JP6524708B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式のプリンターや複写機、複合機等に用いられる電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作成したカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
より詳しくは、特定構造を有するポリカーボネート樹脂と、特定の電荷輸送物質を含有する感光層を使用した電子写真感光体、該電子写真感光体を使用するカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下、適宜「感光体」とも云う)については、無公害で成膜、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が広く使用されている。
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久性化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、それらの要求に応えるべく改良されてきてはいるが、依然感光体自体の改良が必要な場合も多い。
電子写真用感光体のバインダー樹脂として用いられるポリカーボネート樹脂は、機械的強度、電気的特性に優れるため、広く使用されている。この製造方法としては、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)で製造されたものが主流であった。一方、汎用用途のエンジニアリングプラスチックとしてのポリカーボネート樹脂の製法としては、溶剤法以外に、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が安価な製法として広く用いられ、この方法で得られたポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の感光層に用いることも知られている(特許文献1参照)。
特開2012−185206号公報 特開平9−244278号公報
前述のようなエステル交換反応により製造されたポリカーボネート樹脂は、ハロゲン系溶剤等の環境負荷の大きい有機溶剤を使用しないこと、重合工程あるいはオリゴマー工程でホスゲンを使用しない等、環境面で優れる上に、大量生産されればコスト的にもメリットを有するが、ビスフェノール不純物が混入してしまうという問題があった。
具体的には、前記特許文献1に記載の樹脂は、経時劣化により特性が変化するため、感
光体の感光層に使用する場合に保管状態や製造工程の違いにより、電気特性において製品の性能にばらつきがあるという問題があった。また、前記特許文献1に記載の樹脂に、前記特許文献2に記載の電荷輸送物質を組み合わせて感光体を製造した場合は、前述のような樹脂の経時劣化による製品の性能のばらつきという問題は解消できるが、プラス転写時の残留電位変化が大きく、感光体表面のユニバーサル硬度も低いという問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のポリカーボネート樹脂と、特定の電荷輸送物質との組み合わせにより、上記問題が解決し得ることを見いだし、本発明に至った。
本発明の要旨は、以下の<1>〜<9> に存する。
<1> 感光層中に、下記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂であって、下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹脂中20ppm以上2000ppm以下であるポリカーボネート樹脂、及び下記式(A)又は(B)で表される電荷輸送物質を少なくとも1種含有することを特徴とする電
子写真感光体。
Figure 0006524708
(式(A)中、Ar及びArはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基を表し、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
Figure 0006524708
(式(B)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
<2> 感光層中に、下記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂であって、下記式(3)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹脂中200ppm以上7000ppm以下であるポリカーボネート樹脂、及び下記
式(A)又は(B)で表される電荷輸送物質を少なくとも1種含有することを特徴とする
電子写真感光体。
Figure 0006524708
(式(A)中、Ar及びArはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール基を表し、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
Figure 0006524708
(式(B)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
<3> 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂において、下記式(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹脂中100ppm以上2000ppm以下であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
Figure 0006524708
<4> 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂が、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって生成することを特徴とする、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
<5> 前記式(1)で表される化合物に由来する繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂が、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、又は水酸化セシウムを使用したエステル交換反応によって生成するものである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子写真感
光体。
<6> 前記感光層が、下記式(C)で表される化合物、または下記式(D)で表される化合物を少なくとも一種含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
Figure 0006524708
(式(C)中、R〜Rはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
Figure 0006524708
(式(D)中、R10〜R12はそれぞれ独立してアルキル基、mは1〜3の整数を表す。)
<7> 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂が、下記式(5)で表される構造単位を含むことを特徴とする、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
Figure 0006524708
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
<9> <1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、特定構造を有するポリカーボネートと、特定の電荷輸送物質とを組み合わせることで、経時劣化が少なく、電子写真プロセスでの種々の負荷に対する安定性に優れる電子写真感光体を得ることができる。また、本発明のポリカーボネート樹脂は、安価大量生産が可能で、環境面で優れるエステル交換反応で製造することができる。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさの割合を表すものではない。
<本発明に用いられるポリカーボネート樹脂について>
本発明のポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する繰返し単位を有し、下記式(1)’で表される繰り返し単位を有する。
Figure 0006524708
更に、下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位、下記式(3)で表される化合物に由来する構造単位の少なくとも1種、さらには下記式(4)で表される化合物に由
来する構造単位を、特定量含有するものである。
Figure 0006524708
本発明のポリカーボネート樹脂は、少なくとも式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するが、その含有量は、ジヒドロキシ化合物に由来する全繰返し単位に対して式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。この構造単位量が過度に少ないと、感光体塗布液の安定性が劣る傾向がある。
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記式(2)で表される化合物に由来する構造単位、または前記式(3)で表される化合物に由来する構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を、特定量含むものである。さらには前記式(4)で表される化合物に由来する構造単位を特定量含有する。本発明のポリカーボネート樹脂が含有する、前記式(2)(3)または(4)で表される化合物に由来する構造単位の量は、ポリカーボネート樹脂を後述の方法によりアルカリ加水分解した際に、液体クロマトグラフィーにて測定された値で定義される。
本発明のポリカーボネート樹脂において、前記式(2)で表される化合物に由来する構造単位を含有する場合の含有量は、20ppm以上2000ppm以下であるが、上限は1300ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましい。下限は200ppm以上がより好ましい。
また、前記式(3)で表される化合物に由来する構造単位を含有する場合の含有量は、200ppm以上7000ppm以下であるが、上限は5000ppm以下が好ましく、4500ppm以下であることがより好ましく、4000ppm以下であることが更に好ましい。下限は500ppm以上が好ましく、1000ppm以上であることがより好ましく、1500ppm以上であることが更に好ましい。
また、前記式(4)で表される化合物を含有する場合の含有量は、100ppm以上2
000ppm以下が好ましく、上限は1000ppm以下がより好ましく、600ppmであることがさらに好ましい。下限は200ppm以上がより好ましい。
前記式(2)または(3)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が上記範囲よりも少なすぎると、電荷輸送物質との絡み合いが弱くなり、感光層内への表面電荷の注入抑止効果が小さくなると考えられる。逆に上記範囲よりも多すぎると、ポリマー色相の悪化、溶媒に不溶のゲル状物や異物の発生や、機械物性が低下する虞がある。
ポリカーボネート樹脂中の前記式(2)(3)または(4)で表される化合物に由来する構造単位の液体クロマトグラフィーによる測定は、例えば以下の条件で可能である。
(分析条件)
液体クロマトグラフィー装置:(株)島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:YMC−Pack ODS−AM 75mm×Φ4.6mm
オーブン温度:40℃
検出波長:280nm
溶離液:A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液:アセトニトリル
A/B=60/40(vol%)からA/B=95/5(vol%)まで
25分間でグラジエント
流量:1mL/min
試料注入量:20μl
より具体的には、式(2)(3)または(4)で表される化合物に由来する構造単位である化合物は、上記液体クロマトグラフィー条件にて、下記リテンションタイムに観測される。
式(4)で表される化合物:13.9分
式(2)で表される化合物:15.9分
式(3)で表される化合物:21分
各化合物の特定は、上記リテンションタイムに観測されるピークに相当する部分を分取し、分取したサンプルのH NMR、13C NMR、質量分析法(MS)、赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)等により実施することができる。
(分子量)
上述のポリカーボネート樹脂において、粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、また、その上限は、好ましくは70,000以下、より好ましくは50,000以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光層の機械的強度が不足する可能性があり、大きすぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。なお、粘度平均分子量は、例えばウベローデ型毛細管粘度計等を用いて、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明に係るポリカーボネート樹脂のAmerican Standards Test Methods (ASTM) E313
で定義されるイエローインデックス(YI)(JIS K 7105に準拠して測定)は、通常20.0以下、好ましくは18.0以下、更に好ましくは15.0以下である。YIが高すぎると、色調が悪くなり、透光性が悪くなると共に、繰り返し電気特性の劣化を招くので好ましくない。YIが高くなるメカニズムは必ずしも明らかでは無いが、重合中、あるいは樹脂中に残存するビスフェノールモノマーが空気酸化によってキノン構造に一部変化することが原因の一つと考えられ、特に溶剤法で脱酸素が不十分な場合に顕著であ
る。このような場合、劣化サイトが電荷トラップとして働き、繰り返し使用した場合の残留電位の蓄積等の電気特性不良の原因となり得る。
本発明に係るポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂として使用した場合は、繰り返し使用した場合の電気特性の劣化が少なく、また、耐オゾン特性や転写電圧によるメモリー特性が良好となる。このメカニズムは必ずしも明らかでは無いが、前記式(2)または式(3)で表される化合物に由来する分岐構造単位が、電荷輸送物質との絡み合いを強くして、オゾンガスや表面電荷の層内への注入を防ぐ効果が考えられる。また、溶融法で製造した場合は、繰り返し使用した場合の電気特性の悪化要因となる窒素原子含有の触媒を使用しないこと、化学的に不安定な特定末端基(クロロホルメート基)が生成しない等が、良好な電気特性や耐オゾン特性及びメモリー特性の要因と考えられる。
(ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の製造方法に特に制限は無く、前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有し、更に、前記式(2)で表される化合物に由来する構造単位、または前記式(3)で表される化合物に由来する構造単位を特定量含むものとなるように製造可能であれば、如何なる方法で製造しても構わない。通常ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物成分と、カーボネート形成性化合物成分とを重合することにより得られる。 本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法には、前記式(1)で表される化合物を含有するジヒドロキシ化合物成分と、カーボネート形成性化合物成分として炭酸ジエステルを用いたエステル交換反応に基づく溶融重縮合法(以下、溶融法と略記することがある)、前記式(1)で表される化合物を含有するジヒドロキシ化合物成分と、カーボネート形成性化合物成分として塩化カルボニルを用いた界面重縮合法(以下、界面法と略記することがある)が挙げられる。これらの中でも、前記式(2)または(3)で表される化合物に由来する構造単位の含有量、更には前記式(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量を特定量に制御することが容易であるという点で、溶融法が好ましい。以下、溶融法で製造する場合を例にとって説明する。
(芳香族ジヒドロキシ化合物)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が主として使用される。
Figure 0006524708
前記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は、水酸基に隣接してメチル基が一つ存在するため、適度に水酸基の酸化が立体的にブロックされると同時に、例えば水酸基に2つのメチル基が隣接した場合と比較して、メチル基が重合反応に関しての立体障害とならないこと、さらには重合体の溶解性が高いこと、電荷輸送物質との相溶性が高く、電気特性や機械物性の観点で有利である、といった利点を有する。
前記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は単独でも、他の芳香族ジヒドロキシ化合物と共重合して使用してもよい。共重合する場合、前記式(1)で表される芳香族
ジヒドロキシ化合物の量が全共重合成分中の50モル%以上であることが、重合反応の観点、および重合体の溶解性、電気特性および機械物性の観点から好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
共重合してもよい芳香族ジヒドロキシ化合物の例を以下に示す。
Figure 0006524708
これらの中でも、入手しやすさの点から、共重合成分として下記式(5)で表されるポリカーボネート構造単位が好ましい。
Figure 0006524708
(炭酸ジエステル)
溶融法の場合、ポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(6)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0006524708
一般式(6)中、A,Aは、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族基、または、置換若しくは無置換の芳香族基である。A,Aは、同一でも相互に異なるものでもよい。
なお、A,Aの置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
炭酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの炭酸ジエステルの使用量は、通常、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物が1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの比で用いられる。前記炭酸ジエステルのモル比が過度に小さいと、エステル交換反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となったり、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が高くなり、熱安定性が悪化したりする傾向にある。また、前記炭酸ジエステルのモル比が過度に大きいと、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステル化合物の残存量が多くなり、電気特性の劣化や臭気の原因となることがあり、好ましくない。
なお、溶融法によるポリカーボネート樹脂の製造においてはホスゲンが重合工程で使用されないため、末端にクロロホルメート残基が存在しないのに対し、界面法や溶液法によるポリカーボネート樹脂の製造では、末端にクロロホルメート残基及びその変性基が残る点が異なる。
(エステル交換触媒)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の製造において使用される触媒としては、通常、ポリカーボネート樹脂のエステル交換法に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、全芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲で用いられるが、成形特性や色相に優れたポリカーボネート樹脂を得るためには、エステル交換触媒の量は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、全芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-4モルの範囲内、より好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-5モルの範囲内であり、特に好ましくは1.0×10-7モル〜5.0×10-6モルの範囲内である。上記下限量より少なければ、前記式(2)(3)または(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が少なくなり、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られない。逆に多い場合は、ポリマー色相が悪化し、また、前記式(2)(3)または(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が多くなりすぎ、溶媒に不溶のゲル状物や異物が発生して、外観不良およびポリカーボネート樹脂の機械物性が低下する虞がある。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、又は水酸化セシウムが感光体用途として適切な重合度を可能とし、残留触媒としての除去の容易さの観点から好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物;アルカリ土類金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。ここで、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
また、ベリリウム化合物及びマグネシウム化合物としては、例えば、当該金属の水酸化物、炭酸塩等の無機金属化合物;前記金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導され
る4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
(触媒失活剤)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の溶融法による製造に於いては、エステル交換反応終了後に、エステル交換触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
(製造工程)
溶融法によるポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱気除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
・原調工程
ポリカーボネート樹脂の原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル
化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、芳香族ジヒドロキシ化合物として式(1)で表されるビスフェノールC単独、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
・重縮合工程
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
特に最終重合槽の反応温度は通常250℃〜330℃、好ましくは270℃〜320℃、さらに好ましくは280℃〜300℃である。最終重合槽の反応温度が低すぎると、本発明のポリカーボネート樹脂が有する、前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が少なくなり、重合反応が十分に進行せず、分子量の低いポリカーボネートしか得られない虞がある。一方、最終重合槽の反応温度が高すぎると、ポリマー色相が悪化し、また、本発明のポリカーボネート樹脂が有する、前記式(2)または(3)更には前記式(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が多くなりすぎ、溶媒に不溶のゲル状物や異物が発生して外観不良およびポリカーボネート樹脂の機械物性が低下する虞がある。
また最終重合槽の平均滞留時間は通常5分〜150分、好ましくは30分〜120分、さらに好ましくは60分〜90分である。最終重合槽の平均滞留時間が短すぎると、前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が少なくなり、重合反応が十分に進行せず、分子量の低いポリカーボネートしか得られない虞がある。一方、最終重合槽の平均滞留時間が長すぎると、ポリマー色相が悪化し、また、本発明のポリカーボネート樹脂が有する、前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が多くなりすぎ、溶媒に不溶のゲル状物や異物が発生して外観不良およびポリカーボネート樹脂の機械物性が低下する虞がある。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型撹拌反応槽を含む複数基の反応槽を設けて、ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。反応槽は通常2基〜6基、好ましくは4基〜5基設置される。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
竪型撹拌反応槽の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼((株)神鋼環境ソリューション製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボ
ン翼、ねじり格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等が挙げられる。
また、横型撹拌反応槽とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応槽の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
尚、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との重縮合に使用するエステル交換触媒は、通常、予め溶液として準備されていてもよい。触媒溶液の濃度は特に限定されず、触媒の溶媒に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。溶媒としては、アセトン、アルコール、トルエン、フェノール、水等を適宜選択することができる。
触媒の溶媒として水を選択した場合、水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
なお、本溶融法で製造されたポリカーボネート樹脂中に残存するビスフェノールモノマー量は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。また、副生するフェノールの残留量としては、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。ビスフェノール成分が過剰に残存すると着色の原因となる可能性が有り、フェノールが過剰に残存すると、臭気の原因となる可能性が有る。
また、バインダー樹脂が劣化すると感光体特性の悪化に直接つながるため、後述の式(C)または式(D)に示されるような酸化防止剤を樹脂に添加してもよい。
(界面法による製造方法)
界面法によるポリカーボネート樹脂の製造方法は公知の方法で製造されるが、界面法で得られたポリカーボネート樹脂は通常前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、いずれも非常に少ない場合がある。そこで、本発明のポリカーボネート樹脂とするために、界面法で得られたポリカーボネート樹脂を熱処理することにより前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量を特定範囲に制御可能となる。熱処理は如何なる方法でも良いが、具体的には、バッチ形式によりポリカーボネート樹脂を槽内で加熱する方法、連続形式によりポリカーボネート樹脂を槽内で加熱する方法、ポリカーボネート樹脂を押出機で加熱する方法等が挙げられる。中でも1軸押出機または2軸押出機により加熱することがより好ましく、ベント口付き2軸押出機により加熱することが更に好ましい。熱処理温度としてはポリカーボネート樹脂温度として200℃〜400℃が好ましく、260℃〜390℃がより好ましく、270℃〜380℃がさらに好ましく、280℃〜370℃が最も好ましい。このポリカーボネート樹脂温度が低すぎると、本発明のポリカーボネート樹脂における前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が少なく、一方、温度が高すぎると、ポリマー色相が悪化し、また、本発明のポリカーボネート樹脂における前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量のいずれも多くなり、好ましくない。
尚、ポリカーボネート樹脂温度とは押出機であれば押出機出口におけるポリカーボネート樹脂温度、反応槽であれば槽内のポリカーボネート樹脂温度のことである。 熱処理時間としては、0.5分〜2時間が好ましく、より好ましくは1分〜1時間、さらに好ましくは1.5分〜30分、最も好ましくは2分〜10分である。熱処理時間が短すぎると、本発明のポリカーボネート樹脂における、前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量のいずれも少なくなり、一方、熱処理時間が長すぎると、ポリマー色相が悪化し、また、本発明のポリカーボネート樹脂における前記式(2)または(3)更には(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量のいずれも
多くなりすぎ、好ましくない。尚、押出機による熱処理の場合、熱処理時間は、押出速度とバレル内体積から算出するものとする。
<本発明に用いられる電荷輸送物質について>
本発明では、下記式(A)又は(B)で表される電荷輸送物質を少なくとも1種感光層
に含有する。
(電荷輸送物質(A))
Figure 0006524708
式(A)中、Ar、Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも電荷輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar、Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましい。置換基の数としてはAr、Arがフェニル基の場合1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜2個もしくは置換基を有さないことが好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1個もしくは置換基を有さないことがより好ましい。また、Ar、Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基を有さないことである。
式(A)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。アルキル基の炭素数としては、6以下であり、4以下が好ましく、3以下が特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、tertブチル基、イソブチル基等の分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基が挙げられるが、この中でも合成の観点から、メチル基が最も好ましい。また、置換基が相互に結合して環を形成していても良い。例えば、2つのアルキル基が縮合してシクロアルキル基、エステル架橋してラクトン等を形成しても良い。
上記R、Rの置換位置としては、光疲労の観点からは窒素原子に対してオルト位が好ましく、電気特性の観点からはパラ位が好ましく、溶解性の観点からはメタ位が好ましい。また、耐クラック性の観点からは、R及びRは窒素原子に対してオルト位または
パラ位が好ましい。nで表されるR、Rが有するアルキル基の数は、1つのベンゼン環に対して1以上5以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1つである。
式(A)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基を表し、具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、及びシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルキル基が挙げられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基が更に好ましく、電荷輸送物質としての電荷輸送能力の面から、水素原子が特に好ましい。
以下に式(A)で表される電荷輸送物質の構造を具体的に例示するが、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0006524708
(電荷輸送物質(B))
Figure 0006524708
式(B)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。アルキル基は電子写真感光体として用いた際の繰り返し使用に対する耐久性、オゾンに対する耐久性を考慮すると、炭素数5以下であり、炭素数3以下が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、その中でもメチル基が好ましい。上記R、Rの置換位置としては、電荷輸送材料としての移動度の観点からは窒素原子に対してパラ位が好ましく、特にメチル基かパラ位に置換していることが好ましい。
以下に式(B)で表される電荷輸送物質の構造を具体的に例示するが、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0006524708
<電子写真感光体>
次に、感光体の構成要素について説明する。
感光体は、導電性支持体上に、必要に応じて陽極酸化層、導電層、下引き層を設け、その上に単層型あるいは積層型の感光層を設け、更に必要に応じて保護層を設けて構築される。
導電性支持体、陽極酸化層、下引き層については、例えば特開2007−293319号公報に開示されている公知の例を使用することが出来る。
(感光層)
感光層の形式としては、電荷発生材料と電荷輸送材料とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生材料がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送材料がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、本発明に用いられる電子写真感光体の感光層は、いずれの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明の電子写真感光体は、上記で詳述した溶融法により得られた上記式(1)で表さ
れる構造を有するポリカーボネート樹脂を、前記感光層中でバインダー樹脂として使用する。当該バインダー樹脂は、どの層中で使用されても構わないが、通常は積層型感光層の電荷輸送層中、あるいは単層型感光層中で、好ましくは積層型感光層の電荷輸送層中で使用される。
当該バインダー樹脂が好適に使用される前記電荷輸送層は、複数層でも構わず、その場合はどの層が含有してもよい。また、前記式(A)または式(B)で表される電荷輸送物質は、積層型感光層の電荷輸送層中、または単層型感光層中に使用されるが、式(1)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂と同じ層に含有していることが好ましい。
また、当該バインダー樹脂は、前記溶融法により得られた上記式(1)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂以外の樹脂と併用したものでもよい。
(積層型感光層)
・電荷発生層
電荷発生層については、公知の、例えば特開2007−293319号公報に開示されている例を使用することが出来る。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送材料、バインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、本発明の電荷輸送材料と、バインダー樹脂として本発明のポリカーボネート樹脂と、添加剤等を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送材料としては、前述した式(A)及び式(B)で表されるも電荷輸送物質に加えて、公知の他の電荷輸送物質を併用してもよい。他の電荷輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えばカルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチリル誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。
前記式(A)または前記式(B)で表される電荷輸送物質を含む、電荷輸送物質量のバインダー樹脂100重量部に対する重量は、電気特性の観点から通常40重量部以上、好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは55重量部以上であり、耐クラック性及び耐摩耗性の観点から、通常150重量部以下、好ましくは120重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、保存安定性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
酸化防止剤としては、特に下記式(C)または式(D)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006524708
式(C)中、R〜Rはそれぞれ独立してアルキル基を表し、代表的な構造としてC−(1)の化合物があげられる。
Figure 0006524708
式(D)中、R10〜R12はそれぞれ独立してアルキル基、mは1〜3の整数を表し、代表的な構造としてD−(1)の化合物があげられる。
Figure 0006524708
(その他の機能層)
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。保護層は、光硬化型、熱硬化型、電子線硬化型等の硬化型保護層、無機フィラーを分散させた保護層等、公知のものを使用することができる。
(各層の形成方法)
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロ
ールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
なお、本願のポリカーボネート樹脂は、単独でも、他の樹脂と混合して使用してもよい。混合しても良いバインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂を含む塗布液の作製に用いられる溶媒または分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせおよび種類で併用してもよい。また、環境負荷低減の観点から、非ハロゲン系溶媒が好ましい。
(塗布液の製造方法)
本発明に係る感光層用塗布液の製造方法に制限は無い。形成する層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて塗布液を得る。例えば、本発明に係るポリカーボネート樹脂を含有する積層型感光層の場合、以下の方法により製造することが可能である。即ち、電荷輸送材料、ポリカーボネート樹脂、必要に応じて併用するバインダー樹脂、添加剤等を、有機溶剤中に常温あるいは加温しながら攪拌、溶解し、必要に応じて任意のフィルターでろ過し、塗布液を調整する。この際、感光層の潤滑性、離型性を高める目的で不溶性の微粒子を添加する場合には、適当な分散手段によって分散液としても良い。
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ、画像形成装置について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)等がよく用いられる。直接帯電装置の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行って電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、プロセスカートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯
電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型の電子写真用プロセスカートリッジ(以下適宜「カートリッジ」という)として構成し、このカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例としては、電子写真感光体1、帯電装置2、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6を組み込んだ一体型カートリッジ、あるいは電子写真感光体1、帯電装置2、クリーニング装置6を一体化したカートリッジとし、現像装置4を別にカートリッジとするタイプが挙げられる。これらのカートリッジでは、例えば電子写真感光体1が劣化した場合、あるいは現像装置4中のトナーが消費されて無くなった場合に、このカートリッジごと画像形成装置本体から取り外し、別の新しいカートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。 なお、下記記載中、「部」は「質量
部」を表わす。
<粘度平均分子量>
ポリカーボネート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘
度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
<ポリカーボネート樹脂のイエローインデックス(YI)>
前記(1)で成形した成形体を用いて分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)にてイエローインデックス(YI)を測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
<式(2)(3)及び(4)で表される化合物に由来する構造単位の定量>
ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mlに溶解した後、メタノール45mlおよび25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mlを加え、70℃で30分間攪拌する。得られた溶液を液体クロマトグラフィーにて分析し、式(2)式(3)および式(4)で表される化合物に由来する構造単位を定量する。尚、定量は式(1)で表される繰り返し単位の定量にて作成した検量線を用いて行った。
液体クロマトグラフィー測定は、以下の方法で実施した。
装置:(株)島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:YMC−Pack ODS−AM 75mm×Φ4.6mm
オーブン温度:40℃
検出波長:280nm
溶離液:A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液:アセトニトリル
A/B=60/40(vol%)からA/B=95/5(vol%)まで
25分間でグラジエント
流量:1mL/min
試料注入量:20μl
また、式(2)で表される化合物に由来する構造単位である化合物2、前記式(3)で表される化合物に由来する構造単位である化合物3、および前記式(4)で表される化合物に由来する構造単位である化合物4は、上記液体クロマトグラフィー条件にて、下記リテンションタイムに観測された。
式(4)で表される化合物4:13.9分
式(2)で表される化合物2:15.9分
式(3)で表される化合物3:21分
各化合物の特定は、上記リテンションタイムに観測されるピークに相当する部分を分取し、分取したサンプルのH NMR、13C NMR、二次元NMR法、質量分析法(MS)、赤外線吸収スペクトル法(IRスペクトル)により実施した。
式(4)で表される化合物4は、上記分取したサンプルの質量分析法による分子量と、各NMRスペクトルシグナル、さらにIRスペクトルにおいてアルデヒドに由来するシグナルが観測されたことから特定した。式(2)で表される化合物2は、上記分取したサンプルの質量分析法による分子量と、各NMRスペクトルシグナル、さらにIRスペクトルにおいてカルボン酸に由来するシグナルが観測されたことから特定した。式(3)で表される化合物3は、上記分取したサンプルの質量分析法による分子量と、各NMRスペクトルシグナルより特定した。
<ポリカーボネート樹脂の製造>
(製造例1)PC1(BPCホモポリマー)の合成(溶融法)
2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3−メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と
略記する場合がある。)(本州化学社製)37.60kg(約147mol)とジフェニルカーボネート(DPC)32.20kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがBPC1mol当たり2μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
次に、第1反応器内を1.33kPa(10Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気
圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、300rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
その後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを、第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、攪拌機、熱媒ジ
ャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを38rpmで攪拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。第2反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、下記AD−2で表される添加剤を樹脂に対して0.1重量%添加して、水槽で冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化した。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は24,700、YIは7.5であった。
Figure 0006524708
(AD−2)
(製造例2)PC2(BPC/BPAコポリマー)の合成(溶融法)
製造例1において、BPC37.60kgに代えて、BPC33.77kg及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPA」と略記する場合がある。)5.30kg(BPC:BPA=85:15(mol比))を使用した以外は、製造例1と同様にポリカーボネート樹脂PC2を製造した。粘度平均分子量は26,100、YIは15.0であった。
(比較製造例1)PC3(BPCホモポリマー)の合成(界面法)
特開2010−43201号公報の実施例1記載の方法により、界面法によるBPCホモポリマーを製造した。粘度平均分子量は33,000であった。
(比較製造例2)PC4(BPC/BPAコポリマー)の合成(界面法)
特開2010−43201号公報の実施例1記載の方法に倣い、界面法によるBPC/BPAコポリマー(仕込み時のBPC:BPA=80:20(mol比))を製造した。粘度平均分子量は22,000であった。
上記ポリカーボネート樹脂PC1〜4の式(2)(3)及び(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量(ppm)を、上記の方法で定量し、その結果を下記「表1」に示す。
Figure 0006524708
<感光体の製造および評価>
[実施例1]
感光体用の塗布液を、下記のように製造した。
[下引き層形成用塗布液の製造]
下引き層形成用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
[電荷発生層形成用塗布液の製造]
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Lを調製した。
[電荷輸送層形成用塗布液の製造]
電荷輸送層形成用塗布液は以下のように作製した。下記の電荷輸送材料CT−1を50部、前記ポリカーボネート樹脂PC1を100部、酸化防止剤として、下記AD−1を2重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05部をテトラヒドロフラン(以下適宜THFと略)とトルエン(以下適宜TLと略)の混合溶媒(THF 80重量%、TL
20重量%)640部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006524708
〔感光体の製造〕
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に乾燥後の膜厚が約21μmになるようにアプリケーターで塗布し、125 ℃で20分間乾
燥して、感光体A1を作製した。
[実施例2]
電荷輸送物質として、CT−1に代えて下記式で表されるCT−2を50部使用する以外は、実施例1と同様に感光体A2を作成した。
Figure 0006524708
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂として、PC1に代えて前記PC2を使用した以外は、実施例1と同様に感光体A3を作製した。
[実施例4]
電荷輸送物質として、CT−1に代えて下記式で表されるCT−3を50部使用する以外は、実施例1と同様に感光体A4を作成した。
Figure 0006524708
[実施例5]
電荷輸送物質として、CT−1に代えて下記式で表されるCT−4を50部使用する以外は、実施例1と同様に感光体A5を作成した。
Figure 0006524708
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂として、溶融法で製造されたPC1から、界面法で製造された前記PC3に変更した以外は、実施例1と同様に感光体B1を作製した。
[比較例2]
ポリカーボネート樹脂として、溶融法で製造されたPC1から、界面法で製造されたPC3に変更した以外は、実施例2と同様に感光体B2を作製した。
[比較例3]
電荷輸送物質として、下記で示されるCT−5を50部使用する以外は、実施例1と同様に感光体B3を作成した。
Figure 0006524708
[比較例4]
電荷輸送物質として、下記で示されるCT−6を56部、CT−7を14部併用する以外は、実施例1と同様に感光体B4を作成した。
Figure 0006524708
[比較例5]
電荷輸送物質として、下記で示されるCT−8を50部使用する以外は、実施例1と同様に感光体B5を作成した。
Figure 0006524708
[比較例6]
ポリカーボネート樹脂として、溶融法で製造されたPC1から、界面法で製造された前記PC4に変更した以外は、実施例1と同様に感光体B6を作製した。
[比較例7]
ポリカーボネート樹脂として、PC3を使用し、電荷輸送物質として上記CT−5を使用した以外は実施例1と同様に感光体B7を作製した。
<電気特性試験>
表面電位VLは、電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体A1〜A5、B1〜B7のシートを直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、温度25℃、相対湿度50%の環境下、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定し、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを、NDフィルターを使用して光量を0.76μJ/cmとして露光した際の表面電位VL(単位:−V)で測定される。製造直後のポリカーボネート樹脂PC1〜4を用いて作成した感光体のVLと、製造後8ヶ月経過した樹脂を用いて同様に作成した感光体のVLを測定し、その差(ΔVL)を表2に示した。この間のポリカーボネートは、20℃〜30℃の室内で保管していた。
VL変化(ΔVL)は、値が小さいほど好ましい。一般に本発明で規定する式(2)または式(3)で表される化合物に由来する構造単位の含有量を満たすポリカーボネート樹脂(PC1、2)は、満たしていないポリカーボネート樹脂(PC3、4)に比べて、製造後日数が経つとΔVL値は大きくなる傾向があるが、本発明のポリカーボネート樹脂の中でも、式(A)または式(B)で表される電荷輸送物質(CT−1〜4)を用いた感光体は、それ以外の構造をもつ電荷輸送物質CT−6、7、または8と比較してΔVLの上昇が抑えられていることがわかる。
Figure 0006524708
<プラス電荷印加テスト>
次に、感光体A1,A2,A3,B1、B2、B6およびB7について、トナー転写時に感光体にかかるプラス電荷に対する特性を調べた。上記の電気特性試験1と同様に表面電位VLを測定した後、感光体を60rpmで回転させながら、感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定したまま、別のコロトロン帯電器に6.5kvのプラス電圧を印可して4000回転させる。その後にプラス電圧をOFFして、初期と同様に表面電位VLを測定した。表3には、プラス電荷印加前後のVL差を示した。本発明のポリカーボネート樹脂、PC1、PC2を使用した感光体は、比較例のポリカーボネート樹脂、PC3やPC4を使用した感光体と比較して、同じ電荷輸送物質を使用していても、VLの上昇が少なく、転写による画像メモリーの点で好ましい。
Figure 0006524708
<表面硬度測定>
続いて、感光体A1、A3、A5、B3、B4およびB7について、感光体表面のユニバーサル硬度測定を行った。微小硬度計(Fischer社製 : FISCHERSCOPE HM2000LT)を用
いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、対面角136°のビッカース四角錘ダイ
ヤモンド圧子を用いる。測定条件は以下の通りである。
[測定条件]
最大押し込み荷重 5mN
負荷所要時間 10s
除荷所要時間 10s
本発明において、ユニバーサル硬度は、押し込み荷重5mNまで押し込んだときの値であり、その押し込み深さから以下の式により定義される値である。
ユニバーサル硬度(N/mm2)= 試験荷重(N)/ 試験荷重下でのビッカース圧子の表面積(mm2
表4に測定データを示した。電荷輸送物質CT−5を使用した感光体B7は、他の電荷輸送物質を使用した感光体より硬度が低く、マシン内での紙やトナーあるいは帯電ローラ等のストレスの影響を受けて画像欠陥が起こりやすいと考えられる。
Figure 0006524708
[実施例6]
直径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmの3003系アルミニウム合金製チューブ上に、前記のように得られた下引き層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約1.5μmになるように浸漬塗布し、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように浸漬塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、下記の電荷輸送層形成用塗布液Bを、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約15μmになるように浸漬塗布した、感光体ドラムA6を作製した。
[電荷輸送層形成用塗布液の製造]
電荷輸送層形成用塗布液は以下のように作製した。上記の電荷輸送材料CT−1を50部、前記ポリカーボネート樹脂PC1を100部、酸化防止剤として上記式AD−2を4重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05部をテトラヒドロフラン(以下適宜THFと略)とトルエン(以下適宜TLと略)の混合溶媒(THF 80重量%、TL
20重量%)600部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<画像試験>
作製した感光体ドラムA6を、沖データ社製カラープリンターMICROLINE Pro 9800PS−E用のブラックドラムカートリッジに装着した。次に、特開2007−213050の現像用トナーAの製造方法(乳化重合凝集法)に従って製造した現像用トナー(体積平均粒径7.05μm、Dv/Dn=1.14、平均円形度0.963)をブラックトナーカートリッジに搭載した。これらのドラムカートリッジ、トナーカートリッジを上記プリンターに装着した。
MICROLINE Pro 9800PS−Eの仕様
4連タンデム
カラー36ppm、モノクロ40ppm
1200dpi
接触ローラ帯電(直流電圧印加)
LED露光
除電光あり
温度35℃、湿度80%の環境で、10,000枚画像形成を行ったところ、クリーニング性が良好で、感光体汚染由来の欠陥もなく良好な画像が得られた。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (9)

  1. 感光層中に、下記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボ
    ネート樹脂であって、下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹
    脂中20ppm以上2000ppm以下であるポリカーボネート樹脂、及び下記式(A)
    又は(B)で表される電荷輸送物質を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写真
    感光体。
    Figure 0006524708
    (式(A)中、Ar及びArはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール
    基を表し、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、R及びRはそれぞれ独立し
    て水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
    Figure 0006524708
    (式(B)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
  2. 感光層中に、下記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボ
    ネート樹脂であって、下記式(3)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹
    脂中200ppm以上7000ppm以下であるポリカーボネート樹脂、及び下記式(A
    )又は(B)で表される電荷輸送物質を少なくとも1種含有することを特徴とする電子写
    真感光体。
    Figure 0006524708
    (式(A)中、Ar及びArはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアリール
    基を表し、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、R及びRはそれぞれ独立し
    て水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜5の整数を表す。)
    Figure 0006524708
    (式(B)中、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
  3. 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂に
    おいて、下記式(4)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が、樹脂中100p
    pm以上2000ppm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真
    感光体。
    Figure 0006524708
  4. 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂が
    、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応生物であることを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂が
    、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、及び水酸化セシウムからなる群から選ばれる少なく
    とも一種を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層が、下記式(C)で表される化合物、または下記式(D)で表される化合物
    を少なくとも一種含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006524708
    (式(C)中、R〜Rはそれぞれ独立してアルキル基を表す。)
    Figure 0006524708
    (式(D)中、R10〜R12はそれぞれ独立してアルキル基を表し、mは1〜3の整数
    を表す。)
  7. 前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂が
    、下記式(5)で表される構造単位を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006524708
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を
    帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装
    置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から
    選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる
    帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び
    、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴と
    する画像形成装置。
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