JP6922185B2 - 電池用包装材料、電池、電池用包装材料の製造方法、及びアルミニウム合金箔 - Google Patents
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Description
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
項1. 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体からなり、
前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔は、JIS Z2241:2011に規定された条件に準拠し、下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)及び(2)を充足する、電池用包装材料。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
項2. 前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔は、荷重と変位との関係が、さらに、以下の条件(3)を充足する、項1に記載の電池用包装材料。
条件(3)変位が1mmから5mmに到達する間における、荷重の上昇が3.0N以下である。
項3. 前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記アルミニウム合金箔層の少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 二次電池用の包装材料である、項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1〜5のいずれかに記載の電池用包装材料で形成された容器内に収容されている、電池。
項7. 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔として、JIS Z2241:2011に規定された条件に準拠し、下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)及び(2)を充足するものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
項8. 下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)及び(2)を充足する、電池用包装材料の中間層に用いるアルミニウム合金箔。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
項9. 厚さが30μm以下である、項8に記載のアルミニウム合金箔。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
本発明の電池用包装材料は、図1に示すように、少なくとも、基材層1、アルミニウム合金箔層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に有する積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、最外層側に位置する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、接着剤層2は、基材層1とアルミニウム合金箔層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
電池用包装材料において、アルミニウム合金箔層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止するためのバリア層として機能する層である。アルミニウム合金箔層3は、電池用包装材料の中間層として用いられる。
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。 条件(1):アルミニウム合金箔の変位(圧延方向を基準(0°)として45°方向)が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2):アルミニウム合金箔が破断に至る変位(圧延方向を基準(0°)として45°方向)が、15mm以上である。
条件(3):アルミニウム合金箔の変位(圧延方向を基準(0°)として45°方向)が1mmから5mmに到達する間における、荷重の上昇が3.0N以下である。
上記条件(1)及び(2)、さらには上記条件(3)を充足するAl−Fe系アルミニウム箔は、溶解、鋳造、スラブ、面削、ホモゲナイズ(均質化処理)、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延、箔圧延、最終焼鈍などの各工程を行うことにより製造することができる。溶解工程及び鋳造工程において、例えば、JIS規格A8079H−Oを溶解し、鋳塊を作製する。熱間圧延工程においては、均質化処理後の合金材料を高温環境で圧延する。本工程における合金材料の熱間圧延温度は、280〜300℃とすることが好ましい。続いて、冷間圧延工程において、熱間圧延された合金材料を冷間圧延し、薄く延ばす。本工程における合金材料の冷間圧延温度は、110〜240℃とすることが好ましいさらに、中間焼鈍工程においては、熱処理により冷間圧延後の合金材料内部のひずみを取り除き、組織を軟化させ、展延性を向上させる。本工程における処理温度は、380〜400℃であることが好ましく、特に390℃であることが好ましい。また、処理時間は1.5〜2.5時間とすることが好ましい。これらの条件を適宜調整することにより、上記条件(1)〜(2)、さらには条件(3)を充足するアルミニウム合金箔が得られる。
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、アルミニウム合金箔層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のアルミニウム合金箔層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層(図示しない)を設けてもよい。表面被覆層は、電池を組み立てた時に、最外層に位置する層である。
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、アルミニウム合金箔層3、及び熱融着性樹脂層4がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔として、JIS Z2241:2011に規定された条件に準拠し、上記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、上記の条件(1)及び(2)を充足するものを用いる製造方法を採用することができる。
すなわち、アルミニウム合金箔層3として、「2.電池用包装材料を形成する各層」の欄で説明したアルミニウム合金箔層3を用いて、各層を積層することにより、本発明の電池用包装材料を製造することができる。
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装材料として使用される。
<電池用包装材料の製造>
2軸延伸ナイロンフィルムからなる基材層(厚み12μm)上に、両面に化成処理を施したアルミニウム合金箔(表1に記載の厚み)をドライラミネート法により積層させた。具体的には、それぞれ後述の各アルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、アルミニウム合金箔層上に接着剤層(厚さ3μm)を形成した。次いで、アルミニウム合金箔層上の接着剤層と基材層をドライラミネート法で積層した後、40℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層/接着剤層/アルミニウム合金箔層の積層体を作製した。なお、アルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体のアルミニウム合金箔層の上に、カルボン酸変性ポリプロピレン(アルミニウム合金箔層側に配置)14μmとランダムポリプロピレン(最内層側)10μmを共押し出しすることにより、アルミニウム合金箔層上に接着層と熱融着性樹脂層を積層させ、基材層/接着剤層/アルミニウム合金箔層/接着層/熱融着性樹脂層が順に積層された電池用包装材料を得た。アルミニウム合金箔の具体的な材料は以下の通りである。
A8021材:軟質アルミニウム(JIS H4160 A8021H−O)
なお、後述の引張試験において、アルミニウム合金箔の厚み15μmとした場合に、JIS Z 2241に規定された条件に準拠して、圧延方向を基準(0°)として45°方向に引張試験を行った際の荷重と変位との関係は、アルミニウム合金箔を製造する際の圧延条件等を変更することにより調整されたものである。すなわち、圧延条件等を種々変更して製造されたアルミニウム合金箔について、後述の引張試験を行って下記条件(1)〜(3)を確認した上で、厚み以外は同じ条件で製造したアルミニウム合金箔を用いて実施例及び比較例における電池用包装材料を製造した。
厚みを15μmとしたこと以外は、それぞれ、実施例及び比較例で用いたのと同じアルミニウム合金箔を用意した。次に、各アルミニウム合金箔について、JIS Z 2241:2011に規定された条件に準拠し、下記の試験条件にて引張試験を行った。荷重と変位との関係(下記の(1)から(3))を表1に示す。また、実施例9、実施例10、比較例1、及び比較例3で用いたアルミニウム箔についての荷重と変位との関係を示すグラフを、それぞれ、図3、図4、図5、及び図6に示す。
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
(1):変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重N(なお、15mmに達する前に破断した場合は、グラフの直線を延長し、15mmに達したと仮定して荷重Nを推測する)
(2):破断に至る変位mm
(3):変位が1mmから5mmに到達する間における、荷重(N)の上昇
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形に断裁してサンプルを作製した。このサンプルを30mm×50mmの口径を有する成形金型(雌型)と、これに対応した成形金型(雄型)を用いて、押さえ圧0.4MPaで0.5mmの成形深さから0.5mm単位で成形深さを変えて、それぞれ10個のサンプルについて冷間成形を行った。冷間成形後のサンプルについて、電池用包装材料にピンホール、クラックが10個のサンプル全てにおいて発生しない最も深い成形深さを、そのサンプルの限界成形深さとした。この限界成形深さから、以下の基準により電池包装材料の成形性を評価した。なお、アルミニウム合金箔の厚みが大きくなるほど、限界成形深さは大きくなる傾向にあることから、成形性評価の基準は、アルミニウム合金箔の厚みごとに設定した。結果を表1に示す。
A1:限界成形深さ20.0mm以上
B1:限界成形深さ19.0mm、19.5mm
C1:限界成形深さ18.0mm、18.5mm
D1:限界成形深さ17.5mm以下
A2:限界成形深さ17.0mm以上
B2:限界成形深さ16.0mm、16.5mm
C2:限界成形深さ15.0mm、15.5mm
D2:限界成形深さ14.5mm以下
A3:限界成形深さ10.0mm以上
B3:限界成形深さ9.0mm、9.5mm
C3:限界成形深さ8.0mm、8.5mm
D3:限界成形深さ7.5mm以下
A4:限界成形深さ9.0mm以上
B4:限界成形深さ8.0mm、8.5mm
C4:限界成形深さ7.0mm、7.5mm
D4:限界成形深さ6.5mm以下
A5:限界成形深さ8.0mm以上
B5:限界成形深さ7.0mm、7.5mm
C5:限界成形深さ6.0mm、6.5mm
D5:限界成形深さ5.5mm以下
A6:限界成形深さ7.0mm以上
B6:限界成形深さ6.0mm、6.5mm
C6:限界成形深さ5.0mm、5.5mm
D6:限界成形深さ4.5mm以下
A7:限界成形深さ6.5mm以上
B7:限界成形深さ5.5mm、6.0mm
C7:限界成形深さ4.5mm、5.0mm
D7:限界成形深さ4.0mm以下
A8:限界成形深さ6.0mm以上
B8:限界成形深さ5.0mm、5.5mm
C8:限界成形深さ4.0mm、4.5mm
D8:限界成形深さ3.5mm以下
A9:限界成形深さ5.5mm以上
B9:限界成形深さ4.5mm、5.0mm
C9:限界成形深さ3.5mm、4.0mm
D9:限界成形深さ3.0mm以下
2 接着剤層
3 アルミニウム合金箔層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
Claims (7)
- 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体からなり、
前記アルミニウム合金箔層の厚みは、15μm以上30μm以下であり、
前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔は、JIS Z2241:2011に規定された条件に準拠し、下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)、(2)及び(3)を充足する、電池用包装材料。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
条件(3)変位が1mmから5mmに到達する間における、荷重の上昇が3.0N以下である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。 - 前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金が、0.7質量%以上2.5質量%以下のFe、0.05質量%以下のCu、0.30質量%以下のSiを含む、請求項1に記載の電池用包装材料。
- 前記アルミニウム合金箔層の少なくとも一方の面に耐酸性皮膜を備えている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
- 二次電池用の包装材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用包装材料。
- 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用包装材料で形成された容器内に収容されている、電池。
- 少なくとも、基材層、アルミニウム合金箔層、及び熱融着性樹脂層がこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、
前記アルミニウム合金箔層の厚みは、15μm以上30μm以下であり、
前記アルミニウム合金箔層を構成するアルミニウム合金箔として、JIS Z2241:2011に規定された条件に準拠し、下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)、(2)及び(3)を充足するものを用いる、電池用包装材料の製造方法。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
条件(3)変位が1mmから5mmに到達する間における、荷重の上昇が3.0N以下である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。 - 下記の試験条件にて引張試験を行った際、荷重と変位との関係が、以下の条件(1)、(2)及び(3)を充足する、電池用包装材料の中間層に用いる、厚みが15μm以上30μm以下のアルミニウム合金箔。
条件(1)変位が0mmから15mmに達するのに必要な荷重が、15.0N以上である。
条件(2)破断に至る変位が、15mm以上である。
条件(3)変位が1mmから5mmに到達する間における、荷重の上昇が3.0N以下である。
(試験条件)
試験片の厚さは15μm、試験片の幅は15mm、チャック間距離は100mm、引張速度は20mm/minとする。
引張方向は、アルミニウム合金箔の圧延方向を基準(0°)として、45°方向とする。
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