JP6519466B2 - ポリマー粉体の乾燥方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマー粉体の乾燥方法に関し、詳しくは、ポリマー粉体の乾燥工程及びエアレーション工程を特定の温度範囲で行い、更に特定の循環系を有するサイロを用いて、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつポリマー粉体同士が固着することを防止することができ、更にエアレーション工程の効率を高められる、ポリマー粉体の乾燥方法に係わるものである。
一般に重合後のポリマー粉体は、残留モノマーや重合工程における残留溶媒を内包しており、これらの残留成分はポリマー粉体の性能に悪影響を及ぼし、成形製品にも好ましくない結果をもたらすので、ポリマー粉体からこれらの残留成分を除去する必要がある。
このために、従来から、加熱乾燥やエアレーション(加熱した空気などの気体の吹き込み)などの手法により、残留成分を除去することが広く行われている。
加熱乾燥としては、例えば、加熱温度を制御するプロピレン系重合体の熱処理方法が知られ(特許文献1)、エアレーションとしては、例えば、サイロ内のエアレーションにおいてサイロ毎の温度制御をする方法が知られており(特許文献2)、加熱乾燥とサイロ内エアレーションとの組み合わせも知られている(特許文献3)。
更に、エアレーションするサイロ内に攪拌機を設けたポリマー粉体の脱気・乾燥方法(特許文献4)、サイロ内に微多孔性ゲル透過膜シートと特異なガス吹込み口を設置した、ポリマー粉体の乾燥装置(特許文献5)なども開示されている。
しかし、上記のような従来のポリマー粉体の乾燥方法や乾燥装置においては、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に十分に除去でき、かつポリマー粉体同士が固着することをも防止し得るとは、いえなかった。
すなわち、プロピレン系重合体の熱処理方法の特許文献1では、80℃〜(ポリマーの融点−2)℃の温度でポリマーを乾燥する方法が記載されているが、本発明者らが当該記載に従って検討した結果、非晶性成分が多いプロピレン系ブロック共重合体のポリマー粉体では、乾燥工程後のサイロでの窒素通気中にポリマー粉体同士が固着し、サイロからの抜き出しが困難であった。
更に、サイロ内のエアレーションを行う、特許文献2及び3では、エアレーションガスがある一定温度以下になることで、残留成分を除去できないだけでなく、ポリマー粉体同士の固着を促進させて、サイロの閉塞を起こしてしまう危険性がある、また、乾燥温度が著しく高い場合は、エアレーション温度に関わらず、サイロの閉塞が発生するため、特許文献2及び3に記載の方法では、サイロの閉塞を生じさせない乾燥には不十分であった。
ところで、ポリオレフィンの主要なポリマーであるポリプロピレン系ポリマーのなかで、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に代表されるランダムコポリマー、ランダムコポリマーを含む重合体ブレンドなどの熱可塑性エラストマーは、適度な柔軟性と強度を持ち、リサイクルや焼却廃棄などの環境問題適応性が高く、また、軽量で成形性や経済性などにも優れていることから、フィルムやシート、繊維、不織布、各種容器、改質剤などとして幅広い分野で用いられている。
かかる熱可塑性エラストマーのうち、第1重合工程で結晶性のポリプロピレン成分を、第2重合工程で非晶性又は低結晶性のプロピレン−αオレフィン共重合体成分を製造して得られる、いわゆる軟質プロピレン系ブロック共重合体と称されるものは、ランダムコポリマーのエラストマーに比べて耐熱性と生産性に優れ、また、機械的な混合により製造されるエラストマーに対して製造コストの低減が図れるので、経済性が高く、耐熱性などに優れているため、最近において非常に汎用されている。
かかる軟質プロピレン系ブロック共重合体は、非晶性成分又は低結晶性成分を増加させることによって柔軟性を向上させることができるものの、ポリマー粉体へ溶解するモノマーなどの量が増加し、現状の乾燥設備ではポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒の残留量が多くなった。この問題を解決するためには、乾燥温度を上げる、乾燥時間を長くするといった方法が考えられるが、それだけでは不十分であり、乾燥効率や経済性も満たされない。
また、上記のような、柔軟性の高いポリマーのポリマー粉体は、非晶性成分又は低結晶性成分を多く含むため、ポリマー粉体が乾燥工程で加熱された時に、非晶性成分又は低結晶性成分がポリマー粉体の表面にブリードし、後続のサイロなどの設備で窒素通気などにより冷却されると、ブリードした非晶性成分又は低結晶性成分がポリマー粉体同士の接点となり、固着が生じるという問題もあった。特に、サイロのように多量のポリマー粉体を収蔵する場合は、ポリマー粉体の自重により、ポリマー粉体が変形し、ポリマー粉体同士の接着面積が大きくなって、この現象によって、ポリマー粉体同士の固着力は、更に大きくなり、サイロなどからの抜き出しができなくなる不都合も派生していた。
しかして、重合後のポリマー粉体の乾燥において、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを防止し得る、ポリマー粉体の乾燥方法が求められており、特に、軟質プロピレン系ブロック共重合体においては、残留するモノマーや溶媒を効率的に十分に除去でき、非晶性成分又は低結晶性成分がポリマー粉体の表面にブリードすることによる粉体同士の固着をも十分に抑止し得るポリマー粉体の乾燥方法が要望されている。
特開2002−327008号公報 特開2004−189913号公報 米国特許第4365057号明細書 特開2003−313227号公報 特開2013−256597号公報
本発明者らは、背景技術において前述した従来技術における課題であるところの、ポリマー粉体の乾燥において、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを十分に防止し得る、ポリマー粉体の乾燥方法として、これまでに、ポリマー粉体を60〜95℃の温度に保持して乾燥する工程及び25〜95℃の温度でエアレーションを行う工程を順に行う、ポリマー粉体の乾燥方法の発明を創成し提案している(特願2013−206994[特開2015−071661号公報])。
本発明では、先願発明において、更にエアレーション工程の改良を目指し、窒素ガスなどのエアレーションガスの使用量を削減でき、かつエアレーションの効率を高める、ポリマー粉体の乾燥方法を開発することを、発明が解決すべき、新たな発明の課題とする。
本発明者らは、上記の新たな発明の課題を解決するために、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを十分に防止し得るところの、先に創成し提案したポリマー粉体の乾燥方法において、エアレーション工程の更なる改良を行うことを目指した。
そして、窒素ガスなどのエアレーションガスの使用量を削減でき、かつエアレーションの効率を高め得る、ポリマー粉体の乾燥方法を求めて、サイロのエアレーション工程の手段や条件などを探索勘案して、サイロに循環系を設け、その循環系においてエアレーションガスの分離をすれば、上記の新たな発明の課題を解決し得ることを見い出して、本発明を創成するに到った。
しかして、本発明は、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを十分に防止し得るところの、先に創成し提案したポリマー粉体の乾燥方法において、エアレーション工程を行うサイロに循環系を設け、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及び加熱装置を備えることを特徴とする発明である。
なお、先に提案した発明では、エアレーションガスを乾燥系の外へ放出するが、本発明はエアレーションにおいて循環させ、単に循環させると、エアレーションガス中に揮発性成分が蓄積され、エアレーションの効率が悪くなってしまうため、本発明ではガス分離膜を通して揮発性成分を系外に送出し揮発成分の濃度が高くならないように工夫する。
そして、本発明において、エアレーション工程を行うサイロに循環系を設け、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及び加熱装置を備えることによって、先に創成し提案したポリマー粉体の乾燥方法において、新たに、(i)循環系により、窒素ガスなどのエアレーションガスの使用量を削減でき、(ii)ガス分離装置により、エアレーションガス中にポリマー粉体からの揮発成分が蓄積されることがなくなり、(iii)それによりエアレーション工程の効率が高くなり、(iv)エアレーションガスの使用量の削減により、少ない熱量でエアレーションガスの温度を高く維持できるようになり、(v)この高温維持と、加熱装置により、高温でのエアレーションが可能となり、(vi)この高温エアレーションにより、エアレーションの時間短縮がなされる、という種々の格別な新たな作用効果がもたらされる。
かくして、本発明の構成は、工程a)及び工程b)を順に行い、更に工程b)をサイロ(I)内で行うことを特徴とする、ポリマー粉体の乾燥方法であって、工程a)は、ポリマー粉体を、60〜95℃の温度で乾燥を行う工程で、工程b)は、ポリマー粉体を、25〜95℃の温度でエアレーションを行う工程であり、サイロ(I)は、循環系を有するサイロであって、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及び加熱装置を備えたサイロ、となる。
なお、ガス分離装置は、ポリマー粉体からの揮発性成分と窒素などのエアレーションガスを分離して、エアレーションガスをリサイクルするガス分離膜を有し、加熱装置はサイロへ供給されるエアレーションガスを加温する装置である。
そして、かかる新規な発明の構成及び上記した種々の格別な新たな作用効果は、従来技術の各文献からは些かも窺うことができない。
本発明は、かかる発明の構成を有する新たな発明を基本発明とし、この基本的な発明(請求項1の独立請求項の発明)に対して、付随する実施の態様発明(従属請求項の各発明)としては、工程a)b)の時間を規定し(請求項2)、エアレーションガスを特定し(請求項3)、ポリマー粉体を具体化し(請求項4〜7)、残留モノマーガス濃度を限定し(請求項8)、粉体の乾燥方法をポリマーの製造工程に含ませる(請求項9)、各発明である。
以上において、本発明の創成の経緯と発明の基本的な構成と特徴について、概括的に記述したので、ここで本発明の全体的な構成を俯瞰して総括すると、本発明は次の[1]〜[9]の発明単位群からなるものである。
ここで、[1]における、特異な乾燥方法が、基本発明[1]として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明に付随的な要件を加え、或いはその実施の態様を示すものであり、[1]〜[9]の各発明を総称して本発明という。
[1]下記の工程a)及び工程b)を順に行い、更に工程b)をサイロ(I)内で行うことを特徴とする、ポリマー粉体の乾燥方法。
工程a):ポリマー粉体を、60〜95℃の温度で乾燥を行う工程。
工程b):ポリマー粉体を、25〜95℃の温度でエアレーションを行う工程。
サイロ(I):循環系を有するサイロであって、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及び加熱装置を備えたサイロ。
[2]工程a)で0.6〜1.1時間乾燥を行い、工程b)で6〜60時間エアレーションを行うことを特徴とする、[1]におけるポリマー粉体の乾燥方法。
[3]エアレーションガスが窒素であることを特徴とする、[1]又は[2]におけるポリマー粉体の乾燥方法。
[4]前記ポリマー粉体は、オレフィン重合体の粉体であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるポリマー粉体の乾燥方法。
[5]前記ポリマー粉体は、プロピレン単位とエチレン又はC4〜C20のα−オレフィン単位とを含む、プロピレン系ランダム共重合体又はプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、[4]におけるポリマー粉体の乾燥方法。
[6]前記ポリマー粉体は、融点が115〜145℃であり、60℃のo−ジクロロベンゼンに可溶な成分の量が30wt%以上のプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、[5]におけるポリマー粉体の乾燥方法。
[7]前記ポリマー粉体は、メタロセン触媒にて重合されたプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、[5]又は[6]におけるポリマー粉体の乾燥方法。
[8]残留モノマーガス濃度を爆発下限界濃度の1/4以下にすることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるポリマー粉体の乾燥方法。
[9][1]〜[8]のいずれかにおけるポリマー粉体の乾燥方法を工程に含むことを特徴とする、ポリマーの製造方法。
本発明のポリマー粉体の乾燥方法によれば、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを防止し得て、更に、(i)循環系により、窒素ガスなどのエアレーションガスの使用量を削減でき、(ii)ガス分離装置により、エアレーションガス中にポリマー粉体からの揮発成分が蓄積されることがなくなり、(iii)それによりエアレーション工程の効率が高くなり、(iv)エアレーションガスの使用量の削減により、少ない熱量でエアレーションガスの温度を高く維持できるようになり、(v)この高温維持と、加熱装置により、高温でのエアレーションが可能となり、(vi)この高温エアレーションにより、エアレーションの時間短縮がなされる、という顕著な発明の効果が奏される。
本発明の実施の形態の一つを示した、乾燥装置の模式図である。
1.本発明の基本構成
本発明のポリマー粉体の乾燥方法は、工程a)及び工程b)を順に行い、更に工程b)をサイロ(I)内で行うことを特徴とする、ポリマー粉体の乾燥方法であって、工程a)は、ポリマー粉体を、60〜95℃の温度で乾燥を行う工程で、工程b)は、ポリマー粉体を、25〜95℃の温度でエアレーションを行う工程であり、サイロ(I)は、循環系を有するサイロであって、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及びサイロへ供給されるエアレーションガスを加温する加熱装置を備えたサイロ、である。
以下においては、本発明のポリマー粉体の乾燥方法について、具体的かつ詳細に説明する。
2.工程a)
(1)基本規定
工程a)は、ポリマー粉体を、60〜95℃の温度で乾燥を行う工程であって、ここでの乾燥とは、ポリマー重合時にフィードされるプロピレン、エチレン、C4〜C20のα−オレフィンなどの重合時に未反応となったモノマー、及び触媒スラリー溶媒や重合溶媒として用いるヘキサン、ヘプタンなどの残留溶媒を、加熱雰囲気により除去することである。なお、所謂、脱気に該当する場合を含む。また、乾燥のために用いられる窒素などの不活性ガスに触媒、有機アルミを失活させるために水蒸気を含ませて通気させることが一般的である。更に、乾燥は、ポリマー粉体を流動させながら行うことが好ましい。
(2)乾燥装置
乾燥装置の様式は、特に形状や構造を問わないが、本発明に用いられる乾燥装置は、例えば粉体工学便覧(第2版p.358・粉体工学会編・日刊工業新聞社発行)に記載されたような種類があるが、回分式でも連続式でもよく、また攪拌式、振動式、スクリューコンベア式などいずれの方式でもよい。また、様々な様式の乾燥装置を組み合わせることも可能である。
(3)温度条件
工程a)の乾燥の温度条件は、実験的に検討し規定された条件であり、60℃以上、好ましくは、65℃以上、更に好ましくは、70℃以上、そして、95℃以下、好ましくは、90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。
上記の60℃以上であると、十分にポリマー粉体を乾燥させることができ、上記の95℃以下であると、工程b)の温度にかかわらず、ポリマー粉体同士の固着が発生せず、サイロの閉塞が発生することがない。ここでの温度は、乾燥器内のポリマー粉体の温度である。
(4)時間条件
工程a)の乾燥の時間条件は、実験的に検討し規定された条件であり、必須の要件ではないが、好ましくは0.6時間以上、より好ましくは0.7時間以上、そして、好ましくは1.1時間以下、より好ましくは、1.0時間以下である。
上記の0.6時間以上であると、十分にポリマー粉体を乾燥させることができ、上記の1.1時間以下であると、乾燥工程設備が大型化せず、製造グレードの切り替え時の中間品が増大したり、製造コストが増大することを避けられる。
(5)残留ガス濃度
残留炭化水素などの残留ガス濃度は工程a)の実施前と比較して低下し、工程a)を行った結果、工程a)の実施後の好ましいガス濃度は、250wtppm以上、1,40
0wtppm以下の範囲であり、更に好ましくは275wtppm以上、1,150wtppm以下であり、特に好ましくは300wtppm以上、900wtppm以下である。
250wtppmより低くする必然性はなく、1,400wtppm以下であると、残留ガス濃度を管理する上で、気相部のガスが爆発する惧れはない。
3.工程b)
(1)基本規定
工程b)は、ポリマー粉体を、25〜95℃の温度でエアレーション処理をする工程であり、更にエアレーションを特定のサイロ内にて行う。
エアレーションとは、粉体工学用語辞典(粉体工学会編・日刊工業新聞社・第2版・p.21)に記載のとおり、粉粒体層内に空気などを注入する操作をいう。本発明では、空気又は窒素などの不活性ガスを容器底に供給し、容器内の充填されているポリマー粉体に含まれているガスと容器中のガスとを平衡状態にすることを目的とし、粉体が流動しない程度の流量で乾燥工程後のポリマー粉体へ窒素などを通気し、1,400wtppm以下程度に残留炭化水素などを低下する工程を指す。本発明では、エアレーションを後述する特定のサイロ内で行うことを主たる特徴としている。
乾燥工程では、主に乾燥器を用いて未反応となったモノマーや残留溶媒を除去することに対して、エアレーションは、サイロなどのポリマー粉体の貯蔵に際して、残留ガス濃度を管理する工程であり、乾燥工程とは区別される。この場合に、ポリマー粉体同士が圧着しないように対処する必要がある。
(2)エアレーション
一般には、エアレーションを行う場所やエアレーション装置の形状は、特に問わないが、本発明では乾燥工程後のサイロで行う。
また、通常は、乾燥工程後であれば、ポリマー粉体を高温にせず、少量のエアレーションガスで爆発下限界まで乾燥することができる。なお、一般にはサイロ以外でもエアレーションを実施することはできるが、本発明ではエアレーションを特定のサイロで行い、サイロ下部より、エアレーションガスをフィードすることで、ポリマー粉体とガスが向流で接触し、サイロ全体のガスを効率良く置換できるため、必要なエアレーションガスも少なくなり、経済性が良い。よって、多量のポリマー粉体をエアレーションで乾燥させる形態としてはサイロが必然的である。
サイロなどの貯蔵容器に移して、加熱した空気や窒素ガスなどを吹込み、残存モノマー及び/又は溶媒を除去することが通常行われている。この場合、サイロの下部からガスを吹込む向流式のエアレーションが効率的である。
エアレーションに用いるガスは、空気でもよいが不活性ガスであることが好ましい。特に、経済性と入手し易さから窒素が好ましい。エアレーションのためのガスは、サイロ下部よりフィードすることが好ましい。サイロ上部よりフィードした場合、サイロ内のポリマー粉体と十分に接触できないため、ポリマー粉体の残留ガス濃度を十分に抑制できない可能性がある。
エアレーションのために必要なガス量は、単位保有量(ポリマー粉体1T)あたり、少なくとも0.05〜0.2Nm/hである。この数値以上であると、サイロ内で十分にガス置換が行われ、十分にポリマー粉体を乾燥させることができる。上限は特にないが、生産コストの面から、フィード量を極端に増量しないことが望ましい。
(3)温度条件
工程b)の温度条件は、実験的に検討し規定された条件であり、25〜95℃である。25℃以上であると、残留揮発分を十分に除去でき、乾燥工程を通過後のポリマー粉体同士が固着したり、サイロからポリマー粉体を抜き出すことができなくなることを避けられる。一方、95℃以下であると上記の工程a)と同様に、ポリマーから非晶成分がブリードしたり、サイロ下部で閉塞が生じる惧れがない。本発明においては、実際にサンプリングしたポリマー粉体の温度を直接測定した。
(4)時間条件
工程b)の時間条件は、実験的に検討し規定された条件であり、必須の要件ではないが、好ましくは6時間以上、より好ましくは8時間以上、好ましくは60時間以下、より好ましくは、50時間以下である。上記の6時間以上であると十分にポリマー粉体の残留ガス濃度を抑制させることができ、上記の60時間以下であると、サイロ規模が適正になり、単位時間あたりの生産量も適正となるなど、生産コストが好適となる。
(5)残留ガス濃度
残留炭化水素などの残留ガス濃度は、工程b)の実施前と比較して更に低下し、工程b)を行なう結果、工程b)の実施後の好ましいガス濃度は、含まれるモノマーガス特にプロピレンの爆発下限界(LEL)以下である。より好ましくは爆発下限界(LEL)の1/4以下である。
ガス濃度は、ポリマー粉体を密閉容器に空間部容積が最小になる状態で採取し、無限時間後(平衡状態に達した後)の、気相部の残留ガスの濃度(CHC)をいう。この関係は、残留ガスがプロピレンの場合には、ポリプロピレンのポリマー粉体中の残留ガスの濃度が168wtppmのとき、気相部のガス濃度が爆発下限界に相当し、42wtppmのとき、気相部のガス濃度が爆発下限界の1/4に相当する。また、ブテンなどを含む場合は、プロピレンとブテンなどを含めて爆発下限界の1/4以下にすることが望ましい。
4.特定のサイロ
(1)基本構成
本発明においては、工程b)を特定のサイロ(I)内で行うことを主たる特徴としている。
このサイロ(I)は、図1に例示されるように、ポリマー粉体から除去される揮発性成分とエアレーションガスの混合物を、系外に排出せず循環する循環系を有するサイロであって、循環系にはポリマー粉体から除去される残留成分とエアレーションガスとを分離して、エアレーションガスだけをガス配管によりサイロに戻すガス分離装置を備えている。また、エアレーションガスを適宜に加温する加熱装置も備えている。
(2)ガス分離装置及び加熱装置
ここで、ガス分離装置はガス分離膜などを使用してガスを分離する装置であり、ガス分離装置は通常の装置が用いられるが、好ましくは、ポリマー粉体から除去される残留成分と窒素などのエアレーションガスとを分離するのに好適な装置が選ばれる。
ガス分離装置としては、例えば中空糸膜のようなガス分離膜をそなえた分離装置に、ポリマー粉体から除去される残留成分を含む循環エアレーションガスを送入し、ガス分離膜を透過しない残留成分を系外に排出し、エアレーションガスのみをサイロ内に循環させる。また、特定のガスを吸着するガス吸着粒子によるガス分離装置も使用し得る。
分離膜として、好ましくは窒素分離膜を使用することもできる。ここで使用する窒素分離膜は、特に指定はないが、DALIAN・EUROFILM・INDUSTRIAL・LTD.製を使用してもよい。
加熱装置は、電気ヒーターのような通常の加熱装置が用いられ、エアレーションガスを必要に応じて加温する。
本発明では、サイロに供給される窒素は、加熱することが望ましい。加熱温度は、サイロでエアレーションを行う工程温度と同じにすることが望ましい。加熱される窒素は、窒素ガス分離膜でプロピレンとエチレン又はC4〜C20のα−オレフィンを除いてリサイクルされるものがよい。新たに供給される窒素を用いると目標温度まで加熱するのに必要な熱量が増加するため、加熱装置が巨大になる。
(3)特異な作用効果
本発明においては、このような特定のサイロ(I)を用いることにより、段落0012に記載したところの、(i)循環系によりエアレーションガスを循環使用するため、窒素ガスなどのエアレーションガスの使用量を削減でき、(ii)ガス分離装置により、循環するエアレーションガス中にポリマー粉体からの揮発成分が蓄積されることがなくなり、(iii)それによりエアレーション工程の効率が高くなり、(iv)エアレーションガスの使用量の削減により、少ない熱量でエアレーションガスの温度を高く維持できるようになり、(v)この高温維持と、加熱装置により、高温でのエアレーションが可能となり、(vi)この高温エアレーションにより、エアレーションの時間短縮がなされる、という種々の格別で特異な新たな作用効果がもたらされる。
(4)サイロ(I)を備える乾燥装置の具体例
図1に本発明の実施の形態の一つを示した、乾燥装置の模式図が示され、これはサイロ(I)を備える乾燥装置の具体例である。
1.は横型攪拌ガス回収機、2.は横型攪拌乾燥機、3.は縦型攪拌乾燥機、4.はサイロへの輸送配管、5.はサイロ(I)である。6.はエアレーション用の窒素などのガス配管であり、サイロに、好ましくは加熱された、窒素などのガスを供給する。7.は造粒機への輸送配管、8.は窒素などのガス分離装置、9.は窒素などのエアレーションガス加熱器であり通常の加熱器である。
4.ポリマーの粉体
(1)ポリマーについて
本発明が対象とするポリマーは、特に制限はないが、主にポリオレフィンが好適な対象となる。
ここで、ポリオレフィンは通常に知られたポリマーであり、代表的にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンなどのα−オレフィンによるポリマーである。
特に、代表的なポリマー粉体は、プロピレン単位とエチレン又はC4〜C20のα−オレフィン単位とを含む、プロピレン系ランダム共重合体又はプロピレン系ブロック共重合体の粉体である。エチレン又はC4〜C20のα−オレフィン単位であれば、一般に製造が容易で、物性も好適である。
本発明におけるポリマー粉体は、ポリオレフィン重合で得られるもの、それ以外で得られるものと特に区別する必要はない。本発明の技術は、軟質プロピレン系ブロック共重合体の製造を主たる目的としている。粉体流動性を維持する理由により、気相重合で得られるポリマー粉体への適用が望ましい。
(2)プロピレン系ブロック共重合体の粉体
本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の粉体において特に有用である。軟質プロピレン系ブロック共重合体においては、残留するモノマーや溶媒を効率的に十分に除去でき、非晶性成分又は低結晶性成分がポリマー粉体の表面にブリードすることによる粉体同士の固着をも十分に抑止し得る。
本発明者らは、これまでの実績と経験に基づき、ポリマー粉体の熱に対する挙動に焦点を当て、更に鋭意研究を進めた。
プロピレン系ブロック共重合体の粉体において更に言及すると、本発明のような熱可塑性樹脂であるポリマーは融点をもつ。この現象はポリマーの結晶性成分中の分子の自由度が上がり粘性体になることを意味する。
また、本発明のような結晶性成分と非(低)結晶性成分からなる軟質オレフィン重合体粒子の場合には、温度が上がり結晶性成分の分子運動が大きくなるにつれて、非結晶性成分が重合体表面上に移動する、いわゆるブリードアウトという現象が起こる。この現象は必ずしも結晶性成分の融点以上にならなくても、融点より少し低い温度(T)から起こり始める。また時間を経るにつれてその程度が大きくなる。
したがって、本発明においては、乾燥工程である工程a)において、この融点より少し低い温度(T)より低い温度で乾燥する必要がある。
ただし、上述のようにブリードアウト現象というのは、上記のT℃以下で乾燥を行っても、また時間を経るにつれて、少しずつ起こる現象であり、完全に抑制できるものではない。
また、ブリードアウトを引き起こした重合体は、すなわち重合体粒子の表面を非結晶性成分が覆った状態である。ところで非結晶性成分であっても非結晶性成分の温度が低下しガラス転移点温度付近になると、非結晶性成分の分子運動が小さくなる。この時、重合体粒子同士の非結晶性成分が互いに接触したまま分子運動が小さくなると、その接触点で固着してしまうという、いわゆるバインダー現象が起こってしまう。
この時サイロのような重合体を保存している場所でバインダー現象が起こると、重合体粒子全体の流動性が損なわれ、抜き出せないという製造上の問題を引き起こしてしまう。
そこで、本発明においては、基本的には、乾燥工程である特定温度履歴をへて、ブリードアウトが特定の範囲で進行した重合体を、後の工程b)のエアレーションにおいて、その重合体のガラス転移点温度付近の温度(T’)以下にしないことにより、上記のバインダー現象を頻発させることなく、また軟質な重合体をサイロに保管できる、二つの工程a)、工程b)の温度と時間の範囲の組み合わせを見出したものでもある。
また、先の工程を行うことにより、十分に重合体粒子から揮発分を乾燥させて、後の工程に安全に使用できるような保管方法を見い出したものである。
以下においては、本願の特許請求の範囲の要件にとらわれない態様を記載するが、本発明のもう一つの他の態様は、結晶性成分と非(低)晶性成分とを含むポリマーの粉体の乾燥方法であって、この場合には、60℃以上(結晶性成分の融点−40℃)以下の温度で0.4〜2.5時間乾燥を行う工程、及び非晶成分のガラス転移温度を超えポリマーの結晶化温度、特に95℃以下の温度で3〜100時間エアレーションを行う工程を、この順に行うポリマー粉体の乾燥方法である。プロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ブロック共重合体にあっては、TREF測定において、60℃のo−ジクロロベンゼンに可溶な成分が非晶性成分であり、60℃のo−ジクロロベンゼンに不溶な成分が結晶性成分である。
この態様において、乾燥を行う工程a)の温度は、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上とすることができ、好ましくは(結晶性成分の融点−42℃)以下、より好ましくは(結晶性成分の融点−44℃)以下、更に好ましくは(結晶性成分の融点−45℃)以下とすることができる。乾燥を行う工程a)の時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.6時間以上、更に好ましくは0.7時間以上とすることができ、好ましくは2時間以下、より好ましくは1.5時間以下、更に好ましくは1.1時間以下、より更に好ましくは1時間以下とすることができる。
この態様において、エアレーションを行う工程の温度は、好ましくは(ポリマーの結晶化温度−0℃)以下、より好ましくは(ポリマーの結晶化温度−5℃)以下、とすることができ、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは20℃より高く、より更に好ましくは25℃以上とすることができる。エアレーションを行う工程の時間は、好ましくは6時間以上、より好ましくは8時間以上、更に好ましくは15時間以上とすることができ、好ましくは60時間以下、より好ましくは50時間以下とすることができる。
更に、本発明のもう一つの別の態様は、結晶性成分と非晶性成分とを含むポリマーの粉体の乾燥方法であって、70℃以上(結晶性成分の融点−45℃)以下の温度で乾燥を行う工程a)及び(非晶性成分のガラス転移温度+5℃)以上ポリマーの結晶化温度特に95℃以下の温度でエアレーションを行う工程を、この順に行うポリマー粉体の乾燥方法である。
(3)プロピレン系ブロック共重合体
本発明においては、プロピレン系ブロック共重合体は、特にプロピレン単位とエチレン又はC4〜C20のα−オレフィン単位とのプロピレン系ブロック共重合体を対象としている。すなわち、第1工程で、プロピレン単独重合、又はエチレンもしくはC4〜C20のα−オレフィンとプロピレンとの共重合を行い、第2工程で、プロピレンと、第1工程よりも高い量のエチレンもしくはC4〜C20のα−オレフィンを含む重合が連続的にできることが好ましく、2槽以上の重合反応器で製造されたエチレンもしくはC4〜C20のα−オレフィンとプロピレンとのプロピレン系ブロック共重合体への適用が望ましい。
ポリマーの融点は、115〜145℃の範囲のものが適当であり、融点が高くなるとそれに伴いポリマーの結晶性は増加する。好ましくは120℃以上、140℃以下である。
ポリマー粉体の非晶性成分は、TREF(温度上昇溶離分別)溶出温度が60℃以下であり、その割合が30wt%以上であるときに本発明を採用するのが望ましい。非晶性成分のTREF溶出温度は、−15〜60℃の範囲である。一方、非晶性成分の割合については、好ましくは、35wt%以上、更に好ましくは、40wt%以上、70wt%以下、更に好ましくは、65wt%以下である。
TREFにおける非晶性成分の溶出温度が60℃以下であると、本発明が好適に実施され、60℃を超えると結晶性が高く、本発明を採用しなくても、好適な物性のポリマー粉体となる場合がある。また、60℃以下の溶出成分の割合(すなわち、60℃のo−ジクロロベンゼンに可溶な成分の量)が30wt%以上であると、本発明が好適に実施され、30wt%未満となる場合は、ポリマー粉体の表面上にブリードしてくる非晶性成分が少量となるため、本発明を採用しなくても、好適な物性のポリマー粉体となる場合がある。
一方、結晶性成分の溶出成分が70wt%以下であると、本発明が好適に実施され、非晶性成分がブリードすることはなく、ポリマー粉体同士の固着が発生することもない。
(4)重合触媒
上記に記載のポリマーの製造には、メタロセン触媒を用いることが望ましい。チーグラー・ナッタ触媒で製造した場合に比して、低分子量成分が少なく、工程a)工程b)の温度設定範囲で、ポリマー粉体同士の固着を好適に抑制することができる。
メタロセン触媒の種類は、本発明の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(A)、(B)、及び必要に応じて使用する成分(C)からなるメタロセン触媒を用いることが好ましい。
成分(A):一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
Figure 0006519466
(式中、A及びA’は置換基を有していてもよい共役五員環配位子、Qは二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基、X及びYは、助触媒と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子、Mは、周期律表第4族の遷移金属である)
成分(B):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分
(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
(i)成分(A)
成分(A)としては、前記の一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
上記一般式中、A及びA’で表される共役五員環配位子は置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基誘導体である。置換基を有する場合、その置換基の例としては、炭素数1〜30の炭化水素基(ハロゲン、珪素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含有していてもよい)が挙げられ、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにその内の2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニルの一部と共に環を形成していてもよい。この置換基の他の例としては、インデニル基、フルオレニル基、又はヒドロアズレニル基などが挙げられ、これらの基は、更に置換基を有していてもよく、中でもインデニル基又はヒドロアズレニル基が好ましい。
Qとして、好ましくはメチレン基、エチレン基、シリレン基、ゲルミレン基、及びこれらに炭化水素基が置換したもの、並びにシラフルオレン基などが挙げられる。
X及びYの補助配位子は、成分(B)などの助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものであり、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、或いは酸素、窒素、ケイ素などのヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が例示できる。これらのうち好ましいものは、炭素数1〜10の炭化水素基、或いはハロゲン原子である。
Mは、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムである。特に、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
更に上記遷移金属化合物の中でも、プロピレンの立体規則性重合を進行させ、かつ得られるプロピレン重合体の分子量が高いものが好ましい。具体的には、特開平1−301
704号公報、特開平4−211694号公報、特開平6−100579号公報、特表2002−535339号公報、特開平6−239914号公報、特開平10−2267
12号公報、特開平3−193796号公報、特表2001−504824号公報などに記載の遷移金属化合物が好ましく挙げられる。
(ii)成分(B)
成分(B)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開200
2−284808号公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、更には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体は、レーザー粒径測定法で測定した平均粒子径が25〜200μmが好ましく、25〜150μmがより好ましい。
また、成分(B)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウム、フッ素化合物処理した後に火焼したシリカアルミナ、ペンタフルオロフェノールとジエチル亜鉛などの有機金属化合物を反応させ、更に水と反応後、同生成物を担持したシリカなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(B)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、更に好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
(iii)成分(C)
必要に応じて用いられる成分(C)の有機アルミニウム化合物の例は、一般式AlR3−a(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは、水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
(iv)触媒の形成
成分(A)、成分(B)及び必要に応じて成分(C)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(A)と成分(B)を接触させる
2)成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を添加する
3)成分(A)と成分(C)を接触させた後に成分(B)を添加する
4)成分(B)と成分(C)を接触させた後に成分(A)を添加する
その他、三成分を同時に接触させてもよい。
本発明で使用する成分(A)、(B)及び(C)の使用量は任意である。例えば、成分(B)に対する成分(A)の使用量は、成分(B)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜500μmol、特に好ましくは0.5μmol〜100μmolの範囲である。成分(B)に対する成分(C)の使用量は、成分(B)1gに対し、好ましくは成分(C)の量が0〜100mmol、特に好ましくは0.005mmol〜50mmolの範囲である。したがって、成分(A)に対する成分(C)の量は、遷移金属のモル比で0〜10、好ましくは0.02〜10、特に好ましくは0.2〜10の範囲内である。(C)は任意成分なので0を含めた。
(v)予備重合
本発明の触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、これらは単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。中でもプロピレンを使用することが特に好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、更に好ましくは0.1〜50である。予備重合処理は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのとき不活性溶媒を存在させることもできる。予備重合処理に用いられる不活性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及び流動パラフィンなどの液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコンオイルなど重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶媒である。これらの不活性溶媒は1種の単独溶媒又は2種以上の混合溶媒のいずれでもよい。これらの不活性溶媒の使用に際しては重合に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物などの不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
予備重合処理は複数回行っても良く、この際用いるモノマーは同一であっても異なっていても良い。また、予備重合処理後にヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行うことも可能である。
更に、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体から選ばれる触媒の流動性改質剤などを共存させることも可能である。
(5)重合方法
本発明において、α−オレフィンなどの重合反応は、前記した担持触媒の存在下、好ましくはスラリー重合又は気相重合にて、行うことができる。スラリー重合の場合、実質的に酸素、水などを断った状態で、イソブタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素から選ばれる不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下で、エチレンなどを重合させる。また、液状エチレンや液状プロピレンなどの液体モノマーも溶媒として使用できることはいうまでもない。
また、気相重合の場合、エチレンやコモノマーのガス流を導入、流通又は循環した反応器内においてエチレンなどを重合させる。本発明において、更に好ましい重合は、気相重合である。
重合条件は、温度が0〜250℃、好ましくは20〜110℃、更に好ましくは60〜100℃であり、圧力が常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜4MPa、更に好ましくは0.5〜3MPaの範囲にあり、重合時間としては5分〜10時間、好ましくは5分〜5時間が採用されるのが普通である。
なお、上記の重合反応後に、本発明の各請求項におけるポリマー粉体の乾燥方法を工程として組み込めば、より好ましいポリマーの製造方法を実現できる。
以下において、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されず、各実施例及び各比較例の対比検討により、本発明の構成の合理性と有意性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を実証する。
[測定法]
1.o−ジクロロベンゼンに可溶な成分の量
本発明においては、具体的には以下のようにして測定する。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に、昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線(及び溶出成分)を得る。
このとき、TREFにおいて60℃までに溶出する成分の積算量をo−ジクロロベンゼンに可溶な成分の量とする。
2.融点測定
セイコー社製DSC(DSC6200R)を用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。
3.閉塞の有無の判定方法
本発明で記載のサイロの閉塞は、サイロからの抜き出し操作を実施してもポリマー粉体が流れ落ちず、人力によるハンマリングを実施してもポリマー粉体が流れ落ちない場合のことである。
4.ポリマー粉体中の揮発分量測定
測定機器:オートサンプラー・Perkin Elmer製・「Headspace Sampler Turbo Martrix 40」
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製・CG−2025
カラム:Phenomenex製・ZB−624
オートサンプラーで温度150℃にて30分加熱し、ポリマー粉体中の残留モノマー及び残留溶剤を揮発させ、オートサンプラーに接続したガスクロにて、揮発させられた揮発分濃度を測定した。
[実施例1]
(1) 第1重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m)、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.25MPa、第1重合工程の生産量3.6t/hとなるように触媒及びトリイソブチルアルミニウムをフィードし、また、融点が130℃、MFRが7g/10分となるように、エチレン/プロピレン比、水素/プロピレン比を調整して、プロピレン、エチレン及び水素をフィードした以外は、特開2007−297505号の実施例2と同様な方法でプロピレン− エチレンランダム共重合体成分を製造した。
(2)第2重合工程
攪拌羽根を有する横型重合器(L/D=5.2、内容積50m)の第2重合器に第1重合工程からのプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を受け入れ、第1重合工程より結晶性が低いプロピレン− エチレンランダム共重合体成分を製造した。このとき、撹拌回転数18rpm、反応圧力2.20MPaとし、プロピレン−エチレンブロック共重合体のTREF60℃可溶分量が44重量%、TREF60℃可溶分に含まれるエチレン含有量が12重量%となるように、活性抑制剤の量とエチレン/ プロピレンモル比を調整した以外は、特開2007−297505号の実施例2と同様な方法で製造した。
第1、第2工程より得られたパウダーの融点、TREF60℃可溶分量の値は表1の記載のとおりである。
(3)乾燥工程
図1に示すとおり、重合反応器後の設備が、横型攪拌ガス回収機、横型攪拌乾燥機、縦型攪拌乾燥機、サイロからなるポリレフィン乾燥設備である。乾燥機の温度は、横型攪拌乾燥機:90℃、縦型攪拌乾燥機:90℃に設定した。
撹拌機を作動し、ポリマー粉体を流動させながら乾燥を行った。乾燥工程での圧力は0.05MPaG、乾燥時間は、0.8時間であった。乾燥工程後、ポリマー粉体を内容積150mのサイロに50t輸送した。サイロの下部より、ポリマー粉体の温度が90
℃になるように温度が調整された窒素を1本のサイロあたり流量5Nm/hフィードして8時間エアレーションを行った。
この時使用された窒素は、窒素ガス分離装置を通して、サイロを循環させ、大気への放出量は、0・Nm/hであった。エアレーション工程での圧力は0.05MPaGであった。エアレーション実施後、サイロのロータリーフィーダーを起動し、ポリマー粉体をサンプリング後、サイロから抜き出した。ポリマー粉体の固着も発生せず安定に運転を継続できた。得られたポリマー粉体はTREF測定での60℃以下での溶出量は、44wt%、残留揮発分であるプロピレン濃度は、3.3wtppmであった。
[実施例2]
サイロの下部より、ポリマー粉体の温度が30℃になるように温度が調整された窒素を1本のサイロあたり流量5Nm/hフィードして24時間エアレーションを行った以外は、実施例1と同様に乾燥及びエアレーションを行った。ポリマー粉体の固着も発生せず、安定に運転を継続できた。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、39wtppmであった。
[比較例1]
窒素ガス分離装置を使用しなかった以外は、実施例1と同様に乾燥及びエアレーションを行った。8時間後サイロのロータリーフィーダーを起動し、サイロから抜き出した。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、60wtppmでありプロピレンの爆発下限界(LEL)の1/4以下に到達せず、爆発の危険性が完全に払しょくできなかった。この後、エアレーションの時間を延長しても安全領域の1/4LELまでポリマー粉体の残留揮発分は低下しなかった。これは、窒素ガス分離装置を使用しなかったため、循環窒素中のプロピレン濃度がポリマー粉体と平衡状態になったためと考えられる。
[比較例2]
窒素ガス分離装置を使用しなかった以外は、実施例2と同様に乾燥及びエアレーションを行った。24時間後サイロのロータリーフィーダーを起動し、サイロから抜き出した。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、60wtppmでありプロピレンの爆発下限界(LEL)の1/4以下に到達せず、爆発の危険性が完全に払しょくできなかった。この後、エアレーションの時間を延長しても安全領域の1/4LELまでポリマー粉体の残留揮発分は低下しなかった。これは、比較例1と同様の理由によるものだと考える。
[比較例3]
横型攪拌乾燥機と縦型攪拌乾燥機の温度を100℃に設定し、エアレーションの時間を14時間とした以外は、実施例1と同様に乾燥及びエアレーションを行った。14時間後サイロのロータリーフィーダーを起動したところ、サイロの閉塞が発生し、定常抜出ができず、運転の安定継続が困難であった。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、38wtppmであった。
[比較例4]
横型攪拌乾燥機と縦型攪拌乾燥機の温度を100℃に設定し、エアレーションの時間を14時間とし、窒素を循環させずに放出させた以外は、比較例2と同様に乾燥及びエアレーションを行った。14時間後サイロのロータリーフィーダーを起動したところ、サイロの閉塞が発生し、定常抜出ができず、運転の安定継続が困難であった。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、38wtppmであった。
[比較例5]
エアレーションの温度を20℃、時間を48時間とした以外は、実施例2と同様に乾燥及びエアレーションを行った。48時間後サイロのロータリーフィーダーを起動したところ、サイロの閉塞が発生し、定常抜出ができず、運転の安定継続が困難であった。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、38wtppmであった。
[参考例]
窒素ガス分離装置を使用せずかつ窒素を循環させずに大気に放出させた以外は、実施例2と同様に乾燥及びエアレーションを行った。ポリマー粉体の固着も発生せず、安定に運転を継続できた。得られたポリマー粉体の残留揮発分であるプロピレン濃度は、39wtppmであった。
Figure 0006519466
(実施例と比較例の対比結果の考察)
表1から明らかなように、本発明の要件である、工程a)乾燥工程でのポリマー粉体温度が60〜95℃での乾燥、工程b)エアレーション工程時のポリマー粉体温度が25〜95℃でエアレーションすることで、実施例1〜2と比較例1〜5とを対比すると、本発明の方法の実施例1〜2では、ポリマー粉体に残留する揮発性成分を十分に除去でき、ポリマー粉体の固着が発生せず、サイロの閉塞が発生しなく爆発危険性も皆無である。また、サイロ内への窒素ガス分離装置の導入により放出窒素量が無く、送入窒素の温度を上げることでエアレーション時間が削減し生産効率が上がったことは、明らかである。
更に、エアレーションガスの使用量を削減でき、窒素ガス分離装置により、エアレーションガス中にポリマー粉体からの揮発成分が蓄積されることがなくなり、エアレーションガスの使用量の削減により、少ない熱量でエアレーションガスの温度を高く維持できるようになり、この高温維持と加熱装置により、高温でのエアレーションが可能となり、高温エアレーションにより、エアレーションの時間短縮がなされる。
比較例1、2では、エアレーション工程に窒素ガス分離装置がないため、循環窒素より残留揮発分を除去できず、安全な領域までポリマー粉体中に含まれる残留揮発分を除去できない。
比較例3、4は、乾燥温度が高いため、ポリマー粉体の乾燥においては有利なものの、乾燥温度が融点に近づき過ぎるため、ポリマー粉体の性状が著しく悪化して、サイロの閉塞も発生している。更に、比較例4では、窒素ガス分離装置が無く、窒素を放出しており効率が悪い。
比較例5では、乾燥工程後のエアレーションの温度が低過ぎるため、結晶化温度近くまで加熱されたポリマー粉体が冷却により、サイロ内でブリッジングを発生し、サイロの閉塞が発生している。
参考例は、ポリマー粉体から残留揮発分を十分に除去でき、サイロ内でブリッジングが生じないものの、エアレーションに使われる窒素ガスは、サイロ通過後放出されるため、コスト上昇につながる。
上記の結果より、本発明の構成の合理性と有意性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性が実証されている。
本発明のポリマー粉体の乾燥方法によれば、ポリマー粉体に残留するモノマーや溶媒を効率的に除去でき、かつサイロなどにおいてポリマー粉体同士が固着することを防止し得る。更に窒素ガス分離装置の導入により窒素のリサイクルが可能となり、エアレーションガス中にポリマー粉体からの揮発成分が蓄積されることがなくなり、エアレーションガスの使用量の削減により、少ない熱量でエアレーションガスの温度を高く維持できるようになり、この高温維持と、加熱装置により、高温でのエアレーションが可能となって、この高温エアレーションにより、エアレーションの時間短縮がなされる、という特徴が発揮される。
したがって、かかる顕著に優れた粉体の乾燥方法は、ポリオレフィン粉体の乾燥に卓越し、よってポリオレフィン製造の産業上において非常に有用である。
1.横型攪拌ガス回収機 2.横型攪拌乾燥機 3.縦型攪拌乾燥機 4.サイロへの輸送配管 5.サイロ 6.エアレーション用のガス配管
7.造粒機への輸送配管 8.ガス分離装置 9.ガス加熱器

Claims (9)

  1. 下記の工程a)及び工程b)を順に行い、前記の工程b)をサイロ(I)内で行うことを特徴とする、ポリマー粉体の乾燥方法。
    工程a):ポリマー粉体を、60〜95℃の温度で乾燥を行う工程。
    工程b):ポリマー粉体を、25〜95℃の温度で、ガス量は、単位保有量(ポリマー粉体1T)あたり、0.05〜0.2Nm /hで、エアレーションを行う工程。
    サイロ(I):循環系を有するサイロであって、循環系にはエアレーションガスとポリマー粉体から除去される残留成分とを分離するガス分離装置及び加熱装置を備えたサイロ。
  2. 工程a)で0.6〜1.1時間乾燥を行い、工程b)で6〜60時間エアレーションを行うことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  3. エアレーションガスが窒素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  4. 前記ポリマー粉体は、オレフィン重合体の粉体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  5. 前記ポリマー粉体は、プロピレン単位とエチレン又はC4〜C20のα−オレフィン単位とを含む、プロピレン系ランダム共重合体又はプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、請求項4に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  6. 前記ポリマー粉体は、融点が115〜145℃であり、60℃のo−ジクロロベンゼンに可溶な成分の量が30wt%以上のプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、請求項5に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  7. 前記ポリマー粉体は、メタロセン触媒にて重合されたプロピレン系ブロック共重合体の粉体であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  8. 残留モノマーガス濃度を爆発下限界濃度の1/4以下にすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー粉体の乾燥方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー粉体の乾燥方法を工程に含むことを特徴とする、ポリマーの製造方法。
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