を以下の通り変更した以外は実施例1と同様にして、缶出液(製品酢酸)を得た。この結果より、シミュレーションソフトを用いてフィッティングした結果、段効率(理論段/実段)=0.35を得た。
仕込段:抽出液相(a)を上から14段目、ガス(b)を上から34段目
還流比(還流量/(上層液量+下層水量)):0.64
実施例3
抽出液相(a)とガス(b)の蒸留塔への仕込み段、及び還流比を以下の通り変更した以外は実施例1と同様にして、缶出液(製品酢酸)を得た。この結果より、シミュレーションソフトを用いてフィッティングした結果、段効率(理論段/実段)=0.35を得た。
仕込段:抽出液相(a)を上から14段目、ガス(b)を上から34段目
還流比(還流量/(上層液量+下層水量)):0.42
以上の結果を図2に示す。図2より、蒸留塔への仕込み量全量における液相仕込み量の割合が増加するに従い省蒸気率が向上し、液相仕込み量を0%から23%に増やすことで約10%の省蒸気効果が得られることが分かった。
A 膜分離装置
B-1、B-2 抽出塔
C 蒸留塔
D 冷却器
E タンク
F リボイラー
G 蒸発器

Claims (2)

  1. 酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液から酢酸を回収する方法であって、
    前記酢酸セルロースが溶解した酢酸水溶液を逆浸透膜処理に付して酢酸と水を含む膜透過液(A)と酢酸と水と酢酸セルロースとを含む膜濃縮液(B)とに分離する工程(1)、
    膜透過液(A)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒を含む抽出液相と主に水を含む抽出残相とに分離する工程(2-A)、
    抽出液相を蒸留塔に仕込む工程(3-A)、
    膜濃縮液(B)を有機溶媒と接触させて主に酢酸と有機溶媒と酢酸セルロースを含む抽出液相と、主に水と酢酸セルロースを含む抽出残相とに分離する工程(2-1-B)、
    抽出液相を蒸発させて酢酸と有機溶媒とを含む蒸気と酢酸セルロースを含む蒸発残液に分離する工程(2-2-B)、
    前記蒸気を蒸留塔に仕込む工程(3-B)、
    蒸留塔から缶出液として酢酸を回収する工程(4)を含む、酢酸の回収方法。
  2. セルロースを酢酸水溶液中にてアセチル化して酢酸セルロースを得る酢酸セルロースの製造方法であって、前記アセチル化後の反応液から酢酸セルロースを回収し、その残液から、請求項1に記載の方法により酢酸を回収して前記酢酸水溶液の原料として再利用する酢酸セルロースの製造方法。
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