JP6521498B2 - ポリオール−エーテル化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオール−エーテル化合物及びその製造方法に関するものである。
従来、分子内に複数の水酸基とエーテル結合を併せ持つポリオール−エーテル化合物として、様々なものが合成され、広く工業的に利用されている。それらの中にあって、少なくとも3つ以上の一級水酸基とエーテル結合とを併せ持つものとしてジ−トリメチロールプロパン、ジ−ペンタエリスリトールなどが知られており、これらは近年需要が増加している重要な化合物である。
少なくとも3つ以上の一級水酸基とエーテル結合とを併せ持つポリオール−エーテル化合物の製造方法の開示例は多くない。その一つが、特許文献1の実施例に開示されている。特許文献1の実施例7には、ポリオール−エーテル化合物の製造方法として、トリメチロールプロパンオキセタンの開環によるネオペンチルグリコールとの縮合反応から、ネオペンチルグリコール−トリメチロールプロパンエーテルを得る方法が開示されている。一方、特許文献2によれば、(1)特定の水素化触媒存在下において脂肪族多価アルコールは水素化分解反応を受けやすい旨、及び(2)水素化分解を受けやすいのは末端1級水酸基である旨が記載されている。
国際公開第2001/14300号 特開2009−173551号公報
現在、ジ−トリメチロールプロパンはトリメチロールプロパン製造プラントからの、また、ジ−ペンタエリスリトールはペンタエリスリトールの製造プラントからの副産物である。そのため、これらを単独で製造することができず、他の化合物の生産量に依存しないポリオール−エーテル化合物の製造方法が望まれている。
さらに、ジ−トリメチロールプロパン及びジ−ペンタエリスリトールのような副産物のポリオール−エーテル化合物は、それぞれトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが二量化したような対称構造のポリオール−エーテル化合物である。そのため、様々な用途に応じて水酸基の数及び配置、分子の極性及び対称性などを変えることができるポリオール−エーテル化合物の製造方法が望まれている。
また、ポリオール−エーテル化合物に関する特許文献1に記載の方法では、原料のオキセタン化合物が高価である。さらに、オキセタン化合物は高い反応性を有し、副次的な反応が起きやすいために、ポリオール−エーテル化合物の反応選択率が低くなるという問題がある。
特許文献1に記載のネオペンチルグリコール−トリメチロールプロパンエーテルは3つの一級水酸基とエーテル結合とを併せ持ち、且つ、水酸基がエーテル結合に対して非対称に配置されたポリオール−エーテル化合物の例である。この化合物が有する3つの水酸基はエーテル結合に対して1:2に分配されているため、例えばデンドリマーなどに代表される特異的に分岐した有用な高分子化合物の合成に用いることができる。しかしながら、更に高度に且つ特異的に分岐した高分子化合物を合成するには、より多くの水酸基を有し、且つ水酸基がエーテル結合に対して非対称に配置されており、その分配比がより高いポリオール−エーテル化合物が望まれている。
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、ポリオール−エーテル化合物を効率良く製造する方法及びその製造方法により得られる新規なポリオール−エーテル化合物を提供することにある。
本発明者らは、ポリオール−エーテル化合物を効率良く製造する方法について鋭意研究を重ねた。その結果、水素化触媒の存在下に特定の環状アセタール化合物を水素化することによりポリオール−エーテル化合物を効率良く製造する方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
<1>
ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウム、銅、銀、モリブデン、タングステン、クロム及びレニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水素化触媒と反応溶媒との存在下に下記一般式(1)で表される化合物を水素化還元することにより、下記一般式(2)で表されるポリオール−エーテル化合物を得る、ポリオール−エーテル化合物の製造方法であって、
前記水素化触媒がパラジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、及び/又は、前記反応溶媒がジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン及びn−ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、製造方法
(式(1)及び式(2)において、R1及びR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基あるいはヒドロキシメチル基を示す。)
<2>
前記R3がメチル基又はエチル基である<1>に記載の製造方法。
<3>
前記R3がヒドロキシメチル基である<1>に記載の製造方法。
<4>
前記R1及び前記R2がいずれもメチル基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>
前記水素化触媒がパラジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、前記反応溶媒がジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン及びn−ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>
前記水素化触媒はパラジウムを含む固体触媒である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>
前記水素化触媒はジルコニウム化合物又はアパタイト化合物を含む固体触媒である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
本発明の製造方法により、ポリオール−エーテル化合物を効率良く製造することができる。また、非対称な新規のポリオール−エーテル化合物を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその本実施形態のみに限定されない。本実施形態のポリオール−エーテル化合物の製造方法は、水素化触媒の存在下に下記一般式(1)で表される化合物を水素化還元することにより、下記一般式(2)で表されるポリオール−エーテル化合物を得るものである。
ここで、式(1)及び式(2)中、R1及びR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基あるいはヒドロキシメチル基を示す。式(1)で表される化合物には複数の幾何異性体が存在する場合がある。さらにR1とR2とが互いに異なる場合には、式(1)及び式(2)で表される化合物には複数の光学異性体が存在する。
<原料化合物>
本実施形態のポリオール−エーテル化合物の製造方法(以下、単に「製造法」ともいう。)に原料として用いる化合物は、上記一般式(1)で表される1,3−ジオキサン骨格を有する六員環アセタール化合物(以下、「化合物(1)」という。)である。
本実施形態に用いられる化合物(1)の合成原料や製法等に特に制限はなく、従来公知の方法で製造されたものを用いることができる。最も簡便で効率的な化合物(1)の製造法は、2−ヒドロキシメチル−2−置換−1,3−プロパンジオール又はペンタエリスリトール(2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール)と3−ヒドロキシ−2,2−ジ置換−プロピオンアルデヒドとを酸触媒などにより脱水環化させる方法である。また、それ以外にも、2−ヒドロキシメチル−2−置換−1,3−プロパンジオール又はペンタエリスリトールと3−ヒドロキシ−2,2−ジ置換−プロピオンアルデヒドの低級アルコールアセタールとのアセタール交換反応による製造法などであってもよい。
3−ヒドロキシ−2,2−ジ置換−プロピオンアルデヒドと2−ヒドロキシメチル−2−置換−1,3−プロパンジオールとを脱水環化して、化合物(1)を製造する場合に採用できる3−ヒドロキシ−2,2−ジ置換−プロピオンアルデヒドとしては、例えば、
3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2,2−ジエチル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2−メチル−2−エチル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロピル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2−エチル−2−ブチル−プロピオンアルデヒド、
3−ヒドロキシ−2−プロピル−2−ペンチル−プロピオンアルデヒド、及び
3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ヘキシル−プロピオンアルデヒド
が挙げられる。プロピオンアルデヒド骨格の2位の炭素原子に結合した置換基が一般式(1)におけるR1及びR2に該当する。
また、この場合に適用できる2−ヒドロキシメチル−2−置換−1,3−プロパンジオールとしては、例えば、
2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(トリメチロールエタン)、
2−ヒドロキシメチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(トリメチロールプロパン)、
2−ヒドロキシメチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、
2−ヒドロキシメチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、
2−ヒドロキシメチル−2−ペンチル−1,3−プロパンジオール、
2−ヒドロキシメチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、及び
ペンタエリスリトール(2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール)
が挙げられる。1,3−プロパンジオールの2位の炭素原子には、ヒドロキシメチル基及び上記一般式(1)におけるR3に該当する置換基が結合している。
上記一般式(1)のR1及びR2としては、例えば、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、及び1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。これらの中では、R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基又は1−メチルエチル基(イソプロピル基)であると好ましい。R1及びR2が共にメチル基であるとより好ましい。
上記一般式(1)のR3としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、及びヒドロキシメチル基が挙げられる。これらの中では、R3がメチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)又はヒドロキシメチル基であると好ましい。また、R3がメチル基、エチル基又はヒドロキシメチル基であるとさらに好ましい。
1及びR2とR3との組み合わせとしては、それぞれにおいて例示した上記のもののいずれの組み合わせであってもよい。
また、本実施形態によれば化合物(1)の置換基を適宜選択することにより、水酸基の数や分子の極性などを変えることが可能であり、工業的な利用に適した所望のポリオール−エーテル化合物のみを製造できる利点がある。
また、化合物(1)を2種以上用い、本実施形態により2種以上のポリオール−エーテル化合物を製造してもよい。その場合に用いられる2種以上の化合物(1)の組み合わせ及び比率について特に制限はない。
<水素化触媒>
I.特定金属成分
本実施形態において用いられる水素化触媒の有効成分としては、接触水素化能を有する金属元素(以下、「特定金属成分」という。)が挙げられる。特定金属成分としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウム、銅、銀、モリブデン、タングステン、クロム及びレニウムが挙げられる。特定金属成分は、水素化能を示すのであれば、金属の状態であっても、陽イオンの状態であってもよい。
これらの中では、一般的には、金属状態の方が、水素化能が強く、還元雰囲気下で安定であるため、金属の状態であることが好ましい。特定金属成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて、固体触媒に含有された状態で用いることができる。特定金属成分を2種以上用いる場合、それらの組み合わせ、混合比率及び形態について特に制限はなく、個々の金属の混合物、あるいは、合金又は金属間化合物のような形態で用いることができる。
本実施形態において、水素化触媒は、パラジウム、白金、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種の特定金属成分を含む固体触媒であると好ましく、特に好ましくはパラジウムを特定金属成分として含む固体触媒である。
これらの特定金属成分の原料に特に制限はなく、従来公知の方法により触媒を調製する際に原料として用いられるものを採用できる。そのような原料としては、例えば、それぞれの金属元素の水酸化物、酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、アンミン錯体及びカルボニル錯体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の水素化触媒は、金属成分として特定金属成分を単独で又は接触水素化能を有しない他の金属元素と組み合わせて用いることもできる。特定金属成分を単独で用いる例としては、特定金属成分の金属微粉末で構成されるパラジウムブラック及び白金ブラックのような触媒、特定金属成分と接触水素化能を有しない他の金属元素とを組み合わせた例としては、特定金属成分とアルミニウムと少量の添加物とから合金を形成し、その後にアルミニウムの全部又は一部をリーチングさせることにより調製されるスポンジ触媒などが挙げられる。
II.特定添加成分
また、触媒の活性、選択性及び物性等を一層向上させるために、アルカリ金属元素としてリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウム、アルカリ土類金属元素としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム、ハロゲン元素としてフッ素、塩素、臭素及びヨウ素、補助添加元素として水銀、鉛、ビスマス、錫、テルル及びアンチモンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素の化合物(以下、「特定添加成分」という。)を、前述の特定金属成分と共に触媒に添加して用いることもできる。
これらの特定添加成分の原料に特に制限はなく、従来公知の方法により触媒を調製する際に原料として用いられたものを採用できる。そのような原料としては、例えば、それぞれの金属元素の水酸化物、酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩及びアンミン錯体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、特定添加成分の添加方法、及び特定添加成分と特定金属成分との比率についても特に制限はない。
III.特定非金属成分
本実施形態の水素化触媒において、特定金属成分に非金属物質を組み合わせて用いることもできる。非金属物質としては、例えば、主に、元素単体、炭化物、窒化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩及びリン酸塩が挙げられる(以下、「特定非金属成分」という。)。その具体例としては、例えば、グラファイト、ダイアモンド、活性炭、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、アルミノシリケート、アルミノシリコホスフェート、アルミノホスフェート、ボロホスフェート、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、水酸化アパタイト(ヒドロキシリン酸カルシウム)、塩化アパタイト、フッ化アパタイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム及び炭酸バリウムが挙げられる。特定非金属成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。2種以上を組み合わせて用いる場合の組み合わせや混合比率、形態については特に制限はなく、個々の物質の混合物、複合化合物、又は複塩のような形態で用いることができる。
工業的に用いる観点から、簡便で廉価に得られる特定非金属成分が好ましい。そのような特定非金属成分として好ましいのは、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物及びアパタイト化合物であり、より好ましくはジルコニウム化合物及びアパタイト化合物である。それらの中でも特に好ましいものは、酸化ジルコニウム及び水酸化アパタイト(ヒドロキシリン酸カルシウム)である。さらには、上述の特定添加成分を用いて、これらの特定非金属成分の一部又は全部を、修飾したりイオン交換したりしたものも用いることができる。
また、特定非金属成分として、特定金属成分の炭化物、窒化物及び酸化物なども用いることが可能である。ただし、これらを水素還元雰囲気下に晒すと、一部が金属にまで還元されるため、このような場合には、一部が特定金属成分となり、残りが非金属成分となるが、このような物質も用いることができる。このような場合の例としては、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化タングステン及び酸化クロムなどの酸化物が挙げられる。
IV.水素化触媒
本実施形態の水素化触媒として、特定金属成分を単独で用いてもよく、特定金属成分と特定非金属成分とを組み合わせて用いてもよく、場合によっては、これらに加えて特定添加成分を含んでもよい。本実施形態の水素化触媒の製造法は特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。その例として、特定金属成分の原料化合物を、特定非金属成分上に含浸する方法(担持法)、特定金属成分の原料化合物と特定非金属成分の原料化合物とを適当な溶媒に共に溶解させた後にアルカリ化合物などを用いて同時に析出させる方法(共沈法)、特定金属成分の原料化合物と特定非金属成分を適当な比率で混合均一化する方法(混練法)などが挙げられる。
水素化触媒の組成又は触媒調製法の都合によっては、特定金属成分を陽イオンの状態で調製した後に還元処理して、金属の状態とすることもできる。そのための還元方法及び還元剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限はない。還元剤としては、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、アンモニア、ヒドラジン、ホスフィン及びシランのような還元性無機ガス、メタノール、ホルムアルデヒド及びギ酸のような低級含酸素化合物、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化リチウムアルミニウムのような水素化物が挙げられる。これらの還元剤が存在する気相中又は液相中で、陽イオンの状態の特定金属成分を還元処理することにより、特定金属成分は金属の状態に変換される。この時の還元処理条件は、特定金属成分及び還元剤の種類や分量などにより、好適な条件に設定することができる。この還元処理の操作は、本実施形態の製造法における水素化還元の前に、別途、触媒還元装置を用いて行ってもよく、本実施形態の製造法に用いる反応器中で反応開始前又は反応操作と同時に行ってもよい。
また、本実施形態の水素化触媒の金属含有量及び形状にも特に制限はない。その形状は粉末状であっても成形したものであってもよく、成形した場合の形状及び成形法についても特に制限はない。例えば、球状品、打錠成形品及び押出成型品、並びにそれらを適当な大きさに破砕した形状を、適宜選択して用いることができる。
特に好ましい特定金属成分はパラジウムであり、これを用いた触媒について以下に詳細に述べる。
特定金属成分がパラジウムである場合、パラジウムが貴金属であることを考慮すると、その使用量は少なく、かつパラジウムが有効に利用されることが経済的に望まれる。そのため、パラジウムを触媒担体に分散させて担持して用いることが好ましい。
パラジウムの原料となるパラジウム化合物としては、水又は有機溶媒に可溶なパラジウム化合物が好適である。そのようなパラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム、テトラクロロパラジウム塩、テトラアンミンパラジウム塩、硝酸パラジウム及び酢酸パラジウムが挙げられる。これらの中では、水又は有機溶媒に対する溶解度が高く、工業的に利用しやすいので、塩化パラジウムが好ましい。塩化パラジウムは、塩化ナトリウム水溶液、希塩酸、アンモニア水等に溶解して用いることができる。
パラジウム化合物の溶液を触媒担体に添加するか、あるいは、触媒担体をパラジウム化合物の溶液に浸漬するなどして、触媒担体上にパラジウム又はパラジウム化合物を固定化する。固定化の方法は担体への吸着、溶媒留去による晶析、パラジウム化合物と作用する還元性物質及び/又は塩基性物質を用いた析出沈着のような方法が一般的であり、適宜好適な方法が用いられる。このような方法により調製される水素化触媒におけるパラジウムの含有量は、金属パラジウム換算で、水素化触媒の全量に対して0.01〜20質量%であると好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。パラジウムの含有量が0.01質量%以上であることにより、十分な水素化速度が得られ、化合物(1)の転化率が高くなる傾向がある。一方、パラジウムの含有量が20質量%以下であると、パラジウムの水素化触媒における分散効率が高くなる傾向があるので、より有効にパラジウムを用いることができる。
パラジウム化合物や触媒調製法の都合によっては、パラジウムは金属の状態ではなく、陽イオンの状態で担体に担持される場合がある。その場合、担持された陽イオンのパラジウム(例えば、パラジウム化合物の状態で存在)を金属パラジウムへ還元してから用いることもできる。そのための還元方法及び還元剤は、従来公知のものを採用することができ、特に制限はない。還元剤としては、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、アンモニア及びヒドラジンのような還元性無機ガス、メタノール、ホルムアルデヒド及びギ酸のような低級含酸素化合物、エチレン、プロピレン、ベンゼン及びトルエンのような炭化水素化合物、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化リチウムアルミニウムのような水素化物が挙げられる。陽イオンのパラジウムを還元剤と気相中又は液相中で接触させることにより、容易に金属パラジウムに還元することができる。この時の還元処理条件は、還元剤の種類及び分量などにより好適な条件に設定することができる。この還元処理の操作は、本実施形態の製造法における水素化還元の前に、別途、触媒還元装置を用いて行ってもよく、本実施形態の製造法に用いる反応器中で反応開始前又は反応操作と同時に行ってもよい。
本実施形態の特定金属成分と共に用いられる特定非金属成分として、好ましいものの1種はジルコニウム化合物であり、これを含む水素化触媒について、以下に詳細に述べる。
本実施形態に用いられるジルコニウム化合物は、好ましくは、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、ジルコン酸アルカリ土類塩、ジルコン酸希土類塩及びジルコンからなる群より選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせたものである。
特に好ましいジルコニウム化合物は酸化ジルコニウムであり、その製法に特に制限はない。例えば、一般的な方法として知られているのは、可溶性ジルコニウム塩の水溶液を塩基性物質で分解して、水酸化ジルコニウム又は炭酸ジルコニウムとし、その後に熱分解するなどして調製する方法である。このときのジルコニウム化合物の原料に制限はなく、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラアルコキシド、酢酸ジルコニウム及びジルコニウムアセチルアセトナートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、分解のために用いられる塩基性物質としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン類、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシム、水酸化カルシウム、水酸化ランタン、水酸化イットリウム及び水酸化セリウムが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
特定非金属成分として酸化ジルコニウムを用いる場合、その物性や形状などに特に制限はない。また、酸化ジルコニウムの純度にも、特に制限はなく、市販されている汎用から高純度品のレベルの純度のものを、適宜用いることができる。
本実施形態の特定金属成分と共に用いられる特定非金属成分として、好ましいものの別の1種はアパタイト化合物であり、これを含む水素化触媒について、以下に詳細に述べる。
本実施形態に用いられるアパタイト化合物としては、例えば、学術誌「触媒」,27(4),237−243(1985)に記載されているようなM10(ZO462の組成を有する六方晶系化合物が挙げられる。ここで、Mとしては、例えばカルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、イットリウム、ランタン及びセリウムが挙げられ、Zとしては、例えば、リン、ヒ素、バナジウム及びクロムが挙げられ、Xとしては、例えば、水酸基、炭酸基、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。イオン半径などによる物理的な構造上の制約の範囲内において、M、Z及びXのいずれも、上記のうちの1種又は2種以上から構成されていてよい。また、アパタイト化合物は、非量論組成を有することも知られており、本実施形態のアパタイト化合物はそれも包含する。この非量論組成は、M10-a(HZO4a(ZO46-a2-aの一般式で表され、0<a≦1である。
これらの中では、Mがカルシウムであり、Zがリンであるものが好ましい。カルシウム及びリンを有するアパタイト化合物の製造法に特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、例えば、適当なリン酸塩とカルシウム塩とを、化学量論比にてよく混合した後に加熱する方法(固相法)、カルシウム陽イオン含有溶液とリン酸陰イオン含有溶液とを塩基性条件で混合させて沈殿物として得る方法(沈殿法)、難水溶性のリン酸カルシウムを出発物質とし、これを塩基性条件下で加水分解してアパタイトへ転化させる方法(加水分解法)、難水溶性のリン酸カルシウムを密封耐圧容器内で水熱処理する方法(水熱合成法)が挙げられ、適宜好適な方法が採用される。
また、アパタイト化合物は、陰イオン交換性を有し、上述のXに相当する部分はアパタイト化合物として合成した後であっても、容易に陰イオン交換できることが知られている。炭酸基、重炭酸基、水酸基、塩化物及びフッ化物等の陰イオンの1種又は2種以上を有するリン酸カルシウムアパタイトであって、その一部又は全部が合成時とは異なる陰イオンで交換されたものも、本実施形態のアパタイト化合物に包含される。このようなアパタイト化合物は、例えば、水酸化リン酸カルシウムを合成し、これに塩化物又はフッ化物イオンを含む溶液を接触させる方法、あるいは、特定金属成分又は特定添加成分の原料の一部として含まれる陰イオンを、担体として用いるアパタイト化合物への特定金属成分又は特定添加成分の担持処理時に、アパタイト化合物と接触させる方法により、少なくとも一部の陰イオンが交換されてもよい。このときのイオン交換処理における交換原料物質、濃度及び処理条件等に特に制限はなく、適宜好適な方法が用いられる。
ジルコニウム化合物及びアパタイト化合物に代表される特定非金属成分を触媒担体として用いる際、これらの担体の形状や粒径、気孔率などの物性値や金属成分を担持する方法などについても、特に制限はない。反応方式や条件に好適な形状、担体物性、担持方法などを適宜選択して用いることができる。
また、これらを触媒担体として用いる時のBET比表面積にも特に制限はなく、0.1〜400m2/g程度の一般的な比表面積のものを用いることができるが、1〜300m2/gのものが好ましく、10〜200m2/gのものがより好ましい。
本実施形態の水素化還元に用いられる溶媒については、原料である化合物(1)のみを用い無溶媒の環境下で反応を行ってもよく、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒を用いる場合、水素化還元に不活性な状態であれば、その種類や濃度に特に制限はない。ただし、化合物(1)よりも水素化触媒における特定金属成分と強く相互作用するような反応溶媒を用いると、極端に反応速度が低下したり、反応が停止したりすることがある。このような観点から、例えば、リン、窒素、硫黄を含有する化合物は、反応溶媒として用いない方が好ましいが、反応速度に大きく影響を与えない程度の微量であれば、用いてもよい。反応溶媒として好ましいのは、飽和炭化水素化合物、エステル化合物及びエーテル化合物であり、より好ましいのは、飽和炭化水素化合物及びエーテル化合物である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
反応溶媒としては、例えば、飽和炭化水素化合物として、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、2,2−ジメチル−ブタン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナン及びiso−ノナンやその異性体、n−デカン、n−ペンタデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンやその異性体及びデカリン;エステル化合物として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、n−酪酸メチル、n−酪酸エチル、n−酪酸ブチル、i−酪酸メチル、n−酪酸シクロヘキシル、i−酪酸シクロヘキシル及び吉草酸メチルやその異性体;並びに、エーテル化合物として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジiso−プロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジiso−ブチルエーテル、ジsec−ブチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルペンチルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、エチルシクロペンチルエーテル、エチルシクロヘキシルエーテル、プロピルシクロペンチルエーテル、プロピルシクロヘキシルエーテル、ブチルシクロペンチルエーテル、ブチルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン及びジメチル−1,4−ジオキサン並びにそれらの異性体が挙げられる。なお、本明細書において、反応溶媒としての飽和炭化水素化合物には、直鎖の、分岐した、及び環状のアルカンが包含される。
これらの中で、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、2,2−ジメチル−ブタン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジiso−プロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジiso−ブチルエーテル、ジsec−ブチルエーテル、メチルプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロピラン及び1,4−ジオキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ジiso−プロピルエーテル、1,4−ジオキサン及びノルマルヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本実施形態における水素化還元の反応系は、化合物(1)、又はそれと反応溶媒とを含む液相、水素ガスを含む気相、及び水素化触媒の固相から形成され、これらが共存して行われる反応形式であれば特に制限はない。本実施形態の水素化還元における反応容器のタイプは、管型、槽型、及び釜型などの従来公知のいずれかの形式を用いることができる。また、原料組成物の供給方法は、流通方式及び回分方式のいずれであってもよい。水素化触媒は、固定床、流動床及び懸濁床など従来公知のいずれかの方式を採用することができ、特に制限はない。固定床流通方式の場合、灌液流状態及び気泡流状態でも反応を行うことができる。原料液の流通方向は、重力方向へ流通するダウンフロー、それとは逆方法へ流通するアップフローのいずれであってもよく、原料ガスの供給方向も原料液に対して並流、向流のいずれであってもよい。
本実施形態の水素化還元における反応温度は、50〜350℃が好ましく、より好ましくは100〜300℃、更に好ましくは150〜280℃である。反応温度が50℃以上であると、より高い水素化速度が得られやすくなる傾向があり、350℃以下であると、原料の分解を伴う副反応をより抑制でき、目的物の収量を更に高めることができる傾向がある。
本実施形態の水素化還元における反応圧力は、好ましくは0.1〜30MPaであり、より好ましくは2〜15MPaである。反応圧力が0.1MPa以上であることにより、より高い水素化速度が得られやすくなり、化合物(1)の転化率が向上する傾向があり、30MPa以下であると、反応設備のコストをより低く抑えることができ、経済的に好ましい傾向がある。
本実施形態の水素化還元に用いられる水素ガスは、特に高純度に精製されたものでなくてもよく、通常、工業的な水素化反応に用いられている品質であってもよい。また、水素化反応が水素分圧に依存して促進されるため、用いられる水素ガスの純度は高い方が好ましい。ただし、水素ガスをヘリウム、アルゴン、窒素及びメタン等の反応に不活性なガスと混合してもよい。反応系内における化合物(1)に対する水素ガスの比率は、回分反応の場合は化合物(1)に対する水素ガスの仕込みモル比として、流通反応の場合は化合物(1)に対する水素ガスのモル換算の供給速度比として表すと、好ましくは0.1〜300、より好ましくは0.5〜100である。水素ガスの仕込みモル比及びモル換算の供給速度比が0.1以上であると、水素化反応がより促進される傾向があり、水素ガスの仕込みモル比及びモル換算の供給速度比が300以下であると、過剰な水素ガスを循環利用させるための設備コストをより低く抑えることができる傾向がある。
次に、本実施形態のポリオール−エーテル化合物について詳細に説明する。
分子内に3つの一級水酸基とエーテル結合とを併せ持ち、且つ水酸基がエーテル結合に対して非対称に配置されたポリオール−エーテル化合物としては、特許文献1に記載のネオペンチルグリコール−トリメチロールプロパンエーテルが知られている。この化合物が有する3つの水酸基はエーテル結合に対して1:2に分配されている。
一方、それ以上の一級水酸基を有し、且つ水酸基がエーテル結合に対して非対称に配置されており、その分配比がより高いポリオール−エーテル化合物は、例えばデンドリマーに代表される特異的に分岐した有用な高分子化合物の合成などの工業的な利用が期待されるものの、知られていない。
本実施形態によれば、上記製造方法により、更に詳細には、下記一般式(A)で表される化合物を水素化還元することにより、4つの一級水酸基を有し、且つ水酸基がエーテル結合に対して非対称に配置されており、その分配比が1:3のポリオール−エーテル化合物を容易に効率良く製造することもできる。本実施形態によって製造可能となる非対称で新規なポリオール−エーテル化合物は、下記一般式(B)で表されるものが含まれる。
ここで、式(A)において、R1及びR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基を示す。
ここで、式(B)において、R1及びR2は、上記一般式(A)におけるものと同義である。
上記一般式(B)で表される化合物(以下、化合物(B)ともいう。)の例としては、上記一般式(B)のR1及びR2が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、又は1−エチル−2−メチルプロピル基であるものが挙げられる。
これらの中では、R1及びR2がそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基又は2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)であると好ましい。R1及びR2が共にメチル基であるとより好ましい。
上記一般式(B)で表されるポリオール−エーテル化合物は新規物質である。
このようにして得られるポリオール−エーテル化合物は、分子内に少なくとも3つ以上の一級水酸基とエーテル結合とを併せ持ち、且つエーテル結合から見て非対称な構造の化合物であり、樹脂、塗料、接着剤などの工業原料として利用できる。
以下に、本発明の製造法について、実施例を挙げて、更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
水素化還元の反応成績の評価は、仕込原料、並びに反応液中の原料、及び生成したポリオール−エーテル化合物をガスクロマトグラフによって算出し、それぞれのモル数を基準として評価した。
原料アセタール(化合物(1))の転化率(%)=
100×[1−(反応液に残存する原料のモル数)/(仕込原料のモル数)]
各生成ポリオール−エーテル化合物の選択率(%)=
100×(目的とする生成物のモル数)/[(仕込原料のモル数)−(反応液に残存する原料のモル数)]
ただし、化合物(1)に異性体が存在する場合、それらの異性体を合算した値を用いた。
ガスクロマトグラフの測定には以下の機器を用いた。
装置:GC−2010 島津製作所製製品名
カラム:DB−1 アジレント・テクノロジー社製製品名
単離した化合物(B)の同定は1H−NMR測定及び13C−NMR測定によって行った。測定条件を下記に示す。
装置:ECA500 日本電子株式会社製製品名
1H−NMR
核種:1
測定周波数:500MHz
測定試料:5%CD3OD溶液
13C−NMR
核種:13
測定周波数:125MHz
測定試料:5%CD3OD溶液
さらに化合物(B)の分子量をGC−MS測定(化学イオン化法[CI+]、高分解能質量分析[ミリマス])により行った。測定条件を下記に示す。
装置:Agilent 7890A アジレント社製製品名、及び
ACCU−TOF−GCV(JMS−T100GCV) 日本電子株式会社製製品名
GC測定カラム:HP−5 アジレント・テクノロジー社製製品名
MS測定条件:化学イオン化法、イオン化電圧200eV、
イオン化電流300μA、検出器電圧1700V
クロマトグラフ法による生成物の単離には下記の材料を使用した。
充填剤:和光純薬製、商品名「ワコーゲルC−200」
展開溶媒:メタノール−クロロホルム
反応原料である化合物(1)(環状アセタール化合物)は以下の方法により調製した。
<原料調製例1>
(2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの調製)
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド(ヒドロキシピバルアルデヒド、三菱瓦斯化学株式会社製、純度99.8%)45.1gと、2−エチル−2―ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(トリメチロールプロパン、東京化成工業試薬)59.6g、と、ベンゼン706gと、粒状ナフィオン(商品名「NR−50」、シグマアルドリッチ社試薬)5.0gと、を2リットルの丸底フラスコに収容し、常圧下で生成する水をベンゼンと共沸させながらディーン・スターク・トラップを用いて系外へ抜き出して、水の留出が止まるまで反応させた。これを濾過した後に濃縮及び冷却することにより再結晶させて、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オール(以下、「化合物HTPA」と表記する。)の結晶を得た。下記にこの合成反応スキームを示す。
原料調製例1の化合物(1)合成反応
<原料調製例2>
(2−(5−ヒドロキシメチル−5−メチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの調製)
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド45.1gに代えて2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド(ヒドロキシピバルアルデヒド、三菱瓦斯化学株式会社製、純度99.8%)89.3gを用い、2−エチル−2―ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール59.6gに代えて2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロパン−1,3―ジオール(トリメチロールエタン、東京化成工業試薬)106.0gを用いた以外は原料調製例1と同様にして、2−(5−ヒドロキシメチル−5−メチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オール(以下、「化合物HTEA」と表記する。)の結晶を得た。下記にこの合成反応スキームを示す。
原料調製例2の化合物(1)合成反応
<原料調製例3>
(2−(5,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オールの調製)
2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド45.1gに代えて2,2−ジメチル−3−ヒドロキシ−プロピオンアルデヒド(ヒドロキシピバルアルデヒド、三菱瓦斯化学株式会社製、純度99.8%)27.3gを用い、2−エチル−2―ヒドロキシメチループロパン−1,3−ジオール59.6gに代えて2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール(ペンタエリスリトール、東京化成工業試薬)54.0gを用い、ベンゼンに代えてベンゼン−1,4−ジオキサン混合溶液を用いた以外は原料調製例1と同様にして、2−(5,5−ビス−ヒドロキシメチル−[1,3]ジオキサン−2−イル)−2−メチル−プロパン−1−オール(以下、「化合物HPEA」と表記する。)の結晶を得た。下記にこの合成反応スキームを示す。
原料調製例3の化合物(1)合成反応
<担体調製例1>
金属成分の担体として用いた酸化ジルコニウムを下記の方法で調製した。
酸化ジルコニウム(ZrO2)換算で25質量%の濃度のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液505gに、撹拌しながら28%アンモニア水15.5gを滴下することにより白色沈殿物を得た。これを濾過し、イオン交換水で洗浄した後に、110℃で10時間乾燥して含水酸化ジルコニウムを得た。これを磁製坩堝に収容し、電気炉を用いて空気中で400℃、3時間の焼成処理を行った後、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状酸化ジルコニウム(以下、「担体A」と表記する。)を得た。担体AのBET比表面積(窒素吸着法により測定。以下同様。)は102.7m2/gであった。
<担体調製例2>
金属成分の担体として用いたアパタイト化合物を下記の方法で調製した。
硝酸カルシウム四水和物78.7gを300.5gのイオン交換水に溶解し、そこに28%アンモニア水260mLを添加した。また、リン酸水素二アンモニウム26.4gをイオン交換水500.6gに溶解し、そこに28%アンモニア水150mLとイオン交換水150mLとを添加した。硝酸カルシウム−アンモニア溶液を撹拌しながら、そこにリン酸水素二アンモニウム−アンモニア溶液を少しずつ添加したところ、徐々に白濁して白色沈殿物を得た。添加終了後、約2時間撹拌した後に静置した。次いで、静置後のものを濾過し、イオン交換水で洗浄した後に、110℃で10時間乾燥し、次に電気炉を用いて空気中で500℃、3時間の焼成処理を行った。その後、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状水酸化アパタイト(以下、「担体B」と表記する。)を得た。担体BのBET比表面積は60.7m2/gであった。
<触媒調製例1>
パラジウムを特定金属成分とする触媒を下記の方法で調製した。
5.0gの担体Aに0.66質量%塩化パラジウム−0.44質量%塩化ナトリウム水溶液を添加し、担体A上に金属成分を吸着させた。そこにホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液を注加して吸着した金属成分を瞬時に還元した。その後、イオン交換水により触媒を洗浄し、乾燥することにより1.0質量%パラジウム担持酸化ジルコニウム触媒(以下、「A1触媒」と表記する。)を調製した。
<触媒調製例2>
パラジウムを特定金属成分とする触媒を以下の方法で調製した。
5.0gの担体Bに0.32質量%酢酸パラジウム−アセトン溶液を添加し、吸着させた後に、アセトンを蒸発、乾固させて酢酸パラジウムを担体Bに担持した。これを磁製坩堝に収容し、電気炉を用いて空気中で400℃、3時間の焼成処理を行った。焼成処理後のものを水素ガス気流下、110℃で還元して、1.0質量%パラジウム担持アパタイト触媒(以下、「B1触媒」と表記する。)を調製した。
<触媒調製例3>
B1触媒3.0gを5.9質量%塩化ナトリウム水溶液に添加し、2時間撹拌して、イオン交換処理を行った。その後にイオン交換水で触媒を濾過洗浄、乾燥することにより、部分的に塩化物にイオン交換された水酸化アパタイト担体の1.0質量%パラジウム担持触媒(以下、「B2触媒」と表記する。)を調製した。ICP発光分析により元素分析を行った結果、この触媒は全水酸基の約5%に相当する塩素を含んでいた。
水素還元反応は以下の方法で実施した。
<実施例1>
100mLのSUS製反応器内に、A1触媒0.60g、化合物HTPA 2.0g、及びジイソプロピルエーテル24.0gを収容し、反応器内を窒素ガスで置換した。その後、反応器内に水素ガスを8.5MPa充填し、反応温度である210℃へ昇温して6時間反応させた。その後に冷却して反応器の内容物を回収し、ガスクロマトグラフィーで分析した。
その結果、化合物HTPAの転化率は82.3%であり、生成物の2−エチル−2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシメチル)−プロパン−1,3−ジオール(以下、「化合物NTPE」と表記する。)への選択率は85.0%であった。
下記に実施例1における反応スキームを示す。
<実施例2>
ジイソプロピルエーテル24.0gに代えて1,4−ジオキサン24.0gを用い、反応温度を210℃から230℃に、反応時間を6時間から9時間に代えた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は82.7%であり、化合物NTPEへの選択率は79.8%であった。
<実施例3>
A1触媒0.60gに代えてB1触媒1.00gを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は82.6%であり、化合物NTPEへの選択率は72.7%であった。
<実施例4>
A1触媒0.60gに代えてB2触媒1.02gを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は84.7%であり、化合物NTPEへの選択率は76.8%であった。
<実施例5>
1,4−ジオキサン24.0gに代えてn−ヘキサン24.0gを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は86.9%であり、化合物NTPEへの選択率は63.2%であった。
<実施例6>
化合物HTPA 2.0gに代えて化合物HTEA 1.8gを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTEAの転化率は95.5%であり、生成物の2−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシメチル)−2−メチル−プロパン−1,3−ジオールへの選択率は79.4%であった。
下記に実施例6における反応スキームを示す。
<実施例7>
化合物HTPA 2.0gに代えて化合物HPEA 1.8gを用い、反応時間を9時間から12時間に代えた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HPEAの転化率は87.8%であり、生成物の3−(3−ヒドロキシ−2,2−ビス−ヒドロキシメチル−プロポキシ)−2,2−ジメチル−プロパン−1−オール(以下、「化合物NPEE」と表記する。)への選択率は68.8%であった。
下記に実施例7における反応スキームを示す。
また、上記クロマトグラフ法によって化合物NPEEを単離して、NMR分析において同構造を確認した。
(化合物NPEE)
さらにGC−MS分析(化学イオン化法[CI+]、高分解能質量分析[ミリマス])を用いて、化合物NPEEの分子量を測定した。化学イオン化法質量分析では、分子をほとんどフラグメント化させずにイオン化して質量分析するため、分子量の情報を得ることができ、同時に高分解能質量分析することで組成式として検証することができる。分子構造が保持されたままプロトン化された[M+H]+の質量数(分子量M+1)が223.15570であったことから、化合物NPEEの組成式はC10225と求められた。
また、化合物NPEEの融点を測定すると101℃であった。4価の類縁アルコールであるジトリメチロールプロパンの110℃及びペンタエリスリトールの260℃よりも低下しており、樹脂原料等としてのハンドリング性が改善していることが分かった。
<触媒調製例4>
白金を特定金属成分とする触媒を下記の方法で調製した。
5.0gの担体Aに0.90質量%塩化白金酸カリウム水溶液を添加し、担体A上に金属成分を吸着させた。そこにホルムアルデヒド−水酸化ナトリウム水溶液を注加して吸着した金属成分を還元した。その後、イオン交換水により触媒を洗浄し、乾燥することにより1.0質量%白金担持酸化ジルコニウム触媒(以下、「D1触媒」と表記する。)を調製した。
<実施例8>
A1触媒0.60gに代えてD1触媒2.42gを用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は48.0%であり、化合物NTPEへの選択率は50.5%であった。
<実施例9>
水素化触媒として市販の5質量%パラジウム担持アルミナ触媒(和光純薬工業社製、商品コード:163−13871)を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、化合物HTPAの転化率は75.8%であり、化合物NTPEへの選択率は61.5%であった。
<実施例10>
600mLのSUS製反応器内に、A1触媒9.2g、化合物HTPA 61.3g、及び1,4−ジオキサン321gを収容し、反応器内を窒素ガスで置換した。その後、反応器内に水素ガスを8.5MPa充填し、反応温度である230℃へ昇温して6時間反応させた。その後に冷却して反応器の内容物を回収し、ガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、化合物HTPAの転化率は97.7%であり、化合物NTPEへの選択率は85.5%であった。
本出願は、2013年4月18日出願の日本特許出願(特願2013−087738)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の製造法によれば、環状アセタール化合物である化合物(1)を水素化触媒によって水素還元することにより、ポリオール−エーテル化合物を効率良く製造することができる。また、非対称な新規ポリオール−エーテル化合物を得ることができる。

Claims (7)

  1. ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウム、銅、銀、モリブデン、タングステン、クロム及びレニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水素化触媒と反応溶媒の存在下に下記一般式(1)で表される化合物を水素化還元することにより、下記一般式(2)で表されるポリオール−エーテル化合物を得る、ポリオール−エーテル化合物の製造方法であって、
    前記水素化触媒がパラジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、及び/又は、前記反応溶媒がジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン及びn−ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、製造方法
    (式(1)及び式(2)において、R1及びR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6の直鎖の又は分岐したアルキル基あるいはヒドロキシメチル基を示す。)
  2. 前記R3がメチル基又はエチル基である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記R3がヒドロキシメチル基である、請求項1記載の製造方法。
  4. 前記R1及び前記R2がいずれもメチル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記水素化触媒がパラジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、前記反応溶媒がジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン及びn−ヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記水素化触媒はパラジウムを含む固体触媒である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記水素化触媒はジルコニウム化合物又はアパタイト化合物を含む固体触媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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