JP6516005B2 - 弾性波装置 - Google Patents

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Description

本発明は、支持基板上に、圧電薄膜を含む積層膜が積層されている弾性波装置に関する。
下記の特許文献1に記載の弾性波装置では、支持基板上に、積層膜が設けられており、この積層膜上に圧電薄膜が積層されている。上記積層膜は、高音速膜及び低音速膜を有する。低音速膜は、圧電薄膜を伝搬するバルク波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が低速である膜からなる。高音速膜は、圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が高速である膜からなる。高音速膜上に低音速膜が積層されている。上記圧電薄膜上には、IDT電極が設けられている。
WO2012/086639A1
特許文献1に記載の弾性波装置では、圧電薄膜が、LiTaOなどの圧電単結晶からなる。そのため、外力により割れや欠けが生じ易い。また、弾性波装置では、バンプなどの外部接続端子の接合に際し、圧電薄膜と積層膜とを有する積層体に応力が加わる。そのため、接合工程においても、圧電薄膜の割れや欠けが生じるおそれがあった。
他方、弾性波装置は、一般に、マザーの構造体のダイシングによる分割により得られている。このダイシング時の力によっても、上記圧電薄膜の割れや欠けが生じるおそれがあった。さらに、外部接続端子の接続やダイシングに際し、圧電薄膜を含む積層体において、界面剥離が生じるおそれがあった。
加えて、特許文献1に記載の弾性波装置では、上記IDT電極が臨む中空空間を設けるために、支持層及びカバー部材を設けた場合、カバー部材に圧力が加えられた場合、中空空間が潰れることにより、弾性波装置が破損することがあった。
本発明の目的は、圧電薄膜の割れや欠けが生じ難く、かつ積層膜における界面剥離が生じ難く、さらに、強度が高い、弾性波装置を提供することにある。
本発明に係る弾性波装置は、支持基板と、圧電薄膜と前記圧電薄膜以外の層とを含み、かつ前記圧電薄膜以外の層側から前記支持基板上に設けられている積層膜と、前記圧電薄膜の一方面に設けられたIDT電極と、前記IDT電極が設けられている領域を囲むように設けられている第1の支持層と、前記第1の支持層に囲まれた領域に設けられている第2の支持層と、前記第1,第2の支持層上に、前記第1の支持層により形成された開口部を閉成するように固定されたカバー部材とを備え、前記積層膜が部分的に存在せず、前記積層膜が存在しない領域の少なくとも一部に絶縁層が設けられており、前記第1の支持層及び前記第2の支持層の内の少なくとも一方が前記絶縁層上に設けられている。
本発明に係る弾性波装置のある特定の局面では、前記絶縁層が前記圧電薄膜上から前記圧電薄膜の側面及び前記積層膜の側面を通り、前記積層膜が存在しない領域の少なくとも一部に至っている。この場合には、積層膜内における界面剥離が生じ難い。
本発明に係る弾性波装置の他の特定の局面では、前記IDT電極に電気的に接続されており、前記圧電薄膜上から前記絶縁層上に至っている第1の配線電極がさらに備えられており、前記第1の支持層の少なくとも一部が前記第1の配線電極上に設けられている。この場合には、外部接続端子を設けるに際し、第1の支持層に力が加わったとしても、圧電薄膜の割れや欠けが生じ難い。
本発明に係る弾性波装置のさらに他の特定の局面では、前記絶縁層の前記圧電薄膜上に位置している部分において、前記絶縁層上の前記圧電薄膜とは反対側の面が、前記IDT電極から前記第1の支持層に近づくにつれて前記カバー部材に近づくように傾斜している傾斜面を有する。
本発明に係る弾性波装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の配線電極が前記絶縁層の前記傾斜面上に位置している部分を有し、該部分が前記絶縁層の前記傾斜面に沿って傾斜している。この場合には、第1の配線電極の断線が生じ難い。
本発明に係る弾性波装置の他の特定の局面では、前記第1の支持層及び前記絶縁層が同一材料からなる。
本発明に係る弾性波装置の別の特定の局面では、前記IDT電極に電気的に接続されており、前記圧電薄膜上から前記絶縁層上に至っている第2の配線電極がさらに備えられており、前記第2の支持層の少なくとも一部が前記第2の配線電極上に設けられている。この場合には、圧電薄膜上に設けられている配線と、第2の配線電極との立体配線を構成することができ、生産性を高めることもできる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記支持基板と前記カバー部材とが対向し合っている方向である高さ方向を有し、前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが実質的に同じである。この場合には、中空空間の密閉性をより一層高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記絶縁層上に前記第1の支持層が設けられており、前記絶縁層の厚みが、前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが実質的に同じとなるようにされている。この場合には、中空空間の密閉性をより一層高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記絶縁層上に前記第2の支持層が設けられており、前記絶縁層の厚みが、前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが実質的に同じとなるようにされている。この場合には、中空空間の密閉性をより一層高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記高音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている。この場合には、Q値を高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜と、前記高音速膜上に積層されており、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記低音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている。この場合には、Q値をより一層高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記支持基板が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速基板であり、前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記低音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている。この場合には、Q値をより一層高めることができる。
本発明に係る弾性波装置のさらに別の特定の局面では、前記積層膜が、音響インピーダンスが相対的に高い高音響インピーダンス膜と、前記高音響インピーダンス膜に比べて音響インピーダンスが低い低音響インピーダンス膜とを前記圧電薄膜以外の層として有する。この場合には、Q値を高めることができる。
本発明に係る弾性波装置によれば、圧電薄膜の割れや欠けを抑制することができ、また積層膜内及び積層膜と圧電薄膜との間の界面剥離が生じ難い。また、本発明によれば、弾性波装置の強度を高めることができる。
図1は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置のカバー部材を省略して示す略図的平面図である。 図3は、カバー部材を省略した、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、比較例の弾性波装置の断面図である。 図4は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第2の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。 図5は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第3の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。 図6(a)は、本発明の第3の実施形態の弾性波装置の要部を説明するための部分切り欠き拡大断面図であり、図6(b)は、図6(a)中の要部をさらに拡大して示す部分切り欠き拡大断面図である。 図7は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第4の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。 図8は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第5の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。 図9は、本発明の第6の実施形態における積層膜の正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
図1は、後述する図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
弾性波装置1は、支持基板2を有する。支持基板2は、対向し合う第1,第2の主面2a,2bを有する。第1の主面2a上に、積層膜13が設けられている。より具体的には、積層膜13は、圧電薄膜4と、圧電薄膜4以外の層としての低音速膜3とを有する。第1の主面2a上に低音速膜3が積層されており、低音速膜3上に圧電薄膜4が積層されている。低音速膜3は、圧電薄膜4を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が低速である膜である。
本実施形態では、支持基板2は、高音速基板である。高音速基板は、圧電薄膜4を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が高速である基板である。高音速基板としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチュウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、マグネシア、ダイヤモンド、または、上記各材料を主成分とする材料、上記各材料の混合物を主成分とする材料のいずれかからなる材料が用いられる。
なお、バルク波の音速は材料に固有の音速であり、波の進行方向すなわち縦方向に振動するP波と、進行方向に垂直な方向である横方向に振動するS波とが存在する。上記バルク波は、圧電薄膜4、高音速基板、低音速膜3のいずれにおいても伝搬する。等方性材料の場合には、P波とS波とが存在する。異方性材料の場合、P波と、遅いS波と、速いS波とが存在する。そして、異方性材料を用いて弾性表面波を励振した場合、2つのS波として、SH波とSV波とが生じる。本明細書において、圧電薄膜4を伝搬するメインモードの弾性波の音速とは、P波、SH波及びSV波の3つのモードのうち、フィルタとしての通過帯域や、共振子としての共振特性を得るために使用しているモードを言うものとする。
圧電薄膜4は、本実施形態では、LiTaOからなる。もっとも、圧電薄膜の材料としては、LiTaO、LiNbO、ZnO、AlN、または、PZTのいずれかを用いてもよい。なお、圧電薄膜4の膜厚は、後述するIDT電極の電極周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、1.5λ以下であることが好ましい。この場合には、圧電薄膜4の膜厚を1.5λ以下の範囲内で選択することにより、電気機械結合係数を容易に調整することができるからである。
支持基板2は、上記音速関係を満たす、ケイ素(シリコン)などの適宜の材料からなる。低音速膜3は、伝搬するバルク波音速が圧電薄膜4を伝搬する弾性波の音速よりも低い適宜の材料からなる。このような材料としては、酸化ケイ素、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素、炭素もしくはホウ素などを加えた化合物などを挙げることができる。低音速膜3は、これらの材料を主成分とする混合材料からなるものであってもよい。
なお、上記高音速基板としての支持基板2と、圧電薄膜4との間に密着層が形成されていてもよい。密着層を形成すると、支持基板2と圧電薄膜4との密着性を向上させることができる。密着層は、樹脂や金属であればよく、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂が用いられる。
上記高音速基板としての支持基板2と、低音速膜3とが圧電薄膜4に積層されているため、特許文献1に記載のように、Q値を高めることができる。
なお、上記積層膜は、圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも、伝搬するバルク波の音速が高速である、高音速膜を有していてもよい。この場合には、支持基板は高音速基板である必要はない。支持基板の第1の主面上に高音速膜が積層されており、高音速膜上に低音速膜が積層されており、低音速膜上に圧電薄膜が積層されていればよい。高音速膜の材料としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、DLC膜、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチュウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、マグネシア、ダイヤモンドなどを挙げることができる。また、上記各材料を主成分とする材料、上記各材料の混合物を主成分とする材料を用いてもよい。この場合においても、Q値を高めることができる。
図2は、上記弾性波装置1の略図的平面図である。ここでは、後述するカバー部材を透視し、下方の電極構造が略図的に示されている。
圧電薄膜4上には、IDT電極5a〜5dが設けられている。図2では省略されているが、IDT電極5a〜5d以外に、図1に示した配線5xなども圧電薄膜4上に設けられている。このような配線により、IDT電極5a〜5dは電気的に接続されている。なお、図2では、IDT電極5a〜5dは、その設けられている領域を矩形に対角線が引かれた略図で示すこととする。
本実施形態では、複数のIDT電極5a〜5dからなる弾性表面波共振子が相互に接続されている。それによって、帯域通過型フィルタが構成されている。なお、フィルタ回路は特に限定されるものではない。
上記IDT電極5a〜5dにより励振される弾性波を拘束しないために、図1に示した中空空間7が設けられている。すなわち、支持基板2上に、開口部を有する第1の支持層8aが設けられている。第1の支持層8aに囲まれた領域には、第2の支持層8bが設けられている。第1,第2の支持層8a,8bは、適宜の合成樹脂からなる。第1,第2の支持層8a,8bは、無機絶縁性材料からなっていてもよい。なお、第2の支持層は、複数設けられていてもよい。
図1に戻り、第1の支持層8aの開口部を閉成するようにカバー部材9が設けられている。カバー部材9と、第1の支持層8aとにより、中空空間7が封止されている。
弾性波装置1は、支持基板2とカバー部材9とが対向し合っている方向である、高さ方向を有する。第1の支持層8aは、高さ方向におけるカバー部材9側の面8a1を有する。第2の支持層8bも、高さ方向におけるカバー部材9側の面8b1を有する。
ところで、支持基板2上においては、上記積層膜13が部分的に存在していない。すなわち、支持基板2の第1の主面2aにおいて、上記積層膜13が設けられている領域の外側に、積層膜13が存在しない領域R1が設けられている。
支持基板2上における領域R1に、絶縁層12が設けられている。本実施形態では、この絶縁層12上に第1の支持層8aが直接設けられている。絶縁層12は、合成樹脂からなる。このような合成樹脂としては、ポリイミド、エポキシなどが挙げられる。なお、絶縁層12は、無機絶縁性材料により形成されていてもよく、絶縁層12を構成する材料としては、特に限定されない。例えば、絶縁層12を構成する材料として、SOG、SiO、TEOS、SiNなどの適宜の材料を用いることができる。絶縁層12は、単層であってもよく、あるいは積層体であってもよい。
領域R1において絶縁層12が設けられているため、バンプなどの外部接続端子を領域R1において接合することができる。また、ダイシングによる分割に際しても、領域R1においてダイシングすることができる。従って、接合工程やダイシング時において、圧電薄膜に力が加わり難いため、圧電薄膜の割れや欠けが生じ難い。また、圧電薄膜を含む積層膜13における界面剥離も生じ難い。
本実施形態の他の特徴は、第1,第2の支持層8a,8bを有し、かつ第1の支持層8aが支持基板2上の領域R1に設けられた絶縁層12上に設けられていることにある。それによって、カバー部材に圧力が加わった際に破損し難く、強度を高めることができる。
さらに、第1の支持層8aの面8a1と第2の支持層8bの面8b1との高さ方向の距離、すなわち高低差を小さくすることができる。よって、カバー部材9により中空空間7を確実に封止することができ、密閉性を高めることができる。従って、信頼性を高めることができる。これを、以下において、比較例を用いて説明する。
図3は、カバー部材を省略した、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、比較例の弾性波装置の断面図である。
比較例の弾性波装置101は、絶縁層12を有しない点以外においては、第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
弾性波装置101の第1の支持層108aは、支持基板2の領域R1に位置する部分と、圧電薄膜4上に位置する部分とを有する。第1の支持層108aは、カバー部材側からの平面視において領域R1に重なる、カバー部材側の面108a1を有する。さらに、第1の支持層108aは、上記平面視において圧電薄膜4に重なる、カバー部材側の面108a2を有する。一点鎖線Aで示すように、面108a1と面108a2とは、高さ方向の位置が異なる。面108a1の高さ方向の位置は、第2の支持層8bの面8b1の高さ方向の位置とも異なる。
そのため、第1,第2の支持層108a,8bとカバー部材とが接合される部分において、高低差が生じていた。よって、カバー部材と第1,第2の支持層108a,8bとにより、中空空間の密閉性を充分に高められないことがあった。例えば、カバー部材側に突出している第2の支持層8bの面8b1が、カバー部材に突き刺さることもあった。それによって、リーク不良が発生することがあった。
これに対して、図1に戻り、本実施形態では、領域R1において絶縁層12上に第1の支持層8aが設けられている。絶縁層12の厚みは、低音速膜3及び圧電薄膜4からなる上記積層膜13の厚みと実質的に同じ大きさである。そのため、第1の支持層8aの面8a1において、高低差はほぼない。第1の支持層8aの面8a1の高さ方向の位置と、第2の支持層8bの面8b1の高さ方向の位置も、実質的に同じである。
よって、カバー部材9と第1,第2の支持層8a,8bとにより、中空空間7の密閉性を高めることができる。カバー部材9側に大きく突出している部分もないため、比較例において生じることがあったリーク不良も生じ難い。従って、信頼性を効果的に高めることができる。
加えて、第1,第2の支持層8a,8bによりカバー部材9を支持するため、中空空間7の潰れが生じ難い。従って、上述したように、弾性波装置1の強度を高めることができる。
好ましくは、第1の支持層8aと絶縁層12とは、同じ材料からなることが望ましい。それによって、第1の支持層8aと絶縁層12との密着性を高めることができる。従って、中空空間の密閉性をより一層高めることができる。
次に、本実施形態の弾性波装置の製造方法を説明する。
高音速基板である支持基板2を用意する。次に、例えば、スパッタリング法やCVD法などにより、支持基板2上に低音速膜3を積層する。次に、例えば、スパッタリング法やCVD法などにより、低音速膜3上に圧電薄膜4を積層する。次に、例えば、蒸着・リフトオフ法により、圧電薄膜4上に、図2に示したIDT電極5a〜5dを設ける。配線5xも同時に設ける。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストをパターニングする。次に、上記レジストをマスクとして、例えば、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma−Reactive Ion Etching)装置を用いて、低音速膜3及び圧電薄膜4を除去する。これにより、支持基板2上の領域R1を構成する。
次に、例えば、フォトリソグラフィ法により、支持基板2上の領域R1に、絶縁層12を形成する。上述したように、絶縁層12は、単層としてもよく、あるいは積層体としてもよい。
次に、フォトリソグラフィ法などにより、第1,第2の支持層8a,8bを設ける。次に、第1,第2の支持層8a,8b上に、カバー部材9を設ける。
図4は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第2の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
弾性波装置21では、低音速膜23及び圧電薄膜24からなる積層膜が存在しない位置及び絶縁層22が設けられている点で、第1の実施形態と異なる。上記以外の点においては、弾性波装置21は、第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
より具体的には、低音速膜23及び圧電薄膜24からなる積層膜が、第1の支持層28aに囲まれた部分において存在しない領域R2を有する。
支持基板2上における領域R2には、絶縁層22が設けられている。絶縁層22上に、第2の支持層28bが設けられている。第1の支持層28aは、領域R1に設けられた絶縁層12上に設けられている。絶縁層12及び絶縁層22の厚みは、上記積層膜の厚みと実質的に同じである。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の支持層28aの面28a1の高さ方向の位置と第2の支持層28bの面28b1の高さ方向の位置とは、実質的に同じである。従って、中空空間7の密閉性が高く、かつ弾性波装置21の強度が高い。
なお、第1の実施形態や第2の実施形態において示したように、第1の支持層及び第2の支持層の内の少なくとも一方が、積層膜が存在しない領域において絶縁膜上に設けられていればよい。好ましくは、絶縁層の厚みが、第1の支持層のカバー部材側の面と第2の支持層のカバー部材側の面との高低差が小さくなるような厚みとされていることが望ましい。それによって、中空空間の密閉性を高めることができ、かつ弾性波装置の強度を高めることができる。
より好ましくは、図1に示した第1の実施形態のように、絶縁層12の厚みが、第1,第2の支持層8a,8bの面8a1,8b1の高さ方向の位置が実質的に同じとなるようにされていることが望ましい。あるいは、図4に示した第2の実施形態のように、絶縁層22の厚みが、第1,第2の支持層28a,28bの面28a1,28b1の高さ方向の位置が実質的に同じとなるようにされていることが望ましい。
図5は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、本発明の第3の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
弾性波装置31では、絶縁層が第1,第2の絶縁層32a,32bを有する点で、第1の実施形態と異なる。また、弾性波装置31の配線構造も第1の実施形態と異なる。上記以外の点においては、弾性波装置31は、第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
弾性波装置31の第1の絶縁層32aは、第1の実施形態と同様に、支持基板2上の領域R1に設けられている。第1の絶縁層32aは、低音速膜3及び圧電薄膜4からなる積層膜13の側面を通り、圧電薄膜4上に至っている。このように、積層膜13の側面が第1の絶縁層32aに覆われているため、積層膜13内における界面剥離が生じ難い。
第2の絶縁層32bは、第1の支持層38aに囲まれた、圧電薄膜4上に設けられている。第2の絶縁層32bは、配線5xの少なくとも一部を覆っている。他方、圧電薄膜4上には、IDT電極5aに電気的に接続されている配線電極も設けられている。配線電極は、第1,第2の配線電極36a,36bを有する。第2の配線電極36bは、IDT電極5aとIDT電極5dとを接続している。
第2の配線電極36bの一部は、第2の絶縁層32b上に設けられている。それによって、第2の絶縁層32bにより電気的に絶縁された、配線5xと第2の配線電極36bとの立体配線が構成されている。
本実施形態のように、第1の支持層38aの少なくとも一部は、第1の配線36a上に設けられていてもよい。第2の支持層38bの少なくとも一部も、第2の配線36b上に設けられていてもよい。この場合においても、第1の支持層38aが、図5における第1の絶縁層32aの上方に設けられている。よって、第1,第2の支持層38a,38bの面38a1,38b1の高さ方向の位置を実質的に同じとすることができる。従って、中空空間7の密閉性を高めることができ、かつ弾性波装置31の強度を高めることができる。
好ましくは、第1,第2の絶縁層32a,32bは、同じ材料からなることが望ましい。それによって、第1の絶縁層32aを設ける工程と、上記立体配線を構成するために第2の絶縁層32bを設ける工程とを同じ工程とすることができる。よって、生産性を高めることができる。
なお、本実施形態では、第1,第2の支持層38a,38bの面38a1,38b1の高さ方向の位置を実質的に同じとするために、第1の絶縁層32aの厚みが、上記積層膜13の厚みよりも大きくされている。この場合、第1の絶縁層32aの圧電薄膜4上に位置する部分において、傾斜面を設けることが好ましい。この詳細を図6(a)及び図6(b)を用いて説明する。
図6(a)は、第3の実施形態の弾性波装置の要部を説明するための部分切り欠き拡大断面図である。図6(b)は、図6(a)中の要部をさらに拡大して示す部分切り欠き拡大断面図である。
図6(a)に示すように、第1の絶縁層32aは、上記領域R1に位置している部分から上記圧電薄膜4上に至っている。第1の絶縁層32aの内側端32a1において、傾斜面32a2が設けられている。図6(b)に示すように、この傾斜面32a2の、支持基板2の第1の主面2aとのなす角度C1は、80°以下であることが望ましい。それによって、上記傾斜面32a2に応じて設けられた第1の配線電極36aの傾斜面36a1が、第1の主面2aとなす角度も小さくされる。これにより、第1の配線電極36aの傾斜面36a1が設けられている部分における屈曲度を和らげることができる。そのため、第1の配線電極36aの断線が生じ難い。
なお、傾斜面32a2と第1の主面2aとのなす角度C1は60°以下であるとより好ましい。また、傾斜面32a2と第1の主面2aとのなす角度C1は45°以下であると、より一層好ましい。
上記のように、第1の配線電極36aにおいて、屈曲度を和らげることにより、熱が加わった際の断線や、第1の配線電極36aの形成工程における断線も生じ難い。
第1の絶縁層32a及び第1の配線電極36aと同様に、第2の絶縁層32b及び第2の配線電極36bにも傾斜面が設けられていることが好ましい。それによって、第2の配線電極36bの断線が生じ難い。
図7は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、第4の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
弾性波装置41は、図7に示す部分において、アンダーバンプメタル層45及び金属バンプ46を有する点で、第3の実施形態と異なる。上記以外の点においては、弾性波装置41は、第3の実施形態の弾性波装置31と同様の構成を有する。
第1の支持層48a及びカバー部材49を貫通するようにスルーホールが形成されている。このスルーホール内にアンダーバンプメタル層45が設けられている。アンダーバンプメタル層45に金属バンプ46が接合されている。
上記アンダーバンプメタル層45及び金属バンプ46は適宜の金属もしくは合金からなる。
アンダーバンプメタル層45の下端は、第1の配線電極36aに接合されている。従って、第1の配線電極36aのアンダーバンプメタル層45が接合されている部分が、外部接続端子が接続される電極ランド部分となる。本実施形態では、外部接続端子として金属バンプ46が設けられている。
この場合においても、第3の実施形態と同様に、中空空間7の密閉性を高めることができ、かつ弾性波装置41の強度を高めることができる。
本実施形態では、領域R1において、アンダーバンプメタル層45及び金属バンプ46を第1の配線電極36a上に接合する。そのため、金属バンプ46をアンダーバンプメタル層45に接合する際に力が加わったとしても、圧電薄膜4の欠けや割れが生じ難い。
なお、本実施形態の弾性波装置41の製造に際しては、第1の実施形態の弾性波装置1の製造方法と同様にして第1,第2の絶縁層32a,32bを設けた後に、第1,第2の配線電極36a,36bを形成すればよい。次に、第1,第2の支持層48a,38bを設ければよい。さらに、カバー部材49を設けた後に、スルーホールを形成してもよい。次に、例えば電解めっき法などにより、アンダーバンプメタル層45を設ける。次に、金属バンプ46として、例えば、半田バンプをアンダーバンプメタル層45に接合する。
図8は、図2中のI−I線に沿う部分に相当する、第5の実施形態に係る弾性波装置の断面図である。
弾性波装置61は、支持基板62及び積層膜63の構成が、第1の実施形態と異なる。上記以外の点においては、弾性波装置61は、第1の実施形態の弾性波装置1と同様の構成を有する。
より具体的には、積層膜63は、支持基板62上に積層されている高音速膜66を有する。高音速膜66上に圧電薄膜4が積層されている。積層膜63は、低音速膜を有しない。この場合には、支持基板62は、高音速基板である必要はない。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、圧電薄膜の割れや欠けが生じ難く、かつ積層膜における界面剥離が生じ難い。さらに、弾性波装置61の強度が高い。Q値を高めることもできる。
図9は、本発明の第6の実施形態における積層膜の正面断面図である。第6の実施形態では、積層膜53の構成以外においては、第1の実施形態と同様の構成を有する。
第6の実施形態では、積層膜53が、相対的に音響インピーダンスが高い高音響インピーダンス膜53a上に、相対的に音響インピーダンスが低い低音響インピーダンス膜53bを積層した構造を有する。この場合にも、Q値を高めることできる。このように、積層膜は、高音響インピーダンス膜と低音響インピーダンス膜とが積層された構造を有していてもよい。この場合は、第5の実施形態と同様に、支持基板が高音速基板である必要もない。
また、本発明において、積層膜における圧電薄膜以外の層の構成は特に限定されるものではない。
従って、圧電薄膜及び温度特性を改善するための誘電体膜を複数積層することにより積層膜が形成されていてもよい。
1…弾性波装置
2…支持基板
2a,2b…第1,第2の主面
3…低音速膜
4…圧電薄膜
5a〜5d…IDT電極
5x…配線
7…中空空間
8a,8b…第1,第2の支持層
8a1,8b1…面
9…カバー部材
12…絶縁層
13…積層膜
21…弾性波装置
22…絶縁層
23…低音速膜
24…圧電薄膜
28a,28b…第1,第2の支持層
28a1,28b1…面
31…弾性波装置
32a,32b…第1,第2の絶縁層
32a1…内側端
32a2…傾斜面
36a,36b…第1,第2の配線電極
38a,38b…第1,第2の支持層
38a1,38b1…面
41…弾性波装置
45…アンダーバンプメタル層
46…金属バンプ
48a…第1の支持層
49…カバー部材
53…積層膜
53a…高音響インピーダンス膜
53b…低音響インピーダンス膜
61…弾性波装置
62…支持基板
63…積層膜
66…高音速膜
101…弾性波装置
108a…第1の支持層
108a1,108a2…面

Claims (13)

  1. 支持基板と、
    圧電薄膜と前記圧電薄膜以外の層とを含み、かつ前記圧電薄膜以外の層側から前記支持基板上に設けられている積層膜と、
    前記圧電薄膜の一方面に設けられたIDT電極と、
    前記IDT電極が設けられている領域を囲むように設けられている第1の支持層と、
    前記第1の支持層に囲まれた領域に設けられている第2の支持層と、
    前記第1,第2の支持層上に、前記第1の支持層により形成された開口部を閉成するように固定されたカバー部材と、
    を備え、
    前記積層膜が部分的に存在せず、前記積層膜が存在しない領域の少なくとも一部に絶縁層が設けられており、前記第1の支持層及び前記第2の支持層の内の少なくとも一方が前記絶縁層上に設けられており、
    前記絶縁層が前記圧電薄膜上から前記圧電薄膜の側面及び前記積層膜の側面を通り、前記積層膜が存在しない領域の少なくとも一部に至っている、弾性波装置。
  2. 前記IDT電極に電気的に接続されており、前記圧電薄膜上から前記絶縁層上に至っている第1の配線電極をさらに備え、
    前記第1の支持層の少なくとも一部が前記第1の配線電極上に設けられている、請求項1に記載の弾性波装置。
  3. 前記絶縁層の前記圧電薄膜上に位置している部分において、前記絶縁層上の前記圧電薄膜とは反対側の面が、前記IDT電極から前記第1の支持層に近づくにつれて前記カバー部材に近づくように傾斜している傾斜面を有する、請求項に記載の弾性波装置。
  4. 前記第1の配線電極が前記絶縁層の前記傾斜面上に位置している部分を有し、該部分が前記絶縁層の前記傾斜面に沿って傾斜している、請求項に記載の弾性波装置。
  5. 前記第1の支持層及び前記絶縁層が同一材料からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  6. 前記IDT電極に電気的に接続されており、前記圧電薄膜上から前記絶縁層上に至っている第2の配線電極をさらに備え、
    前記第2の支持層の少なくとも一部が前記第2の配線電極上に設けられている、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  7. 前記支持基板と前記カバー部材とが対向し合っている方向である高さ方向を有し、
    前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが同じである、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  8. 前記絶縁層上に前記第1の支持層が設けられており、
    前記絶縁層の厚みが、前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが同じとなるようにされている、請求項に記載の弾性波装置。
  9. 前記絶縁層上に前記第2の支持層が設けられており、
    前記絶縁層の厚みが、前記第1の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置と前記第2の支持層の前記カバー部材側の面の前記高さ方向の位置とが同じとなるようにされている、請求項またはに記載の弾性波装置。
  10. 前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記高音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  11. 前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜と、前記高音速膜上に積層されており、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記低音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  12. 前記支持基板が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速基板であり、
    前記積層膜が、前記圧電薄膜を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波音速が低速である低音速膜を前記圧電薄膜以外の層として有し、前記低音速膜上に前記圧電薄膜が積層されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  13. 前記積層膜が、音響インピーダンスが相対的に高い高音響インピーダンス膜と、前記高音響インピーダンス膜に比べて音響インピーダンスが低い低音響インピーダンス膜とを前記圧電薄膜以外の層として有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の弾性波装置。
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