以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 熱源機は、暖房端末と第3熱交換器の間で循環する熱媒を加熱することができる位置に設けられていることが好ましい。暖房端末は、室内において、第2熱交換器よりも低い位置に設けられていることが好ましい。
この構成によると、第2熱交換器よりも低い位置に設けられている暖房端末に供給される熱媒を熱源機によって十分に加熱することができるため、利用者にとって快適な暖房環境を実現し得る。
(特徴2) ヒートポンプシステムは、室内空気の温度を検出する検出手段をさらに備えていることが好ましい。暖房運転を実行する場合において、検出手段によって検出される温度が第1温度より低い場合に、熱源機の動作、第1動作、及び、第2動作を実行し、検出手段によって検出される温度が第1温度以上である場合に、熱源機の動作を実行せず、第1動作及び第2動作を実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプシステムは、室内空気の温度に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。
(特徴3) ヒートポンプシステムは、室内空気の温度を検出する検出手段をさらに備えていることが好ましい。暖房運転を実行する場合において、検出手段によって検出される温度が、第2温度より低い場合に、熱源機の動作、第1動作、及び、第2動作を実行し、検出手段によって検出される温度が第2温度以上である場合に、熱源機の動作、第1動作、及び、第2動作のうち定格能力が最も高いものを実行せず、それ以外のものを実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプシステムは、室内空気の温度と、各動作の定格能力と、に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。
(特徴4) 暖房運転を実行する場合において、さらに、検出手段によって検出される温度が第2温度より高温である第3温度以上である場合に、熱源機の動作、第1動作、及び、第2動作のうち定格能力が最も高いものと2番目に高いものとを実行せず、それら以外のものを実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプシステムは、室内空気の温度と、各動作の定格能力と、に応じて、より適切に暖房運転を実行することができる。
(特徴5) ヒートポンプシステムは、室内空気の温度を検出する検出手段をさらに備えていることが好ましい。暖房運転を実行する場合において、検出手段によって検出される温度が、第4温度より低い場合に、第1動作及び第2動作を実行し、検出手段によって検出される温度が第4温度以上である場合に、さらに、(a)暖房端末が、室内において第2熱交換器より高い位置に設けられている場合には、第2動作を実行せずに第1動作を実行し、(b)第2熱交換器が、室内において暖房端末より高い位置に設けられている場合には、第1動作を実行せずに第2動作を実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプシステムは、室内空気の温度と、暖房端末及び第2熱交換器の設置位置に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。
(特徴6) ヒートポンプシステムは、節電モードと通常モードとを含む複数のモードのうちいずれかで動作可能であって、室内空気の温度を検出する検出手段をさらに備えていることが好ましい。節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合において、予測消費電力が所定値より大きい場合に、検出手段によって検出される温度にかかわらず、第1動作及び第2動作を実行せずに、熱源機の動作のみを実行し、予測消費電力が所定値以下である場合に、検出手段によって検出される温度に応じて、第1動作と、第2動作と、熱源機の動作と、のうちの少なくとも1つを実行し、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に、検出手段によって検出される温度に応じて、第1動作と、第2動作と、熱源機の動作と、のうちの少なくとも1つを実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプユニットは、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に、予測消費電力が所定値より大きい場合には、熱源機の動作のみを実行する。即ち、ヒートポンプシステムは、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に、消費電力が一定量を超えないように暖房運転を実行することができる。そのため、ヒートポンプシステムは、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合の消費電力を、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に比べて少なくすることができる。
(特徴7) ヒートポンプシステムは、省エネモードと通常モードとを含む複数のモードのうちいずれかで動作可能であって、室内空気の温度を検出する検出手段をさらに備えていることが好ましい。省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合には、熱源機の動作を実行せずに、検出手段によって検出される温度に応じて、第1動作と第2動作とのうちの少なくとも1つを実行し、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に、検出手段によって検出される温度に応じて、第1動作と、第2動作と、熱源機の動作と、のうちの少なくとも1つを実行することが好ましい。
この構成によると、ヒートポンプユニットは、省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合には、熱源機の動作を実行しない。従って、ヒートポンプシステムは、省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合のエネルギー消費量を、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合のエネルギー消費量に比べて少なくすることができる。
(第1実施例)
(システム構成;図1)
図1に示すように、本実施例の冷暖房システム2は、ヒートポンプ空調装置4と、床暖房装置6と、制御装置8と、を備えている。
ヒートポンプ空調装置4は、冷媒(例えば、R32やR410といったHFC冷媒や、R744といったCO2冷媒等)を用いて、室外空気からの吸熱、室内空気からの吸熱、室外空気への放熱、及び、室内空気への放熱を行う。ヒートポンプ空調装置4は、圧縮機12と、流量調整弁14と、熱媒熱交換器16と、第1膨張弁18と、室外空気熱交換器20と、第1ファン22と、四方弁24と、室内空気熱交換器26と、第2ファン28と、第2膨張弁30と、冷媒循環路32と、を備えている。
圧縮機12は、気相状態の冷媒を圧縮して送り出す。流量調整弁14は、3つのポートe、f及びgを備えており、圧縮機12からポートeに供給された気相状態の冷媒を、ポートfとポートgとに供給可能である。流量調整弁14は、ポートeからポートfに流れる冷媒(即ち熱媒熱交換器16に供給される冷媒)の流量の割合と、ポートeからポートgに流れる冷媒(即ち四方弁24に供給される冷媒)の流量の割合と、を調整することができる。熱媒熱交換器16は、後述の熱媒循環路50内を通過する熱媒と、冷媒循環路32内を通過する冷媒との間で熱交換する。第1膨張弁18は、液相状態の冷媒を断熱膨張させて減圧する。室外空気熱交換器20は、第1ファン22によって送風される室外空気と、冷媒との間で熱交換をする。室外空気熱交換器20及び第1ファン22は、室外に配置されている。第1ファン22の近傍には、外気温を検出する外気温サーミスタ40が備えられている。四方弁24は、4つのポートa、b、c及びdを備えており、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態(図中の実線部参照)と、ポートaとポートdとが連通し、かつ、ポートbとポートcとが連通した状態(図中の破線部参照)との間で切り換わる。
室内空気熱交換器26は、第2ファン28によって送風される室内空気と、冷媒との間で熱交換をする。室内空気熱交換器26及び第2ファン28は、室内であって、後述の暖房端末56(即ち床暖房用の端末)よりも室内の高い位置に配置されている。第2ファン28の近傍には、室内の気温を検出する室内温度サーミスタ42が備えられている。第2膨張弁30は、液相状態の冷媒を断熱膨張させて減圧する。
冷媒循環路32は、冷媒を、圧縮機12と、流量調整弁14と、熱媒熱交換器16と、第1膨張弁18と、室外空気熱交換器20と、四方弁24と、室内空気熱交換器26と、第2膨張弁と、の間で循環させる。
床暖房装置6は、熱媒(例えば、水、不凍液等)を用いて室内空気への放熱(いわゆる床暖房)を行う。床暖房装置6は、熱媒熱交換器16と、熱媒循環路50と、バーナ52と、ポンプ54と、暖房端末56と、を備えている。熱媒循環路50は、熱媒を、熱媒熱交換器16とバーナ52と暖房端末56との間で循環させる。バーナ52は、ガス等の燃料を燃焼させることによって発生する燃焼熱を利用して、熱媒循環路50を通過する熱媒を加熱する。バーナ52は、熱媒循環路50のうち、熱媒熱交換器16より下流側であって、暖房端末56より上流側の部分を通過する熱媒を加熱可能な位置に配置されている。ポンプ54は、熱媒循環路50内の熱媒を循環させる。暖房端末56は、熱媒の熱を室内空気に放熱する。暖房端末56は、室内の床に配置されている床暖房端末である。暖房端末56は、熱媒循環路50のうち熱媒熱交換器16及びバーナ52よりも下流側に備えられている。そのため、暖房端末56には、熱媒熱交換器16とバーナ52で加熱された後の熱媒が供給される。熱媒熱交換器16は、熱媒循環路50のうち暖房端末56よりも下流側の部分に備えられている。熱媒熱交換器16には、暖房端末56で放熱した後の低温の熱媒が供給される。
制御装置8は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、制御装置8に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御装置8では、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて、ヒートポンプ空調装置4及び床暖房装置6の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置8には、図示しないリモコンが接続されている。リモコンには、ユーザが冷暖房システム2を操作するためのスイッチ、ユーザに冷暖房システム2の動作状態を表示する液晶表示器等が設けられている。ユーザは、リモコンを介して、暖房又は冷房の開始及び終了等を指示することができる。また、ユーザは、リモコンを介して、暖房設定温度及び冷房設定温度を設定することもできる。
次いで、冷暖房システム2の動作について説明する。空調システムは、冷房運転及び暖房運転を実行可能である。
(冷房運転;図2)
ユーザから冷房が指示されると、冷暖房システム2は、室内空気熱交換器26によって室内を冷房する冷房運転を行う。図2に示されるように、冷房運転では、制御装置8は、四方弁24を、ポートaとポートdとが連通し、かつポートbとポートcとが連通した状態に切り替える。また、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeに供給された冷媒の全流量がポートgに供給され、ポートfには冷媒が供給されないように調整する(即ち、ポートeとポートgが連通し、ポートeとポートfが連通しない)。また、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。
圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、流量調整弁14(ポートg)及び四方弁24を介して、室外空気熱交換器20へ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室外空気熱交換器20で液相状態となった冷媒は、第2膨張弁30へ送られる。第2膨張弁30で減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、室内空気熱交換器26へ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室内空気熱交換器26での室内空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁24を介して圧縮機12に戻される。冷暖房システム2は、冷房運転において、上記のようなヒートポンプサイクルによって、室外空気熱交換器20において室外空気に放熱して、室内空気熱交換器26において室内を冷房する。
(暖房運転;図3〜図5)
ユーザから暖房が指示されると、冷暖房システム2は、室内空気熱交換器26と暖房端末56との少なくとも一方を用いて室内を暖房する暖房運転を行う。図3〜図5に示すように、冷暖房システム2は、室内空気熱交換器26と暖房端末56の両方を用いた暖房運転(図3参照)と、暖房端末56のみを用いた暖房運転(図4参照)と、ヒートポンプ空調装置4のみを用いた暖房運転(図5参照)と、を行うことができる。以下、それぞれの暖房運転について説明する。
(室内空気熱交換器26と暖房端末56の両方を用いた暖房運転;図3)
室内空気熱交換器26と暖房端末56の両方を用いた暖房運転を行う場合、冷暖房システム2は、以下のように動作する。図3に示されるように、制御装置8は、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。また、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeに供給された冷媒の一部がポートgに供給され、他の一部がポートfに供給されるように調整する(即ち、ポートeとポートf、ポートeとポートgがそれぞれ連通する)。また、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。さらに、制御装置8は、ポンプ54を駆動する。
圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒の一部は、流量調整弁14(ポートg)及び四方弁24を介して、室内空気熱交換器26へ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、室内空気熱交換器26での室内空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室内空気熱交換器26で液相状態となった冷媒は第2膨張弁30へ送られる。第2膨張弁30で減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、第1膨張弁18から送られる低温低圧の液相状態の冷媒と合流し、室外空気熱交換器20へ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁24を介して圧縮機12に戻される。
一方、圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒の他の一部は、流量調整弁14(ポートf)を介して、熱媒熱交換器16へ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、熱媒熱交換器16での熱媒との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。熱媒熱交換器16で液相状態となった冷媒は第1膨張弁18へ送られる。第1膨張弁18で減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、第2膨張弁30から送られた低温低圧の液相状態の冷媒と合流し、室外空気熱交換器20へ送られる。その後の冷媒の流れは上記の通りであるため、詳しい説明を省略する。
また、ポンプ54が駆動することによって、熱媒循環路50内で熱媒が循環する。熱媒熱交換器16での高温高圧の冷媒との熱交換によって加熱された高温の熱媒は、ポンプ54とバーナ52を介して、暖房端末56に送られる。高温の熱媒は、暖房端末56で室内空気との熱交換によって冷却される。暖房端末56を通過した後の低温の熱媒は、熱媒熱交換器16に供給され、冷媒との熱交換によって再度加熱される。制御装置8は、室内温度が、リモコンで設定された暖房設定温度に満たない場合(図6のS10でNO)のような所定の場合に、バーナ52をさらに駆動することができる。バーナ52が駆動することにより、熱媒熱交換器16での高温高圧の冷媒との熱交換によって加熱された高温の熱媒が、バーナ52における燃料の燃焼熱によってさらに加熱され、さらに高温の熱媒となる。この場合、熱媒熱交換器16とバーナ52の双方で加熱された熱媒が暖房端末56に供給される。
冷暖房システム2は、上記のようなサイクルで冷媒及び熱媒を循環させることにより、室内空気熱交換器26及び暖房端末56の両方で室内空気に放熱し、室内を暖房することができる。
(暖房端末56のみを用いた暖房運転;図4)
暖房端末56のみを用いた暖房運転を行う場合、冷暖房システム2は、以下のように動作する。図4に示されるように、制御装置8は、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。また、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeに供給された冷媒の全流量がポートfに供給され、ポートgには冷媒が供給されないように調整する(即ち、ポートeとポートfが連通し、ポートeとポートgが連通しない)。また、制御装置8は、第1ファン22を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。なお、第2ファン28は駆動させない。さらに、制御装置8は、ポンプ54を駆動する。また、制御装置8は、所定の場合に、バーナ52をさらに駆動することができる。
圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、その全量が、流量調整弁14(ポートf)を介して、熱媒熱交換器16へ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、熱媒熱交換器16での熱媒との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。熱媒熱交換器16で液相状態となった冷媒は第1膨張弁18へ送られる。第1膨張弁18で減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20へ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁24を介して圧縮機12に戻される。
また、ポンプ54、バーナ52を駆動させることによる床暖房装置6の動作は、上記の図3の運転の場合と同様であるため、詳しい説明を省略する。冷暖房システム2は、上記のようなサイクルで冷媒及び熱媒を循環させることにより、暖房端末56で室内空気に放熱し、室内を暖房することができる。図4の暖房運転では、室内空気熱交換器26から室内空気に放熱されることはない。
(室内空気熱交換器26のみを用いた暖房運転;図5)
室内空気熱交換器26のみを用いた暖房運転を行う場合、冷暖房システム2は、以下のように動作する。図5に示されるように、制御装置8は、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。また、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeに供給された冷媒の全流量がポートgに供給され、ポートfには供給されないように調整する(即ち、ポートeとポートgが連通し、ポートeとポートfが連通させない)。また、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動する。なお、ポンプ54及びバーナ52は駆動させない。
圧縮機12で加圧されて高温高圧となった気相状態の冷媒は、その全量が、流量調整弁14(ポートg)及び四方弁24を介して、室内空気熱交換器26へ送られる。高温高圧の気相状態の冷媒は、室内空気熱交換器26での室内空気との熱交換によって冷却されて凝縮し、液相状態となる。室内空気熱交換器26で液相状態となった冷媒は第2膨張弁30へ送られる。第2膨張弁30で減圧されて低温低圧となった液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20へ送られる。低温低圧の液相状態の冷媒は、室外空気熱交換器20での室外空気との熱交換によって加熱されて蒸発し、気相状態となる。気相状態となった冷媒は、四方弁24を介して圧縮機12に戻される。
冷暖房システム2は、上記のようなサイクルで冷媒を循環させることにより、室内空気熱交換器26で室内空気に放熱し、室内を暖房することができる。図5の暖房運転では、暖房端末56から室内空気に放熱されることはない。
暖房運転を実行する場合に、図3〜図5を用いて説明した各暖房運転のうちのいずれが実行されるのかは、制御装置8が実行する暖房制御処理(図6参照)によって決められる。以下、本実施例において、制御装置8が実行する暖房制御処理の内容について説明する。
(第1実施例における暖房制御処理;図6)
ユーザによって暖房が指示されると、制御装置8は、まず、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。次いで、制御装置8は、図6の暖房制御処理を開始する。暖房制御処理が開始されると、S10では、制御装置8は、室内温度サーミスタ42によって検出される室内温度が、リモコンで設定されている暖房設定温度Tsより低いか否かを判断する。
室内温度サーミスタ42の検出温度が暖房設定温度Tsより低い場合、制御装置8は、S10でYESと判断し、S12に進む。本実施例において、S10でYESの場合とは、室内温度がユーザによって要求されている暖房設定温度に到達していないため、高い暖房能力が必要とされる場合である。一方、室内温度サーミスタ42の検出温度が暖房設定温度Ts以上である場合、制御装置8は、S10でNOと判断し、S14に進む。本実施例において、S10でNOの場合とは、室内温度がユーザによって要求されている暖房設定温度に到達しており、高い暖房能力が必要とされない場合である。
S12では、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeとポートf、ポートeとポートgがそれぞれ連通する状態に調整する。さらに、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動させる。また、制御装置8は、ポンプ54及びバーナ52を駆動させる。なお、S12の時点で、既に流量調整弁14が、ポートeとポートf、ポートeとポートgがそれぞれ連通する状態に調整され、かつ、圧縮機12、ポンプ54、及び、バーナ52が駆動している場合には、制御装置8はその状態を維持する。このS12の処理が行われることにより、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させた状態で、図3で説明した暖房運転(即ち、室内空気熱交換器26及び暖房端末56を用いた暖房運転)を実行する。
一方、S14では、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeとポートf、ポートeとポートgがそれぞれ連通する状態に調整する。さらに、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動させる。また、制御装置8は、ポンプ54を駆動させる。S14では、バーナ52は駆動させない。なお、S14の時点で、既に流量調整弁14が、ポートeとポートf、ポートeとポートgがそれぞれ連通する状態に調整され、かつ、圧縮機12及びポンプ54が駆動し、バーナ52が停止している場合には、制御装置8はその状態を維持する。このS14の処理が行われることにより、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図3の暖房運転を実行する。
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房制御処理(S10〜S14)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房制御処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン22、第2ファン28、ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、冷暖房システム2は、暖房運転を終了する。
以上、本実施例の冷暖房システム2の構成及び運転内容について説明した。本実施例では、冷暖房システム2は、バーナ52で燃料を燃焼させることによって発生する熱を利用して、暖房端末56に供給される熱媒を加熱することができる。そのため、圧縮機12の能力だけで暖房運転を行うと、必要な暖房能力を急速に得られない場合(図6のS10でNOの場合)に、バーナ52を駆動させて暖房運転を行うことにより、熱媒の加熱能力を補うことができる。従って、本実施例の冷暖房システム2によると、暖房能力が不足する事態の発生を抑制することができる。
また、本実施例の冷暖房システム2は、バーナ52は、熱媒循環路50のうち、熱媒熱交換器16より下流側であって、暖房端末56より上流側の部分を通過する熱媒を加熱可能な位置に配置されている。また、暖房端末56は、床暖房用の端末であり、室内において、室内空気熱交換器26よりも低い位置に設けられている。そのため、床暖房に用いる暖房端末56に供給される熱媒をバーナ52で加熱することができ、十分な床暖房運転を行い得る。そのため、利用者にとって快適な暖房環境を実現することができる。
また、本実施例の冷暖房システム2は、室内温度が暖房設定温度Tsより低い場合(図6のS10でYES)に、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転を実行し(S12)、室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合(図6でNO)に、バーナ52を駆動させない状態で、図3の暖房運転を実行する。そのため、本実施例の冷暖房システム2は、室内空気の温度に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。
ここで、実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。冷暖房システム2が「ヒートポンプシステム」の一例である。室外空気熱交換器20、室内空気熱交換器26、熱媒熱交換器16が、それぞれ、「第1熱交換器」、「第2熱交換器」、「第3熱交換器」の一例である。四方弁24が「切替手段」の一例である。バーナ52が「熱源機」の一例である。室内温度サーミスタ42が「検出手段」の一例である。図5で説明した室内空気熱交換器26のみを用いた暖房運転が「第1動作」の一例である。図4で説明した暖房端末56のみを用いた暖房運転が「第2動作」の一例である。暖房設定温度Tsが、「第1温度」の一例である。
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の冷暖房システム2の構成は、第1実施例の冷暖房システム2と共通する(図1参照)。本実施例では、暖房運転を実行する際に、室内温度が高くなることに伴って、(i)バーナ52の駆動、(ii)室内空気熱交換器26による暖房、及び、(iii)暖房端末56による暖房、のうち、定格能力(即ち、単位時間当たりの加熱量)の最も高いものから順に実行しないようにする(即ち、停止させる)点で、第1実施例とは異なる。なお、本実施例では、(i)バーナ52の駆動が最も定格能力が高く、(ii)室内空気熱交換器26による暖房が二番目に定格能力が高く、(iii)暖房端末56による床暖房が最も定格能力が低い。
(第2実施例における暖房制御処理;図7)
ユーザによって暖房が指示されると、制御装置8は、まず、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。次いで、制御装置8は、図7の暖房制御処理を開始する。暖房制御処理が開始されると、S20では、制御装置8は、室内温度サーミスタ42によって検出される室内温度が、リモコンで設定されている暖房設定温度Tsより低いか否かを判断する。
室内温度サーミスタ42の検出温度が暖房設定温度Tsより低い場合、制御装置8は、S20でYESと判断し、S22に進む。一方、室内温度サーミスタ42の検出温度が暖房設定温度Ts以上である場合、制御装置8は、S20でNOと判断し、S28に進む。本実施例において、S20でNOの場合とは、室内温度がユーザによって要求されている暖房設定温度に到達しており、それほど高い暖房能力が必要とされない場合である。
S22では、制御装置8は、室内温度サーミスタ42によって検出される室内温度が、所定の閾値温度Tthより低いか否かを判断する。ここで、閾値温度Tthとは、リモコンで設定されている暖房設定温度Tsより所定温度(例えば3℃)だけ低い温度である。室内温度サーミスタ42の検出温度が閾値温度Tthより低い場合、制御装置8は、S22でYESと判断し、S24に進む。本実施例において、S22でYESの場合とは、室内温度が閾値温度にも到達しておらず、最高の暖房能力が必要とされる場合である。一方、室内温度サーミスタ42の検出温度が閾値温度Tth以上である場合、制御装置8は、S22でNOと判断し、S26に進む。本実施例において、S22でNOの場合とは、室内温度は少なくとも閾値温度に到達しているが、まだ暖房設定温度に到達しておらず、まだ高い暖房能力が必要とされる場合である。
S24の処理は、図6のS12の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転(即ち、室内空気熱交換器26及び暖房端末56を用いた暖房運転)を実行する。
S26の処理は、図6のS14の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図3の暖房運転を実行する。
S28では、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeとポートfとが連通し、ポートeとポートgとが連通しない状態に調整する。さらに、制御装置8は、第1ファン22を駆動するとともに、圧縮機12を駆動させる。第2ファン28は駆動させない。また、制御装置8は、ポンプ54を駆動させる。バーナ52は駆動させない。なお、S28の時点で、既に、流量調整弁14が、ポートeとポートfとを連通し、ポートeとポートgとを連通しない状態に調整され、かつ、圧縮機12及びポンプ54が駆動し、バーナ52が停止している場合には、制御装置8はその状態を維持する。このS28の処理が行われることにより、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図4の暖房運転(即ち、暖房端末56のみを用いた暖房運転)を実行する。
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房制御処理(S20〜S28)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房制御処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン22、第2ファン28、ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、冷暖房システム2は、暖房運転を終了する。
以上、本実施例の冷暖房システム2の構成及び運転内容について説明した。上記の通り、本実施例では、冷暖房システム2は、室内温度が閾値温度Tthより低い場合(図7のS22でYES)に、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転を実行する(S24)。また、冷暖房システム2は、室内温度が閾値温度Tth以上であり、暖房設定温度Tsより低い場合(S22でNO)、最も定格能力が高いバーナ52を駆動させずに、図3の暖房運転を実行する(S26)。また、冷暖房システム2は、室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合(S20でNO)、最も定格能力が高いバーナ52を駆動させないとともに、二番目に定格能力が高い室内空気熱交換器26による暖房を実行せずに、図4の暖房運転(即ち、暖房端末56のみを用いた暖房運転)を実行する。従って、本実施例の冷暖房システム2は、室内温度と、各要素の定格能力と、に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。なお、本実施例の閾値温度Tthが「第2温度」の一例である。また、暖房設定温度Tsが、「第3温度」の一例である。
(第3実施例)
本実施例の冷暖房システム2の構成も、第1実施例の冷暖房システム2と共通する(図1参照)。本実施例では、暖房運転を実行する際に、室内温度が高くなることに伴って、室内において高い位置に設けられている端末による暖房から順に実行しないようにする点で、第1、第2実施例とは異なる。なお、本実施例の冷暖房システム2では、室内において、室内空気熱交換器26が、暖房端末56(いわゆる床暖房用の端末)よりも高い位置に設けられている。
(第3実施例における暖房制御装置;図8)
ユーザによって暖房が指示されると、制御装置8は、まず、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。次いで、制御装置8は、図8の暖房制御処理を開始する。S30、S32の各処理は、図7のS20、S22の各処理と同様であるため、詳しい説明を省略する。室内温度が閾値温度Tthより低い場合、制御装置8は、S30及びS32でYESと判断し、S34に進む。室内温度が閾値温度Tth以上であって暖房設定温度Tsより低い場合、制御装置8は、S30でYES、S32でNOと判断し、S36に進む。室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合、制御装置8は、S30でNOと判断し、S38に進む。
S34の処理は、図6のS12の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転を実行する。
S36では、制御装置8は、流量調整弁を、ポートeとポートfとが連通し、ポートeとポートgとが連通しない状態に調整する。さらに、制御装置8は、第1ファン22を駆動するとともに、圧縮機12を駆動させる。この際、第2ファン28は駆動させない。また、制御装置8は、ポンプ54及びバーナ52を駆動させる。なお、S36の時点で、既に、流量調整弁14が、ポートeとポートfとが連通し、ポートeとポートgとが連通しない状態に調整され、かつ、圧縮機12、ポンプ54、及び、バーナ52が駆動している場合には、制御装置8はその状態を維持する。このS36の処理が行われることにより、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させた状態で、図4の暖房運転(即ち、暖房端末56のみを用いた暖房運転)を実行する。S36の処理が行われる場合、室内空気熱交換器26による暖房は行われない。
S38の処理は、図7のS28の処理と同様である。S38では、即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図4の暖房運転を実行する。
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房制御処理(S30〜S38)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房制御処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン22、第2ファン28、ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、冷暖房システム2は、暖房運転を終了する。
以上、本実施例の冷暖房システム2の構成及び運転内容について説明した。上記の通り、本実施例では、冷暖房システム2は、室内温度が閾値温度Tthより低い場合(図8のS32でYES)に、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転を実行する(S34)。即ち、室内空気熱交換器26を用いた暖房を行う。また、冷暖房システム2は、室内温度が閾値温度Tth以上である場合(S32でNO、S30でNO)、室内空気熱交換器26を用いた暖房を行わない。即ち、本実施例の冷暖房システム2では、室内温度が閾値温度Tthより低いか否かに応じて、室内において暖房端末56よりも高い位置に設けられている室内空気熱交換器26を用いた暖房を行うか否かを切り替えている。言い換えると、本実施例の冷暖房システム2では、暖房運転を実行する際に、低い位置に設けられている暖房端末56を用いた暖房を、高い位置に設けられている室内空気熱交換器26を用いた暖房よりも長く実行することができる。一般に、低い位置から暖房を行う場合、暖められた空気が室内を上昇するため、高い位置から暖房を行う場合に比べて、室内にいる利用者が快適に感じる場合が多い。従って、本実施例の冷暖房システム2は、室内空気の温度と、室内空気熱交換器26及び暖房端末56の設置位置に応じて、適切に暖房運転を実行することができる。なお、本実施例の閾値温度Tthが「第4温度」の一例である。
(第4実施例)
本実施例の冷暖房システム2の構成も、第1実施例の冷暖房システム2と共通する(図1参照)。本実施例では、冷暖房システム2は、節電モードと通常モードの2つの動作モードを有している。冷暖房システム2は、節電モードと通常モードの2つの動作モードのうちの一方で動作する。本実施例では、冷暖房システム2は、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合、消費電力が所定の許容電力値を超えないように制限する。冷暖房システム2の動作モードは、ユーザがリモコンで設定することができる。
(第4実施例における暖房制御処理;図9)
ユーザによって暖房が指示されると、制御装置8は、まず、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。次いで、制御装置8は、図9の暖房制御処理を開始する。
S40では、制御装置8は、冷暖房システム2の動作モードが節電モードであるか否かを判断する。リモコンで設定されている動作モードが節電モードである場合、制御装置8は、S40でYESと判断し、S42に進む。一方、リモコンで設定されている動作モードが通常モードである場合、制御装置8は、S40でNOと判断し、図7の暖房制御処理(図7のS10〜S24の各処理)を実行する。図7のS24、S26、S28のいずれかの処理を実行すると、制御装置8は、図9のS40に戻り、S40の判断を再度行う。
S42、S44の各処理は、図7のS20、S22の各処理と同様であるため、詳しい説明を省略する。室内温度が閾値温度Tthより低い場合、制御装置8は、S42及びS44でYESと判断し、S46に進む。室内温度が閾値温度Tth以上であって暖房設定温度Tsより低い場合、制御装置8は、S42でYES、S44でNOと判断し、S48に進む。室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合、制御装置8は、S42でNOと判断し、S50に進む。
S46では、制御装置8は、圧縮機12を駆動させて暖房運転を行う場合の消費電力予測値が、予め定められている節電モード用の許容電力値以下であるか否かを判断する。具体的には、S46では、まず、制御装置8は、室内温度サーミスタ42の検出温度(即ち、室内温度)、外気温サーミスタ40の検出温度(即ち、外気温)、及び、暖房設定温度Tsに基づいて、圧縮機12を駆動させて暖房運転を行う場合の消費電力予測値を算出する。次いで、制御装置8は、算出した消費電力予測値が、予め定められている許容電力値以下であるか否かを判断する。消費電力予測値が許容電力値以下である場合、S46でYESと判断し、S52に進む。一方、消費電力予測値が許容電力値より大きい場合、S46でNOと判断し、S58に進む。
S52の処理は、図6のS12の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させた状態で、図3の暖房運転を実行する。
S58では、制御装置8は、ポンプ54及びバーナ52を駆動させる。この際、制御装置8は、第1ファン22、第2ファン28、及び、圧縮機12を動作させない。即ち、ヒートポンプ空調装置4を動作させない。即ち、S58の処理を行うことにより、冷暖房システム2は、バーナ52の燃焼熱のみを熱源として、暖房端末56を用いた暖房を行う。
S48の処理は、S46と同様である。消費電力予測値が許容電力値以下である場合、S48でYESと判断し、S54に進む。一方、消費電力予測値が許容電力値より大きい場合、S48でNOと判断し、S58に進む。
S54の処理は、図6のS14(図7のS26)と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図3の暖房運転を実行する。一方、S58の処理の内容は上記の通りである。
S50の処理も、S46、S48と同様である。消費電力予測値が許容電力値以下である場合、S50でYESと判断し、S56に進む。一方、消費電力予測値が許容電力値より大きい場合、S50でNOと判断し、S58に進む。
S56の処理は、図7のS28の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図4の暖房運転を実行する。一方、S58の処理の内容は上記の通りである。
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房制御処理(S40〜S58)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房制御処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン22、第2ファン28、ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、冷暖房システム2は、暖房運転を終了する。
以上、本実施例の冷暖房システム2の構成及び運転内容について説明した。上記の通り、本実施例では、冷暖房システム2は、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合において、予測消費電力が所定の許容電力より大きい場合に(S46、S48、S50、のいずれかでYES)、室内温度に関わらず、ヒートポンプ空調装置4を動作させずに、バーナ52の燃焼熱のみを熱源として暖房端末56で暖房を行う(図9のS58参照)。即ち、冷暖房システム2は、節電モードで動作する第に暖房運転を実行する場合に、消費電力が一定量を超えないように暖房運転を実行することができる。そのため、本実施例の冷暖房システム2は、節電モードで動作する間に暖房運転を実行する場合の消費電力を、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合に比べて少なくすることができる。なお、本実施例の許容電力値が、「所定値」の一例である。
(第5実施例)
本実施例の冷暖房システム2の構成も、第1実施例の冷暖房システム2と共通する(図1参照)。本実施例では、冷暖房システム2は、省エネモードと通常モードの2つの動作モードを有している。冷暖房システム2は、省エネモードと通常モードの2つの動作モードのうちの一方で動作する。本実施例では、冷暖房システム2は、省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合、バーナ52を動作させないことによって消費エネルギーを抑制する。冷暖房システム2の動作モードは、ユーザがリモコンで設定することができる。
(第5実施例における暖房制御処理;図10)
ユーザによって暖房が指示されると、制御装置8は、まず、四方弁24を、ポートaとポートbとが連通し、かつ、ポートcとポートdとが連通した状態に切り替える。次いで、制御装置8は、図10の暖房制御処理を開始する。
S60では、制御装置8は、冷暖房システム2の動作モードが省エネモードであるか否かを判断する。リモコンで設定されている動作モードが省エネモードである場合、制御装置8は、S60でYESと判断し、S62に進む。一方、リモコンで設定されている動作モードが通常モードである場合、制御装置8は、S60でNOと判断し、図7の暖房制御処理(図7のS10〜S24の各処理)を実行する。図7のS24、S26、S28のいずれかを実行すると、制御装置8は、図10のS60に戻り、S60の判断を再度行う。
S62の処理は、図6のS10と同様であるため、詳しい説明を省略する。室内温度が暖房設定温度Tsより低い場合、制御装置8は、S62でYESと判断し、S64に進む。室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合、制御装置8は、S62でNOと判断し、S66に進む。
S64の処理は、図6のS14(図7のS26)の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図3の暖房運転を実行する。
一方、S66の処理は、図7のS28の処理と同様である。即ち、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図4の暖房運転を実行する。
制御装置8は、ユーザから暖房の停止が指示されるまで、上記の暖房制御処理(S60〜S66)を繰り返し実行する。ユーザから暖房の停止が指示されると、制御装置8は、暖房制御処理を終了する。即ち、制御装置8は、駆動中の各要素(圧縮機12、第1ファン22、第2ファン28、ポンプ54、バーナ52等)を停止させる。この結果、冷暖房システム2は、暖房運転を終了する。
以上、本実施例の冷暖房システム2の構成及び運転内容について説明した。上記の通り、本実施例では、冷暖房システム2は、省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合には、バーナ52を駆動させない(S62〜S64参照)。従って、本実施例の冷暖房システム2では、省エネモードで動作する間に暖房運転を実行する場合のエネルギー消費量を、通常モードで動作する間に暖房運転を実行する場合のエネルギー消費量に比べて少なくすることができる。
(第6実施例)
図11に示すように、本実施例の冷暖房システム102では、冷媒循環路32内の冷媒を加熱可能な位置にバーナ152が設けられ、熱媒循環路50内の熱媒を加熱可能な位置にバーナが備えられていない点で、第1実施例の冷暖房システム2(図1参照)とは異なる。図11に示すように、本実施例の冷暖房システム102は、バーナ152の設置位置以外は、第1実施例の冷暖房システム2と共通している。本実施例の冷暖房システム102も、第1実施例の冷暖房システム2と同様に、図3〜図5に示す各種暖房運転を実行することができる。
本実施例では、冷暖房システム102は、バーナ152で燃料を燃焼させることによって発生する熱を利用して、室内空気熱交換器26に供給される冷媒を加熱することができる。そのため、本実施例でも、圧縮機12の能力だけで暖房運転を行うと、必要な暖房能力を得られない場合に、バーナ152を駆動させて暖房運転を行うことにより、冷媒の加熱能力を補うことができる。従って、本実施例の冷暖房システム102による場合も、暖房能力が不足する事態の発生を抑制することができる。
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(変形例1)第1〜第5実施例の冷暖房システム2では、図1に示すように、バーナ52は、熱媒循環路50内の熱媒を加熱可能な位置に設けられており、冷媒循環路32内の冷媒を加熱可能な位置には設けられていない。また、第6実施例の冷暖房システム102では、図11に示すように、バーナ152は、冷媒循環路32内の冷媒を加熱可能な位置に設けられており、熱媒循環路50内の熱媒を加熱可能な位置には設けられていない。これに限られず、冷暖房システム2(102)では、熱媒循環路50内の熱媒を加熱可能な位置にバーナ52を設けるとともに、冷媒循環路32内の冷媒を加熱可能な位置にバーナ152をさらに設けてもよい。
(変形例2)上記の第2実施例では、暖房運転を実行する際に、室内温度が高くなることに伴って、(i)バーナ52の駆動、(ii)室内空気熱交換器26による暖房(空気暖房)、及び、(iii)暖房端末56による床暖房、のうち、定格能力(即ち、単位時間当たりの加熱量)の最も高いものから順に実行しないようにする(即ち、停止させる)。第2実施例では、(i)バーナ52の駆動が最も定格能力が高く、(ii)室内空気熱交換器26による暖房が二番目に定格能力が高く、(iii)暖房端末56による床暖房が最も定格能力が低い。しかしながら、(i)〜(iii)の各動作の定格能力の高さの順は、上記のものには限られない。例えば、(i)バーナ52の駆動が最も定格能力が高く、(iii)暖房端末56による床暖房が二番目に定格能力が高く、(ii)室内空気熱交換器26による暖房が最も定格能力が低くてもよい。その場合、室内温度が暖房設定温度Ts以上である場合(図7のS20でNOの場合)、図7のS28の処理に代えて、制御装置8は、以下の処理を行ってもよい。即ち、制御装置8は、流量調整弁14を、ポートeに供給された冷媒の全部をポートgに供給し、ポートfに供給しないように調整する(即ち、ポートeとポートgとを連通し、ポートeとポートfとを連通しない)。さらに、制御装置8は、第1ファン22及び第2ファン28を駆動するとともに、圧縮機12を駆動させる。また、制御装置8は、ポンプ54及びバーナ52を駆動させない。この処理が行われることにより、冷暖房システム2は、バーナ52を駆動させない状態で、図5で説明した暖房運転(即ち、ヒートポンプ空調装置4のみを用いた暖房運転)を実行する。
(変形例3)上記の第3実施例では、暖房運転を実行する際に、室内温度が高くなることに伴って、室内において高い位置に設けられている端末(即ち、室内空気熱交換器26)による暖房から順に実行しないようにする。第3実施例では、室内空気熱交換器26は、暖房端末56よりも高い位置に設けられている。これに限られず、上記の第3実施例において、暖房端末56が、室内空気熱交換器26よりも、室内において高い位置に設けられていてもよい。その場合、冷暖房システム2は、室内温度が閾値温度Tthより低いか否かに応じて、室内において室内空気熱交換器26よりも高い位置に設けられている暖房端末56を用いた暖房を行うか否かを切り替えるようにしてもよい。
(変形例4)上記の第4実施例では、冷暖房システム2は、節電モードと通常モードの2つの動作モードを有している。これに限られず、第4実施例の冷暖房システム2は、節電モードと通常モードとを含む複数のモードで動作可能であってもよい。第4実施例の冷暖房システム2は、節電モードと通常モード以外のモード(例えば、省エネモード等)で動作可能であってもよい。同様に、上記の第5実施例の冷暖房システム2は、省エネモードと通常モードとを含む複数のモードで動作可能であってもよい。第5実施例の冷暖房システム2は、省エネモードと通常モード以外のモード(例えば、節電モード等)で動作可能であってもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。