JP2019107848A - ポリオレフィン系樹脂積層フィルムおよび医療用包装体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂積層フィルムおよび医療用包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐寒性と耐熱性、さらには透明性に優れた、ポリプロピレン系樹脂積層フィルムを生産性良く提供する。【解決手段】少なくとも表層、中間層、裏層の3層を有する積層フィルムであって、下記要件を満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。(1)前記表層及び前記裏層はいずれもポリプロピレン系エラストマーを主成分として成る。(2)前記中間層が、ポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレンとを含んでなり、該中間層に占めるポリプロピレン系エラストマーの質量割合が60%以上80%以下である。(3)該中間層の厚さが、前記表層と前記裏層の厚さの合計に対して2倍以上10倍以下である。(4)前記メタロセン系線状ポリエチレンの密度が0.87g/cc以上0.93g/cc以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂積層フィルムおよび医療用包装体に関する。
医療分野で輸血に使用される血液は、通常供血者の献血により得られた血液を、各成分に分離して保存後、輸血に使用される。例えば、全血を採血バッグに入れて遠心分離器にかけ、低密度(低比重)成分と高密度(高比重)の赤血球成分とに分離し、採血バッグを加圧することにより上澄み成分である血漿を、チューブを介して血液バッグに移送されるとともに、分画された各成分は、血漿製剤と赤血球製剤として利用される。ここで、血漿の採取に使用される血液バッグは、予め高温滅菌処理されている。
血液バッグに分画採取された血漿製剤は、凍結保存され、使用時には恒温槽や融解装置を用いて融解させた後に使用される。
このようなことから、血液バッグには凍結処理温度に耐え得る低温耐衝撃性と、内容物を入れずに高温滅菌した際の耐ブロッキング性、耐熱性、衛生性が要求される。また血液バッグは、通常、所定の形状に切断した枚葉形態のフィルム同士の周縁部を熱融着して袋状に成型することにより製袋されるため、製袋時に内側となる層には、製袋のためのヒートシール性も必要となる。
従来、血液バッグを構成する材料としては、柔軟性、血液保存性に優れる為に一般的には軟質塩化ビニル樹脂組成物が用いられている(非特許文献1)。しかし、低温衝撃性に乏しく、低温下での慢性的な割れが問題となっており、さらに、可塑剤の溶出や廃棄燃焼時の塩化水素・ダイオキシンの発生などの問題もある為、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂組成物を使用するものが望まれている。
しかし、ポリエチレン系樹脂組成物を主として使用したものは柔軟性、耐寒性に優れるが、耐熱性や透明性に乏しく(特許文献1)、これら特性の向上には電子線架橋が必要となり装置の維持に多大なエネルギーとコストを要するという問題がある(特許文献2)。
他方、ポリプロピレン系樹脂を主として使用したものは耐熱性に優れるが、柔軟性、耐寒性に乏しいという問題がある(特許文献3)。
特開2002−136572号公報 特開2001−029432号公報 特開平09−085913号公報
Journal of the Japan Society of Blood Transfusion 26(5):301−360,1980
本発明が解決しようとする課題は、耐寒性と耐熱性、さらには透明性に優れた、ポリプロピレン系樹脂積層フィルムを生産性良く得る事にある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のポリプロピレン系樹脂組成物を含む、少なくとも表層、中間層、裏層の3層を有する積層フィルムであって、そのうちの中間層にメタロセン系線状ポリエチレンを一定量含有せしめることでかかる課題を解決することに着目し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
本願は、第1の実施形態として、少なくとも表層、中間層、裏層の3層を有する積層フィルムであって、下記要件を満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルムを開示する。
(1)前記表層及び前記裏層はいずれもポリプロピレン系エラストマーを主成分として成る。
(2)前記中間層が、ポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレンとを含んでなり、該中間層に占めるポリプロピレン系エラストマーの質量割合が60%以上80%以下である。
(3)該中間層の厚さが、前記表層と前記裏層の厚さの合計に対して2倍以上10倍以下である。
(4)前記メタロセン系線状ポリエチレンの密度が0.87g/cc以上0.93g/cc以下である。
上記要件(1)において、「主成分」とは、表層または裏層全体を基準(100質量%)として、ポリプロピレン系エラストマーを少なくとも50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上含むことを意味する。
第1の実施形態において、前記メタロセン系線状ポリエチレンの密度は0.88g/cc以上0.92g/cc以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、前記ポリプロピレン系エラストマーに含まれるゴム成分のドメイン径は0.005μm以上1μm以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、前記積層フィルムの脆化温度は−60℃以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、前記積層フィルムの内部ヘーズは7%以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、2気圧、121℃、20分間、飽和水蒸気によりオートクレーブ滅菌された後の前記積層フィルムの内部ヘーズが7%以下であることが好ましい。
本発明は、第2の実施形態として、第1の実施形態のポリオレフィン系樹脂積層フィルムを用いた医療用包装体を開示する。
本発明の積層フィルムにより、良好な耐寒性、良好な耐熱性、および、良好な透明性を有する血液バッグや薬液バッグなどの医療用具を生産性良く製造することができる。
本発明の一実施形態であるポリオレフィン系樹脂積層フィルムを用いて作製したバックの形状および寸法を示す図面である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
<ポリオレフィン系樹脂積層フィルム>
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、少なくとも表層、中間層、裏層の3層を有する積層フィルムであることが重要である。3層以上であれば中間層の柔軟性と、表裏層の耐熱性の両方を具備することができる為、好ましい。また、層間密着性やさらなる機能性賦与の観点から4層以上の構成にしても良い。上限については特に制限は無いが、生産設備が複雑になり生産性が悪化する可能性がある為、20層以下が好ましい。
(表裏層)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、表裏層のいずれもがポリプロピレン系エラストマーを主成分としてなる。表裏層のいずれもがポリプロピレン系エラストマーを主成分としてなることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムに良好な耐熱性を賦与することができる。
表裏層には、ポリプロピレン系エラストマー以外に本発明の主旨を逸脱しない範囲で必要に応じて滑剤、防曇剤、酸化防止剤、安定剤、アンチブロッキング剤などの添加剤が添加されていても良い。
表裏層の厚さは、それぞれ10μm以上200μm以下が好ましく20μm以上150μm以下がより好ましく、30μm以上100μm以下であることが更に好ましい。表裏層が10μm以上であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性を向上するという効果がある。一方で200μm以下であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐寒性が向上するという効果がある。また、表裏層の厚さは本発明の主旨を逸脱しない範囲で対称であっても非対称であっても良いが、フィルムのカールを防止する観点で表裏対称であることが好ましい。
なお、表裏層の厚さは、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの任意の複数箇所をSEMによる断面観察により測定し相加平均することにより算出できる。
・ポリプロピレン系エラストマー
ポリプロピレン系エラストマーとしては、ポリプロピレン系樹脂とゴム成分とを含んでなる軟質樹脂組成物であり、ポリプロピレン系樹脂とゴム成分とが別々のものでも、共重合されていても良い。ポリプロピレン系エラストマーは、製造法によってリアクター型、 単純ブレンド型、動的架橋型などに分類されるが、分散しているゴム成分のドメイン径が小さく透明性が高いという点でリアクター型が好ましい。このようなリアクター型ポリプロピレン系エラストマーとしては、「ゼラス(三菱ケミカル社製)」、「キャタロイ(サンアロマー社製)」「ウェルネクス(日本ポリプロ社製)」などが市販品として入手することができる。
ポリプロピレン系エラストマーは、密度が0.87g/cc以上0.93g/cc以下が好ましく、0.875g/cc以上0.925g/cc以下がより好ましく、0.88g/cc以上0.92g/cc以下であることがより好ましい。0.87g/cc以上であることで本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性が賦与される一方で、0.93g/cc以下であることで本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの透明性・耐衝撃性が賦与される効果がある。
ポリプロピレン系エラストマーのゴム成分のドメイン径は、0.005μm以上1μm以下が好ましく、0.01μm以上0.5μm以下がより好ましく、0.02μm以上0.4μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上0.3μm以下が特に好ましい。ゴム成分のドメイン径が0.005μm以上であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性が向上する効果がある。一方で1μm以下であることで本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの透明性を向上するという効果がある。なお、ゴム成分のドメイン径はSEMによる断面像を画像解析し、無作為に100のドメインに対し、長径とそれに直交する短径とを算出し、相加平均することにより測定することができる。
(中間層)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、中間層に、ポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレンとを含んでなることが重要である。中間層に前述の2成分を含むことで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムに良好な耐寒性と透明性が賦与される。
該中間層中の質量割合としては、ポリプロピレン系エラストマーについては、60%以上80%以下が好ましく、63%以上77%以下がより好ましく、65%以上75%以下が更に好ましい。ポリプロピレン系エラストマーが質量割合が、60%以上であることで耐熱性、表裏層との層間密着性が向上するという効果がある。80質量%以下であることで、積層フィルムの耐寒性が向上するという効果がある。一方、メタロセン系線状ポリエチレンについては、20%以上40%以下が好ましく、23%以上37%以下がより好ましく、25%以上35%以下が更に好ましい。メタロセン系線状ポリエチレンが20%以上であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐寒性が向上するという効果がある。40%以下であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性が向上するという効果がある。
中間層にはポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレン以外に、本発明の主旨を逸脱しない範囲で必要に応じて滑剤、防曇剤、酸化防止剤、安定剤などの添加剤が添加されていても良い。
ポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレンとを含んでなる中間層は、最低限1層あれば良く、複数存在していても構わない。該層の厚さ(複数層ある場合は合計の厚さ)としては、50μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上800μm以下がより好ましく、150μm以上500μm以下が更に好ましい。該層が50μm以上であることで本発明の積層フィルムに耐寒性を賦与するという効果がある。1000μm以下であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムに耐熱性を賦与するという効果がある。中間層の厚さは、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの任意の複数個所をSEMによる断面観察により測定し相加平均することにより算出できる。
本発明において該中間層の厚さが、表裏層の合計の厚さの2倍以上10倍以下であることが重要である。該層の厚さが、表裏層の合計の厚さの2倍以上であることで本発明の積層フィルムに耐寒性を賦与するという効果がある。一方で10倍以下であることで本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性を賦与するという効果がある。3倍以上8倍以下がより好ましく、4倍以上6倍以下が更に好ましい。
・ポリプロピレン系エラストマー
中間層に含まれるポリプロピレン系エラストマーは、上記した表裏層に含まれるものと同様である。
・メタロセン系線状ポリエチレン
メタロセン系線状ポリエチレンとしては、メタロセン系触媒を用いてエチレンと少量のα−オレフィン等を共重合することにより得られるものであり、「ニポロン−Z(東ソー社製)」、「ユメリット(宇部丸善ポリエチレン社製)」「エボリュー(プライムポリマー社製)」、「スミカセンE(住友化学社製)」、「エクセレンGMH(住友化学社製)」、「エクセレンFX(住友化学社製)」、「ノバテックLL(日本ポリエチレン社製)」、「ハーモレックス(日本ポリエチレン社製)」、「カーネル(日本ポリエチレン社製)」などが市販品として入手可能である。
メタロセン系線状ポリエチレンとしては、密度が0.87g/cc以上0.93g/cc以下であることが好ましく、0.88g/cc以上0.92g/ccがより好ましく、0.89g/cc以上0.91g/cc以下であることが更に好ましい。0.87g/cc以上であることで本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐熱性が賦与される一方で、0.93g/cc以下であることで、本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの透明性が賦与されるという効果がある。
(その他の層)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で前述の3層以外に、更なる層を積層していても良い。更なる層の例としては、層間強度を向上する為の接着層、フィルムの透過性を阻害する為のバリア層、フィルムの視認性を向上する為の着色層などが挙げられる。更なる層は、表裏層以外の層であれば、どの順番で積層していても構わない。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JIS K 6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
(透明性)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの透明性は、内部ヘーズを測定することにより定量化できる。内部ヘーズは後述の方法により測定される。本発明の積層フィルムの内部ヘーズは、7%以下が好ましく、6%以下が更に好ましく、5%以下が更に好ましい。上限としては特に制限は無いが0%以上が好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、オートクレーブ滅菌処理後も白化しにくく透明性を維持していることが特徴である。滅菌処理については2気圧、121℃、20分間、飽和水蒸気により実施され、内部ヘーズは後述の方法により測定される。本発明の積層フィルムの滅菌処理後の内部ヘーズは、7%以下が好ましく、6%以下が更に好ましく、5%以下が更に好ましい。上限としては特に制限は無いが0%以上が好ましい。
(熱収縮率)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、121℃における熱収縮率が1%以下であることが好ましく、0.8%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましい。該熱収縮率が1%以下であることで、医療用具として加工する際の加工不良を低減できるという効果がある。一方で下限としては特に制限は無いが0%以上が好ましい。
(耐寒性)
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの耐寒性は、脆化温度を測定することにより定量化できる。脆化温度は後述の方法により測定される。本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの脆化温度は、−50℃以下が好ましく、−55℃以下が更に好ましく、−60℃以下が更に好ましい。脆化温度が−50℃以下であることで医療用具として冷凍保存した際の破損を低減するという効果がある。上限としては特に制限は無いが−200℃以上が好ましい。
<ポリオレフィン系樹脂積層フィルムの製造方法>
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、Tダイ法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法、ラミネーション法などの製法により製造することができる。これらの中でも衛生性の観点でTダイ法や水冷インフレーション法が好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムの製造において、押出成形における押出加工温度は樹脂組成物の流動特性や成形性等によって適宜調整されるが、概ね180〜300℃が好ましく、190〜250℃がより好ましく、200〜220℃が更に好ましい。180℃以上の場合、溶融樹脂の粘度が十分に低く成形性に優れ生産性が向上することから好ましい。一方、300℃以下にすることにより、樹脂組成物の劣化、ひいては得られる積層フィルムの機械的強度の低下を抑制できる。
ポリオレフィン系樹脂積層フィルム全体の厚みは、150μm〜500μmが好ましく、200μm〜400μmがより好ましい。150μm以上とすることで医療用包装体として求められる強度、バリア性が確保しやすく、500μm以下とすることでハンドリングしやすい柔軟性が確保でき、また包材コスト的にも安価となる。
<医療用包装体>
上記したポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、例えば、所定の形状に裁断した後、フィルム周辺部をヒートシールして、図1に示す様なバッグ状に加工し、血液バッグ、血小板保存バッグ、輸液(薬液)バッグ、人工透析用バッグ、医療用チューブ等の医療用具として用いることができる。中でも、医療用包装体、例えば、凍結処理、滅菌処理が施される血液バック(血漿バック)、または、薬液バックなどに好適に使用できる。また、本発明のフィルムは、フィルム同士のブロッキングが抑制されているので、長期保管性のある医療用包装体を提供できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
先ずは、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(1)フィルム全体の厚さ
1/1000mmのダイアルゲージにて、不特定に5箇所測定し、その相加平均値をポリオレフィン系樹脂積層フィルムの厚さとした。
(2)表裏層の厚さ
作製したポリオレフィン系樹脂積層フィルムにおいて、その断面SEMを測定することで、表層・裏層のそれぞれの厚さを測定した。具体的には、任意の5個所をSEMによる断面観察により測定し相加平均することにより算出した。なお、本実施例では便宜上、キャスト面側の表裏層を裏層、非キャスト面側の表裏層を表層とした。
(3)中間層の厚さ
作製したポリオレフィン系樹脂積層フィルムにおいて、その断面SEMを測定することで、中間層の厚さを測定した。具体的には、任意の5箇所をSEMによる断面観察により測定し相加平均することにより算出した。
(4)耐熱性
作製したフィルムを50mm×100mmの大きさに切り出し、正方20mmピッチの金網の上に乗せ、121℃の熱処理オーブンで1時間熱処理を行なった後、フィルム外観を下記の基準で評価し、耐熱性を評価した。
○:フィルムに外観上の変化がない
△:金網のピッチに沿ってフィルムに変形痕が残る。
×:フィルムが明らかに形状を維持していない。
(5)透明性
作製したフィルムにおいて、滅菌処理前後の内部ヘーズを測定することで、透明性を評価した。内部ヘーズの測定はヘーズメーターを用い、JIS K 7105に基づき実施した。
なお、滅菌処理については2気圧、121℃、20分間、飽和水蒸気により実施した。
透明性の評価は下記の基準で評価した。
○:フィルムにヘーズが5%以下である。
△:フィルムのヘーズが5%よりも大きく7%以下である。
×:フィルムのヘーズが7%を超える。
(6)耐寒性
作製したフィルムの耐寒性を下記の基準で評価した。
なお、脆化温度はJIS K 7216に準拠して測定した。
○:フィルムの脆化温度が−60℃以下である。
△:フィルムの脆化温度が−60℃を超え、−50℃以下である。
×:フィルムの脆化温度が−50℃を超える。
(7)低温落下試験
作製したフィルムを図1に示すバッグ状(開口部を除いてヒートシールされている。斜線部分が幅5mmのヒートシール部である。)に加工し、内部に350ccの水を入れ、その後2日間−30℃で冷凍保管した。その後、バッグを立てた状態でコンクリート平面に対し垂直に落下させる試験を行なった。初期の落下高さは5cmとし、破壊が認められなかった時点で5cmずつ落下高さを段階的に上げ、最終的に破壊した落下高さを記録した。試験は各材料に対し2回ずつ行ない、その相加平均を求めた。
(8)捲回性
作製したフィルムを直径3インチのプラスチック製コアに巻取り、その捲回性を以下基準で判断した。
○:フィルム同士が癒着せず、容易に巻き解くことができる。
×:フィルム同士が癒着して、容易に巻き解くことができない。あるいは巻き解けたとしてもフィルムに変形が残る。
<実施例1>
層構造がA/B/Aとなる2種3層構造のTダイに2台の三菱重工株式会社製の32mm単軸押出機を接続し(それぞれA押出機、B押出機と呼ぶ)、A押出機には、ポリプロピレン系エラストマー(PP系エラストマー)「ゼラス MC717R4(三菱ケミカル社製)」(ゴム成分のドメイン径:0.1μm、密度:0.890g/cc)を投入し、B押出機にはポリプロピレン系エラストマー「ゼラス MC717R4(三菱ケミカル社製)」とメタロセン系線状ポリエチレン(メタロセンLL)「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」(密度:0.898g/cc)とを質量比7:3で投入し、両押出機の吐出比をA:B=1:5とし、200℃で押出し、40℃の冷却ロールにより急冷し巻き取ることにより、2種3層構造の、幅400mm、厚さ300μmの膜状物を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
B押出機にポリプロピレン系エラストマー「ゼラス MC717R4(三菱ケミカル社製)」とメタロセン系線状ポリエチレン「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」(密度:0.898g/cc)とを質量比5:5で混合したものを押出したこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
B押出機にポリプロピレン系エラストマー「ゼラス MC717R4(三菱ケミカル社製)」とメタロセン系線状ポリエチレン「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」(密度:0.898g/cc)とを質量比9:1で混合したものを押出したこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
メタロセン系線状ポリエチレン「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」(密度:0.898g/cc)を「ユメリット 4540F(宇部丸善ポリエチレン社製)」(密度:0.944g/cc)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
メタロセン系線状ポリエチレン「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」(密度:0.898g/cc)を高圧法超低密度ポリエチレン(VLDPE)「エクセレンVL VL200(住友化学社製)」(密度:0.900g/cc)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例5>
A押出機を使用せず、B押出機のみを使用したこと以外は、実施例1と同様にして単層構造の、幅400mm、厚さ300μmの膜状物を採取した。評価結果を表1に示す。
<比較例6>
A・B両押出機の吐出比をA:B=2:1としたこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を採取した。評価結果を表1に示す。
<比較例7>
A押出機に投入する原料をメタロセン系線状ポリエチレン「カーネル KM262(日本ポリエチレン社製)」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして膜状物を採取した。評価結果を表1に示す。
<比較例8>
市販の軟質ポリ塩化ビニル製血液バッグを評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2019107848
実施例1では、優れた耐寒性、耐熱性および透明性を有する医療用フィルムが得られた。
一方で、比較例1では、中間層に含まれるメタロセン系線状ポリエチレンの含有量が多すぎた為、耐熱性が十分ではなかった。比較例2では、中間層に含まれるメタロセン系線状ポリエチレンの含有量が少なすぎた為、耐寒性が十分ではなかった。比較例3では、メタロセン系線状ポリエチレンの密度が高すぎた為、透明性が十分でなかった。比較例4では高圧法ポリエチレンを使用した為、相溶性が悪く透明性が十分でなかった。比較例5では、表裏層が無いため耐熱性が不十分であった。比較例6では、中間層の割合が少なすぎる為、耐寒性が十分ではなかった。比較例7では、表裏層がポリエチレンであった為、捲回性が悪くブロッキングが生じた。比較例8では、ポリ塩化ビニル製である為、耐寒性が十分でなかった。
本発明のポリオレフィン系樹脂積層フィルムは、血液バッグ、血小板保存バッグ、輸液(薬液)バッグ、人工透析用バッグ、医療用チューブ等の医療用具を形成するために好適に使用することができる。中でも、医療用包装体、例えば、凍結処理、滅菌処理が施される血液バック(血漿バック)、または、薬液バックなどを形成するために好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 少なくとも表層、中間層、裏層の3層を有する積層フィルムであって、下記要件を満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
    (1)前記表層及び前記裏層はいずれもポリプロピレン系エラストマーを主成分として成る。
    (2)前記中間層が、ポリプロピレン系エラストマーとメタロセン系線状ポリエチレンとを含んでなり、該中間層に占めるポリプロピレン系エラストマーの質量割合が60%以上80%以下である。
    (3)該中間層の厚さが、前記表層と前記裏層の厚さの合計に対して2倍以上10倍以下である。
    (4)前記メタロセン系線状ポリエチレンの密度が0.87g/cc以上0.93g/cc以下である。
  2. 前記メタロセン系線状ポリエチレンの密度が0.88g/cc以上0.92g/cc以下である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  3. 前記ポリプロピレン系エラストマーに含まれるゴム成分のドメイン径が0.005μm以上1μm以下である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  4. 前記積層フィルムの脆化温度が−60℃以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  5. 前記積層フィルムの内部ヘーズが7%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  6. 2気圧、121℃、20分間、飽和水蒸気によりオートクレーブ滅菌された後の、前記積層フィルムの内部ヘーズが7%以下である、請求項1〜5いずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂積層フィルムを用いた医療用包装体。
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