JP2019018435A - ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム及びフィルム積層体並びに袋状物 - Google Patents

ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム及びフィルム積層体並びに袋状物 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール性と引裂き時のカット性の良さを具備し、外観の良さも実現するポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムと同フィルムを使用したフィルム積層体、袋状物を提供する。【解決手段】基材層部10と、シーラント層部20を備え縦一軸方向の延伸倍率を3〜10倍としたポリプロピレン系フィルムであり、基材層部はポリプロピレン系樹脂(A)を含有し、シーラント層部は、ポリプロピレン系樹脂(B)を2〜70重量%と、オレフィン系エラストマー(C)を98〜30重量%とする組成であり、オレフィン系エラストマー(C)は、密度を0.860〜0.895g/cm3とし、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)を0.5〜10g/10minとし、エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体である。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム及びフィルム積層体並びに袋状物に関し、特にヒートシール性とカット性の良さを併せ持つポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムであり、当該フィルムを備えたフィルム積層体、さらにはこれらを用いた袋状物に関する。
現在、食品をはじめとする各種の物品の包装には、自動包装機によりフィルムと物品が同時に供給され、充填、包装、封止は連続して行われる。このような包装用フィルムに要求される性能の一つに包装物を構成するフィルムの開け易さ(易カット性)があり、易カット性を付与した延伸フィルムが着目されている。この場合、フィルムの供給、加工、さらには流通に耐えうる十分な強度が必要であることが前提であるとともに、良好なヒートシール性も求められる。
具体的に、ヒートシール性が付与されたポリプロピレン系二軸延伸フィルムとして、結晶性ポリプロピレン層と少なくともその片面上にエチレン−プロピレンランダム共重合体とエチレン−1−ブテンランダム共重合体からなる層を積層してなるポリプロピレン二軸延伸フィルムが提案されている(特許文献1等参照)。また、実質的に横一軸延伸されたポリマーからなるヒートシール性フィルム層とそれを構成するポリマーよりも高融点のポリプロピレン系重合体からなる実質的に横一軸延伸されたベース層からなる横方向引裂性積層フィルムが提案されている(特許文献2等参照)。さらに、実質的に縦一軸延伸されたポリマーからなるヒートシール性フィルム層とそれを構成するポリマーよりも高融点のポリプロピレン系重合体からなる実質的に縦一軸延伸されたベース層からなる縦方向引裂性積層フィルムが提案されている(特許文献3等参照)。
二軸延伸フィルム及び横一軸延伸フィルムの場合、テンター内において熱固定(ヒートセット)される。これに対し、縦一軸延伸フィルムの場合、加熱ロール間に供給されて熱固定される。易カット性を延伸フィルムに求めようとすると、縦一軸延伸フィルムの製法が適する。
そこで、加熱ロールの熱セット温度を上げることによりヒートシール開始温度を下げることは可能である。しかしながら、加熱ロールとの接触時に剥離痕がフィルム表面に付きやすくなる。結果、フィルムの外観が悪くなる問題を内包していた。このことから、ヒートシール性と引裂き時のカット性の良さが備えられるとともに、出来上がるフィルムの外観の良さも満足できる縦一軸延伸フィルムが求められるに至った。
特開昭52−94381号公報 特開昭63−132051号公報 特開昭63−132050号公報
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、縦一軸延伸の製法を採用するポリプロピレン系フィルムにおいて、当該フィルムを組成する樹脂原料及びその配合を改良することにより、ヒートシール性と引裂き時のカット性の良さを具備し、同時にフィルムの外観の良さも実現するポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムを提供し、併せて当該フィルムを使用したフィルム積層体、さらにはこれらによる袋状物を提供する。
すなわち、第1の発明は、基材層部と、前記基材層部の第1面部側にシーラント層部を備え縦一軸方向の延伸倍率を3〜10倍としたポリプロピレン系フィルムであって、前記基材層部は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上を基材層ポリプロピレン系樹脂(A)として含有し、前記シーラント層部は、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)を2〜70重量%と、オレフィン系エラストマー(C)を98〜30重量%とする組成であり、前記シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体のいずれかもしくは両方であり、前記オレフィン系エラストマー(C)は、(c1):密度を0.860〜0.895g/cm3とし、(c2):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)を0.5〜10g/10minとし、かつ、(c3):エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体である、ことを特徴とするポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第2の発明は、前記オレフィン系エラストマー(C)がプロピレン系エラストマーである第1の発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第3の発明は、前記基材層部における樹脂組成が、前記基材層ポリプロピレン系樹脂(A)を55〜98重量%とし、高密度ポリエチレン(D)または直鎖状低密度ポリエチレン(E)のいずれかもしくは両方を45〜2重量%とする第1または2の発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第4の発明は、前記ポリプロピレン系フィルムの前記シーラント層部同士をヒートシールする際のヒートシール開始温度が140℃以下である第1ないし3のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第5の発明は、JIS K 7128−1(1998)に準拠した前記ポリプロピレン系フィルムのトラウザー引裂強度が0.5N以下である第1ないし4のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第6の発明は、前記基材層部の前記第1面部側と反対となる第2面部側に表面樹脂層部がさらに備えられる第1ないし5のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに係る。
第7の発明は、前記基材層部の前記第1面部側と反対となる第2面部側に被積層フィルム部が積層される第1ないし5のいずれかの発明に記載のフィルム積層体に係る。
第8の発明は、前記表面樹脂層部の外側に被積層フィルム部が積層される第6の発明に記載のフィルム積層体に係る。
第9の発明は、第1ないし6のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムのシーラント層部同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物に係る。
第10の発明は、第7または8の発明に記載のフィルム積層体のシーラント層部同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物に係る。
第1の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、基材層部と、前記基材層部の第1面部側にシーラント層部を備え縦一軸方向の延伸倍率を3〜10倍としたポリプロピレン系フィルムであって、前記基材層部は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上を基材層ポリプロピレン系樹脂(A)として含有し、前記シーラント層部は、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)を2〜70重量%と、オレフィン系エラストマー(C)を98〜30重量%とする組成であり、前記シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体のいずれかもしくは両方であり、前記オレフィン系エラストマー(C)は、(c1):密度を0.860〜0.895g/cm3とし、(c2):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)を0.5〜10g/10minとし、かつ、(c3):エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体であるため、ヒートシール性と引裂き時のカット性の良さを具備し、同時にフィルムの外観の良さも実現できる。
第2の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、第1の発明において、前記オレフィン系エラストマー(C)がプロピレン系エラストマーであるため、基材層部との相溶性が良くなる。
第3の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、第1または2の発明において、前記基材層部における樹脂組成が、前記基材層ポリプロピレン系樹脂(A)を55〜98重量%とし、高密度ポリエチレン(D)または直鎖状低密度ポリエチレン(E)のいずれかもしくは両方を45〜2重量%とするため、フィルムの易カット性はより向上する。
第4の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、第1ないし3のいずれかの発明において、前記ポリプロピレン系フィルムの前記シーラント層部同士をヒートシールする際のヒートシール開始温度が140℃以下であるため、良好なヒートシール性を実現することができる。
第5の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、第1ないし4のいずれかの発明において、JIS K 7128−1(1998)に準拠した前記ポリプロピレン系フィルムのトラウザー引裂強度が0.5N以下であるため、無理なく引裂きが可能であり、包装資材としての利便性が高まる。
第6の発明に係るポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムによると、第1ないし5のいずれかの発明において、前記基材層部の前記第1面部側と反対となる第2面部側に表面樹脂層部がさらに備えられるため、需要に合わせた用途のフィルムに仕上げることができる。
第7の発明に係るフィルム積層体によると、第1ないし6のいずれかの発明において、前記基材層部の前記第1面部側と反対となる第2面部側に被積層フィルム部が積層されるため、強度確保、光線透過性の調整、ガスバリア性向上、印刷適性等の各種機能を付与できる。
第8の発明に係るフィルム積層体によると、第6の発明において、前記表面樹脂層部の外側に被積層フィルム部が積層されるため、強度確保、光線透過性の調整、ガスバリア性向上、印刷適性等の各種機能を付与できる。
第9の発明に係る袋状物によると、第1ないし6のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムのシーラント層部同士をヒートシールしてなるため、ヒートシール性の良さから加工は容易となり、易カット性に基づく開封しやすさも生じる。
第10の発明に係る袋状物によると、第7または8の発明に記載のフィルム積層体のシーラント層部同士をヒートシールしてなるため、ヒートシール性の良さから加工は容易となり、易カット性に基づく開封しやすさも生じ、袋状物としてより強度確保、光線透過性の調整、ガスバリア性向上、印刷適性等の各種機能が付与されやすくなる。
第1実施形態のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの概略断面模式図である。 第2実施形態のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの概略断面模式図である。 第1実施形態のフィルム積層体の概略断面模式図である。 第2実施形態のフィルム積層体の概略断面模式図である。 袋状物の全体斜視図である。 実施例2のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムより作製した袋状物の写真である。 実施例2−2のフィルム積層体より作製した袋状物の写真である。
図1はポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1の概略断面図を示す。ポリプロピレン系フィルム1の主体となる基材層部10と、基材層部10の第1面部11側にヒートシール可能なシーラント層部20が備えられた2層構造である。ポリプロピレン系フィルム1は、実質的に縦一軸方向に3ないし10倍の延伸により製膜される。符号12は、基材層部10の第2面部である。
第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1の製膜に際しては、各層に該当する原料樹脂が溶融され、Tダイ等から所定の厚さ割合とするべく吐出される。その後、延伸ロール等により縦一軸方向にロール間延伸される。従って、製膜は巻き取り方向(MD)への延伸である。基材層部10とシーラント層部20の厚さ割合は厳密ではなく、概ね1:1ないし15:1の範囲である。
基材層部10について、次より選択される基材層ポリプロピレン系樹脂(A)が主体である。基材層ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上を含有する。樹脂の選択は1種類としても、2種類以上の混合としても良い。基材層ポリプロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレン系フィルム1の強度確保において好適な広範なポリプロピレン系樹脂より選択可能である。
さらに、基材層部10の組成は、基材層ポリプロピレン系樹脂(A)に加えて高密度ポリエチレン(D)または直鎖状低密度ポリエチレン(E)のいずれかもしくは両方も添加して混合することができる。基材層部10の組成にポリエチレン系樹脂(DまたはE)が配合されることにより、基材層ポリプロピレン系樹脂(A)の単独配合よりもフィルムの易カット性が向上する。そこで、より好ましくは基材層部10の組成にポリエチレン系樹脂(DまたはE)が配合される。混合組成の場合の基材層部10の組成では、基材層ポリプロピレン系樹脂(A)は55ないし98重量%であり、前記のポリエチレン系樹脂(DまたはE)は45ないし2重量%を満たす範囲である。
基材層ポリプロピレン系樹脂(A)において、基材層ポリプロピレン系樹脂(A)が55重量%を下回る場合、相対的にポリエチレン系樹脂(DまたはE)が増加しフィルムの成形性が悪くなりやすい。また、基材層ポリプロピレン系樹脂(A)が98重量%を上回る場合、ポリエチレン系樹脂(DまたはE)は無配合と同等となり、ポリエチレン系樹脂(DまたはE)に起因する易カット性は付与されない。ポリエチレン系樹脂(DまたはE)の配合量についても逆の立場である。
シーラント層部20においては、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は2ないし70重量%であり、オレフィン系エラストマー(C)は98ないし30重量%とする範囲において混合された組成である。シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は、前記の基材層ポリプロピレン系樹脂(A)よりも樹脂種が限られ、プロピレン−エチレンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体のいずれかもしくは両方である。オレフィン系エラストマー(C)は、エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマー、ブテン系エラストマーであり、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)との相溶性を考慮すると、プロピレン系エラストマーがより好ましい。
シーラント層部20を構成する樹脂組成において、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)が2重量%を下回る場合、相対的に低融点成分であるオレフィン系エラストマー(C)が過大となり耐ブロッキング性が低下する。シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)が70重量%を上回る場合、同樹脂(B)は高融点成分であることからシーラント層部20の融点が高くなり低温ヒートシール性が劣る。オレフィン系エラストマー(C)も30重量%を下回る場合、相対的にシーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)が増加してヒートシール性が悪くなりやすい。また、オレフィン系エラストマー(C)が98重量%を上回ると耐ブロッキング性が低下する。これらの傾向から両樹脂は前記の範囲内の配合である。
さらに、オレフィン系エラストマー(C)については、次の(c1)、(c2)、及び(c3)の関係を充足する。1つ目の(c1)では、オレフィン系エラストマー(C)の密度は0.860ないし0.895g/cm3である。オレフィン系エラストマー(C)の密度が当該範囲を下回る場合、融点の低下からブロッキングが生じやすい。逆に、当該範囲を上回る密度のエラストマー樹脂では融点が高くなり、低温ヒートシール性が劣る。
2つ目の(c2)では、オレフィン系エラストマー(C)のメルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)は0.5ないし10g/10minの範囲である。当該範囲は製膜の都合から必要とされる範囲である。メルトフローレートが低下すると、外観不良や成形性の悪化につながる。また、高くなりすぎると、ブロッキングや成形性の悪化につながる。そこで、前記の範囲が好ましく、さらには、1ないし5g/10minの範囲がより好ましい。
3つ目の(c3)として、オレフィン系エラストマー(C)は、エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体である。オレフィン系エラストマー(C)のα−オレフィンにおけるモノマーの種類は、導入可能なアルケンに依存する。例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が導入され、複数の種類でも構わない。ここで、コモノマーの炭素数が2未満(つまり1)となる樹脂は存在しない。また、コモノマーの炭素数が9以上の樹脂の入手はほぼ困難である。そのため、現実的に入手可能であり適切な性能を勘案すると、コモノマーの炭素数の適当な範囲は2ないし8である。
基材層部10及びシーラント層部20の樹脂組成から把握されるように、ポリプロピレン系フィルム1を構成する両層の組成同士の相溶性は高く、基材層部10とシーラント層部20との層間強度も担保される。
ポリプロピレン系フィルム(ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム)1の基材層部10及びシーラント層部20には、前述の樹脂に加えて必要により、適宜の添加剤が添加される。例えば、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン等の脂肪族アミン化合物、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド等の脂肪族アミド化合物、多価アルコール等をはじめ各種の帯電防止剤が適度に添加されている。さらに、アンチブロッキング剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤が含有されてもよい。
ポリプロピレン系フィルム1の主用途は包装用の袋状物であることから、良好なヒートシール性が求められる。そこで、シーラント層部20同士をヒートシールする際のヒートシール開始温度は、140℃以下(140℃/3N(15mm幅)以下)である。概ね同値以下であれば、ヒートシールは容易と判断される。ヒートシール開始温度が140℃を上回る場合、より高温度の条件とする必要があり、生産性において支障を来たしやすい。ヒートシール開始温度は、JIS Z 1713(2009)に準拠しており、ヒートシールの条件について、その圧力を0.34MPa、加熱時間を1.0secの設定とし、引張速度を200mm/minとした(後記実施例参照)。
ポリプロピレン系フィルム1の特性は、一定方向の引裂き(易カット性)の良さである。当該引裂きの評価に際しては、JIS K 7128−1(1998)に準拠した測定におけるトラウザー引裂強度が利用される。そこで、ポリプロピレン系フィルム1のトラウザー引裂強度は、0.5N以下に規定される。同値0.5N以下であれば無理なく引裂きが可能であり、包装資材としての利便性が高まる。これに対し、同値0.5Nを上回る場合、引裂き抵抗が大きくなり易カット性が低下する。
次に、図2の概略断面図のとおり、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2が開示される。これまでの説明にあるポリプロピレン系フィルム1の基材層部10の第1面部11側と反対となる第2面部12側に表面樹脂層部30がさらに備えられた3層構造である。表面樹脂層部30を構成する樹脂は、基材層部10との相溶性が良好であるポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂より選択される。ポリプロピレン系樹脂の種類には特に限定は無く、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体等である。また、ポリエチレン系樹脂も基材層部10との相溶性に影響しない限り、高密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン等が選択される。
第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2のとおり、基材層部10に表面樹脂層部30が形成されているため、表面樹脂層部30側への印刷が容易となる。加えて、次述のさらに他種類のフィルムの積層も考慮される。よって、需要に合わせた用途のフィルムに仕上げることができる。表面樹脂層部30の樹脂には、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、着色剤等の添加剤が必要に応じて添加される。
図3の概略断面図は第1実施形態のフィルム積層体3を示す。フィルム積層体3では、ポリプロピレン系フィルム1の基材層部10の第1面部11側と反対となる第2面部12側に被積層フィルム部40が積層される。具体的には、フィルム積層体3は、第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1と被積層フィルム部40との積層構造である。積層の方法は限定されず、ドライラミネート、押出しラミネート、またはホットメルトラミネート等の公知の方法が目的に応じて採用される。被積層フィルム部40には、一般的な樹脂種のフィルムが使用される。例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたはポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、加えて、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着を施したフィルム等が挙げられる。図3及び4の符号45はラミネート接着剤である。
図4の概略断面図は第2実施形態のフィルム積層体4を示す。フィルム積層体4では、表面樹脂層部30のさらに外側に被積層フィルム部40が積層される。具体的には、第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2の表面樹脂層部30に被積層フィルム部40が積層される。第2実施形態のフィルム積層体4においても、積層の方法及び被積層フィルム部40の種類は限定されず、フィルム積層体3の場合と同様である。むろん、被積層フィルム部40自体も単層または複層を問わない。
フィルム積層体3及び4に示すように、被積層フィルム部40のとおり別種のフィルムの組み合わせが可能である。このため、第1,2実施形態のポリプロピレン系フィルム1,2の強度確保、光線透過性の調整、ガスバリア性向上、印刷適性等の各種機能が付与される。従って、使用目的、耐久性、使用条件等を勘案したフィルムとすることができる。しかも、中心となるポリプロピレン系フィルム1,2のヒートシール性と引裂き時のカット性の良さは積層体にも引き継がれるため、包装用途の使い勝手は良い。
これまでに説明した第1,2実施形態のポリプロピレン系フィルム1,2及び第3,4実施形態のフィルム積層体3,4については、包装用途が主な用途である。ポリプロピレン系フィルム1,2及び第3,4実施形態のフィルム積層体3,4のそれぞれに配されるシーラント層部20同士がヒートシールされる。そこで、図5の全体斜視図に示すような袋状物50が形成される。図示は三方シールと称される形態である。他に、四方シール(図示せず)等である。図中の符号51,52,53は三方シールのヒートシール部位である。当該袋状物にあっては、ヒートシール性が良いため加工は容易となり、また、易カット性に基づく開封しやすさも生じる。
[ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの作製]
実施例1ないし10及び比較例1,2は、図1に開示の第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1に対応する例(2層構造)である。実施例11ないし14及び比較例3,4は、図2に開示の第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2に対応する例(3層構造)である。
実施例1ないし10及び比較例1,2については、基材層部及びシーラント層部の原料樹脂を後出の表1,2に示した各層の樹脂組成とその割合に基づき、原料となる樹脂を溶融、混練して共押出しTダイフィルム成形機を用いてシートを作製し、ロール間延伸機により巻き取り方向(MD)に縦一軸延伸して製膜した。
実施例11ないし14及び比較例3,4については、表面樹脂層部、基材層部、及びシーラント層部の原料樹脂を後出の表3に示した各層の樹脂組成とその割合に基づき、原料となる樹脂を溶融、混練して共押出しTダイフィルム成形機を用いてシートを作製し、ロール間延伸機により巻き取り方向(MD)に縦一軸延伸して製膜した。
実施例及び比較例の延伸倍率はロール間延伸機の調整により3倍ないし7倍とした。また、当該ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムにおける基材層部とシーラント層部の層厚さは表中の比率とした。
[使用原料]
基材層部、シーラント層部、及び表面樹脂層部には、各実施例及び比較例に対応して、次のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びオレフィン系エラストマーより選択して使用した。なお、メルトフローレートをMFRとして表記する(以下同様)。
〈ポリプロピレン系樹脂〉
(樹脂01) プロピレン単独重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ノバテックFY6」,MFR(230℃,2.16kg荷重)2.5g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂02) プロピレン−エチレンランダム共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ウィンテックWFW4」,MFR(230℃,2.16kg荷重)7.0g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂03) プロピレン−エチレンランダム共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ウィンテックWXK1233」,MFR(230℃,2.16kg荷重)7.0g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂04) プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体:株式会社プライムポリマー製,商品名「プライムポリプロF−794NV」,MFR(230℃,2.16kg荷重)5.8g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂05) プロピレン−エチレンブロック共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「BC5FA」,MFR(230℃,2.16kg荷重)3.5g/10min,密度0.900g/cm3
〈ポリエチレン系樹脂〉
(樹脂11) 直鎖状低密度ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KF380」,MFR(190℃,2.16kg荷重)4g/10min,密度0.918g/cm3
(樹脂12) 高密度ポリエチレン:京葉ポリエチレン株式会社製,商品名「M8500」,MFR(190℃,2.16kg荷重)5g/10min,密度0.962g/cm3
(樹脂13) 低密度ポリエチレン:宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「F222」,MFR(190℃,2.16kg荷重)2.0g/10min,密度0.922g/cm3
〈オレフィン系エラストマー〉
(樹脂21) エチレン系エラストマー: ダウ ケミカル社製,製品名「AFFINITY KC8852G」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.0g/10min,密度0.875g/cm3
(樹脂22) プロピレン系エラストマー: ダウ ケミカル社製,製品名「VERSIFY 3200」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.7/10min,密度0.876/cm3
(樹脂23) プロピレン系エラストマー: 三井化学株式会社製,製品名「タフマーXM−7070」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.0g/10min,密度0.884g/cm3
(樹脂24) ブテン系エラストマー: 三井化学株式会社製,製品名「タフマーBL2481M」,MFR(190℃,2.16kg荷重)4.0g/10min,密度0.885g/cm3
その他の配合成分として以下の原料も使用した。
アンチブロッキング剤として、粉末合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製,商品名「サイリシア550」)を使用した。なお、アンチブロッキング剤については、微量であるため表中に記していない。
[物性測定]
〈厚さと各層の厚さ比率〉
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの厚さは、JIS K 7130(1999)に準拠してそれぞれ測定した。全実施例及び全比較例はいずれも層の数にかかわらず全体で30μmとして共通とした。基材層部及びシーラント層部からなるポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム、または、基材層部、シーラント層部及び表面樹脂層部からなるポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムにおける層厚さはTダイからの吐出量により調整し、延伸後のフィルムを測定して得た厚さを設定割合により按分し比率(層比)を求めた。
〈ヒートシール開始温度〉
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムについて、JIS Z 1713(2009)に準拠してヒートシール開始温度を測定した。このとき、フィルムを50mm×250mm(フィルムの幅方向×長さ方向)の長方形の試験片(ヒートシール用)に裁断した。2枚の試験片のシーラント層部同士を重ね、株式会社東洋精機製作所製,熱傾斜試験機(ヒートシール試験機)を使用し、ヒートシール圧力を0.34MPa、ヒートシール時間を1.0secとした。そして、5℃ずつ温度を傾斜(昇温)する条件にてヒートシールした。ヒートシール後、試験片を15mm幅で切り出した。ヒートシールにより融着した試験片を180°に開き、株式会社島津製作所製,引張試験機(EZ−SX)のチャックに未シール部分を挟み、200mm/minの引張速度によりシール部分を剥離した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達した時点の温度を求めた。
ヒートシール開始温度の良否判断に際し、140℃以下を良の評価「A」とした。140℃超過を不良の評価「F」とした。
〈ヒートシール最大強度〉
前述のヒートシール開始温度の測定に際し作製した試験片について、ヒートシール圧力を0.34MPa、ヒートシール時間を1.0secとし、ヒートシール強度が3Nを超えた温度から5℃おきにヒートシール温度を上昇し、3Nを超えた時点のヒートシール温度から40℃高い温度まで順次ヒートシールした。そして、試験片を15mm幅で切り出し、ヒートシールされていない端部側を180°の対向位置に開き、JIS Z 0238(1998)の「袋のヒートシール強さ試験」に準拠し、200mm/minの引張速度によりシール部分を剥離してヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
ヒートシール最大強度の良否判断に際し、6N/15mm幅以上を優の評価「A」とした。3N/15mm以上、6N/15mm未満を良の評価「B」とした。3N/15mm未満は不良の評価「F」とした。
〈トラウザー引裂強度〉
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムについて、トラウザー引裂強度の測定はJIS K 7128−1(1998)に準拠した。製膜方向(MD)の引裂強度の測定に際し、各フィルムの製膜方向(MD)を長辺とし、幅方向(TD)を短辺とする150mm×50mmの長方形のMD用試験片に裁断した。短辺の中点から当該MD用試験片の長手方向に75mmの切れ込みを入れ、両方の片部分を互いに逆方向に引張し引裂き量が50mmに到達した時点の荷重(N)(MDの引裂強度)を計測した(単位:N)。トラウザー引裂強度の測定に株式会社島津製作所製,万能試験機オートグラフAG−1を使用した。
引裂強度の高低は易カット性の良否となる。そこで、引裂強度が0.5N以下を良の評価「A」とした。引裂強度が0.5N超過を不良の評価「F」とした。
表1ないし2は実施例1ないし10及び比較例1,2の第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1に対応する例(2層構造)の結果である。表中、上から順に、基材層部(10)の原料樹脂種類とその配合割合(重量%)、シーラント層部(20)の原料樹脂種類とその配合割合(重量%)、基材層部とシーラント層部の厚さの層比、延伸倍率、ヒートシール開始温度(℃)、ヒートシール最大強度(N/15mm)、トラウザー引裂強度(N)、ヒートシール開始温度の良否(2段階)、ヒートシール最大強度の良否(3段階)、引裂強度に基づく易カット性の良否(2段階)を示す。なお、表中のwt%は重量%を示す。
Figure 2019018435
Figure 2019018435
表3は実施例11ないし14及び比較例3,4の第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2に対応する例(3層構造)の結果である。表中、上から順に、表面樹脂層部(30)の原料樹脂種類とその配合割合(重量%)、基材層部(10)の原料樹脂種類とその配合割合(重量%)、シーラント層部(20)の原料樹脂種類とその配合割合(重量%)、表面樹脂層部、基材層部及びシーラント層部の厚さの層比、ヒートシール開始温度(℃)、ヒートシール最大強度(N/15mm)、トラウザー引裂強度(N)、ヒートシール開始温度の良否(2段階)、ヒートシール最大強度の良否(3段階)、引裂強度に基づく易カット性の良否(2段階)を示す。なお、表中のwt%は重量%を示す。
Figure 2019018435
[ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム作製の結果・考察]
全ての実施例について、「F」の評価は無く良好な性能を示した。また、フィルムの外観上の不良も見られず、良好な仕上がりであった。延伸倍率については、縦一軸方向に3ないし7倍の作製であった。当該条件は次述の物性性能を勘案すると好適な範囲である。そこで、フィルム作製における縦一軸方向の延伸倍率は3ないし10倍、より好ましくは3ないし7倍と導くことができる。
〈基材層部の樹脂組成とその割合〉
基材層部の樹脂組成割合に着目すると、実施例1ないし9を通じてポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体)の例は良好であった。また、基材層部に直鎖状低密度ポリエチレンを含む実施例10は引裂強度が低下して易カット性が向上した。実施例10と実施例11ないし14より、基材層部に含有されるポリエチレンの種類は直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンのいずれも可能である。ただし、比較例3より低密度ポリエチレンの配合は易カット性の点から不適合であった。
次に配合割合について、基材層部におけるポリエチレンの割合が50重量%まで増加した比較例4では、ロール間延伸時にローラへの貼り付きが多くなり製膜不能となった。そこで、実施例10と12の範囲から、基材層部に含有されるポリエチレンの割合は2ないし45重量%、より好ましくは5ないし40の範囲とすることができる。むろん、残りはポリプロピレン系樹脂である。
〈シーラント層部の樹脂組成とその割合〉
実施例を通じてオレフィン系エラストマーは、エチレン系、プロピレン系、及びブテン系のいずれの系統のエラストマーも使用できることを確認した。さらに、これらの中でもプロピレン系エラストマーは、ヒートシール強度の性能においてより優れていることも見出した。シーラント層部のポリプロピレン系樹脂は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体の使用を確認した。
次に、オレフィン系エラストマーの割合が25重量%の比較例2では、低温シール性が劣った。これに対し、30重量%までオレフィン系エラストマーの割合が増加した実施例6では、低温シール性が改善した。これと実施例8のオレフィン系エラストマーの割合を勘案して、シーラント層部におけるオレフィン系エラストマーの量は30ないし98重量%、より好ましくは、30ないし90重量%の範囲を導き出すことができる。むろん、残りはポリプロピレン系樹脂である。
シーラント層部に含有されるオレフィン系エラストマーに着目すると、樹脂21ないし樹脂24の密度は、0.875ないし0.885g/cm3の範囲であり、いずれの実施例も良好な結果を示した。そこで、好ましいオレフィン系エラストマーの密度は0.860ないし0.895g/cm3の範囲をすることができる。
樹脂21ないし樹脂24のメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)についても3.0ないし4.0g/10minの範囲であり、いずれの実施例も良好な結果を示した。そこで、妥当な範囲を勘案して0.5ないし10g/10minとした。
使用した樹脂21ないし樹脂24はエチレン系、プロピレン系、及びブテン系であることから、これらと炭素数2ないし8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体であることが裏付けられた。
〈表面樹脂層部〉
実施例11ないし14に開示の基材層部に表面樹脂層部が備えられた例についても特段の支障は無い。ゆえに、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムは2層または3層のいずれも形成可能である。
〈ヒートシール開始温度〉
比較例1,2のヒートシール開始温度は150℃を超過した。これに対し実施例13は140℃以下であった。そこで、ヒートシールの利便性を鑑みヒートシール開始温度の上限を140℃以下に規定した。
〈トラウザー引裂強度〉
ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの主目的は引裂き時のカット性の良さである。そこで、易カット性の評価としてトラウザー引裂強度の高低は意味を持つ。これについて、いずれの実施例も弱い力での引裂きが可能であった。そこで、実施例9等の数値を勘案してトラウザー引裂強度は0.5N以下と導き出すことができる。なお、比較例3は低密度ポリエチレンの配合であり、実施例13,14とポリエチレンの種類のみが相違した。
以上の結果から、実施例1ないし10の基材層部及びシーラント層部からなる2層構造、さらには、実施例11ないし14の表面樹脂層部、基材層部、及びシーラント層部の3層構造のいずれについても、前述の樹脂組成と配合を満たす限り良好なヒートシール性と引裂き性の良さを発揮するポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムとして作製することができた。従って、引裂き性の良い包装資材としての利便性は極めて高い。
[フィルム積層体の作製]
これまでの経緯からポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの性能を確認できた。次に当該ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに対してさらに別のフィルム(被積層フィルム)をドライラミネートにより積層してフィルム積層体を作製した。被積層フィルムには、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FOR」,厚さ20μm)を使用した。
フィルム同士を積層する接着剤(ドライラミネート接着剤)は、主剤(東洋モートン株式会社製,TM−329)を17.2重量%、硬化剤(同社製,CAT−8B)を17.2重量%、及び酢酸エチル65.6重量%を混合して調製した。二軸延伸ポリプロピレンフィルムに前記調製の接着剤(固形分)を塗布量4g/m2として塗工した。続いて、実施例2及び13のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの表面(シーラント層部ではない面側)を貼り合わせ80℃、30秒間乾燥し貼着を終えてフィルム積層体(実施例2−2及び実施例13−2)を得た。
[袋状物の作製]
ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの実施例2及び13を297×210mm(A4サイズの大きさ)に切り出して長辺の中央で半分に折り曲げて、シーラント層部同士を重ね合わせた。ヒートシールに際し、富士インパルス株式会社製,加熱温度コントロール電動シーラー(OPL−350−MD NP)を使用し、ヒートシール温度を110℃、加熱時間を1.0secとして3辺をシールして三方袋(袋状物)を作製した。
さらに、前記作製のフィルム積層体(実施例2−2及び実施例13−2)を297×210mm(A4サイズの大きさ)に切り出し、長辺の中央部分で半分に折り曲げ、シーラント層部同士を重ね合わせた。前記の加熱温度コントロール電動シーラーを使用してヒートシール温度を110℃、加熱時間を1.0secとして4辺をシールして四方袋(袋状物)を作製した。
図6の写真は実施例2のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムより作製した三方袋(袋状物)である。図7の写真は実施例2−2のフィルム積層体より作製した四方袋(袋状物)である。なお、ヒートシールによる製袋時に原料樹脂のビーズも封入した。この写真からわかるように、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムもフィルム積層体もいずれの形態であっても袋状物の作製が可能であった。従って、包装用をはじめとする各種フィルムへの応用が可能である。
本発明のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムは、その構成中の樹脂組成の改善によりヒートシール性と引裂き時のカット性の良さを具備することができ、包装資材等の用途により好適となる。加えて、本発明のフィルムはフィルム積層体、袋状物へも展開できるため、用途の幅が広がる。
1,2 ポリプロピレン系フィルム(ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム)
10 基材層部
11 基材層部の第1面
12 基材層部の第2面
20 シーラント層部
30 表面樹脂層部
40 被積層フィルム部
45 ラミネート接着剤
50 袋状物
51,52,53 ヒートシール部位

Claims (10)

  1. 基材層部(10)と、前記基材層部の第1面部側にシーラント層部(20)を備え縦一軸方向の延伸倍率を3〜10倍としたポリプロピレン系フィルム(1)であって、
    前記基材層部(10)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上を基材層ポリプロピレン系樹脂(A)として含有し、
    前記シーラント層部(20)は、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)を2〜70重量%と、オレフィン系エラストマー(C)を98〜30重量%とする組成であり、
    前記シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体のいずれかもしくは両方であり、
    前記オレフィン系エラストマー(C)は、
    (c1):密度を0.860〜0.895g/cm3とし、
    (c2):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)を0.5〜10g/10minとし、かつ、
    (c3):エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体である、
    ことを特徴とするポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  2. 前記オレフィン系エラストマー(C)がプロピレン系エラストマーである請求項1に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  3. 前記基材層部(10)における樹脂組成が、
    前記基材層ポリプロピレン系樹脂(A)を55〜98重量%とし、
    高密度ポリエチレン(D)または直鎖状低密度ポリエチレン(E)のいずれかもしくは両方を45〜2重量%とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  4. 前記ポリプロピレン系フィルム(1)の前記シーラント層部(20)同士をヒートシールする際のヒートシール開始温度が140℃以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  5. JIS K 7128−1(1998)に準拠した前記ポリプロピレン系フィルム(1)のトラウザー引裂強度が0.5N以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  6. 前記基材層部(10)の前記第1面部側と反対となる第2面部側に表面樹脂層部(30)がさらに備えられる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
  7. 前記基材層部(10)の前記第1面部側と反対となる第2面部側に被積層フィルム部(40)が積層される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
  8. 前記表面樹脂層部(30)の外側に被積層フィルム部(40)が積層される請求項6に記載のフィルム積層体。
  9. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムのシーラント層部(20)同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物。
  10. 請求項7または8に記載のフィルム積層体のシーラント層部(20)同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物。
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