JP6508675B2 - リン酸鉄の回収方法 - Google Patents

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本発明は、下水汚泥焼却灰などのリンを含むリン含有物を処理してリン酸鉄を回収するリン酸鉄の回収方法に係り、特に、酸溶液により処理して高純度のリン酸鉄製品を得ることのできるリン酸鉄の回収方法に関する。
従来から、例えば、下水汚泥等を焼却処理した際に排出される下水汚泥焼却灰,自動車等の塗装の際に生じる塗装スラッジ,鶏糞焼却灰などのリンを含有するリン含有物においては、これらからリン酸鉄を回収して再利用することが行われている。
このリン含有物からリン酸鉄を回収する処理方法としては、従来、例えば、特開2001−130903号公報(特許文献1)に掲載されているものが知られている。これは、リン含有物として下水汚泥焼却灰を用い、このリン含有物からなる原料に鉄化合物を投入し鉄の量が原料中に含まれるリンの理論反応当量の0.75倍以上にする成分調整工程と、鉄化合物が投入された原料に酸溶液を加え、原料をpHが1.6以下になるようにして溶解させる溶解工程と、この溶解工程で溶解させた溶解物をろ過して溶解液を取り出す溶解液分離工程と、溶解液分離工程で分離した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持しpHが1.8〜2.2の範囲内となるように調整処理するリン酸鉄生成工程とを備え、リン酸鉄生成工程で処理した処理物をろ過して不溶物であるリン酸鉄を取り出すようにしている。
特開2001−130903号公報
しかしながら、上記従来のリン酸鉄の回収方法にあっては、得られるリン酸鉄がリン(P)および鉄(Fe)の組成比1:1の化合物(FePO4)の形態になっていないものを含むことがあって、高純度かつ単一の組成のリン酸鉄を生成できにくくなっており、そのため、例えば、これをリチウムイオン二次電池用の正極活物質へ再利用しにくいという問題があった。
その理由は、リン含有物を分解した際、得られたリン酸イオンの形態がオルトリン酸イオンではなく、そのため、リン酸鉄水和物が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)が生じたり、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物などの異なる様々なリン酸鉄等を含むことに起因しているからである。
本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、得られるリン酸鉄がリン(P)および鉄(Fe)の組成比1:1の化合物(FePO4)の形態になるようにし、高純度のリン酸鉄を回収できるようにしたリン酸鉄の回収方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明のリン酸鉄の回収方法は、リン含有物からなる原料を酸溶液により溶解する溶解工程と、該溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す溶解液分離工程と、該溶解液分離工程で分離して取り出した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成するリン酸鉄生成工程と、該リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す不溶物分離工程とを備えたリン酸鉄の回収方法であって、上記リン酸鉄生成工程の前若しくは該リン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行う構成としている。
ここで、リン含有物とは、リンを含有する材料であればどのようなものでも良い。特に、固形分換算でP2O5含有率が0.1〜50質量%程度のリン含有廃棄物を挙げることができる。リン含有廃棄物としては、例えば、下水汚泥(し尿汚泥も含む),下水汚泥焼却灰,下水汚泥焼却灰をアルカリ処理して得られた残渣,都市ゴミ焼却灰,自動車等の塗装の際に生じる塗装スラッジ(リン酸化成処理工程排出スラッジ),鶏糞焼却灰,および豚糞焼却灰などの動物糞焼却灰,鉄鋼スラグなどを挙げることができる。また、下水汚泥焼却灰などから一度アルカリ溶液でリンの抽出を行ったアルカリ抽出残渣もリンを含むのでリン含有物に含む。
オルトリン酸イオンとは、オルトリン酸(H3PO4)を構成しうるリン酸イオン(PO4 3-)のことである。
酸溶液は、どのような酸であっても良く、例えば、塩酸,硫酸,硝酸などから選択される何れか一種またはこれらの組み合わせが用いられる。
アルカリ溶液は、どのようなアルカリであっても良く、例えば、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH)他)、アンモニア、アンモニア水溶液、アンモニア化合物などから選択される何れか一種またはこれらの組み合わせが用いられる。
これにより、基本的には、先ず、溶解工程で、リン含有物からなる原料を酸溶液により溶解する。溶解物のpHが、pH≦2、望ましくは、pH≦1になるように原料を溶解しリンを効率良く溶解する。
その後、溶解液分離工程で、溶解工程で溶解させた溶解物をろ過して溶解液を取り出す。それから、リン酸鉄生成工程で、溶解液分離工程で分離した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成する。その後、不溶物分離工程で、リン酸鉄生成工程で処理した処理物をろ過して不溶物であるリン酸鉄を取り出す。
そして、このリン酸鉄生成工程の前若しくはリン酸鉄生成工程において、オルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一される。オルトリン酸化処理は複数回行ってよい。そのため、リン酸鉄水和物が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、最終的に3価の鉄イオン(Fe3+)とすることで、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿が得られるようになる。この結果、高純度のリン酸鉄を生成することができ、例えば、これをリチウムイオン二次電池用の正極活物質へ再利用しやすくなる。
そして、必要に応じ、上記オルトリン酸化処理は、対象物を加熱する処理である構成としている。加熱によるオルトリン酸化処理は、溶解工程,溶解液分離工程,リン酸鉄生成工程のいずれかにおいて行っても良く、また、別途、加熱工程を設けてもよい。この場合、加熱温度Taを、50℃≦Ta≦90℃にすることが有効である。50℃未満ではオルトリン酸イオンの生成速度が極めて遅くなる。90℃を超えると、酸が蒸発し易くなる。望ましくは、60℃≦Ta≦80℃である。
これにより、比較的短い時間で鉄イオンFe3+がリン酸PO4 3-と反応し1:1の組成比を形成し易くなり、確実にFeとPの組成比が1:1のリン酸鉄水和物(FePO4・nH2O)の沈殿を得ることができるようになる。
更に、この場合、上記オルトリン酸化処理は、上記溶解工程で酸溶液として硝酸溶液を選択し、該硝酸溶液との反応熱を含む処理である構成としている。
酸溶液に硝酸を用いた場合、硝酸自体が酸化能力を有するため、材料と反応した際の反応熱が高く、かつ酸性溶液中で加水分解が促進され、溶解液中のリン酸イオンがオルトリン酸イオンへ変化しやすくなる。そのため、特に加温処理を設けなくても良いが、溶解と加熱は積極的に加温処理工程を設けるようにした方が望ましい。また、硝酸イオン
(NO3 -)は、アルカリ添加により酸溶液のpHを変化させる場合、水酸化鉄の形成および溶解に錯体としての効果を発揮し、急激なpH変化に伴う水酸化物の形成を緩衝する効果がある。
更にまた、必要に応じ、上記不溶物分離工程の前にリン(P)と鉄(Fe)とのモル比を略1:1に調整する構成としている。例えば、リン(P):鉄(Fe)=1:1が望ましいが、リン(P):鉄(Fe)=(0.8〜1.1)程度は許容される。リンの濃度は若干多めにするほうが支障なく、例えば、リン(P):鉄(Fe)=1:(0.8〜1.0)とする。調整は、不溶物分離工程の前のどの工程で行っても良く、また、別途成分調整工程を設けることもできる。調整は複数回行ってよい。例えば、下水汚泥焼却灰等のリン含有廃棄物においては、一般に、含有されている鉄化合物はリン化合物に比較して少ないので、鉄及び/または鉄化合物を加える。予めICP発光分光分析などで、原料のリンと鉄の量が分かれば、原料配合の調節により実現できる。鉄が多くなる場合にはリン化合物を加えて調整する。これにより、リンと鉄とのモル比がP:Fe≒1:1の条件下において、溶解液中のリン酸イオン(PO4 3-)を組成上リン酸鉄として回収する準備が整う。この結果、リン酸鉄の収量の向上を図ることができる。
この場合、必要に応じ、上記リンと鉄とのモル比を略1:1にする調整は、リン含有物の原料に、鉄及び/または鉄化合物を加えるとともに、上記溶解液にリン化合物及び/または鉄化合物を添加して行う構成としている。例えば、下水汚泥焼却灰等のリン含有廃棄物においては、一般に、含有されている鉄化合物はリン化合物に比較して少ないので、鉄及び/または鉄化合物を加える。鉄としては、鉄スクラップ廃棄物などを用いることができる。鉄化合物としては、塩化第二鉄,硝酸鉄など適宜のものを用いることができる。また、酸溶液としても機能する鉄含有廃酸、例えば、鉄含有廃塩酸,鉄含有廃硝酸を用いることができる。製鉄所や製鋼製品加工所より、鉄含有廃酸が多量に特別管理産業廃棄物として排出、産廃処理されているが、この廃棄物を積極的に利用することができる。また、リン含有物を鉄含有廃酸を用いて溶解することができるので、溶解酸としても再利用することになり、一石二鳥の効果がある。そして、溶解液に対して、リン化合物及び/または鉄化合物を添加して鉄が多くなる場合にはリン化合物を加えて調整する。確実にリンと鉄とのモル比を略1:1にすることができる。
そしてまた、必要に応じ、上記リン酸鉄生成工程で、アルカリ溶液を加えた後、溶解液中に2価で存在する鉄イオンを3価にする酸化処理を行う構成としている。この酸化処理は、例えば、酸化剤を用い、あるいは、酸素,空気,オゾン等を吹き込むことにより行うことができる。また、自然放置により2価で存在する鉄イオンが3価に変化する場合には、pHが低い溶液中では比較的鉄イオンが2価で安定的に存在するため、酸化には長時間を要するが、静置処理による酸化処理にすることができる。これにより、溶解液中の鉄イオンがほとんど2価(Fe2+)の鉄イオンの場合、あるいは、2価(Fe2+)の鉄イオンを含む場合には、3価(Fe3+)に変化するので、リン酸鉄(FePO4)の鉄イオンは3価(Fe3+)であることから、リン酸鉄(FePO4)を確実に生成することができる。
この場合、必要に応じ、上記リン酸鉄生成工程前に、溶解液中に3価で存在する鉄イオンを2価にする還元工程を設けた構成としている。還元工程では、例えば、アスコルビン酸,シュウ酸,ギ酸などの還元剤を用いることができる。pHが低い溶液中では比較的鉄イオンが2価で安定的に存在するため、多くの場合、鉄イオンは2価で存在している場合が多く、還元剤の量は酸化剤の量に比べ比較的少量で済む。
一般に、リン含有物等の性状によって、溶解液中に含まれる鉄イオン価数は一定ではなく、3価の鉄イオン(Fe3+)、2価の鉄イオン(Fe2+)が混在する場合がある。そのため、例えば、アルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用い、これを溶解液へ添加して中和を行った場合、溶解液中の鉄イオン(Fe3+)と水酸化物イオン(OH-)が反応し、水酸化鉄(Fe(OH)3)を析出するが、難溶性であり、不純物として混合しやすい。
本構成では、還元工程を設けたので、3価の鉄イオン(Fe3+)を、先ず、2価の鉄イオン(Fe2+)に概ね変化させることができる。そのため、溶解液中の鉄イオンが2価(Fe2+)になるので、例えば水酸化ナトリウム水溶液を溶解液へ添加し中和を行った場合、酸溶解液中の鉄イオン(Fe2+)と水酸化物イオン(OH-)が反応し、水酸化鉄(Fe(OH)2)を析出するが、これは溶解性であり、リン酸鉄の中に水酸化鉄が混合しにくくなる。その後、リン酸鉄生成工程において、最終的に所要のpHに調整処理するとともに、溶解液中に2価で存在する鉄イオンを3価にする酸化処理を行うので、これによりリン酸鉄が生成してくる。そのため、不溶性の水酸化鉄がリン酸鉄に混入する事態を防止することができ、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
尚、例えば、酸溶液として硝酸を用い、アルカリ溶液としてアンモニアを用いた場合には、硝酸は酸化性の酸なので鉄イオンは3価で存在するが、アンモニアを用いてpH調整するので、鉄の水酸化物が一時的に析出するものの、アンモニウムイオンや硝酸イオン等の緩衝効果(錯体形成)により、比較的短時間に溶解する。そのため、上記のような還元調整は不要になる。また、酸化剤を添加しなくても、比較的リン酸鉄の析出速度が速いため、酸化調整は必ずしも必要としない。
また、必要に応じ、上記リン酸鉄生成工程において、最終のpHを、pH≦1.6にした構成としている。これにより、リン酸アルミニウムが混在してしまう事態を防止することができ、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
その理由は以下のとおりである。リン酸鉄の酸化還元処理の無い場合の析出最適pHはpH2.2付近であるが、アルミニウムが混在する溶液で沈殿を作製した場合であって、pH2.2付近でリン酸鉄を析出した場合、十分にリン酸アルミニウムが析出できるpH域であるため、リン酸アルミニウムが混在してしまう。また、リン酸アルミニウムは溶解度上、pH2.0付近でアルカリ調整により析出した場合、酸溶解液中のアルミニウム含有量が少なく、リン酸アルミニウムの生成量が少ない場合は溶解液に再溶解が可能であるが、溶解液中に多量にアルミニウムが存在する場合は溶解液中に再び溶解が困難であり、リン酸アルミニウムがリン酸鉄へ混合する割合が多くなる。
しかしながら、リン酸アルミニウムは、pH2.0〜pH1.0の間で急激に溶解度が高まり、pH1.6以下、望ましくはpH1.0に近い域でリン酸鉄を析出させることで、リン酸アルミニウムを酸溶解液中に溶解させ、リン酸アルミニウムの不純物量(混在量)を低減させることが可能になる。リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムなどは、アルカリ域で析出し、リン酸鉄の析出pH域では十分に溶解し、カルシウムやマグネシウムの多くはイオンとして酸溶解液中に存在しているので、影響はほとんどない。
即ち、リン酸鉄生成工程において、溶解液へ、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH)他)、アンモニア、アンモニア化合物、またはこれら混合物であるアルカリを徐々に撹拌しながら添加し、pH1.6以下に調整することで、アルミニウム他の金属成分の付着または共沈などによる混入を抑えることができるのである。
更に、必要に応じ、上記不溶物分離工程で得られた不溶物に対して、上記溶解工程から始まり不溶物分離工程に至る一連の処理を繰り返し行う構成としている。繰り返し回数は、1回もしくは複数回行う。また、繰り返し行う処理は、前に行った溶解工程から不溶物分離工程に至る一連の処理と全く同じにして行っても良く、また、目的とする処理効果が得られるのであれば工程の内容を変えて行っても良く、適宜変更して差支えない。これにより、下水汚泥焼却灰など、アルミニウム成分の多いリン含有物の場合、溶解液にアルカリを添加してリン酸鉄が生成する際、共沈または付着によりリン酸鉄中のアルミニウム濃度が高い場合があるが、このリン酸鉄を再度溶解し、再沈殿を行うことで、アルミニウムを溶解液に残存させる割合を高めることができ、析出リン酸鉄中のアルミニウム濃度を低減することができる。そのため、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
更にまた、必要に応じ、上記不溶物分離工程で得られた不溶物を洗浄する洗浄工程を備え、該洗浄工程は、先に、不溶物をリン酸鉄の析出の際に調整したpHと同じもしくは+0.5以内の範囲に調整したpHの酸水溶液により洗浄する処理を含む構成としている。析出したリン酸鉄には溶解液が付着しており、これにより、このリン酸鉄に付着した溶解液成分は、pHが変化することで析出する可能性があるが、リン酸鉄の析出pHに調整した洗浄液または析出pHより+0.5程度を許容した洗浄液を用いて洗浄するので溶解液を流し落とすことができる。そのため、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
また、必要に応じ、上記溶解工程の前に、リン含有物をアルカリ溶液で溶解してリンを抽出するとともにアルカリ溶液で溶解した溶解物を固液分離する前処理工程を備え、該前処理工程において分離された残渣を上記溶解工程に供する構成としている。前処理工程において、アルカリ溶液によりリンを抽出するので、例えば、リン酸カルシウム等の肥料原料となるリン酸塩を先に得ることができる。また、前処理工程では、アルカリ溶液によりリンを抽出するが、必ずしも、抽出効率がよいとは言えず、そのため、この前処理工程での残渣を原料にして、リン酸鉄を回収するので、それだけ、リンの回収効率を向上させることができる。
本発明によれば、オルトリン酸化処理を行うので、リン酸イオンの形態をオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一することができる。そのため、リン酸鉄水和物が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、最終的にFe3+とすることで、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿を得ることができるようになる。この結果、高純度のリン酸鉄を生成することができ、例えば、これをリチウムイオン二次電池用の正極活物質へ再利用しやすくすることができる。
本発明の第一の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法を示す工程図である。 本発明の第一の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法において前処理工程の内容を示す工程図である。 本発明の第一の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法のリン酸鉄生成の過程を示すである。 本発明の第三の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法を示す工程図である。 本発明の第四の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法を示す工程図である。 本発明の実施例1に係る下水汚泥焼却灰,鉄含有廃塩酸及びこれらから生成される各生成物の成分を示す表図である。 本発明の実施例1及び比較例1に係り、(a)は実施例1の結果物のX線回折測定結果を示し、(b)は比較例1の結果物のX線回折測定結果を示す回折パターン図である。 本発明の実施例2の結果物のX線回折測定結果を示す回折パターン図である。 本発明の実施例3及び4に係るアルカリ抽出残渣の塩酸溶解ろ過液,これに鉄含有廃塩酸を加えた鉄添加塩酸溶解ろ過液,及び結果物の成分の測定結果を示し、(a)は実施例3に係る結果を示し、(b)は実施例4に係る結果を示す表図である。 本発明の実施例5及び6に係るアルカリ抽出残渣の塩酸溶解ろ過液,これに鉄含有廃塩酸を加えた鉄添加塩酸溶解ろ過液,及び結果物の成分の測定結果を示すとともに、本発明の実施例7に係る結果物の成分の測定結果を示し、(a)は実施例5に係る結果を示し、(b)は実施例6に係る結果を示し、(c)は実施例7に係る結果を示す表図である。 本発明の実施例8に係る中間物及び結果物の成分の測定結果を示す表図である。 本発明の実施例8に係る結果物のX線回折測定結果を示す回折パターン図である。 本発明の実験例1に係る結果物を用いて作成したラミネート型リチウムイオン二次電池の性能試験結果を示す表図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法について詳細に説明する。リン含有物としては、例えば、下水汚泥,下水汚泥焼却灰,都市ゴミ焼却灰,自動車等の塗装の際に生じる塗装スラッジ(リン酸化成処理工程排出スラッジ),鶏糞焼却灰,および豚糞焼却灰などの動物糞焼却灰,鉄鋼スラグなどを挙げることができる。尚、リン含有物には、後述の「アルカリ抽出残渣」を含む。
先ず、本発明の第一の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法について説明する。このリン酸鉄の回収方法の構成は、図1に示すように、前処理工程(A0),溶解工程(A1),溶解液分離工程(A2),成分調整工程(A3),加熱工程(A4),還元工程(A5),リン酸鉄生成工程(A6),不溶物分離工程(A7),洗浄工程(A8),必要に応じて行われる再処理工程(A9),精製工程(A10)を備えている。また、この処理方法においては、不溶物分離工程(A7)の前にリンと鉄とのモル比を略1:1に調整する。実施の形態では、この調整は、溶解工程(A1)で暫定的に調整し、成分調整工程(A3)で確定させる。また、リン酸鉄生成工程の前若しくはこのリン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行う。実施の形態では、このオルトリン酸化処理は、加熱工程(A4)で行う。以下、各工程について説明する。
(A0)前処理工程
この工程は、先にアルカリ溶液によりリンを抽出してリン酸カルシウムを得ることを目的としている。この工程では、リン含有物をアルカリ溶液で溶解してリンを抽出するとともにアルカリ溶液で溶解した溶解物を固液分離し、この分離された残渣を溶解工程に供する。残渣にはリンが残存しており、第一の実施の形態に係る処理方法では、この残存したリンからリン酸鉄を得る。
詳しくは、図2に示すように、リン含有物を70℃に加熱したアルカリ溶液に投入し溶解してリンを抽出し(S1)、その後、溶解物を固液分離し、残渣(以下「アルカリ抽出残渣」という)とリン溶解液とを分離する(S2)。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム,これを含む廃液など適宜のものを用いる。次に、アルカリ抽出残渣を新たに用意した70℃に加熱したアルカリ溶液に投入し(S1)、再びリンを抽出(2回目抽出)し、その後、再び固液分離を行い(S2)、アルカリ抽出残渣とリン溶解液を得た。このアルカリ抽出残渣は後述の溶解工程に供した。
それから、得られたリン溶解液に対しては、濃度調整を行い(S3)、これに、例えば、Ca(OH)2などのカルシウム化合物を添加し、加熱,撹拌して、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)を生成し(S4)。その後、不溶物を沈殿させて回収し(S5)、洗浄,乾燥し(S6)、リン酸カルシウムを得た。このリン酸カルシウムは、例えば、肥料合成材料として用いることができる。
(A1)溶解工程
図1に戻り、前処理工程で得られたアルカリ抽出残渣を原料とし、この原料を酸溶液により溶解する。酸溶液としては、塩酸を用いた。この場合、溶解物のpHは、pH1.0以下になることが望ましい。より望ましくは、pH0.7以下である。また、リンと鉄とのモル比を略1:1に調整することを目的とし、暫定的な調整を行った。具体的には、リン含有物の原料に、鉄及び/または鉄化合物を加えた。例えば、下水汚泥焼却灰等のリン含有廃棄物においては、一般に、含有されている鉄化合物はリン化合物に比較して少ないので、鉄及び/または鉄化合物を加える。予めICP発光分光分析などにより、原料のリンと鉄の量が分かれば、概ねの量の鉄及び/または鉄化合物を加えることができる。鉄としては、鉄スクラップ廃棄物などを用いることができる。鉄化合物としては、塩化第二鉄,硝酸鉄などを用いることもできる。また、酸溶液としても機能する鉄含有廃酸、例えば、鉄含有廃塩酸,鉄含有廃硝酸を用いることができる。製鉄所や製鋼製品加工所より、鉄含有廃酸が多量に特別管理産業廃棄物として排出、産廃処理されているが、この廃棄物を積極的に利用することができる。また、リン含有物を鉄含有廃酸を用いて溶解することができるので、溶解酸としても再利用することになり、一石二鳥の効果がある。実施の形態では、鉄含有廃塩酸を用いた。
(A2)溶解液分離工程
溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す。分離方法は、ろ布によるろ過,遠心分離,沈降分離など適宜の手法を用いる。溶解液と分離された不溶解残渣は、例えば、土木・建設資材などの用に供することができる。
(A3)成分調整工程
リンと鉄とのモル比を略1:1に調整することを目的とし、溶解液の調整を確定させる。溶解液にリン化合物及び/または鉄化合物を添加して行う。リン化合物としては、例えば、市販のリン酸を希釈したリン酸溶解液を用いる。鉄化合物としては、例えば、塩酸鉄水和物を塩酸に溶解して調整した鉄溶解液を用いる。これにより、リン酸(PO4)と鉄(Fe3+)との理論反応当量を略同量とする。このため、溶解液中のリン酸イオン(PO4 3-)を組成上リン酸鉄として回収する準備が整う。尚、リンの濃度を若干多めにすることを許容する。
(A4)加熱工程
溶解液を加熱する。この場合、加熱温度Taを、50℃≦Ta≦90℃にする。望ましくは、60℃≦Ta≦80℃、30分以上加熱操作を行う。実施の形態では70℃前後で30分程度の加熱操作を行った。これにより、オルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一される。そのため、リンと鉄とのモル比がP:Fe≒1:1の条件下において、後述のリン酸鉄水和物(FePO4・nH2O)が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、最終的にFe3+とすることで、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿を得ることができるようになる。
(A5)還元工程
溶解液中に3価で存在する鉄イオンを2価にする。この場合、アスコルビン酸などの還元剤を用いることができる。後述のリン酸鉄生成工程の酸化処理において、溶解液中に2価で存在する鉄イオンは3価に変換される。一般に、リン含有物等の性状によって、溶解液中に含まれる鉄イオン価数は一定ではなく、3価の鉄イオン(Fe3+)、2価の鉄イオン(Fe2+)が混在する場合がある。そのため、後述のリン酸鉄生成工程で、例えば、アルカリ溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用い、これを溶解液へ添加して中和を行った場合、溶解液中の鉄イオン(Fe3+)と水酸化物イオン(OH-)が反応し、水酸化鉄(Fe(OH)3)を析出するが、難溶性であり、不純物として混合しやすいが、本還元工程により、これが阻止される。
(A6)リン酸鉄生成工程
溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成する。実施の形態において、アルカリ溶液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH)他)、アンモニア、アンモニア化合物、またはこれら混合物を用いることができる。この場合、撹拌機で撹拌混合し、溶液中の濃度勾配を低減する。そして、アルカリ溶液を加えた後で、十分に濃度勾配が少なくなった上で、溶解液中に2価で存在する鉄イオンを3価にする酸化処理を行う。そして、このリン酸鉄生成工程において、水酸化ナトリウムの添加及び酸化処理を経て、酸化処理後の、最終のpHが、pH≦1.6になるようにする。好ましくはpH≦1.2である。
酸化処理方法は、過酸化水素水をなどの酸化剤を添加し、あるいは、酸素源(酸素,空気,オゾン等)を吹き込むことにより行うことができる。また、自然放置により2価で存在する鉄イオンが3価に変化する場合には、長時間(数日間)を要するが、静置処理による酸化処理にすることができる。pHが低い酸性溶液中では鉄イオンは比較的2価で存在しやすいため、多くの場合、pHが低い域では酸化剤の添加や酸素源(酸素、空気、オゾン等)の混合により鉄イオンを3価の状態にし、リン酸鉄の析出を早めることが必要である。これにより、溶解液中の鉄イオンがほとんど2価(Fe2+)の鉄イオンになっているが、3価(Fe3+)に変化するので、リン酸鉄(FePO4)の鉄イオンは3価(Fe3+)であることから、リン酸鉄(FePO4)が析出してくる。
この場合、上記の加熱工程でオルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一されているので、リンと鉄とのモル比がP:Fe≒1:1の条件下において、リン酸鉄水和物(FePO4・nH2O)が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、最終的にFe3+とすることで、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿を得ることができるようになる。
また、この場合、上記の還元工程において、3価の鉄イオン(Fe3+)を、先ず、2価の鉄イオン(Fe2+)に還元剤を用いて変化させているので、例えば水酸化ナトリウム水溶液を溶解液へ添加し中和を行った場合、酸溶解液中の鉄イオン(Fe2+)と水酸化物イオン(OH-)が反応し、水酸化鉄(Fe(OH)2)を析出するが、溶解性であり、リン酸鉄の中に水酸化鉄が混合しにくくなる。その後、酸化処理を行い、最終的に所要のpH(pH≦1.6)に調整処理することで、溶解液中に2価で存在する鉄イオンが3価になり、これによりリン酸鉄が生成してくる。そのため、不溶性の水酸化鉄がリン酸鉄に混入する事態を防止することができる。
そしてまた、リン酸鉄を析出させる場合は、最終のpHを、pH≦1.6、好ましくはpH≦1.2にしているので、これにより、リン酸アルミニウム(AlPO4)が混在してしまう事態を防止することができる。その理由は以下のとおりである。リン酸鉄の析出最適pHはpH2.2付近であるが、アルミニウムが混在する溶液で沈殿を作製した場合であって、pH2.2付近でリン酸鉄を析出した場合、十分にリン酸アルミニウムが析出できるpH域であるため、リン酸アルミニウムが混在してしまう。また、リン酸アルミニウムは溶解度上、pH2.0付近でアルカリ調整により析出した場合、酸溶解液中のアルミニウム含有量が少なく、リン酸アルミニウムの生成量が少ない場合は溶解液に再溶解が可能であるが、溶解液中に多量にアルミニウムが存在する場合は溶解液中への再溶解が困難であり、リン酸アルミニウムがリン酸鉄へ混合する割合が多くなる。
しかしながら、リン酸アルミニウムは、pH2.0〜pH1.0の間で急激に溶解度が高まり、pH1.6以下、望ましくはpH1.0に近い域でリン酸鉄を析出させることで、リン酸アルミニウムを酸溶解液中に溶解させ、リン酸アルミニウムの不純物量(混在量)を低減させることが可能になる。リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムなどは、アルカリ域で析出し、リン酸鉄の析出pH域では十分に溶解し、カルシウムやマグネシウムは多くはイオンとして酸溶解液中に存在しているので、影響はほとんどない。
即ち、リン酸鉄生成工程において、溶解液へ、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH)他)、アンモニア、アンモニア化合物、またはこれら混合物であるアルカリを徐々に撹拌しながら添加し、pH1.6以下に調整することで、アルミニウム他の金属成分の付着または共沈などによる混入を抑えることができるのである。
(A7)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す。分離方法は、ろ布によるろ過,遠心分離,沈降分離など適宜の手法を用いる。これにより、リン酸鉄(FePO4)水和物とAl3+等を含む酸溶液が分離される。不溶物から分離された酸性残液は、例えば、溶解工程の希釈液としてなど再利用し、あるいは、中和処理して廃棄する。
(A8)洗浄工程
不溶物分離工程で得られた不溶物を洗浄する。洗浄は、先に、不溶物をpH≦1.6の酸(洗浄液)により洗浄する。析出したリン酸鉄には溶解液が付着しており、このリン酸鉄に付着した溶解液成分は、pHが変化することで析出する可能性があるが、リン酸鉄の析出pHに調整したと同等のpHの洗浄液を用いて洗浄することにより、溶解液を流し落とすことができる。特に、リン酸鉄(FePO4)水和物に付着しているAl3+等が洗い流される。そのため、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。その後、水洗浄により、場合に応じてpHを中性とする。
(A9)再処理工程
この再処理工程は、洗浄工程で得られたリン酸鉄の純度を更に上げるため、必要に応じて採択される。即ち、本工程は、洗浄工程で得られた不溶物に対して、上記の溶解工程から始まり不溶物分離工程を経て洗浄工程に至る一連の処理を繰り返し行う。繰り返し回数は、1回もしくは複数回行う。また、繰り返し行う処理は、前に行った溶解工程から不溶物分離工程に至る一連の処理と全く同じにして行っても良く、また、目的とする処理効果が得られるのであれば工程の内容を変えて行っても良く、適宜変更して差支えない。これにより、下水汚泥焼却灰など、アルミニウム成分の多いリン含有物の場合、溶解液にアルカリを添加してリン酸鉄が生成する際、共沈または付着によりリン酸鉄中のアルミニウム濃度が高い場合があるが、このリン酸鉄を再度溶解し、再沈殿を行うことで、アルミニウムを溶解液に残存させる割合を高めることができ、析出リン酸鉄中のアルミニウム濃度を低減することができる。そのため、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
(A10)精製工程
得られたリン酸鉄を105℃以下で脱水した後、粉砕し、さらに加熱処理により水和物または無水に調整し、最終的に粉末状のリン酸鉄を得る。この結果、高純度のリン酸鉄を生成することができ、例えば、これをリチウムイオン二次電池用の正極活物質へ再利用しやすくなる。
このように、第一の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法は、要約すると、図3に示すように、リン含有物を下水汚泥焼却灰とした場合、先ず、前処理工程でアルカリ処理によりリン酸カルシウムを得、次に、その残渣を酸溶液による溶解工程により残存しているリンを抽出し、その後還元工程に至る一連の工程を経て、アルカリによりpH調整するリン酸鉄生成工程により純度の高いリン酸鉄を得るものである。
次に、本発明の第二の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法について説明する。このリン酸鉄の回収方法の構成は、上記第一の実施の形態と略同様であるが、上記と異なって、前処理工程(A0)がなく、リン含有物の原料を酸溶液で溶解する溶解工程(A1)からスタートする。即ち、第一の実施の形態では、前処理工程(A0)を一連の処理工程に導入したものであるが、この第二の実施の形態では、これを行わない。しかし、上記前処理工程と同等の処理を別途専用に行っている処理場などから排出される「アルカリ抽出残渣」もリン含有物であることから、本第二の実施の形態が対象とするリン含有物に含まれる。
次にまた、本発明の第三の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法について説明する。このリン酸鉄の回収方法の構成は、上記第一の実施の形態と略同様であるが、上記と異なって、加熱処理を溶解工程で行い、溶解工程に加熱工程も含めたものである。他の工程は同様である。即ち、図4に示すように、前処理工程(B0),溶解工程(B1),溶解液分離工程(B2),成分調整工程(B3),還元工程(B4),リン酸鉄生成工程(B5),不溶物分離工程(B6),洗浄工程(B7),必要に応じて行われる再処理工程(B8),精製工程(B9)を備えている。そして、この溶解工程(B1)において、前処理工程で得られたアルカリ抽出残渣を原料とし、この原料を塩酸からなる酸溶液により溶解する。この際に、溶解物を加熱した。この場合、加熱温度Taを、50℃≦Ta≦90℃にする。望ましくは、60℃≦Ta≦80℃である。実施の形態では、Ta=75℃±5℃で、30分間撹拌しながら加熱した。これによっても、オルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一される。そのため、リンと鉄とのモル比がP:Fe≒1:1の条件下において、リン酸鉄水和物(FePO4・nH2O)が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、最終的にFe3+とすることで、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿を得ることができるようになる。
次に、本発明の第四の実施の形態に係るリン酸鉄の回収方法について説明する。このリン酸鉄の回収方法の構成は、図5に示すように、溶解工程(C1),溶解液分離工程(C2),成分調整工程(C3),リン酸鉄生成工程(C4),不溶物分離工程(C5),洗浄工程(C6),必要に応じて行われる再処理工程(C7),精製工程(C8)を備えている。また、リン酸鉄生成工程の前若しくはこのリン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行う。実施の形態では、このオルトリン酸化処理は、溶解工程(C1)で行う。以下、各工程について説明する。
(C1)溶解工程
リン含有物を原料とし、この原料を酸溶液により溶解する。酸溶液としては、硝酸を用いた。この場合、溶解物pHは、pH1.0以下になることが望ましい。より望ましくは、pH0.7以下である。最初の数時間(実施の形態では1時間)、溶解物を加熱した。加熱温度Taは、Ta=80℃±5℃にした。その後、数時間(実施の形態では7時間)、加熱を停止し、撹拌して溶解した。硝酸溶液との発熱反応により、溶解物は加熱された。これにより、オルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一される。そのため、特に加温処理を設けなくても良いが、初期において積極的に加温処理をしたので、より一層、オルトリン酸イオンへ変化しやすくなる。
(C2)溶解液分離工程
溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す。分離方法は、ろ布によるろ過,遠心分離,沈降分離など適宜の手法を用いる。溶解液と分離された不溶解残渣は、例えば、土木・建設資材などの用に供することができる。
(C3)成分調整工程
リンと鉄とのモル比を略1:1に調整することを目的とし、溶解液にリン化合物及び/または鉄化合物を添加して行う。リン化合物としては、例えば、市販のリン酸を希釈したリン酸溶解液を用いる。鉄化合物としては、例えば、硝酸鉄水和物を硝酸に溶解して調整した鉄溶解液を用いる。これにより、リン酸(PO4)と鉄(Fe3+)との理論反応当量を略同量とする。このため、溶解液中のリン酸イオン(PO4 3-)を組成上リン酸鉄として回収する準備が整う。尚、リンの濃度を若干多めにすることを許容する。
(C4)リン酸鉄生成工程
溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成する。pHを、pH2.0程度に調整した。この場合、塗装スラッジなどの一部のリン含有廃棄物は、アルミニウム(Al)等の不純物が無く、亜鉛(Zn)はpH2.0で低減が可能であることから、反応熱および加熱で60℃以上にさせることで、オルトリン酸態へ変化している。また、pH1.6以下の析出も可能である。尚、溶解液に複数の両性元素が混在している場合、pH1.6以下でリン酸鉄を析出させることが、不純物の混入を抑制する上で効果的である。硝酸イオン(NO3 -)は、アルカリ添加により酸溶液のpHを変化させる場合、水酸化鉄の形成および溶解に錯体としての効果を発揮し、急激なpH変化に伴う水酸化物の形成を緩衝する効果がある。即ち、硝酸は酸化性の酸なので鉄イオンは3価で存在するが、アンモニアを用いてpH調整するので、鉄の水酸化物が一時的に析出するものの、アンモニウムイオンや硝酸イオン等の緩衝効果(錯体形成)により、比較的短時間に溶解する。そのため、上記のような酸化還元調整は不必要になる。
これにより、溶解工程でオルトリン酸化処理が行われ、リン酸イオンの形態がオルトリン酸イオン(PO4 3-)に統一されているので、リンと鉄とのモル比がP:Fe≒1:1の条件下において、リン酸鉄水和物(FePO4・nH2O)が沈殿する際、鉄を含む複合リン酸化合物(ピロリン酸化合物も含む)を得ること無く、しかも、鉄イオンはFe3+であることから、FePO4と異なる例えばFe3(PO4)2等のFex(PO4)y[x,yは定数],Fex(P2O7)y[x,yは定数],Fex(HPO3)y[x,yは定数]等の不定比のリン酸鉄または不定比のリン酸鉄水和物を得ること無く、鉄(Fe)とリン(P)の組成比が1:1に定まったFePO4・nH2Oの沈殿を得ることができるようになる。
(C5)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す。分離方法は、ろ布によるろ過,遠心分離,沈降分離など適宜の手法を用いる。これにより、リン酸鉄(FePO4)水和物とAl3+等を含む酸溶液が分離される。不溶物から分離された酸性残液は、例えば、溶解工程の希釈液としてなど再利用し、あるいは、中和処理して廃棄する。
(C6)洗浄工程
不溶物分離工程で得られた不溶物を洗浄する。洗浄は、先に、不溶物をpH=2程度の酸(洗浄液)により洗浄する。その後、水洗浄により、場合に応じてpHを中性とする。
(C7)再処理工程
この再処理工程は、洗浄工程で得られたリン酸鉄の純度を更に上げるため、必要に応じて採択される。即ち、本工程は、不溶物分離工程で得られた不溶物に対して、上記の溶解工程から始まり不溶物分離工程を経て洗浄工程に至る一連の処理を繰り返し行う。繰り返し回数は、1回もしくは複数回行う。これにより、下水汚泥焼却灰など、アルミニウム成分の多いリン含有物の場合、溶解液にアルカリを添加してリン酸鉄が生成する際、共沈または付着によりリン酸鉄中のアルミニウム濃度が高い場合があるが、このリン酸鉄を再度溶解し、再沈殿を行うことで、アルミニウムを溶解液に残存させる割合を高めることができ、析出リン酸鉄中のアルミニウム濃度を低減することができる。そのため、より一層、高純度のリン酸鉄を回収できるようになる。
(C8)精製工程
得られたリン酸鉄を105℃以下で脱水した後、粉砕し、さらに加熱処理により水和物または無水に調整し、最終的に粉末状のリン酸鉄を得る。この結果、高純度のリン酸鉄を生成することができ、例えば、これをリチウムイオン二次電池用の正極活物質へ再利用しやすくなる。
以下、本発明の実施例を示す。
<実施例1>
実施例1において、原材料等は下記のものを用いた。
リン含有物:流動式焼却炉で得られた下水汚泥焼却灰(成分を図6に示す)
鉄溶解液:製鋼材料洗浄工程で排出された鉄含有廃塩酸をろ過(ろ紙5C相当)した溶液(成分を図6に示す)
酸:塩酸(関東化学社製、特級試薬)
廃アルカリ溶液:プリント基板洗浄工程で排出された水酸化ナトリウム(NaOH)廃液(0.5mol)をろ過(ろ紙5C相当)した溶液。
還元剤:アスコルビン酸(和光純薬社製)
リン調整液:リン酸(関東化学社製、EL試薬)を水で0.001mol/Lに希釈したリン酸溶解液。
鉄調整液:塩酸鉄水和物を塩酸に溶解し、10g/Lに調整した鉄溶解液。
アルカリpH調整液:アンモニア溶液(関東化学社製、EL試薬)
各工程は下記内容である。
(A0)前処理工程
下水汚泥焼却灰を500g採取してこれを原料とした(成分を図6に示す)。この原料を70℃に加熱した廃アルカリ溶液5Lへ投入することでリンを抽出し(1回目抽出)、その後下水汚泥焼却灰とリン抽出液とを分離(固液分離)した。その後、新たに廃アルカリ溶液5Lを70℃に加熱し、下水汚泥焼却灰(1回目抽出残渣)を投入してリンを抽出し(2回目抽出)、その後再び固液分離を行い、アルカリ抽出残渣とリン抽出液を得た。アルカリ抽出残渣の成分を図6に示す。固液分離はろ紙(5C(アドバンテック社製、以下の実施例において同じ))を用いて吸引ろ過を行った。1回目と2回目のリン抽出液は併せて一つのリン抽出液とし、肥料合成材料として利用した。
(A1)溶解工程
前処理工程で得られたアルカリ抽出残渣へ塩酸(conc)を300ml加え、0.5時間(室温)撹拌抽出を行った。その後、水を加えて液量3Lに調整した。その後、鉄含有廃塩酸および溶解塩酸中の鉄およびリンの濃度をICP発光分光分析装置(SIIナノテクノロジー社製、以下の実施例において同じ)により定量した。この分析結果を基に、鉄含有廃塩酸を溶解塩酸中のリンのモル濃度比を超えない量を添加し、さらにpH0.6を下回るよう塩酸を添加した。
(A2)溶解液分離工程
溶解工程で溶解させた溶解物を、ろ過(ろ紙5A相当)により不溶残渣(廃棄物残渣)とリン酸溶解液とに固液分離し、清澄なリン酸溶解液を得た。
(A3)成分調整工程
リン酸溶解液に鉄調整液またはリン酸調整液を加え、FeとPのモル濃度比を1.0:1.0にした。溶解工程では、若干Feの濃度が足りない様調整したため、ICP発光分光分析装置によりリン酸溶解液の鉄およびリンの定量を行い、足りない鉄成分を調整した。この溶解液へ最終的に水および塩酸を加え、5Lの溶液かつpH0.6になるよう調整し、撹拌混合を行った。
(A4)加熱工程
リン酸溶解液を70℃に加熱し、30分間保持した。これにより、重合リン酸を加水分解し、オルトリン酸へ変化させた。
(A5)還元工程(鉄イオンの価数調整)
用いた鉄含有廃塩酸は多くがFe2+であったため、リン酸溶解液1Lに対しアスコルビン酸(試薬)を1gの割合で加え、リン酸溶解液中に溶解したFeイオンの多くがFe2+になるよう調整し、10分間撹拌した。
(A6)リン酸鉄生成工程
(A6−1)アルカリ溶液添加
室温度(25℃)において、リン酸溶解液5Lに対し、アンモニア溶液(conc)を撹拌混合しながら加え、pHを1.45にした。pH調整を行うことで、FePO4が析出した。FePO4の析出後3時間撹拌し、再度pH1.45に再調整後12時間撹拌することで、均一なリン酸鉄を得た。
(A6−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
pH調整を行い、リン酸鉄析出物の色が十分に均一かつクリーム色(リン酸鉄色)に変化した後、リン酸溶解液5Lへ過酸化水素水10mlを加え混合し、FeイオンをFe3+に酸化させた。この作業により、2価で存在し沈殿を生成しなかった鉄イオンを3価に変化させ、リン酸鉄の析出割合を高めた。更に空気が混ざるよう撹拌混合を8時間撹拌混合し、リン酸鉄が十分に析出するよう調整した。
(A7)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物を、室温環境下で吸引ろ過器(アドバンテック社製、以下の実施例において同じ)を用いてろ過(ろ紙5A相当)し、約100gのリン酸鉄(水和物)を得た。
(A8)洗浄工程
その後、リン酸鉄を塩酸によりpH1.45に調整した水溶液1Lを用いて吸引ろ過洗浄を行い、さらに水2Lにて吸引ろ過洗浄を行った。析出物は80℃で乾燥を行って、リン酸鉄(水和物)を得た(以下「中間物」という)。
(A9)再処理工程
得られたリン酸鉄(水和物)の中間物に対して、上記の溶解工程から始まり不溶物分離工程を経て洗浄工程に至る一連の処理をさらに1回繰り返すことで、リン酸鉄中のアルミニウム濃度を低減した。また、再処理工程において、回収したリン酸鉄を溶解し再析出を行う際、リン酸溶解液の濃度が低い場合は回収率が低下する傾向にあるため、試料に対し、酸(conc)と水を一定割合になるよう加え、リン酸鉄の再析出を行った。
(A10)精製工程(熱処理・粒径制御・水和物調整)
得られたリン酸鉄水和物を80℃で乾燥させ、粉砕機で粉砕後600℃で焼成を行い、さらに粉砕することでリン酸鉄粉末(以下「結果物」という)を得た。
この実施例1で得られたリン酸鉄粉末(結果物)と、先の中間物について、アルミニウムの成分量(wt%)を測定した。結果を図6に示す。これにより、再処理工程を経ることにより、アルミニウム濃度が低減し、リン酸鉄粉末の純度が上がったことがわかる。
また、実施例1のリン酸鉄粉末(結果物)について、比較例1の結果物とともに、X線回折装置(株式会社リガク社製RINT-2000)により、X線回折測定を行った。
比較例1は、実施例1のうち加熱工程(A4)を行わない、即ち、オルトリン酸化処理を行わない処理方法である。
実施例1のリン酸鉄粉末(結果物)についての結果を図7(a)に、比較例1の結果物についての結果を図7(b)に示す。このX線回折測定の結果、加熱工程を行わない比較例1の場合、即ち、オルトリン酸(PO4 3-)の形に変化させずリン酸鉄を合成した場合、FePO4の単相は析出せず、FePO4と異なる不定比組成のリン酸鉄が生じていることが示された。そのため、オルトリン酸化処理を行うことにより、リン酸鉄(FePO4)の純度を向上させることが分かった。
<実施例2>
上記実施例1の前処理工程(A0)を行わずに、下水汚泥焼却灰の原料を最初から酸溶液で溶解する溶解工程(A1)からスタートし、他の工程は実施例1と同様にした。尚、再処理工程(A9)において、酸の量は、試料100gに対して60ml添加した。
そして、この実施例2のリン酸鉄粉末(結果物)について、X線回折測定を行った。結果を図8に示す。このX線回折測定の結果、20°付近ほかの回折ピークがはっきりとし、単一相のリン酸鉄の結晶性を向上させることが分かった。
<実施例3>
実施例3において、アルカリpH調整液としてアンモニア溶液に代えて水酸化ナトリウムの1mol/Lを用いた以外は、実施例1の原材料等は同じものを用いた。
各工程は下記内容である。
(B0)前処理工程
実施例1と同様なので説明を省略する。
(B1)溶解工程
前処理工程で得られたアルカリ抽出残渣に塩酸(conc)を60ml加え、さらにpH0.6を下回るよう塩酸を添加し、約75℃(±5)で加熱し、0.5時間撹拌溶解した。即ち、実施例1,2と異なって、加熱工程(A4)がなく、加熱処理をこの溶解工程で行ったものである。これにより、オルトリン酸化処理が行われる。
その後、水を加え、鉄含有廃塩酸および鉄調整液を加え総液量1Lに調整した。また、溶解塩酸中の鉄およびリンの濃度をモル濃度比で1:1になるよう調整した。調整の際、ICP発光分光分析装置を用い定量した。
(B2)溶解液分離工程
溶解工程で溶解させた溶解物を、ろ過(ろ紙5A相当)により不溶残渣(廃棄物残渣)とリン酸溶解液とに固液分離し、清澄なリン酸溶解液を得た。
(B3)成分調整工程
リン酸溶解液へ鉄調整液を加え、溶液中のPおよびFeのモル濃度比が1.0:1.0になるよう調整し、最終的に水および塩酸を加え、1Lの溶液かつpH0.6以下になるよう調整した。
(B4)還元工程(鉄イオンの価数調整)
室温度において、リン溶解液1Lに対しアスコルビン酸(試薬)を1gの割合で加え、10分間撹拌した。
(B5)リン酸鉄生成工程
(B5−1)アルカリ溶液添加
室温度(25℃)において、リン溶解液1Lに対しアルカリpH調整液溶液(水酸化ナトリウム)を撹拌混合しながら加え、pH1.6に調整した。その後、3時間撹拌混合した。
(B5−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
リン溶解液1Lへ、過酸化水素水20mlを加え酸化させ、さらに空気が混ざるよう一晩(8時間)撹拌混合した。その際、pHは約1.0へ変化し、最終的にpH1.0になるよう酸を添加し調整した。
(B6)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物を、室温度で、吸引ろ過器を用いてろ過し、リン酸鉄を得た。
(B7)洗浄工程
その後、リン酸鉄を、塩酸によりリン酸鉄析出時のpHに調整した水溶液(pH1.0)をそれぞれ200ml×2回用いて洗浄し、その後水200ml×2回にて洗浄した。
(B8)再処理工程
この実施例では、再処理工程は行わなかった。
(B9)精製工程(熱処理・粒径制御・水和物調整)
80℃で脱水乾燥し、その後、遊星型ボールミル(レッチェ製、以下の実施例において同じ)にて粉砕し、105℃で乾燥して、粉末状のリン酸鉄水和物を得た。
<実施例4>
実施例4は、アルカリpH調整液として水酸化ナトリウムの1mol/Lを用い、実施例3と略同様の処理を行った。実施例3と異なって、リン酸鉄生成工程(B5)の処理を以下のように行った。
(B5−1)アルカリ溶液添加
室温度(25℃)において、リン溶解液1Lに対しアルカリpH調整液溶液(水酸化ナトリウム)を撹拌混合しながら加え、pH1.8に調整した。その後、3時間撹拌混合した。
(B5−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
リン溶解液1Lへ、過酸化水素水を加えて酸化させ、さらに空気が混ざるよう撹拌混合を一晩(8時間)撹拌混合した。その際、pHは約1.2へ変化し、最終的にpH1.2になるよう酸を添加し調整した。
他の処理は、実施例3と同様である。
実施例3及び4においては、要するに、アルカリpH調整液として水酸化ナトリウムを用いたものにおいて、実施例3は、リン酸鉄生成工程での最終のpHを、pH=1.0にし、実施例4は、リン酸鉄生成工程での最終のpHを、pH=1.2にしたものである。これら、実施例3及び4におけるアルカリ抽出残渣の塩酸溶解ろ過液,これに鉄含有廃塩酸を加えた鉄添加塩酸溶解ろ過液,最終の結果物について、成分分析を行った。実施例3に係る結果を図9(a)に、実施例4に係る結果を図9(b)に示す。
この結果から、室温(20℃)pH1.2前後で析出させたリン酸鉄中のアルミニウム濃度が低く、最適な析出pHであった。また、pHを1.0前後で析出した場合も、合成したリン酸鉄(FePO4)中のアルミニウム(Al)含有量を1wt%以下に低減することが可能であった。また、酸濃度が低いpH1.0に比べpH1.2のアルミニウム(Al)の共析または付着量が低い傾向がみられるが、単にpHが低すぎるとFePO4の析出量が減り、相対的にアルミニウム(Al)濃度が高まっているため、その傾向を示していると言える。しかしながら、pH1.2付近の低いpH域において、十分にアルミニウム(Al)ほかの不純物含有量の低減が可能であるということがいえる。
<実施例5>
実施例5は、アルカリpH調整液としてアンモニア(NH4OH)を用い、実施例3と略同様の処理を行った。実施例3と異なって、リン酸鉄生成工程(B5)の処理を以下のように行った、
(B5−1)アルカリ溶液添加
室温度(25℃)において、リン溶解液1Lに対しアルカリpH調整液溶液(アンモニア)を撹拌混合しながら加え、pH1.6に調整した。その後、3時間撹拌混合した。
(B5−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
リン溶解液1Lへ、過酸化水素水20mlを加え酸化させ、さらに空気が混ざるよう撹拌混合を一晩(8時間)撹拌混合した。その際、pHは約1.0へ変化し、最終的にpH1.0になるよう酸を添加し調整した。
他の処理は、実施例3と同様である。
<実施例6>
実施例6は、アルカリpH調整液としてアンモニア(NH4OH)を用い、実施例3と略同様の処理を行った。実施例3と異なって、リン酸鉄生成工程(B5)の処理を以下のように行った。
(B5−1)アルカリ溶液添加
室温度(25℃)において、リン溶解液1Lに対しアルカリpH調整液溶液(アンモニア)を撹拌混合しながら加え、pH1.6に調整した。その後、3時間撹拌混合した。
(B5−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
リン溶解液1Lへ、過酸化水素水を加え酸化させ、さらに空気が混ざるよう撹拌混合を一晩(8時間)撹拌混合した。その際、pHは約1.2へ変化し、最終的にpH1.2になるよう酸を添加し調整した。
他の処理は、実施例3と同様である。
<実施例7>
実施例7は、実施例6において、再処理工程(B8)を行ったものである。再処理工程(B8)は以下のように行った。
(B81)溶解工程
アンモニア(NH4OH)を添加してpH1.2にして得られたリン酸鉄粉末を100g採取し、塩酸60mLを加え70℃で加熱溶解を行った。
(B82)溶解液分離工程
再溶解の際に発生した不溶解残渣をろ過(ろ紙5C相当)により分離し、清澄なリン酸溶解液を得た。
(B83)加熱工程
70℃で30分間加熱した。溶解工程で加熱処理してオルトリン酸化処理を行っているが、更にこの加熱工程で加熱を行って十分にオルトリン酸化を行った。
(B84)成分調整工程
鉄調整液およびリン調整液により、組成比P:Fe=1.0:1.0のモル比に調整した。
(B85)還元工程(鉄イオンの価数調整)
アスコルビン酸(試薬)を1gの割合で加え撹拌した。
(B86)リン酸鉄生成工程
(B86−1)アルカリ溶液添加
アルカリ溶液(NaOH 1mol/L)でpH1.2に調整した。その後、12時間撹拌した。
(B86−2)酸化処理(鉄イオンの価数を3価へ調整)
リン溶解液へ過酸化水素水を1ml加え、30分さらに撹拌を行った。
(B87)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物を、吸引ろ過器を用いてろ過し、リン酸鉄を得た。
(B88)洗浄工程
その後、リン酸鉄を、pH1.1に調整した洗浄溶液を用いて200ml×2回洗浄し、更に、純水200ml×2回洗浄して精製リン酸鉄(FePO4)を得た。
他の処理は、実施例6と同様である。
実施例5〜7においては、要するに、アルカリpH調整液としてアンモニアを用いたものにおいて、実施例5は、リン酸鉄生成工程での最終のpHを、pH=1.0にし、実施例6は、リン酸鉄生成工程での最終のpHを、pH=1.2にし、実施例7は、実施例6に再処理工程を加えて行うとともに再処理工程でのリン酸鉄生成工程において最終のpHを、pH=1.0にしたものである。これら、実施例5及び6におけるアルカリ抽出残渣の塩酸溶解ろ過液,これに鉄含有廃塩酸を加えた鉄添加塩酸溶解ろ過液,最終の結果物について、成分分析を行った。また、実施例7の最終の結果物について、成分分析を行った。実施例5に係る結果を図10(a)に、実施例6に係る結果を図10(b)に、実施例7に係る結果を図10(c)示す。
この結果から、アンモニア(NH4OH)水溶液でpH調整した後、再処理工程で水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH調整を行っても、加熱および酸化還元工程を経ることで、リン酸鉄の析出は可能であることがいえる。また、再析出工程でpH1.2に調整し、リン酸鉄を析出させた場合、さらにアルミニウム(Al)不純物の含有量を低減することができるといえる。
<実施例8>
実施例8において、原材料等は下記のものを用いた。
リン含有物:リン酸亜鉛化成処理工程排出スラッジを焼成し、含有油分を炭化した焼成塗装スラッジ
酸:硝酸(関東化学社製、特級試薬)
アルカリpH調整液:アンモニア(NH4OH)(関東化学社製、EL試薬)
リン調整液:リン酸(関東化学社製、EL試薬)を水で1:100に希釈したリン酸溶解液
鉄調整液:硝酸鉄(II)水和物をリン酸とのモル比が1:1になる量をビーカーへ採取し、6mol硝酸を撹拌しながら添加し、溶解に必要な最少量の硝酸を加え溶解した鉄溶解液
各工程は下記内容である。
(C1)溶解工程
焼成塗装スラッジ100gに硝酸(conc)を300ml加え、8時間撹拌溶解した。その際、最初の1時間は反応熱に加え80℃になるよう加熱し、残りの7時間は室温で撹拌溶解した。試料へ硝酸を加えて溶解する際、硝酸が激しく発熱反応しNOxが発生した。これにより、オルトリン酸化処理が行われた。その後、水を加え総液量2Lに調整した。
(C2)溶解液分離工程
溶解工程で溶解させた溶解物をろ過(ろ紙5C相当)し、リン酸溶解液を得た。
(C3)成分調整工程
このリン酸溶解液へ、リン調整液または鉄調整液を加え、溶液中のPおよびFeのモル濃度比が1.0:1.0になるよう調整した。この状態では、2Lに調整した液量を若干超えた液量となった。
(C4)リン酸鉄生成工程
温度(25℃)において、アルカリpH調整液溶液(NH4OH)を撹拌混合しながら加え、pH2.0に調整した。その後、6時間撹拌熟成した。これにより、酸化剤を添加することなく、熟成時の撹拌による空気酸化により、鉄の価数が3価になり、リン酸鉄水和物の析出が促進された。
(C5)不溶物分離工程
リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄をろ過により取り出した。
(C6)洗浄工程
リン酸鉄を、硝酸によりリン酸鉄析出時のpHに調整した水溶液(pH2.0)をそれぞれ1L×2回用いて洗浄し、その後水1L×2回にて洗浄した。
(C7)再処理工程
得られたリン酸鉄(中間物)を再び酸溶解し、再析出精製を実施した。その際、pH調整はpH1.6に調整しリン酸鉄を得た。
(C8)精製工程
得られたリン酸鉄を脱水乾燥し、さらに600℃で3時間焼成し、リン酸鉄粉末(以下「結果物」という)を得た。
この実施例8で用いた焼成塗装スラッジ,得られたリン酸鉄粉末(結果物)、先の中間物について、亜鉛の成分量(w%)を測定した。結果を図11に示す。この結果から、亜鉛を含む溶解液においてpH2.0以下でリン酸鉄を析出し、再処理工程(再結晶)を経ることで、亜鉛の含有量を低減することが可能ということがいえる。
また、実施例8のリン酸鉄粉末(結果物)について、X線回折測定を行った。結果を図12に示す。この結果から不純物を含まない、FePO4の単結晶または水和物を含む単結晶が得られていることがいえる。
<試験例>
上記の実施例1で得られたリン酸鉄を用いて、オリビン型リン酸鉄リチウムを合成し、これから、ラミネート型リチウムイオン二次電池(単セル)を作成して、定電流充放電測定を行い、性能を見た。結果を図13に示す。この結果から、リチウムイオン二次電池正極活物質は不純物の混入により容量が低下し極めて敏感であるが、ラミネート型セルで120mAh/gの性能を発揮し、実用化レベルの性能を示していることから、電池材料用途として十分に利用できる高純度なリン酸鉄(リン酸塩)であるということがいえる。
尚、上記オルトリン酸化処理は、第一及び第二の実施の形態では、加熱工程での加熱により行い、第三及び第四の実施の形態では、溶解工程での加熱処理で行ったが、必ずしもこれに限定されるものではなく、リン酸鉄生成工程の前の何れかの工程で行い、あるいは、リン酸鉄生成工程の前に専用の工程を設けて行い、あるいはまた、リン酸鉄生成工程において行うようにして良く、適宜変更して差支えない。
また、第一乃至第三の実施の形態では、リン酸鉄生成工程前に、溶解液中に3価で存在する鉄イオンを2価にする還元工程を専用に設けたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、溶解液中の鉄イオンがほとんど2価(Fe2+)の鉄イオンの場合には特に設けることなく、酸化処理のみでもよく、適宜変更して差支えない。
尚また、再処理工程は、前に行った溶解工程から不溶物分離工程に至る一連の処理と全く同じにして行っても良く、また、目的とする処理効果が得られるのであれば工程の内容を変えて行っても良く、適宜変更して差支えない。
本発明によれば、高純度のリン酸鉄を得ることができるので、リチウムイオン二次電池用正極活物質前駆体に用いる技術として有用になる。即ち、高純度のリン酸鉄を前駆体とし、リチウム塩、添加剤(カーボンほか)をこの前駆体へ加えることでオリビン型リン酸鉄リチウム正極活物質が得られ、有効利用を図ることができる。
(A0) 前処理工程
(A1) 溶解工程
(A2) 溶解液分離工程
(A3) 成分調整工程
(A4) 加熱工程
(A5) 還元工程
(A6) リン酸鉄生成工程
(A7) 不溶物分離工程
(A8) 洗浄工程
(A9) 再処理工程
(A10) 精製工程
(B0) 前処理工程
(B1) 溶解工程
(B2) 溶解液分離工程
(B3) 成分調整工程
(B4) 還元工程
(B5) リン酸鉄生成工程
(B6) 不溶物分離工程
(B7) 洗浄工程
(B8) 再処理工程
(B9) 精製工程
(C1) 溶解工程
(C2) 溶解液分離工程
(C3) 成分調整工程
(C4) リン酸鉄生成工程
(C5) 不溶物分離工程
(C6) 洗浄工程
(C7) 再処理工程
(C8) 精製工程

Claims (11)

  1. リン含有物からなる原料を酸溶液により溶解する溶解工程と、該溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す溶解液分離工程と、該溶解液分離工程で分離して取り出した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成するリン酸鉄生成工程と、該リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す不溶物分離工程とを備えたリン酸鉄の回収方法であって、
    上記不溶物分離工程の前にリン(P)と鉄(Fe)とのモル比を略1:1に調整し、
    上記リン酸鉄生成工程の前若しくは該リン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行い、
    上記リン酸鉄生成工程で、アルカリ溶液を加えた後、溶解液中に2価で存在する鉄イオンを3価にする酸化処理を行うことを特徴とするリン酸鉄の回収方法。
  2. リン含有物からなる原料を酸溶液により溶解する溶解工程と、該溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す溶解液分離工程と、該溶解液分離工程で分離して取り出した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成するリン酸鉄生成工程と、該リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す不溶物分離工程とを備えたリン酸鉄の回収方法であって、
    上記不溶物分離工程の前にリン(P)と鉄(Fe)とのモル比を略1:1に調整し、
    上記リン酸鉄生成工程の前若しくは該リン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行い、
    上記溶解工程で加える酸溶液として硝酸を用い、
    上記リン酸鉄生成工程で加えるアルカリ溶液としてアンモニアを用いたことを特徴とするリン酸鉄の回収方法。
  3. リン含有物からなる原料を酸溶液により溶解する溶解工程と、該溶解工程で溶解させた溶解物から溶解液を分離して取り出す溶解液分離工程と、該溶解液分離工程で分離して取り出した溶解液にアルカリ溶液を加えて所要時間保持し最終的に所要のpHに調整処理し不溶物であるリン酸鉄を生成するリン酸鉄生成工程と、該リン酸鉄生成工程で処理した処理物から不溶物であるリン酸鉄を分離して取り出す不溶物分離工程とを備えたリン酸鉄の回収方法であって、
    上記不溶物分離工程の前にリン(P)と鉄(Fe)とのモル比を略1:1に調整し、
    上記リン酸鉄生成工程の前若しくは該リン酸鉄生成工程において、溶解液中のリン酸イオンの溶存形態をオルトリン酸イオンにするオルトリン酸化処理を行い、
    上記リン酸鉄生成工程前に、溶解液中に3価で存在する鉄イオンを2価にする還元工程を設け、
    上記リン酸鉄生成工程で、アルカリ溶液を加えた後、溶解液中に2価で存在する鉄イオンを3価にする酸化処理を行うことを特徴とするリン酸鉄の回収方法。
  4. 上記オルトリン酸化処理は、対象物を加熱する処理であることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
  5. 加熱温度Taを、50℃≦Ta≦90℃にすることを特徴とする請求項4記載のリン酸鉄の回収方法。
  6. 上記オルトリン酸化処理は、上記溶解工程で酸溶液として硝酸溶液を選択し、該硝酸溶液との反応熱を含む処理であることを特徴とする請求項4または5記載のリン酸鉄の回収方法。
  7. 上記リン(P)と鉄(Fe)とのモル比を略1:1にする調整は、リン含有物の原料に、鉄及び/または鉄化合物を加えるとともに、上記溶解液にリン化合物及び/または鉄化合物を添加して行うことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
  8. 上記リン酸鉄生成工程において、最終のpHを、pH≦1.6にしたことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
  9. 上記不溶物分離工程で得られた不溶物に対して、上記溶解工程から始まり不溶物分離工程に至る一連の処理を繰り返し行うことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
  10. 上記不溶物分離工程で得られた不溶物を洗浄する洗浄工程を備え、該洗浄工程は、先に、不溶物をリン酸鉄の析出の際に調整したpHと同じもしくは+0.5以内の範囲に調整したpHの酸水溶液により洗浄する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
  11. 上記溶解工程の前に、リン含有物をアルカリ溶液で溶解してリンを抽出するとともにアルカリ溶液で溶解した溶解物を固液分離する前処理工程を備え、該前処理工程において分離された残渣を上記溶解工程に供することを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載のリン酸鉄の回収方法。
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