JP6506511B2 - 冷凍輸送用包装用容器 - Google Patents
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容器の壁部に用いられている積層シートが、表裏両面を有するコア層と、該コア層の両面又は片面に設けられた30μm以上の厚さのスキン層とを有してなり、
前記コア層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂を主成分として構成されると共に、前記スキン層が、前記コア層を構成するPET系樹脂とは異なる変性PET樹脂を主成分として構成されており、
前記変性PET樹脂は、酸成分としてのテレフタル酸と、ジオール成分との共重合ポリマーであり、前記ジオール成分は、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、イソソルビド、及び、エチレングリコール、の三成分からなり、
100モル%の前記テレフタル酸に対応する100モル%の前記ジオール成分は、
1)46モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、
2)31モル%のイソソルビド、及び、
3)23モル%のエチレングリコール、
からなり、
前記積層シートが、冷凍輸送の場面でも容器のヒビ割れを防止できるような耐寒衝撃強度を確保すべく、JIS K7211−1に準拠したパンクチャー衝撃試験において、試験片を−18℃に保冷した状態でのパンクチャー衝撃強度値が2.2J以上である、
ことを特徴とする冷凍輸送用包装用容器である。
「シート」とは厚さが100μm以上の厚膜状物をいい、「フィルム」とは厚さが100μm未満の薄膜状物をいう。また、「容器」という場合、容器の本体のみならず、容器の蓋体も含まれ得る。
本発明の積層シートは、表裏両面を有するコア層と、該コア層の両面(両側)又は片面(片側)に設けられたスキン層とを有してなるものである。
1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)をXモル%、
イソソルビドをYモル%、
エチレングリコール(及び、必要ならばその他のジオール)をZモル%、とした場合、
X=20〜60モル%、Y=10〜35モル%、Z=(100−X−Y)モル%とすることが好ましい。
実施例1は、コア層の表裏両面にスキン層がそれぞれ配置された3層構造の積層シート(総厚さ400μm)を共押出し法による多層シート製造装置を用いて試作したものである。コア層を構成する樹脂としては、中国三房巷社製のAPET樹脂「CZ−333」(Tg=70℃)を使用した。また、各スキン層を構成する樹脂としては、韓国SKケミカル社製の変性PET樹脂「エコゼンBS400」(Tg=120℃)を使用した。このエコゼンは、非晶質のバイオコポリエステルとして、韓国において第1号バイオプラスチックの認証(第BBP−0001:2011号)を受けているものである。ちなみに本件出願人が日本国内の民間分析機関に依頼してH−NMRスペクトル解析を行ったところ、エコゼンBS400の組成は、テレフタル酸:100モル%、CHDM:46モル%、イソソルビド:31モル%、エチレングリコール(EG):23モル%であることが判明している。なお、後掲の表1中、”ECOZ”はエコゼンBS400を指し、”APET”はCZ−333を指している。
実施例1の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を15/70/15としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ60μm/280μm/60μmである。
実施例2の積層シートは、実施例1の積層シートと同様の3層構造の積層シート(総厚さ400μm)であるが、3層の層厚比だけが実施例1と異なっている。具体的には、
実施例2の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を10/80/10としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ40μm/320μm/40μmである。
比較例1の積層シートは、実施例1の積層シートと同様の3層構造の積層シート(総厚さ400μm)であるが、3層の層厚比だけが実施例1と異なっている。具体的には、
比較例1の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を5/90/5としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ20μm/360μm/20μmである。
比較例2は、コア層の表裏両面にスキン層がそれぞれ配置された3層構造の積層シート(総厚さ400μm)を共押出し法による多層シート製造装置を用いて試作したものである。コア層を構成する樹脂としては、中国三房巷社製のAPET樹脂「CZ−333」(Tg=70℃)を使用した。また、各スキン層を構成する樹脂としては、イーストマンケミカル社の変性PET樹脂「PET−G」(Tg=80℃)を使用した。このPET−Gは、テレフタル酸:100モル%、CHDM:約70モル%、エチレングリコール:約30モル%から得られるPET樹脂であり、PET−Gにイソソルビドは含まれていない。なお、後掲の表1中、”PETG”はイーストマンケミカル社のPET−Gを指している。
比較例2の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を5/90/5としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ20μm/360μm/20μmである。
比較例3の積層シートは、比較例2の積層シートと同様の3層構造の積層シート(総厚さ400μm)であるが、3層の層厚比だけが比較例2と異なっている。具体的には、
比較例3の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を10/80/10としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ40μm/320μm/40μmである。
比較例4の積層シートは、比較例2の積層シートと同様の3層構造の積層シート(総厚さ400μm)であるが、3層の層厚比だけが比較例2と異なっている。具体的には、
比較例4の積層シートは、スキン層/コア層/スキン層の層厚比を15/70/15としたものである。即ち、積層シートの総厚さは400μmであるから、3層の厚みは、それぞれ60μm/280μm/60μmである。
比較例5は、スキン層を持たない単層シート(厚さ400μm)であって、シート全体が中国三房巷社製のAPET樹脂「CZ−333」(Tg=70℃)で構成されたものである。
JIS−K7136に準拠した方法により、各積層又は単層シートのヘーズ値(Haze,単位:%)を測定した。具体的には、日本電食株式会社製ヘーズメーターNDH−7000SPを使用し、試験片(50mm×50mmの大きさに切り揃えたシート)をヘーズメーターの測定部(試験片の支持部)に挟んで自動計測した。ヘーズ値は透明性の指標であり、その値(%)が小さいほど透明性が高くなる。実施例及び比較例の各々の測定結果を表1に示す。
JIS−K7195に準拠した方法により、各積層又は単層シートについてヒートサグ試験を行った。具体的には、試験片として、各シートを長さ100mm×幅5mmに切り揃えた長尺片を準備すると共に、測定装置として、タバイエスペック株式会社製GPHH−100を使用した。図3に示すように、基板上に立設された支持架台の上部に試験片の一端を留め具で固定する。これを試験温度(80℃)に設定したギアオーブン(恒温槽)中に1時間静置する。そして、加熱前後の試験片の自由端部の高さの差からヒートサグ値を求めた。即ち、ヒートサグ値:S(mm)=So−Sf
So:加熱前における基板から試験片の自由端部までの高さ(mm)
Sf:1時間加熱後における基板から試験片の自由端部までの高さ(mm)
ヒートサグ値は、耐熱性(又は高温剛性)の指標であり、その値が低いほど耐熱性が高いと言える。実施例及び比較例の各々の測定結果を表1に示す。
JIS−K7211−1に準拠した方法により、各積層又は単層シートについてパンクチャー衝撃試験を行った。具体的には、試験片として、各シートを縦50mm×横50mmに切り揃えた正方形片を準備すると共に、全ての試験片を予め−18℃に冷却した。測定装置として、マイズ試験機株式会社製パンクチャー衝撃(デュポン衝撃)試験機を使用し、次の手順にて試験を行った。
(イ)冷却済みの試験片を、試験片支持台と撃鉄(ストライカ)との間に配置する。
(ロ)ある高さに重りを下支えしていた押さえ棒を引き抜いて、当該高さから重りを撃鉄に向けて落下させる。
(ハ)重りの種類および重りの高さを種々変更して、試験片が「割れる」/「割れない」の境目を探す。例えば各回の試験片の破損状況を見ながら、重りの落下高さを上げ下げする。
(ニ)上記(ロ)及び(ハ)の手順を20回繰り返し、得られた測定結果とJIS規定の計算式に基づいてパンクチャー衝撃強度値(50%衝撃破壊エネルギー、単位:J)を求めた。
得られた値は、低温環境下での耐衝撃強度の指標であり、その値が大きいほど耐寒衝撃性が高いと言える。実施例及び比較例の各々の測定結果を表1に示す。
実施例1及び2並びに比較例5の各積層又は単層シートを熱成形して標準的なサイズのゼリー等の高温充填用容器(縦148mm×横148mm×高さ55mm)を作製した。実施例又は比較例ごとにそれぞれ10個の容器を準備した。そして、それぞれの容器に粉状寒天を溶かしたゼリー(300グラム)を充填すると共に、ゼリー入り容器を−18℃に冷却した(つまり容器内のゼリーを冷凍状態とした)。各例のシートにつき10個ずつ用意した冷凍ゼリー入り容器(合計30個)を段ボール箱に収納すると共に、この段ボール箱を保冷車の冷凍庫(−18℃)に搭載して長距離輸送実験を行った。具体的には、この保冷車に愛知県犬山市(出願人の実験拠点地)と北海道札幌市との間を一往復させるという輸送実験を行った。上記実験拠点地に帰還した保冷車から段ボール箱を静かに降ろし、中に収められた各容器の状態を目視で確認した。その結果、実施例1及び2の容器については、10個ともヒビ割れ等は見られなかった(表1において「良好(0/10)」と表示)。これに対し、比較例5の容器については、10個中2個にヒビ割れが発見された(表1において「不良(2/10)」と表示)。
実施例1及び2の積層シートは、比較例1〜5のシートに比べて、優れた耐熱性(80℃でのヒートサグ値)及び耐寒衝撃性(−18℃でのパンクチャー衝撃強度値)を示した。特に、実施例1及び2の積層シートは、スキン層にPETGを採用した比較例2〜4に比べて顕著に優れた耐熱性及び耐寒衝撃性を示した。また、実施例1及び2と比較例1との対比から、スキン層にECOZ(エコゼンBS400)を採用した場合でも、ある程度スキン層に厚みがないと、耐寒衝撃性を向上させられないことが判明した。この点に関しては、実施例2(スキン層の厚さ40μm)と比較例1(スキン層の厚さ20μm)との比較から、スキン層にECOZを採用した場合において−18℃でのパンクチャー衝撃値として2.2J以上を確保するためには、スキン層の厚さが少なくとも30μm程度必要になるものと思われる。
Claims (1)
- 耐熱性のみならず耐寒衝撃性にも優れた冷凍輸送用包装用容器であって、
容器の壁部に用いられている積層シートが、表裏両面を有するコア層と、該コア層の両面又は片面に設けられた30μm以上の厚さのスキン層とを有してなり、
前記コア層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂を主成分として構成されると共に、前記スキン層が、前記コア層を構成するPET系樹脂とは異なる変性PET樹脂を主成分として構成されており、
前記変性PET樹脂は、酸成分としてのテレフタル酸と、ジオール成分との共重合ポリマーであり、前記ジオール成分は、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、イソソルビド、及び、エチレングリコール、の三成分からなり、
100モル%の前記テレフタル酸に対応する100モル%の前記ジオール成分は、
1)46モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、
2)31モル%のイソソルビド、及び、
3)23モル%のエチレングリコール、
からなり、
前記積層シートが、冷凍輸送の場面でも容器のヒビ割れを防止できるような耐寒衝撃強度を確保すべく、JIS K7211−1に準拠したパンクチャー衝撃試験において、試験片を−18℃に保冷した状態でのパンクチャー衝撃強度値が2.2J以上である、
ことを特徴とする冷凍輸送用包装用容器。
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