以下、図面に基づいて実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。さらに、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100の概略構成図である。実施の形態1に係る空気調和装置100は、たとえばビルなどの建物500に設置されている。建物500は、空調の対象とならない非空調空間501および502と、空調の対象となる複数の空調空間503および504とを備えている。非空調空間501は、例えば天井裏である。非空調空間502は例えば機械室である。空調空間503は、例えば大居室である。空調空間504は、例えば小居室である。空気調和装置100は、複数の空調空間503および504の空調を行うものである。
[空気調和装置100の構成]
空気調和装置100は、室外機101と、第一室内機105と、熱媒体ユニット103と、第二室内機104とを備えている。なお、第一室内機105、熱媒体ユニット103、および、第二室内機104の数は、図1に示したように各1台ずつに限定されるものではなく、任意である。また、実施の形態1では、第一室内機105が空調空間503のような大居室に設けられ、第二室内機104が空調空間504のような小居室に設けられているが、この限りではない。第一室内機105が空調空間504のような小居室に設けられ、第二室内機104が空調空間503のような大居室に設けられてもよい。
熱媒体ユニット103は、第二室内機104と一対となるように設けられている。熱媒体ユニット103は、第二室内機104が設置される空調空間504とは異なる場所である非空調空間501に設置される。これは、冷媒が流れる熱媒体ユニット103が空調空間504とは異なる場所に設置されることで、空調空間504への冷媒漏洩を防止するためである。
室外機101と、第一室内機105および熱媒体ユニット103とは、冷媒が流れる冷媒配管で接続されている。冷媒配管は、冷媒主配管106と冷媒枝配管107とを有する。熱媒体ユニット103と第二室内機104とは、熱媒体が流れる熱媒体配管108で接続されている。
空気調和装置100は、全冷房運転モードと全暖房運転モードとを選択できるものである。全冷房運転モードは、運転するすべて室内機、つまり第一室内機105および第二室内機104が冷房運転を行うモードである。全暖房運転モードは、運転するすべて室内機、つまり第一室内機105および第二室内機104が暖房運転を行うモードである。
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置100の回路構成図である。図2に示すように、空気調和装置100は、室外機101と、第一室内機105および熱媒体ユニット103とが、冷媒主配管106および冷媒枝配管107で接続されて、冷媒が循環する冷媒回路Aを構成している。
冷媒主配管106は、第一冷媒主配管106aと第二冷媒主配管106bとを有する。第一冷媒主配管106aは、ガス冷媒が流れる配管である。冷媒枝配管107は、液冷媒または二相冷媒が流れる配管である。冷媒枝配管107aと冷媒枝配管107bとを有する。室外機101と第一室内機105とは、冷媒主配管106と冷媒枝配管107aとで接続され、室外機101と熱媒体ユニット103とは、冷媒主配管106と冷媒枝配管107bとで接続されている。
熱媒体ユニット103と第二室内機104とは、熱媒体が流れる熱媒体配管108で接続されている。熱媒体ユニット103と第二室内機104とは熱媒体配管108で接続されて、後述の第二熱媒体が循環する熱媒体回路Bが構成されている。熱媒体回路Bにおいて熱媒体熱交換器9と第二室内熱交換器15とは直列に接続されている。
空気調和装置100は、室外機101で生成した熱を第一室内機105および熱媒体ユニット103に搬送する。室外機101で生成された熱は、冷媒回路Aを流れる冷媒によって第一室内機105および熱媒体ユニット103に搬送される。第一室内機105は、室外機101から搬送された熱により空調空間503を暖房または冷房する。また、室外機101で生成された熱は、熱媒体ユニット103を介して第二室内機104に搬送される。第二室内機104は、室外機101から熱媒体ユニット103を介して間接的に搬送された熱により空調空間504を暖房または冷房する。
空気調和装置100で用いられる冷媒は、例えばR32等の単一冷媒、R410A等の擬似共沸混合冷媒、化学式内に二重結合またはCF3Iを含む地球温暖化係数が比較的小さいとされている冷媒またはその混合物である。冷媒は、CF3I、CO2またはプロパン等の自然冷媒でもよい。冷媒は、例えば、R1234yf、R1234ze、R32、R290(=プロパン)のいずれかの単一冷媒でもよい。冷媒は、例えば、R1234yf、R1234ze、R32、R290(=プロパン)のいずれか2種以上の混合冷媒でもよい。冷媒は、例えば、R1234yf、R1234ze、R32、R290(=プロパン)のいずれかと他の冷媒との混合冷媒でもよい。冷媒は、R1132(E)を含む混合冷媒、または、R1123を含む混合冷媒でもよい。冷媒は、R516A、R445A、R444A、R454C、R444B、R454A、R455A、R457A、R459B、R452B、R454B、R447B、R447A、R446A、R459A、R474A、R479Aの混合冷媒でもよい。
空気調和装置100で用いられる第二熱媒体は、例えば水、不凍液であるブライン、ブラインと水との混合液、または水と防食効果が高い添加剤との混合液等である。
[室外機101の構成]
室外機101は、圧縮機1と、流路切替装置2と、熱源側熱交換器3と、室外ファン4と、流量調整弁5と、アキュムレータ6とを備えている。圧縮機1は、低温低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機1から冷媒が吐出されることにより、冷媒が冷媒回路Aを循環する。圧縮機1は、例えば容量制御可能なインバータタイプの圧縮機である。
流路切替装置2は、図示の例では四方弁2aで構成されている。流路切替装置2は、第一室内機105および第二室内機104の運転モードに応じて圧縮機1から吐出された冷媒の流路を切り替える。流路切替装置2は、暖房運転時は図2において実線で示す流路に切り換えられ、冷房運転時は図2において破線で示す流路に切り替えられる。流路切替装置2は、暖房運転時に第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9が凝縮器、熱源側熱交換器3が蒸発器となり、冷房運転時にその逆となるように流路を切り替える。なお、流路切替装置2は、四方弁に限られたものではなく、三方弁または二方弁を組み合わせたものでもよい。
熱源側熱交換器3は、例えばフィンチューブ式の熱交換器である。熱源側熱交換器3は、室外ファン4によって供給される外気と冷媒との間で熱交換を行う。熱源側熱交換器3は、冷房運転時には凝縮器として動作し、冷媒を凝縮して液化させる。また、熱源側熱交換器3は、暖房運転時には蒸発器として動作し、冷媒を蒸発してガス化させる。
室外ファン4は、例えばプロペラファンである。室外ファン4は、室外機101の周辺の空気を熱源側熱交換器3に供給する。室外ファン4の回転数が後述の室外制御装置7によって制御されることで、熱源側熱交換器3の凝縮能力または蒸発能力が制御される。
流量調整弁5は、冷媒を減圧して膨張させるものである。流量調整弁5は、例えば絞りの開度を調整することができる電子式膨張弁である。流量調整弁5は、開度を調整することによって、暖房運転時では熱源側熱交換器3に流入する冷媒圧力を制御し、冷房運転時では第一室内機105および熱媒体ユニット103に流入する冷媒圧力を制御する。
アキュムレータ6は、圧縮機1の吸入側に設けられ、液冷媒とガス冷媒とを分離する機能と、余剰冷媒を貯留する機能とを有している。
また、室外機101は、吐出圧力センサ56と、吸入圧力センサ57と、室外制御装置7とを備えている。吐出圧力センサ56は、圧縮機1の吐出圧力を検出するセンサであり、圧縮機1の吐出配管に取り付けられている。吸入圧力センサ57は、圧縮機1の吸入圧力を検出するセンサであり、圧縮機1の吸入配管に取り付けられている。吐出圧力センサ56および吸入圧力センサ57の計測結果は、室外制御装置7に入力される。
室外制御装置7は、吐出圧力センサ56および吸入圧力センサ57と、その他の図示しない温度センサ等との計測結果に基づき、圧縮機1、流路切替装置2、室外ファン4、および、流量調整弁5の動作を制御する。なお、温度センサは、例えばサーミスタである。室外制御装置7は、圧縮機1の駆動周波数、流路切替装置2の流路、室外ファン4の回転数、および、流量調整弁5の開度を制御する。
室外制御装置7は、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリとプログラムを実行するCPUとを備える処理装置で構成されている。室外制御装置7は、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアで構成されてもよい。室外制御装置7は、処理装置と、専用のハードウェアとの両方で構成されてもよい。室外制御装置7は、熱媒体ユニット103に搭載された後述の熱媒体ユニット制御装置14、第一室内機105に搭載された後述の室内制御装置13a、第二室内機104に搭載された後述の室内制御装置13bとの間でデータ通信を行うことができる。
[第一室内機105の構成]
第一室内機105は、室外機101と冷媒配管で接続される直膨式の室内機である。第一室内機105は、空調空間503の暖房負荷または冷房負荷に対し、室外機101から供給される冷媒が蓄えている熱を供給する。第一室内機105は、第一絞り装置10aと、第一室内熱交換器8と、圧力調整装置11aと、室内ファン12aとを備えている。第一室内機105において、第一絞り装置10aと、第一室内熱交換器8と、圧力調整装置11aとは、冷媒枝配管107aに設けられている。
第一絞り装置10aは、冷媒を減圧して膨張させるものであり、冷媒枝配管107aを流れる冷媒の流量調整を行う。第一絞り装置10aは、例えば開度が可変に制御される電子式膨張弁である。第一絞り装置10aは、第一室内熱交換器8と直列に接続され、第一室内熱交換器8から流出する冷媒または第一室内熱交換器8に流入する冷媒を減圧して膨張させる。
圧力調整装置11aは、冷媒の飽和温度を制御するための装置であり、冷媒の圧力を調整可能な装置である。圧力調整装置11aは、例えば開度が可変に制御される電子式膨張弁である。圧力調整装置11aは、第一室内熱交換器8と直列に接続されている。圧力調整装置11aは、暖房運転時の冷媒の流れにおいて第一室内熱交換器8の上流に配置され、暖房運転時に第一室内熱交換器8に流入する冷媒を減圧させて膨張させ、第一室内熱交換器8に流入する冷媒の飽和温度である凝縮温度を制御する。
第一室内熱交換器8は、例えばフィンチューブ式の熱交換器である。第一室内熱交換器8、室内ファン12aにより供給される第一熱媒体と冷媒との間で熱交換を行う。第一熱媒体は、例えば空気である。
室内ファン12aは、例えばターボファンである。室内ファン12aは、第一熱媒体としての空調空間503の空気を第一室内熱交換器8に供給する。室内ファン12aの回転数は、後述の室内制御装置13aによって制御される。室内ファン12aの回転数が室内制御装置13aによって制御されることで、第一室内熱交換器8の暖房能力または冷房能力が制御される。
また、第一室内機105は、圧力センサ50aと、吸込温度センサ55と、室内制御装置13aとを備えている。圧力センサ50aは、圧力調整装置11aと第一室内熱交換器8の間の配管に設置され、暖房運転において第一室内熱交換器8に流入する冷媒の圧力を計測する。吸込温度センサ55は、第一室内機105に吸い込まれる空気の温度を計測する。圧力センサ50aおよび吸込温度センサ55の計測結果は、室内制御装置13aに入力される。
室内制御装置13aは、圧力センサ50aおよび吸込温度センサ55の計測結果と、その他の図示しない温度センサ等の計測結果に基づき、第一絞り装置10a、圧力調整装置11aおよび室内ファン12aの動作を制御する。室内制御装置13aは、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリとプログラムを実行するCPUとを備える処理装置で構成されている。室内制御装置13aは、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアで構成されてもよい。室内制御装置13aは、処理装置と、専用のハードウェアとの両方で構成されてもよい。
[熱媒体ユニット103の構成]
熱媒体ユニット103は、第二絞り装置10bと、熱媒体熱交換器9と、圧力調整装置11bと、ポンプ16とを備えている。熱媒体ユニット103において、第二絞り装置10bと、熱媒体熱交換器9と、圧力調整装置11bとは冷媒枝配管107bに設けられている。
第二絞り装置10bは、冷媒を減圧して膨張させるものであり、冷媒枝配管107bを流れる冷媒の流量調整を行う。第二絞り装置10bは、例えば開度が可変に制御される電子式膨張弁である。第二絞り装置10bは、熱媒体熱交換器9と直列に接続され、熱媒体熱交換器9から流出する冷媒または熱媒体熱交換器9に流入する冷媒を減圧して膨張させる。
圧力調整装置11bは、冷媒の飽和温度を制御するための装置であり、冷媒の圧力を調整可能な装置である。圧力調整装置11bは、例えば開度が可変に制御される電子式膨張弁である。圧力調整装置11bは、熱媒体熱交換器9と直列に接続されている。圧力調整装置11bは、暖房運転時の冷媒の流れにおいて熱媒体熱交換器9の上流に配置され、暖房運転時に熱媒体熱交換器9に流入する冷媒を減圧させて膨張させ、熱媒体熱交換器9に流入する冷媒の飽和温度を制御する。圧力調整装置11bは、第一室内機105に設置された圧力調整装置11aとともに圧力調整装置11を構成している。
熱媒体熱交換器9は、例えばプレート式熱交換器である。熱媒体熱交換器9は、室外機101から供給された冷媒回路Aを循環する冷媒と、ポンプ16により熱媒体回路Bを循環する第二熱媒体との間で熱交換を行う。熱媒体熱交換器9は、冷媒と第二熱媒体との間で熱交換を行うことにより、室外機101から供給された冷媒に蓄えられた熱を第二熱媒体に伝達する。熱媒体熱交換器9は、暖房運転時には凝縮器として動作し、冷媒を凝縮して液化させる。また、熱媒体熱交換器9は、冷房運転時には蒸発器として動作し、冷媒を蒸発してガス化させる。
ポンプ16は、例えば容量制御可能なインバータ式の遠心ポンプである。ポンプ16は、インバータによって駆動されるモータを有しており、モータを動力源として駆動するものである。ポンプ16は、熱媒体回路Bに設けられており、第二熱媒体に圧力を加え、熱媒体回路B内を循環させる。ポンプ16は、熱媒体回路Bにおける第二熱媒体の流れ(後述の図3の点線矢印参照)が、冷媒回路Aにおける暖房運転時の冷媒の流れ(後述の図3の実線矢印参照)に対して対向する暖房対向流となるように配置されている。ポンプ16の配置は、この配置に限られない。ポンプ16は、熱媒体回路Bにおける第二熱媒体の流れが、冷媒回路Aにおける冷房運転時の冷媒の流れに対して対向する冷房対向流となるように配置されてもよい。
また、熱媒体ユニット103は、圧力センサ50bと、温度センサ53と、熱媒体ユニット制御装置14とを備えている。圧力センサ50bは、圧力調整装置11bと熱媒体熱交換器9の間の配管に設置され、暖房運転において熱媒体熱交換器9に流入する冷媒の圧力を計測する。温度センサ53は、熱媒体回路Bにおいて熱媒体熱交換器9に流入する第二熱媒体の温度を計測する。圧力センサ50bおよび温度センサ53の計測結果は、熱媒体ユニット制御装置14に入力される。
熱媒体ユニット制御装置14は、圧力センサ50bおよび温度センサ53の計測結果と、その他の図示しない温度センサ等の計測結果に基づき、第二絞り装置10b、圧力調整装置11bおよびポンプ16の動作を制御する。熱媒体ユニット制御装置14は、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリとプログラムを実行するCPUとを備える処理装置で構成されている。熱媒体ユニット制御装置14は、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアで構成されてもよい。熱媒体ユニット制御装置14は、処理装置と、専用のハードウェアとの両方で構成されてもよい。
[第二室内機104の構成]
第二室内機104は、室外機101と熱媒体配管108を介して接続される間接式の室内機である。第二室内機104は、空調空間504の暖房負荷または冷房負荷に対し、熱媒体ユニット103によって変換された熱を供給する。第二室内機104は、第二室内熱交換器15と、室内ファン12bとを備えている。
第二室内熱交換器15は、例えばフィンチューブ式の熱交換器である。第二室内熱交換器15は、室内ファン12bにより供給される第一熱媒体と第二熱媒体との間で熱交換を行う。第一熱媒体は、例えば空気である。
室内ファン12bは、例えばクロスフローファンである。室内ファン12bは、第一媒体としての空調空間504の空気を第二室内熱交換器15に供給する。室内ファン12bの回転数は、後述の室内制御装置13bによって制御される。室内ファン12bの回転数が室内制御装置13bによって制御されることで、第二室内熱交換器15の暖房能力または冷房能力が制御される。
また、第二室内機104は、室内制御装置13bを備えている。室内制御装置13bは、室内ファン12bの動作を制御する。室内制御装置13bは、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリとプログラムを実行するCPUとを備える処理装置で構成されている。室内制御装置13bは、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアで構成されてもよい。室内制御装置13bは、処理装置と、専用のハードウェアとの両方で構成されてもよい。
実施の形態1に係る空気調和装置100は、第一室内機105および第二室内機104のそれぞれに対応するリモコン(不図示)等からの指示に基づいて、暖房運転または冷房運転を実施する。暖房運転と冷房運転は、室外機101の流路切替装置2を切り替えることで実現する。
なお、図2では、制御装置が、室外機101と、第一室内機105と、熱媒体ユニット103と、第二室内機104とのそれぞれに搭載されている構成を示したが、この構成に限られない。制御装置は、室外機101と、第一室内機105と、熱媒体ユニット103と、第二室内機104と、のいずれかに搭載され、これらが連携して制御を行う構成としてもよい。以下の説明において、「制御装置」は、室外制御装置7、熱媒体ユニット制御装置14、室内制御装置13aおよび13bを区別せず、これらが連携して制御を行う装置を指すものとする。
上記構成の空気調和装置100は、室外機101に対して、第一室内機105と熱媒体ユニット103とが、冷媒主配管106および冷媒枝配管107で並列に接続されて構成され、冷媒が循環する冷媒回路Aを備えている。冷媒回路Aは、圧縮機1、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9、第一絞り装置10aおよび第二絞り装置10b、熱源側熱交換器3を冷媒が循環する回路である。また、空気調和装置100は、熱媒体熱交換器9と第二室内熱交換器15とが直列に熱媒体配管108で接続されて熱媒体熱交換器9と第二室内熱交換器15の間で第二熱媒体が循環する熱媒体回路Bを備えている。
また、実施の形態1に係る空気調和装置100は、圧力調整装置11を備えている。実施の形態1の圧力調整装置11は、第一室内機105に備えられた圧力調整装置11aと、熱媒体ユニット103に備えられた圧力調整装置11bとを含む。圧力調整装置11は、暖房運転における第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方に流入する冷媒の圧力を調整して飽和温度を変更することで、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量とを調整する。圧力調整装置11は、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量とを調整することで、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正する。圧力調整装置11は、制御装置によって制御される。圧力調整装置11の制御は改めて説明する。
(暖房運転)
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置100の暖房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。図3において、実線矢印は、暖房運転時の冷媒回路Aにおける冷媒の流れを示し、点線矢印は、熱媒体回路Bにおける第二熱媒体の流れを示している。
暖房運転では、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替装置2、第一冷媒主配管106a、冷媒枝配管107を通って第一室内機105および熱媒体ユニット103に流入する。
第一室内機105に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11aで圧力が調整される。圧力調整装置11aで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する第一室内熱交換器8に流入する。第一室内熱交換器8に流入したガス冷媒は、室内ファン12aからの第一熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。このとき、第一熱媒体はガス冷媒との熱交換により加熱されて空調空間503に供給され、空調空間503を暖房する。低温高圧の液冷媒は、第一室内熱交換器8から流出し、第一絞り装置10aで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107aを通って第一室内機105から流出する。
一方、熱媒体ユニット103に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11bで圧力が調整される。圧力調整装置11bで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器9に流入する。熱媒体熱交換器9に流入したガス冷媒は、熱媒体回路Bを流れる第二熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。低温高圧の液冷媒は、熱媒体熱交換器9から流出し、第二絞り装置10bで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107bを通って熱媒体ユニット103から流出する。
第一室内機105から流出した低温低圧の二相冷媒と、熱媒体ユニット103から流出した低温低圧の二相冷媒とは合流し、冷媒主配管106bを通って室外機101に流入する。
室外機101に流入した低温低圧の二相冷媒は、流量調整弁5を通って熱源側熱交換器3に流入する。熱源側熱交換器3に流入した冷媒は、室外ファン4により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。高温低圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器3から流出し、流路切替装置2およびアキュムレータ6を通って再び圧縮機1へと戻る。
熱媒体ユニット103の熱媒体熱交換器9は、冷媒回路Aを循環する冷媒とポンプ16の運転により熱媒体回路Bを循環する第二熱媒体とを熱交換し、第二熱媒体を加熱する。加熱された第二熱媒体は、第二室内機104の第二室内熱交換器15に流入する。
第二室内機104の第二室内熱交換器15に流入した第二熱媒体は、室内ファン12bからの第一熱媒体との熱交換により冷却される。このとき、第一熱媒体は第二熱媒体との熱交換により加熱されて空調空間504に供給され、空調空間504を暖房する。第二室内熱交換器15から流出した第二熱媒体は、熱媒体熱交換器9に戻る。
以上により、空気調和装置100は、第一室内機105により空調空間503を暖房するとともに、第二室内機104により空調空間504を暖房する。
ところで、空気調和装置100は、室外機101に、第一室内機105と熱媒体ユニット103とが並列に接続された構成を有する。言い換えれば、空気調和装置100は、室外機101に、冷媒と第一熱媒体とを熱交換する熱交換器である第一室内熱交換器8と、冷媒と第二熱媒体とを熱交換する熱交換器である熱媒体熱交換器9と、が並列に接続された構成を有する。このため、第一熱媒体と第二熱媒体との温度が異なる場合、第一室内熱交換器8と熱媒体熱交換器9との間では、熱交換量に偏りが生じる。
そこで、実施の形態1の空気調和装置100は、圧力調整装置11を備えている。実施の形態1の圧力調整装置11は、第一室内機105に備えられた圧力調整装置11aと、熱媒体ユニット103に備えられた圧力調整装置11bとを含んで構成されている。圧力調整装置11は、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の圧力を調整して、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の飽和温度を変更する。これにより、圧力調整装置11は、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9の熱交換量との偏りを是正する。
具体的には、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8における第一熱交換温度差と、熱媒体熱交換器9における第二熱交換温度差と、が近づくように、圧力調整装置11を制御する。さらに言えば、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8における第一熱交換温度差と、熱媒体熱交換器9における第二熱交換温度差と、が同等となるように、圧力調整装置11を制御する。ここで、第一熱交換温度差は、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度と第一熱媒体温度との温度差である。第二熱交換温度差は、熱媒体熱交換器9内を流れる冷媒の飽和温度と第二熱媒体の温度との温度差である。なお、ここでいう「同等」とは、厳密に同じの場合のみに限らず、予め設定した差分内に収まることも含む。
空気調和装置100は、圧力調整装置11aおよび11bの両方を制御する方法と、圧力調整装置11aのみ制御する方法と、圧力調整装置11bのみ制御する方法とを有する。以下、暖房運転における圧力調整装置11の制御について説明する。暖房運転において、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度は、第一熱媒体の温度よりも高く、熱媒体熱交換器9内を流れる冷媒の飽和温度は、第二熱媒体の温度よりも高いことを前提として説明を行う。
(圧力調整装置11aおよび11bの両方を制御する場合)
空気調和装置100は、第一熱交換温度差と第二熱交換温度差との両方を制御し、第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを互いに近づけることで第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを同等とする場合、圧力調整装置11aおよび11bの両方を制御する。
ここでは、第一熱媒体の温度が第二熱媒体の温度よりも高く、第一熱交換温度差が第二熱交換温度差よりも小さい場合を例に説明する。この場合、空気調和装置100は、第一熱交換温度差が大きくなるように、つまり第一室内熱交換器8に流入する冷媒の温度が下がるように圧力調整装置11aを制御する。同時に、空気調和装置100は、第二熱交換温度差が小さくなるように、つまり熱媒体熱交換器9に流入する冷媒の温度が上がるように圧力調整装置11bを制御する。これにより、空気調和装置100は、第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを互いに近づけて同等にすることができる。
ここで、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度は、圧力センサ50aで計測された圧力を飽和温度換算することで得ることができる。第一熱媒体の温度は、吸込温度センサ55で計測できる。熱媒体熱交換器9内を流れる冷媒の飽和温度は、圧力センサ50bで計測された圧力を飽和温度換算することで得ることができる。第二熱媒体の温度は、温度センサ53で計測できる。これらのセンサの計測値は制御装置に入力され、制御装置は入力された各計測値に基づいて圧力調整装置11aおよび11bが制御される。
上記構成により、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8と熱媒体熱交換器9とにおける熱交換量の偏りを抑制でき、空調空間503と空調空間504とにおける暖房の効き具合を同程度とすることができ、快適性を向上できる。
なお、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度は、第一室内熱交換器8において二相冷媒温度が検知可能な場所に設置した温度センサにより計測してもよい。同様に、熱媒体熱交換器9を流れる冷媒の飽和温度は、熱媒体熱交換器9において二相冷媒温度が検知可能な場所に設置した温度センサにより計測してもよい。
(圧力調整装置11aのみを制御する場合)
空気調和装置100は、第一熱交換温度差のみを制御し、第一熱交換温度差を第二熱交換温度差に近づけることで第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを同等としたい場合、圧力調整装置11aのみを制御する。
ここでは、第一熱媒体の温度が第二熱媒体の温度よりも低く、第一熱交換温度差が第二熱交換温度差よりも大きい場合を例に説明する。この場合、空気調和装置100は、温度差の小さい第二熱交換温度差に合わせるように第一熱交換温度差を制御する。具体的には、空気調和装置100は、第一熱交換温度差が小さくなるように、つまり第一室内熱交換器8に流入する冷媒の温度が上がるように圧力調整装置11aを制御して第一熱交換温度差を第二熱交換温度差と同等にする。
ここで、圧力調整装置11aのみを制御する場合、圧力調整装置11bは制御されないため、圧力調整装置11bを構成する電子式膨張弁は全開状態とされる。このため、熱媒体熱交換器9内を流れる冷媒の飽和温度は、吐出圧力センサ56で計測された圧力を飽和温度換算することで得ることもできる。
(圧力調整装置11bのみを制御する場合)
空気調和装置100は、第二熱交換温度差のみを制御し、第二熱交換温度差を第一熱交換温度差に近づけることで第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを同等する場合、圧力調整装置11bのみを制御する。
ここでは、第一熱媒体の温度が第二熱媒体の温度よりも高く、第一熱交換温度差が第二熱交換温度差よりも小さい場合を例に説明する。この場合、空気調和装置100は、温度差の小さい第一熱交換温度差に合わせるように第二熱交換温度差を制御する。具体的には、空気調和装置100は、第二熱交換温度差が小さくなるように、つまり熱媒体熱交換器9に流入する冷媒の温度が上がるように圧力調整装置11bを制御して第二熱交換温度差を第一熱交換温度差と同等にする。
ここで、圧力調整装置11bのみを制御する場合、圧力調整装置11aは制御されないため、圧力調整装置11aを構成する電子式膨張弁は全開状態とされる。このため、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度は、吐出圧力センサ56で計測された圧力を飽和温度換算することで得ることもできる。
なお、図2では、圧力調整装置11が圧力調整装置11aと圧力調整装置11bとの両方を備えた構成を示した。しかし、空気調和装置100は、上述したように圧力調整装置11aおよび圧力調整装置11bの一方のみを制御することで第一熱交換温度差と第二熱交換温度差とを同等にすることが可能である。このため、圧力調整装置11は、圧力調整装置11aおよび圧力調整装置11bの両方を備えた構成に限らず、一方のみを備えた構成としてもよい。
以上説明したように、実施の形態1の空気調和装置100は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機1と、冷媒と外気とを熱交換する熱源側熱交換器3と、を有する室外機101を備える。空気調和装置100は、冷媒とは異なる第一熱媒体と冷媒とを熱交換する第一室内熱交換器8と、冷媒を減圧する第一絞り装置10aと、を有する第一室内機105を備える。空気調和装置100は、第一熱媒体とは異なる第二熱媒体と冷媒とを熱交換する熱媒体熱交換器9と、冷媒を減圧する第二絞り装置10bと、を有する熱媒体ユニット103を備える。空気調和装置100は、第一室内機105とは異なる空調空間に設置され、第二熱媒体が流れる第二室内熱交換器15を有する第二室内機104を備える。空気調和装置100は、室外機101に対して第一室内機105と熱媒体ユニット103とが並列に冷媒配管で接続されて構成され、圧縮機1、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9、第一絞り装置10aおよび第二絞り装置10b、熱源側熱交換器3を冷媒が循環する冷媒回路を備える。空気調和装置100は、熱媒体ユニット103の熱媒体熱交換器9と第二室内機104の第二室内熱交換器15とが直列に熱媒体配管で接続されて構成され、熱媒体熱交換器9と第二室内熱交換器15との間で第二熱媒体が循環する熱媒体回路を備える。空気調和装置100は、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方に流入する冷媒の圧力を調整することで第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正する圧力調整装置11と、を備える。
上記構成により、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。
空気調和装置100は、圧力調整装置11を制御する制御装置を備える。制御装置は、第一室内熱交換器8内を流れる冷媒の飽和温度と第一熱媒体の温度との温度差である第一熱交換温度差と、熱媒体熱交換器9を流れる冷媒の飽和温度と第二熱媒体との温度差である第二熱交換温度差と、が近づくように圧力調整装置11を制御する。
上記構成により、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。
圧力調整装置11は、第一室内機105および熱媒体ユニット103の一方または両方に設けられた膨張弁を有する。
上記構成により、空気調和装置100は、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方の冷媒の圧力を制御して、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る空気調和装置100は、中継機102を備えた点で実施の形態1と異なる。その他の構成については実施の形態1と同一または同等である。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる構成を中心に説明するものとし、実施の形態2で説明されていない構成は実施の形態1と同様である。
[空気調和装置100の構成]
図4は、実施の形態2に係る空気調和装置100の概略構成図である。空気調和装置100は、室外機101Aと、中継機102と、熱媒体ユニット103と、第一室内機105と、第二室内機104とを備えている。中継機102は、室外機101Aと、熱媒体ユニット103および第一室内機105と、の間に接続され、複数の弁を有し、冷媒を複数の流路に分流する分流ユニットであり、非空調空間501に設置されている。中継機102は、冷媒配管である冷媒主配管106で室外機101Aと接続されている。また、熱媒体ユニット103および第一室内機105は、冷媒配管である冷媒枝配管107で中継機102と並列に接続されている。なお、熱媒体ユニット103、第一室内機105および中継機102の数は、図4に示したように各1台ずつに限定されるものではなく、任意である。
図5は、実施の形態2に係る空気調和装置100の回路構成図である。空気調和装置100は、室外機101Aと、中継機102と、第一室内機105および熱媒体ユニット103とが、冷媒主配管106と冷媒枝配管107とで接続されて、冷媒が循環する冷媒回路Aを構成している。
冷媒主配管106は、第一冷媒主配管106aと第二冷媒主配管106bとを有する。第一冷媒主配管106aは高圧冷媒が流れる高圧配管であり、第二冷媒主配管106bは低圧冷媒が流れる低圧配管である。冷媒枝配管107は、冷媒枝配管107aと冷媒枝配管107bとを有する。中継機102と第一室内機105とは、冷媒枝配管107aで接続され、中継機102と熱媒体ユニット103とは、冷媒枝配管107bで接続されている。
熱媒体ユニット103と第二室内機104との接続は、実施の形態1と同様であり、第二熱媒体が流れる熱媒体配管108で接続されている。熱媒体ユニット103と第二室内機104とは熱媒体配管108で接続されて、第二熱媒体が循環する熱媒体回路Bが構成されている。熱媒体回路Bにおいて熱媒体熱交換器9と第二室内熱交換器15とは直列に接続されている。
[室外機101Aの構成]
室外機101Aは、圧縮機1と、流路切替装置2と、熱源側熱交換器3と、室外ファン4と、流量調整弁5と、アキュムレータ6と、逆止弁17a、17b、17cおよび17dと、室外制御装置7とを備えている。逆止弁17a、17b、17cおよび17dは、運転モードにかかわらず冷媒の流れ方向を揃えるために設けられている。室外機101Aは、逆止弁17a、17b、17cおよび17dを備えていることにより、運転モードにかかわらず冷媒の流れ方向を揃えることができる。つまり、室外機101Aは、暖房運転および冷房運転のどちらにおいても、第一冷媒主配管106aにおける冷媒の流れ方向が、室外機101Aから中継機102に向かう流れとなる。また、室外機101Aは、暖房運転および冷房運転のどちらにおいても、第二冷媒主配管106bにおける冷媒の流れ方向が、中継機102から室外機101Aに向かう流れとなる。
[中継機102の構成]
中継機102は、冷媒間熱交換器18と、冷媒間熱交換器20と、流量調整弁19と、流量調整弁21とを備えている。中継機102は、暖房用逆止弁22aおよび22bと、冷房用逆止弁23aおよび23bと、暖房用電磁弁24aおよび24bと、冷房用電磁弁25aおよび25bとを備えている。暖房用逆止弁22aおよび冷房用逆止弁23aは、冷媒枝配管107aに接続され、暖房用逆止弁22bおよび冷房用逆止弁23bは、冷媒枝配管107bに接続されている。中継機102は、これらの機器が、冷媒が流れる冷媒配管で接続されて構成されている。
冷媒間熱交換器18および20は、例えば二重管式またはプレート式、もしくはシェルアンドチューブ式の熱交換器である。冷媒間熱交換器18および20は、冷媒と冷媒との間で熱交換を行う。流量調整弁19および21は、開度が可変に制御される電磁弁である。流量調整弁19は、冷媒間熱交換器18と直列に接続され、冷媒間熱交換器18を流れる冷媒の流量を調整する。流量調整弁21は、冷房用逆止弁23aおよび23bと並列に接続され、冷媒間熱交換器20および冷媒間熱交換器18を介して冷房用電磁弁25aおよび25bの下流に流れる冷媒の流量を調整する。
暖房用逆止弁22aおよび22bと、冷房用逆止弁23aおよび23bとは、所定の方向のみに冷媒の流れを許容するものである。暖房用逆止弁22aおよび22bは、暖房運転時に熱媒体ユニット103および第一室内機105から中継機102へ向かう方向のみ冷媒の流れを許容する。冷房用逆止弁23aおよび23bは、冷房運転時に中継機102から熱媒体ユニット103および第一室内機105へ向かう方向のみ冷媒の流れを許容する。
暖房用電磁弁24aおよび24bと、冷房用電磁弁25aおよび25bとは、選択的に開閉が制御されて、冷媒を導通したり、冷媒を導通しなかったりする。暖房用電磁弁24aおよび24bは、暖房運転時に冷媒を導通し、冷房運転時に冷媒を導通しないように制御される。冷房用電磁弁25aおよび25bは、冷房運転時に冷媒を導通し、暖房運転時に冷媒を導通しないように制御される。
また、中継機102は、中継機制御装置26を備えている。中継機制御装置26は、流量調整弁19および21と、暖房用電磁弁24aおよび24bと、冷房用電磁弁25aおよび25bとの動作を制御する。中継機制御装置26は、制御に必要なデータおよびプログラムを記憶するメモリとプログラムを実行するCPUとを備える処理装置で構成されている。室外制御装置7は、ASICまたはFPGAなどの専用のハードウェアで構成されてもよい。室外制御装置7は、処理装置と、専用のハードウェアとの両方で構成されてもよい。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態2に係る空気調和装置100は、実施の形態1と同様に、第二室内機104および第一室内機105に対するリモコン(不図示)等からの指示に基づいて、暖房運転または冷房運転を実施する。暖房運転と冷房運転は、室外機101Aの流路切替装置2を切り替えることで実現する。
(暖房運転)
図6は、実施の形態2に係る空気調和装置100の暖房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。図6において、実線矢印は、暖房運転における冷媒回路Aにおける冷媒の流れを示している。点線矢印は、熱媒体回路Bにおける第二熱媒体の流れを示している。なお、暖房運転では、暖房用電磁弁24aおよび24bは開、冷房用電磁弁25aおよび25bは閉、流量調整弁19は全閉となっている。
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒が、流路切替装置2、逆止弁17b、第一冷媒主配管106aを通って中継機102に流入する。中継機102に流入したガス冷媒は、暖房用電磁弁24aおよび冷媒枝配管107aを通って第一室内機105に流入するとともに、暖房用電磁弁24bおよび冷媒枝配管107bを通って熱媒体ユニット103に流入する。
第一室内機105に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11aで圧力が調整される。圧力調整装置11aで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する第一室内熱交換器8に流入する。第一室内熱交換器8に流入したガス冷媒は、室内ファン12aからの第一熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。このとき、第一熱媒体はガス冷媒との熱交換により加熱されて空調空間503に供給され、空調空間503を暖房する。低温高圧の液冷媒は、第一室内熱交換器8から流出し、第一絞り装置10aで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107aを通って第一室内機105から流出する。
一方、熱媒体ユニット103に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11bで圧力が調整される。圧力調整装置11bで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器9に流入する。熱媒体熱交換器9に流入したガス冷媒は、熱媒体回路Bを流れる第二熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。低温高圧の液冷媒は、熱媒体熱交換器9から流出し、第二絞り装置10bで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107bを通って熱媒体ユニット103から流出する。
第一室内機105から流出した低温低圧の二相冷媒と、熱媒体ユニット103から流出した低温低圧の二相冷媒とは中継機102に流入し、それぞれ暖房用逆止弁22aおよび22bを通過後、合流して冷媒間熱交換器20の高圧側に流入する。冷媒間熱交換器20bの高圧側を通過した冷媒は、流量調整弁21、冷媒間熱交換器20の低圧側、冷媒間熱交換器18および第二冷媒主配管106bを通って室外機101Aに流入する。
室外機101Aに流入した冷媒は、逆止弁107cおよび流量調整弁5を通って、熱源側熱交換器3に流入する。熱源側熱交換器3に流入した冷媒は、室外ファン4により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。高温低圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器3から流出し、流路切替装置2およびアキュムレータ6を通って再び圧縮機1へと戻る。
実施の形態2の空気調和装置100において、圧力調整装置11は実施の形態1と同様に、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の圧力を調整して、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の飽和温度を変更する。これにより、圧力調整装置11は、実施の形態1と同様に、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9の熱交換量との偏りを是正する。
実施の形態2の空気調和装置100は、実施の形態1と同様に圧力調整装置11aおよび11bの両方を制御する方法と、圧力調整装置11aのみ制御する方法と、圧力調整装置11bのみ制御する方法とを有する。各制御方法は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態2の空気調和装置100は、実施の形態1と同様に圧力調整装置11が圧力調整装置11aおよび圧力調整装置11bの両方を備えた構成に限らず、一方のみを備えた構成としてもよい。
以上説明したように、実施の形態2の空気調和装置100は、中継機102を備え、室外機101Aと中継機102とが冷媒主配管106で接続され、中継機102と第一室内機105および熱媒体ユニット103とが冷媒枝配管107で接続された構成を有する。実施の形態2の空気調和装置100は、中継機102を備えた構成において、実施の形態1と同様に第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。
冷媒主配管106は、第一冷媒主配管106aと第二冷媒主配管106bとを含み、室外機101Aと中継機102とが、第一冷媒主配管106aと第二冷媒主配管106bとの2本で接続されている。実施の形態2の空気調和装置100は、室外機101Aと中継機102とが2本の配管で接続された構成において、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。
実施の形態2の空気調和装置100は、圧力調整装置11によって、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9の熱交換量との偏りが是正される構成であって、中継機102を備えた構成であればよく、冷媒回路Aの構成は図示の構成に限られない。冷媒回路Aの構成は、以下の図7に示すように変形することが可能である。以下の変形例の空気調和装置100は、冷媒回路Aの構成が異なるだけであり、圧力調整装置11の動作は、上記と同様である。
図7は、実施の形態2に係る空気調和装置100の変形例の回路構成図である。上記図5に示した空気調和装置100は、圧力調整装置11が第一室内機105および熱媒体ユニット103に設けられた構成であった。変形例の空気調和装置100は、圧力調整装置11が中継機102Aに設けられた構成を有する。
圧力調整装置11は、圧力調整装置11aおよび11bを有する。実施の形態2の圧力調整装置11aおよび11bは、実施の形態1の圧力調整装置11aおよび11bと同様の装置である。中継機102Aは、第一室内機105および熱媒体ユニット103のそれぞれに対応して個別に圧力調整装置11aおよび11bを備えている。
変形例の空気調和装置100は、図5の構成と比較すると、図5の暖房用電磁弁24aおよび24bに代えて圧力調整装置11aおよび11bを備えている。よって、変形例の空気調和装置100は、見方を変えれば、暖房運転時に中継機102Aから第一室内機105および熱媒体ユニット103に向かって冷媒が流れる流路に、開閉機能の他に圧力調整機能を統合した弁を設置した構成とも言える。
また、変形例の空気調和装置100は、暖房運転において熱媒体熱交換器9の上流に位置する冷房用電磁弁25bに代えて冷房用流量調整弁27を備えている。冷房用流量調整弁27は、例えば開度が可変に制御される電子式膨張弁である。冷房用流量調整弁27は、冷房運転時に熱媒体熱交換器9を流れる第二熱媒体としての水が凍結することを防止するために設けられている。
上記変形例の空気調和装置100は、圧力調整装置11が中継機102Aに設けられることで以下の効果を有する。変形例の空気調和装置100は、第一室内機105および熱媒体ユニット103に圧力調整装置11aおよび11bを設ける必要がないため、第一室内機105および熱媒体ユニット103の筐体の大型化を防ぐことができる。また、変形例の空気調和装置100は、中継機102Aに圧力調整機能を設けるにあたり、図5の構成に、別途、圧力調整装置11を設ける構成とせずに、以下の構成としている。変形例の空気調和装置100は、暖房用電磁弁24aおよび24bに代えて圧力調整装置11aおよび11bを備えた構成としている。このため、変形例の空気調和装置100は、中継機102Aに圧力調整機能を設けるにあたり、中継機102Aの大型化を防ぐこともできる。
実施の形態3.
実施の形態2の空気調和装置100は、室外機101Aと中継機102とが第一冷媒主配管106aと第二冷媒主配管106bとの2管で接続される構成であった。空気調和装置100は、室外機と中継機とが2管で接続される構成に限られず、3管で構成される構成でもよい。実施の形態3の空気調和装置100は、室外機と中継機とが3管で接続される構成である。
図8は、実施の形態3に係る空気調和装置100の回路構成図である。実施の形態2の空気調和装置100は、室外機101Bと中継機102Bとが、冷媒主配管106で接続されている。冷媒主配管106は、第一冷媒主配管106cと、第二冷媒主配管106dと、第三冷媒主配管106eとを含む。室外機101Bと中継機102Bとは、第一冷媒主配管106cと、第二冷媒主配管106dと、第三冷媒主配管106eとの3管で接続されている。第一冷媒主配管106cは、高圧のガス冷媒が流れる高圧ガス配管である。第二冷媒主配管106dは、低圧のガス冷媒が流れる低圧ガス配管である。第三冷媒主配管106eは、液冷媒が流れる液管である。以下、図8に示した実施の形態3の空気調和装置100が、図5に示した実施の形態2の空気調和装置100の構成と比較して異なる構成を中心に説明する。
[室外機]
実施の形態3の室外機101Bは、図5の構成と比較して逆止弁17a、17b、17cおよび17dが削除されている。また、流路切替装置2が上記図5の構成では1つの四方弁で構成されていたが、実施の形態3では流路切替装置2が2つの四方弁2bおよび2cを組み合わせて構成されている。四方弁2bおよび2cは、4つのポートのうちの1つを閉塞したものである。このように、流路切替装置2は、四方弁に限られたものではなく、2つの四方弁2bおよび2cを組み合わせて構成してもよい。四方弁2bは、熱源側熱交換器3からアキュムレータ6に向かう流路と、圧縮機1から熱源側熱交換器3に向かう流路とを切り替える。四方弁2cは、圧縮機1から中継機102Bに向かう流路と、中継機102Bからアキュムレータ6に向かう流路とを切り替える。
[中継機102B]
中継機102Bは、図5の構成と比較して冷媒間熱交換器18と、流量調整弁19とが削除されている。中継機102Bは、冷媒間熱交換器20と、流量調整弁21とを備えている。中継機102Bは、暖房用逆止弁22aおよび22bと、冷房用逆止弁23aおよび23bと、暖房用電磁弁24aおよび24bと、冷房用電磁弁25aおよび25bとを備えている。暖房用電磁弁24aおよび24bは、第一冷媒主配管106cに接続され、冷房用電磁弁25aおよび25bは、第二冷媒主配管106dに接続されている。中継機102は、これらの機器が、冷媒が流れる冷媒配管で接続されて構成されている。
その他の構成については実施の形態1および実施の形態2と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態3に係る空気調和装置100は、実施の形態1および実施の形態2と同様に第一室内機105および第二室内機104のそれぞれに対応するリモコン(不図示)等からの指示に基づいて、暖房運転または冷房運転を実施する。暖房運転と冷房運転は、室外機101Aの流路切替装置2を切り替えることで実現する。
(暖房運転)
図9は、実施の形態3に係る空気調和装置100の暖房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁2cおよび第一冷媒主配管106cを通って中継機102Bに流入する。中継機102Bに流入したガス冷媒は、暖房用電磁弁24aおよび冷媒枝配管107aを通って第一室内機105に流入するとともに、暖房用電磁弁24bおよび冷媒枝配管107bを通って熱媒体ユニット103に流入する。
第一室内機105に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11aで圧力が調整される。圧力調整装置11aで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する第一室内熱交換器8に流入する。第一室内熱交換器8に流入したガス冷媒は、室内ファン12aからの第一熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。このとき、第一熱媒体はガス冷媒との熱交換により加熱されて空調空間503に供給され、空調空間503を暖房する。低温高圧の液冷媒は、第一室内熱交換器8から流出し、第一絞り装置10aで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107aを通って第一室内機105から流出する。
熱媒体ユニット103に流入した高温高圧のガス冷媒は、圧力調整装置11bで圧力が調整される。圧力調整装置11bで圧力が調整された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器として動作する熱媒体熱交換器9に流入する。熱媒体熱交換器9に流入したガス冷媒は、熱媒体回路Bを流れる第二熱媒体と熱交換して凝縮液化し、低温高圧の液冷媒となる。低温高圧の液冷媒は、熱媒体熱交換器9から流出し、第二絞り装置10bで減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。その後、低温低圧の二相冷媒は、冷媒枝配管107bを通って熱媒体ユニット103から流出する。
第一室内機105から流出した低温低圧の二相冷媒と、熱媒体ユニット103から流出した低温低圧の二相冷媒とは中継機102Bに流入する。中継機102Bに流入した各冷媒は、それぞれ暖房用逆止弁22bおよび22aを通過後、合流し、冷媒間熱交換器20に向かう流路と、室外機101Bに向かう流路とに分岐する。冷媒間熱交換器20に向かう流路に流入した冷媒は、冷媒間熱交換器20の高圧側に流入する。冷媒間熱交換器20bの高圧側を通過した冷媒は、流量調整弁21、冷媒間熱交換器20の低圧側を通って、第一冷媒主配管106cを流れる冷媒に合流する。一方、室外機101Bに向かう流路に流入した冷媒は、第三冷媒主配管106eを通って室外機101Bに流入する。
室外機101Bに流入した冷媒は、流量調整弁5を通って、熱源側熱交換器3に流入する。熱源側熱交換器3に流入した冷媒は、室外ファン4により供給される空気と熱交換して蒸発気化し、高温低圧のガス冷媒となる。高温低圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器3から流出し、四方弁2bおよびアキュムレータ6を通って再び圧縮機1へと戻る。
実施の形態3の空気調和装置100において、圧力調整装置11は実施の形態1と同様に、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の圧力を調整して、第一室内熱交換器8および熱媒体熱交換器9の一方または両方を流れる冷媒の飽和温度を変更する。これにより、圧力調整装置11は、実施の形態1と同様に、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9の熱交換量との偏りを是正する。
実施の形態3の空気調和装置100は、実施の形態1と同様に圧力調整装置11aおよび11bの両方を制御する方法と、圧力調整装置11aのみ制御する方法と、圧力調整装置11bのみ制御する方法とを有する。各制御方法は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
実施の形態3の空気調和装置100は、実施の形態1と同様に圧力調整装置11が圧力調整装置11aおよび圧力調整装置11bの両方を備えた構成に限らず、一方のみを備えた構成としてもよい。
以上説明したように、実施の形態3の空気調和装置100は、中継機102Bを備え、室外機101Bと中継機102Bとが3本の配管で接続された構成を有し、当該構成においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。つまり、実施の形態3の空気調和装置100は、第一室内熱交換器8の熱交換量と熱媒体熱交換器9と熱交換量との偏りを是正でき、快適性の悪化を抑制できる。