JP6505570B2 - 発泡粒子成形体及びこれを用いた電波吸収体 - Google Patents

発泡粒子成形体及びこれを用いた電波吸収体 Download PDF

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本発明は、電波吸収体用発泡粒子成形体及びこれを用いた電波吸収体に関する。
アンテナなどの通信機器の特性評価や、電子機器から放射される妨害波の測定のための設備として、外部からの電波の影響を受けず、内部での電波の反響もない電波暗室が使用される。従来、電磁波妨害に関する規格において、電波暗室で測定される電波の周波数帯は、テレビ、ラジオ、携帯電話等で使用される30MHz〜1GHz帯がメインとなっていたが、近年では、無線LAN、ETC、スマートフォン等の発達により30MHz〜18GHzとなっている。さらに、自動車衝突防止用レーダーや光通信などのミリ波を利用した設備の発展により、10GHz以上のマイクロ波帯、ミリ波帯などの高周波数帯にも対応した幅広い周波帯域に対応できる評価施設が求められている。
電波暗室で用いられる電波吸収体としては、導電性カーボン等の誘電損失材料を高充填させた発泡粒子からなる成形体を用いたものが知られている。このような電波吸収体は比較的高周波数であるGHz帯の電波吸収性能は優れているものの、比較的低周波数であるMHz帯の電波吸収性能が低下する傾向にある。そのため、電波吸収体の長さ寸法を大きくしてMHz帯の吸収特性を得るようにしている。しかしながら、電波暗室内の電波吸収体の空間占有率が大きくなり、限られた空間を有効に活用できなくなるといった問題があった。
このような問題を解決するために、これまでに、誘電損失材料を含有する発泡粒子を用いた発泡粒子成形体と、フェライトタイルとを組み合わせて小型化を図った電波吸収体が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。これらの電波吸収体によれば、主に、誘電損失材料を含有する発泡粒子でGHz帯の電波を吸収させ、フェライトタイルなどの低周波吸収体でMHz帯の電波を吸収させている。
特開平4−267596号公報 特開平4−56298号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電波吸収体では、誘電損失材料が練り込まれた発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体が用いられているため、成形体内に略均等に誘電損失材料が存在しており、GHz帯の電波吸収特性には優れるものの、MHz帯の電波吸収性能には限界があり、課題を残すものであった。
また、特許文献2に記載の電波吸収体では、誘電損失材料が付着した発泡粒子と誘電損失材料が付着していない発泡粒子とを用いて電波吸収体用発泡粒子成形体を形成することによって、発泡粒子成形体のMHz帯の電波吸収性能を改善している。しかしながら、発泡粒子成形体成形時に、これら2種の発泡粒子を完全に均一混合することは困難であることから、発泡粒子成形体間の電波吸収性能にバラツキが生じるおそれがあり、生産の管理が難しく、製造上課題を残すものであった。また、通常、誘電損失材料が付着した発泡粒子が黒色系であるのに対して、誘電損失材料が付着していない発泡粒子は白色系であるため、発泡粒子成形体表面に色斑が生じて美観を損ねるといった問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発泡粒子成形体間の電波吸収性能にバラツキが少なく、美観に優れる、電波吸収体用発泡粒子成形体及びこれを用いた電波吸収体を提供することを課題とする。
本発明は、以下に記載の発泡粒子成形体及びこれを用いた電波吸収体を提供する。
<1>電波吸収体用発泡粒子成形体であって、前記発泡粒子成形体を構成する発泡粒子が、熱可塑性樹脂芯層と、該芯層を覆う発泡状態の熱可塑性樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、前記芯層と前記被覆層との質量比が50:50〜1:99の範囲であり、前記芯層には誘電損失材料が含有されていることを特徴とする発泡粒子成形体。
<2>前記発泡粒子成形体の、0.03〜18GHzにおける複素比誘電率の虚数部ε’’の値が、0.01〜1であることを特徴とする<1>に記載の発泡粒子成形体。
<3>前記芯層の、前記熱可塑性樹脂と前記誘電損失材料との合計量100質量%に対する、前記誘電損失材料の含有率が5〜80質量%であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の発泡粒子成形体。
<4>前記誘電損失材料が導電性カーボンブラックであることを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載の発泡粒子成形体。
<5>前記芯層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であると共に、前記被覆層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の発泡粒子成形体。
<6>前記<1>から<5>のいずれかに記載の発泡粒子成形体と、低周波吸収体とを備えることを特徴とする電波吸収体。
本発明によれば、電波吸収体用発泡粒子成形体を構成する発泡粒子が、特定の層構造を有する多層発泡粒子であることにより、製品間で電波吸収性能のバラツキが少なく、外観にも優れるものとなる。また、前記発泡粒子成形体と低周波吸収体を備える電波吸収体は、幅広い周波数領域にわたって優れた電波吸収性能を有すものとなる。
本発明の電波吸収体用発泡粒子成形体を構成する多層発泡粒子の一実施形態を模式的に示した概略斜視図である。 図1における多層発泡粒子のA−Aの断面に相当する、電子顕微鏡写真である。 図1における多層発泡粒子のB−Bの断面に相当する、電子顕微鏡写真である。 電波暗室で使用される電波吸収体の形状を示す斜視図である。 (A)は表面を誘電損失材料でコーティングした発泡粒子から構成される発泡粒子成形体の概略図であり、(B)はその等価回路図である。 (A)は本発明の発泡粒子から構成される発泡粒子成形体の概略図であり、(B)はその等価回路図である。 周波数(MHz)と複素比誘電率の虚数部(ε’’)の関係を示すグラフである。
以下、発明を実施するための形態をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の電波吸収体用発泡粒子成形体を構成する発泡粒子は、熱可塑性樹脂芯層と、該芯層を覆う発泡状態の熱可塑性樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子である。本発明においては、該多層発泡粒子によって電波吸収体用発泡粒子成形体が構成されることによって、電波吸収性能に優れる発泡粒子成形体となる。
従来、誘電損失材料を練りこんで発泡粒子を形成する際には、発泡粒子を構成する樹脂に誘電損失材料を添加するだけであったので、発泡粒子中で誘電損失材料を偏在させることは困難であり、発泡粒子成形体全体に誘電損失材料が分散して、発泡粒子成形体は導電損失σの値が大きくなりやすく、MHz帯の吸収を阻害しやすい性質を有していた。
また、誘電損失材料を含有する発泡粒子と非含有の発泡粒子とを用いて発泡粒子成形体を形成する場合には、誘電損失材料を含有しない発泡粒子が存在することによって、電波吸収体としてのMHz帯の吸収性能が向上するものの、2種類の発泡粒子を完全に均一混合することは困難であり、製造上、品質の安定化の課題を有していた。
一方、本発明においては、前記多層発泡粒子を用いることにより、発泡粒子内で誘電損失材料を偏在させることができる。すなわち、該多層発泡粒子では、発泡粒子一つの中に、誘電損失材料を含有する部分と、非含有の部分とを存在させることができるので、2種の発泡粒子を混合する必要がないため、製造管理が容易である。そして、多数の多層発泡粒子により構成される発泡粒子成形体は、該多層発泡粒子同士が融着して形成され、被覆層の部分と芯層の部分が交互に、分断されて存在することになるので、電波吸収体としてのMHz帯の吸収性能を向上させると共に、電波吸収体の製品間に電波吸収性能のバラツキが生じ難い品質安定性に優れた発泡粒子成形体となる。
図1に、本発明の発泡粒子成形体を構成する多層発泡粒子の一実施形態を模式的に示した概略斜視図を示し、図2に、そのA−Aの断面の実物の電子顕微鏡写真を、図3に、そのB−Bの断面の実物の電子顕微鏡写真を示す。本実施形態の多層発泡粒子1は、図1に示すように、熱可塑性樹脂から形成されている芯層2と、熱可塑性樹脂から形成されている発泡状態の被覆層3とを備えている。
(芯層2)
前記熱可塑性樹脂の芯層2は、必須の成分として誘電損失材料を含有している。芯層2に誘電損失材料が含有されていることにより、発泡粒子成形体は、主にGHz帯の電波吸収性能に優れたものとなる。
(熱可塑性樹脂)
芯層2の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメタクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びこれらのブレンドポリマー等が挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂と他樹脂との混合樹脂を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することがさらに好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体やその分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー系樹脂等が挙げられる。
また、前記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンに由来する構造単位が50質量%以上のプロピレン系共重合体が挙げられ、該共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体などのプロピレンとエチレン又は炭素数4以上のαオレフィンとの共重合体や、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。なお、これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
前記熱可塑性樹脂は、リサイクル性の観点からは架橋されていないことが好ましい。
(誘電損失材料の種類)
芯層2に含まれる誘電損失材料は、発泡粒子成形体としたときに電波吸収性能を発現するものであれば特に限定されるものではなく、無機材料、有機材料を用いることができる。
これらの無機材料としては、例えば、導電性カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンマイクロファイバー、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル等のカーボン類、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等の繊維、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の無機炭酸塩、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム等の無機亜硫酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の無機硫酸塩、酸化鉄、フェライト酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化アンチモン等の無機酸化物、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩、その他タルク、クレー、カオリン、ゼオライト等の粘土又は天然鉱物等を挙げることができる。
これらのなかでも、高い電波吸収性能を発現する無機材料として、カーボン類、金属酸化物が好ましく、その中でも電波吸収性の観点から、カーボン類を好適に用いることができ、具体的には、導電性カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンマイクロファイバー、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル等が挙げられる。
さらに、カーボン類のなかでも、導電性カーボンブラックを好適に用いることができる。この導電性カーボンブラックは、製造法や組成が限定されるものではなく、オイルファーネスブラックやアセチレンブラック、中空構造を有するカーボンブラック等も含まれ、それらのカーボンブラックを親水化、疎水化、酸化、還元、酸性化、塩基性化、有機化処理したものなども含まれる。なお、導電性カーボンブラックとしては、JIS6217−4:2008に基づいて測定されるDBP吸収量が150〜700cm/100gのものが好ましい。
なお、誘電損失材料は、上記した化合物から選択された1種類を使用してもよいし、各種の化合物から2種以上を選択してそれら選択された化合物を併用して使用することもできる。
(誘電損失材料の含有量)
誘電損失材料の含有量は、吸収する周波数帯及びその電波吸収性能に応じて適宜決定することができるが、通常、芯層2の樹脂と該誘電損失材料との合計100質量%に対する配合割合で5質量%以上90質量%以下、好ましくは6質量%以上85質量%以下、より好ましくは7質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上70質量%以下の範囲である。
(芯層2の構造)
芯層2は電波吸収性能を発現させる誘電損失材料が含有されていることを必須の条件とするが、その構造は発泡状態でも、非発泡状態であってもよい。
(被覆層3)
被覆層3は発泡状態で存在することが必要であり、被覆層3を形成する発泡構造は、熱可塑性樹脂を発泡させてなる構造である。被覆層3が発泡状態で存在することにより、より多くの電磁波を発泡粒子成形体中に透過させることが可能となり、効果的に発泡粒子成形体による電磁波の反射を抑制することが可能となる。なお、被覆層3は、熱可塑性樹脂に後述する発泡剤を添加して所定の装置と所定の条件で発泡させることで形成される。さらに、前記多層発泡粒子の被覆層3が発泡状態にあり、二次発泡性に優れていることから、発泡粒子同士の融着性が向上するため、表面平滑性に優れ、良好な機械的強度を有する発泡粒子成形体となる。
(熱可塑性樹脂)
被覆層3を形成する熱可塑性樹脂としては、上記の芯層2を構成する熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。なお、上記に例示した熱可塑性樹脂の範囲で、芯層2とは異なる熱可塑性樹脂を用いることもできる。
(被覆層3における誘電損失材料の存否)
被覆層3には、誘電損失材料が存在してもよいし誘電損失材料を非含有とすることもできるが、被覆層3は、その被覆層3中に配合される誘電損失材料の配合割合が芯層2中に配合される誘電損失材料の配合割合よりも少ないことが好ましく、誘電損失材料が非含有であることがさらに好ましい。なお、被覆層3に対して誘電損失材料を含有させた場合には、電波吸収性能を調整することができるが、発泡粒子成形体の成形性の観点からは、被覆層3における誘電損失材料の含有量は、被覆層3を形成する樹脂と該誘電損失材料の合計100質量%に対する配合割合で30質量%以下(0を含む)であることが好ましく、10質量%以下(0を含む)であることがより好ましく、5質量%以下(0質量%を含む)であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤等)
多層発泡粒子1における芯層2、被覆層3には、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、結晶核剤等が挙げられる。
被覆層3中の誘電損失材料の含有量が、芯層2中の誘電損失材料の含有量よりも少ない場合又は被覆層3中に誘電損失材料を含まない場合には、該多層発泡粒子は、芯層2と同濃度の誘電損失材料を含む単層発泡粒子に比べて融着性に優れる。したがって、単層型の、誘電損失材料を含有する発泡粒子に比べて、隣り合う多層発泡粒子1同士をより確実に融着させることが容易となる。また、外層は、添加剤などを加えることによって着色したり、色調を変えることができる。例えば、外層を白色または色が薄くなるようにして、白色等の明るい色調にすることで、電波暗室内の照明効率を高めることができ、外観、色調に優れたものとなるという効果が得られる。
(芯層2と被覆層3の質量比)
前記多層発泡粒子1において、芯層2と被覆層3との質量比は、芯層:被覆層が50:50〜1:99、好ましくは40:60〜2:98、より好ましくは20:80〜3:97である。このような質量比とすることにより、誘電損失材料を多く含有する芯層2が被覆層3により確実に被覆され、誘電損失材料の含有量を多くしつつ成形時の融着性にも優れる多層発泡粒子となる。
[多層発泡粒子1の製造方法]
熱可塑性樹脂多層発泡粒子1を製造する際には、例えば、2基の押出し機を準備し、一方の押出し機で芯層2を形成するための熱可塑性樹脂組成物を混練し、他方の押出し機で被覆層3を形成するための熱可塑性樹脂組成物を混練した後、所定形状のダイから共押出を行うことにより、芯層(R)と、芯層(R)を被覆する被覆層(R)とからなる鞘芯型の紐状の複合体を得、該複合体を切断し、芯層(R)と被覆層(R)とからなる、0.1〜10mgの、柱状の非発泡の樹脂粒子を得る。
次に、前記芯層(R)と被覆層(R)からなる複合樹脂粒子を、加圧可能な密閉容器(例えば、オートクレーブ)中の水性媒体(通常水)に分散させ、分散剤を添加し、所要量の発泡剤を圧入し加圧し所要時間加温下に撹拌して発泡剤を複合樹脂粒子に含浸させた後、水性媒体と一緒に内容物を容器内圧力より低圧域に放出して発泡させることなどにより、多層発泡粒子を得ることができる。なお、発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤や、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水といったいわゆる無機系物理発泡剤などといった各種の物理発泡剤が例示される。こうした各種物理発泡剤の中でも、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水からなる群から選択される1又は2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが好適である。
(見掛け密度)
前記多層発泡粒子は、軽量性の観点から、発泡粒子全体の見掛け密度が0.3g/cm以下であることが好ましい。前記多層発泡粒子は、見掛け密度が0.3g/cm以下であっても、優れた二次発泡性が得られるとともに、成形性にも優れている。前記見掛け密度は、0.02〜0.25g/cmであることがより好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.2g/cmである。
(平均気泡径)
前記多層発泡粒子の被覆層3部分の平均気泡径は、型内成形性や得られる成形体の機械的強度の観点から40〜300μmであることが好ましい。さらに
前記平均気泡径は、45〜280μmであることが好ましく、より好ましくは50〜250μmである。
(独立気泡率)
前記多層発泡粒子の独立気泡率は、発泡成形性、発泡粒子成形体の機械的強度や表面平滑性等の観点から、70%以上であることが好ましい。より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、平均気泡径、見掛け密度、及び独立気泡率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
(熱可塑性樹脂発泡粒子成形体)
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、多数の熱可塑性樹脂発泡粒子1から構成される。前記発泡粒子成形体は発泡粒子を型内成形することにより得ることができる。熱可塑性樹脂発泡粒子成形体に形状は特に限定されるものではなく、板状や柱状、また、種々の立体形状に適宜設定が可能である。本発明の発泡粒子成形体は、多層発泡粒子により構成されるものであるので、発泡粒子成形体中で芯層と被覆層とが交互に存在する。したがって、本発明の発泡粒子成形体は、MHz帯からGHz帯までの広域な電磁波の吸収特性を持つ優れた電波吸収性能を有するものとなる。
(見かけ密度)
前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、その見かけ密度を特に限定するものではないが、見かけ密度が0.015〜0.45g/cmであることが好ましい。発泡粒子成形体の見かけ密度は、成形体の質量を成形体の体積で除することにより求めることができる。上記観点から、0.02〜0.3g/cmであることが好ましく、0.03〜0.2g/cmであることがさらに好ましい。なお、成形体の体積は、成形体の外形寸法などから求めることができる。
(融着率)
前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、一体性を保つことができれば特に融着率が限定されるものではないが、機械的強度に優れた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得る点を考慮した場合、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の融着率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であることが望ましい。本発明においては、融着性に優れる多層発泡粒子を型内成形してなるので、融着に優れた発泡粒子成形体となる。
(複素比誘電率の虚数部ε’’)
本発明の発泡粒子成形体においては、周波数0.03〜18GHzにおける、複素比誘電率の虚数部ε’’が、0.01〜1の範囲であることが好ましく、0.01〜0.5の範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.3である。上記範囲内であれば、電波吸収体用発泡粒子成形体として優れた電波吸収性能を有するものとなる。
[電波吸収体]
本発明の電波吸収体は、前記発泡粒子成形体と低周波吸収体とを備えるものであり、MHz帯からGHz帯までの電磁波を吸収させることで、幅広い周波数領域に対応が可能な電波吸収体となる。具体的には、前記発泡粒子成形体と磁性損失材料からなる低周波吸収体とを積層して、電磁波到来側に前記発泡粒子成形体を配置し、他方側に低周波吸収体を配置することが好ましい。また、前記発泡粒子成形体は、電磁波到来側の端部から他方の端部に向かって、単位体積に占める発泡粒子成形体の体積の割合が大きくなる形状であることが好ましい。例えば、発泡粒子成形体は楔(ウェッジ)形状や多角錘形状を有することが好ましい。
また、低周波吸収体としては、MHz帯の比較的低周波数の電波を吸収可能なものであれば特に制限はないが、フェライト等の磁性損失材料が挙げられ、具体的には板状のフェライトタイルなどがある。本発明の発泡粒子成形体とフェライトタイル等とを組み合わせて電波吸収体とすることにより、MHz帯からGHz帯までの広い帯域の周波数の電磁波をより安定的に吸収可能な電波吸収体とすることができる。
以下に、誘電損失材料を含有する発泡粒子成形体と磁性損失材料を含有する低周波吸収体とからなる電波吸収体について説明する。
上記のような複合型電波吸収体においては、例えば、誘電損失材料として導電性グラファイトを含有する発泡粒子成形体と、磁性損失材料としてフェライトタイルとからなる電波吸収体が用いられる。ここで、フェライトタイルは400MHz以下の低周波域において良好な吸収特性を示すので、低周波域の電波をフェライトの磁性損失により吸収し、400MHz以上の高周波域の電波はフェライトタイルの表面側に設置した誘電損失材料を含有する発泡粒子成形体により吸収する仕組みとなっている。
なお、フェライトタイルと空間(空気)のインピーダンスがマッチングするように設計すると発泡粒子成形体の誘電損失材料濃度が濃すぎる場合には、そのインピーダンスが空気と大きく異なるため、インピーダンス不整合により発泡粒子成形体部分での電磁波の反射が起こりやすくなり、低周波域を受け持つフェライトタイルの吸収特性を阻害し易くなると考えられる。
一方、発泡粒子成形体の誘電損失材料を低濃度化すると、フェライトタイルの吸収特性を阻害することはなくなるが、発泡粒子成形体自体の単位長さあたりの電波吸収特性が低下するため、同じ性能を出すためには、吸収体を長く(発泡粒子成形体が多角錘形状の場合には多角錘の高さを高く)しなければならない。結果として、空間占有率が大きくなり、限られた空間を有効に活用できなくなってしまう。
したがって、前記電波吸収体における発泡粒子成形体は、フェライトの吸収特性の良い低周波域(30〜400MHz)においては複素比誘電率の虚数部ε’’が低く、それ以上の高周波域では複素比誘電率の虚数部ε’’が高くなるような周波数特性を持ったものが望ましい。つまり、低周波域ではフェライトタイルが電波を吸収し、高周波域では発泡粒子成形体が電波を吸収し、広い周波数帯域において効率的に電波を吸収できる。
なお、誘電損失材料の電波吸収は、誘電損失ε’’に起因するもの、導電損失σに起因するものがあり、下式(1)で表される。
ε’’=ε’’ + σ/(2πf) ・・・(1)
(式中、ε’’は誘電損失、σは導電損失、ε’’は複素比誘電率の虚数部、fは周波数を意味する。)
前記発泡粒子成形体とフェライトタイルとを複合させた電波吸収体に使用する観点からは低周波帯ではフェライトによる吸収効果を主とするため発泡粒子成形体のε’’が小さいほうが望ましく、特に、周波数が30〜400MHzの範囲において複素比誘電率の虚数部ε’’が0.01〜1の範囲であることが好ましく、0.01〜0.5の範囲であることがより好ましい。
図5(A)に示す従来例のように、発泡粒子の表面を誘電損失層でコーティングした場合には、各発泡粒子間に誘電損失層が連続して形成され、等価回路としては図5(B)のようになると考えられる。この場合には、等価回路の抵抗成分の影響が大きく、式(1)において導電損失σが主体となる。したがって、電波吸収体としては望ましくない。
一方、図6(A)に示す本発明のように、多層発泡粒子からなる発泡粒子成形体においては、発泡粒子の芯層に該当する誘電損失層が完全に他の誘電損失層と分断されることになり、等価回路としては、図6(B)のようになると考えられる。この場合は、等価回路のコンデンサー成分が大きく、式(1)においては誘電損失ε’’ *が主体となるので、電波吸収体として特に優れたものとなる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
以下の原料を用いて調整し、実施例1〜4及び比較例1〜3の熱可塑性樹脂発泡粒子、成形体、及び電波吸収体を得た。
(原料)
熱可塑性樹脂:表1に示すポリプロピレン系樹脂
誘電損失材料:表2に示す導電性カーボンブラック
[熱可塑性樹脂発泡粒子の製造]
(実施例1)
内径65mmの樹脂粒子芯層用押出機及び内径30mmの樹脂粒子被覆層用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイを付設した押出機を用い、表3に示した配合となるように、表1のポリプロピレン系樹脂、誘電損失材料として表2の導電性カーボンブラックを内径65mmの芯層用押出機に、また、同時に、表3に示した配合となるように、表1のポリプロピレン系樹脂、着色剤として表2のカーボンブラックを内径30mmの被覆層用押出機に供給し、それぞれを設定温度200〜220℃に加熱、溶融、混練した後、前記ダイに供給した。そして、ダイ内で合流させて押出機先端に取り付けた口金の細孔から、芯層の側面に被覆層が被覆された多層ストランドとして共押出し、ペレタイザーで2mg(L/D=1.3)になるように切断して2層(鞘芯構造)に形成された円柱状の樹脂粒子を得た。また、芯層:被覆層の質量比を実施例1では10:90とした。上記樹脂粒子1kgを、分散媒体の水3L、分散剤としてカオリン3g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02gと共に5Lのオートクレーブ内に仕込み、分散媒中で密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、撹拌下に発泡温度まで加熱昇温して同温度に15分間保持して調整し、密閉容器内圧力を表3に示す値とした後、オートクレーブ内容物を大気圧下に水と共に放出して発泡粒子を得た。
[熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(発泡粒子成形体)の製造]
前記で得られた発泡粒子を、平板形状の金型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行って平板状発泡成形体を得た。
[電波吸収体の製造]
上記と同様にして得られた発泡粒子を用いて、高さ300mmの四角錐形状に変更した以外は、上記の条件と同様にして発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子成形体と、フェライトタイル(底面100mm×100mm、厚さ5.2mm;リケン環境システム社製、商品名RF044)とを積層して、図4のような成形体形状(全体の底面が600mm×600mmとなるようにして、電波吸収体を得た。なお、発泡粒子成形体は、フェライトタイル上に木下地を取り付け、ビスで固定した。
(実施例2〜5)
表3に示された条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体、電波吸収体を得た。
(比較例1)
表1のPP1 86質量%、表2のCB1 14質量%、及び、PP1とCB1の合計100質量部に対してホウ酸亜鉛0.1質量部となるように、内径50mm単軸押出機に供給し、200〜220℃で溶融混練してストランド状に押出し、該ストランドを冷却、切断して、ペレタイザーで2mg、L/D=2.4になるように切断して表3に記載の単層の樹脂粒子を得た以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体、電波吸収体を得た。
(比較例2)
表3に示された条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、発泡粒子、発泡粒子成形体、電波吸収体を得た。
(比較例3)
表1のPP1 86質量%、表2のCB1 14質量%、及び、PP1とCB1の合計量100質量部に対してホウ酸亜鉛0.1質量部となるように、内径50mm単軸押出機に供給し、200〜220℃で溶融混練してストランド状に押出し、該ストランドを冷却、切断して、ペレタイザーで2mg、L/D=2.4になるように切断して樹脂粒子1を得た。
表1のPP2を99.4質量%、表2のCB2を0.6質量%、PP2とCB2の合計量100質量部に対してホウ酸亜鉛0.1質量部を、内径50mmの単軸押出機に供給し、200〜220℃で溶融混練してストランド状に押出し、該ストランドを冷却、切断して、ペレタイザーで2mg、L/D=2.4になるように切断して樹脂粒子2を得た。
上記樹脂粒子1 1kgを、分散媒体の水3L、分散剤としてカオリン3g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.04gと共に5Lのオートクレーブ内に仕込み、分散媒中で密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、撹拌下に148℃まで加熱昇温して密閉容器内圧力を2.6MPaに保持しつつ、同温度で15分間保持して調整した後、オートクレーブ内容物を大気圧下に水と共に放出して、見かけ密度0.065g/cmの発泡粒子1を得た。また、樹脂粒子2においても同様にして、見かけ密度0.065g/cmの発泡粒子2を得た。発泡粒子1と2を質量比率で15:85となるようにタンブラーで混合し、これを用いて、成形圧0.26(MPa(G))で成形を行い、実施例1と同様の形状の発泡粒子成形体(見かけ密度0.055g/cm)、電波吸収体を得た。
なお、表3中、被覆層/芯層質量比とは、粒子全質量に占める被覆層、芯層それぞれの質量比率(%)を示す。
発泡粒子及び発泡粒子成形体、電波吸収体の評価方法は下記により行った。
[発泡粒子の見掛け密度]
発泡粒子の見掛け密度は次のようにして求めた。まず1Lのメスシリンダーを準備し、メスシリンダー内の1Lの標線まで発泡粒子の群を充填した。充填された1Lあたりの発泡粒子群の質量(g/L)を測定し、単位換算することによって発泡粒子の見掛け密度(g/cm)を求めた。
[発泡粒子の独立気泡率]
発泡粒子の独立気泡率は、下記により測定した。恒温室内にて、10日間放置した発泡粒子を測定用サンプルとし下記の通り水没法により正確に見かけの体積Vaを測定した。見かけの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製「空気比較式比重計930」により測定される測定用サンプルの真の体積の値Vxを測定した。そして、これらの体積値Va及びVxを基に、下記式(2)により独立気泡率を計算し、サンプル5個(N=5)の平均値を発泡粒子の独立気泡率とした。
独立気泡率(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ)・・・(2)
(式中、
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の容積と、発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm
Va:発泡粒子を、水の入ったメスシリンダーに沈めて、水位上昇分から測定される発泡粒子の見かけの体積(cm
W:発泡粒子測定用サンプルの重量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm
を意味する)
[発泡粒子の平均気泡径]
発泡粒子の平均気泡径は、次のようにして測定した。
発泡粒子を図3のようなB−B断面で略二等分した切断面を顕微鏡で撮影した拡大写真に基づき、以下のとおり求めた。まず、発泡粒子の切断面拡大写真において、発泡粒子の切断面の中心を通るように上端表面から下端表面まで最小距離をとるような線分に対する垂直二等分線lを引き、lが通る発泡粒子の左端表面から右端表面までの線分lの長さを測定して、その長さをLc(μm)とし、直線lが交わる気泡の数Nc(個)を求め、LcをNで除した値(Lc/Nc)を発泡粒子1個の芯層2部分の平均気泡径とした。
次に、上端表面から100μm内側を通る曲線を右端表面から左端表面まで引き、その長さLs(μm)と曲線と交わる気泡の数Ns(個)を求め、LsをNsで除した値(Ls/Ns)を発泡粒子1個の被覆層3部分の平均気泡径とした。この作業を10個の発泡粒子について行い、各発泡粒子の芯層2、被覆層3部分の平均気泡径を相加平均した値を発泡粒子の芯層2、被覆層3部分の平均気泡径とした。
[発泡粒子成形体の見かけ密度]
発泡粒子成形体の見かけ密度は、成形体の質量(g)を成形体の外形寸法から求めた体積(cm)で割り算することにより求めた。
[発泡粒子成形体の融着率]
融着率の測定は、発泡粒子成形体を破断した際の破断面に露出した発泡粒子のうち、材料破壊した発泡粒子の数の割合を測定した。具体的には、発泡粒子成形体から試験片を切り出し、カッターナイフで各試験片に深さ約5mmの切り込みを入れた後、切り込み部から発泡粒子成形体を破断させた。次に、発泡粒子成形体の破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(b)と(n)の比(b/n)を百分率で表して融着率(%)とした。
実施例1〜4、比較例1〜3の発泡粒子成形体の融着率はいずれも100%であった。
[発泡粒子成形体の複素比誘電率の虚数部ε’’]
平板状に成形した発泡粒子成形体から、ドーナツ形状のサンプルを作製し、該サンプルについて同軸導波管を使用したSパラメーター法により、真空の誘電率との比である複素比誘電率の虚数部ε’’を30MHz〜18GHzについて測定した。測定結果の一例を表4、図7に示す。
さらに、実施例2〜5、比較例1、2についても、同様の測定を行い、その結果から、以下の評価基準で評価した。
○:各周波数における、サンプル10個の測定値の平均値が0.01〜0.5の範囲内にある。
×:各周波数における、サンプル10個の測定値の平均値が0.01〜0.5の範囲外に存在する。
その結果を表3に示す。
[発泡粒子成形体間の性能のばらつき]
実施例1と比較例3において、発泡粒子成形体5個試作し、周波数1GHzにおいて同軸導波管を使用したSパラメーター法により、ε’’を測定した。そして、ε’’の(最大値−最小値)/2/平均値を求め性能のばらつきを評価した。その測定結果を表5に示す。
[電波吸収体性能測定]
実施例、比較例の発泡粒子を用いて電波吸収体を100個試作し、周波数30MHz、100MHz、1GHz、18GHzにおいて、IEEE Std1128による、同軸管法(周波数30MHz、100MHz)およびアーチ法(周波数1GHz、18GHz)により、電波吸収量(dB)を測定し、平均値を求めた。その結果を表6に示す。
上記表3の評価から、実施例1〜5の発泡体は、芯層には誘電損失材料を高充填しているため、誘電損失材料の機能を発揮させることができ、また、どの部分においても芯層と被覆層の比率が一定であるので、十分に安定した電波吸収能力を有することが確認された。
一方、比較例1は、導電性発泡粒子のみを含むため、所望の電波吸収性能が得られなかった。
また、比較例2は、芯層に比べて被覆層に誘電損失材料が多く充填されているため、十分な電波吸収性能が得られなかった。
比較例3は、芯2種類の発泡粒子の配合比が場所によって一定でないため、製品間の性能のばらつきが多い結果となった。
1 多層発泡粒子
2 芯層
3 被覆層
4 電波吸収体(四角錐)

Claims (6)

  1. 電波吸収体用発泡粒子成形体であって、
    前記発泡粒子成形体を構成する発泡粒子が、熱可塑性樹脂芯層と、該芯層を覆う発泡状態の熱可塑性樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、
    前記芯層と前記被覆層との質量比が50:50〜1:99の範囲であり、
    前記芯層には誘電損失材料が含有されていることを特徴とする発泡粒子成形体。
  2. 前記発泡粒子成形体の、0.03〜18GHzにおける複素比誘電率の虚数部ε’’の値が、0.01〜1であることを特徴とする請求項1に記載の発泡粒子成形体。
  3. 前記芯層の、前記熱可塑性樹脂と前記誘電損失材料の合計100質量%に対する、前記誘電損失材料の含有率が5〜80質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡粒子成形体。
  4. 前記誘電損失材料が導電性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発泡粒子成形体。
  5. 前記芯層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であると共に、前記被覆層を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の発泡粒子成形体。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の発泡粒子成形体と、低周波吸収体とを備えることを特徴とする電波吸収体。

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