以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、第1実施形態に係るカメラシステム1100の外観斜視図である。カメラシステム1100は、交換レンズ1200が撮像装置としてのカメラボディ1300に装着されて構成されるレンズ交換式一眼レフカメラである。交換レンズ1200は、レンズマウント1221を備え、カメラボディ1300は、カメラマウント1321を備える。レンズマウント1221とカメラマウント1321が係合して、交換レンズ1200とカメラボディ1300が一体化されると、交換レンズ1200とカメラボディ1300はカメラシステム1100として機能する。
光軸1011と平行な矢印1021に沿って、レンズマウント1221をカメラマウント1321へ接近させ、レンズ指標1209とボディ指標1340が対向するように両者を接触させる。さらに、レンズマウント1221のマウント面とカメラマウント1321のマウント面の接触を保ったまま、交換レンズ1200を矢印1022の方向へ回転させる。そうすると、ロックピン1350によるロック機構が作動し、交換レンズ1200はカメラボディ1300に固定される。この状態において、交換レンズ1200側の接続端子とカメラボディ1300側の接続端子とは電気的に接続される。これにより、互いに制御信号等の通信および電力の授受を行うことができる。
交換レンズ1200は、切替部としてのフォーカス制限切り替えスイッチ1201と、フォーカスリング1202とを備える。フォーカス制限切り替えスイッチ1201は、フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲と、第1範囲とは異なる範囲である第2範囲とを切り替える。使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ1201を切り替えることにより、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択することができる。本実施形態においては、第1範囲はフォーカス制限がなされていない範囲であり、第2範囲は第1範囲よりも狭い範囲、すなわちフォーカス制限がなされた範囲である。本実施形態においては、第2範囲として2つのフォーカスリミットが設定されている。詳しくは後述するが、無限領域用のフォーカスリミットと、至近領域用のフォーカスリミットとが設定されている。
使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ1201をFULLに切り替えることにより第1範囲に設定でき、LIMIT1に切り替えることにより無限領域用のフォーカスリミットに設定でき、LIMIT2に切り替えることにより至近領域用のフォーカスリミットに設定できる。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ1201を切り替えることにより、3ポジションのうちのいずれか1つを選択することができる。フォーカスレンズユニットの移動範囲を制限することにより、フォーカス合焦時間を短縮することができる。交換レンズ1200は、フォーカス制限切り替えスイッチ1201が3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかに関わらず、第1範囲に関する第1情報と、第2範囲に関する第2情報との両方をカメラボディ1300に送信する。さらに、3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかを示す設定情報としてのスイッチ状態情報を送信する。
カメラボディ1300は、第1情報と第2情報との両方、およびスイッチ状態情報を受信する。カメラボディ1300は、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲でフォーカスレンズユニットを移動させる。ただし、詳しくは後述するが、カメラボディ1300側の撮影に関する設定状態によっては、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲で駆動させることが好ましくない場合がある。そこで、カメラボディ1300は、スイッチ状態情報に加えて、撮影に関する設定状態に応じて、第1範囲および第2範囲のいずれかの範囲を選択し、選択した範囲に従ってフォーカスレンズユニットを移動させる。撮影に関する設定状態に応じて、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択するので、当該駆動範囲を柔軟に決定することができる。
図2は、カメラシステム1100の構成を説明する図である。交換レンズ1200は、フォーカス制限切り替えスイッチ1201およびフォーカスリング1202に加えて、撮影光学系としての撮影レンズ1210、交換レンズ制御部1220、ズームレンズ駆動部1240、フォーカスレンズ駆動部1250、および検出部1260を備える。カメラボディ1300は、AFセンサ1307、撮像素子1308、A/D変換器1309、内部メモリ1310、画像処理部1311、記録媒体IF1312、表示制御部1313、表示部1314、操作部材1315、電源制御部1316、カメラボディ制御部1318、および電源スイッチ1323を備える。
交換レンズ制御部1220とカメラボディ制御部1318は、レンズマウント1221およびカメラマウント1321を介して互いに接続されている。交換レンズ制御部1220およびカメラボディ制御部1318は、相互に通信を実行しつつ協働して交換レンズ1200とカメラボディ1300とを制御する。
交換レンズ1200には、光学特性が異なる複数の種類が存在する。使用者は、任意の一つをカメラボディ1300へ装着することができる。交換レンズ1200に備えられた撮影レンズ1210は、複数の光学レンズ群から構成される。具体的には、撮影レンズ1210は、ズームレンズユニット1211と、フォーカスレンズユニット1212とを含んで構成される。撮影レンズ1210は、光軸1011に沿って入射する被写体光束をカメラボディ1300内に配置された撮像素子1308へ導く。
AFセンサ1307には、光学系を透過して入射する被写体光束の一部が導かれる。AFセンサ1307は、導かれた被写体光束の一部を受光する複数の光電変換素子列を有する。AFセンサ1307は、合焦状態にある場合には位相が一致した信号を出力し、前ピン状態または後ピン状態にある場合には、位相ずれした信号を出力する。位相のずれ量は、焦点状態からのずれ量に対応する。AFセンサ1307は、光電変換素子列の出力を相関演算することで位相差を検出して、位相差を示す位相差信号をカメラボディ制御部1318に出力する。カメラボディ制御部1318は、フォーカスレンズユニット1212を目標位置に移動させるための制御信号を交換レンズ制御部1220へ出力する。なお、カメラボディ1300は、撮像素子1308とは別体のAFセンサ1307を備える構成ではなく、測距機能を有する画素を含む撮像素子1308を備えてもよい。
撮像素子1308は、被写体像である光学像を光電変換する素子である。撮像素子1308として、CCDセンサ、CMOSセンサを用いることができる。撮像素子1308により光電変換された被写体像は、A/D変換器1309でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。画像データは、一旦内部メモリ1310に記憶される。内部メモリ1310は、高速で読み書きできるランダムアクセスメモリである。内部メモリ1310として、DRAM、SRAMを用いることができる。内部メモリ1310は、画像処理部1311が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割を担う。内部メモリ1310は、当該役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。
画像処理部1311は、設定されている撮影モード、使用者からの指示に則して、画像データを所定の画像フォーマットに従った画像データに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合には、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。そして、変換された画像データは、再び内部メモリ1310に格納される。
画像処理部1311によって処理された画像データは、記録媒体IF1312を介して、内部メモリ1310から記録媒体1400に記録される。記録媒体1400は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラボディ1300に対して着脱可能な不揮発性メモリである。画像処理部1311は、記録用に処理される画像データに並行して、表示用の画像データを生成する。生成された表示用の画像データは、表示制御部1313の制御に従って、表示部1314に表示される。記録の有無に関わらず、カメラボディ制御部1318が、画像処理部1311に逐次表示用の画像データを生成させ、表示部1314に表示させれば、電子ファインダ機能としてのライブビューを実現できる。また、後述するフォーカスリミットに関するインジケータ等を表示部1314に表示させることもできる。
電源制御部1316は、電源1410と通信して残電力の検出、電力供給の監視、給電等を行う。電源1410は、例えばバッテリにより構成される。
カメラボディ1300は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、カメラボディ制御部1318により直接的または間接的に制御される。カメラボディ制御部1318は、システムメモリ1317を含む。システムメモリ1317は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリ1317は、カメラシステム1100の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、カメラシステム1100の非動作時にも失われないように記録している。カメラボディ制御部1318は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ1310に展開して、カメラシステム1100の制御に利用する。カメラボディ制御部1318は、第1情報と共に第2情報を受信する受信部、撮影に関する設定情報に基づいて第1情報と第2情報のいずれかを選択する選択部、および選択された第1情報と第2情報のいずれかに従って、フォーカスレンズユニット1212の駆動を制御する制御部として機能する。カメラボディ制御部1318は、連続して取得される画像データを用いたコントラストAFの情報に応じて、特定の領域の被写体像が撮像素子1308の受光面上で合焦するように、フォーカスレンズユニット1212を駆動してもよい。
カメラシステム1100は、使用者からの操作を受け付ける操作部材1315を複数備えている。操作部材1315は、例えば、撮影モードの設定に用いられる。撮影モードとして、フルオートモード、シーンモード、マニュアルモードが含まれる。使用者は、操作部材1315を操作することにより、撮影モードを設定することができる。カメラボディ制御部1318は、これら操作部材1315が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。
カメラシステム1100は、操作部材1315の類としてレリーズスイッチを備える。レリーズスイッチは、押下げ方向に2段階に検知できる押しボタンで構成されている。カメラボディ制御部1318は、1段階目の押下げであるSW1の検知により撮影準備動作であるAF等を実行し、2段階目の押下げであるSW2の検知により撮像素子1308による被写体像の取得動作を実行する。
ズームレンズユニット1211は、カメラボディ制御部1318および交換レンズ制御部1220の統括制御のもと、ズームレンズ駆動部1240によって駆動される。ズームレンズ駆動部1240は、使用者の指示に応じてズームレンズユニット1211を駆動して、画角を変更する。
フォーカスレンズユニット1212は、カメラボディ制御部1318および交換レンズ制御部1220の統括制御のもと、フォーカスレンズ駆動部1250によって駆動される。フォーカスレンズ駆動部1250は、AFセンサ1307の情報に応じて、特定の領域の被写体像が撮像素子1308の受光面上で合焦するように、フォーカスレンズユニット1212を駆動する。フォーカスレンズ駆動部1250は、フォーカスレンズユニット1212を駆動するためのアクチュエータとしての駆動モータ1251と、フォーカスレンズユニット1212の位置を検出するためのエンコーダ1252とを含む。エンコーダ1252により検出されたフォーカスレンズユニット1212の現在位置を示す情報は、交換レンズ制御部1220を介してカメラボディ制御部1318へ送出される。
交換レンズ制御部1220は、システムメモリ1230を含む。システムメモリ1230は、交換レンズ1200に関する情報を記憶している。交換レンズ1200に関する情報として、フォーカス制限切り替えスイッチ1201を備えた交換レンズであることを示すレンズ機能情報、第1範囲を示す第1パルス情報と第2範囲を示す第2パルス情報との組、フォーカスリミットの表示に関する表示情報等を記憶している。第1パルス情報と第2パルス情報との組は、焦点距離に応じて複数記憶されている。フォーカスリミットの表示に関する表示情報は、フォーカス制限切り替えスイッチ1201の状態に応じた、フォーカスレンズユニット1212の制限ポジション情報、および現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数を含む。フォーカスリミットの表示に関する表示情報も、焦点距離に応じて複数記憶されている。
交換レンズ制御部1220は、カメラボディ制御部1318との通信が確立されると、交換レンズ1200に関する情報をカメラボディ制御部1318に送信する。例えば、上述のレンズ機能情報を送信する。その後、カメラボディ1300からのポーリングを受信する度に、第1パルス情報および第2パルス情報の組、並びにスイッチ状態情報を送信する。さらに、フォーカス制限切り替えスイッチ1201の状態に応じた、フォーカスレンズユニット1212の制限ポジション情報、現在のズームポジションにおけるフォーカスレンズユニット1212の距離ポジション情報、現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数を送信する。
交換レンズ制御部1220は、フォーカスレンズユニット1212の移動が許容される範囲が第1範囲に切り替えられている場合であっても、カメラボディからの指示によっては第2範囲で駆動モータ1251を駆動し、第2範囲に切り替えられている場合であっても、カメラボディ1300からの指示によっては第1範囲で駆動モータ1251を駆動する駆動制御部として機能する。交換レンズ制御部1220は、駆動モータ1251を駆動させてフォーカスレンズユニット1212を移動させ、エンコーダ1252により検出されたパルス情報に基づいて、駆動モータ1251の駆動を制御する。
検出部1260は、使用者の操作によるフォーカスリング1202の単位時間当たりの回転量を検出する。交換レンズ制御部1220は、使用者によりマニュアルフォーカス操作がなされた場合に、検出された単位時間当たりの回転量をカメラボディ制御部1318に送信する。そして、カメラボディ制御部1318からの駆動指示に応じて、フォーカスレンズユニット1212を駆動する。
図3は、第1範囲および第2範囲を説明する図である。図3(a)は、第1範囲を説明する図である。図3(b)、(c)は、第2範囲を説明する図である。特に、図3(b)は、無限領域用のフォーカスリミットを説明する図であり、図3(c)は、至近領域用のフォーカスリミットを説明する図である。本実施形態においては、無限端設計値をフォーカスレンズユニット1212の駆動範囲の基準、すなわち0パルスとして、後述する各種設計値および各種ソフトリミットのパルス数が定められている。
図3(a)に示すように、至近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。第1範囲においては、フォーカスレンズユニット1212は、無限端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、無限端設計値から無限側に無限端ソフトリミットが定められており、至近端設計値から至近側に至近端ソフトリミットが定められている。無限端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲として予め定められた無限側の端点を示す値である。至近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲として予め定められた至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、合焦可能範囲外であり、オーバーストロークの範囲である。カメラボディ1300がコントラストAFを実行している場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、一旦無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。そこで、本実施形態においては、無限端ソフトリミットを定めることにより、オーバーストロークの範囲を設けている。至近端ソフトリミットについても同様である。
無限領域用のフォーカスリミットにおいては、図3(b)に示すように、合焦可能範囲は、無限寄りに制限されている。より詳細には、至近端設計値から無限側に近端設計値が定められている。近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。フォーカスレンズユニット1212は、無限端設計値と近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、近端設計値と至近端設計値の間に近端ソフトリミットが定められている。近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲における至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および近端設計値から近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
至近領域用のフォーカスリミットにおいては、図3(c)に示すように、合焦可能範囲は、至近寄りに制限されている。より詳細には、無限端設計値から至近側に遠端設計値が定められている。遠端設計値は、合焦可能範囲における無限側の端点を示す値である。フォーカスレンズユニット1212は、遠端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、遠端設計値と無限端設計値の間に遠端ソフトリミットが定められている。遠端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲における無限側の端点を示す値である。遠端設計値から遠端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
図4は、第1情報および第2情報を説明する図である。上述のように、システムメモリ1230は、焦点距離に応じて、第1情報と第2情報との組を複数記憶している。ズームレンズユニット1211の焦点距離が35−100mmであれば、例えば、35−50mm、50−75mm、および75−100mmの3つの範囲のそれぞれに応じた、第1情報と第2情報との組を記憶している。図4においては、焦点距離が35−100mmの場合における、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲の両端を示す各種設計値、および合焦可能範囲の両端を示す各種ソフトリミットを示している。なお、図中の括弧で囲まれた各種設計値および各種ソフトリミットは、後述するように、カメラボディ1300に送信されなくてもよい。
交換レンズ1200は、フォーカス制限なしに対応する第1情報として無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットをカメラボディ1300へ送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として無限端設計値および至近端設計値を送信する。なお、無限端設計値は、0に固定されているので、交換レンズ制御部1220は、カメラボディ1300に送信しなくてもよい。
交換レンズ1200は、無限領域用のフォーカスリミットを示す第2情報として近端ソフトリミットを送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として近端設計値を送信する。なお、無限端ソフトリミットは、第1情報と重複するので送信しなくてもよい。また、至近領域用のフォーカスリミットを示す第2情報として遠端ソフトリミットを送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として遠端設計値を送信する。なお、至近端設計値および至近端ソフトリミットは、第1情報と重複するので送信しなくてもよい。
上述のように、無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットは、パルス数として設定されている。したがって、第1情報はパルス情報として表される。同様に、近端ソフトリミットおよび遠端ソフトリミットも、パルス数として設定されている。したがって、第2情報もパルス情報として表される。
カメラボディ1300は、フォーカスレンズユニット1212を移動させる場合、パルス数で表されるレンズ駆動量等の目標位置に関する制御信号駆動指示を、カメラボディ制御部1318から交換レンズ制御部1220に送信する。交換レンズ制御部1220は、カメラボディ制御部1318からフォーカスレンズユニット1212の駆動指示を受信した後、駆動モータ1251を駆動させてフォーカスレンズユニット1212を移動させる。交換レンズ制御部1220は、エンコーダ1252によりフォーカスレンズユニット1212の位置を検出させ、カメラボディ制御部1318から送信されたパルス数に到達するまで駆動モータ1251を駆動させる。ここで、例えば無限端から至近端までフォーカスレンズユニット1212を移動させる場合には、現在の焦点距離に応じた至近端設計値にて示されるパルス量分、フォーカスレンズユニット1212を駆動する。例えば、焦点距離が35−50mmであり、この焦点距離での至近端設計値が3000パルスであれば、カメラボディ制御部1318は3000パルス駆動する指示を交換レンズ制御部1220へ送信する。同様に、焦点距離が50−75mmであり、この焦点距離での至近端設計値が2800パルスとすると、カメラボディ制御部1318は2800パルス駆動する指示を交換レンズ制御部1220へ送信する。以上のように、焦点距離に応じて至近端設計値に示されるパルス数は異なっている。焦点距離に応じたパルス数を交換レンズ制御部1220に送信することにより、フォーカスレンズユニット1212の駆動を適切に制御することができる。
図5は、MF操作時におけるフォーカスリミットに関するインジケータの表示制御を説明する図である。図5(a)は、フォーカス制限なしの状態におけるMF操作画面の一例を示す。カメラボディ制御部1318は、MF操作画面に、表示バー1401と、フォーカスレンズユニット1212の現在位置を示す情報であるフォーカスレンズユニットポジション1402と、MF操作ガイド1403とを表示する。また、表示バー1401の遠端を示す指標1404と、近端を示す指標1405とを表示する。使用者は、表示バー1401でフォーカスレンズユニット1212の位置を確認しながら、フォーカスリング1202を操作することができる。
カメラボディ制御部1318は、現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数に応じて、フォーカスレンズユニットポジション1402を表示する。ここで、距離ポジションの分割数は、表示バー1401の表示における分解能を示す。例えば、分割数が100であれば、フォーカスレンズユニットポジション1402を100段階で表示することができる。本実施形態においては、分割数は無限端を基準に定められる。すなわち、無限端においてポジション値を0とする。そして、至近側に近づくにつれて、ポジション値は大きくなり、至近端においてポジション値が最も大きくなる。上述の例を用いると、至近端においてポジション値は99となる。カメラボディ制御部1318は、距離ポジション情報に示される距離ポジション値に従って、フォーカスレンズユニットポジション1402を表示する。以上のようにして、カメラボディ制御部1318は、表示バー1401における、フォーカスレンズユニット1212の現在位置に相当する位置に対応させて、フォーカスレンズユニットポジション1402を表示する。
フォーカスレンズユニットポジション1402の表示は、使用者によるフォーカスリング1202の操作に応じて変化する。フォーカスレンズユニット1212において現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数を100とした場合に、フォーカスレンズユニットポジション1402を示す変数Xは、以下の数式(1)により算出される。
X=(1−((A−C)/(B−C)))×100・・・(1)
ただし、Aは現在のフォーカスレンズユニットポジション1402を示し、Bは近端のポジション値を示し、Cは遠端のポジション値を示す。また、フォーカスレンズユニットポジション1402は、最至近を0として定められる。なお、A−C≦0の場合には、AをCに置き換えてXを算出し、B−A≦0の場合には、AをBに置き換えてXを算出する。カメラボディ制御部1318は、スイッチ状態情報に示される状態に応じて、近端のポジション値および遠端のポジション値を決定する。
図5(b)は、スイッチ状態情報に示される状態と遠端ポジション値との関係を示し、図5(c)は、スイッチ状態情報に示される状態と近端ポジション値との関係を示す。遠端のポジション値および近端のポジション値のそれぞれは、スイッチ状態情報に示される状態に応じて3通りの値を取り得る。
図5(b)に示すように、遠端のポジション値は、スイッチ状態情報がFULLを示す場合には、0に設定される。スイッチ状態情報がLIMIT1を示す場合にも、0に設定される。スイッチ状態情報がLIMIT2を示す場合には、遠端フォーカス制限ポジション値に設定される。遠端フォーカス制限ポジション値は、焦点距離に応じて設定されている。
図5(c)に示すように、近端のポジション値は、スイッチ状態情報がFULLを示す場合には、距離ポジションの分割数−1に設定される。スイッチ状態情報がLIMIT1を示す場合には、近端フォーカス制限ポジション値に設定される。近端フォーカス制限ポジション値は、焦点距離に応じて設定されている。スイッチ状態情報がLIMIT2を示す場合には、距離ポジションの分割数−1に設定される。
図6は、交換レンズ1200の定常シーケンスに係る処理の一例を示すフロー図である。本フローは、カメラボディ1300へのレンズ機能情報の送信処理、交換レンズ1200の初期化処理等を含む一連の起動シーケンスが終了した後に開始される。初期化処理においては、交換レンズ制御部1220は、カメラボディ制御部1318から初期化実行コマンドを受信すると、初期処理開始時のスイッチ状態情報に応じた範囲へフォーカスレンズユニット1212を駆動する。
交換レンズ制御部1220は、カメラボディ制御部1318からのポーリングを受信したかを判定する(ステップS1101)。ポーリングを受信したと判定した場合には(ステップS1101でYES)、スイッチ状態情報および選択されている焦点距離を示す焦点距離情報を取得する(ステップS1102)。そして、焦点距離情報に応じた各種設計値および各種ソフトリミットを取得する(ステップS1103)。例えば、選択されている焦点距離が35−50mmであれば、図4に示した35−50mmに対応する各種設計値および各種ソフトリミットを取得する。
交換レンズ制御部1220は、焦点距離情報に応じたフォーカスリミットの表示に関する表示情報を取得する(ステップS1104)。交換レンズ制御部1220は、取得した表示情報を用いて、図5で説明したように、フォーカスレンズユニットポジション1402の距離ポジション値を算出する(ステップS1105)。そして、取得した各種設計値および各種ソフトリミット、スイッチ状態情報、表示情報、並びに算出した距離ポジション値をカメラボディ制御部1318に送信する(ステップS1106)。交換レンズ制御部1220は、電源がオフされたかを判定し(ステップS1107)、電源がオフされていないと判定した場合に(ステップS1107でNO)、ステップS1101に移行する。電源がオフされたと判定した場合に(ステップS1107でYES)、一連の処理を終了する。
以上のように、交換レンズ制御部1220は、ポーリングを受信する度に、フォーカスリミットに関する情報をカメラボディ制御部1318に送信する。したがって、カメラボディ1300は、最新のフォーカスリミットの範囲を用いて、レンズ制御および表示制御を行うことができる。
図7は、カメラボディ1300によるフォーカスレンズユニット1212の駆動範囲の選択処理の一例を示すフロー図である。本フローは、カメラボディ制御部1318が定常シーケンスにより交換レンズ1200からフォーカスリミットに関する情報およびスイッチ状態情報を受信すると開始される。受信したフォーカスリミットに関する情報およびスイッチ状態情報は、内部メモリ1310に保持される。
カメラボディ制御部1318は、装着されている交換レンズ1200がフォーカス制限切り替えスイッチを備えているかを判定する(ステップS1201)。カメラボディ制御部1318は、起動シーケンスにより交換レンズ1200から送信されたレンズ機能情報を参照することにより判定することができる。交換レンズ1200がフォーカス制限切り替えスイッチを備えていないと判定した場合には(ステップS1201でNO)、後述の処理を実行することなく処理を終了する。
交換レンズ1200がフォーカス制限切り替えスイッチを備えていると判定した場合には(ステップS1201でYES)、カメラボディ制御部1318は、内部メモリ1310からスイッチ状態情報を取得する(ステップS1202)。そして、スイッチ状態情報および撮影に関する設定情報に応じて、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲を選択する。具体的には、スイッチ状態情報がFULLに設定されているかを判定し(ステップS1203)、スイッチ状態情報がFULLに設定されていることを示す場合には(ステップS1203でYES)、撮影モードがマクロモードに設定されているかを判定する(ステップS1204)。撮影モードがマクロモードに設定されている場合には(ステップS1204でYES)、至近領域用のフォーカスリミットを選択する(ステップS1205)。以上のように、たとえスイッチ状態情報がFULLに設定されていたとしても、カメラボディ1300側の設定を優先して至近領域用のフォーカスリミットを選択する。
撮影モードがマクロモードに設定されていない場合には(ステップS1204でYES)、さらに遠景モードに設定されているかを判定する(ステップS1206)。遠景モードに設定されている場合には(ステップS1206でYES)、無限領域用のフォーカスリミットを選択する(ステップS1207)。以上のように、たとえスイッチ状態情報がFULLに設定されていたとしても、カメラボディ1300側の設定を優先して無限領域用のフォーカスリミットを選択する。遠景モードに設定されていない場合には(ステップS1206でNO)、フォーカス制限なしを選択する(ステップS1208)。
スイッチ状態情報がFULLに設定されていることを示さない場合、すなわちLIMIT1またはLIMIT2に設定されていることを示す場合には(ステップS1203でNO)、撮影モードがフルオートまたはマニュアルモードに設定されているかを判定する(ステップS1209)。フルオートに設定されている場合には(ステップS1209でYES)、シーンに応じた最適な状態で撮影することが好ましい。そこで、たとえフォーカス制限切り替えスイッチ1201がLIMIT1またはLIMIT2に切り替えられていたとしても、フルオートの設定を優先する。したがって、フォーカス制限なしを選択する(ステップS1210)。また、マニュアルモードに設定されている場合には(ステップS1209でYES)、そもそも使用者の意思により操作されるので、フォーカスリミットを設けずに、使用者の操作を尊重することが好ましい。したがって、フォーカス制限なしを選択する(ステップS1210)。
フルオートおよびマニュアルモードのいずれにも設定されていない場合には(ステップS1201)、スイッチ状態情報に応じてフォーカスリミットを選択する。具体的には、LIMIT1に設定されている場合には(ステップS1211でYES)、無限領域用のフォーカスリミットを選択し、LIMIT1に設定されていない場合、すなわちLIMIT2に設定されている場合には(ステップS1211でNO)、至近領域用のフォーカスリミットを選択する(ステップS1213)。
カメラボディ制御部1318は、いずれかの範囲を選択すると、一連の処理を終了する。なお、カメラボディ制御部1318は、以上のように駆動範囲を選択すると、SW1を検知した場合には、選択した範囲でフォーカスレンズユニット1212を移動させる。
図8は、フォーカスリミットに関するインジケータの表示制御を説明する図である。図8(a)、(b)、(c)は、図3(a)、(b)、(c)と同一である。図8(d)は、フォーカスリミットに関する表示例を示す。図8(d)は、図5(a)に示したMF操作画面におけるインジケータに関する表示例と同一である。
図8(a)、(d)に示すように、カメラボディ制御部1318は、第1範囲においては、無限端設計値を表示バー1401の遠端1406に対応させ、至近端設計値を表示バー1401の近端1407に対応させて表示する。カメラボディ制御部1318は、フォーカスレンズユニット1212が無限端設計値から無限端ソフトリミットまで移動する間、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまで移動する間に、フォーカスレンズユニットポジション1402の表示を変更しない。すなわち、フォーカスレンズユニット1212が合焦可能範囲として設定されている範囲を超えて移動する間におけるフォーカスレンズユニットポジション1402の表示を変更しない。この場合には、フォーカスレンズユニット1212は移動しているが、表示の上ではフォーカスレンズユニットポジション1402は移動しないことになる。
そこで、カメラボディ制御部1318は、例えば、フォーカスレンズユニット1212が無限端ソフトリミットまで到達したかを検出し、到達したことを検出すると、表示バー1401の表示の色を変化させてもよい。これにより、使用者は、MF操作を実行する場合に、フォーカスレンズユニットポジション1402の表示が変化しなかったとしても、無限端ソフトリミットに到達したと判断することができる。
図8(b)、(d)に示すように、カメラボディ制御部1318は、無限領域用のフォーカスリミットにおいては、無限端設計値を表示バー1401の遠端1406に対応させ、近端ソフトリミットを表示バー1401の近端1407に対応させて表示する。この場合にも、上述のように、カメラボディ制御部1318は、フォーカスレンズユニット1212が無限端ソフトリミットまで到達したかを検出し、到達したことを検出すると、表示バー1401の表示の色を変化させるとよい。図8(c)、(d)に示すように、カメラボディ制御部1318は、至近領域用のフォーカスリミットにおいては、遠端ソフトリミットを表示バー1401の遠端1406に対応させ、至近端設計値を表示バー1401の近端1407に対応させて表示する。
図9‐Aから図9‐Cは、フォーカスリミットに関するインジケータの表示制御を説明する図である。図9‐Aは、フォーカス制限なしの状態におけるフォーカスリミットに関する表示例を示す。図9‐Aは、図5(a)に示したMF操作画面におけるインジケータに関する表示例と同一である。図9‐B、図9‐Cは、無限領域用のフォーカスリミットの状態におけるフォーカスリミットに関する表示例を示す。
交換レンズ制御部1220は、フォーカスレンズユニット1212の移動が許容される範囲が第1範囲に設定されている場合と、第2範囲に設定されている場合とで、フォーカスレンズユニットの移動範囲に関するインジケータの表示を異ならせる。具体的には、図9‐Bに示すように、交換レンズ制御部1220は、フォーカスレンズユニットポジション1402の表示範囲を変更せずに、表示バー1401の少なくとも一部の指標1405を変更する。ここでは、指標1405として「7m」が表示されている。
また、図9‐Cに示すように、交換レンズ制御部1220は、指標1405を変更せずに、フォーカスレンズユニットポジション1402の表示範囲を変更してもよい。この場合には、近端ソフトリミットよりも至近側に移動できないことを示す移動禁止領域1408を表示するとよい。これにより、使用者は、近端ソフトリミットよりも至近側に移動できないことを視覚的に認識し易くなる。
以上の説明では、カメラボディ制御部1318は、撮影モードがフルオートまたはマニュアルモードに設定されていれば、フォーカス制限なしを選択したが、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の外部の装置により制御される場合に、フォーカス制限なしを選択してもよい。外部の装置によりカメラシステム1100が操作される場合には、使用者はカメラシステム1100から離れた位置(つまり、交換レンズ1200のフォーカス制限切り替えスイッチ1201を操作できない位置)で当該外部の装置の操作を行ってより細かな制御がなされる場合があるからである。
以上の説明では、カメラボディ制御部1318は、撮影モードがフルオートまたはマニュアルモードに設定されていれば、フォーカス制限なしを選択したが、撮影モードがフルオートまたはマニュアルモードの少なくとも一方に設定されている場合に、フォーカス制限ありを選択しても良い。これにより、フォーカス制限切り替えスイッチ1201を介した使用者の意志を反映させて、より柔軟な合焦駆動を行うことができる。
以上の説明では、フォーカスリミッタは交換レンズ1200側で設定されたが、カメラボディ1300側で設定されてもよい。この場合には、カメラボディ制御部1318は、フォーカスリミッタの設定を切り替えるためのメニュー画面を表示部1314に表示し、操作部材1315を介してなされる使用者の操作に応じて切り替えてもよい。また、カメラボディ制御部1318は、ポーリング時にスイッチ状態情報を交換レンズ1200に送信してもよい。交換レンズ制御部1220は、ポーリングを受信すると、第1情報および第2情報とともに、スイッチ状態情報に示される状態に対応する分割数、制限ポジション情報等を送信する。
以上の説明では、交換レンズ1200は、ズームレンズであったが、単焦点レンズであってもよい。この場合には、焦点距離は変化しないので、第1情報および第2情報は固定値となる。したがって、交換レンズ制御部1220は、第1情報および第2情報を一度送信すればよい。すなわち、定常シーケンスにおいてポーリングを受信する度に送信しなくてもよい。表示情報についても同様である。
以上の説明では、交換レンズ制御部1220は、第1情報および第2情報としてパルス数を送信したが、距離情報を送信してもよい。この場合には、カメラボディ1300は、距離情報を受信してパルス数に変換する。以上の説明では、無限端設計値を基準値としたが、他の値を基準値としてもよい。例えば至近端設計値を基準値としてもよい。以上の説明では、カメラボディ1300側の設定を優先して、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲を選択したが、交換レンズ1200側の設定とカメラボディ側の設定とのどちらを優先するかを、使用者の操作に応じて設定してもよい。これにより、使用者の意思をより反映させることができる。
以上の説明では、交換レンズ制御部1220は、フォーカス制限なしに対応する第1情報として無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットをカメラボディ1300へ送信したが、無限端設計値および至近端設計値を第1情報として送信してもよい。同様に、交換レンズ制御部1220は、無限領域用のフォーカスリミットとして、無限端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよいし、至近領域用のフォーカスリミットとして、遠端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよい。上述のように、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、実際には無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。これに対して、位相差方式で実行される場合には、無限端設計値よりも無限側に動かすことなく無限端設計値にピントを合わせることができる。したがって、交換レンズ制御部1220は、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合と、位相差方式で実行される場合とで、送信する第2情報を異ならせてもよい。オートフォーカスが位相差方式で実行される場合には、フォーカスレンズユニット1212の駆動範囲の両端ではなく、合焦可能範囲の両端の値を送信するとよい。
以上の説明では、交換レンズ1200は、第2情報として第1範囲よりも狭い範囲に関する情報である縮小情報を送信したが、第1範囲よりも広い範囲に関する情報である拡大情報を送信してもよい。例えば図3で説明した至近端ソフトリミットよりも至近寄りのパルス数を第2情報として送信する。この場合に、交換レンズ1200は、第1範囲と第2範囲のどちらが予め設定された基準以上の光学性能が保証される推奨駆動範囲であるかを示す推奨情報を合わせて送信してもよい。カメラボディ1300側で画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとのいずれかに設定されていれば、当該設定に応じてフォーカスレンズユニット1212の駆動範囲を選択するとよい。この場合には、切替部としてフォーカス制限切り替えスイッチ1201ではなく、画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとを切り替えるスイッチを設けるとよい。画質を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲に関する情報を選択する。一方で、ピント範囲を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲とは異なる範囲に関する情報を選択する。さらに、カメラボディ1300側の設定情報に応じて範囲を選択してもよい。例えば、撮影モードがフルオートモードに設定されている場合には、画質を優先するモードに設定されていたとしても、ピント範囲を優先すべく範囲を選択してもよい。また、切替部はAF速度を切り替えるスイッチであってもよい。特にコントラストAFにおいては、高速にAFを実行するモードに設定されている場合には、低速でAFを実行するモードに設定されている場合よりも、狭い範囲を選択する。
以上の説明では、第2範囲は、無限領域用のフォーカスリミットと至近領域用のフォーカスリミットを含んでいたが、いずれか一つでもよい。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ1201は、3ポジションではなく、2ポジションを切り替えるスイッチであってもよい。また、第2範囲は、3つ以上の範囲を含んでいてもよい。
以上の説明では、図7に示したように、カメラボディ制御部1318は、スイッチ状態情報に応じてフォーカス制限の範囲を切り替えたが、予め定められた条件下においては、フォーカス制限の範囲を切り替える切り替え処理を禁止してもよい。予め定められた条件としては、例えば、AFロック中であること、フォーカスレンズユニット1212が駆動中であることが挙げられる。切り替え処理が禁止されている場合には、条件が解除されるまで切り替え処理を保留、すなわち直前のフォーカス制限範囲での動作を継続する。そして、条件が解除されると、保留していた切り替え処理を実行する。切り替え処理はフォーカス制御状態がAFの場合にのみ行われてもよい。切り替え処理中および切り替え処理を保留している間には、カメラボディ制御部1318は、フォーカス制御状態の切替えおよびMF、AFの動作を行わなくてもよい。なお、フォーカス制御状態がMFの場合には、フォーカスレンズユニット1212の位置に関わらず、切り替え処理を行わないとしてもよい。この場合には、内部メモリ1310のスイッチ状態情報、各種設計値および各種ソフトリミットの更新のみを行う。
以上の説明では、フォーカスレンズユニット1212を目標位置に移動させるための制御信号としてパルス数を挙げたが、移動量または目標位置の少なくとも一方が伝達できればこの形態に限られない。
図10は、第2実施形態に係るカメラシステム2100の外観斜視図である。カメラシステム2100は、交換レンズ2200が撮像装置としてのカメラボディ2300に装着されて構成されるレンズ交換式一眼レフカメラである。交換レンズ2200は、レンズマウント2221を備え、カメラボディ2300は、カメラマウント2321を備える。レンズマウント2221とカメラマウント2321が係合して、交換レンズ2200とカメラボディ2300が一体化されると、交換レンズ2200とカメラボディ2300はカメラシステム2100として機能する。
光軸2011と平行な矢印2021に沿って、レンズマウント2221をカメラマウント2321へ接近させ、レンズ指標2209とボディ指標2340が対向するように両者を接触させる。さらに、レンズマウント2221のマウント面とカメラマウント2321のマウント面の接触を保ったまま、交換レンズ2200を矢印20222の方向へ回転させる。そうすると、ロックピン2350によるロック機構が作動し、交換レンズ2200はカメラボディ2300に固定される。この状態において、交換レンズ2200側の接続端子とカメラボディ2300側の接続端子とは電気的に接続される。これにより、互いに制御信号等の通信および電力の授受を行うことができる。
交換レンズ2200は、切替部としてのフォーカス制限切り替えスイッチ2201と、フォーカスリング2202と、AF/MF切り替えスイッチ2203とを備える。
AF/MF切り替えスイッチ2203は、フォーカス制御状態をMモードとM/Aモードとの間で切り替えられる。使用者は、AF/MF切り替えスイッチ2203をMに切り替えることにより、マニュアルフォーカス動作を実行できるMモードに設定できる。また、使用者は、AF/MF切り替えスイッチ2203をM/Aに切り替えることにより、オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを併用実行できるM/Aモードに設定できる。
レリーズスイッチ2360は、押下げ方向に2段階に検知できる押しボタンで構成されている。M/Aモード設定時には、使用者は、レリーズスイッチ2360を1段階目まで押下げることより、オートフォーカス動作を実行させることができる。さらに、使用者は、オートフォーカス動作が終了した後に、フォーカスリング2202を操作すれば、マニュアルフォーカス動作を実行できる。マニュアルフォーカス動作を追加的に実行することにより、一旦オートフォーカス動作で移動されたフォーカスレンズユニットを駆動させて合焦位置を修正することができる。上述のように、本実施形態においては、AF/MF切り替えスイッチ2203で選択できるモードはMモードとM/Aモードである。しかし、M/Aモードに替えて、フォーカスリング2202によるマニュアルフォーカス操作を許容しないオートフォーカスモードであるAモードを採用してもよい。
詳細は後述するが、本実施形態において、フォーカスリング2202とフォーカスレンズユニットとは機械的に連動しない。使用者がフォーカスリング2202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向の情報は、一旦電気信号に変換される。アクチュエータは、この電気信号に応じて、合焦位置を変更するために、フォーカスレンズユニットを光軸方向に駆動させる。
フォーカス制限切り替えスイッチ2201は、フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲と、第1範囲とは異なる範囲である第2範囲とを切り替える。使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201を切り替えることにより、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択することができる。本実施形態においては、第1範囲はフォーカス制限がなされていない範囲であり、第2範囲は第1範囲よりも狭い範囲、すなわちフォーカス制限がなされた範囲である。本実施形態においては、第2範囲として2つのフォーカスリミットが設定されている。詳しくは後述するが、無限領域用のフォーカスリミットと、至近領域用のフォーカスリミットとが設定されている。
使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201をFULLに切り替えることにより第1範囲に設定でき、LIMIT1に切り替えることにより無限領域用のフォーカスリミットに設定でき、LIMIT2に切り替えることにより至近領域用のフォーカスリミットに設定できる。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ2201を切り替えることにより、3ポジションのうちのいずれか1つを選択することができる。フォーカスレンズユニットの移動範囲を制限することにより、フォーカス合焦時間を短縮することができる。交換レンズ2200は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201が3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかに関わらず、第1範囲に関する第1情報と、第2範囲に関する第2情報との両方をカメラボディ2300に送信する。さらに、3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかを示す設定情報としてのスイッチ状態情報を送信する。
フォーカス制限切り替えスイッチ2201をLIMIT1もしくはLIMIT2に切り替えると、オートフォーカス動作中のフォーカスレンズユニットの駆動範囲は第2範囲に制限される。また、フォーカス制限切り替えスイッチ2201をLIMIT1もしくはLIMIT2に切り替えると、マニュアルフォーカス動作中のフォーカスレンズユニットの駆動範囲および駆動動作も後述するように制限される。
カメラボディ2300は、第1情報と第2情報との両方、およびスイッチ状態情報を受信する。カメラボディ2300は、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲でフォーカスレンズユニットを移動させる。ただし、詳しくは後述するが、カメラボディ2300側の撮影に関する設定状態によっては、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲で駆動させることが好ましくない場合がある。そこで、カメラボディ2300は、スイッチ状態情報に加えて、撮影に関する設定状態に応じて、第1範囲および第2範囲のいずれかの範囲を選択し、選択した範囲に従ってフォーカスレンズユニットを移動させる。撮影に関する設定状態に応じて、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択するので、当該駆動範囲を柔軟に決定することができる。
図11は、カメラシステム2100の構成を説明する図である。交換レンズ2200は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201、フォーカスリング2202およびAF/MF切り替えスイッチ2203に加えて、撮影光学系としての撮影レンズ2210、交換レンズ制御部2220、ズームレンズ駆動部2240、フォーカスレンズ駆動部2250、および第2エンコーダ2260を備える。カメラボディ2300は、AFセンサ2307、撮像素子2308、A/D変換器2309、内部メモリ2310、画像処理部2311、記録媒体IF2312、表示制御部2313、表示部2314、操作部材2315、電源制御部2316、カメラボディ制御部2318、外部通信部2319、および電源スイッチ2323を備える。
交換レンズ制御部2220とカメラボディ制御部2318は、レンズマウント2221およびカメラマウント2321を介して互いに接続されている。交換レンズ制御部2220およびカメラボディ制御部2318は、相互に通信を実行しつつ協働して交換レンズ2200とカメラボディ2300とを制御する。
交換レンズ2200には、光学特性が異なる複数の種類が存在する。使用者は、任意の一つをカメラボディ2300へ装着することができる。交換レンズ2200に備えられた撮影レンズ2210は、複数の光学レンズ群から構成される。具体的には、撮影レンズ2210は、ズームレンズユニット2211と、フォーカスレンズユニット2212とを含んで構成される。撮影レンズ2210は、光軸2011に沿って入射する被写体光束をカメラボディ2300内に配置された撮像素子2308へ導く。
AFセンサ2307には、光学系を透過して入射する被写体光束の一部が導かれる。AFセンサ2307は、導かれた被写体光束の一部を受光する複数の光電変換素子列を有する。AFセンサ2307は、合焦状態にある場合には位相が一致した信号を出力し、前ピン状態または後ピン状態にある場合には、位相ずれした信号を出力する。位相のずれ量は、合焦状態からのずれ量に対応する。AFセンサ2307は、光電変換素子列の出力を相関演算することで位相差を検出して、位相差を示す位相差信号をカメラボディ制御部2318に出力する。オートフォーカス動作時には、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212を目標位置に移動させるための制御信号を交換レンズ制御部2220へ出力する。なお、カメラボディ2300は、撮像素子2308とは別体のAFセンサ2307を備える構成ではなく、測距機能を有する画素を含む撮像素子2308を備えてもよい。
撮像素子2308は、被写体像である光学像を光電変換する素子である。撮像素子2308として、CCDセンサ、CMOSセンサを用いることができる。撮像素子2308により光電変換された被写体像は、A/D変換器2309でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。画像データは、一旦内部メモリ2310に記憶される。内部メモリ2310は、高速で読み書きできるランダムアクセスメモリである。内部メモリ2310として、DRAM、SRAMを用いることができる。内部メモリ2310は、画像処理部2311が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割を担う。内部メモリ2310は、当該役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。
画像処理部2311は、設定されている撮影モード、使用者からの指示に則して、画像データを所定の画像フォーマットに従った画像データに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合には、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。そして、変換された画像データは、再び内部メモリ2310に格納される。
画像処理部2311によって処理された画像データは、記録媒体IF2312を介して、内部メモリ2310から記録媒体2400に記録される。記録媒体2400は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラボディ2300に対して着脱可能な不揮発性メモリである。画像処理部2311は、記録用に処理される画像データに並行して、表示用の画像データを生成する。生成された表示用の画像データは、表示制御部2313の制御に従って、表示部2314に表示される。記録の有無に関わらず、カメラボディ制御部2318が、画像処理部2311に逐次表示用の画像データを生成させ、表示部2314に表示させれば、電子ファインダ機能としてのライブビューを実現できる。また、後述するフォーカスリミットに関するインジケータ等を表示部2314に表示させることもできる。
電源制御部2316は、電源2410と通信して残電力の検出、電力供給の監視、給電等を行う。電源2410は、例えばバッテリにより構成される。
カメラボディ2300は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、カメラボディ制御部2318により直接的または間接的に制御される。カメラボディ制御部2318は、システムメモリ2317を含む。システムメモリ2317は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリ2317は、カメラシステム2100の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、カメラシステム2100の非動作時にも失われないように記録している。カメラボディ制御部2318は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ2310に展開して、カメラシステム2100の制御に利用する。カメラボディ制御部2318は、第1情報と共に第2情報を受信する受信部、撮影に関する設定情報に基づいて第1情報と第2情報のいずれかを選択する選択部、および選択された第1情報と第2情報のいずれかに従って、フォーカスレンズユニット2212の駆動を制御する制御部として機能する。カメラボディ制御部2318は、連続して取得される画像データを用いたコントラストAFの情報に応じて、特定の領域の被写体像が撮像素子2308の受光面上で合焦するように、フォーカスレンズユニット2212を駆動してもよい。
カメラシステム2100は、使用者からの操作を受け付ける操作部材2315を複数備えている。操作部材2315は、例えば、撮影モードの設定に用いられる。撮影モードとして、フルオートモード、シーンモード、マニュアルモードが含まれる。使用者は、操作部材2315を操作することにより、撮影モードを設定することができる。カメラボディ制御部2318は、これら操作部材2315が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。
ズームレンズユニット2211は、カメラボディ制御部2318および交換レンズ制御部2220の統括制御のもと、ズームレンズ駆動部2240によって駆動される。ズームレンズ駆動部2240は、使用者の指示に応じてズームレンズユニット2211を駆動して、画角を変更する。
フォーカスレンズユニット2212は、カメラボディ制御部2318および交換レンズ制御部2220の統括制御のもと、フォーカスレンズ駆動部2250によって駆動される。フォーカスレンズ駆動部2250は、フォーカスレンズユニット2212を駆動するためのアクチュエータとしての駆動モータ2251と、フォーカスレンズユニット2212の位置を検出するための第1エンコーダ2252とを含む。第1エンコーダ2252により検出されたフォーカスレンズユニット2212の現在位置を示す情報は、交換レンズ制御部2220を介してカメラボディ制御部2318へ送出される。
AF/MF切り替えスイッチ2203が切り替えられると、スイッチの選択位置に応じた電気信号が交換レンズ制御部2220へ送られる。交換レンズ制御部2220は、受け取った電気信号に対応したフォーカス制御を行う。
オートフォーカス動作実行時には、フォーカスレンズ駆動部2250は、AFセンサ2307の情報に応じて、フォーカスレンズユニット2212を駆動する。具体的には、まずAFセンサは焦点状態からのずれ量に対応する位相差を示す位相差信号を、カメラボディ制御部2318に出力する。カメラボディ制御部2318は、この位相差信号を制御信号に変換する。そして、制御信号を交換レンズ制御部2220に送信する。交換レンズ制御部2220は、受信した制御信号をフォーカスレンズ駆動部2250に出力する。フォーカスレンズ駆動部2250は、この制御信号に応じて駆動モータ2251を駆動する。駆動モータ2251は、特定の領域の被写体像が撮像素子2308の受光面上で合焦する位置にフォーカスレンズユニット2212を移動させる。
また、マニュアルフォーカス動作実行時には、フォーカスレンズ駆動部2250は、使用者がフォーカスリング2202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向の情報に応じて、フォーカスレンズユニット2212を駆動する。具体的には、第2エンコーダ2260は、使用者がフォーカスリング2202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向を検出し、電気信号に変換する。そして、第2エンコーダ2260は、交換レンズ制御部2220を介して、当該電気信号をカメラボディ制御部2318に送信する。カメラボディ制御部2318は、受信した電気信号を単位時間当たりに駆動する駆動量と駆動方向を表す駆動制御信号に変換し、交換レンズ制御部2220へ送信する。交換レンズ制御部2220は、受信した当該制御信号をフォーカスレンズ駆動部2250に出力する。フォーカスレンズ駆動部2250は、この制御信号に応じて駆動パルスを生成して駆動モータ2251を駆動する。駆動モータ2251は、フォーカスレンズユニット2212を光軸方向に移動させて、合焦位置を変化させる。詳細は後述するが、フォーカスレンズユニット2212の移動が許容される範囲が第2範囲に切り替えられている場合には、オートフォーカス動作、マニュアルフォーカス動作は、それぞれ異なった制限を受ける。
交換レンズ制御部2220は、システムメモリ2230を含む。システムメモリ2230は、交換レンズ2200に関する情報を記憶している。交換レンズ2200に関する情報として、フォーカス制限切り替えスイッチ2201を備えた交換レンズであることを示すレンズ機能情報、第1範囲を示す第1パルス情報と第2範囲を示す第2パルス情報との組、フォーカスリミットの表示に関する表示情報等を記憶している。第1パルス情報と第2パルス情報との組は、焦点距離に応じて複数記憶されている。フォーカスリミットの表示に関する表示情報は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201の状態に応じた、フォーカスレンズユニット2212の制限ポジション情報、および現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数を含む。フォーカスリミットの表示に関する表示情報も、焦点距離に応じて複数記憶されている。
交換レンズ制御部2220は、カメラボディ制御部2318との通信が確立されると、交換レンズ2200に関する情報をカメラボディ制御部2318に送信する。例えば、上述のレンズ機能情報を送信する。その後、カメラボディ2300からのポーリングを受信する度に、第1パルス情報および第2パルス情報の組、並びにスイッチ状態情報を送信する。さらに、フォーカス制限切り替えスイッチ2201の状態に応じた、フォーカスレンズユニット2212の制限ポジション情報、現在のズームポジションにおけるフォーカスレンズユニット2212の距離ポジション情報、現在のズームポジションにおける距離ポジションの分割数を送信する。
交換レンズ制御部2220は、フォーカスレンズユニット2212の移動が許容される範囲が第1範囲に切り替えられている場合であっても、カメラボディからの指示によっては第2範囲で駆動モータ2251を駆動し、第2範囲に切り替えられている場合であっても、カメラボディ2300からの指示によっては第1範囲で駆動モータ2251を駆動する駆動制御部として機能する。交換レンズ制御部2220は、駆動モータ2251を駆動させてフォーカスレンズユニット2212を移動させ、第1エンコーダ2252により検出されたパルス情報に基づいて、駆動モータ2251の駆動を制御する。
図12は、第1範囲および第2範囲を説明する図である。図12(a)は、第1範囲を説明する図である。図12(b)、(c)は、第2範囲を説明する図である。特に、図12(b)は、無限領域用のフォーカスリミットを説明する図であり、図12(c)は、至近領域用のフォーカスリミットを説明する図である。本実施形態においては、図12(a)、図12(b)、図12(c)は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がそれぞれFULL、LIMIT1、LIMIT2に切り替えられた状態に対応する。本実施形態においては、無限端設計値をフォーカスレンズユニット2212の駆動範囲の基準、すなわち0パルスとして、後述する各種設計値および各種ソフトリミットのパルス数が定められている。
図12(a)に示すように、至近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット2212は、第1範囲の合焦可能範囲である無限端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、無限端設計値から無限側に無限端ソフトリミットが定められており、至近端設計値から至近側に至近端ソフトリミットが定められている。無限端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲として予め定められた無限側の端点を示す値である。至近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲として予め定められた至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、合焦可能範囲外であり、オーバーストロークの範囲である。カメラボディ2300がコントラストAFを実行している場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、一旦無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。そこで、本実施形態においては、無限端ソフトリミットを定めることにより、オーバーストロークの範囲を設けている。至近端ソフトリミットについても同様である。
無限領域用のフォーカスリミットにおいては、図12(b)に示すように、合焦可能範囲は、無限寄りに制限されている。より詳細には、至近端設計値から無限側に近端設計値が定められている。近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット2212は、合焦可能範囲である無限端設計値と近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、近端設計値と至近端設計値の間に近端ソフトリミットが定められている。近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲における至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および近端設計値から近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
至近領域用のフォーカスリミットにおいては、図12(c)に示すように、合焦可能範囲は、至近寄りに制限されている。より詳細には、無限端設計値から至近側に遠端設計値が定められている。遠端設計値は、合焦可能範囲における無限側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット2212は、合焦可能範囲である遠端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、遠端設計値と無限端設計値の間に遠端ソフトリミットが定められている。遠端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲における無限側の端点を示す値である。遠端設計値から遠端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
マニュアルフォーカス動作時には、第2範囲が選択されている場合には、フォーカスレンズユニット2212は、使用者の操作に応じて第2範囲内で移動できる。一方、具体的には後述するが、合焦可能範囲外では、使用者によるフォーカスレンズユニット2212の移動は制限される。なお、以下においては説明を簡便にするため、第2範囲として、使用者がフォーカス制限切り替えスイッチ2201を至近領域側の移動が制限されるLIMIT1に切り替えた場合について説明する。無限領域側が制限されるLIMIT2に切り替えた場合には、無限領域側が同様に制限されるのみの違いなので、説明を省略する。
図13は、マニュアルフォーカス操作時におけるフォーカスリミットに関するインジケータの表示の一例を示す。カメラボディ2300の表示部2314に表示されたライブビュー画像2430上に、フォーカスリミットに関するインジケータ画像2420が重畳表示されている様子を示している。
より具体的には、交換レンズ2200を通して撮像素子2308上に結像された被写体像は、撮像素子2308、A/D変換器2309および画像処理部2311によってライブビュー表示用の画像データに逐次変換される。カメラボディ制御部2318は、表示制御部2313を介して、当該ライブビュー表示用の画像データをライブビュー画像2430として表示部2314に表示する。また、カメラボディ制御部2318は、交換レンズ制御部2220から受信したフォーカスレンズユニット2212の位置情報、フォーカス制限切り替えスイッチ2201のスイッチ状態情報等からフォーカスリミットに関するインジケータ画像2420を生成する。そして、カメラボディ制御部2318は、表示制御部2313を介して、表示部2314のライブビュー画像2430に重ねて表示する。
インジケータ画像2420は、表示バー2401と、現在のフォーカスレンズユニット2212の位置に対応する合焦位置を示すレンズアイコン2411と、MFアイコン2405とを含む。また、表示バー2401の近端を示す近側指標2402と、遠端を示す遠側指標2403および近側のリミットを示すリミット指標2404を含む。さらに、フォーカスリミット範囲外を示す移動禁止領域2406を含む。
カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212の現在位置に対応させて、表示バー2401におけるレンズアイコン2411を表示する。レンズアイコン2411の表示位置は、使用者によるフォーカスリング2202の操作に応じて変化する。使用者は、表示バー2401上のレンズアイコン2411の位置でフォーカスレンズユニット2212の現在の位置を確認しながら、フォーカスリング2202を操作することができる。また、レンズアイコン2411が移動禁止領域2406にある場合、言い換えると、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲の外側にある場合には、レンズアイコン2412に示すように、アイコンの輪郭線を破線等で表示するようにしてもよい。
図14は、フォーカスリミット設定が第1範囲から第2範囲に切り替えられた場合におけるカメラボディ制御部2318による制御について説明する概念図である。フォーカスリミット設定が第1範囲から第2範囲に切り替えられた場合の例として、ここでは、AF/MF切り替えスイッチ2203がMモードに設定されている状態で、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がFULLからLIMIT1へ切り替えられた場合の制御について説明する。
使用者によりフォーカス制限切り替えスイッチ2201がFULLからLIMIT1へ切り替えられると、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲外に位置しているか否かを判断する。第2範囲外に位置していると判断した場合には、フォーカスレンズユニット2212を強制的に第2範囲の境界領域に移動させる。
具体的には、カメラボディ制御部2318は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201の切り替えを検出したら、第1エンコーダ2252により検出されたフォーカスレンズユニット2212の位置情報を交換レンズ制御部2220から取得する。そして、フォーカスレンズユニット2212の現在位置が第2範囲内にあるか否かを判断する。フォーカスレンズユニット2212が第2範囲外にあると判断した場合は、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212を、現在位置から第2範囲の境界位置まで移動させるために必要なパルス数等の移動量を計算する。カメラボディ制御部2318は、計算したパルス数と移動方向の情報を含む制御信号を交換レンズ制御部2220に送信する。交換レンズ制御部2220は、受信した制御信号をフォーカスレンズ駆動部2250に出力する。フォーカスレンズ駆動部2250は、制御信号に従って駆動モータ2251を駆動して、フォーカスレンズユニット2212を強制的に第2範囲の境界位置に移動させる。なお、フォーカスレンズユニット2212の移動は、現在位置から最短距離で第2範囲に含まれる位置に対して実行される。すなわち、第2範囲の2つの境界位置のうち、現在位置に近い方が目標位置となる。このように目標位置を設定することにより、強制移動に要する時間を最短にすることができる。強制移動に要する時間を最短にすれば、使用者はいち早くマニュアルフォーカス操作を行うことができる。なお、目標位置は当該境界位置に限らず、予め定められた別の位置であっても良く、例えば、使用者が指定した位置、第2範囲の中央位置に定めることもできる。
フォーカスレンズユニット2212の移動が完了すると、使用者はフォーカスリング2202を操作して、マニュアルフォーカス操作を行うことができる。カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲を第2範囲内に制限する。使用者は、第2範囲内においては、フォーカスレンズユニット2212を自由に移動させることができる。一方で、使用者は、第2範囲外へはフォーカスレンズユニット2212を移動させることができない。
具体的には、第2エンコーダ2260は使用者によるフォーカスリング2202の単位時間当たりの回転量および回転方向を検出し、電気信号に変換する。そして、第2エンコーダ2260は、交換レンズ制御部2220を介して、電気信号をカメラボディ制御部2318に送信する。
カメラボディ制御部2318は、受信した電気信号に応じて、フォーカスレンズユニット2212の目標位置に対応するパルス数を計算する。カメラボディ制御部2318は、計算したパルス数と、交換レンズ制御部2220から受信した第2パルス情報とフォーカスレンズユニット2212の位置情報より、使用者のマニュアルフォーカス操作に従ってフォーカスレンズユニット2212を駆動させた場合に、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲を超えるか否かを判断する。
カメラボディ制御部2318は、第2範囲を超えないと判断した場合には、使用者のマニュアルフォーカス操作に応じて計算したパルス数を交換レンズ制御部2220に送信する。交換レンズ制御部2220は、受信したパルス数に従って、フォーカスレンズユニット2212を駆動させる。カメラボディ制御部2318は、第2範囲を超えると判断した場合には、第2範囲の境界まで移動させるパルス数を交換レンズ制御部2220に送信する。交換レンズ制御部2220は、受信したパルス数に従って、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲の境界まで駆動させる。
フォーカスレンズユニット2212が第2範囲まで到達した後に、さらに第2範囲外へ移動させようとするマニュアルフォーカス操作を受け付けた場合は、カメラボディ制御部2318は、交換レンズ制御部2220から送られてくる制御信号を無視する。または、交換レンズ制御部2220が、そのようなマニュアルフォーカス操作に対応する第2エンコーダ2260からの電気信号を無視しても良い。
カメラボディ制御部2318は、使用者のマニュアルフォーカス操作が第2範囲を超えるものであると判断した場合には、フォーカスリミット範囲を超えた操作であることを使用者に通知するための表示を表示部2314に表示させてもよい。例えば、表示色を変更したMFアイコン2405を点滅表示してもよい。
図15は、フォーカスリミット設定が第1範囲から第2範囲に切り替えられた場合におけるカメラボディ制御部2318による、図14を用いて説明した制御とは異なる制御について説明する概念図である。フォーカスリミット設定が第1範囲から第2範囲に切り替えられた場合の例として、ここでも図14の例と同様に、AF/MF切り替えスイッチ2203がMモードに設定されている状態で、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がFULLからLIMIT1へ切り替えられた場合の制御について説明する。
使用者によりフォーカス制限切り替えスイッチ2201がFULLからLIMIT1へ切り替えられると、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲外に位置しているか否かを判断する。本実施例においては、第2範囲外に位置していると判断した場合であっても、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲の境界位置に移動させない。この場合、使用者は、フォーカスレンズユニット2212を移動させる時間を待たされることなく、いち早くマニュアルフォーカス操作を行うことができる。
カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲外にある場合には、フォーカスレンズユニット2212の駆動方向によって駆動制限を行う。カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲に向かう方向にマニュアルフォーカス操作がされる場合には、駆動制限を行わない。しかし、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲から離れる方向にマニュアルフォーカス操作がされる場合には、フォーカスレンズユニット2212を駆動させない。
具体的には、カメラボディ制御部2318は、使用者のフォーカスリング2202を介したマニュアルフォーカス操作に応じてフォーカスレンズユニット2212の目標位置に対応するパルス数を計算する。フォーカスレンズユニット2212が第2範囲の外にある場合において、カメラボディ制御部2318は、使用者のマニュアルフォーカス操作が、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲から離れる方向に移動させるものであると判断した場合には、交換レンズ制御部2220へ制御信号を送信しない。一方で、カメラボディ制御部2318は、使用者のマニュアルフォーカス操作が、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲に向かう方向に移動させるものであると判断した場合には、交換レンズ制御部2220へ制御信号を送信する。交換レンズ制御部2220は、受信した制御信号に従って駆動モータ2251を駆動し、フォーカスレンズユニット2212を移動させる。なお、一度のマニュアルフォーカス操作によってフォーカスレンズユニット2212が第2範囲まで到達しない場合も、カメラボディ制御部2318は、第2範囲から離れる方向への移動を継続して禁止する。フォーカスレンズユニット2212が第2範囲に到達した後は、カメラボディ制御部2318は、図14の例と同様に制御を行う。
図16は、フォーカスリミット設定が第2範囲に設定されているときの、カメラボディ制御部2318による更に別実施例の制御について説明する概念図である。本実施例においても、図14および図15の例と同様に、使用者は、第2範囲内においてはフォーカスレンズユニット2212を自由に移動させることができる。一方で、本実施例においては、使用者は、第2範囲外においても、予め定められた制限条件の下でフォーカスレンズユニット2212を移動させることができる。制限条件として様々な条件を定めることができるが、ここでは、第2範囲外において第2範囲から離れる方向へフォーカスレンズユニット2212を移動させる場合に、第2範囲へ向かう方向へ移動させる場合よりも、マニュアルフォーカス操作に抵抗感を与える条件を定める。
具体的には、カメラボディ制御部2318は、第2範囲から離れる方向へのフォーカスリング2202の回転量に対するフォーカスレンズユニット2212の駆動量を、第2範囲へ向かう方向へのフォーカスリング2202の回転量に対するフォーカスレンズユニット2212の駆動量よりも小さくする。例えば、第2範囲へ向かう方向へ使用者がフォーカスリング2202をr(°)回転させたときにフォーカスレンズユニット2212をd(mm)移動させるとすると、第2範囲から離れる方向へ使用者がフォーカスリング2202をr(°)回転させたときにはフォーカスレンズユニット2212をd/2(mm)移動させるように制御する。
このような制限制御により、使用者は、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲を超えて更に移動させようとしていることを知覚することができる。なお、第2範囲内において使用者がフォーカスリング2202をr(°)回転させたときにフォーカスレンズユニット2212をd(mm)移動させる場合に、第2範囲外において第2範囲の方向へ使用者がフォーカスリング2202をr(°)回転させたときにはフォーカスレンズユニット2212を2d(mm)移動させるように制御してもよい。すなわち、いち早く第2範囲内に移動するように制御してもよい。このように制御すれば、使用者は、第2範囲外にフォーカスレンズユニット2212があることを知覚した場合に、フォーカスレンズユニット2212をいち早く第2範囲内へ移動させることができる。
本実施例においては、カメラボディ制御部2318は、第2範囲を超えてフォーカスレンズユニット2212を移動させる移動指示を受けた場合には、操作量に対するフォーカスレンズユニット2212の移動量が小さくなるように、交換レンズ制御部2220を介して駆動モータ2251を駆動する。つまり、オートフォーカスにおいては、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられている場合は、フォーカスレンズユニット2212は第2範囲内でしか移動できないが、マニュアルフォーカスにおいては、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられている場合でも、制限条件の下でフォーカスレンズユニット2212は第2範囲外でも移動ができる。このような違いを与えることにより、オートフォーカス時におけるカメラ側の動作を確実に制限する一方で、マニュアルフォーカス時における使用者の意思を尊重することができる。
更なるバリエーションとして、カメラボディ制御部2318は、使用者からフォーカスリング2202の継続した操作を受けた場合でも、第2範囲の境界位置において、フォーカスレンズユニット2212の移動を一旦停止させる制御を行うこともできる。例えば、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲の境界位置に到達したら、カメラボディ制御部2318は、使用者がフォーカスリング2202を180°以上回転させるまではその操作を無視してフォーカスレンズユニット2212を境界位置に留まらせる。それでも更に使用者がフォーカスリング2202を回転させた場合には、第2範囲外へその回転量に応じてフォーカスレンズユニット2212を移動させる。回転量に対する移動量は、上述のように制限してもよい。このように制御することにより、使用者は、第2範囲を超えてフォーカスレンズユニット2212を移動させることを知覚できる。
図17‐A、図17‐Bは、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に設定されている場合の、M/Aモード選択時の制御とMモード選択時の制御の違いを説明する概念図である。図17‐Aは、M/Aモード選択時のフォーカスレンズユニット2212の駆動制限の一例を示す。オートフォーカス動作の実行時には、フォーカスレンズユニット2212の移動は第2範囲内に制限される。すなわち、オートフォーカス動作においては、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第2範囲に留まるように、フォーカスレンズ駆動部2250の駆動範囲を制限する。一方で、マニュアルフォーカス動作の実行時には、使用者は、第2範囲に制限されることなく、フォーカスレンズユニット2212を第1範囲内で自由に移動させることができる。具体的には、カメラボディ制御部2318は、使用者のマニュアルフォーカス操作に制限を加えることなく、操作量に応じてフォーカスレンズユニット2212を駆動する。このような制御により、使用者は、M/Aモードが選択されている場合に、第2範囲に制限されることなく、オートフォーカスによる合焦位置をマニュアルフォーカス操作により修正することができる。
図17‐Bは、Mモード選択時のフォーカスレンズユニット2212の駆動制限の一例を示す。Mモード選択時には、フォーカスレンズユニット2212の移動は第2範囲内に制限される。つまり、使用者は、フォーカスレンズユニット2212を第2範囲内では自由に移動させることができるものの、第2範囲外には移動させることができない。このような制御により、使用者は、Mモードが選択されている場合に、自ら意図して設定したフォーカスリミットを超えてフォーカスレンズユニット2212を移動させてしまうことがない。なお、カメラボディ制御部2318は、第2範囲外の移動を完全に禁止するのではなく、図16を用いて説明したように移動の制限を行うように制御してもよい。
図18は、カメラシステム2100が外部機器であるタブレット端末2500により制御される場合について説明する図である。特に、カメラシステム2100のフォーカスレンズユニット2212の駆動がタブレット端末2500により制御される場合について説明する。カメラシステム2100とタブレット端末2500とは、無線により相互に通信を行う。無線通信として、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)など種々の無線通信規格を適用できる。なお、外部機器としてタブレット端末を例に挙げたが、スマートホン、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ウェアラブル端末等を用いることもできる。
カメラシステム2100がタブレット端末2500により制御される場合には、カメラシステム2100は、使用者によって、外部機器により遠隔で操作される遠隔操作モードに予め設定される。使用者は、カメラシステム2100が遠隔操作モードに設定された状態において、タブレット端末2500を介して、例えば、カメラシステム2100のフォーカスレンズユニット2212をマニュアルフォーカス操作することができる。カメラシステム2100は撮影対象となる被写体の前に配置される。図18においては、カメラシステム2100は、三脚に据えつけられた状態で固定される。そして、カメラシステム2100は、カメラシステム2100の前に広がる風景2700を撮像し、ライブビュー画像を逐次生成する。また、カメラシステム2100は、図13で説明したように、フォーカスリミットに関するインジケータ画像を生成する。カメラシステム2100は、生成したライブビュー画像とインジケータ画像とをタブレット端末2500に送信する。
タブレット端末2500は、表示部2501を備える。タブレット端末2500は、送信されたライブビュー画像とインジケータ画像とを受信して、重畳して表示部2501に表示する。インジケータ画像は、表示バー2502と、現在のフォーカスレンズユニット2212の位置に対応する合焦位置を示すレンズアイコン2503とを含む。また、表示バー2502の近端を示す近側指標2504と、遠端を示す遠側指標2505とを含む。
使用者は、表示部2501に表示されたレンズアイコン2503を操作することにより、カメラシステム2100のフォーカスレンズユニット2212をマニュアルフォーカス操作することができる。具体的には、使用者は、表示部2501に表示されたレンズアイコン2503を指2600で押下する。そして、押下した状態を保ったままで表示バー2502上を上または下に指をスライドさせる。タブレット端末2500は、スライド操作に応じて、フォーカスレンズユニット2212の移動量を算出する。具体的には、タブレット端末2500は、まず、スライド操作によるレンズアイコン2503の移動量を算出する。そして、予め設定されている、レンズアイコン2503の移動量とフォーカスレンズユニット2212の移動量との変換式を用いて、レンズアイコン2503の移動量に相当するフォーカスレンズユニット2212の移動量を算出する。なお、タブレット端末2500は、レンズアイコン2503の移動量をパルス数として算出することが好ましい。タブレット端末2500は、算出したフォーカスレンズユニット2212の移動量をカメラシステム2100に送信する。
カメラシステム2100は、フォーカスレンズユニット2212の移動量を受信すると、移動量に応じて交換レンズ制御部2220を介してフォーカスレンズユニット2212を駆動する。ここで、使用者がタブレット端末2500を用いてカメラシステム2100を遠隔操作する場合には、使用者はカメラシステム2100から離れた位置にいることが想定される。使用者がカメラシステム2100から離れた位置にいる場合には、使用者は交換レンズ2200に設けられたフォーカス制限切り替えスイッチ2201を操作して切り替えることはできない。そこで、本実施形態においては、使用者がタブレット端末2500を用いて遠隔でカメラシステム2100のフォーカスレンズユニット2212をマニュアルフォーカス操作する場合には、たとえフォーカス制限切り替えスイッチ2201が第2範囲に切り替えられていたとしても、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212を第1範囲で駆動する。これにより、使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201を直接操作しなくとも、タブレット端末2500を介して、第1範囲でマニュアルフォーカス操作することができる。
その後、タブレット端末2500は、使用者による撮影指示を受け付けると、カメラシステム2100に撮影を指示する。以上のように、使用者は、タブレット端末2500を用いてカメラシステムを遠隔操作することにより、マニュアルフォーカス操作により好みのピントに合わせた上で、風景2700を撮影することができる。
以上の説明では、フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201により切り替えられたが、タブレット端末2500により切り替えられてもよい。この場合には、タブレット端末2500は、フォーカスリミッタの設定を切り替えるためのメニュー画面を表示部2501に表示し、使用者の操作に応じて切り替えてもよい。フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲が、タブレット端末2500により第2範囲に切り替えられた場合には、タブレット端末2500は、第2範囲に応じたインジケータ画像を表示してもよい。例えば、図13に示したように、リミット指標を表示してもよい。また、第2範囲に切り替えられた場合には、タブレット端末2500は、使用者によるレンズアイコン2503の操作範囲を第2範囲に対応させて制限してもよい。
図19は、カメラボディ2300によるフォーカスレンズユニット2212の駆動制御の一例を示すフロー図である。本フローは、フォーカス制御状態がM/Aモードであれば、カメラボディ制御部2318がSW1を検知することにより開始され、Mモードであれば、カメラボディ制御部2318が使用者によるフォーカスレンズユニット2212の回転量を交換レンズ制御部2220から受信することにより開始される。なお、以上の説明では、フォーカス制限切り替えスイッチ2201はFULL、LIMIT1、およびLIMIT2の3ポジションのうちのいずれかに切り替えられていたが、本フローにおいては、説明を簡単にすべく、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がFULLおよびLIMIT1のいずれかに切り替えられている場合について説明する。LIMIT2に切り替えられている場合については、LIMIT1に切り替えられている場合と同様の処理がなされる。なお、カメラボディ制御部2318は、交換レンズ制御部2220との間で定期的になされる定常シーケンスにより、交換レンズ2200からスイッチ状態情報を受信する。受信したスイッチ状態情報は内部メモリ2310に保持される。
カメラボディ制御部2318は、スイッチ状態情報を参照して、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられているかを判定する(ステップS2101)。フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられていないと判定した場合、すなわちFULLに切り替えられていると判定した場合には(ステップS2101でNO)、カメラボディ制御部2318は、フォーカスレンズユニット2212が第1範囲、すなわち、全範囲で駆動するように、交換レンズ制御部2220を制御する(ステップS2105)。
フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられていると判定した場合には(ステップS2101でYES)、カメラボディ制御部2318は、外部機器により撮影操作がなされているかを判定する(ステップS2102)。カメラボディ制御部2318は、外部通信部2319が撮影操作に関する信号を外部機器から受信したかを判定することにより、外部機器により撮影操作がなされているかを判定することができる。撮影操作に関する信号は、図18で説明したように、撮影指示を示す信号、フォーカスレンズユニット2212の移動量を示す信号を含む。外部機器により撮影操作がなされていると判定した場合には(ステップS2102でYES)、カメラボディ制御部2318は、フォーカス制限切り替えスイッチ2201がLIMIT1に切り替えられていても、図18で説明したように、フォーカスレンズユニット2212が全範囲で駆動するように、交換レンズ制御部2220を制御する(ステップS2105)。
外部機器により撮影操作がなされていないかと判定した場合には(ステップS2102でNO)、フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられているかを判定する(ステップS2103)。フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられていないと判定した場合、すなわちMモードに切り替えられていると判定した場合には(ステップS2103でNO)、図17‐Bに示したように、カメラボディ制御部2318は、無限領域用のフォーカスリミットを選択して、フォーカスレンズユニット2212が当該フォーカスリミット内で駆動、すなわち制限駆動するように、交換レンズ制御部2220を制御する(ステップS2106)。フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられていると判定した場合には(ステップS2103でYES)、カメラボディ制御部2318は、AF動作中かを判定する(ステップS2104)。
AF動作中であると判定した場合には(ステップS2104でYES)、カメラボディ制御部2318は、無限領域用のフォーカスリミットを選択して、フォーカスレンズユニット2212が当該フォーカスリミット内で駆動、すなわち制限駆動するように、交換レンズ制御部2220を制御する(ステップS2106)。AF動作中でないと判定した場合、すなわちMF動作中である場合には(ステップS2104でNO)、カメラボディ制御部2318は、図17‐Aに示したように、フォーカス制限せずに、フォーカスレンズユニット2212が第1範囲、すなわち全範囲で駆動するように、交換レンズ制御部2220を制御する(ステップS2105)。
ステップ105またはステップ106によりフォーカスレンズユニット2212が駆動された後、カメラボディ制御部2318は、使用者からの撮影指示を受信したかを判定する(ステップS2107)。使用者からの撮影指示を受信していないと判定した場合には(ステップ107でNO)、ステップS2101に移行する。使用者からの撮影指示を受信したと判定した場合には(ステップ107でYES)、一連の処理を終了して、撮影シーケンスへ移行する。
以上の説明では、使用者によりフォーカスリング2202が回転操作された場合には、交換レンズ制御部2220は、フォーカスリング2202の回転量および回転方向の情報をカメラボディ制御部2318に送信した。そして、フォーカスレンズユニット2212の移動が許容される許容範囲が第1範囲から第2範囲に切り替えられている場合には、フォーカスレンズ駆動部2250は、カメラボディ制御部2318からの駆動指示によって、ユーザ操作によるフォーカスレンズユニット2212の移動指示を制限した。しかしながら、フォーカスレンズ駆動部2250は、カメラボディ制御部2318と交換レンズ制御部2220との通信が行えない場合、交換レンズ制御部2220からの駆動指示によって、ユーザ操作によるフォーカスレンズユニット2212の移動指示を制限してもよい。この場合には、交換レンズ制御部2220は、フォーカスリング2202の回転量および回転方向の情報をカメラボディ制御部2318に送信しなくてもよい。
以上の説明では、フォーカスリミッタは交換レンズ2200側で設定されたが、カメラボディ2300側で設定されてもよい。この場合には、カメラボディ制御部2318は、フォーカスリミッタの設定を切り替えるためのメニュー画面を表示部2314に表示し、操作部材2315を介してなされる使用者の操作に応じて切り替えてもよい。また、カメラボディ制御部2318は、ポーリング時にスイッチ状態情報を交換レンズ2200に送信してもよい。交換レンズ制御部2220は、ポーリングを受信すると、第1情報および第2情報とともに、スイッチ状態情報に示される状態に対応する分割数、制限ポジション情報等を送信する。
以上の説明では、交換レンズ2200は、ズームレンズであったが、単焦点レンズであってもよい。この場合には、焦点距離は変化しないので、第1情報および第2情報は固定値となる。したがって、交換レンズ制御部2220は、第1情報および第2情報を一度送信すればよい。すなわち、定常シーケンスにおいてポーリングを受信する度に送信しなくてもよい。表示情報についても同様である。
以上の説明では、交換レンズ制御部2220は、第1情報および第2情報としてパルス数を送信したが、距離情報を送信してもよい。この場合には、カメラボディ2300は、距離情報を受信してパルス数に変換する。以上の説明では、無限端設計値を基準値としたが、他の値を基準値としてもよい。例えば至近端設計値を基準値としてもよい。以上の説明では、カメラボディ2300側の設定を優先して、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲を選択したが、交換レンズ2200側の設定とカメラボディ側の設定とのどちらを優先するかを、使用者の操作に応じて設定してもよい。これにより、使用者の意思をより反映させることができる。
以上の説明では、フォーカスレンズユニット2212を目標位置に移動させるための制御信号としてパルス数を挙げたが、移動量または目標位置の少なくとも一方が伝達できればこの形態に限られない。
以上の説明では、交換レンズ制御部2220は、フォーカス制限なしに対応する第1情報として無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットをカメラボディ2300へ送信したが、無限端設計値および至近端設計値を第1情報として送信してもよい。同様に、交換レンズ制御部2220は、無限領域用のフォーカスリミットとして、無限端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよいし、至近領域用のフォーカスリミットとして、遠端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよい。上述のように、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、実際には無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。これに対して、位相差方式で実行される場合には、無限端設計値よりも無限側に動かすことなく無限端設計値にピントを合わせることができる。したがって、交換レンズ制御部2220は、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合と、位相差方式で実行される場合とで、送信する第2情報を異ならせてもよい。オートフォーカスが位相差方式で実行される場合には、フォーカスレンズユニット2212の駆動範囲の両端ではなく、合焦可能範囲の両端の値を送信するとよい。
以上の説明では、交換レンズ2200は、第2情報として第1範囲よりも狭い範囲に関する情報である縮小情報を送信したが、第1範囲よりも広い範囲に関する情報である拡大情報を送信してもよい。例えば図12で説明した至近端ソフトリミットよりも至近寄りのパルス数を第2情報として送信する。この場合に、交換レンズ2200は、第1範囲と第2範囲のどちらが予め設定された基準以上の光学性能が保証される推奨駆動範囲であるかを示す推奨情報を合わせて送信してもよい。カメラボディ2300側で画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとのいずれかに設定されていれば、当該設定に応じてフォーカスレンズユニット2212の駆動範囲を選択するとよい。この場合には、切替部としてフォーカス制限切り替えスイッチ2201ではなく、画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとを切り替えるスイッチを設けるとよい。画質を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲に関する情報を選択する。一方で、ピント範囲を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲とは異なる範囲に関する情報を選択する。さらに、カメラボディ2300側の設定情報に応じて範囲を選択してもよい。例えば、撮影モードがフルオートモードに設定されている場合には、画質を優先するモードに設定されていたとしても、ピント範囲を優先すべく範囲を選択してもよい。また、切替部はAF速度を切り替えるスイッチであってもよい。特にコントラストAFにおいては、高速にAFを実行するモードに設定されている場合には、低速でAFを実行するモードに設定されている場合よりも、狭い範囲を選択する。
以上の説明では、第2範囲は、無限領域用のフォーカスリミットと至近領域用のフォーカスリミットを含んでいたが、いずれか一つでもよい。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ2201は、3ポジションではなく、2ポジションを切り替えるスイッチであってもよい。また、第2範囲は、3つ以上の範囲を含んでいてもよい。
以上の説明では、図16に示したように、カメラボディ制御部2318は、スイッチ状態情報に応じてフォーカス制限の範囲を切り替えたが、予め定められた条件下においては、フォーカス制限の範囲を切り替える切り替え処理を禁止してもよい。予め定められた条件としては、例えば、AFロック中であること、フォーカスレンズユニット2212が駆動中であることが挙げられる。切り替え処理が禁止されている場合には、条件が解除されるまで切り替え処理を保留、すなわち直前のフォーカス制限範囲での動作を継続する。そして、条件が解除されると、保留していた切り替え処理を実行する。切り替え処理はフォーカス制御状態がAFの場合にのみ行われてもよい。切り替え処理中および切り替え処理を保留している間には、カメラボディ制御部2318は、フォーカス制御状態の切替えおよびMF、AFの動作を行わなくてもよい。なお、フォーカス制御状態がMFの場合には、フォーカスレンズユニット2212の位置に関わらず、切り替え処理を行わないとしてもよい。この場合には、内部メモリ2310のスイッチ状態情報、各種設計値および各種ソフトリミットの更新のみを行う。
図20は、第3実施形態に係るカメラシステム3100の外観斜視図である。カメラシステム3100は、交換レンズ3200が撮像装置としてのカメラボディ3300に装着されて構成されるレンズ交換式一眼レフカメラである。交換レンズ3200は、レンズマウント3221を備え、カメラボディ3300は、カメラマウント3321を備える。レンズマウント3221とカメラマウント3321が係合して、交換レンズ3200とカメラボディ3300が一体化されると、交換レンズ3200とカメラボディ3300はカメラシステム3100として機能する。
光軸3011と平行な矢印3021に沿って、レンズマウント3221をカメラマウント3321へ接近させ、レンズ指標3209とボディ指標3340が対向するように両者を接触させる。さらに、レンズマウント3221のマウント面とカメラマウント3321のマウント面の接触を保ったまま、交換レンズ3200を矢印3022の方向へ回転させる。そうすると、ロックピン3350によるロック機構が作動し、交換レンズ3200はカメラボディ3300に固定される。この状態において、交換レンズ3200側の接続端子とカメラボディ3300側の接続端子とは電気的に接続される。これにより、互いに制御信号等の通信および電力の授受を行うことができる。
交換レンズ3200は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201と、フォーカスリング3202と、AF/MF切り替えスイッチ3203とを備える。AF/MF切り替えスイッチ3203は、フォーカス制御状態をMモードとM/Aモードとの間で切り替えられる。使用者は、AF/MF切り替えスイッチ3203をMに切り替えることにより、マニュアルフォーカス動作を実行できるMモードに設定できる。また、AF/MF切り替えスイッチ3203をM/Aに切り替えることにより、オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを併用実行できるM/Aモードに設定できる。
カメラボディ3300は、レリーズスイッチ3360を備える。レリーズスイッチ3360は、押下げ方向に2段階に検知できる押しボタンで構成されている。M/Aモード設定時には、使用者は、レリーズスイッチ3360を1段階目まで押下げることより、オートフォーカス動作を実行させることができる。さらに、使用者は、オートフォーカス動作が終了した後に、フォーカスリング3202を操作すれば、マニュアルフォーカス動作を実行できる。マニュアルフォーカス動作を追加的に実行することにより、一旦オートフォーカス動作で移動されたフォーカスレンズユニットをさらに駆動させて合焦位置を修正することができる。上述のように、本実施形態においては、AF/MF切り替えスイッチ3203で選択できるモードはMモードとM/Aモードである。しかし、M/Aモードに替えて、フォーカスリング3202によるマニュアルフォーカス操作を許容しないオートフォーカスモードであるAモードを採用してもよい。
詳細は後述するが、本実施形態において、フォーカスリング3202とフォーカスレンズユニットとは機械的に連動しない。使用者がフォーカスリング3202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向の情報は、一旦電気信号に変換される。アクチュエータは、この電気信号に応じて、合焦位置を変更するために、フォーカスレンズユニットを光軸方向に駆動させる。
フォーカス制限切り替えスイッチ3201は、フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲と、第1範囲とは異なる範囲である第2範囲とを切り替える。使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201を切り替えることにより、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択することができる。本実施形態においては、第1範囲はフォーカス制限がなされていない範囲であり、第2範囲は第1範囲よりも狭い範囲、すなわちフォーカス制限がなされた範囲である。本実施形態においては、第2範囲として2つのフォーカスリミットが設定されている。詳しくは後述するが、無限領域用のフォーカスリミットと、至近領域用のフォーカスリミットとが設定されている。
使用者は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201をFULLに切り替えることにより第1範囲に設定でき、LIMIT1に切り替えることにより無限領域用のフォーカスリミットに設定でき、LIMIT2に切り替えることにより至近領域用のフォーカスリミットに設定できる。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ3201を切り替えることにより、3ポジションのうちのいずれか1つを選択することができる。フォーカスレンズユニットの移動範囲を制限することにより、フォーカス合焦時間を短縮することができる。交換レンズ3200は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201が3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかに関わらず、フォーカスレンズユニットの移動可能範囲に関する可動情報として、第1範囲に関する第1情報と、第2範囲に関する第2情報との両方をカメラボディ3300に送信する。さらに、3ポジションのうちのいずれに切り替えられているかを示す設定情報としてのスイッチ状態情報を送信する。さらに、フォーカス制御状態がMモードとM/Aモードのどちらに切り替えられているかを示すフォーカス制御状態情報も送信する。
カメラボディ3300は、第1情報と第2情報との両方、およびスイッチ状態情報を受信する。カメラボディ3300は、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲でフォーカスレンズユニットを移動させる。ただし、カメラボディ3300側の撮影に関する設定状態によっては、スイッチ状態情報に応じたフォーカスレンズユニットの駆動範囲で駆動させることが好ましくない場合がある。そこで、カメラボディ3300は、スイッチ状態情報に加えて、撮影に関する設定状態に応じて、第1範囲および第2範囲のいずれかの範囲を選択し、選択した範囲に従ってフォーカスレンズユニットを移動させてもよい。撮影に関する設定状態に応じて、フォーカスレンズユニットの駆動範囲を選択すれば、当該駆動範囲を柔軟に決定することができる。
図21は、カメラシステム3100の構成を説明する図である。交換レンズ3200は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201、フォーカスリング3202、およびAF/MF切り替えスイッチ3203に加えて、撮影光学系としての撮影レンズ3210、交換レンズ制御部3220、ズームレンズ駆動部3240、フォーカスレンズ駆動部3250、および第2エンコーダ3260を備える。カメラボディ3300は、レリーズスイッチ3360に加えて、AFセンサ3307、撮像素子3308、A/D変換器3309、内部メモリ3310、画像処理部3311、記録媒体IF3312、表示制御部3313、表示部3314、操作部材3315、電源制御部3316、カメラボディ制御部3318、および電源スイッチ3323を備える。
交換レンズ制御部3220とカメラボディ制御部3318は、レンズマウント3221およびカメラマウント3321を介して互いに接続されている。交換レンズ制御部3220およびカメラボディ制御部3318は、相互に通信を実行しつつ協働して交換レンズ3200とカメラボディ3300とを制御する。
交換レンズ3200には、光学特性が異なる複数の種類が存在する。使用者は、任意の一つをカメラボディ3300へ装着することができる。交換レンズ3200に備えられた撮影レンズ3210は、複数の光学レンズ群から構成される。具体的には、撮影レンズ3210は、ズームレンズユニット3211と、フォーカスレンズユニット3212とを含んで構成される。撮影レンズ3210は、光軸3011に沿って入射する被写体光束をカメラボディ3300内に配置された撮像素子3308へ導く。
AFセンサ3307には、光学系を透過して入射する被写体光束の一部が導かれる。AFセンサ3307は、導かれた被写体光束の一部を受光する複数の光電変換素子列を有する。AFセンサ3307は、合焦状態にある場合には位相が一致した信号を出力し、前ピン状態または後ピン状態にある場合には、位相ずれした信号を出力する。位相のずれ量は、焦点状態からのずれ量に対応する。AFセンサ3307は、光電変換素子列の出力を相関演算することで位相差を検出して、位相差を示す位相差信号をカメラボディ制御部3318に出力する。オートフォーカス動作時には、カメラボディ制御部3318は、フォーカスレンズユニット3212を目標位置に移動させるための制御信号を交換レンズ制御部3220へ出力する。なお、カメラボディ3300は、撮像素子3308とは別体のAFセンサ3307を備える構成ではなく、測距機能を有する画素を含む撮像素子3308を備えてもよい。
撮像素子3308は、被写体像である光学像を光電変換する素子である。撮像素子3308として、CCDセンサ、CMOSセンサを用いることができる。撮像素子3308により光電変換された被写体像は、A/D変換器3309でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。画像データは、一旦内部メモリ3310に記憶される。内部メモリ3310は、高速で読み書きできるランダムアクセスメモリである。内部メモリ3310として、DRAM、SRAMを用いることができる。内部メモリ3310は、画像処理部3311が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割を担う。内部メモリ3310は、当該役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。
画像処理部3311は、設定されている撮影モード、使用者からの指示に則して、画像データを所定の画像フォーマットに従った画像データに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合には、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。そして、変換された画像データは、再び内部メモリ3310に格納される。
画像処理部3311によって処理された画像データは、記録媒体IF3312を介して、内部メモリ3310から記録媒体3400に記録される。記録媒体3400は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラボディ3300に対して着脱可能な不揮発性メモリである。画像処理部3311は、記録用に処理される画像データに並行して、表示用の画像データを生成する。生成された表示用の画像データは、表示制御部3313の制御に従って、表示部3314に表示される。記録の有無に関わらず、カメラボディ制御部3318が、画像処理部3311に逐次表示用の画像データを生成させ、表示部3314に表示させれば、電子ファインダ機能としてのライブビューを実現できる。
電源制御部3316は、電源3410と通信して残電力の検出、電力供給の監視、給電等を行う。電源3410は、例えばバッテリにより構成される。
カメラボディ3300は、上記の画像処理における各々の要素も含めて、カメラボディ制御部3318により直接的または間接的に制御される。カメラボディ制御部3318は、システムメモリ3317を含む。システムメモリ3317は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリ3317は、カメラシステム3100の動作時に必要な定数、変数、プログラム等を、カメラシステム3100の非動作時にも失われないように記録している。カメラボディ制御部3318は、定数、変数、プログラム等を適宜内部メモリ3310に展開して、カメラシステム3100の制御に利用する。カメラボディ制御部3318は、フォーカスレンズユニット3212の移動可能範囲に関する可動情報を取得する取得部、および、可動情報に基づく応答情報を、フォーカスレンズユニット3212を駆動する駆動信号に関連付けて交換レンズ3200へ送信する送信部として機能する。本実施形態においては、応答情報としてフォーカスレンズユニット3212の駆動範囲に対応した供給パルス数を駆動信号に関連付ける。詳しくは後述するが、カメラボディ制御部3318は、オートフォーカス動作実行時には、フォーカスレンズユニット3212の移動方向を指示する制御コマンドと、フォーカスレンズユニット3212の駆動位置を指示する制御コマンドとを交換レンズ制御部3220へ送信する。また、カメラボディ制御部3318は、マニュアルフォーカス動作実行時には、後述する電気信号を単位時間当たりに駆動する駆動量と駆動方向を表す駆動制御信号に変換し、交換レンズ制御部3220へ送信する。
カメラボディ制御部3318は、連続して取得される画像データを用いたコントラストAFの情報に応じて、特定の領域の被写体像が撮像素子3308の受光面上で合焦するように、フォーカスレンズユニット3212を駆動してもよい。また、カメラボディ制御部3318は、レリーズスイッチ3360の1段階目の押下げであるSW1の検知により撮影準備動作であるAF等を実行し、2段階目の押下げであるSW2の検知により撮像素子3308による被写体像の取得動作を実行する。
カメラシステム3100は、使用者からの操作を受け付ける操作部材3315を複数備えている。操作部材3315は、例えば、撮影モードの設定に用いられる。撮影モードとして、フルオートモード、シーンモード、マニュアルモードが含まれる。使用者は、操作部材3315を操作することにより、撮影モードを設定することができる。カメラボディ制御部3318は、これら操作部材3315が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。
第2エンコーダ3260は、使用者がフォーカスリング3202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向を検出し、電気信号に変換する。そして、交換レンズ制御部3220を介して、当該電気信号をカメラボディ制御部3318に送信する。
ズームレンズユニット3211は、カメラボディ制御部3318および交換レンズ制御部3220の統括制御のもと、ズームレンズ駆動部3240によって駆動される。ズームレンズ駆動部3240は、使用者の指示に応じてズームレンズユニット3211を駆動して、画角を変更する。
フォーカスレンズユニット3212は、カメラボディ制御部3318および交換レンズ制御部3220の統括制御のもと、フォーカスレンズ駆動部3250によって駆動される。フォーカスレンズ駆動部3250は、フォーカスレンズユニット3212を駆動するためのアクチュエータとしての駆動モータ3251と、フォーカスレンズユニット3212の位置を検出するための第1エンコーダ3252とを含む。第1エンコーダ3252により検出されたフォーカスレンズユニット3212の現在位置を示す情報は、交換レンズ制御部3220を介してカメラボディ制御部3318へ送出される。
オートフォーカス動作実行時には、フォーカスレンズ駆動部3250は、AFセンサ3307の情報に応じて、フォーカスレンズユニット3212を駆動する。具体的には、交換レンズ制御部3220から送信された制御信号に応じて駆動モータ3251を駆動することにより、特定の領域の被写体像が撮像素子3308の受光面上で合焦する位置にフォーカスレンズユニット3212を移動させる。
マニュアルフォーカス動作実行時には、フォーカスレンズ駆動部3250は、使用者がフォーカスリング3202に与えた単位時間当たりの回転量および回転方向の情報に応じて、フォーカスレンズユニット3212を駆動する。具体的には、交換レンズ制御部3220から送信された駆動制御信号に応じて駆動パルスを生成して駆動モータ3251を駆動することにより、フォーカスレンズユニット3212を光軸方向に移動させて、合焦位置を変化させる。
フォーカス制限切り替えスイッチ3201が切り替えられると、スイッチの選択位置に応じた電気信号が交換レンズ制御部3220へ送られる。交換レンズ制御部3220は、受け取った電気信号に対応したフォーカス制御を行う。AF/MF切り替えスイッチ3203が切り替えられると、スイッチの選択位置に応じた電気信号が交換レンズ制御部3220へ送られる。交換レンズ制御部3220は、受け取った電気信号に対応したフォーカス制御を行う。
交換レンズ制御部3220は、システムメモリ3230を含む。システムメモリ3230は、交換レンズ3200に関する情報を記憶している。交換レンズ3200に関する情報として、フォーカス制限切り替えスイッチ3201を備えた交換レンズであることを示すレンズ機能情報、第1範囲を示す第1パルス情報と第2範囲を示す第2パルス情報との組等を記憶している。第1パルス情報と第2パルス情報との組は、焦点距離に応じて複数記憶されている。
交換レンズ制御部3220は、カメラボディ制御部3318との通信が確立されると、交換レンズ3200に関する情報をカメラボディ制御部3318に送信する。例えば、上述のレンズ機能情報を送信する。その後、カメラボディ3300からのポーリングを受信する度に、定常シーケンスとして、第1パルス情報および第2パルス情報の組、スイッチ状態情報、並びに、フォーカス制御状態情報を送信する。さらに、使用者によりフォーカスリング3202に対する操作がなされれば、単位時間当たりの回転量および回転方向の情報を送信する。
交換レンズ制御部3220は、駆動モータ3251を駆動させてフォーカスレンズユニット3212を移動させ、第1エンコーダ3252により検出されたパルス情報に基づいて、駆動モータ3251の駆動を制御する。また、フォーカスレンズユニット3212を駆動する駆動信号をカメラボディ3300から受信する受信部、フォーカスレンズユニット3212の移動可能範囲に関する可動情報に基づく応答情報が駆動信号に関連付けられている場合に、応答情報に基づいて駆動モータ3251を駆動する駆動制御部として機能する。
図22は、第1範囲および第2範囲を説明する図である。図22(a)は、第1範囲を説明する図である。図22(b)、(c)は、第2範囲を説明する図である。特に、図22(b)は、無限領域用のフォーカスリミットを説明する図であり、図22(c)は、至近領域用のフォーカスリミットを説明する図である。本実施形態においては、図22(a)、図22(b)、図22(c)は、フォーカス制限切り替えスイッチ3201がそれぞれFULL、LIMIT1、LIMIT2に切り替えられた状態に対応する。また、本実施形態においては、無限端設計値をフォーカスレンズユニット3212の駆動範囲の基準、すなわち0パルスとして、後述する各種設計値および各種ソフトリミットのパルス数が定められている。
図22(a)に示すように、至近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット3212は、第1範囲の合焦可能範囲である無限端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、無限端設計値から無限側に無限端ソフトリミットが定められており、至近端設計値から至近側に至近端ソフトリミットが定められている。無限端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲として予め定められた無限側の端点を示す値である。至近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲として予め定められた至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、合焦可能範囲外であり、オーバーストロークの範囲である。カメラボディ3300がコントラストAFを実行している場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、一旦無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。そこで、本実施形態においては、無限端ソフトリミットを定めることにより、オーバーストロークの範囲を設けている。至近端ソフトリミットについても同様である。
無限領域用のフォーカスリミットにおいては、図22(b)に示すように、合焦可能範囲は、無限寄りに制限されている。より詳細には、至近端設計値から無限側に近端設計値が定められている。近端設計値は、合焦可能範囲における至近側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット3212は、合焦可能範囲である無限端設計値と近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、近端設計値と至近端設計値の間に近端ソフトリミットが定められている。近端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲における至近側の端点を示す値である。無限端設計値から無限端ソフトリミットまでの範囲、および近端設計値から近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
至近領域用のフォーカスリミットにおいては、図22(c)に示すように、合焦可能範囲は、至近寄りに制限されている。より詳細には、無限端設計値から至近側に遠端設計値が定められている。遠端設計値は、合焦可能範囲における無限側の端点を示す値である。オートフォーカス動作時には、フォーカスレンズユニット3212は、合焦可能範囲である遠端設計値と至近端設計値の間の範囲において合焦することができる。さらに、遠端設計値と無限端設計値の間に遠端ソフトリミットが定められている。遠端ソフトリミットは、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲における無限側の端点を示す値である。遠端設計値から遠端ソフトリミットまでの範囲、および至近端設計値から至近端ソフトリミットまでの範囲は、オーバーストロークの範囲である。
マニュアルフォーカス動作時には、第2範囲が選択されている場合には、フォーカスレンズユニット3212は、使用者の操作に応じて第2範囲内で移動できる。一方、マニュアルフォーカス動作時に、フォーカスレンズユニット3212の第2範囲外への移動は制限されることとしてもよく、カメラボディ制御部3318からの信号に応じて第2範囲外への移動を許容することとしてもよい。
図23は、第1情報および第2情報を説明する図である。上述のように、システムメモリ3230は、焦点距離に応じて、第1情報と第2情報との組を複数記憶している。ズームレンズユニット3211の焦点距離が35−100mmであれば、例えば、35−50mm、50−75mm、および75−100mmの3つの範囲のそれぞれに応じた、第1情報と第2情報との組を記憶している。図23においては、焦点距離が35−100mmの場合における、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲の両端を示す各種設計値、および合焦可能範囲の両端を示す各種ソフトリミットを示している。なお、図中の括弧で囲まれた各種設計値および各種ソフトリミットは、後述するように、カメラボディ3300に送信されなくてもよい。
交換レンズ3200は、フォーカス制限なしに対応する第1情報として無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットをカメラボディ3300へ送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として無限端設計値および至近端設計値を送信する。なお、無限端設計値は、0に固定されているので、交換レンズ制御部3220は、カメラボディ3300に送信しなくてもよい。
交換レンズ3200は、無限領域用のフォーカスリミットを示す第2情報として近端ソフトリミットを送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として近端設計値を送信する。なお、無限端ソフトリミットは、第1情報と重複するので送信しなくてもよい。また、至近領域用のフォーカスリミットを示す第2情報として遠端ソフトリミットを送信する。本実施形態においては、さらに合焦可能範囲を示す情報として遠端設計値を送信する。なお、至近端設計値および至近端ソフトリミットは、第1情報と重複するので送信しなくてもよい。
上述のように、無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットは、パルス数として設定されている。したがって、第1情報はパルス情報として表される。同様に、近端ソフトリミットおよび遠端ソフトリミットも、パルス数として設定されている。したがって、第2情報もパルス情報として表される。
カメラボディ3300は、フォーカスレンズユニット3212を移動させる場合、パルス数で表されるレンズ駆動量等の目標位置に関する制御信号駆動指示を、カメラボディ制御部3318から交換レンズ制御部3220に供給する。交換レンズ制御部3220は、カメラボディ制御部3318からフォーカスレンズユニット3212の駆動指示を受信した後、駆動モータ3251を駆動させてフォーカスレンズユニット3212を移動させる。交換レンズ制御部3220は、第1エンコーダ3252によりフォーカスレンズユニット3212の位置を検出させ、カメラボディ制御部3318から供給されたパルス数に到達するまで駆動モータ3251を駆動させる。ここで、例えば無限端から至近端までフォーカスレンズユニット3212を移動させる場合には、現在の焦点距離に応じた至近端設計値にて示されるパルス量分、フォーカスレンズユニット3212を駆動する。例えば、焦点距離が35−50mmであり、この焦点距離での至近端設計値が3000パルスであれば、カメラボディ制御部3318は3000パルス駆動する指示を交換レンズ制御部3220へ送信する。同様に、焦点距離が50−75mmであり、この焦点距離での至近端設計値が2800パルスとすると、カメラボディ制御部3318は2800パルス駆動する指示を交換レンズ制御部3220へ送信する。以上のように、焦点距離に応じて至近端設計値に示されるパルス数は異なっている。焦点距離に応じたパルス数を交換レンズ制御部3220に送信することにより、フォーカスレンズユニット3212の駆動を適切に制御することができる。
図24‐Aは、フォーカスレンズユニット3212の駆動を指示する制御コマンドを説明する図である。図24‐Aは、オートフォーカス動作時における制御コマンド、特に、合焦位置の探索を指示する制御コマンド(以下、サーチコマンドと記す)を示す。図24‐Bは、マニュアルフォーカス動作時における制御コマンド(以下、PFコマンドと記す)を示す。
図24‐Aに示す制御コマンドは、サーチコマンドと、応答情報としての、合焦位置の探索範囲の終端位置とを含む。サーチコマンドは、フォーカスレンズユニット3212を駆動する駆動信号であり、具体的には、フォーカスレンズユニット3212の移動方向と移動速度を示す。交換レンズ制御部3220は、サーチコマンドを参照することにより、フォーカスレンズユニット3212を至近側へ移動させるか、無限側へ移動させるかの判定とフォーカスレンズユニット3212移動速度の決定をすることができる。
合焦位置の探索範囲の終端位置は、フォーカスレンズユニット3212の移動を許容する許容範囲に応じて決定される。許容範囲として第1範囲が選択されている場合において、終端位置が4バイトで表されるときには、終端位置として16進数表記での最大値である7fffffffが記述されていれば、交換レンズ制御部3220は、フォーカスレンズユニット3212を至近端ソフトリミットの位置まで駆動させる。反対に、16進数表記での最小値である80000000が記述されていれば、交換レンズ制御部3220は、フォーカスレンズユニット3212を無限端ソフトリミットの位置まで駆動させる。
許容範囲として第2範囲が選択されている場合においては、第2範囲が無限領域用のフォーカスリミットのときには、終端位置は、無限端ソフトリミットまたは近端ソフトリミットの位置である。第2範囲が至近領域用のフォーカスリミットのときには、終端位置は、遠端ソフトリミットまたは至近端ソフトリミットである。交換レンズ制御部3220は、終端位置を参照することにより、合焦位置の探索範囲を超えないようにフォーカスレンズユニット3212の移動を制御することができる。
カメラボディ制御部3318は、オートフォーカス動作時には、サーチコマンドに終端位置を関連付けて交換レンズ制御部3220に送信する。終端位置として関連付けられるパルス数は、交換レンズ制御部3220から送信されたパルス数と同一である。したがって、カメラボディ制御部3318がフォーカスリミッタを把握していることを交換レンズ制御部3220に認識させることができる。
図24‐Bに示す制御コマンドは、PF(パワーフォーカス)コマンドと、応答情報としての、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲とを含む。更に、PFコマンドには、後述するパルス数情報とサンプリングカウント情報が含まれる。
フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲は、フォーカスレンズユニット3212の移動を許容する許容範囲に応じて決定される。許容範囲として第1範囲が選択されている場合には、駆動範囲は、無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットである。許容範囲として第2範囲が選択されている場合において、第2範囲が無限領域用のフォーカスリミットのときには、駆動範囲は、無限端ソフトリミットおよび近端ソフトリミットである。許容範囲として第2範囲が選択されている場合において、第2範囲が至近領域用のフォーカスリミットのときには、駆動範囲は、遠端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットである。
カメラボディ制御部3318は、マニュアルフォーカス動作時には、PFコマンドに駆動範囲を関連付けて交換レンズ制御部3220に送信する。終端位置として関連付けられるパルス数は、交換レンズ制御部3220から送信されたパルス数と同一である。したがって、オートフォーカス動作時の場合と同様に、カメラボディ制御部3318がフォーカスリミッタを把握していることを交換レンズ制御部3220に認識させることができる。
図25は、交換レンズ3200によるマニュアルフォーカス操作に関する処理の一例を示すフロー図である。本フローは、交換レンズ3200がカメラボディ3300から電力を受けたことを検知すると開始される。本フローが開始されると、後述するサンプリングカウント情報に初期値が設定される。なお、サンプリングカウント情報の初期値は、後述するステップS3103において一度目のパルス数が算出された後に設定されてもよい。
交換レンズ制御部3220は、使用者によってフォーカスリング3202に対する操作がなされたかを判定する(ステップS3101)。第2エンコーダ3260の出力を受信したかを判定することにより、フォーカスリング3202に対する操作がなされたかを判定することができる。
フォーカスリング3202に対する操作がなされたと判定した場合には(ステップS3101でYES)、予め設定されている時間が経過したかを判定する(ステップS3102)。予め設定されている時間は、例えば100[msec]である。
予め設定されている時間が経過していないと判定した場合には(ステップS3102でNO)、処理を進めずに待機する。そして、予め設定されている時間が経過したと判定した場合に(ステップS3102でYES)、その期間における操作によるフォーカスリング3202の回転量からパルス数を算出する(ステップS3103)。交換レンズ制御部3220は、予め設定されている、回転量とパルス数との変換式を用いて、パルス数を算出することができる。算出したパルス数は、システムメモリ3230に記憶される。なお、フォーカスリング3202の回転方向の情報は、パルス数の正負の符号により表される。パルス数を算出すると、サンプリングカウント情報をインクリメントする(ステップS3104)。サンプリングカウント情報もシステムメモリ3230に記憶される。
上述したように、交換レンズ制御部3220は、カメラボディ制御部3318からのポーリングを受信する度に、ステップS3103で算出したパルス数、およびステップS3104でインクリメントしたサンプリングカウント情報を送信する。ポーリングは、例えば16[msec]毎に行われる。この場合には、交換レンズ制御部3220は、6周期分のパルス数を送信することになる。
ステップS3104でサンプリングカウント情報をインクリメントした後、またはフォーカスリング3202に対する操作がなされていないと判定した場合には(ステップS3101でNO)、交換レンズ制御部3220は、電源がオフされたかを判定する(ステップS3105)。電源がオフされていないと判定した場合に(ステップS3105でNO)、ステップS3101に移行する。電源がオフされたと判定した場合に(ステップS3105でYES)、一連の処理を終了する。
図26は、カメラボディ3300による制御コマンドの選択処理の一例を示すフロー図である。本フローは、カメラボディ制御部3318が一度目の定常シーケンスにより交換レンズ3200からフォーカスリミットに関する情報、スイッチ状態情報、フォーカス制御状態情報を受信すると開始される。受信したフォーカスリミットに関する情報、スイッチ状態情報、フォーカス制御状態情報は、内部メモリ3310に保持される。
カメラボディ制御部3318は、フォーカス制御状態情報を参照して、フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられているかを判定する(ステップS3201)。フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられていると判定した場合には(ステップS3201でYES)、カメラボディ制御部3318は、AF駆動中かを判定する(ステップS3202)。
AF動作中であると判定した場合には(ステップS3202でYES)、カメラボディ制御部3318は、図25で説明したパルス数およびサンプリングカウント情報を受信したとしても無視する。そして、カメラボディ制御部3318は、合焦位置の探索を指示するかを判定する(ステップS3203)。合焦位置の探索を指示すると判定した場合には(ステップS3203でYES)、サーチコマンドに選択したフォーカスレンズユニット3212の許容範囲に応じた終端位置を付加する(ステップS3204)。合焦位置の探索を指示しないと判定した場合には(ステップS3203でNO)、合焦位置の探索が終了したと判定する。この場合には、フォーカスレンズユニット3212の駆動位置を指示する制御コマンドである位置指定コマンドを選択する(ステップS3205)。位置指定コマンドにより合焦位置を示すパルス数が指定される。
フォーカス制御状態がM/Aモードに切り替えられていないと判定した場合、すなわちMモードに切り替えられていると判定した場合(ステップS3201でNO)、またはAF動作中でないと判定した場合、すなわちMF動作中であると判定した場合には(ステップS3202でNO)、サンプリングカウント情報が更新されたかを判定する(ステップS3206)。サンプリングカウント情報が更新されたと判定した場合には(ステップS3206でYES)、使用者によりフォーカスリング3202が新たに操作されたと判定する。この場合には、PFコマンドに選択したフォーカスレンズユニット3212の許容範囲に応じた駆動範囲を付加する(ステップS3207)。
ステップS3204、ステップS3205、またはステップS3207において、送信すべきコマンドが選択されると、カメラボディ制御部3318は、選択されたコマンドを交換レンズ制御部3220に送信する(ステップS3208)。なお、AF駆動時には、フォーカスレンズユニット3212の移動に最適な速度も交換レンズ制御部3220に送信する。MF駆動時には、フォーカスリング3202に対する操作に応じたパルス数も交換レンズ制御部3220に送信する。
選択されたコマンドを交換レンズ制御部3220に送信した場合、または、サンプリングカウント情報が更新されていないと判定した場合には(ステップS3206でNO)、一連の処理を終了する。
以上のように、カメラボディ制御部3318は、ステップS3204でサーチコマンドに終端位置を付加した上で交換レンズ制御部3220に送信し、ステップS3207でPFコマンドに駆動範囲を付加した上で交換レンズ制御部3220に送信する。したがって、後述するように、交換レンズ制御部3220は、フォーカスレンズユニット3212が終端位置に到達すると、終端位置を超えることなく、終端位置で停止するように制御することができる。同様に、フォーカスレンズユニット3212が駆動範囲の端に到達すると、駆動範囲を超えることなく、駆動範囲内で停止するように制御することができる。
図27は、交換レンズ3200によるオートフォーカス動作時のフォーカスレンズユニット3212の駆動処理の一例を示すフロー図である。本フローは、カメラボディ3300へのレンズ機能情報の送信処理、交換レンズ3200の初期化処理等を含む一連の起動シーケンスが終了した後に開始される。初期化処理においては、交換レンズ制御部3220は、カメラボディ制御部3318から初期化実行コマンドを受信すると、初期処理開始時のスイッチ状態情報に応じた範囲へフォーカスレンズユニット3212を駆動する。
交換レンズ制御部3220は、カメラボディ制御部3318から制御コマンドを受信したかを判定する(ステップS3301)。制御コマンドを受信したと判定した場合には(ステップS3301でYES)、合焦位置の探索を指示する制御コマンドであるサーチコマンドであるかを判定する(ステップS3302)。制御コマンドがサーチコマンドであると判定した場合には(ステップS3302でYES)、カメラボディ3300がサーチコマンドに応答情報を関連付けて送信する応答機能を備えているかを判定する(ステップS3303)。応答機能を備えていないカメラボディ3300は応答情報をサーチコマンドに付加しないので、制御コマンドのデータ長が予め設定されている長さかを判定することにより、カメラボディ3300が応答機能を備えているかを判定することができる。そして、判定結果に応じて、フォーカスレンズユニット3212の駆動制御を異ならせる。
制御コマンドのデータ長が予め設定されている長さよりも長い場合、すなわち、応答情報が付加されている場合には、カメラボディ3300が応答機能を備えていると判定する(ステップS3303でYES)。本実施形態においては、カメラボディ3300が応答機能を備えていると判定する。この場合には、フォーカスレンズユニット3212の移動の終端位置として応答情報に示されるパルス数を選択する(ステップS3304)。
制御コマンドのデータ長が予め設定されている長さである場合、すなわち、応答情報が付加されていない場合には、カメラボディ3300が応答機能を備えていないと判定する(ステップS3303でNO)。この場合には、フォーカスレンズユニット3212の移動の終端位置として、予め設定されている範囲、例えば交換レンズ3200の仕様として機械的に許容されたパルス数を選択する(ステップS3305)。
ステップS3304またはステップS3305においてパルス数を選択すると、交換レンズ制御部3220は、選択したパルス数を終端位置としてフォーカスレンズユニット3212を駆動する(ステップS3306)。
一方で、制御コマンドがサーチコマンドでない、すなわち、フォーカスレンズユニット3212の駆動位置を指示する制御コマンドである位置指定コマンドであると判定した場合には(ステップS3302でYES)、交換レンズ制御部3220は、位置指定コマンドに示されるパルス数に従って、フォーカスレンズユニット3212を駆動する(ステップS3306)。
交換レンズ制御部3220は、電源がオフされたかを判定し(ステップS3307)、電源がオフされていないと判定した場合に(ステップS3307でNO)、ステップS3301に移行する。電源がオフされたと判定した場合に(ステップS3307でYES)、一連の処理を終了する。
カメラボディ3300がフォーカスレンズユニット3212の移動方向のみを指示する場合には、カメラボディ3300が、フォーカスレンズユニット3212が予め設定されている範囲の端に到達したと認識したときには、フォーカスレンズユニット3212は当該範囲をすでに超えてしまっている場合がある。この場合に、予め設定されている範囲外に合焦位置が存在すれば、カメラボディ3300は当該範囲外であっても合焦すると認識してしまう。そうすると、カメラボディ3300は、一旦ピントが合った状態になるにも関わらず、非合焦と判断することになる。したがって、カメラボディ3300の挙動としては好ましくない。また、至近方向にサーチして合焦位置がなければ、反転して無限方向にサーチする場合があるが、そのときに、予め設定されている範囲を超えてしまうと、サーチ時間が長くなる。
本実施形態によれば、カメラボディ3300は、サーチコマンドに終端位置を関連付けた上で交換レンズ3200に送信し、交換レンズ3200は、終端位置に従ってフォーカスレンズユニット3212を駆動する。すなわち、交換レンズ3200は、カメラボディ3300からの停止指示を待ってフォーカスレンズユニット3212の移動を停止するのではなく、交換レンズ3200自身がフォーカスレンズユニット3212の移動に制限をかける。したがって、終端位置を超えることなくフォーカスレンズユニット3212を停止させることができる。
以上の説明では、交換レンズ3200によるオートフォーカス動作時のフォーカスレンズユニット3212の駆動処理を例に挙げたが、マニュアルフォーカス動作時でも基本的に同様である。すなわち、カメラボディ3300が応答機能を備えていれば、交換レンズ制御部3220は、応答情報に示されるパルス数の範囲でフォーカスレンズユニット3212を駆動し、応答機能を備えていなければ、機械的に許容されたパルス数の範囲でフォーカスレンズユニット3212を駆動する。
以上の説明では、カメラボディ制御部3318は、応答情報として交換レンズ制御部3220から受信したパルス数を関連付けたが、当該パルス数とは異なるパルス数を関連付けてもよい。また、以上の説明では、カメラボディ制御部3318は、応答情報として終端位置または駆動範囲をサーチコマンドおよびPFコマンドに関連付けたが、応答機能を備えているかを示すフラグを関連付けてもよい。交換レンズ制御部3220は、フラグが付加されているかを判定することにより、カメラボディ3300が応答機能を備えているかを判定することができる。したがって、交換レンズ3200は、カメラボディ3300が可動情報を取得したと認識することができる。
以上の説明では、カメラボディ制御部3318は、装着されている交換レンズの種別に関わらず、終端位置または駆動範囲をサーチコマンドおよびPFコマンドに付加したが、フォーカス制限切り替えスイッチ3201を備えていない交換レンズが装着されている場合には、終端位置または駆動範囲をコマンドに付加しなくてもよい。
交換レンズ制御部3220は、撮影モードがフルオートまたはマニュアルモードに設定されていれば、フォーカス制限なしを選択してもよいし、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の外部の装置により制御される場合に、フォーカス制限なしを選択してもよい。外部の装置によりカメラシステム3100が操作される場合には、当該外部の装置により細かな制御がなされる場合があるからである。また、使用者は、カメラシステム3100から離れた位置にいると考えられるからである。
以上の説明では、フォーカスリミッタは交換レンズ3200側で設定されたが、カメラボディ3300側で設定されてもよい。この場合には、カメラボディ制御部3318は、フォーカスリミッタの設定を切り替えるためのメニュー画面を表示部3314に表示し、操作部材3315を介してなされる使用者の操作に応じて切り替えてもよい。また、カメラボディ制御部3318は、ポーリング時にスイッチ状態情報を交換レンズ3200に送信してもよい。以上の説明では、カメラボディ制御部3318は、可動情報を交換レンズ制御部3220から受信したが、可動情報が予めシステムメモリ3317に記憶されていれば、システムメモリ3317から取得してもよい。カメラシステム3100が例えばレンズ一体型のカメラシステムである場合には、可動情報が予めシステムメモリ3317に記憶されていてもよい。
以上の説明では、交換レンズ3200は、ズームレンズであったが、単焦点レンズであってもよい。この場合には、焦点距離は変化しないので、第1情報および第2情報は固定値となる。したがって、交換レンズ制御部3220は、第1情報および第2情報を一度送信すればよい。すなわち、定常シーケンスにおいてポーリングを受信する度に送信しなくてもよい。表示情報についても同様である。
以上の説明では、交換レンズ制御部3220は、第1情報および第2情報としてパルス数を送信したが、距離情報を送信してもよい。この場合には、カメラボディ3300は、距離情報を受信してパルス数に変換する。以上の説明では、無限端設計値を基準値としたが、他の値を基準値としてもよい。例えば至近端設計値を基準値としてもよい。以上の説明では、カメラボディ3300側の設定を優先して、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲を選択したが、交換レンズ3200側の設定とカメラボディ側の設定とのどちらを優先するかを、使用者の操作に応じて設定してもよい。これにより、使用者の意思をより反映させることができる。
以上の説明では、フォーカスレンズユニット3212を目標位置に移動させるための制御信号としてパルス数を挙げたが、移動量または目標位置の少なくとも一方が伝達できればこの形態に限られない。
以上の説明では、交換レンズ制御部3220は、フォーカス制限なしに対応する第1情報として無限端ソフトリミットおよび至近端ソフトリミットをカメラボディ3300へ送信したが、無限端設計値および至近端設計値を第1情報として送信してもよい。同様に、交換レンズ制御部3220は、無限領域用のフォーカスリミットとして、無限端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよいし、至近領域用のフォーカスリミットとして、遠端設計値および至近端設計値を第2情報として送信してもよい。上述のように、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合には、例えば無限端設計値にピントを合わせようとすると、実際には無限端設計値よりも無限側に動かすことになる。これに対して、位相差方式で実行される場合には、無限端設計値よりも無限側に動かすことなく無限端設計値にピントを合わせることができる。したがって、交換レンズ制御部3220は、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合と、位相差方式で実行される場合とで、送信する第2情報を異ならせてもよい。オートフォーカスが位相差方式で実行される場合には、フォーカスレンズユニット3212の駆動範囲の両端ではなく、合焦可能範囲の両端の値を送信するとよい。
以上の説明では、交換レンズ3200は、第2情報として第1範囲よりも狭い範囲に関する情報である縮小情報を送信したが、第1範囲よりも広い範囲に関する情報である拡大情報を送信してもよい。例えば図22で説明した至近端ソフトリミットよりも至近寄りのパルス数を第2情報として送信する。この場合に、交換レンズ3200は、第1範囲と第2範囲のどちらが予め設定された基準以上の光学性能が保証される推奨駆動範囲であるかを示す推奨情報を合わせて送信してもよい。カメラボディ3300側で画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとのいずれかに設定されていれば、当該設定に応じてフォーカスレンズユニット3212の駆動範囲を選択するとよい。この場合には、フォーカス制限切り替えスイッチ3201ではなく、画質を優先するモードとピント範囲を優先するモードとを切り替えるスイッチを設けるとよい。画質を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲に関する情報を選択する。一方で、ピント範囲を優先するモードに設定されていれば、推奨情報により示される範囲とは異なる範囲に関する情報を選択する。さらに、カメラボディ3300側の設定情報に応じて範囲を選択してもよい。例えば、撮影モードがフルオートモードに設定されている場合には、画質を優先するモードに設定されていたとしても、ピント範囲を優先すべく範囲を選択してもよい。
以上の説明では、第2範囲は、無限領域用のフォーカスリミットと至近領域用のフォーカスリミットを含んでいたが、いずれか一つでもよい。すなわち、フォーカス制限切り替えスイッチ3201は、3ポジションではなく、2ポジションを切り替えるスイッチであってもよい。また、第2範囲は、3つ以上の範囲を含んでいてもよい。
以上の説明では、カメラボディ制御部3318は、予め定められた条件下においては、フォーカス制限の範囲を切り替える切り替え処理を禁止してもよい。予め定められた条件としては、例えば、AFロック中であること、フォーカスレンズユニット3212が駆動中であることが挙げられる。切り替え処理が禁止されている場合には、条件が解除されるまで切り替え処理を保留、すなわち直前のフォーカス制限範囲での動作を継続する。そして、条件が解除されると、保留していた切り替え処理を実行する。切り替え処理はフォーカス制御状態がAFの場合にのみ行われてもよい。切り替え処理中および切り替え処理を保留している間には、カメラボディ制御部3318は、フォーカス制御状態の切替えおよびMF、AFの動作を行わなくてもよい。なお、フォーカス制御状態がMFの場合には、フォーカスレンズユニット3212の位置に関わらず、切り替え処理を行わないとしてもよい。この場合には、内部メモリ3310のスイッチ状態情報、各種設計値および各種ソフトリミットの更新のみを行う。
カメラシステム3100が動画を撮影する場合においては、コントラストAFは、静止画を撮影する場合と同様にフォーカスレンズユニット3212を至近から無限、および/または無限から至近に移動させて探索する段階と、フォーカスレンズユニット3212を小刻みに移動させて合焦位置を探索する段階とを含む。後者の段階においては、カメラボディ制御部3318は、フォーカスレンズユニット3212の現在位置におけるパルス数からの相対的なパルス数で指定位置を指示する。この場合には、カメラボディ制御部3318は、フォーカスレンズユニット3212の移動の許容範囲を把握しているので、許容範囲を参照することにより、カメラボディ側で制限をかけることができる。つまり、許容範囲を超えるパルス数を送信しない。また、カメラボディ制御部3318は、コントラストAFを実行する場合に限らず、位相差AF、特に被写体を追尾する追尾モードを実行する場合にも、フォーカスレンズユニット3212の駆動を指示する制御コマンドに応答情報を関連付けて送信してもよい。これにより、被写体を追尾中には、フォーカスリミット内で追尾することができる。
以上の実施形態における交換レンズ、撮像装置、または撮像装置の制御プログラムは、以下のような項目により、少なくとも一部の特徴が表現される。
撮像装置に装着される交換レンズであって、フォーカスレンズユニットと、前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲に関する第1情報と共に、前記第1範囲とは異なる範囲である第2範囲に関する第2情報を前記撮像装置に送信する送信部とを備える交換レンズ。
前記第1範囲を示す第1パルス情報と前記第2範囲を示す第2パルス情報との組を記憶している記憶部と、前記フォーカスレンズを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータにパルスを供給して前記アクチュエータの駆動を制御する駆動制御部とを備え、前記送信部は、前記第1パルス情報と前記第2パルス情報との組を送信する交換レンズ。
前記駆動制御部は、前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲が前記第1範囲に切り替えられている場合であっても、前記撮像装置からの指示によっては前記第2範囲で前記アクチュエータを駆動し、前記第2範囲に切り替えられている場合であっても、前記撮像装置からの指示によっては前記第1範囲で前記アクチュエータを駆動する交換レンズ。
ズームレンズユニットを備え、前記記憶部は、焦点距離に応じた複数の前記組を記憶しており、前記送信部は、選択されている前記焦点距離に対応する前記組を送信する交換レンズ。
前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲を切り替える切替部を備え、前記送信部は、前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲がどの範囲に設定されているかを示す設定情報を送信する交換レンズ。
前記送信部は、オートフォーカスがコントラスト方式で実行される場合と、位相差方式で実行される場合とで、送信する前記第2情報を異ならせる交換レンズ。
フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲に関する第1情報と共に、前記第1範囲とは異なる範囲である第2範囲に関する第2情報を受信する受信部と、撮影に関する設定情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報のいずれかを選択する選択部と、選択された前記第1情報と前記第2情報のいずれかに従って、前記フォーカスレンズユニットの駆動を制御する制御部とを備える撮像装置。
前記選択部は、前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲がどの範囲に設定されているかを示す設定情報を取得し、前記設定情報が前記第2範囲に設定されていることを示す場合であっても、前記設定情報が予め定められた条件を満たしていれば、前記第1情報を選択する撮像装置。
前記選択部は、撮影モードがフルオートモードに設定されている場合に、前記第1情報を選択する撮像装置。
前記選択部は、フォーカスモードがマニュアルモードに設定されている場合に、前記第1情報を選択する撮像装置。
前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲が前記第1範囲に設定されている場合と、前記第2範囲に設定されている場合とで、前記フォーカスレンズユニットの移動範囲に関するインジケータの表示を異ならせる表示制御部を備える撮像装置。
前記表示制御部は、前記フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲が切り替えられた場合に、前記フォーカスレンズユニットのポジションの表示範囲を維持しつつ、前記インジケータに関する少なくとも一部の指標が異なるように表示させる撮像装置。
撮像装置に装着される交換レンズに用いられる制御プログラムであって、フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲に関する第1情報と共に、前記第1範囲とは異なる範囲である第2範囲に関する第2情報を取得する取得ステップと、前記第1情報および前記第2情報を前記撮像装置に送信する送信ステップとをコンピュータに実行させる制御プログラム。
フォーカスレンズユニットの移動が許容される範囲である第1範囲に関する第1情報と共に、前記第1範囲とは異なる範囲である第2範囲に関する第2情報を受信する受信ステップと、撮影に関する設定情報に基づいて、前記第1情報と前記第2情報のいずれかを選択する選択ステップと、選択された前記第1情報と前記第2情報のいずれかに従って、前記フォーカスレンズユニットの駆動を制御する制御ステップとをコンピュータに実行させる制御プログラム。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の撮影動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。