JP6859662B2 - 電池用包装材料、電池、電池用包装材料の製造方法、及びアルミニウム合金箔 - Google Patents

電池用包装材料、電池、電池用包装材料の製造方法、及びアルミニウム合金箔 Download PDF

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Description

本発明は、電池用包装材料、電池、電池用包装材料の製造方法、及びアルミニウム合金箔に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていた。
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材/アルミニウム合金箔層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。
このような電池用包装材料においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電池素子を配し、熱融着性樹脂層同士を熱融着させることにより、電池用包装材料の内部に電池素子が収容された電池が得られる。しかしながら、このようなフィルム状の包装材料は、金属製の包装材料に比べて薄く、成形時にピンホールやクラックが生じ易いという欠点がある。電池用包装材料にピンホールやクラックが生じた場合には、電解液がアルミニウム合金箔層にまで浸透して金属析出物を形成し、その結果、短絡を生じさせることになりかねないため、フィルム状の電池用包装材料には、成形時にピンホールが生じ難い特性、即ち優れた成形性を備えさせることは不可欠となっている。
例えば、特許文献1には、樹脂フィルムからなる内層、第1接着剤層、アルミニウム合金箔層、第2接着剤層、及び樹脂フィルムからなる外層を備えた積層型包装材料において、前記第1接着剤層及び第2接着剤層の少なくとも一方を、側鎖に活性水素基を有する樹脂、多官能イソシアネート類、及び多官能アミン化合物を含む接着剤組成物で形成することにより、より深い成形に対して信頼性の高い包装材料が得られることが開示されている。
特開2008−287971号公報
近年、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められている。これに伴い、電池用包装材料に積層されているアルミニウム合金箔層の厚みのさらなる薄型化が求められている。しかしながら、アルミニウム合金箔層の厚みが薄くなると、成形時にアルミニウム合金箔層にピンホールやクラックが生じやすくなるという問題もある。
このような状況下、本発明は、電池用包装材料の成形時において、アルミニウム合金箔層にピンホールやクラックが生じることを効果的に抑制することができる、電池用包装材料を提供することを主な目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、アルミニウム合金箔層を備えた電池用包装材料において、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面の走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である「平均結晶粒径」が10.0μm以下のアルミニウム合金箔層を用いることにより、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を備える電池用包装材料となることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の電池用包装材料及び電池を提供する。
項1. 少なくとも、アルミニウム合金箔層を備えた電池用包装材料であって、
前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、10.0μm以下である、電池用包装材料。
項2. 前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、5.0μm以下である、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記アルミニウム合金箔層が、その少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 二次電池用の包装材料である、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料で形成された容器内に収容されている、電池。
項7. 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記アルミニウム合金箔層として、前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、10.0μm以下であるものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
項8. 電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔であって、
前記アルミニウム合金箔の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、10.0μm以下である、電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
項9. 前記アルミニウム合金箔の厚み方向における断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、5.0μm以下である、項8に記載の電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
項10. 前記アルミニウム合金箔を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、項8または9に記載の電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
項11. 前記アルミニウム合金箔が、その少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、項9〜10のいずれかに記載の電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
本発明によれば、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を備える電池用包装材料を提供することができる。本発明の電池用包装材料は、優れた成形性を備えているので、生産性の向上にも寄与することができる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面における、結晶粒と第二相粒子を示す模式図である。
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、アルミニウム合金箔層を備えており、前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、10.0μm以下であることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲については、「以上」、「以下」と明記している箇所を除き、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、アルミニウム合金箔層3を備えている。本発明の電池用包装材料は、例えば、図1に示すように、基材層1、アルミニウム合金箔層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に有する積層体であってもよい。本発明の電池用包装材料がこのような積層体である場合、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、基材層1とアルミニウム合金箔層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2が設けられていてもよい。また、本発明の電池用包装材料は、図2に示すように、アルミニウム合金箔層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5が設けられていてもよい。
本発明の電池用包装材料の総厚みとしては、特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くして電池のエネルギー密度を高めつつ、成形性に優れた電池用包装材料とする観点からは、例えば200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは40〜155μm程度、さらに好ましくは40〜90μm程度が挙げられる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、必要に応じて設けられる層であり、最外層側に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材をアルミニウム合金箔層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出しラミネート法、サンドイッチラミネート法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、電子線硬化型や紫外線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
基材層1の厚さとしては、好ましくは25μm以下、より好ましくは8〜25μm程度が挙げられる。
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料において、接着剤層2は、基材層1とアルミニウム合金箔層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1とアルミニウム合金箔層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着剤層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮しつつ、電池用包装材料が上記の物性を満たせば特に制限されないが、例えば、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μm程度が挙げられる。
[アルミニウム合金箔層3]
電池用包装材料において、アルミニウム合金箔層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。
前述の通り、近年、電池の小型化、薄型化の要求に伴い、電池用包装材料に対しても、より一層の薄膜化が求められている。これに伴い、電池用包装材料に積層されているアルミニウム合金箔層の厚みに対してもさらなる薄型化が求められている。本発明においては、電池用包装材料全体の厚みを上記した厚みとすることが可能となる。このため、電池のエネルギー密度を効果的に高めることができる。
本発明において、電池用包装材料の厚みをより一層薄くして電池のエネルギー密度を高めつつ、成形性に優れ、さらに、成形後の外観に優れた電池用包装材料とする観点からは、アルミニウム合金箔層の厚みとしては、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは35μm以下、さらには30μm以下、さらには15〜30μm程度、さらには15〜25μm程度、特に15〜20μm程度が挙げられる。
前述の通り、アルミニウム合金箔層の厚みが例えば100μm程度、さらには30μm程度にまで薄くなると、電池用包装材料の成形時にアルミニウム合金箔層にピンホールやクラックが特に生じやすくなることが明らかとなった。さらに、本発明者が検討を重ねたところ、アルミニウム合金箔層の厚みが例えば100μm程度、さらには30μm程度にまで薄くなり、さらに、電池用包装材料の総厚みについても、例えば上記の厚みにまで薄くなった場合には、成形時におけるピンホールやクラックの発生頻度が顕著に高くなることが明らかとなった。
これに対して、本発明の電池用包装材料においては、前記アルミニウム合金箔層3における上記の平均結晶粒径が、10.0μm以下であることによって、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を備えている。さらに、本発明の電池用包装材料においては、アルミニウム合金箔層3における平均結晶粒径が、10.0μm以下であることによって、アルミニウム合金箔層3の厚みが例えば100μm以下、さらには30μm以下であり、かつ、電池用包装材料の総厚みについても、例えば上記の厚みにまで薄い場合にも、成形時にピンホールやクラックが生じ難く、優れた成形性を備えている。
アルミニウム合金箔層3における平均結晶粒径は、10.0μm以下であればよいが、より成形性を高める観点からは、平均結晶粒径としては、好ましくは1.0〜7.0μm程度、より好ましくは1.0〜3.2μm程度が挙げられる。
本発明において、アルミニウム合金箔層における平均結晶粒径は、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒31について、図3の模式図に示されるように、個々の結晶粒の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした際、100個の結晶粒の当該最大径xの平均値を意味する。なお、図3は模式図であるため、描画を省略し、結晶粒31を100個描いてない。
また、本発明では、電池用包装材料を構成する積層体の厚み方向における断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子32について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、5.0μm以下であることが好ましく、1.0〜4.0μmであることがより好ましく、1.0〜2.0μmであることがさらに好ましい。アルミニウム合金箔層3における平均結晶粒径が、10.0μm以下であり、かつ、第二相粒子32の前記径がこのような範囲にあることにより、電池用包装材料の成形性をより一層高めることができる。なお、図3は模式図であるため、描画を省略し、第二相粒子32を100個描いてない。
本発明において、アルミニウム合金層に含まれる第二相粒子は、アルミニウム合金中に存在する金属間化合物粒子を指し、圧延によって分断された晶出相や均質化処理や焼鈍を行う際に析出する析出相粒子である。
アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際、結晶粒は、通常、複数の結晶と接する境界線を描く。これに対して、第二相粒子は、通常、境界線が単一の結晶となる。また、結晶粒と第二相粒子とは、位相が異なる為、SEM画像上で色が異なるという特徴を有している。さらに、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を光学顕微鏡で観察した場合には、結晶粒と第二相粒子との位相の相違に起因して、第二相粒子のみが黒く見えるので、観察が容易になる。
アルミニウム合金箔層3を構成するアルミニウム合金の組成としては、平均結晶粒径が10.0μm以下であれば特に制限されないが、電池用包装材料の成形性をより一層高める観点からは、アルミニウム合金は、0.7〜2.5質量%のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含むことが好ましい。
アルミニウム合金箔層3を形成するアルミニウム合金の具体例としては、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160 A8021H−O、JIS H4160 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム合金などが挙げられる。ただし、上記の平均結晶粒径や第二相粒子の径は、アルミニウム合金の組成だけでなく、アルミニウム合金箔層の加工方法によっても変化するため、例えばJISに規定された組成のみで上記の厚みの関係を充足するわけではない。
アルミニウム合金箔層の平均結晶粒径や第二相粒子の径の調整は、公知の方法で行うことができる。例えば、アルミニウム合金箔を製造する際の焼成温度や圧延条件などを調整する方法が挙げられる。以下に、アルミニウム合金箔層3の平均結晶粒径や第二相粒子の径が上記の値になるように設定する方法として、Al−Fe系アルミニウム箔を例にして示す。
(Al−Fe系アルミニウム箔の形成方法の例)
アルミニウム合金箔層における平均結晶粒径や第二相粒子の径が上記の値となるAl−Fe系アルミニウム箔は、溶解、鋳造、スラブ、面削、ホモゲナイズ(均質化処理)、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、箔圧延、最終焼鈍などの各工程を行うことにより製造することができる。溶解工程及び鋳造工程において、例えば、JIS規格A8079H−Oを溶解し、鋳塊を作製する。熱間圧延工程においては、均質化処理後の合金材料を高温環境で圧延する。本工程における合金材料の熱間圧延温度は、280〜300℃とすることが好ましい。続いて、冷間圧延工程において、熱間圧延された合金材料を冷間圧延し、薄く延ばす。本工程における合金材料の冷間圧延温度は、110〜240℃とすることが好ましいさらに、中間焼鈍工程においては、熱処理により冷間圧延後の合金材料内部のひずみを取り除き、組織を軟化させ、展延性を向上させる。本工程における処理温度は、380〜400℃であることが好ましく、特に390℃であることが好ましい。また、処理時間は1.5〜2.5時間とすることが好ましい。これらの条件を適宜調整することにより、アルミニウム合金箔層における平均結晶粒径や第二相粒子の径が上記の値となるように設定することができる。
また、アルミニウム合金箔層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、アルミニウム合金箔層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。すなわち、アルミニウム合金箔層3は、その少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えていることが好ましい。耐酸性皮膜を形成するための化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
Figure 0006859662
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一般式(1)〜(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)〜(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500〜100万であることが好ましく、1000〜2万程度であることがより好ましい。
また、アルミニウム合金箔層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、アルミニウム合金箔層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、耐酸性皮膜を具体的に設ける方法としては、たとえば、一つの例として、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面にリン酸Cr(クロム)塩、リン酸Ti(チタン)塩、リン酸Zr(ジルコニウム)塩、リン酸Zn(亜鉛)塩などのリン酸金属塩およびこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、リン酸非金属塩およびこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、これらとアクリル系樹脂ないしフェノール系樹脂ないしウレタン系樹脂等の水系合成樹脂との混合物からなる処理液(水溶液)をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法等の周知の塗工法で塗工することにより、耐酸性皮膜を形成することができる。たとえば、リン酸Cr(クロム)塩系処理液で処理した場合は、CrPO4(リン酸クロム)、AlPO4(リン酸アルミニウム)、Al23(酸化アルミニウム)、Al(OH)x(水酸化アルミニウム)、AlFx(フッ化アルミニウム)などからなる耐酸性皮膜となり、リン酸Zn(亜鉛)塩系処理液で処理した場合は、Zn2PO4・4H2O(リン酸亜鉛水和物)、AlPO4(リン酸アルミニウム)、Al23(酸化アルミニウム)、Al(OH)x(水酸化アルミニウム)、AlFx(フッ化アルミニウム)などからなる耐酸性皮膜となる。
また、耐酸性皮膜を設ける具体的方法の他の例としては、たとえば、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面に周知の陽極酸化処理を施すことにより、耐酸性皮膜を形成することができる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩系、クロム酸系の皮膜が挙げられる。リン酸塩系としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸クロムなどが挙げられ、クロム酸系としては、クロム酸クロムなどが挙げられる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによって、エンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止、エンボスタイプにおいてはプレス成形時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止の効果を示す。耐酸性皮膜を形成する物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成分から構成された水溶液をアルミニウム表面に塗布し、乾燥焼付けの処理が良好である。
また、耐酸性皮膜は、酸化セリウムと、リン酸またはリン酸塩と、アニオン性ポリマーと、該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤とを有する層を含み、前記リン酸またはリン酸塩が、前記酸化セリウム100質量部に対して、1〜100質量部配合されていてもよい。耐酸性皮膜が、カチオン性ポリマーおよび該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層をさらに含む多層構造であることが好ましい。
さらに、前記アニオン性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、前記架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記リン酸またはリン酸塩が、縮合リン酸または縮合リン酸塩であることが好ましい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、及びトリアジンチオールのうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。また、セリウム化合物を含む耐酸性皮膜も好ましい。セリウム化合物としては、酸化セリウムが好ましい。
また、耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜なども挙げられる。耐酸性皮膜としては、これらのうち1種類であってもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。さらに、耐酸性皮膜としては、アルミニウム合金箔の化成処理面を脱脂処理した後に、リン酸金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液、またはリン酸非金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液で形成されたものであってもよい。
なお、耐酸性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐酸性皮膜の組成の分析により、例えば、CeとPとOからなる2次イオン(例えば、Ce2PO4 +、CePO4 -などの少なくとも1種)や、例えば、CrとPとOからなる2次イオン(例えば、CrPO2 +、CrPO4 -などの少なくとも1種)に由来するピークが検出される。
化成処理においてアルミニウム合金箔層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、アルミニウム合金箔層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
耐酸性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、アルミニウム合金箔や熱融着樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm〜20μm程度、より好ましくは1〜100nm程度、さらに好ましくは1〜50nm程度が挙げられる。なお、耐酸性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、または、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、アルミニウム合金箔層の表面に塗布した後に、アルミニウム合金箔層の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、アルミニウム合金箔層に化成処理を施す前に、予めアルミニウム合金箔層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、アルミニウム合金箔層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、必要に応じて設けられる層であり、最内層に該当する。本発明の電池用包装材料が熱融着性樹脂層を備える場合、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記のカルボン酸と同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、好ましくは60μm以下、より好ましくは15〜40μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、アルミニウム合金箔層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、アルミニウム合金箔層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である接着剤によって形成される。接着層5の形成に使用される接着剤について、その接着機構、接着剤成分の種類等は、前記接着剤層2の場合と同様である。接着層5に使用される接着剤成分として、好ましくはポリオレフィン系樹脂、更に好ましくはカルボン酸変性ポリオレフィン、特に好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮しつつ、電池用包装材料が上記の物性を満たせば特に制限されないが、例えば、2〜50μm程度、好ましくは10〜40μm程度が挙げられる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のアルミニウム合金箔層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層(図示しない)を設けてもよい。表面被覆層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、マット化剤を配合してもよい。
マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、タルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の一方の表面に塗布する方法が挙げられる。マット化剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂にマット化剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮しつつ、電池用包装材料が上記の物性を満たせば特に制限されないが、例えば、0.5〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、アルミニウム合金箔層3として、前述の平均結晶粒径が10.0μm以下であるものを用いる製造方法を採用することができる。
すなわち、アルミニウム合金箔層3として、「2.電池用包装材料を形成する各層」の欄で説明したアルミニウム合金箔層3を用いて、各層を積層することにより、本発明の電池用包装材料を製造することができる。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、アルミニウム合金箔層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたアルミニウム合金箔層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該アルミニウム合金箔層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
次いで、積層体Aのアルミニウム合金箔層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。アルミニウム合金箔層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aのアルミニウム合金箔層3上に、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂成分をグラビアコート法、ロールコート法等の方法により塗布すればよい。また、アルミニウム合金箔層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、例えば、(1)積層体Aのアルミニウム合金箔層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのアルミニウム合金箔層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのアルミニウム合金箔層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングした高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのアルミニウム合金箔層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)等が挙げられる。
表面被覆層を設ける場合には、基材層1のアルミニウム合金箔層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面にアルミニウム合金箔層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層を形成した後、基材層1の表面被覆層とは反対側の表面にアルミニウム合金箔層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/必要に応じて表面が化成処理されたアルミニウム合金箔層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、必要に応じて設けられる接着剤層2及び接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜5分間が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂層が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1−22及び比較例1−14)
<電池用包装材料の製造>
基材層上に、両面に化成処理を施したアルミニウム合金箔(それぞれ、表1〜4に記載の厚さ)をドライラミネート法により積層させた。具体的には、表3及び表4に記載された平均結晶粒径及び第二相粒子径を有するアルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、アルミニウム合金箔層上に接着剤層を形成した。次いで、アルミニウム合金箔層上の接着剤層と基材層をドライラミネート法で積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/アルミニウム合金箔層の積層体を作製した。なお、アルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体のアルミニウム合金箔層の上に、カルボン酸変性ポリプロピレン(アルミニウム合金箔層側に配置)とランダムポリプロピレン(最内層側)を共押し出しすることにより、アルミニウム合金箔層上に接着層と熱融着性樹脂層を積層させ、基材層/接着剤層/アルミニウム合金箔層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。各層の厚みは、表1,2に記載の通りである。なお、表1,2において、PETはポリエチレンテレフタレート、DLは接着剤層、ONyは延伸ナイロン、PPaはカルボン酸変性ポリプロピレン、PPはランダムポリプロピレンを意味する。また、基材層におけるPET、DL、ONyは、この順に積層されており、ONyがアルミニウム合金層側に位置している。また、アルミニウム合金箔の具体的な材料は以下の通りである。
<アルミニウム合金箔>
A8021材:軟質アルミニウム(JIS H4160 A8021H−O)
なお、アルミニウム合金の平均結晶粒径、第二相粒子は、圧延条件等を変更することにより調整されたものである。すなわち、圧延条件等を種々変更して製造されたアルミニウム合金について、平均結晶粒径及び第二相粒子を測定した上で、実施例及び比較例における電池用包装材料の製造に用いた。
<アルミニウム合金箔の平均結晶粒径の測定>
実施例及び比較例のアルミニウム合金箔層として用いたアルミニウム合金箔における平均結晶粒径は、アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、視野内に位置する任意の100個のアルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとし、100個の結晶粒の当該最大径xの平均値とした。結果を表3,4に示す。
<アルミニウム合金箔の第二相粒子径の測定>
実施例及び比較例のアルミニウム合金箔層として用いたアルミニウム合金箔の第二相粒子径は、厚み方向における断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子のうち、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径yとし、最大径yの大きい順に上位20個の径yの平均値として求めた。結果を表3,4に示す。
(成形性の評価)
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に断裁してサンプルを作製した。このサンプルを30mm×50mmの口径を有する成形金型(雌型)と、これに対応した成形金型(雄型)を用いて、押さえ圧0.4MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形を行った。冷間成形後のサンプルについて、電池用包装材料にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。この限界成形深さから、以下の基準により電池包装材料の成形性を評価した。なお、アルミニウム合金箔の厚みが大きくなるほど、限界成形深さは大きくなる傾向にあることから、成形性評価の基準は、アルミニウム合金箔の厚みごとに設定した。結果を表3,4に示す。
[評価基準1:アルミニウム合金箔の厚みが100μmである場合]
A1:限界成形深さ20.0mm以上
B1:限界成形深さ19.0mm、19.5mm
C1:限界成形深さ18.0mm、18.5mm
D1:限界成形深さ17.5mm以下
[評価基準2:アルミニウム合金箔の厚みが80μmである場合]
A2:限界成形深さ17.0mm以上
B2:限界成形深さ16.0mm、16.5mm
C2:限界成形深さ15.0mm、15.5mm
D2:限界成形深さ14.5mm以下
[評価基準3:アルミニウム合金箔の厚みが50μmである場合]
A3:限界成形深さ10.0mm以上
B3:限界成形深さ9.0mm、9.5mm
C3:限界成形深さ8.0mm、8.5mm
D3:限界成形深さ7.5mm以下
[評価基準4:アルミニウム合金箔の厚みが40μmである場合]
A4:限界成形深さ9.0mm以上
B4:限界成形深さ8.0mm、8.5mm
C4:限界成形深さ7.0mm、7.5mm
D4:限界成形深さ6.5mm以下
[評価基準5:アルミニウム合金箔の厚みが35μmである場合]
A5:限界成形深さ8.0mm以上
B5:限界成形深さ7.0mm、7.5mm
C5:限界成形深さ6.0mm、6.5mm
D5:限界成形深さ5.5mm以下
[評価基準6:アルミニウム合金箔の厚みが30μmである場合]
A6:限界成形深さ7.0mm以上
B6:限界成形深さ6.0mm、6.5mm
C6:限界成形深さ5.0mm、5.5mm
D6:限界成形深さ4.5mm以下
[評価基準7:アルミニウム合金箔の厚みが25μmである場合]
A7:限界成形深さ6.5mm以上
B7:限界成形深さ5.5mm、6.0mm
C7:限界成形深さ4.5mm、5.0mm
D7:限界成形深さ4.0mm以下
[評価基準8:アルミニウム合金箔の厚みが20μmである場合]
A8:限界成形深さ6.0mm以上
B8:限界成形深さ5.0mm、5.5mm
C8:限界成形深さ4.0mm、4.5mm
D8:限界成形深さ3.5mm以下
[評価基準9:アルミニウム合金箔の厚みが15μmである場合]
A9:限界成形深さ5.5mm以上
B9:限界成形深さ4.5mm、5.0mm
C9:限界成形深さ3.5mm、4.0mm
D9:限界成形深さ3.0mm以下
Figure 0006859662
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表3に示される結果から明らかな通り、アルミニウム合金箔の平均結晶粒径が10μm以下である電池用包装材料では、成形性に優れていた。さらに、アルミニウム合金箔の平均結晶粒径が10μm以下であり、かつ、第二相粒子径が5μm以下である電池用包装材料では、成形性に特に優れていた。一方、表4に示されるように、アルミニウム合金箔の平均結晶粒径が10μmを超える電池用包装材料では、成形性に劣っていた。
1 基材層
2 接着剤層
3 アルミニウム合金箔層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
31 結晶粒
32 第二相粒子

Claims (10)

  1. 少なくとも、アルミニウム合金箔層を備えた電池用包装材料であって、
    前記アルミニウム合金箔層の厚みは15μm以上35μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、1.0μm以上7.0μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、1.0μm以上4.6μm以下である、電池用包装材料。
  2. 前記電池用包装材料の厚みが、57μm以上128μm以下である、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記アルミニウム合金箔層が、その少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 二次電池用の包装材料である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料で形成された容器内に収容されている、電池。
  7. 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
    前記アルミニウム合金箔層の厚みは15μm以上35μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔層として、前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、1.0μm以上7.0μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、1.0μm以上4.6μm以下であるものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
  8. 電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔であって、
    前記アルミニウム合金箔層の厚みは15μm以上35μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔の厚み方向の断面において、走査型電子顕微鏡の視野内に位置する任意の100個アルミニウム合金の結晶粒について、個々の結晶粒の前記厚み方向とは垂直方向の最左端と、前記厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を最大径xとした場合に、当該100個の結晶粒の当該最大径xの平均値である平均結晶粒径が、1.0μm以上7.0μm以下であり、
    前記アルミニウム合金箔層の厚み方向の断面において、光学顕微鏡の視野内の任意の100個の第二相粒子について、個々の第二相粒子の厚み方向とは垂直方向の最左端と、厚み方向とは垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとした場合に、当該径yが大きい順に上位20個の第二相粒子の径yの平均が、1.0μm以上4.6μm以下である、電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
  9. 前記アルミニウム合金箔を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、請求項に記載の電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
  10. 前記アルミニウム合金箔が、その少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、請求項8または9に記載の電池用包装材料に使用するためのアルミニウム合金箔。
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