JP7144343B2 - 暖房システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数の熱源を用いた暖房システムに関するものである。
従来この種のものでは、循環回路を循環する熱媒を加熱するヒートポンプ式熱源機と、燃焼熱源機とを備え、ヒートポンプ式熱源機または燃焼熱源機で加熱された熱媒を用いて暖房端末による暖房運転を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
特開2018-84362号公報
ところで、この従来のものは、燃焼熱源機がフィンチューブ式熱交換器を有する瞬間式の燃焼熱源機であり、前記フィンチューブ式熱交換器の保有水量は少なく、保有熱量も小さい。
ここで、ヒートポンプ式熱源機が単独で作動し熱媒を加熱して暖房運転を行っているとき、暖房端末の運転台数が増えた等により暖房負荷が増加すると、暖房端末からヒートポンプ式熱源機に戻る熱媒の温度が低下し、それに伴って、ヒートポンプ式熱源機から送出される熱媒の温度も低下する。ヒートポンプ式熱源機から送出された熱媒は瞬間式の燃焼熱源機に流入するが、フィンチューブ式熱交換器の保有熱量は少なく、ただ単に通過するだけとなり、熱媒の温度低下をほとんど抑制できず、暖房端末に供給される熱媒の温度が目標温度からアンダーシュートしてしまう。
そうすると、暖房端末に供給する熱媒の温度が目標温度に上昇するまで時間がかかり、使用感が損なわれてしまうという問題点があり、また、アンダーシュートの度合いが大きい場合、ヒートポンプ式熱源機のみならず瞬間式の燃焼熱源機も作動させて、熱媒の温度を目標温度まで上昇させようとするため、双方の熱源機を作動させることでランニングコストの増大を招くものであった。
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、暖房端末と、前記暖房端末に熱媒を循環させる循環回路と、前記循環回路を循環する前記熱媒を加熱するヒートポンプ式熱源機と、前記循環回路を循環する前記熱媒を加熱する貯湯式燃焼熱源機と、を備え、前記熱媒を用いて前記暖房端末による暖房運転を行うものであって、前記貯湯式燃焼熱源機は、内部に前記熱媒を貯留する貯留缶体と、前記貯留缶体内の前記熱媒を加熱する燃焼器とを備え、前記貯湯式燃焼熱源機を、前記循環回路を循環する熱媒の流れに対し、前記ヒートポンプ式熱源機の下流側に配設するものとした。
この発明の請求項1によれば、ヒートポンプ式熱源機と貯湯式燃焼熱源機とを備え、熱媒を用いて暖房端末による暖房運転を行うものであって、貯湯式燃焼熱源機を、循環回路を循環する熱媒の流れに対し、ヒートポンプ式熱源機の下流側に配設するようにしたことで、ヒートポンプ式熱源機のみを作動させての暖房運転が行われているときに、暖房端末の運転台数が増加する等、急な暖房負荷の増加があっても、それまでヒートポンプ式熱源機で加熱された熱媒が貯湯式燃焼熱源機の貯留缶体に貯留されているため、暖房負荷の増加に起因して発生する低温の熱媒が貯留缶体に流入しても、貯留缶体内で撹拌されて熱媒の温度低下が抑えられ、暖房端末に供給される熱媒の温度のアンダーシュートを抑制でき、使用感を損ねずに快適な暖房が行えると共に、ランニングコストの増大を招くこともないものである。
本発明の一実施形態の暖房システムの概略構成図。 暖房運転中に暖房負荷が増加した場合における熱媒の温度の経時推移を説明するタイムチャート。 暖房運転中に優先作動させる熱源機の切り換えが行われた場合における熱媒の温度の経時推移を説明するタイムチャート。
次に、この発明の一実施形態の暖房システム1の構成について、図面に基づき説明する。図1に示すように、暖房システム1は主として、ヒートポンプ式熱源機2と、貯湯式燃焼熱源機3と、暖房端末4とを備えている。暖房システム1は、少なくともヒートポンプ式熱源機2または貯湯式燃焼熱源機3の何れか一方で加熱された熱媒(例えば、水または不凍液等の循環液)を用いて、暖房端末4にて熱媒から放熱することで、暖房端末4が設置された被空調空間を暖める暖房運転を行う。
前記ヒートポンプ式熱源機2は熱媒を加熱するための熱源機で、その筐体内に、冷媒を圧縮する回転数可変の圧縮機5、流路切換手段としての四方弁6、冷媒と熱媒との熱交換を行う負荷側熱交換器としての液冷媒熱交換器7、減圧器としての膨張弁8、室外ファン9の作動により送られる空気(外気)との熱交換を行う熱源側熱交換器としての空気熱交換器10とを有し、それらを冷媒配管11で環状に接続して冷媒が循環するヒートポンプ回路12を形成しているものである。なお、13は外気温度を検出する外気温度センサである。
また、前記液冷媒熱交換器7は、例えば、プレート式熱交換器で構成され、プレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、冷媒を流通させる冷媒流路と熱媒を流通させる熱媒流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されている。上記のヒートポンプ回路12を循環する冷媒としては、HFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができるものである。
前記冷媒配管11に設けられた四方弁6は、ヒートポンプ回路12における冷媒の流れ方向を切り換える機能を有し、圧縮機5から吐出された冷媒を、液冷媒熱交換器7、膨張弁8、空気熱交換器10の順に流通させ、圧縮機5に戻す流路を形成する状態(暖房運転時の状態)と、圧縮機5から吐出された冷媒を、空気熱交換器10、膨張弁8、液冷媒熱交換器7の順に流通させ、圧縮機5に戻す流路を形成する状態(除霜運転時の状態)とに切換可能なものである。
前記貯湯式燃焼熱源機3は、熱媒を加熱するための熱源機で、その筐体内には、送風ファン14からの燃焼用空気の供給を受けて燃料(ガス、灯油等)を燃焼させる燃焼器としてのバーナ15と、バーナ15の燃焼により発生した燃焼ガスから熱回収し前記熱媒を加熱する貯湯式熱交換器16と、貯湯式熱交換器16上方に隣接され貯湯式熱交換器16を通過した後の燃焼ガスを集合させる排気室17と、排気室17を通過した後の燃焼ガスを機外に排出する排気筒18とを有しているものである。
前記貯湯式熱交換器16は、内部に一定量(4L~10L)の熱媒を貯留する円筒状で小容量の貯留缶体19と、貯留缶体19下部内側に形成されバーナ15の燃焼が行われる燃焼室20と、燃焼室20と排気室17とを連通しバーナ15の燃焼により発生した燃焼ガスを通過させる複数本の煙管21とで構成されているものである。なお、22は貯留缶体19内の熱媒の温度を検出する第1温度検出手段としての第1熱媒温度センサである。なお、第1熱媒温度センサ22は、直接、貯留缶体19に設置されたものでなくても、貯留缶体19から流出し暖房端末4に流入する熱媒の温度を検出するものであってもよい。
23は暖房端末4に熱媒を循環させる循環回路で、循環回路23は、暖房端末4から流出した熱媒をヒートポンプ式熱源機2の液冷媒熱交換器7の熱媒流路に導く第1熱媒配管24と、ヒートポンプ式熱源機2の液冷媒熱交換器7から流出した熱媒を貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16(貯留缶体19)に導く第2熱媒配管25と、貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16(貯留缶体19)から流出した熱媒を暖房端末4に導く第3熱媒配管26とを有し、循環回路23は、ヒートポンプ式熱源機2と貯湯式燃焼熱源機3と暖房端末4とを、第1熱媒配管24、第2熱媒配管25、第3熱媒配管26で接続し、熱媒が循環するように形成されるものである。貯湯式燃焼熱源機3は、循環回路23を循環する熱媒の流れに対して、ヒートポンプ式熱源機2の下流側に配設されている。
前記第1熱媒配管24には、循環回路23内の熱媒を循環させる循環ポンプ27が設けられると共に、熱媒を溜め循環回路23の圧力を調整するヒーポン側シスターン28が設けられている。
前記第2熱媒配管25には、ヒートポンプ式熱源機2の液冷媒熱交換器7から流出し貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16に流入する熱媒の温度を検出する第2温度検出手段としての第2熱媒温度センサ29が設けられている。
前記第3熱媒配管26には、熱媒を溜め循環回路23の圧力を調整する燃焼側シスターン30が設けられている。
また、暖房端末4毎に分岐した第3熱媒配管26の各々には、その開閉により暖房端末4への熱媒の供給を制御する熱動弁31がそれぞれ設けられ、熱動弁31は、暖房端末4が設置された被空調空間(室内)の温度が所定の温度になるように開閉が制御されるものである。暖房端末4は、床暖房パネルやラジエータ等、任意の端末を用いることができ、図1では2つ設けられているが、1つであってもよく、3つ以上であってもよく、数量や仕様が特に限定されるものではない。
32は暖房システム1の操作指示を行うリモコンで、リモコン32には、暖房端末4による暖房運転の開始または停止を指示する運転スイッチ、循環回路23を循環させる熱媒の目標温度を設定する温度設定スイッチ、表示部等が備えられているものである。
33は各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段(ROM、不揮発性メモリ等)と、演算・制御処理を行う制御手段とを備え、ヒートポンプ式熱源機2の動作を制御するヒーポン側制御装置であり、ヒーポン側制御装置33は、リモコン32の信号や、外気温度センサ13、第2熱媒温度センサ29からの信号をうけ、圧縮機5や循環ポンプ27等のアクチュエータの動作を制御すると共に、後述する貯湯式燃焼熱源機3の燃焼側制御装置34と通信可能に接続され、燃焼側制御装置34との間で動作指示等の信号のやりとりをすることができる。
34は各種のデータやプログラムを記憶する記憶手段(ROM、不揮発性メモリ等)と、演算・制御処理を行う制御手段とを備え、貯湯式燃焼熱源機3の動作を制御する燃焼側制御装置であり、燃焼側制御装置34は、第1熱媒温度センサ22からの信号をうけ、送風ファン14、バーナ15の動作を制御すると共に、ヒーポン側制御装置33と通信可能に接続されているものである。
次に、この一実施形態の暖房システム1における暖房運転時の動作について説明する。暖房端末4に供給される高温の熱媒を生成する暖房運転は、ヒートポンプ式熱源機2または貯湯式燃焼熱源機3の何れか一方を単独で作動させて行う場合と、ヒートポンプ式熱源機2および貯湯式燃焼熱源機3の双方を作動させて行う場合がある。
まず、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させて暖房運転を行う場合について説明すると、リモコン32から暖房端末4による被空調空間としての室内の加熱の指示がなされ、ヒートポンプ式熱源機2が作動する場合、ヒーポン側制御装置33は、四方弁6を暖房運転時の状態となるように流路を切り換え、圧縮機5、膨張弁8、室外ファン9、および循環ポンプ27を駆動させて暖房運転を開始させる。この時、暖房運転が行われる暖房端末4に対応する熱動弁31も開弁される。
前記暖房運転中、ヒートポンプ回路12では、圧縮機5で圧縮された高温・高圧のガス状の冷媒が圧縮機5から吐出され、冷媒は凝縮器として機能する液冷媒熱交換器7にて、循環回路23を流れる熱媒と熱交換を行って熱媒に熱を放出して加熱しながら気液混合状態で高圧の冷媒に変化する。そして、この状態の冷媒が膨張弁8において減圧されて低圧の冷媒となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する空気熱交換器10において、室外ファン9の作動により送られる外気と熱交換を行って外気から吸熱して低温・低圧のガス状の冷媒となって、再び圧縮機5へ戻るものである。
前記循環回路23では、一定回転数で駆動される循環ポンプ27の駆動により液冷媒熱交換器7に流入した低温の熱媒は、凝縮器として機能する液冷媒熱交換器7において冷媒と熱交換されて加熱された後、貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16では加熱されることなく通過し、その後、暖房端末4に供給されて室内の暖房に用いられ、暖房端末4を流通するときに放熱されて温度低下した熱媒は再び液冷媒熱交換器7へと戻るものである。このとき、貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16(貯留缶体19)には、ヒートポンプ式熱源機2で加熱された熱媒が貯留され、貯湯式熱交換器16(貯留缶体19)内の熱媒の温度はヒートポンプ式熱源機2が作動しているかぎり、目標温度と略同温度に保たれる。
なお、前記暖房運転中、ヒーポン側制御装置33は、第2熱媒温度センサ29の検出値に応じて、圧縮機5の回転数を制御する。ここでは、第2熱媒温度センサ29により検出される熱媒の温度が、例えばユーザによりリモコン32で設定された設定温度に基づいて決定される目標温度になるように、圧縮機5の回転数を制御する。
また、ヒーポン側制御装置33は、圧縮機5から吐出される冷媒の吐出温度に応じて、膨張弁8の弁開度を制御する。ここでは、圧縮機5から吐出される冷媒の吐出温度が、例えば、リモコン32の設定温度に対応した制御上の目標冷媒吐出温度となるように、膨張弁8の弁開度を制御する。
さらに、ヒーポン側制御装置33は、外気温度センサ13により検出された外気温度に応じて、室外ファン9の回転数を制御する。
続いて、貯湯式燃焼熱源機3のみを作動させて暖房運転を行う場合について説明すると、リモコン32から暖房端末4による被空調空間としての室内の加熱の指示がなされ、ヒーポン側制御装置33を介して、燃焼側制御装置34がその指示を受け、貯湯式燃焼熱源機3が作動する場合、燃焼側制御装置34は、送風ファン14および燃料ポンプ(図示せず)を駆動させ、バーナ15での燃焼を行わせると共に、循環ポンプ27を駆動させ、暖房運転を開始させる。この時、暖房運転が行われる暖房端末4に対応する熱動弁31も開弁される。
前記暖房運転中、燃焼側制御装置34は、第1熱媒温度センサ22の検出する貯留缶体19内の熱媒の温度がリモコン32で設定された設定温度に基づいて決定される目標温度になるように、バーナ15の燃焼の実行または停止、燃焼量の調整により制御するものであり、暖房運転開始時は、熱媒の温度が目標温度に素早く上昇するように、バーナ15の燃焼量を予め設定された上限燃焼量にし、その後、熱媒の温度が目標温度に近づいていくにつれてバーナ15の燃焼量を徐々に下げていき、熱媒の温度を目標温度に維持するのが可能であれば予め設定された下限燃焼量まで燃焼量を下げて燃焼を行い、熱媒の温度が目標温度より所定温度高い燃焼オフ温度に達したら、バーナ15の燃焼を停止し、熱媒の温度が目標温度または目標温度より所定温度低い燃焼オン温度に達したら、バーナ15の燃焼を再開させ、貯留缶体19内の熱媒の温度を目標温度に近づけるべく燃焼量を適宜制御するものである。
前記循環回路23では、一定回転数で駆動される循環ポンプ27の駆動により暖房端末4を流出した低温の熱媒は、ヒートポンプ式熱源機2の液冷媒熱交換器7では加熱されることなく通過し、貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16において燃焼ガスと熱交換されて加熱された後、暖房端末4に供給されて室内の暖房に用いられ、暖房端末4を流通するときに放熱されて温度低下した熱媒は、再び液冷媒熱交換器7では加熱されることなく通過して貯湯式熱交換器16へと戻るものである。
続いて、暖房負荷が大きく、ヒートポンプ式熱源機2または貯湯式燃焼熱源機3の何れか一方を作動では出力が足りず、ヒートポンプ式熱源機2および貯湯式燃焼熱源機3の双方を作動させて暖房運転を行う場合について説明すると、ヒートポンプ式熱源機2および貯湯式燃焼熱源機3の双方を作動させて暖房運転を行う場合は、貯湯式燃焼熱源機3の第1熱媒温度センサ22により検出される熱媒の温度が、リモコン32で設定された設定温度に基づいて決定される目標温度になるように、ヒーポン側制御装置33と燃焼側制御装置34とが必要に応じて互いに連係しつつ、圧縮機5の回転数を制御すると共にバーナ15の制御を行うものである。
前記循環回路23では、一定回転数で駆動される循環ポンプ27の駆動により液冷媒熱交換器7に流入した低温の熱媒は、液冷媒熱交換器7において冷媒と熱交換されて加熱された後、貯湯式燃焼熱源機3の貯湯式熱交換器16において燃焼ガスと熱交換されてさらに加熱され、加熱された熱媒は、その後、暖房端末4に供給されて室内の暖房に用いられ、暖房端末4を流通するときに放熱されて温度低下した熱媒は再び液冷媒熱交換器7へと戻るものである。
ここで、ヒートポンプ式熱源機2または貯湯式燃焼熱源機3の何れか一方を作動させて行う暖房運転について、どちらの熱源機を優先して作動させるかを決定するための判定は、外気温度と熱源機を作動させるためのコスト(ヒートポンプ式熱源機2であれば電気代、貯湯式燃焼熱源機3であれば燃料代)とに基づいて行われる。具体的には、ヒートポンプ式熱源機2、貯湯式燃焼熱源機3それぞれの稼働コストの比較し、稼働コストが最も低いものを優先作動させる熱源機とし、他方を補助作動させる熱源機とするものであり、ヒートポンプ式熱源機2の稼働コストは、外気温度に応じた熱効率(成績係数)と時間帯に応じて変化する電気代に基づいて算出され、貯湯式燃焼熱源機3の稼働コストは、熱効率と燃料代に基づいて算出される。
例えば、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転中に、外気温度が変動(外気温度が低下)した場合、熱媒を加熱する熱源が、ヒートポンプ式熱源機2から貯湯式燃焼熱源機3へ切り換えられ、貯湯式燃焼熱源機3のみを作動させての暖房運転中に、外気温度が変動(外気温度が上昇)した場合、貯湯式燃焼熱源機3からヒートポンプ式熱源機2へ切り換えられるものである。
次に、本実施形態において、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転中に、暖房負荷が増加した場面での熱媒の温度の経時推移について、図2のタイムチャートを用いて説明する。図2では、本実施形態における暖房端末4に供給される熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される熱媒の温度)の経時推移を実線で示し、比較例(従来例)における暖房端末4へ向かう熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される熱媒の温度)経時推移を一点鎖線で示し、暖房負荷の経時推移を破線で示している。なお、時間t1はヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転が行われ、一定の時間が経過した後の安定状態となったときの時間を表すものとする。
時間t1~t2では、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転が行われており、暖房端末4に供給される熱媒の目標温度が50℃に設定された状態であり、ヒーポン側制御装置33は、第2熱媒温度センサ29で検出される熱媒の温度が目標温度になるように圧縮機5等を制御している。このとき、ヒートポンプ式熱源機2の液冷媒熱交換器7の出口から暖房端末4の流入口までの循環回路23(第2熱媒配管25、貯留缶体19、第3熱媒配管26)内の熱媒の温度は目標温度(50℃)と略同じ温度となっている。
そして、時間t2において、暖房端末4の運転台数の増加等により暖房負荷が増加すると、時間t2以降、暖房端末4からヒートポンプ式熱源機2に戻される熱媒の温度は徐々に低下していき、それに伴い、暖房端末4に供給される熱媒の温度も低下する(時間t2以降の実線参照)。
このとき、貯湯式燃焼熱源機3の貯留缶体19には、目標温度の50℃の熱媒が貯留されているため、ヒートポンプ式熱源機2から流出した段階で目標温度から温度低下した熱媒が、貯湯式燃焼熱源機3に流入し、貯留缶体19に流れ込んだとしても、低温の熱媒は貯留缶体19内で高温(50℃)の熱媒と撹拌され温度がならされ、暖房端末4に供給される熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される温度)は多少落ち込むだけで、アンダーシュートの度合いも小さく、早い段階で目標温度に戻すことができる(時間t2以降の実線参照)。
一方、比較例(従来例)では、時間t2において、暖房端末の運転台数の増加等により暖房負荷が増加すると、本実施形態と同様に、時間t2以降、暖房端末からヒートポンプ式熱源機に戻される熱媒の温度は徐々に低下していき、それに伴い、暖房端末に供給される熱媒の温度も低下していく(時間t2以降の一点鎖線参照)。
しかし、比較例(従来例)では、燃焼熱源機として瞬間式の燃焼熱源機が用いられ、熱媒を一定量貯留できるような貯留缶体はないため、ヒートポンプ式熱源機の液冷媒熱交換器から送出された熱媒は瞬間式の燃焼熱源機の熱交換器に流入しても、ただ単に通過するだけとなり、熱媒の温度低下をほとんど抑制できず、暖房端末に供給される熱媒の温度が目標温度から大きくアンダーシュートしてしまう(時間t2以降の一点鎖線参照)。そうすると、熱媒の温度が目標温度に上昇するまでに時間がかかり(時間t2以降の一点鎖線参照)、使用感が損なわれてしまう。また、アンダーシュートの度合いが大きい場合、ヒートポンプ式熱源機のみを作動させての暖房運転からヒートポンプ式熱源機と瞬間式燃焼熱源機の双方を作動させての暖房運転となってしまって、ランニングコストの増大を招くおそれもある。
以上説明したように、貯湯式燃焼熱源機3が、循環回路23を循環する熱媒の流れに対してヒートポンプ式熱源機2の下流側に配設されていることで、仮に、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転が行われているときに、暖房端末4の運転台数が増加する等、急な暖房負荷の増加があっても、それまでヒートポンプ式熱源機2で加熱された熱媒が貯湯式燃焼熱源機3の貯留缶体19に貯留されているため、暖房負荷の増加に起因して発生する低温の熱媒が貯留缶体19に流入しても貯留缶体19内で撹拌されて熱媒の温度低下が抑えられ、暖房端末4に供給される熱媒の温度のアンダーシュートを抑制でき、使用感を損ねずに快適な暖房を継続することができる。さらに、暖房端末4に供給される熱媒の温度のアンダーシュートが抑制できるので、双方の熱源機が作動しての暖房運転も行われずランニングコストの増大を招くこともないものである。
また、上記の暖房負荷が増加した場合の他にも、貯湯式燃焼熱源機3のみを作動させての暖房運転の途中で、外気温度の上昇等により、優先作動させる熱源機をヒートポンプ式熱源機2に切り換えて、ヒートポンプ式熱源機2のみを作動させての暖房運転に切り換えた直後にも、熱媒の温度が低下する状況が発生する。それを図3のタイムチャートを用いて説明する。図3では、本実施形態における暖房端末4に供給される熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される熱媒の温度)の経時推移、および、本実施形態におけるヒートポンプ式熱源機2、貯湯式燃焼熱源機3の作動の経時推移を実線で示し、比較例(従来例)における暖房端末4へ向かう熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される熱媒の温度)経時推移、および、比較例におけるヒートポンプ式熱源機、瞬間式燃焼熱源機の作動の経時推移を一点鎖線で示している。なお、時間t3は、本実施形態では貯湯式燃焼熱源機3のみ、比較例では瞬間式燃焼熱源機のみを作動させての暖房運転が行われ、一定の時間が経過した後の安定状態となったときの時間を表すものとする。
時間t3~t4では、貯湯式式熱源機3のみを作動させての暖房運転が行われており、暖房端末4に供給される熱媒の目標温度が50℃に設定された状態であり、燃焼側制御装置34は、第1熱媒温度センサ22で検出される熱媒の温度が目標温度になるようにバーナ15等を制御している。
そして、時間t4において、外気温度センサ13の検出する外気温度が上昇し、優先して作動させる熱源機を決定するための判定により、ヒートポンプ式熱源機2が優先熱源機と判定され、貯湯式燃焼熱源機3を作動状態から停止状態とすると共に、ヒートポンプ式熱源機2を停止状態から作動状態とすると(時間t4の熱源機の実線参照)、時間t4以降、暖房端末4に供給される熱媒の温度が低下する(時間t4以降の熱媒温度の実線参照)。これは、ヒートポンプ式熱源機2の運転の立ち上がり時に熱媒の温度を目標温度まで上昇させるのに必要な出力が出るまでに時間がかかるからである。
このとき、貯湯式燃焼熱源機3は直前まで作動していたことから、貯留缶体19には、目標温度の50℃の熱媒が貯留されていると共に、バーナ15、燃焼室20、煙管21の燃焼の余熱もあり、ヒートポンプ式熱源機2から流出した目標温度から温度低下した熱媒が、貯湯式燃焼熱源機3に流入し、貯留缶体19に流れ込んだとしても、低温の熱媒は貯留缶体19内で高温(50℃)の熱媒と撹拌され温度がならされ、暖房端末4に供給される熱媒の温度(第1熱媒温度センサ22で検出される温度)は多少落ち込むだけで、アンダーシュートの度合いも小さく、早い段階で目標温度に戻すことができる(時間t4以降の熱媒温度の実線参照)。
一方、比較例(従来例)では、時間t4において、外気温度センサの検出する外気温度が上昇し、優先して作動させる熱源機を決定するための判定により、ヒートポンプ式熱源機が優先熱源機と判定され、瞬間式燃焼熱源機を作動状態から停止状態とすると共に、ヒートポンプ式熱源機を停止状態から作動状態とすると(時間t4の熱源機の一点鎖線参照)、本実施形態と同様に、時間t4以降、暖房端末に供給される熱媒の温度が低下していく(時間t4以降の熱媒温度の一点鎖線参照)。
しかし、比較例(従来例)では、燃焼熱源機として瞬間式の燃焼熱源機が用いられ、熱媒を一定量貯留できるような貯留缶体はなく、保有熱量(バーナ等の余熱含む)も小さいため、ヒートポンプ式熱源機の液冷媒熱交換器から送出された熱媒は瞬間式燃焼熱源機の熱交換器に流入しても、ただ単に通過するだけとなり、熱媒の温度低下をほとんど抑制できず、暖房端末に供給される熱媒の温度が目標温度から大きくアンダーシュートしてしまう(時間t4以降の熱媒温度の一点鎖線参照)。そうすると、熱媒の温度が目標温度に上昇するまでに時間がかかり(時間t4以降の熱媒温度の一点鎖線参照)、使用感が損なわれてしまう。また、アンダーシュートの度合いが大きい場合、ヒートポンプ式熱源機のみを作動させての暖房運転からヒートポンプ式熱源機と瞬間式の燃焼熱源機の双方を作動させての暖房運転となってしまって、ランニングコストの増大を招くおそれもある。
以上説明したように、貯湯式燃焼熱源機3が、循環回路23を循環する熱媒の流れに対してヒートポンプ式熱源機2の下流側に配設されていることで、仮に、貯湯式燃焼熱源機3のみを作動させての暖房運転が行われているときに、ヒートポンプ式熱源機2へと優先熱源機が切り換わったとしても、それまで貯湯式燃焼熱源機3で加熱された熱媒が貯留缶体19に貯留されていると共に、バーナ15等の余熱もあるため、ヒートポンプ式熱源機2の立ち上がり時に目標温度の熱媒が生成できず、低温の熱媒が貯留缶体19に流入したとしても貯留缶体19内で撹拌されて熱媒の温度低下が抑えられ、暖房端末4に供給される熱媒の温度のアンダーシュートを抑制でき、使用感を損ねずに快適な暖房を継続することができる。さらに、暖房端末4に供給される熱媒の温度のアンダーシュートが抑制できるので、双方の熱源機が作動しての暖房運転も行われずランニングコストの増大を招くこともないものである。
なお、本発明は一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、貯湯式燃焼熱源機3は暖房用途にのみ使用するものとしたが、貯留缶体19内の熱媒と給水とを熱交換する給湯用熱交換器、または、貯留缶体19内の熱媒と浴槽水とを熱交換する風呂用熱交換器を貯留缶体19内に設け、貯湯式燃焼熱源機3を暖房用途に加え給湯用途や風呂用途に使用することができるものとしてもよいものである。
また、本実施形態では、ヒーポン側制御装置33が主にヒートポンプ式熱源機2を制御し、燃焼側制御装置34が主に貯湯式燃焼熱源機3を制御するものとしたが、ヒーポン側制御装置33および燃焼側制御装置34を1つの制御装置として、ヒートポンプ式熱源機2および貯湯式燃焼熱源機3の双方を制御するようにしてもよいものである。
1 暖房システム
2 ヒートポンプ式熱源機
3 貯湯式燃焼熱源機
4 暖房端末
15 バーナ
19 貯留缶体
23 循環回路

Claims (1)

  1. 暖房端末と、
    前記暖房端末に熱媒を循環させる循環回路と、
    前記循環回路を循環する前記熱媒を加熱するヒートポンプ式熱源機と、
    前記循環回路を循環する前記熱媒を加熱する貯湯式燃焼熱源機と、を備え、
    前記熱媒を用いて前記暖房端末による暖房運転を行うものであって、
    前記貯湯式燃焼熱源機は、内部に前記熱媒を貯留する貯留缶体と、前記貯留缶体内の前記熱媒を加熱する燃焼器とを備え、
    前記貯湯式燃焼熱源機を、前記循環回路を循環する熱媒の流れに対し、前記ヒートポンプ式熱源機の下流側に配設したことを特徴とする暖房システム。
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