JP6511913B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために化粧シートが積層されている。例えば、建築物の壁面に用いられる壁装材や、床面に用いられる床用化粧材には、表面に化粧シートが積層されている。
塩化ビニル系樹脂(本明細書では塩素含有樹脂ともいう)を用いた塩化ビニル系樹脂シートは、一時期においては環境ホルモンの問題により素材として敬遠されていたが、近年では焼却設備の改善などにより問題は緩和されてきている。また、塩化ビニル系樹脂シートは、加工時のハンドリング、自己消火性、樹脂リサイクル等に優れる観点から使い勝手の良い素材として見直されてきており、その需要は国内外で増加傾向にある。
塩化ビニル系樹脂シートは、可塑剤を添加することにより硬度などの物性を幅広く調整できることが知られている。また、塩化ビニル系樹脂シートは、それ自体では耐熱性に乏しいため、熱印加により脱塩素して変色(黄変)することが知られており、耐熱性を向上させるために安定剤や助剤を添加することも知られている。
これに関連して、例えば、特許文献1には、(A)塩化ビニル系樹脂100重量部 (B)可塑剤5〜30重量部 (C)Zn化合物とアルカリ土類金属の有機酸塩からなる安定剤0.5〜10重量部 (D)アルカリ土類金属及び/又はアルミニウムの酸化物、水酸化物、塩基性塩、珪酸塩の1種又は2種以上の混合物0.05〜5重量部の成分からなる塩化ビニル系樹脂組成物が開示されており、塩化ビニル系樹脂シートに、耐熱性とともに建材分野で有利となる接着性を付与することが提案されている。
ところで、化粧シートの耐傷性、耐候性、耐汚染性等を高めるために化粧シートの表面保護層として電離放射線硬化型樹脂層を設ける場合がある。また、電離放射線硬化型樹脂は硬化時間が短く生産効率が良いため接着剤層に用いられる場合もある。しかしながら、電離放射線硬化型樹脂層は電離放射線の照射により硬化させるため、化粧シートに塩素含有樹脂が含まれる場合には、放射エネルギーにより脱塩素が生じて経時的な変色(黄変)が避けられないという問題がある。特に塩素含有樹脂を含有する層が着色されている場合には、塩素含有樹脂の変色により層の色に変化が生じる。その他、化粧シートには高度な意匠性が求められることが多いため、樹脂に変色が生じると意匠表現に制約が生じる。
なお、従前、耐熱性の改善のために安定剤、助剤等を添加することは知られているが、放射エネルギーによる変色の改善について提案した先行技術は知られていない。例えば、特許文献2には、システムキッチン扉、洗面扉、家具、クローゼット等の住宅内装品に用いられる化粧シートであって、塩化ビニル樹脂からなるシート基層の表面に紫外線硬化型樹脂からなる表面層が積層され、雰囲気温度60℃〜80℃における引張り伸び率が5%〜75%であることを特徴とする化粧シートが開示されているが、放射エネルギーである紫外線照射による塩化ビニル樹脂の変色対策については触れられていない。
放射エネルギーによる変色を抑制する方法としては、例えば、塩素含有樹脂と併用する可塑剤の使用量を増やすことにより、相対的に塩素含有樹脂の使用量を減らすことにより変色を抑制することが考えられるが、可塑剤の使用量が多いと塩化ビニル系樹脂シートが柔らかくなり過ぎて印刷適性が低下したり、可塑剤がブリードアウトしたりする。
特開平7-48493号公報 特開平7-101005号公報
上記従来技術の問題に鑑み、本発明は、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有する着色基材シート、及び電離放射線硬化型樹脂層を有する化粧シートであって、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することによって電離放射線硬化型樹脂層を形成する際に塩素含有樹脂の変色による意匠性の低下が抑制された化粧シートを提供することを目的とする。また、当該化粧シートを用いた化粧材を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有する着色基材シート、及び電離放射線硬化型樹脂層を有する化粧シートにおいて、可塑剤の含有量を特定範囲に設定するとともに着色基材シート上に特定の着色層を形成する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧材に関する。
1.着色基材シート、着色層及び電離放射線硬化型樹脂層を有する化粧シートであって、
(1)前記着色基材シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有し、前記可塑剤の含有量は、前記塩素含有樹脂100質量部に対して20〜50質量部であり、
(2)前記着色層は、前記着色基材シート上に形成されており、
(3)前記電離放射線硬化型樹脂層は、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することにより形成され、前記電離放射線の照射前における、前記着色基材シートと前記着色層の色差△Eが3以下である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記可塑剤は、ポリエステル系可塑剤であり、重量平均分子量が500〜3000である、上記項1に記載の化粧シート。
3.前記基材シートは、Zn化合物とアルカリ土類金属化合物とを含有する、上記項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記基材シートは、有機錫系化合物を含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記基材シートは、エポキシ基含有アクリル樹脂を含有する、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記着色層上に絵柄模様層を有する、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.表面保護層を有し、当該表面保護層が前記電離放射線硬化型樹脂層である、上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.前記絵柄模様層と前記表面保護層との間に透明性樹脂層を有する、上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
9.上記項1〜8のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に積層した化粧材。
本発明の化粧シートは、着色基材シートの可塑剤の含有量を特定範囲に設定するとともに着色基材シート上に特定の着色層を形成することにより、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することによって電離放射線硬化型樹脂層を形成する際に塩素含有樹脂の変色による意匠性の低下が抑制されている。なお、当該変色には、電離放射線の照射に起因する経時的な変色も含まれている。本発明の化粧シートは、被着材上に積層することにより、建材分野の外装材及び内装材の用途、具体的には壁装材、床用化粧材等の化粧材として好適に使用することができる。
本発明の化粧シート8及び化粧材9の一例を示す断面図である。
1.本発明の化粧シート
本発明の化粧シートは、着色基材シート、着色層及び電離放射線硬化型樹脂層を有し、
(1)前記着色基材シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有し、前記可塑剤の含有量は、前記塩素含有樹脂100質量部に対して10〜50質量部であり、
(2)前記着色層は、前記着色基材シート上に形成されており、
(3)前記電離放射線硬化型樹脂層は、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することにより形成され、前記電離放射線の照射前における、前記着色基材シートと前記着色層の色差△Eが3以下である、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、着色基材シートの可塑剤の含有量を特定範囲に設定するとともに着色基材シート上に特定の着色層を形成することにより、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することによって電離放射線硬化型樹脂層を形成する際に塩素含有樹脂の変色による意匠性の低下が抑制されている。本発明の化粧シートは、被着材上に積層することにより、建材分野の外装材及び内装材の用途、具体的には壁装材、床用化粧材等の化粧材として好適に使用することができる。
以下、本発明の化粧シートについて詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおける表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートを被着材と積層して化粧材として用いる際に被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
本発明の化粧シートは、着色基材シート、着色層及び電離放射線硬化型樹脂層を有し、
(1)前記着色基材シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有し、前記可塑剤の含有量は、前記塩素含有樹脂100質量部に対して10〜50質量部であり、
(2)前記着色層は、前記着色基材シート上に形成されており、
(3)前記電離放射線硬化型樹脂層は、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することにより形成され、前記電離放射線の照射前における、前記着色基材シートと前記着色層の色差△Eが3以下である、
という要件を満たす限り、具体的な構成(層構成)については限定されない。
例えば、図1に沿って例示すると、着色基材シート1上に、着色層2、絵柄模様層3、透明性樹脂層4、プライマー層(図示せず)及び表面保護層5の少なくとも1種を積層する態様が挙げられる。また、例えば、着色基材シート1の裏面に、バッカー層(図示せず)及び裏面プライマー層6の少なくとも1層を積層する態様が挙げられる。ここで、本発明における電離放射線硬化型樹脂層は、層中に電離放射線硬化型樹脂を含有し、電離放射線の照射により硬化された層であればよく、着色基材シート及び着色層以外のいずれの層であってもよい。また、着色基材シート及び着色層以外の層のうち、1つの層だけでなく2以上の層が該当してもよい。
電離放射線硬化型樹脂層に含有される電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線又は電子線が好ましく、電子線が特に好ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
以下、上記例示した層構成の化粧シートを代表例として、各層について説明する。
着色基材シート
本発明の化粧シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有する着色基材シートを有する。着色基材シートは、その上(おもて面)に着色層、並びに、任意に絵柄模様層等が積層される層である。
塩素含有樹脂は、塩素を含有する樹脂成分であれば限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂が該当する。塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、五塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−アルキル、シクロアルキル又はアリールマレイミド共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体等が挙げられる。塩素含有樹脂は、これらの樹脂を単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
可塑剤としては、従来、塩化ビニル系樹脂と組み合わせることが知られている可塑剤が幅広く使用できるが、例えば、エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤の中でもポリエステル系可塑剤が好ましい。
エステル系可塑剤としては、フタル酸,トリメリット酸,ピロメリット酸,アジピン酸,セバチン酸,アゼライン酸等の酸と、n−プロパノール,イソプロパノール,nーブタノール,イソブタノール,tert−ブタノール,n−ペンタノール,イソペンタノール,tert−ペンタノール,n−ヘキサノール,イソヘキサノール,n−ヘプタノール,イソヘプタノール,n−オクタノール,イソオクタノール,2ーエチルヘキサノール,n−ノナノール,イソノナノール,n−デカノール,イソデカノール,ラウリルアルコール,ミリスチルアルコール,パルミチルアルコール,ステアリルアルコール等の直鎖及び分岐のアルキルアルコール単独又は混合物とからなるエステルが挙げられる。
ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸等のような炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール,ネオペンチルグリコール,ヘキサンジオール等のような炭素数2〜10のグリコールとの重縮合によるポリエステルが挙げられる。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は限定的ではないが、500〜3000が好ましく、1000〜2000がより好ましい。
エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、オクチルエポキシステアレート、エポキシトリグリセライド、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシルや、エピクロルヒドリンとビスフェノールAとの低分子量反応生成物樹脂の様なエポキシ樹脂等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、モノブチルジキシレニルホスフェート、トリオクチルホスフェート等が挙げられる。
本発明において、着色基材シート中の可塑剤の含有量は、塩素含有樹脂100質量部に対して10〜50質量部であり、その中でも20〜30質量部が好ましい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。また、着色剤の添加量は、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
着色基材シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤に加えて、着色基材シートの耐熱変色性を高める安定剤を含有してもよい。この安定剤としては、例えば、Zn化合物、Zn化合物とアルカリ土類金属化合物との混合物、有機錫系化合物等が挙げられる。
Zn化合物とアルカリ土類金属化合物との混合物としては、Ba/Zn系安定剤、Ca/Zn系安定剤、Mg/Zn系安定剤等が挙げられる。
Ba/Zn系安定剤は、Ba系安定剤とZn系安定剤とを組み合わせた安定剤であり、液状でも粉末でもよい。上記Ba系安定剤としては、ステアリン酸バリウム,オレイン酸バリウム,ラウリン酸バリウム等の脂肪酸バリウム塩や安息香酸バリウム,m−トルイル酸バリウム,p−tert−ブチル安息香酸バリウム等の芳香族カルボン酸バリウム塩、塩基性炭酸バリウムの様な塩基性塩、ジステアリルフォスフェイトのバリウム塩等のリン酸エステルバリウム塩等が挙げられる。また、上記Zn系安定剤としては、ステアリン酸亜鉛,パルミチン酸亜鉛,ミリスチン酸亜鉛,ラウリン酸亜鉛,オレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛塩や安息香酸亜鉛,m−トルイル酸亜鉛,p−tert−ブチル安息香酸亜鉛等の芳香族カルボン酸亜鉛塩、酸化亜鉛、ジステアリルフォスフェイトの亜鉛塩等のリン酸エステル亜鉛塩等が挙げられる。
Ca/Zn系安定剤としては、前述のZn系安定剤に、Ca系安定剤としてステアリン酸カルシウム,オレイン酸カルシウム,ラウリン酸カルシウム等の脂肪酸カルシウム塩や安息香酸カルシウム,m−トルイル酸カルシウム,p−tert−ブチル安息香酸カルシウム等の芳香族カルボン酸カルシウム塩、塩基性炭酸カルシウムの様な塩基性塩、ジステアリルフォスフェイトのカルシウム塩等のリン酸エステルカルシウム塩等を組合せた安定剤が挙げられる。
Mg/Zn系安定剤としては、前述のZn系安定剤に、Mg系安定剤としてステアリン酸マグネシウム,オレイン酸マグネシウム,ラウリン酸マグネシウム等の脂肪酸マグネシウム塩や安息香酸マグネシウム,m−トルイル酸マグネシウム,p−tert−ブチル安息香酸マグネシウム等の芳香族カルボン酸マグネシウム塩、塩基性炭酸マグネシウムの様な塩基性塩、ジステアリルフォスフェイトのマグネシウム塩等のリン酸エステルマグネシウム塩等を組合せた安定剤が挙げられる他、ハイドロタルサイトの様な無機層状化合物とZn化合物とを組合せた安定剤も挙げられる。
有機錫系化合物としては、公知のものを幅広く使用することができるが、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫マレートなどのアルキル錫マレートあるいはそのポリマー:ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫ラウレートなどのアルキル錫ラウレート:ジメチル錫ジドデシルメルカプト、ジブチル錫ジドデシルメルカプト、ジフエニル錫ジドデシルメルカプトなどのアルキル錫アルキルメルカプト:ジブチル錫ジフエニルメルカプトなどのアルキル錫アリールメルカプト:ジメチル錫メルカプトエステル、ジブチル錫ジイソオクチルチオグリコレート、ジオクチル錫ジイソオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ジn−オクタデシルチオグリコレート、ジブチル錫β−メルカプトプロピオネートなどの錫メルカプト酸エステル:モノメチル錫メルカプトエチルエステル、ジメチル錫メルカプトエチルエステルなどのアルキル錫メルカプトエチルエステル:などが挙げられる。
本発明において、基材シート中の安定剤の含有量は、塩素含有樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部が好ましく、その中でも0.1〜3質量部がより好ましい。
着色基材シートは、着色基材シートの耐熱変色性を高めるために、更に安定化助剤として公知の有機系化合物又は無機系化合物を含有してもよい。特に有機系化合物としては、エポキシ基含有アクリル樹脂が好ましい。エポキシ基含有アクリル樹脂は、着色基材シートに熱及び/又は電離放射線が印加された際に塩素含有樹脂から脱塩素により発生したHClを効率よく捕捉し、着色基材シートに耐変色性を付与することができる。
エポキシ基含有アクリル樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アシルグリシジル(メタ)アクリレートの少なくともいずれかからなる重合体、これら重合体と、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、アクリルニトリル、メタアクリロニトリル等との共重合体等が挙げられる。エポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は限定的ではないが、300〜100000が好ましく、300〜5000がより好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
着色基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
着色基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には20〜300μmが好ましい。
着色基材シートは、必要に応じて、後述する着色層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。なお、本発明では、着色基材シート上に形成される着色層は着色基材シートに直接形成されていてもよく、接着剤層等の他の層を介して形成されていてもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、着色基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、絵柄模様層(いわゆるバックプリント)を形成したり、後述する裏面プライマー層、バッカー層等を形成したりしてもよい。
着色層
本発明の化粧シートは、着色基材シート上に着色層(着色ベタ層)を有する。
着色層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、着色基材シート上に直接又は間接に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、着色基材シートの項目で説明したものと同じものが使用できる。
結着材樹脂(バインダー樹脂)としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。また、主剤と硬化剤とを含む公知の2液硬化性樹脂も挙げられる。これらの結着材樹脂の中でも、着色層に優れた耐候性と密着性を付与する観点ではアクリル樹脂とポリウレタン樹脂の混合物を用いることが好ましい。なお、着色基材シートと着色層との密着性をより高める点では着色層の結着剤樹脂として塩化ビニル系樹脂を含めることが好ましいが、多く入れると熱及び/又は電離放射線の印加による変色の原因となるため、塩化ビニル系樹脂を含有する場合には変色の原因とならない程度の少量に留めることが好ましい。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の化粧シートは電離放射線硬化型樹脂層を有しており、その製造過程において未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することにより電離放射線硬化型樹脂層を形成するが、当該電離放射線の照射前における、着色基材シートと着色層の色差ΔEを3以下にすることが必要である。なお、本明細書におけるΔEの値は、電離放射線照射前において、JIS Z8722定義の拡散照明垂直受光方式に準拠して設計された、ミノルタ株式会社製の色彩色差計CR310(測定面積直径8mm)を用いて、明度指数L及び色度値a、bを測定し、JIS Z8730に記載されたハンターの色差式:
△E=〔(△L)+(△a)+(△b)1/2
によって算出された値である。
△Eの値は3以下であればよいが、1以下が好ましく、下限値は0が最も好ましい。本発明では△Eの値を3以下に設定することにより、電離放射線の照射により着色基材シートの塩素含有樹脂が脱塩素して変色したとしても、当初の着色基材シートと実質的に同じ色である着色層が形成されていることにより、着色基材シートの変色が化粧シート全体の意匠性を低下させる原因となることを回避することができる。
着色層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが好ましい。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、絵柄模様層を有していてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、着色基材シートの項目で説明したものと同じものが使用できる。
結着材樹脂としては、着色層の項目で説明した公知のバインダー樹脂が使用でき、本発明では特に絵柄模様層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、結着材樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、着色層の項目で説明したものと同じものが使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
接着剤層
透明性樹脂層と絵柄模様層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。更に、本発明では特に接着剤層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、透明性樹脂層を有していてもよい。
透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。前記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物,エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体,エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、アイオノマー、アクリル酸エステル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。これら樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明では特に透明性樹脂層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
本発明の透明性樹脂層は、ポリプロピレン樹脂を代表とするオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、透明性樹脂層を構成する樹脂が上記オレフィン系樹脂であることがより好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の厚みは、通常は20〜200μm程度であるが、シートの用途等に応じて上記範囲を超えてもよい。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、プライマー層を設けてもよい。プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。本発明では特にプライマー層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m2、好ましくは0.1〜50 g/m2程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm程度である。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面保護層を有してもよい。表面保護層は、化粧シートの最表面の層として設けられる。
表面保護層を構成する樹脂は、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、高い表面硬度による耐傷性や凸形状保持性、生産性等の観点から、表面保護層は電離放射線硬化型樹脂を含むことが好ましく、表面保護層を構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂であることがより好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法は、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
表面保護層には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、艶消し剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
電離放射線硬化型樹脂を含む表面保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂、任意の添加剤等を含む溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗工法により塗工後、電離放射線硬化型樹脂を硬化させることにより形成できる。
表面保護層の厚さは、特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、0.1〜50μm程度が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
裏面プライマー層
着色基材シートの裏面(基材シートの裏面に後述のバッカー層が設けられる場合には、バッカー層の裏面)には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、当該化粧シートと被着材とを積層して化粧材を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。本発明では特に裏面プライマー層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100 g/m2、好ましくは0.1〜50 g/m2程度である。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
バッカー層
着色基材シートの裏面には、バッカー層(耐傷性を高めたり、被着材の影響を緩和したりするための合成樹脂層)を設けてもよい。なお、上記耐傷性は特に部分的に荷重がかかった場合の凹み傷を言う。本発明の化粧シートは、バッカー層を設けることにより耐傷性などの諸性能をより高めることができる。
バッカー層を形成する方法としては、溶融樹脂の押出し成形が好適であり、例えば、Tダイを用いた押出し成形が好適である。
着色基材シートの裏面とバッカー層とを接着させる方法としては、着色基材シートと溶融樹脂を押出し成形することによって得られるバッカー層とを熱融着によって接着する方法、着色基材シートとバッカー層との間に接着剤層(更に必要に応じてプライマー層)を設けることによって接着する方法等が挙げられる。
バッカー層を構成する樹脂としては限定的ではないが、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明では特にバッカー層を電離放射線硬化型樹脂層とする場合には、樹脂成分として電離放射線硬化型樹脂を用いることができる。
バッカー層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定でき、一般には100〜800μmが好ましい。この中でも、100〜600μmがより好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。また、被着材との接着性を考慮して裏面にプライマー層を更に設けてもよい。
エンボス加工
化粧シートの最表層側には、必要に応じてエンボス加工を施してもよい。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、表面保護層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられるが、化粧シート又は表面保護層の材質によっては、例えば、透明性樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦型後、その上に表面保護層を形成してもよい。
エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
2.本発明の化粧材
上記化粧シートを被着材上に積層することにより、化粧材とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧材に用いられるものと同様のものを用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、上記化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
化粧シートと被着材とを積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
このようにして製造された化粧材は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧材に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。なお、実施例2は参考例である。
着色基材シート上に着色層を形成した。着色層は、アクリル樹脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂(質量比1:2)100質量部、着色剤として酸化チタン200質量部、溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びメチルエチルケトン)300質量部からなるインキにより形成した。
着色層上に木目模様の絵柄模様層(2〜3g/m2)をグラビア印刷で形成した。
絵柄模様層は、アクリル樹脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂(質量比1:3)100質量部、着色剤として(アゾ顔料、キナクリドン顔料及びフタロシアニン顔料)30質量部、溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びメチルエチルケトン)200質量部からなるインキにより形成した。
絵柄模様層上に電離放射線硬化性樹脂組成物をロールコーター法により塗布し、165keV、3Mrad(30kGy)の条件で電子線を照射して表面保護層を形成した。
表面保護層の上からエンボス加工により木目導管状の凹凸模様を形成した。
これにより化粧シートを得た。
実施例2〜4及び比較例1〜4
表1に示す通りに条件を変更し、その他は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
(化粧板の作製)
厚みが2.5mmの中密度木質繊維板(MDF)上に水性エマルジョン接着剤(中央理化工業株式会社製リカボンドBA-10L (主剤):BA-11B (硬化剤)=100:2.5(質量比))を80g/m2の塗布量となるように均一に塗工し、その上に実施例及び比較例で作製した化粧シートを貼り合わせた。次いで室温で3日間養生することにより化粧板を得た。
試験例1
<電離放射線照射前の色差ΔE>
電離放射線照射前において、着色基材シートと着色層との△Eを測定した。△Eの値は、JIS Z8722定義の拡散照明垂直受光方式に準拠して設計された、ミノルタ株式会社製の色彩色差計CR310(測定面積直径8mm)を用いて、明度指数L及び色度値a、bを測定し、JIS Z8730に記載されたハンターの色差式:
△E=〔(△L)+(△a)+(△b)1/2
によって算出した。△Eの算出値を表1に示す。
<化粧シートの意匠性:電離放射線に対する耐変色性を調べる促進試験)
化粧シートを70℃の恒温環境下に一週間静置後、着色基材シートと着色層との△Eを測定した。この試験は、化粧シートの製造過程における電離放射線(電子線)照射により塩素含有樹脂(ポリ塩化ビニル)に脱塩素が生じている場合には経時的に変色(黄変)が生じることから、促進試験(70℃の恒温環境下に一週間静置)により電離放射線に対する耐変色性の程度を、一週間後の△Eの算出値から評価することを目的としている。
評価基準は次の通りとした(○又は△であれば合格である)。
○:△E 2未満
△:△E 2以上4未満
×:△E 4以上
<化粧シートの耐ブリードアウト性>
化粧シートを70℃の恒温環境下に1週間静置し、その外観を評価した。
評価基準は次の通りとした(○又は△であれば合格である)。
○:可塑剤のブリードアウトは認められなかった
△:可塑剤のブリードアウトが僅かに認められたが、実用上問題ないレベルであった
×:可塑剤のブリードアウトが著しく認められ、外観を著しく損なった
<化粧板の耐傷付性>
化粧板の化粧シートの表面保護層に対して、日本スチールウール株式会社製スチールウール「ボンスター♯0000」を用いて300g/m2の荷重でラビング試験を20往復回実施した。試験後の表面保護層の外観を目視評価した。
評価基準は次の通りとした。
○:傷付きは認められず、艶変化も軽微であった
×:傷付きが認められ、艶変化が著しかった
Figure 0006511913
〔※塩素含有樹脂100質量部に対する可塑剤の質量部〕
表1の結果から明らかな通り、着色基材シートの可塑剤の含有量を塩素含有樹脂100質量部に対して10〜50質量部とし、電離放射線の照射前における着色基材シートとの色差△Eが3以下である着色層を設けた本発明の化粧シート(実施例1〜4)は、電離放射線の照射に基づく意匠性の低下が抑制されているとともに、可塑剤の含有量が所定範囲であることにより可塑剤の耐ブリードアウト性にも優れている。また、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を有することで優れた耐傷性も得られている。他方、電離放射線照射前の△E又は可塑剤の含有量が所定範囲を外れる比較例の化粧シート(比較例1〜4)は、化粧シートの意匠性又は可塑剤のブリードアウト性が不十分である。
1. 基材シート
2. 着色層
3. 絵柄模様層
4. 透明性樹脂層
5. 表面保護層
6. 裏面プライマー層
7. 被着材
8. 化粧シート
9. 化粧材

Claims (9)

  1. 着色基材シート、着色層及び電離放射線硬化型樹脂層を有する化粧シートであって、
    (1)前記着色基材シートは、塩素含有樹脂、可塑剤及び着色剤を含有し、前記可塑剤の含有量は、前記塩素含有樹脂100質量部に対して20〜50質量部であり、
    (2)前記着色層は、前記着色基材シート上に形成されており、
    (3)前記電離放射線硬化型樹脂層は、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に電離放射線を照射することにより形成され、前記電離放射線の照射前における、前記着色基材シートと前記着色層の色差△Eが3以下である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記可塑剤は、ポリエステル系可塑剤であり、重量平均分子量が500〜3000である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記基材シートは、Zn化合物とアルカリ土類金属化合物とを含有する、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材シートは、有機錫系化合物を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記基材シートは、エポキシ基含有アクリル樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記着色層上に絵柄模様層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 表面保護層を有し、当該表面保護層が前記電離放射線硬化型樹脂層である、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 前記絵柄模様層と前記表面保護層との間に透明性樹脂層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に積層した化粧材。
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