JP6361075B2 - 成形用包装材及びリチウム二次電池、並びに、成形用包装材の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、エンボスタイプの積層体(以降、単に積層体と称する)においては、積層する材料の組成と厚みを選択することにより、積層体の薄肉化が容易である。このため、適切な積層体の材料の選択により、フレキシブルで、材料強度及び伸びに優れるとともに、形状(成形)の自由度が高く、よりコンパクトな電池用外装体が得られる。このような積層体の金属箔としては、強度及び展伸性に優れたアルミニウム合金箔が知られている。
最近では、スマートフォン等のタッチパネルを搭載した携帯情報端末器が急増し、リチウム二次電池の更なる薄型・軽量化が求められている。薄型・軽量化に伴い、限られた設置スペース内で最大限の電池容量を得るために、コーナー部分が非常にシャープな直方体状の電池用外装体が求められるようになった。
特許文献1には、自動車、船舶、車両などの輸送機や、機械、電気製品、構造物、光学機器等の部品用として、温間成形されるアルミニウム合金板と温間成形方法が開示されている。
特許文献1では、6000系(Al−Mg−Si系)合金の組成、平均結晶粒径を制御することにより、良好な温間成形性を有するアルミニウム合金板が得られ、平均結晶粒径を10〜50μmの範囲としている。
また、特許文献1は、6000系アルミニウム合金(Al−Mg−Si系、押出し材)単体の材料物性(組成、結晶粒)と温間成形方法に着眼した発明であり、アルミニウム合金の結晶粒径は10〜50μmと記載されているが、樹脂層/金属箔/樹脂層のような積層体の成形性に関する発明ではなく、アルミニウム合金の種類もAl−Fe系とは異なる。
特許文献2は、3000系アルミニウム合金(Al−Mn系)単体の材料物性(組成、結晶粒)と、その製造方法に着眼した発明であり、用途は二次電池ケースであるが、金属缶用材料の成形性に関する発明である。よって、エンボスタイプの(樹脂層/金属箔/樹脂層)積層体に用いられるアルミニウム合金(Al−Fe系)とは種類が異なり、平均結晶粒径も150μm以下と広い領域の結晶粒径範囲となっている。
この容器成形用積層体は、厚さ25〜40μmのAl−Fe系アルミニウム合金箔の内側に、厚さ150〜500μmのCPPフィルムと、外側に、厚さ5〜50μmのOPP(延伸ポリプロピレン)フィルムまたは無延伸ナイロンフィルムを積層させている。上記のような積層体構成では、食品用容器等の口径形状が円形で、コーナーR、パンチ肩Rが大きい容器の成形は可能であるが、角型リチウム二次電池ケースのような、コーナーR1〜10、パンチ肩R0.5〜5等の比較的シャープな形状の角型容器の成形は困難である。
この包装材は、菓子やタバコ等を包装するアルミニウム−紙包装材に関するものであり、折り曲げ、折りたたみにより、内容物を包装することを想定している。したがって、深絞り成形により角型形状にエンボス成形し、リチウム二次電池素子を充填し、角型の電池パックとするような包装材ではない。また、接着剤の種類も、アルミニウム箔と樹脂フィルムの貼り合わせに用いられる、二液硬化型ウレタン系ドライラミネート用接着剤とは異なっている。
しかしながら、直方体状の電池用外装体の製造において、コーナー部分の曲げ半径が極めて小さくなると、Al−Fe系アルミニウム合金箔のプレス成形時にコーナー部分でピンホールが発生しやすくなるという問題があった。
なお、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔に含まれる平均結晶粒径、および前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さを有する結晶粒同士が離れている距離は、後述する測定方法で求めた値である。
[2] ホモゲナイズ(均質化処理)工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、中間焼鈍工程、冷間圧延工程、箔圧延工程、最終焼鈍工程によって、前記の複数の結晶粒同士が1mm以上離れたものとする [1]に記載の成形用包装材の製造方法。
[3] 表裏に樹脂層を備えたAl−Fe系アルミニウム合金箔を用いた成形用包装材であって、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔に含まれる結晶粒の平均結晶粒径が5μm以上20μm以下で、かつ前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延方向断面において、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の厚さ方向に、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さを有する結晶粒が複数存在し、この複数の結晶粒同士が、1mm以上離れており、前記表裏の樹脂層の一方又は両方に延伸フィルムを用いる場合には前記延伸フィルムの厚さは9〜50μmであり、前記表裏の樹脂層の一方又は両方に未延伸フィルムを用いる場合には前記延伸フィルムの厚さは9〜100μmである成形用包装材。
[4]前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の少なくとも片面に化成処理が施されており、化成処理された前記Al−Fe系アルミニウム合金箔と前記樹脂層との間に接着層がある[3]に記載の成形用包装材。
[5] 前記接着層が、変性ポリプロピレン系のドライラミネート接着剤層、または、前記化成処理面側に変性ポリプロピレンを接着させる態様の変性ポリプロピレンとポリプロピレンの共押出し樹脂層である[4]に記載の成形用包装材。
[6] [3]〜[5]のいずれかに記載の成形用包装材を成形してなる電池用外装体を備えたリチウム二次電池。
以下、本発明の実施形態である成形用包装材について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の成形用包装材の一例である成形用包装材10の圧延方向D1における断面図である。
かかる合金としては例えば、Fe含有量:0.7〜1.3重量%、Si含有量:0.05〜0.3重量%、Cu含有量:0.05重量%以下、Zn含有量:0.10重量%以下、残りがAl及びその他不可避不純物とするものが挙げられる。また、前記合金は、Mgを0.05重量%以下の含有量で含有していてもよい。
Al−Fe系アルミニウム合金箔においては、Fe含有量を0.7〜1.3重量%とすることによって、Feを含有していないアルミニウム箔と比較して、展延性を高め、折曲げ等によるピンホールの発生を防止することができる。Fe含有量が0.7重量%未満の場合は、Al−Fe系アルミニウム合金箔におけるピンホールの発生防止の効果が認められず、成形性の改善効果も認められないからである。また、Fe含有量が1.3重量%を超える場合は、Al−Fe系アルミニウム合金箔1の柔軟性が阻害され、積層体の製造にとって好ましくないからである。
また、Feは結晶粒を微細にする効果があるが、0.7重量%未満では添加の効果が十分でなく、1.3重量%を超えて添加すると粗大な金属間化合物を作り、成形性が悪くなるばかりでなく、耐食性が悪くなる。
Siは、Feと共に結晶粒径を微細にする効果があるが、0.05重量%未満では添加の効果が十分でなく、0.3重量%を超えて添加すると箔の耐食性が悪くなる。
Al−Fe系アルミニウム合金箔1の厚さが30μm未満であると、プレス成形(深絞り成形)時に、Al−Fe系アルミニウム合金箔1の破断が起きやすく、また破断しない時でもピンホール等が発生しやすいため水分侵入の危険性が高くなる。一方で、Al−Fe系アルミニウム合金箔1の厚さが120μmを超えると、成形時の破断に対する、さらなる改善効果が見られず、ピンホール発生防止効果もあまり改善されない。また、単に包材総厚を厚くし、成形用包装材10を用いた電池の重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させてしまう。
平均結晶粒径が5μm未満のAl−Fe系アルミニウム合金箔1は、さらなる成形性の向上は認められない。また、平均結晶粒径が20μmより大きくなると、図1に示す最大長さL2が0.8倍以上の結晶粒(次に説明する粗大粒4)を含みやすくなり、成形性が低下する。
本明細書では、粗大粒とは、厚さ方向D2において、Al−Fe系アルミニウム合金箔1の箔厚さZの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さL2を有する結晶粒をいう。
粗大粒4の厚さ方向D2における最大長さL2が箔厚さZの0.6倍未満である場合は、成形性に悪影響を与える。また、粗大粒4の厚さ方向D2における最大長さL2が箔厚さZの0.8倍以上であると、その粗大粒4付近で、ピンホールがさらに発生しやすくなる。
また、図1に示すように、粗大粒4の中心Cの離間距離Xは、1mm以上離れていることが重要である。粗大粒4間の離間距離が1mmより短くなると、成形用包装材10の成形時において、Al−Fe系アルミニウム合金箔1にピンホールが発生しやすくなる。
即ち、樹脂層2,3及びAl−Fe系アルミニウム合金箔1の包装材の構成としては、例えば、耐熱樹脂I/Al−Fe系アルミニウム合金箔/耐熱樹脂II/接着性樹脂、耐熱樹脂I/耐熱樹脂II/Al−Fe系アルミニウム合金箔/耐熱樹脂III/接着性樹脂、耐熱樹脂I/Al−Fe系アルミニウム合金箔/接着性樹脂、耐熱樹脂I/耐熱樹脂II/Al−Fe系アルミニウム合金箔/接着性樹脂、等が挙げられる。
このように、ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムをAl−Fe系アルミニウム合金箔1の片面あるいは両面に直接ラミネートする、あるいは、ポリエステルフィルムとポリアミドフィルムを積層させて、Al−Fe系アルミニウム合金箔1の片面あるいは両面に直接、ラミネートすることにより、成形時のAl−Fe系アルミニウム合金箔1のネッキングを効果的に抑制することができ、深くてシャープな形状の電池用外装体を得ることができる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリレート共重合体、アイオノマー樹脂の未延伸フィルムをラミネートする時は、基材がAl−Fe系アルミニウム合金箔1であっても、延伸フィルムであっても二液硬化型ドライラミネート接着剤を使用できる。
但し、リチウム二次電池のように、電解液を含有し、水分侵入によりフッ酸が発生するような内容物を充填・密封包装する場合には、一般的なウレタン系ドライラミネート接着剤では、その接着剤層が電解液や酸の影響で膨潤し、接着性が低下するという問題がある。このため、有機溶剤や酸に対しても十分な接着性を有する、酸変性ポリプロピレン系の二液硬化型ドライラミネート接着剤を用いることが好ましい。
電解液の種類によっては、これら共押出し法やサンドイッチラミネート法によるヒートラミネート包材を用いた方が、接着剤の塗布、乾燥工程が不要なため、接着欠陥が少なく、電解液による接着力の低下も少なく、良好な密封性が得られる場合がある。
本発明に係る成形用包装材を製造するには、Al−Fe系アルミニウム合金箔の製造工程と樹脂層の接着工程とを順次実施する。
本実施形態においては、溶解、鋳造、スラブ、面削、ホモゲナイズ(均質化処理)、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、箔圧延、最終焼鈍の各工程を行うことにより、Al−Fe系アルミニウム合金箔1を製造した。
続いて、面削工程において、スラブ状に加工した合金材料の4〜6面を均一に削り、不純物を除去する。本工程においては、例えば6〜12mm/片面で合金材料の切削を行う。
続いて、冷間圧延工程において、熱間圧延された合金材料を冷間圧延し、薄く延ばす。
本工程における合金材料の冷間圧延温度、圧延率、圧延後の合金材料の厚みは、それぞれ110〜240℃、40〜90%(4パス)、0.6mmとすることが好ましい。
Al−Fe系アルミニウム合金箔の平均結晶粒径は、箔圧延工程における圧延率と中間焼鈍条件によって大きな影響を受ける。
Al−Fe系アルミニウム合金箔に含まれる平均結晶粒径を5μm以上20μm以下にし、かつ、Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延方向断面に、箔厚さの0.8倍を超える最大長さを有する結晶粒を形成させず、箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さを有する結晶粒を複数形成するためには、中間焼鈍時の処理温度を380〜400℃、処理時間1.5〜2.5時間に設定し、Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延の圧延率を30〜50%の範囲とすることが好ましい。
まず、耐熱性樹脂フィルムを含む樹脂層2,3を用意する。樹脂層2が2つ以上の耐熱性樹脂フィルムを含む場合、2つ以上の耐熱性樹脂フィルム同士を、接着層を介して積層することが好ましい。
次いで、このようにして得られた樹脂層2とAl−Fe系アルミニウム合金箔1とを接着剤を介して積層する。より詳細には、例えば、樹脂層2の表面またはAl−Fe系アルミニウム合金箔1の表面にドライラミネート用接着剤を塗布し、ドライラミネート用接着剤に含まれる溶剤を揮発させた後、樹脂層2とAl−Fe系アルミニウム合金箔1とを積層する。
その後、ドライラミネートする方法などにより樹脂層3とAl−Fe系アルミニウム合金箔1とを貼り合わせ、樹脂層2,3とAl−Fe系アルミニウム合金箔1とを含む成形用包装材10を製造する。
上記実施形態で説明したAl−Fe系アルミニウム合金箔1の製造方法に基づき、下記のようにAl−Fe系アルミニウム合金箔を製造した。
本実施例においては、先ず合金組成、Si含有量:0.05重量%、Fe含有量:1.10重量%、Cu含有量:0.01重量%、Mg含有量:0.01重量%、Zn含有量:0.01重量%のAl−Fe系アルミニウム合金(JIS規格A8079H−O)の鋳塊(厚さ500mm)の6面を6〜12mm程度面削し、500℃で5時間の均質化処理を行った。次いで、圧延箔温度280〜300℃で、板厚5mmまで熱間圧延を行った。
冷間圧延は、圧延率40〜90%、圧延箔温度110〜240℃の範囲で複数回実施し、冷間圧延上がりで0.6mmの板厚とした。この0.6mm板厚の時点で、390℃で2時間の中間焼鈍工程を入れ、中間焼鈍後に圧延率50%、圧延箔温度100〜230℃の範囲で冷間圧延を行い、0.3mmの板厚とした。
次に、圧延板を2枚重ねて圧延する重合圧延法にて、圧延率50%以下の条件で、3回箔圧延を行い、40μmの箔厚さとし、最後に270℃で40時間の最終焼鈍を行い、Al−Fe系アルミニウム合金の軟質箔を製造した。
本実施例におけるAl−Fe系アルミニウム合金の組成と、製造条件を表1に示す。
・耐熱性樹脂層 ON25:ポリアミド(ナイロン)フィルム 25μm
ON15:ポリアミド(ナイロン)フィルム 15μm
PET25:ポリエステルフィルム 25μm
PET12:ポリエステルフィルム 12μm
・熱接着性樹脂層 CPP40:未延伸ポリプロピレンフィルム 40μm
CPP30:未延伸ポリプロピレンフィルム 30μm
・化成処理層 AC :樹脂コーティングタイプ
・接着層 AD1:二液硬化型ウレタン系接着剤
AD2:二液硬化型非ウレタン系接着剤
AD3:共押し樹脂(変性オレフィン樹脂/オレフィン樹脂)
本実施例の成形用包装材の構成は、表2に示すように、ON25/AD1/AC/AL40/AC/AD2/CPP40の順で形成した積層体とした。
なお、表2におけるAL40及びAL30は、各実施例及び比較例におけるAl−Fe系アルミニウム合金箔を示す。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成及び製造条件とし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成とするとともに、製造条件において中間焼鈍工程での温度を380℃とし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成とするとともに、製造条件において圧延率50%以下として重合圧延を4回行い、30μmの箔厚さとし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成とするとともに、製造条件において中間焼鈍工程での温度を405℃とし、圧延率を50%より大きく、かつ、60%以下にして重合圧延を3回行い、40μmの箔厚さとし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成及び製造条件とし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成とするとともに、製造条件において中間焼鈍工程での温度を410℃とし、表2に示す包装材の構成を用いたこと以外は比較例1と同様にして、比較例3の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成とするとともに、製造条件において圧延率を50%より大きく、かつ、60%以下にして重合圧延を4回行い、30μmの箔厚さとし、表2に示す構成からなる成形用包装材を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較例4の成形用包装材を得た。
表1に示すAl−Fe系アルミニウム合金の組成としたこと以外は比較例4と同様にして、比較例5の成形用包装材を得た。
先ず、図2に示すようなAl−Feアルミニウム系合金箔コイル巻外24より、全幅×500mm幅のサンプルを採取し、さらに幅方向の両端部(W,D)、中央部(C)より、研磨しやすい大きさのカットサンプル26に切断した。
切断したカットサンプル26は樹脂に埋め込んで、回転式研磨機を用いてバフ研磨した。
研磨されたAl−Fe系アルミニウム合金箔サンプルは公知の陽極酸化法でマクロエッチングした。
n個の結晶粒が、100μmφの面積にあったとして、平均結晶粒径rを次式により求めた。
[式1]
π(50)2/n=πr2
[式2]
r=[(50)2/n]1/2
平均結晶粒径の測定方法と同様の工程により、陽極酸化させたカットサンプル26を用意した。
次に、カットサンプル26を図3に示すA方向から偏光顕微鏡にて観察し、図1に示す断面の断面方向を横断する粗大粒の有無を、100〜500倍観察にて実施した。測定エリアの中に完全に1個分の粗大粒が含まれるものを粗大粒として認定した。さらに、2個以上で偶数n個の粗大粒が観察された場合は、n/2番目に長い距離を有する粗大粒同士を粗大粒1および粗大粒2とし、それらの間の距離を最終的な粗大粒間の距離とした。3個以上で奇数m個の粗大粒が観察された場合は、(m+1)/2番目に長い距離を有する粗大粒同士を粗大粒1および粗大粒2とし、それらの間の距離を最終的な粗大粒間の距離とした。なお、粗大粒間の距離は、粗大粒子の中心(C)の間の距離を測定して求めた。
また、粗大粒子の中心(C)は、径の最大長さの線の中心点とした。
成形用包装材を、80mm×120mmのブランク形状にサンプリングし、成形高さフリーのストレート金型にて深絞り1段成形を行い、成形高さを変化させた成形品を光透過式のピンホール検査器を用いて、ピンホールの有無を確認した。
成形品は10個作成し、10個ともピンホール発生が無かった場合の成形高さで成形性を評価した。
また、成形性は、成形高さを0.5mmずつ変化させ、5mm以上の成形高さが得られたものを成形性良好品とし、5mm未満の場合を成形不良品とした。
・パンチ形状(外寸): 長辺54mm、短辺33mm
ポンチ肩R2mm、コーナーR2mm
・ダイス形状(内寸): 長辺55mm、短辺34mm、
ダイス肩R1mm
(R:曲げ半径)
これに対して、比較例1及び2では、平均結晶粒径5μm以上20μm以下であり、粗大粒1及び2はいずれも最大長さが箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満であったものの、粗大粒間の離間距離は1mm未満であった。また、比較例3では、平均結晶粒径5μm以上20μm以下であり、粗大粒1は最大長さが箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満であったものの、粗大粒2は最大長さが箔厚さの0.8倍以上であり、また、粗大粒間の離間距離が1mm未満であった。また、比較例4及び比較例5では、平均結晶粒径5μm以上20μm以下であったものの、粗大粒1及び2はいずれも最大長さが箔厚さの0.8倍以上であり、粗大粒間の離間距離は1mm未満であった。このように、比較例1〜5が本発明の範囲からはずれたのは、中間焼鈍時の処理温度が380〜400℃の範囲を超えており、かつ、箔圧延の圧延率が30〜50%の範囲を超えていたからである。
材、24…Al−Feアルミニウム系合金箔コイル巻外、26…カットサンプル
Claims (4)
- 表裏に樹脂層を備えた、厚さ30μm以上120μm以下のAl−Fe系アルミニウム合金箔を用いた成形用包装材の製造方法であって、
ホモゲナイズ(均質化処理)工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、中間焼鈍工程、冷間圧延工程、箔圧延工程、最終焼鈍工程を有し、
前記中間焼鈍工程において、処理温度を380〜400℃、処理時間1.5〜2.5時間とし、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延の圧延率を30〜50%の範囲とすることにより、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔に含まれる結晶粒の平均結晶粒径が5μm以上20μm以下で、かつ前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延方向断面において、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の厚さ方向に、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さを有する結晶粒が複数存在させ、複数の前記結晶粒同士が1mm以上離れたものとする、成形用包装材の製造方法。 - 表裏に樹脂層を備えた、厚さ30μm以上120μm以下のAl−Fe系アルミニウム合金箔を用いた成形用包装材であって、
前記Al−Fe系アルミニウム合金箔に含まれる結晶粒の平均結晶粒径が5μm以上20μm以下で、かつ前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔圧延方向断面において、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の厚さ方向に、前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の箔厚さの0.6倍以上0.8倍未満の最大長さを有する結晶粒が複数存在し、この複数の結晶粒同士が、1mm以上離れており、
前記表裏の樹脂層の一方又は両方に延伸フィルムを用いる場合には前記延伸フィルムの厚さは9〜50μmであり、前記表裏の樹脂層の一方又は両方に未延伸フィルムを用いる場合には前記延伸フィルムの厚さは9〜100μmである成形用包装材。 - 前記Al−Fe系アルミニウム合金箔の少なくとも片面に化成処理が施されており、化成処理された前記Al−Fe系アルミニウム合金箔と前記樹脂層との間に接着層があり、
前記接着層が、変性ポリプロピレン系のドライラミネート接着剤層、または、共押出し法や、サンドイッチラミネート法により未延伸フィルムをラミネートする場合に、前記化成処理面側に変性ポリプロピレンを接着させる態様の変性ポリプロピレンとポリプロピレンの共押出し樹脂層である請求項2に記載の成形用包装材。 - 請求項2または3のいずれかに記載の成形用包装材を成形してなる電池用外装体を備えたリチウム二次電池。
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