JP2019018435A - ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム及びフィルム積層体並びに袋状物 - Google Patents
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Abstract
Description
実施例1ないし10及び比較例1,2は、図1に開示の第1実施形態のポリプロピレン系フィルム1に対応する例(2層構造)である。実施例11ないし14及び比較例3,4は、図2に開示の第2実施形態のポリプロピレン系フィルム2に対応する例(3層構造)である。
基材層部、シーラント層部、及び表面樹脂層部には、各実施例及び比較例に対応して、次のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びオレフィン系エラストマーより選択して使用した。なお、メルトフローレートをMFRとして表記する(以下同様)。
(樹脂01) プロピレン単独重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ノバテックFY6」,MFR(230℃,2.16kg荷重)2.5g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂02) プロピレン−エチレンランダム共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ウィンテックWFW4」,MFR(230℃,2.16kg荷重)7.0g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂03) プロピレン−エチレンランダム共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「ウィンテックWXK1233」,MFR(230℃,2.16kg荷重)7.0g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂04) プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体:株式会社プライムポリマー製,商品名「プライムポリプロF−794NV」,MFR(230℃,2.16kg荷重)5.8g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂05) プロピレン−エチレンブロック共重合体:日本ポリプロ株式会社製,商品名「BC5FA」,MFR(230℃,2.16kg荷重)3.5g/10min,密度0.900g/cm3
(樹脂11) 直鎖状低密度ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KF380」,MFR(190℃,2.16kg荷重)4g/10min,密度0.918g/cm3
(樹脂12) 高密度ポリエチレン:京葉ポリエチレン株式会社製,商品名「M8500」,MFR(190℃,2.16kg荷重)5g/10min,密度0.962g/cm3
(樹脂13) 低密度ポリエチレン:宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「F222」,MFR(190℃,2.16kg荷重)2.0g/10min,密度0.922g/cm3
(樹脂21) エチレン系エラストマー: ダウ ケミカル社製,製品名「AFFINITY KC8852G」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.0g/10min,密度0.875g/cm3
(樹脂22) プロピレン系エラストマー: ダウ ケミカル社製,製品名「VERSIFY 3200」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.7/10min,密度0.876/cm3
(樹脂23) プロピレン系エラストマー: 三井化学株式会社製,製品名「タフマーXM−7070」,MFR(190℃,2.16kg荷重)3.0g/10min,密度0.884g/cm3
(樹脂24) ブテン系エラストマー: 三井化学株式会社製,製品名「タフマーBL2481M」,MFR(190℃,2.16kg荷重)4.0g/10min,密度0.885g/cm3
アンチブロッキング剤として、粉末合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製,商品名「サイリシア550」)を使用した。なお、アンチブロッキング剤については、微量であるため表中に記していない。
〈厚さと各層の厚さ比率〉
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの厚さは、JIS K 7130(1999)に準拠してそれぞれ測定した。全実施例及び全比較例はいずれも層の数にかかわらず全体で30μmとして共通とした。基材層部及びシーラント層部からなるポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム、または、基材層部、シーラント層部及び表面樹脂層部からなるポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムにおける層厚さはTダイからの吐出量により調整し、延伸後のフィルムを測定して得た厚さを設定割合により按分し比率(層比)を求めた。
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムについて、JIS Z 1713(2009)に準拠してヒートシール開始温度を測定した。このとき、フィルムを50mm×250mm(フィルムの幅方向×長さ方向)の長方形の試験片(ヒートシール用)に裁断した。2枚の試験片のシーラント層部同士を重ね、株式会社東洋精機製作所製,熱傾斜試験機(ヒートシール試験機)を使用し、ヒートシール圧力を0.34MPa、ヒートシール時間を1.0secとした。そして、5℃ずつ温度を傾斜(昇温)する条件にてヒートシールした。ヒートシール後、試験片を15mm幅で切り出した。ヒートシールにより融着した試験片を180°に開き、株式会社島津製作所製,引張試験機(EZ−SX)のチャックに未シール部分を挟み、200mm/minの引張速度によりシール部分を剥離した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達した時点の温度を求めた。
前述のヒートシール開始温度の測定に際し作製した試験片について、ヒートシール圧力を0.34MPa、ヒートシール時間を1.0secとし、ヒートシール強度が3Nを超えた温度から5℃おきにヒートシール温度を上昇し、3Nを超えた時点のヒートシール温度から40℃高い温度まで順次ヒートシールした。そして、試験片を15mm幅で切り出し、ヒートシールされていない端部側を180°の対向位置に開き、JIS Z 0238(1998)の「袋のヒートシール強さ試験」に準拠し、200mm/minの引張速度によりシール部分を剥離してヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
実施例及び比較例のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムについて、トラウザー引裂強度の測定はJIS K 7128−1(1998)に準拠した。製膜方向(MD)の引裂強度の測定に際し、各フィルムの製膜方向(MD)を長辺とし、幅方向(TD)を短辺とする150mm×50mmの長方形のMD用試験片に裁断した。短辺の中点から当該MD用試験片の長手方向に75mmの切れ込みを入れ、両方の片部分を互いに逆方向に引張し引裂き量が50mmに到達した時点の荷重(N)(MDの引裂強度)を計測した(単位:N)。トラウザー引裂強度の測定に株式会社島津製作所製,万能試験機オートグラフAG−1を使用した。
全ての実施例について、「F」の評価は無く良好な性能を示した。また、フィルムの外観上の不良も見られず、良好な仕上がりであった。延伸倍率については、縦一軸方向に3ないし7倍の作製であった。当該条件は次述の物性性能を勘案すると好適な範囲である。そこで、フィルム作製における縦一軸方向の延伸倍率は3ないし10倍、より好ましくは3ないし7倍と導くことができる。
基材層部の樹脂組成割合に着目すると、実施例1ないし9を通じてポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体)の例は良好であった。また、基材層部に直鎖状低密度ポリエチレンを含む実施例10は引裂強度が低下して易カット性が向上した。実施例10と実施例11ないし14より、基材層部に含有されるポリエチレンの種類は直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンのいずれも可能である。ただし、比較例3より低密度ポリエチレンの配合は易カット性の点から不適合であった。
実施例を通じてオレフィン系エラストマーは、エチレン系、プロピレン系、及びブテン系のいずれの系統のエラストマーも使用できることを確認した。さらに、これらの中でもプロピレン系エラストマーは、ヒートシール強度の性能においてより優れていることも見出した。シーラント層部のポリプロピレン系樹脂は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体の使用を確認した。
実施例11ないし14に開示の基材層部に表面樹脂層部が備えられた例についても特段の支障は無い。ゆえに、ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムは2層または3層のいずれも形成可能である。
比較例1,2のヒートシール開始温度は150℃を超過した。これに対し実施例13は140℃以下であった。そこで、ヒートシールの利便性を鑑みヒートシール開始温度の上限を140℃以下に規定した。
ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの主目的は引裂き時のカット性の良さである。そこで、易カット性の評価としてトラウザー引裂強度の高低は意味を持つ。これについて、いずれの実施例も弱い力での引裂きが可能であった。そこで、実施例9等の数値を勘案してトラウザー引裂強度は0.5N以下と導き出すことができる。なお、比較例3は低密度ポリエチレンの配合であり、実施例13,14とポリエチレンの種類のみが相違した。
これまでの経緯からポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの性能を確認できた。次に当該ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムに対してさらに別のフィルム(被積層フィルム)をドライラミネートにより積層してフィルム積層体を作製した。被積層フィルムには、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FOR」,厚さ20μm)を使用した。
ポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムの実施例2及び13を297×210mm(A4サイズの大きさ)に切り出して長辺の中央で半分に折り曲げて、シーラント層部同士を重ね合わせた。ヒートシールに際し、富士インパルス株式会社製,加熱温度コントロール電動シーラー(OPL−350−MD NP)を使用し、ヒートシール温度を110℃、加熱時間を1.0secとして3辺をシールして三方袋(袋状物)を作製した。
10 基材層部
11 基材層部の第1面
12 基材層部の第2面
20 シーラント層部
30 表面樹脂層部
40 被積層フィルム部
45 ラミネート接着剤
50 袋状物
51,52,53 ヒートシール部位
Claims (10)
- 基材層部(10)と、前記基材層部の第1面部側にシーラント層部(20)を備え縦一軸方向の延伸倍率を3〜10倍としたポリプロピレン系フィルム(1)であって、
前記基材層部(10)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上を基材層ポリプロピレン系樹脂(A)として含有し、
前記シーラント層部(20)は、シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)を2〜70重量%と、オレフィン系エラストマー(C)を98〜30重量%とする組成であり、
前記シーラント層ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体のいずれかもしくは両方であり、
前記オレフィン系エラストマー(C)は、
(c1):密度を0.860〜0.895g/cm3とし、
(c2):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)を0.5〜10g/10minとし、かつ、
(c3):エチレン、プロピレン、または1−ブテンのいずれかと、炭素数2〜8のα−オレフィン(同種のモノマーを除く)とのランダム共重合体である、
ことを特徴とするポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。 - 前記オレフィン系エラストマー(C)がプロピレン系エラストマーである請求項1に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
- 前記基材層部(10)における樹脂組成が、
前記基材層ポリプロピレン系樹脂(A)を55〜98重量%とし、
高密度ポリエチレン(D)または直鎖状低密度ポリエチレン(E)のいずれかもしくは両方を45〜2重量%とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。 - 前記ポリプロピレン系フィルム(1)の前記シーラント層部(20)同士をヒートシールする際のヒートシール開始温度が140℃以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
- JIS K 7128−1(1998)に準拠した前記ポリプロピレン系フィルム(1)のトラウザー引裂強度が0.5N以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
- 前記基材層部(10)の前記第1面部側と反対となる第2面部側に表面樹脂層部(30)がさらに備えられる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルム。
- 前記基材層部(10)の前記第1面部側と反対となる第2面部側に被積層フィルム部(40)が積層される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルム積層体。
- 前記表面樹脂層部(30)の外側に被積層フィルム部(40)が積層される請求項6に記載のフィルム積層体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系縦一軸延伸フィルムのシーラント層部(20)同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物。
- 請求項7または8に記載のフィルム積層体のシーラント層部(20)同士をヒートシールしてなることを特徴とする袋状物。
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