JPS5935373B2 - 酢酸の回収法 - Google Patents

酢酸の回収法

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JPS5935373B2
JPS5935373B2 JP8577379A JP8577379A JPS5935373B2 JP S5935373 B2 JPS5935373 B2 JP S5935373B2 JP 8577379 A JP8577379 A JP 8577379A JP 8577379 A JP8577379 A JP 8577379A JP S5935373 B2 JPS5935373 B2 JP S5935373B2
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extract
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国夫 古賀
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は酢酸を含む水溶液からの酢酸の回収法に関す
る。
特に第3アミンを含む抽出剤を用いた抽出工程と、蒸溜
による脱水・回収工程との組み合わせよりなる酢酸の回
収法に関する。酢酸セルロース、酢酸アルキルエステル
類、ケテン、グリセリン、エポキシアルカン類の製造な
ど、有機化学工業の分野において酢酸、無水酢酸、過酢
酸などが用いられており、これらの工程から酢酸を含む
水溶液が生ずる。
例えば酢酸セルロース製造工程からは20〜40%濃度
の酢酸が副生し、過酢酸法グリセリン製造工程からは1
0〜15%濃度の酢酸が副生する。このように7〜40
%程度の中程度の濃度の酢酸は副生量が多く、これを効
率的に回収することは主工程の経済性を高めるために欠
くことができない。また金属処理、発酵工業その他種々
の分野でも酢酸が使用されており、これらの分野におい
ても酢酸を含む水溶液が生ずる。このような酢酸を含む
水溶液から酢酸を効率よく回収することは有価物の利用
率を高め、環境を保全するためにきわめて重要である。
水溶液からのカルボン酸の回収法として有機溶媒を用い
た抽出法は公知であり、酢酸にも適用できる。しかし酢
酸はカルボン酸の中でも水との親和性が大きく、きわめ
て多くの化合物が抽出剤として試みられたにもかゝわら
ず十分に満足すべきものが知られていない。即ち抽出回
収法の効率につき影響するところの大きい分配係数が酢
酸については、一般に小さいため抽出率を上げるために
は使用する溶剤量が多くなり、分離工程でのエネルギー
消費が大きい。例えば酢酸エチルは有機溶媒の中でも酢
酸の分配係数が比較的大きく、入手しやすいので普通に
用いられる抽出溶剤であるが、酢酸より沸点が低いため
大量に用いた溶剤を全量蒸発させなければならず、また
抽出液中に水が多量に溶解し、水中への溶解損失が大き
いため、水との相互溶解性の点でも不満足である。酢酸
より沸点が高い抽出?剤を使う方法も知られている。こ
の方法で低沸点溶剤と同程度の分配係数が得られれば溶
剤を全量蒸発させる必要がないのでエネルギー消費面で
は有利である。しかし、溶剤の沸点が高すぎると塔底加
熱温度が化学工場で通常使える蒸気温度でまかない難く
なり、これを避けるため減圧蒸溜にすると溜出液の凝縮
が通常の冷却水でまかなえなくなる。酢酸イソアミルな
ど、沸点が酢酸のそれよりも高く、且つ150℃以下で
ある溶剤を使えば加熱冷却上の難点は解消するが、酢酸
との分離は困難になり、また水中への溶解量も大きい。
このように単に有機相と水相との間の酢酸の物理的分配
の原理にもとづいた方法では十分満足な酢酸の回収法は
見出されていなかつた。又塩基性の有機液体であるアミ
ンを用い物理的分配でなく反応を伴なつて水溶性の酸を
抽出する方法も知られている。例えば核燃料の化学処理
や金属の湿式製練の分野では無機酸の抽出にアミンが用
いられている。このような湿式製練、廃酸の処理に用い
られる抽出剤としては例えばSSR−8 (日本ソレツ
クス株式会社)とよばれる高分子アミン型イオン交換液
CH3があり、その主成分はR3N及びR−SくCH3 (RはC6〜Cl8のアルキル基)とされている。
抽出にあたつてはケロシンや芳香族炭化水素などが希釈
剤とし−て用いられる。このようにアミンを用いる廃酸
の処理は金属工業の分野では知られていたが、抽出液か
ら酸を分離する方法としては水による剥離が普通であり
、水分を含まないリン酸や硫酸が回収されるわけではな
い。
この点、水を含まない純品で回収する必要のある有機化
学工業における酢酸回収とは事情を異にする。井上氏等
(化学工学33巻1221頁、化学工学論文集3巻(2
号)212頁)は高分子量アミンによる酢酸の抽出平衝
、抽出速度について研究している。
こXで用いられたアミンは全体で24〜27個の炭素原
子を含むN−ラウリル(トリアルキルメチル)゛アミン
(LA−2)という高分子量第2アミンであり、クロロ
ホルム、四塩化炭素、MIBK.n−ヘキサン、シクロ
ヘキサンなどの溶媒と共に用いられている。本発明者は
塩基性の化合物を含む有機液体を用いて酢酸を水浴液か
ら抽出し、抽出液から蒸溜により水分を含まない酢酸を
回収する方法について検討を進めた。
その結果井上氏等によつて示された第2アミンを用いる
方法は、アミンと酢酸との結びつきが強固にすぎるため
抽出自体には適しているが蒸溜による回収には適してい
ないことを見出し、かえつて酢酸との結合力の弱い第3
アミンを特定の溶媒と組み合わせて用いることにより少
いエネルギー消費で水を含まない酢酸を回収する方法を
見出した。即ち、本発明は酢酸を含む水溶液を酢酸より
沸点の高い有機抽出剤を用いて抽出処理し、抽出液を蒸
溜することよりなる酢酸の回収方法において、有機抽出
剤として第3アミンと含酸素有機溶媒とを併用して抽出
をおこなう第1工程、抽出液を蒸溜して脱水をおこなう
第2工程及び脱水された混合物を蒸溜して酢酸を溜出さ
せ有機抽出剤と分離する第3工程からなる酢酸の回収法
である。
これを好ましい実施態様により具体的に説明すれば、ミ
キサー・セトラ一型抽出器の如く液滴の分散合一頻度を
促進するように工夫された抽出器を用い、トリ−n−オ
クチルアミン(TOA)の如き第3アミンと、3・3・
5−トリメチルシクロヘキサノン(TMCH)の如き含
酸素有機溶剤(いずれも酢酸より高沸点)とを有機抽出
剤として併用して水溶液から酢酸を抽出する。得られた
抽出液はまず脱水蒸溜塔で抽出液中に若干もちこまれた
水分を除去し、つ(・で酢酸回収塔の塔頂から水分を含
まない酢酸を、塔底から再生された抽出剤を得る。この
際塔底温度を例えば140〜150℃前後に保つことに
より抽出剤と酢酸との分離が順調におこなえ、かつ加熱
も化学工場で常用される水蒸気を熱源に使うことができ
る。塔底から得られた再生抽出剤の一部は脱水蒸溜塔の
塔頂へ導き脱水蒸蒸塔の還流液として用いる。このよう
にすると水分及び含酸素化合物と共に塔内を上昇しやす
い酢酸が第3アミンを含む還流液により抽出されて下降
し、脱水蒸溜塔から酢酸が溜出することが防げる。酢酸
回収塔の塔底から得た再生抽出剤(例えばTOA+TM
CH)の残部は第1工程の抽出器へ循環使用される。分
析化学の分野ではTOAによる有機酸抽出が知られてい
たもののようであるが、もちろんこれは分析の目的のた
めの分離手段であり、水分を含まない酢酸の工業的規模
における回収法を目的としたものではなく、従つて本発
明のように蒸溜分離工程と組み合わされたものではなか
つた。
以下本発明を更に詳しく説明する。本発明の特徴の第1
は第3アミンと含酸素有機溶媒とを併用した抽出剤を用
いることにより、きわめて高いみかけの分配係数をもつ
て水相中の酢酸を有機相に抽出できることである。第3
アミンとしては、酢酸よりも沸点が高く、非水相を形成
するものを用(・る。
水相中への低溶解性と蒸溜による酢酸との分離性を考慮
すると12〜40個程度の炭素数をもつものが好ましい
。また大きなみかけの分配係数を得るためには、窒素原
子の近くに大きな分枝のない第3アミエを用いるのが望
ましい。窒素原子の隣接位はもちろん窒素原子とCH2
l個をへだてた炭素原子上にもエチル基以上の大きな置
換基があるのは悪影響があり、ベンジル基のように窒素
原子に近い環式構造があるのもよくない。即ち第3アミ
ンの部分構造を〉N−CH2−CRlR2−で表わすと
R1は水素原子、R2は水素原子又はメチル基であるも
のを選ぶべきである。これら好ましい第3アミンの具体
例を挙げるとトリヘキシルアミン、トリオクチルアミン
、トリイソオクチルアミン(トリス2・4・4−トリメ
チルペンチルアミン)、トリラウリルアミン、ジメチル
ラウリルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、メチル
ジ(トリデシルアミン)、ジメチルデシルアミンの如き
C6以上のアルキル基をもつトリアルキルアミン、ジメ
チルオレイルアミン、ブチルビス(5・5・7・7ーテ
トラメチルーオクト一2−エン一1−イル)アミン(X
E−204)の如きアルケニル基をもつ第3アミン、ジ
メチルココアミン、ジメチルC8〜Cl2アルキルアミ
ン、ジメチル水添牛脂アミンなどの第3アミン混合物な
どである。これらの第3アミンは市販品があるものは、
そのまX使用できるし、第1アミンや第2アミンを中間
体として入手し、公知のアルキル化法で第3アミンとし
て使用することもできる。第3アミンは上記のように種
々のものが使えるがTOAは入手が容易であり、含酸素
有機溶媒と併用して抽出剤としたときのみかけの分配係
数がすぐれているので本発明者は主としてこれを用いた
。アミンと併用する有機溶媒は金属製練の分野ではケロ
シンや芳香族炭化水素など非極性の溶媒が用いられ、井
上氏らの報文でも炭化水素や塩素化炭化水素など極性の
小さいものを主とする低沸点溶剤が第2アミンと共に用
いられた。
しかし、本発明においては酢酸より沸点の高いケトン、
アルコール、カルボン酸エステル、及びリン酸エステル
なる群から選ばれた含酸素有機溶媒を前記の第3アミン
と併用することにより、特に大きなみかけの分配係数を
もつて水溶液中の酢酸を抽出できる。こXでみかけの分
配係数とは平衡関係にある有機相と水相中の酢酸濃度の
比である。
酢酸は溶媒や濃度に応じ単量体、2量体、アミンと結合
した多量体などとして存在するので、みかけの分配係数
は理論的な分配の法則の示すところと異なつて濃度によ
り変化する。TOAとTMCHを併用した場合の例につ
き水相中の酢酸濃度の関数としてみかけの分配係数の値
を示すと第1図のような結果が得られた。
含酸素有機溶媒のTMCH単独では水相中の酸濃度の影
響が小さく、約0.5である。他のケトン、アセテート
、エーテル、アルコールなどでもほK同様である。一方
、TOAは水相中酸濃度の影響がきわめて大きい。TO
AとTMCHを併用したときは、TMCH単独に比べて
数倍のみかけの分配係数を示すだけでなく、酸濃度によ
つても異なるがTOA自身よりも大きなみかけの分配係
数を示す場合のあることがわかつた。水相中酢酸濃度0
〜5%の範囲で第3アミンと含酸素溶媒の併用で特に高
いみかけの分配係数の得られることは、例えば10〜3
0%程度の酢酸水爵液から回収することの多い有機化学
工業分野における現実の水相濃度に相当し、きわめて好
都合である。例えば28%の酢酸を含む水溶液を5段ミ
キサーセトラ一を用いて抽出したときの、各段セトラ一
下層(水相)中の酢酸濃度は次の通りであつた。但しT
OATMCH(1:1)混合溶媒の仕込液に対する使用
率(S/F)は1.0で、抽出は30℃でおこなつた。
第1段 12.27% また7段の装置を用い温度を変えて抽出をおこなつた別
の実験の各段水相中酢酸濃度は第1表のようで、第1図
に示した分配係数の極大付近が、現実の水相中の濃度に
相当し、うまく利用できる範囲であることを示して(・
る。
有機含酸素溶媒と第3アミンとを併用することにより、
大きなみかけの分配係数が得られることは上記の例に示
すようであるが、みかけの分配係数の値と、水相中酢酸
濃度に対するその値の変化は含酸素有機溶媒の種類によ
り個別的にかなり異なる。
その例を第3図及び第4図に示す。即ち酢酸イソアミル
、酢酸シクロヘキシル、ジイソブチルケトン、リン酸ト
リオクチルなどをTOAと50:50(ol%)で用(
・たときにも、第1図(50%の線)と同様山形の分配
係数を示すが、その絶対値はやX低く、特に水相中酢酸
濃度の低い側で低く(0.4%のとき分配係数1.5程
度)この点TOA−TMCHに劣る。
しかし、同じくTOAと50:50で併用したとき、低
い水相中酢酸濃度において、TOA一TMCHよりも高
(・みかけの分配係数を示すものもある。
リン酸トリブチル(0.26%で分配係数2.67、2
.04%で3.50)、イソボロン(0.23%で3.
67、1.35%で5.69)、安息香酸メチル(0.
28%で2.31、1.60%で4.06)、酢酸2−
エトキシエチル(0.2%で2.9、1.3%で6、O
)などがそれである。またジイソブチルカルビノールは
低濃度で著るしく高い分配係数を示し(0.10%で8
.20、1.77%で4.27)、第1図の山形の分配
係数と異なる傾向を示している。以上例示した各種溶媒
とTOAの組み合わせは水相中酢酸濃度の高い側ではT
MCH−TOAの組合せとほv同様な分配係数(7〜1
0%で分配係数2〜3)をもつて(・た。TOA以外の
第3アミンを用いた場合もほK同様である。第3アミン
として窒素原子の近くに炭素鎖分枝のあるトリス−2一
エチルヘキシルアミンを用いた場合は、異性体のTOA
を用(・た場合と比べて酢酸のみかけ分配係数が著るし
く小さ(・o(トリス−2−エチルヘキシルアミン:T
MCH−50:50で水中酢酸濃度0.85%のとき、
みかけ分配係数0.16、8.71%のとき0.17、
24.95%のとき0。21)。
トリイソオクチルアミン/TMCHの場合はTOA/T
MCHよりやX劣る程度(0、51%で1.08、2.
54%で2.9018.09%で2.35)なので異性
体によるちがいはきわめて著るしい。なお2位の分枝が
環状構造となつているジメチルベンジルアミンを用いた
場合みかけの分配係数は0.1未満であつた。第3アミ
ンと有機含酸素溶媒とを併用する割合は、目的に応じて
適宜変えることができる。
第2図にみられるように仕込酢酸濃度10%又はそれ以
下の場合は50:50前後でみかけ分配係数の向上につ
き相乗効果が著るしい。仕込酢酸濃度が30%というよ
うに高いときも第2段以降の抽出器には低い濃度の酢酸
が仕込まれるので、この場合も50:50前後における
相剰効果は重要である。第3アミンが多すぎるとコスト
及び分配係数の点で不利であり、第3アミンが少なすぎ
ると、本発明の特色とする高分配係数が達成できないの
で、第3アミン10〜80V01%の範囲で用いるのが
普通である。酢酸を含む水溶液はそれが発生する工程に
応じて種々の温度をもつている。
常温又はそれ以下の温度の希酢酸はそのまX抽出工程に
供してよいが、高温の希酢酸を処理する場合は、冷却に
より抽出温度を低くする方が好ましい。一例を挙げると
分配係数は20℃で2.69、40℃で2.40160
℃で2.09、80℃で1.80というように温度につ
いて直線的に低下することが認められている。なおこれ
迄に記載した分配係数の測定値はいずれも30℃におけ
る値であり、温度が低い場合に更に高い値が得られる。
ミキサーセトラ一による抽出実験の一例も、抽残液中の
酢酸温度が50℃で0.25%、40℃で0.18%、
30℃で0.14%というように低温の方が有利な結果
を示している。S/F即ち希酢酸仕込量に対する抽出剤
仕込量の比は、希酢酸濃度や回収の目的に応じて(・ろ
いろな値をとることができるが、本発明の特徴である大
きな分配係数を反映して例えばS/F−0.5〜2とい
うようなきわめて小さな値をとることができる。このよ
うに抽出剤使用量が少いことは装置サイズや運転に必要
な用役費などの減少に役立ち有利である。本発明の第1
工程である抽出工程は2液相の接触がおこなえるような
種々の装置で実施できるが、特に効率よく実施するため
には液々界面の更新が頻繁におこなわれるような型式の
装置を用いるのがよ(・o化学工業における連続抽出器
としては充填塔、多孔板塔、リングプレート塔なども一
般に使われて(・るが、これらの型式のものは本発明を
実施するのにかならずしも効率がよくないことがわかつ
た。
しかし、ミキサー・セトラ一型抽出器を用いたところ、
驚くべき容易さで抽出が完了した。酢酸セルロース製造
工程から生ずる希酢酸は抽出により酢酸濃度が下ると溶
解綿が析出してくる。このように固体の介在により物質
移動が妨げられるような系に適用する場合は特にこの型
の抽出器が適している。ミキサー部の平衡到達所要時間
は酢酸濃度30%というような高濃度域でも2分程度あ
れば十分であり、低濃度域では更に短く30秒以下であ
つた。
従つてミキサー滞溜時間は1−2分あればよい抽出工程
はこのようなミキサーとセトラ一を用いて多回抽出によ
つても実施できるが、工業的に大量を処理するためには
多段向流抽出によるのがよい。
実験結果から、みかけ上アミン1モルに付加して抽出さ
れる酢酸のモル数を求めると水相中酢酸濃度2%のとき
は1.1モルであるが、5%で2.1モル、10%で3
モル、15%で3。6モルと逐次増大してくることがわ
かつた。
このようにアミンに対して等モル量をこえる多くの酢酸
が抽出され、その割合が酢酸の高濃度につれてますます
大きくなることは、酢酸セルロース製造時の副生酢酸の
ような比較的濃度の高い(30%前後)酢酸を回収する
にあたりきわめて有利なことである。本発明における酢
酸の分配は、(1)遊離酸の水相・有機相間の分配平衡
、(2)有機相内における遊離酸型#アミンとの結合型
の平衡の2段階のモデルにより支配されると考えるとよ
く理解されよう。本発明で用(・る含酸素有機溶媒は、
(1)の平衡に関する分配係数が炭化水素溶媒などに比
べて大きく、これが(2)の左辺濃度を高くすることに
より(2)の右辺濃度を更に高くする作用をもつ。多段
向流抽出を用いる場合、抽出液を酢酸濃度の最も高い1
段目から最終的に取り出す向流抽出法をとることにより
、抽出液中の第3アミンに付加する酢酸のモル数を増す
ことができる。
段数が多いほど抽出率はよくなるが、8段も10段もの
段を重ねるのは装置が大きくなり実用的に不利である。
本発明の場合5段程度の向流抽出で十分に目的を達する
ことができ、工業装置として現実に適用しやすい。この
ように本発明はミキサーセトラ一型抽出器、特にそれを
5段前後の多段向流抽出の形で用いることで満足に実施
できるが、この他RDC(ロータリーデイスクコンタク
タ一)抽出器、遠心抽出器、ガス吹込攪拌式抽出器など
液滴の分散合一頻度を足進し、頻ぱんな液々界面の更新
を起すように工夫された抽出器を用いて実施することが
でぎる。
本発明の第2工程は抽出液の蒸溜による脱水工程である
。第1工程の抽出剤で併用される第3アミンと、ケトン
、エステル又はアルコールなどの含酸素有機爵媒は、い
ずれも水と溶け合わないものを選ぶのは当然であるが、
酢酸と共に若干の水分を溶かしこむのはやむを得ない。
特に抽出工程で説明したように高いみかけの分配係数を
得るために炭化水素系の溶剤を用いずに含酸素系のもの
を用いているのでそうである。一方、本発明は水を含ま
ぬ酢酸を回収することを目的とするので、脱水工程が重
要になる。酢酸の抽出に用いられる有機溶剤は、普通水
の共沸剤でもあるから、抽出液を蒸溜し、抽出剤との共
沸により脱水することは普通におこなわれている。しか
し、本発明のように高沸点の溶剤を用いる場合は水との
共沸温度が高くなり、酢酸との分離がわるくなる傾向が
あつた。本発明では第3工程の塔底から得られる第3ア
ミンを含む抽出剤の一部を脱水塔の塔頂からの還流液に
用いれば、脱水塔における酢酸の溜出が阻止され、酢酸
と水との分離が効果的におこなわれる。その効果の1例
を示すと脱水塔仕込量に対する第3アミンを含む抽出剤
の還流比を0.2以上としたときは、溜出水中には酢酸
がほとんど認められず0.1に減らしても酢酸0.13
%におさえられた。還流比を0.05迄おとすと溜出水
中の酢酸0.7%となつた。このことから少量の抽出剤
の還流が脱水塔における水・酢酸の分離にきわめて有効
に作用することがわかる。本発明の第3工程は脱水され
た抽出液から蒸溜によつて目的とする酢酸を溜出させ、
有機抽出剤混合物を塔底液として再生する工程である。
本発明者らはアミンを用いた溶媒抽出法を有機化学工業
の分野に適用すべく具体的条件につき検討した結果、こ
のような抽出液からの分離工程を順調におこなうために
は、アミンの種類や蒸溜温度の選定が問題になり、第1
アミンや第2アミンを含む抽出剤を用(・た場合や蒸溜
塔塔底温度を低くした場合には塔底液中に酢酸が残留し
やすいことを見出した。有機化学工業での適用という面
から考えると蒸溜塔塔底温度は、加熱用水蒸気の圧力を
考慮して170℃以下であることが望ましい。塔底温度
170℃以下で酢酸がほとんど残留せずに溜出できるよ
うな条件を求めて検討の結果、アミンとして第3アミン
を用いれば、例えば塔底温度140〜150゜Cでも塔
底酢酸濃度0.2%以下で、第3工程を実施できること
がわかつた。塔底温度を下げるにつれて酢酸の残留量は
多少ふえる傾向は認められるが、120℃程度までは酢
酸の溜出性を著るしくそこなうことなく第3工程が実施
できる。尚、所望塔底温度は抽出洛媒組成に応じた圧力
下で蒸溜を行なうことにより達せられる。第1アミンや
第2アミンを用いた場合は140〜150℃の塔底温度
では酢酸が溜出し難く、第3工程の実施が困難であつた
。第3工程の塔底から得られる再生された抽出溶媒、即
ち第3アミンと有機含酸素溶媒との混合物の一部は前記
のように第2工程、脱水蒸溜塔に還流され、残部は第1
工程で希酢酸の抽出に用いられるのが望ましい。
リサイクルされる抽出溶媒中の残存酢酸は抽出能力に影
響を及ぼす。ミキサー・セトラ一型向流5段抽出器を用
いS/Fl.O〜1.1で検討したところ、抽出溶媒中
の酢酸濃度が0.03%、0.11%、0.2%、0.
3%と増すにつけて抽残水相中の酢酸濃度は0.05%
、0.07%、0.10%、0.13%と増加したが、
この範囲内では抽出に支障なく、第3アミンと有機含酸
素溶媒とを組み合わせた抽出剤は蒸溜で再生し、リサイ
クル使用しうることを確認した。なお抽残水相(ラフイ
ネート)中には抽出溶媒が多少溶け込むが、溶媒回収塔
で水と共沸させて蒸溜することにより回収することがで
きる。
以下本発明を実施例により説明する。実施例1はTOA
−TMCH(50/50V01%)抽出剤を用いた抽出
工程の例で、抽出剤の組成や段数を変えた場合を実施例
4に示した。ジイソブチルカルビノール、イソボロンな
どをTMCHに代えて用いれば分配係数の向上に応じて
更に抽出率が向上する。実施例2、3はこのようにして
得た抽出液の蒸溜工程であり、TOA以外の第3アミン
(炭素数18〜42)を用いてもほK同様に良好な分離
が得られる。実施例 1 (抽出工程) 向流5段ガラス製ミキサーセトラ一型抽出器を用いて3
0℃で28.1wt%の酢酸水溶液を2017/Hで第
一槽に仕込み、第5槽から向流にトリn−オクチルアミ
ン(TOA)47.0wt%、3・5・5−トリメチル
シクロヘキサノン(TMCH)52.5wt%、水0.
48wt%の組成から成る混合溶剤を210ク/Hで仕
込んだ。
この結果、ラフイネートは1207/Hで排出され、酢
酸濃度は0.048wt%でほとんど完全に抽出されて
いた。
尚、この時、抽出液は2757/Hで排出され、22.
01wt%の酢酸、4.8Wt%の水を含んでいた。比
較例 1 実施例1と同じ装置を用いて、30℃で、28.1wt
%の酢酸水溶液を2007/Hで第一槽に仕込み、第5
槽から向流に酢酸エチルを2027/Hで仕込んだ。
この結果、ラフイネートは、82y/Hで排出され、ま
だ1.01wt%の酢酸が残つていた。
又、この時抽出液は、284y/Hで排出され、20.
9wt%の酢酸を含んでいたがその他にミ 23.3w
t%もの大量の水を含んで(・た。これは、脱水に多量
のエネルギーを必要とするため、実施例1に比較して極
めて悪い結果である。実施例 2 (脱水工程) 実施例1で得られた抽出液の集合液(TOA39,4w
t%、TMCH37,2wt%、AcOHl8,2Wt
%、H2O5.lwt%)を40段のガラス製多孔板蒸
溜塔に375.2y/Hで仕込んだ。
又還流液として、酢酸回収塔の塔底液に相当するTOA
53.5wt%、TMCH46.3wt%、AcOHO
.2wt%の組成からなる液を37段目か体※ら84.
27/Hで仕込んだ。この時、塔頂からTMCH2l.
5wt%、水78.5wt%の液が25.3V/Hで留
出し、酢酸はこん跡程度であつた。又この時、塔底から
は、TOA.TMCH、酢酸の混合液が434.1y/
Hで得られ、水は0.002wt%しか含まれて(・な
かつた。実施例 3(酢酸と抽出剤の分離) 実施例2の缶出液(TOA44.4wt%、) TMC
H39.8Wt%、酢酸15.8wt%)を実施例2と
同じ蒸留塔の23段目に2007/Hで仕込んだ。
塔頂から100%純度の酢酸が31.47/Hで留出し
た。又この時缶出液の酢酸は0.16wt%であつた。
, 尚この時、還流比は2で、塔頂圧力は200U7
7!Hgであつた。
実施例 4 (抽出工程) S/F、抽出溶媒中のTOAの割合、抽出溶媒中の残存
酢酸、抽出段数を変えて実施例1と同様に28%酢酸を
抽出した。
得られた抽出液の組成とラフイネート中の酢酸分を第1
表に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図はTOA/TMCH混合洛媒への酢酸のみかけ分
配係数(30℃)を平衡水相中の酢酸濃度の関数として
示した図、第2図は種々の仕込酢酸濃度について測定し
たTOA/TMCH混合溶媒への酢酸のみかけ分配係数
(S/F−1.0、30℃)を、溶媒組成の関数として
示した図、第3図及び第4図は本発明に使用し得る種々
の含酸素有機溶剤について測定したTOAとの50/5
0(VOl%)混合溶媒への酢酸のみかけ分配係数(3
0℃)を平衡水相中の酢酸濃度の関係として示した図で
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 酢酸を含む水溶液を酢酸より沸点の高い有機抽出剤
    を用いて抽出処理し、抽出液を蒸溜することよりなる酢
    酸の回収方法において、有機抽出剤として酢酸より沸点
    の高い第3アミンと酢酸より沸点の高いケトン、アルコ
    ール、カルボン酸エステル及びリン酸エステルからなる
    群から選ばれた含酸素有機溶媒とを併用して抽出をおこ
    なう第1工程、抽出液を蒸溜して脱水をおこなう第2工
    程及び脱水された混合物を蒸溜して酢酸を溜出させ有機
    抽出剤と分離する第3工程からなる酢酸の回収法。 2 含酸素有機溶媒がジイソブチルカルビノール、イソ
    ホロン、安息香酸メチル、リン酸トリブチル、3・3・
    5−トリメチルシクロヘキサノン、又は酢酸2−エトキ
    シエチルである特許請求の範囲第1項記載の回収法。 3 第1工程の抽出をミキサーセトラー型向流多段抽出
    器を用いておこなう特許請求の範囲第1項記載の回収法
    。 4 第3工程の蒸溜塔塔底温度を120℃乃至170℃
    とする特許請求の範囲第1項記載の回収法。 5 第3工程で酢酸と分離された有機抽出剤を第2工程
    の蒸溜塔の還流液として用いる特許請求の範囲第1項記
    載の回収法。
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