JP4638487B2 - 誘電体レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体レンズに関する。より詳しくは、本発明は、セラミックスを含有する半球形状の発泡体中芯層と複数の半球形状の発泡体ドーム層が同心的に積層され、かつ、各層の単位体積あたりのセラミックス含有量が調整されている半球形状のルーネベルグ型誘電体レンズに関する
近年、情報通信技術のめざましい発達、情報量の更なる増加に伴い、信号情報のより一層の正確さ、迅速さが求められている。それに伴い、電波の高周波化が急速に進められ、1GHz以上、特に10〜20GHzといった高周波帯域の利用が本格化してきている。
その結果、衛星放送や衛星通信において、従来の主流であったパラボラアンテナで電波を送受信する方式に換えて、ルーネベルグレンズ型アンテナを用いる方式の開発が期待されている。
即ち、パラボラアンテナを用いる衛星放送や衛星通信は、静止衛星を用い、向きを固定したパラボラアンテナで電波を送受信する方式である。しかし、この方式では複数の衛星と電波を送受信する場合には、アンテナの向きを目的の衛星の位置に合せ直さなければならず、或いは、複数のパラボラアンテナを用意しなければならなかった。これに対し、ルーネベルグレンズ型アンテナ(ルーネベルグレンズ型の誘電体レンズを備えた球形状又は半球形状アンテナ)は、フィードを該アンテナのカバー上のルーネベルグレンズの焦点位置に複数個配置することにより、複数の静止衛星と電波を送受信することができる。また、低軌道移動衛星(LEO)のように送受信相手となる衛星やアンテナが移動する場合、パラボラアンテナではアンテナ全体での追尾が必要であったが、このルーネベルグレンズ型アンテナでは受信機や送信機などの小さな部品だけの追尾ですむため、大きな駆動装置を設置する必要がなく移動体用アンテナとしても好適なものである。このルーネベルグレンズ型アンテナを用いる方式によれば、各家庭単位で大容量の情報を一つのアンテナにより送受信することが可能となり、例えばテレビ放送受信用アンテナとしても多チャンネル時代に対応することができる。
上記ルーネベルグレンズ型アンテナには、電波を収束させる機能をもつルーネベルグレンズ型の誘電体レンズが備えられている。このルーネベルグレンズ型の誘電体レンズに用いる材料としては、情報の大容量化、即ち電波の高周波化に対応するための優れた誘電特性(均一な誘電率や低い誘電正接)が要求される。その上、アンテナとして各家庭の屋根等に設置されることが多いので、設置の作業性や安全性を考慮して小型且つ軽量であることが要求される。
上記ルーネベルグレンズ型誘電体レンズにおいては、比誘電率の異なる複数の層が同心的に積層された球形状又は半球形状をなし、中心層の比誘電率が理論上2で、外層となるほど比誘電率が低くなり、最外層で理論上1となるように設計されている。理論的には、下記(1)に示されるように、各層の比誘電率εを設計することが要求され、(1)式で定まる値を基準として各層の比誘電率が定められる。
ε=2−(r/R) (1)
但し、εはレンズ部材該当部の比誘電率、Rはレンズ半径、rはレンズ部材の該当部半径である。
なお、ルーネベルグレンズ型誘電体レンズは、(1)式によって定まる理想曲線に沿って連続的に比誘電率を変化させた成形体を得ることが困難であるため、均一な比誘電率の層を複数組み合わせて作成される。米国特許出願公開公報第20040029985号にはルーネベルグレンズ型誘電体レンズが記載されている。この誘電体レンズは、芯と複数の比誘電率の異なる中空球形殻からなる球形状であり、球形殻が芯を取り囲んで同心的に積層され同心球を形成している。芯と殻は誘電体フィラーを含む合成樹脂の発泡体からなるものである。この誘電体レンズは、軽量であることから、設置の作業性や安全性を満足するものである。しかし、米国特許出願公開公報第20040029985号の誘電体レンズを用いたアンテナは、アンテナ利得などの実用上十分なアンテナ性能を与えるものではなかった。
本発明は、アンテナ利得などの実用上十分なアンテナ性能を与えるルーネベルグレンズ型誘電体レンズを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、単位体積あたりのセラミックス含有量が異なる、誘電体レンズの製造に好適な一連の発泡成形体を製造する方法を提供することである。
本発明によれば、
半球形状の外表面を持つ半球形状の中芯層と、
各々同心半球形状の内表面と外表面を持つ複数の半球形状ドーム層とから構成される半球形状の誘電体レンズであって、
中芯層及び各ドーム層の外表面は異なる外径を持ち、各ドーム層の内表面は異なる内径を持ち、
中芯層と各ドーム層は順次互いに同心的に嵌合一体化されて半球形状とされ、
中芯層はセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
各ドーム層は0〜80重量%のセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
中芯層及び各ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量は、中芯層から最外層のドーム層に向かって小さくなっており、
中芯層及びドーム層の各々において、その見かけ密度の標準偏差は0.07g/cm以下であり、
中芯層の外表面に隣接する部分、又は最外層のドーム層を除く各ドーム層の内表面及び外表面に隣接する部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)の比(V/N)が、0.2〜1.0であることを特徴とする誘電体レンズが提供される。

本発明はまた、
球形状の外表面を持つ球形状の芯と、
各々同心球形状の内表面と外表面を持つ複数の中空球形状殻とから構成される球形状の誘電体レンズであって、
芯及び各殻の外表面は異なる外径を持ち、各殻の内表面は異なる内径を持ち、
芯と各殻は順次互いに同心的に嵌合一体化されて球形状とされ、
芯はセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
各殻は0〜80重量%のセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
芯及び各殻の単位体積あたりのセラミックス含有量は、芯から最外殻に向かって小さくなっており、
芯及び殻の各々において、その見かけ密度の標準偏差は0.07g/cm以下であり、
中芯層の外表面に隣接する部分、又は最外層のドーム層を除く各ドーム層の内表面及び外表面に隣接する部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)の比(V/N)が、0.2〜1.0であることを特徴とする誘電体レンズを提供するものである
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の発明を実施するための最良の形態を添付の図面を鑑み考慮することにより明らかとなろう。
本発明の半球形状の誘電体レンズは、半球形状の中芯(中心)層と、この中芯層上に同心的に積層された複数の半球形状ドーム層(殻)とから構成される。好ましくは、中芯層とそれに隣接するドーム層との間隙はできるだけ小さいことが好ましく、また隣接する2つのドーム層同士の間隙もできるだけ小さいことが好ましい。即ち、誘電体レンズの隣接する2つの層は互いに接触していることが好ましい。これらの間隙が大きいと、空気−層界面を電波が透過する際に不必要な反射や屈折が発生し、アンテナ利得の低下やサイドローブの上昇を起こす虞がある。
2つの同様な本発明の半球形状誘電体レンズを合体して球形とすることにより、球形状の誘電体レンズが得られる。この場合、球形状誘電体レンズの最内層としては、2つの半球形状の中芯層を用いる代わりに、1つの球形状の中芯層を用いることができる。そのような球形状誘電体レンズも本発明の範囲に含まれることは言うまでも無い。
図1に、本発明の半球形状誘電体レンズの一例を示す。図1の誘電体レンズの分解図を示す第2図に示すように、誘電体レンズは、半球形状の外表面5を持つ半球形状の中芯層1と、半球形状の外表面5a、5b、5c、5dと半球形状の内表面6a、6b、6c、6dを持つ半球形状のドーム層2a、2b、2c、2dとからなる。各ドーム層2a、2b、2c、2dの外表面5a、5b、5c、5dはその内表面と同心である。外表面5a、5b、5c、5dの直径は互いに異なり、また、内表面6a、6b、6c、6dの直径は互いに異なる。中芯層1と各ドーム層2a、2b、2c、2dを順次互いに同心的に嵌合して一体化することにより、図1の誘電体レンズが得られる。図1において、3で示すのは半球形状の中空カバーであり、その半球形状の窪みに、誘電体レンズがその最外層2dがカバー3の内面に密着して嵌装される。カバーは合成樹脂で形成することができる。多層誘電体レンズの平坦面に電波反射部材(図示せず)を取り付けることによりルーネベルグレンズ型アンテナが構成される。但し、本発明は図1に示す態様に限定するものではない。
本発明の誘電体レンズの直径は、十分なアンテナの性能及び製造の容易さの点で、好ましくは約50〜約4000mm、より好ましくは約50〜約2000mm、更に好ましくは約120〜約1800mm、最も好ましくは350〜1000mmである。ドーム層の層数は2層以上であり、その上限は約80である。前記(1)式で示される理想的な曲線により近似させる観点から、ドーム層の数は4層以上、特に7層以上が好ましい。層数が増えるとアンテナ利得に悪影響を及ぼす空気−層界面の数が増大する虞がある。誘電体レンズにおいてはその中芯層から最外層まで理論的には比誘電率を2〜1に変化させる。従って、ドーム層の層数が多すぎる場合、各層間の比誘電率の差を極端に小さくする必要がある。アンテナ部材の成形状況に因っては比誘電率の大小関係が隣接する層において逆転してしまいアンテナ性能が低下する虞がある。かかる観点から、ドーム層の数は40以下、より好ましくは20以下とするのが良い。各ドーム層の厚みは好ましくは10〜80mm、より好ましくは15〜50mm、最も好ましくは15〜30mmである。
尚、本発明における半球形状の中芯層及び半球形状ドーム層の各々は、一体として成形されていることが好ましいが、多分割された複数の部材を組合わせたものであっても良い。
本発明の中芯層は、セラミックスを含有させた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、各ドーム層は0〜80重量%のセラミックスを含有させた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる。該発泡粒子成形体は、必要に応じてセラミックスを含有させた熱可塑性樹脂発泡粒子を金型内に充填して加熱成形する型内成形法により形成されたものである。なお、該発泡粒子は必要に応じてセラミックスを含有させた熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子を発泡させることにより製造されたものである。
発泡粒子成形体の基材樹脂として用いる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂、スチレンをポリプロピレン系樹脂などにグラフト共重合させる等して得られるスチレン改質ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらは2つ以上を混合して用いることができ、また、他の樹脂と混合して用いることもできる。これらの中でも、発泡粒子を製造する際の見かけ密度調整のし易さ等の生産上の利点からポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましく、特に、耐熱性、機械的強度、加工性に優れることからポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、又は70モル%以上、好ましくは80モル%以上のプロピレンと他のコモノマーとの共重合体が用いられる。上記プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマー、プロピレン−ブテンランダムコポリマー、プロピレン−エチレン−ブテンランダムターポリマーなどが例示される。
中芯層の泡粒子成形体は、セラミックスを含有する。一方、ドーム層を構成する発泡粒子成形体は、0〜80重量%のセラミックスを含有する。発泡粒子成形体がセラミックスが含有されていることから、その比誘電率は容易に調整可能である。比誘電率は発泡粒子成形体の見かけ密度を変えることによっても調整することができるが、見かけ密度を変えるだけでは比誘電率を1.4以上にすることは容易ではない。これに対し、発泡粒子成形体にセラミックスを含有させれば、比誘電率を1.4以上にすることができる。従って、本発明においては、発泡粒子成形体の見かけ密度と発泡粒子成形体中のセラミックス含有量(重量%)を調整することにより、発泡粒子成形体の比誘電率が調整される。
前記(1)式で定まる理論式を基準として、中芯層の比誘電率を約2とし、最外ドーム層で約1となるように変化させるためには、中芯層及びドーム層を構成する発泡粒子成形体の単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)は中芯層から最外ドーム層に向かって小さくなっていることが重要である。例えば、発泡粒子成形体に特定量(重量%)のセラミックスを含有させ、各層を構成する該発泡粒子成形体の見かけ密度を、外層側に位置するものほど小さくなるように調整することによって、発泡粒子成形体の単位重量あたりのセラミックス含有量(重量%)を所望のプロフィールを持つようにすることができる。この場合、発泡粒子成形体の単位重量あたりのセラミックス含有量(重量%)が同じであっても、単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)を、外層側に位置するものほど小さくすることができる。このことは、同一の樹脂粒子(ペレット)を異なる発泡倍率で発泡させて、見かけ密度が異なる種々の発泡粒子を製造し、該発泡粒子群を異なるサイズの金型を用いて型内成形することにより、比誘電率が所望のプロフィールを持つように調整された一連の発泡粒子成形体を得ることが出来ることを意味し、比誘電率制御の簡便化、生産性の向上など優れた効果をもたらす。本発明の誘電体レンズは1〜7種、特に2〜5種の単位体積あたりのセラミックス含有量の異なる樹脂粒子から形成されることが好ましい(この場合、誘電体レンズの層数をXとしたとき、樹脂粒子の種類は(X−1)を超えることは無い)。各種の樹脂粒子を異なる発泡倍率で発泡させて異なる見かけ密度を持つ発泡粒子を製造し、これらの発泡粒子を異なる金型を用いて成形し、これにより誘電体レンズを得ることができる。
本明細書及び請求の範囲において、「中芯層及び各ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)は、中芯層から最外層のドーム層に向かって小さくなっている」とは、各ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)が、それに隣接する内側のドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量と実質的に同じかもしくは少ないこと、かつ、最外ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)が、最内ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量よりも少ないことを意味する。図1の誘電体レンズを例に具体的に説明すると、中芯層1、ドーム層2a、2b、2c、2d、各層の該セラミックス含有量を順にA、B、C、D、E(g/cm)としたとき、BはAと実質的に同じかもしくは少ない、CはBと実質的に同じかもしくは少ない、DはCと実質的に同じかもしくは少ない、EはDと実質的に同じかもしくは少ない、そしてEはAより少ない。従って、例えば次の各状態は本発明の範囲に含まれる:
A>B>C>D>E
A>B>C>D≒E
A>B>C≒D≒E
A≒B>C>D>E
(上記式中、≒は「実質的に同じ」を意味する)が、A≒B≒C≒D≒Eは本発明の範囲外である。ここで、「実質的に同じ」とは、「同じ」又は「0.009g/cm以上は大きくない」ことを意味する。即ち、例えばDが0.100g/cmでEが0.109g/cmのとき、DとEは実質的に同じであり、本発明の範囲内である。
中芯層及びドーム層の各層において、その単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)は、四捨五入して小数点2桁まで表した場合、それに隣接する内側の層に等しいかそれよりも低いことが好ましい。また、本発明の誘電体レンズにおいては、セラミックス含有量(g/cm)を四捨五入して小数点2桁まで表した場合のセラミックス含有量が互いに異なる少なくとも3種類の層(中芯層を含む)を含むように、各層が形成されていることが好ましい。更に、該セラミックス含有量(g/cm)が実質的に同じ層が、3層以上連続して積層されていないことが好ましい。特に、中芯層及びドーム層の各層の単位体積あたりのセラミックス含有量(g/cm)は、四捨五入して小数点2桁まで表した場合、それに隣接する内側の層よりも低いことが特に好ましい。
また、中芯層及びドーム層の見かけ密度は中芯層から最外層へと減少することが好ましい。本明細書及び請求の範囲において、「中芯層及び各ドーム層の発泡粒子成形体の見かけ密度(g/cm)は、中芯層から最外層のドーム層に向かって小さくなっている」とは、各ドーム層の見かけ密度(g/cm)が、それに隣接する内側の層(中芯層又はドーム層)の見かけ密度と実質的に同じかもしくは小さいこと、かつ、最外ドーム層の見かけ密度が、最内ドーム層の見かけ密度よりも小さいことを意味する。ここで、「実質的に同じ」とは、「同じ」又は「0.030g/cm以上は大きくない」ことを意味する。中芯層及びドーム層の各層において、その見かけ密度(g/cm)は、四捨五入して小数点2桁まで表した場合、それに隣接する内側の層に等しいかそれよりも低いことが好ましい。特に、中芯層及びドーム層の各層の見かけ密度(g/cm)は、四捨五入して小数点2桁まで表した場合、それに隣接する内側の層よりも低いことが特に好ましい。
前述したように、各ドーム層の単位体積あたりのセラミックスの含有量は0〜80重量%である。セラミックスの含有量が80重量%を越えると、発泡粒子成形体が収縮し易くなり、寸法精度、外観、誘電体レンズ性能が低下する。同様な理由で、中芯層のセラミックスの含有量は80重量%以下であることが好ましい。
一方、中芯層及びドーム層のセラミックス含有量は、比誘電率を1.4以上に設定する上で10重量%以上とすることが好適である。従って、比誘電率1.4以上が望ましい場合、中芯層及びドーム層のセラミックスの含有量は10〜80重量%、更に15〜70重量%、特に20〜65重量%が好ましい。一方、ドーム層の比誘電率を1.4未満、特に1.2未満に設定する場合、セラミックスの含有量を0とすることが可能である。
なお、本明細書において、発泡粒子成形体中の単位重量あたりのセラミックスの含有量Mw(重量%)は、次のようにして測定される。重量Wmの成形体サンプルを600℃の炉内にて燃焼させ、その残渣の重量Wrを求める。サンプルの単位体積当たりのセラミックスの含有量(重量%)は、次式に従い計算される:
Mw(重量%)= (Wr/Wm)×100
発泡粒子成形体中の単位重量あたりのセラミックスの含有量Mw(重量%)は、成形体の製造に用いた発泡粒子の単位重量あたりのセラミックスの含有量(重量%)に等しい。本明細書において、発泡粒子成形体中の単位体積あたりのセラミックスの含有量Mv(g/cm)は、次式で与えられる:
Mv(g/cm)= D(g/cm)×Mw(重量%)/100
(式中、Dは発泡粒子成形体の見かけ密度であり、Mwは上記と同様である)。
本発明で用いるセラミックスとしては、比誘電率が高く熱可塑性樹脂に均一に分散できるものであればいかなるものでも使用可能であるが、酸化チタンを主成分とするものが、比誘電率が高く比重が小さいことから、優れた誘電特性を示すため好ましい。該酸化チタンを主成分とするものとしては、酸化チタンや一般式MO・nTiO(式中、Mは1種又は2種以上の二価金属を示す。nは1以上の正数を示す。)で表わされる組成を有するものが挙げられる。上記一般式においてMで示される二価金属としては、その酸化物が誘電性を示すものであれば特に制限されないが、例えば、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属や鉛等が好ましく例示される。
一般式MO・nTiOで表されるチタン酸アルカリ土類金属塩やチタン酸鉛は、例えば、酸化チタンと、アルカリ土類金属又は鉛の酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩等の1種又は2種以上の塩との混合物を500〜1400℃の温度下で反応させること等により製造できる。ここで、原料の一つである酸化チタンは、例えば、特公平6−88786号公報、特開平5−221795号公報、特開平10−95617号公報等に記載の周知の方法に従って製造できる。
酸化チタンとアルカリ土類金属塩又は鉛塩との反応は周知であり、例えば、水熱法、焼成法、湿式沈着焼成法、フラックス法等に従って実施できる。チタン酸アルカリ土類金属塩及びチタン酸鉛の具体例としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸カルシウムストロンチウム、チタン酸鉛等を挙げることができる。中でも高周波帯域における誘電損失が小さいことからチタン酸カルシウムが好ましく用いられる。チタン酸塩はそれぞれ単独でも2種以上を併用しても使用でき、また、酸化チタン等の他のセラミックス材料との複合材料であってもよい。
セラミックスの形状は、樹脂との混練性、樹脂中への均一分散性の点から、「繊維」,「柱状」,「針状」等の繊維状、「球状」,「楕円球状」,「略球状」,「略楕円球状」等の粒状又は「鱗片状」、「雲母状」、「薄片状」等の板状のものが好ましく使用できるが、繊維状や粒状のものが更に好ましく、最大径の平均値が0.1〜10μmの繊維状のものが特に好ましい。繊維状及び板状のセラミックスを組み合わせて使用することもできる。繊維状の酸化チタンを主成分とするセラミックスの大きさは特に制限されないが、発泡粒子の気泡が破泡する虞れがなく、比誘電率の調整が効率よく行えることから、その最大径の平均値(以下、平均最大径と呼ぶ)は0.01〜30μmが好ましく、0.1〜10μmが更に好ましく、0.1〜1μmが特に好ましく、平均長さは0.1〜100μmが好ましく、0.5〜50μmが更に好ましく、3〜50μmが特に好ましく、また、アスペクト比(平均長さ/平均最大径)は3〜30が好ましく、より好ましくは5〜20である。
板状の酸化チタンを主成分とするセラミックスを使用する場合、その大きさは特に制限されないが、上記と同様な理由から、最大長さの平均値(以下、平均最大長さという。)が0.01〜100μmが好ましく、0.01〜50μmが更に好ましく、0.5〜20μmが特に好ましい。また、最大厚みの平均値(以下、平均最大厚みという。)は0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが更に好ましい。また、アスペクト比(平均最大長さ/平均最大厚み)は3〜100、好ましくは5〜50である。
粒状の酸化チタンを主成分とするセラミックスの大きさは特に制限されないが、上記と同様な理由から、その平均最大長さ(最大長さの平均値)は0.01〜100μmが好ましく、0.01〜30μmが更に好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。
本明細書及び請求の範囲において、繊維状、板状及び粒状のセラミクッスの平均最大径、平均繊維長さ、平均最大長さ及び平均最大厚みの各々の測定は、電子顕微鏡などを使用して得られるセラミックスの拡大写真などに基づき、任意の100個以上の各セラミックスについて測定した最大径、長さ、最大長さ、最大厚みの値(拡大倍率を考慮した拡大前の実際の寸法)を各々算術平均して求められる値である。
本発明の誘電体レンズを構成する発泡粒子成形体の基材樹脂中に、極性基含有重合体、特にカルボン酸基を持つコモノマーを含むカルボン酸変性熱可塑性重合体が配合されてなるものが、発泡粒子の見かけ密度の均一性を高める点で好ましい。カルボン酸基を持つコモノマーとしては、例えば、無水酢酸,無水コハク酸,無水マレイン酸,無水フタル酸等の酸無水物、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸等のカルボン酸が挙げられる。発泡粒子成形体の基材樹脂がポリオレフィンを含む場合は、カルボン酸変性熱可塑性重合体はカルボン酸変性ポリオレフィンが配合されてなるものが好ましい。例えば、発泡粒子成形体の基材樹脂がポリプロピレンを含む場合は、カルボン酸変性プロピレン系重合体が配合されてなるもの、特に無水マレイン酸変性ポリプロピレンが配合されてなるものが好ましい。熱可塑性樹脂とセラミックスとの親和性の点から、カルボン酸変性ポリプロピレン系重合体は、グラフトコモノマー含有量が0.5〜15重量%、更に1〜8重量%のグラフト共重合体が好ましい。
上記カルボン酸変性熱可塑性重合体の使用量は、熱可塑性樹脂、カルボン酸変性熱可塑性重合体及びセラミックスの合計量に基づき、0.15重量%以上の割合で配合されることが好ましく、0.15〜1.5重量%の割合で配合されることがより好ましく、0.2〜1.0重量%の割合で配合されることが更に好ましい。上記のような基材樹脂を用いることにより、セラミックスと樹脂との親和性が改良され、その結果発泡粒子の見かけ密度のバラツキが更に小さくなる。
尚、基材樹脂中に、カルボン酸変性熱可塑性重合体を配合する方法としては、熱可塑性樹脂とセラミックスと共に、カルボン酸変性熱可塑性重合体を混練する方法、又は熱可塑性樹脂とセラミックスと共に、カルボン酸変性熱可塑性重合体と熱可塑性樹脂からなるマスターバッチを混練する方法が挙げられる。或いは、セラミックスを先ずカルボン酸変性熱可塑性重合体にて表面処理し、次いでこれを熱可塑性樹脂とを混練する方法も採用できる。得られた混練物をペレット化する。ペレット(樹脂粒子)を発泡させて発泡粒子を製造し、該発泡粒子を型内で融着成形することにより、カルボン酸変性熱可塑性重合体が配合された基材樹脂発泡体中にセラミックスが分散した発泡粒子成形体を得ることができる。
発泡粒子成形体には、本発明の所期の効果を損なわない範囲内において、1種又はそれ以上の添加剤を適宜添加することができる。このような添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、核剤、あるいは気泡調整剤等を挙げることができる。気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウムなどの無機粉体が例示される。またこれらの添加剤は、押出機内に熱可塑性樹脂とセラミックスと共に混練する方法によって含有させることができる。混練物をペレット化して樹脂粒子(ペレット)とし、上記のような方法により発泡粒子成形体が得られる。
本発明の誘電体レンズを構成する発泡粒子成形体においては、その各部分の見かけ密度の標準偏差(Sd)が0.07g/cm以下であることを要する。該標準偏差(Sd)が0.07g/cmを超えると、発泡粒子成形体の見かけ密度のバラツキが大きすぎて、誘電特性のバラツキが生じやすくなるので、良好な誘電体レンズが得られない。かかる観点から発泡粒子成形体のみかけ密度の標準偏差(Sd)は0.05g/cm以下がより好ましく、0.03g/cm以下が更に好ましく、0.02g/cm以下が特に好ましい。
見かけ密度の標準偏差(Sd)を0.07g/cm以下にする方法としては、発泡粒子重量の標準偏差が0.5mg以下であり、且つ、発泡粒子の見かけ密度の標準偏差が0.1g/cm以下のものを用いて発泡粒子成形体を製造する方法が挙げられる。このような発泡粒子は種々の方法で製造できる。例えば、重量のバラツキが小さい樹脂粒子を用いる方法、樹脂粒子を特定の方法で発泡させる方法、発泡粒子を分級する方法、上記の2つ以上の方法を組み合わせる方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂とセラミックスの混錬物をストランド状に押出し、冷却後切断して樹脂粒子を作成する過程で種々の方法を採用することにより、重量のバラツキが小さい樹脂粒子を得ることができる。その一つとして、切断前のストランドの蛇行を抑制するガイドを設ける方法が挙げられる。他の方法としては、回転刃の回転速度を調節する,ストランドに対する回転刃の角度を調節する、アンダーウォーターカット方式を採用する、回転型筒状篩などの適当な篩を用いて樹脂粒子を分級する等の方法を適宜組み合わせる方法が挙げられる。
樹脂粒子を特定の方法で発泡させる方法としては、例えば、後述する、分散媒体に分散した軟化状態にある樹脂粒子の分散体を密閉容器から放出させる分散法において、該容器内の圧力を一定に保つように背圧をかける方法、分散法において、分散体を加圧雰囲気下に放出する方法、分散法において、分散体を密閉容器から放出する際に密閉容器内の攪拌羽の回転速度を徐々に低下させる方法、上記の手法を二つ以上組み合わせる方法、が挙げられる。
発泡粒子を分級する方法としては、例えば、発泡粒子を篩いにかけ所望の粒子サイズに分級する方法、更に発泡粒子を風力選別機や比重選別機などにより分級する方法、が挙げられる。2種以上の未分級又は分級済みの発泡粒子を混合して所望の見かけ密度に調整することも可能である。
また、見かけ密度の標準偏差(Sd)を0.07g/cm以下にするための方法として、発泡粒子が金型内にて高い圧縮力を受けないように発泡粒子を型内成形する方法も有効である。この目的のために、発泡粒子に高い二次発泡力を付与しないことが有利である。また、発泡粒子を金型内への充填する際の充填圧力を低めに調整することも好ましい。なお、発泡粒子が金型内にて大きく圧縮されて型内成形されてしまうと、得られた発泡粒子成形体の表面部分が内部よりも見かけ密度が大きなものとなってしまい、その結果、発泡粒子成形体の比誘電率のバラツキに繋がってしまう。
発泡粒子の見かけ密度の標準偏差の測定は、発泡粒子群から任意に選んだ1000個の発泡粒子について一粒一粒の見かけ密度を測定ることにより行なう。測定した結果から標準偏差を算出する。見かけ密度の測定は、以下の手順にて行う。
1.任意に選んだ1000個の発泡粒子温度を23℃、相対湿度50%の条件下で48時間放置する。1000個の発泡粒子の各々の重量(W1)を電子天秤を用いて0.01mg単位まで測定する。
2.次に比重計を用いて純度99%以上のエタノールの比重(ρ1)を0.001mg単位まで測定する。
3.図5(a)、(b)に示す比重測定装置を用意する。この装置は電子天秤11とエタノール12を含む容器を備える。
4.各発泡粒子(符号13で示す)をエタノール中に浸漬し、この浸漬した粒子の重量(W2)を0.01mg単位まで測定する。重量(W2)発泡粒子にはたらく重力と浮力の差である。
5.下記式により発泡粒子の比重(ρ0)を算出する。
ρ0=W1/{(W1−W2)/ρ1}
6.発泡粒子の見かけ密度(g/cm)を下記式により算出する。
発泡粒子の見かけ密度=ρ×ρ0
(ただしρは純水の密度である(即ち1g/cm))
発泡粒子重量の標準偏差の測定は、温度23℃、相対湿度50%の条件下で48時間放置した発泡粒子群から任意に選んだ1000個の発泡粒子の一粒一粒の重量(mg)を0.001mg単位まで測定することにより算出する。
上記発泡粒子成形体の見かけ密度の標準偏差(Sd)は次のようにして測定する。図6(a)に示すように、発泡粒子成形体の<1>〜<15>の位置から、縦16mm、横10mm、厚み8mmの直方体形状の試験片を15個切出す。互いに約120度の等間隔に配置する<1>、<6>及び<11>の位置の各々は、発泡粒子成形体の天頂に近い位置で頂点から5cm以上は離れていない。位置<2>〜<5>は角度的に等間隔に配置しており、発泡粒子成形体の環状端部を含む平面から約20度(図6(b)においてθで表されている)離れた位置である。位置<7>〜<10>及び位置<12>〜<15>は位置<2>〜<5>と同様に配置している。このように切り出された各試験片の厚み方向の軸は、半球状発泡粒子成形体の半径方向と平行もしくはほぼ平行である。なお、もし成形体の厚みが薄すぎて厚みが8mmの試験片を切り出せない場合は、試験片ができるだけ大きい厚みを持つように切り出す。各々の試験片の見かけ密度を測定する。それらの値から見かけ密度の標準偏差(Sd)を算出する。見かけ密度は、試験片の重量を0.01mg単位で測定し、またその寸法を電子ノギスを用いて0.01mm単位で測定する。寸法から体積を算出して、重量を体積にて除して見かけ密度を求める。
なお、本明細書及び請求の範囲において、上記標準偏差の値は不偏分散の平方根により与えられる値である。
本発明においては、中芯層の外表面に隣接する表面部分又は最外ドーム層を除く各ドーム層の外表面及び内表面に隣接する表面部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)の比(V/N)が、0.2〜1.0である。これにより、該表面部分の見かけ密度の増大を防止し、かつ、発泡粒子相互の融着性を確保できる。かかる観点から、0.3〜1.0が好ましく、0.4〜1.0がさらに好ましい。ボイドは隣接する発泡粒子間のギャップである。中芯層の外表面に隣接する表面部分又は最外ドーム層を除く各ドーム層の外表面及び内表面に隣接する表面部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)は次のようにして測定される。中芯層半球状表面又はドーム層の外表面及び内表面から発泡粒子成形体の表面を約500μmの厚みで削り取る。 顕れた切断表面における縦5cm、横5cmの正方形の範囲において、ボイド数(V)および発泡粒子の数(N)をカウントする。ただし、この正方形の範囲の境界線と交差する発泡粒子及びボイドもそれぞれ(N)及び(V)としてカウントする。なお、ボイド数(V)の75%以上が面積0.3〜2.5mmのボイドにより占められることが好ましい。
発泡粒子成形体の比(V/N)が0.2〜1.0であるということは、その表面が滑らかでなくてもよいということを意味している。むしろ、発泡粒子成形体の表面はその隣接する発泡粒子間にボイドが存在することが望ましい。一般には、発泡粒子成形体は外観の点で表面が滑らかであることが望まれ、発泡粒子を平滑な金型内に圧縮する手法により発泡粒子成形体に平滑性を転写させるように成形を行うのが普通である。しかし、この場合、発泡粒子成形体の表層部分の見かけ密度が内部に比べて大きくなり、比誘電率のバラツキが大きくなってしまう。本発明では、型内成形時に発泡粒子が金型内面に強く押付けられないようにするとともに、発泡粒子相互の融着性を低下させないように成形するのが好ましい。特に、スチームを型内に導入するときはその圧力が発泡粒子の二次発泡力以下に保つことが望ましい。発泡粒子の二次発泡力は金型内面に面圧計を取り付け、これにより表面圧をその場で計測することにより行うことができる。
なお、最外層を構成するドーム層においては、その比(V/N)は比誘電率に殆ど影響を及ぼさず、0〜1.0の範囲であってよい。
本発明の誘電体レンズにおいては、十分な誘電性能、望ましい比誘電率プロフィールを得るための容易性、及び軽量性と十分な機械的強度を得る観点から、全体の見かけ密度が0.03〜1.2g/cmであることが好ましく、0.05〜1.0g/cmがより好ましく、0.1〜0.8g/cmが更に好ましい。上記全体の見かけ密度とは、JIS K 7222(1999年)に従って測定される見掛け全体密度のことである。この場合、誘電体レンズの体積は、外寸から計算される体積である。
本発明の誘電体レンズを構成する半球形状の中芯層及び半球形状ドーム層は、熱可塑性樹脂を基材樹脂とするセラミックス含有発泡粒子の成形体である。該熱可塑性樹脂としては前述の通りでるが、それぞれの樹脂は、無架橋ポリプロピレン系樹脂や低密度ポリエチレン樹脂のような無架橋樹脂であることが好ましいが、架橋樹脂からなるものであってもよい。例えば、架橋直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂が本発明に好ましく使用できる。
また、上記発泡粒子の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体は、そのDSC曲線上に固有の吸熱ピークと共に該吸熱曲線ピークよりも高温側に高温吸熱ピークが存在し、かつ、該高温ピークの熱量(ΔHJ/g)は全体の吸熱ピークの熱量(ΔHJ/g)の2〜35%であることが、良好な寸法安定性と小さい見かけ密度のバラツキを得る点で好ましい。全体の吸熱曲線ピークの熱量に対する該高温ピークの百分率熱量(ΔH/ΔH×100)は5〜35%が更に好ましく、特に10〜30%が好ましい。なお、全体の吸熱ピークの熱量(ΔH)は、高温ピーク(複数のこともある)と固有ピーク(複数のこともある)の熱量の総和である。
発泡粒子成形体の高温ピークの熱量は、発泡粒子成形体を得る為の発泡粒子の高温ピークの熱量を調節することにより調整される。高温ピークを持つDSC曲線を示すプロピレン系樹脂発泡粒子は、例えば、プロピレン系樹脂粒子(ペレット)をプロピレン系樹脂の融点(Tm)以上、融解終了温度(Te)以下の温度条件にて、高温ピーク熱量が増大する時間保持することにより得ることができる。また、発泡粒子製造時において発泡温度を発泡適正温度範囲内で高く設定することにより発泡粒子の高温ピークの熱量を小さくすることができる。発泡粒子の高温ピークの熱量及び発泡粒子の全体の吸熱曲線ピークの熱量は、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体の高温ピークの熱量及び全体の吸熱曲線ピークの熱量と、略同じ値を示す。
発泡粒子及び発泡粒子成形体の高温ピークの熱量は吸熱量であり、図3に示す第1回目のDSC曲線に認められる吸熱ピーク(固有ピーク)aが現れる温度よりも高温側に現れる吸熱ピーク(高温ピーク)bの面積に対応するものである。これらのピークは発泡粒子又は発泡粒子成形体から切出した試験片2〜4mgを室温(15〜40℃)から220℃まで10℃/分の加熱速度で昇温する示差走査熱量分析によって得られる。具体的には吸熱量は次のようにして求めることができる。図3に示すDSC曲線において、80℃の点αと、試験片の融解終了温度Tに相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ線分(α−β)を引く。尚、上記融解終了温度Tとは、高温ピークbと高温側ベースラインBLとの交点βに相当する温度をいう。次に上記の固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、前記線分(α−β)と交わる点をδとする。高温ピークbの面積は、DSC曲線の高温ピークb部分の曲線と、線分(δ−β)と、線分(γ−δ)とによって囲まれる部分(図3において斜線を付した部分)の面積であり、これが高温ピークbの熱量に対応する。 また、高温ピークの熱量と固有ピークの熱量の総和は、前記線分(α−β)とDSC曲線とで囲まれる部分の面積に対応する。
尚、発泡粒子成形体の高温ピークbは、固有ピークaの頂点の温度を(Tl)とすると、通常、[Tl+5℃]〜[Tl+30℃]の範囲に現れ、より一般的には[Tl+8℃]〜[Tl+25℃]の範囲に現れる。
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂の融点は、室温(10〜40℃)から220℃まで10℃/分で昇温した後、直ちに220℃から10℃/分で一旦40℃付近(40〜50℃)まで降温し、再び10℃/分で220℃まで昇温して図4に示すような第2回目のDSC曲線を得るDSC分析により測定する。第2回目のDSC曲線の吸熱ピークの温度(Tm)が融点である。第2回目のDSC曲線において複数のピークが存在する場合は、最も面積の大きなピークの頂点温度を融点(Tm)とする。但し、第2回目のDSC曲線において複数のピークが存在し、2番目に面積が大きいピークの面積が最も面積の大きなピークの面積の60%以上の場合には、最も面積の大きなピークの温度と第2番目に面積が大きいピークの温度との算術平均値を融点(Tm)とする。また、ポリプロピレン系樹脂の融解終了温度は、第2回目のDSC曲線に認められる高温側のピークを示すDSC曲線と高温側ベースラインBLとの交点の温度(Te)をいう。
本発明の誘電体レンズを構成する発泡粒子成形体の各々は、発泡粒子成形体断面の平均気泡数が20〜1000個/mmであると共に、その平均気泡径が5〜200μmの範囲内であることが寸法安定性、比誘電率の均一性の上から好ましい。なお、発泡粒子成形体の平均気泡数及び平均気泡径は、それに用いた発泡粒子の平均気泡数及び平均気泡径と、略同じ値を示す。従って、発泡粒子成形体断面の平均気泡数及び平均気泡径の調整は、該発泡粒子成形体を得るための発泡粒子断面の平均気泡数及び平均気泡径を調節することによりなされる。平均気泡数及び平均気泡径を上記範囲に調整した発泡粒子は、適度な二次発泡性と優れた発泡粒子相互の融着性を発現する。
発泡粒子の平均気泡数、平均気泡径の設定は、セラミックスの配合量や樹脂粒子の発泡条件(圧力、温度等)を調整することによって行なわれる。具体的には、高温、高圧に保持した密閉容器内の、分散媒体に分散した樹脂粒子分散体を出口から低圧域に放出する分散法により発泡粒子を製造する場合は、該出口にオリフィスを設けて発泡時の圧力勾配を大きくする方法により平均気泡径を小さく、平均気泡数を多くすることができる。また、出口温度を高くして発泡を高温で行うことにより、平均気泡径を大きく、平均気泡数を少なくすることができる。
本明細書における発泡粒子成形体の平均気泡数及び平均気泡径の測定は次のようにして行う。発泡粒子成形体サンプルを任意に切断し、その断面において縦10mm、横10mmの正方形部分を任意に選択する。選択した部分の全ての気泡数を数える。平均気泡数は、その気泡数を断面の面積(100mm)で除することによって測定される。但し、気泡数を数えるに当たり、正方形の範囲の境界線と交差する気泡については、上辺及び右辺と交差するものに関してはカウントせず、下辺及び左辺と交差するものに関してはカウントすることとする。また、上記断面の正方形の範囲内に存在している各々の気泡について気泡径(該断面の気泡上の2点間距離の最大値)を測定し、その算術平均値を平均気泡径とする。本発明において、発泡粒子成形体を得るために使用される発泡粒子の形状は、球状、ほぼ球状、楕円状、円柱状、ほぼ円柱状であることが好ましい。このような形状の発泡粒子を用いると、型内への均一充填性が向上し、従って、得られる発泡粒子成形体の見かけ密度が均一になる。
上記発泡粒子の最大長さの平均値は通常0.5〜10mm程度であるが、得られる発泡粒子成形体の見かけ密度のバラツキをより小さなものとする上で0.8〜5.0mmであることが好ましく、1.0〜3.0mmであることが更に好ましい。尚、発泡粒子の最大長さの平均値とは、発泡粒子群から任意に取り出した50個の発泡粒子をノギスを用いて測定した最大長さの平均値である。発泡粒子が球状の場合はその直径が最大長さである。発泡粒子が円柱状の場合は、最大長さは次のようにして求める。円柱の軸方向をZ軸方向とし、該発泡粒子のZ軸方向の寸法の最大値を求める。同様に、X軸方向及びY軸方向の発泡粒子の寸法の最大値を求める。X、Y、Z軸方向の最大寸法の中で最も大きい値をその発泡粒子の最大長さとする。
特に、発泡粒子が球状の場合、その最大長さの平均値は0.8〜5.0mmであることが好ましく、1.0〜3.0mmが更に好ましい。また、発泡粒子が円柱状の場合、Z軸方向の最大高さの平均値(L)及びX又はY軸方向の最大直径径の平均値(D)はそれぞれ0.8〜5.0mm、好ましくは1.0〜3.0mmである。この場合、アスペクト比(L/D)が0.8〜1.2であることが好ましい。
円柱状の発泡粒子の最大高さの平均値(L)最大直径の平均値(D)は、基材樹脂(及び必要に応じセラミックス)混錬物をストランド状に押出した後切断して樹脂粒子(ペレット)を得るペレタイズ工程において調整できる。ストランドの径と切断する長さ、即ち、ペレットのサイズを調整することにより、最大高さの平均値(L)及びアスペクト比(L/D)が調整できる。球状の発泡粒子は、球状の樹脂粒子を用いることにより製造できる。球状の樹脂粒子は、例えばストランドを温水中でカットする等により製造される。本発明の誘電体レンズを構成する発泡粒子成形体は、ASTM−D2856−70の手順Cに基づく連続気泡率が40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが最も好ましい。連続気泡率が小さい発泡粒子成形体ほど、機械的強度が優れたものになり、得られる発泡粒子成形体の密度バラツキが小さくなる。
次に、本発明の誘電体レンズの製造方法について説明する。
該誘電体レンズは、半球状中芯層と複数の半球状ドーム層とからなり、中芯層と各ドーム層は発泡粒子を成形金型に充填し、スチームを導入して加熱することにより製造される発泡粒子成形体で構成される。該発泡粒子は樹脂粒子を発泡させることにより製造することができる。以下、樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細に説明する。
上記樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂等の基材樹脂とセラミックスと必要に応じて極性基含有熱可塑性樹脂(例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン)等の添加剤を押出機に供給して製造する。この場合、製造すべき発泡粒子成形体がセラミックスを含まないときは、セラミックスを押出機に供給しない。供給された原料を押出機内で加熱、溶融、混練してからダイを通してストランド状に押出す。ストランドを冷却後、切断すること等により樹脂粒子(ペレット)を得る。
前記樹脂粒子は、適宜な方法、好ましくは分散法により発泡させる。該分散法においては、樹脂粒子を密閉容器内で水性媒体などの適宜の分散媒体に分散させる。密閉容器中で分散体を発泡剤の存在下で加熱して発泡剤を樹脂粒子に含浸せしめ、次いで、樹脂粒子が発泡可能な温度で、分散体を低圧下に放出することにより発泡粒子を得る。
該樹脂粒子が互いに融着しないように、分散媒体中に有機系又は無機系分散剤を添加することが好ましい。そのような分散剤としては、例えば、カオリン、マイカ、クレー等の天然又は合成粘土鉱物や、酸化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、酸化鉄等の微粒状無機物が好ましい。これらの無機物は1種又は数種の組み合わせで使用することができ、通常、樹脂粒子100重量部当り、0.001〜5重量部程度で使用される。
発泡剤の使用量は、使用する発泡剤の種類と発泡温度と目的とする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜選択されるが、例えば発泡剤として窒素を使用し、分散媒体として水を使用した場合を例にとると、発泡開始直前の安定した状態にある密閉容器内の圧力、すなわち密閉容器内空間部の圧力が、0.6〜6MPaGとなるような量の窒素ガスを使用する。通常は、目的とする発泡粒子の見かけ密度が小さいほど前記容器内の空間部の圧力は高くすることが望ましく、目的とする発泡粒子の見かけ密度が大きいほど空間部の圧力は低くすることが望ましい。
分散法において用いる発泡剤としては、有機系物理発泡剤又は無機系物理発泡剤を用いることができる。有機系物理発泡剤としてはプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素などが例示される。無機系物理発泡剤としては、空気、窒素、二酸化炭素、酸素、アルゴン、水等が例示される。これらの有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤は単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。特に、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水の群から選択される1又は2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが好適に使用される。その中でも発泡粒子の見かけ密度の安定性(均一性)、コストや環境負荷などを考慮すると、二酸化炭素、空気や水が好ましい。また発泡剤として使用される水は樹脂粒子を密閉容器中に分散させるために分散媒体として通常使用される水(イオン交換水も含む)をそのまま利用すればよい。
分散法により得られる発泡粒子においては、そのDSC曲線に固有吸熱ピークの他にその高温側に高温吸熱ピークを示すものであること、また、高温ピークの熱量(ΔHJ/g)は全体の吸熱曲線ピーク熱量(ΔHJ/g)の2〜35%であることが、該発泡粒子から得られる発泡粒子成形体が良好な寸法安定性を示し見かけ密度のバラツキが少ないことから、好ましい。発泡温度を変化させると高温ピークの熱量が変化することから、適当な発泡温度を選択することによってそのような発泡粒子を得ることができる。発泡粒子成形体は、前記の発泡粒子(必要に応じて発泡粒子の内圧を0〜0.3MPaGに高める処理を施した後)を金型内に充填し、次いで金型を閉じ、スチームを供給して発泡粒子同士を加熱して膨張させて融着させ、次いで金型を冷却してから開き、成形体を取り出す、バッチ式の成形法により製造することができる。
尚、前記の発泡粒子は、必要に応じて発泡粒子を高圧ガスで処理してその内圧を0.1〜0.6MPaGに高めてから、成形を行うことができる。処理後の発泡粒子をスチームや熱風を用いて加熱することによって、見かけ密度の更に小さく調整される。発泡粒子の内圧を高めることが望ましい場合には、密閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加圧気体を供給した状態で適当な時間放置して発泡粒子内に加圧気体を浸透させればよい。加圧供給される気体は必要とされる圧力下でガス状態であれば問題なく使用できるが、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、アルゴンの群から選択される1又は2以上の無機ガスを主成分とするものが特に好適に使用され、さらにその中でも環境負荷やコストなどを考慮すると、窒素や空気が好ましい。
本発明の誘電体レンズを構成する発泡粒子成形体においては、各部分の見かけ密度の標準偏差(Sd)が0.07g/cm以下である。このような発泡粒子成形体を得るには、使用する発泡粒子の重量の標準偏差(Sw)が、好ましくは0.5mg以下のもの、更に好ましくは0.2mg以下のもので、かつ、見かけ密度の標準偏差が、好ましくは0.1g/cm以下のもの、更に好ましくは0.03g/cm以下のもの(但し、各層の形成に用いる発泡粒子各々のセラミックス含有量(重量%)が一定の場合である。)であることが好ましい。各群が上記のような見かけ密度と重量の標準偏差を持つ複数群の発泡粒子を用いることにより、見かけ密度が均一な一連の発泡粒子成形体を得ることができ、しかも、発泡粒子成形体の相互間の見かけ密度の差と単位体積あたりのセラミックス含量の差を望みどおり小さくすることができる。
単位体積あたりのセラミックス含量の差が異なる一連の発泡粒子成形体は次の方法により好ましく製造される。先ず、各々同一の重量%セラミックス含有量を持つ、セラミックス含有樹脂粒子を用意する。該樹脂粒子をP群に分け、それぞれの群のセラミックス含有樹脂粒子を異なる発泡倍率で発泡させて、見かけ密度が異なるP群の発泡粒子を得る。次に、P群の発泡粒子の内のQ群(1P)の発泡粒子を選択し、Q群の発泡粒子を見かけ密度調整処理して、見かけ密度が異なるR群(R1)の発泡粒子を得る。これにより見かけ密度の異なる合計(P−Q+R)群の、未処理及び処理した、見かけ密度の標準偏差が0.1g/cm以下及び重量の標準偏差が0.5mg以下である発泡粒子を得る。(P−Q+R)種類の発泡粒子群をそれぞれ異なる寸法のモールド腔を持つ異なる金型を用いて成形して、単位体積あたりのセラミックス重量が異なる(P−Q+R)種類の成形体を得る。
上記の方法を2種以上のセラミックス含有樹脂粒子(同一群における各発泡粒子は同一の単位体積あたりのセラミックス重量を持つが、異なる群における発泡粒子は互いに異なる単位体積あたりのセラミックス重量を持つ)について適用することにより、多数の層を得ることができる。即ち、上記方法を用いることにより、5層以上、好ましくは5〜41層、特に8〜21層の誘電体レンズであって、比誘電率が2から1へと変化する(最内の半球状中芯層が最も高い比誘電率を持つ)ような純粋なルーネベルグレンズに近似した誘電体レンズを製造可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。「部」及び「%」は重量基準である。以下の実施例においてはポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体からなる誘電体レンズについて具体的に説明しているが、本発明の目的は、前述したようなその他の樹脂等を基材樹脂とする発泡粒子成形体を用いても達成できる。従って、下記の実施例は本発明を説明するものであり限定的なものではない。
実施例1
表3に示すように、直径800mm、層数13の誘電体レンズを製造した。尚、表3における層数とは、中芯層の層数1層とドーム層の層数を合計したものである。誘電体レンズは、各層の比誘電率εが前記(1)式で定まる理論式を基準として設定する必要がある。このことから、各層における発泡粒子成形体のセラミックスの含有量と見かけ密度を調整した。見かけ密度を精度よく調整するために、2種類の樹脂粒子を製造し(樹脂粒子1−1、1−2)、各々の樹脂粒子を分散法により種々の条件下で発泡させ、7種の発泡粒子(発泡粒子1−1〜1−7)を得た。これらの発泡粒子を分級して、誘電体レンズ用の13層を製造するための、見かけ密度の異なる13種類の発泡粒子を作製した。以下、樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細に説明する。
<樹脂粒子の製造>
表1に示す樹脂(樹脂1、樹脂2)と表2に示すセラミックス(セ1)を表4に示す量でブレンドし、得られたブレンドを二軸式押出混練機により混練し押出してペレット化して2種類の円柱状の樹脂粒子(樹脂粒子1−1、樹脂粒子1−2)を得た。尚、樹脂粒子1−1、樹脂粒子1−2の無水マレイン酸成分配合量を表4に併せて示す。
Figure 0004638487
Figure 0004638487
Figure 0004638487
Figure 0004638487
<発泡粒子の製造>
樹脂粒子1−1、樹脂粒子1−2の各々について、その100部をオートクレーブに充填し、水300部に分散させて分散体を得た。この際、融着防止剤として酸化アルミニウムを1.0部、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.01部添加した。 次いで、オートクレーブを密閉した後、撹拌しながら表5に示した発泡温度よりも5℃低い温度まで加熱し、その直後にその温度を維持しつつ上記オートクレーブ内に、表5に示した発泡剤を導入して、その温度で15分間保持した。続いて表5に示した発泡温度まで加熱し、その温度で15分間保持した。このときのオートクレーブ内圧力を発泡圧力として表5に示した。続いて、オートクレーブ内容物の温度を発泡温度に維持しつつ、オートクレーブ内容物を大気中に放出して発泡粒子(発泡粒子1−1〜1−7)を製造した。なお、放出は、オートクレーブ内に発泡剤と同様のガスを加圧導入することによりオートクレーブ内圧力を発泡圧力に維持しながら行った。
得られた発泡粒子の高温ピーク熱量(ΔH)、全体の吸熱曲線ピークの熱量(ΔH)、高温ピークの熱量の全体の吸熱曲線ピークの熱量に対する割合(ΔH/ΔH×100)、断面の平均気泡数、断面の平均気泡径、発泡粒子の形状、最大直径の平均値(D)及び最大高さの平均値(L)を表5に示す。
Figure 0004638487
発泡粒子1−1〜1−7を比重選別機にかけて分級し、13種類の誘電体レンズ部材成形用の13種類の発泡粒子を得た。該発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などの測定結果を表6に示す。
尚、本明細書において発泡粒子の見かけ密度は、次の通り測定したものである。23℃のエタノールの入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて48時間放置した1000個以上の発泡粒子(重量W1)を金網を使用して沈めて、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V1(cm)を求めた。発泡粒子の見かけ密度(g/cm)は、発泡粒子の重量(W1)を容積V1にて割り算することにより得られる(W1/V1)。但し、発泡粒子の見かけ密度の標準偏差は、前述の通り、発泡粒子一粒一粒の見かけ密度の測定結果に基づいて算出した。
<発泡粒子成形体の製造>
上記13種類の発泡粒子に表6に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表6に示す圧力のスチームを金型内に導入することにより加熱して発泡粒子を融着させ、続いて冷却して13種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜12層及び最外の第13層として用いる半球形状のドーム層である。
各々の発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表6に示す。本例、及び以下の実施例と比較例において、半球形状のドーム層の内外表面が異なるV/N値を示した場合は小さい方の値を表に示した。第1〜13層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装13層からなる半球形状の誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.17g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例2
表3に示すように、直径370mm、層数8層の誘電体レンズを製造した。2種類の樹脂粒子を製造し(樹脂粒子2−1、2−2)、各々の樹脂粒子を分散法により種々の条件下で発泡させて6種類の発泡粒子(発泡粒子2−1〜2−6)を作製した。得られた発泡粒子を分級し、誘電体レンズの8層用の8種類の発泡粒子を得た。具体的な調製方法は次の通りである。
<樹脂粒子の製造>
表1に示す樹脂(樹脂1、樹脂3)と表2に示すセラミックス(セ2)を表7に示す量でブレンドし、得られたブレンドを二軸式押出混練機により混練し押出してペレット化して2種類の円柱状の樹脂粒子(樹脂粒子2−1、樹脂粒子2−2)を得た。尚、樹脂粒子2−1、樹脂粒子2−2の無水マレイン酸成分配合量を表7に併せて示す。
Figure 0004638487
<発泡粒子の製造>
上記樹脂粒子2−1、樹脂粒子2−2の各々について、発泡温度、発泡圧力等を表8に示すように設定した以外は実施例1と同様にして発泡粒子を得た。得られた発泡粒子(発泡粒子2−1〜2−6)の諸物性を表8に併せて示す。
Figure 0004638487
上記発泡粒子2−1〜2−6を比重選別機にかけて分級し、8層の誘電体レンズ部材成形用の8種類の発泡粒子を得た。該発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などを表9に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記8種類の発泡粒子に表9に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填した。表9に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して8種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜7層及び最外の第8層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた各発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表9に示す。第1〜8層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜8層をこの順で嵌装して8層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.20g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例3
表3に示すように、直径450mm、層数8の誘電体レンズを製造した。実施例3では、実施例2にて使用した見かけ密度が異なる8種類の発泡粒子を使用して、層数8の誘電体レンズを製造した。
<発泡粒子成形体の製造>
上記8種類の発泡粒子に表10に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表10に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して8種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜7層及び最外の第8層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表10に示す。第1〜8層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜8層をこの順で嵌装して8層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.20g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例4
表3に示すように、直径800mm、層数13の誘電体レンズを製造した。実施例2と同じ樹脂粒子を使用し(樹脂粒子2−1、2−2)、8種類の発泡粒子(発泡粒子3−1〜3−8)を作製した。次いで、発泡粒子を分級して、13層誘電体レンズ作製用の、見かけ密度が異なる13種類の発泡粒子を作製した。樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細は以下の通りである。
<発泡粒子の製造>
樹脂粒子(樹脂粒子2−1、2−2)の各々について、発泡温度、発泡圧力等を表11に示すように設定した以外は実施例1と同様に発泡させて、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子(発泡粒子3−1〜3−8)の諸物性を表11に併せて示す。
Figure 0004638487
発泡粒子3−1〜3−8を比重選別機にかけて分級し、誘電体レンズの13層用の13種類の発泡粒子を得た。該発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などの測定結果を表12に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記13種類の発泡粒子の各々について、表12に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表12に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して13種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜12層及び最外の第13層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表12に示す。第1〜13層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装13層からなる半球形状の誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.27g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例5
表3に示すように、直径370mm、層数8の誘電体レンズを製造した。実施例2の誘電体レンズの第1〜第4及び第6〜第8層製造に使用した発泡粒子を実施例5の誘電体レンズの第1〜第4及び第6〜第8層の製造にそれぞれ用いた。また、実施例2の発泡粒子2−3を分級して実施例5の誘電体レンズの第5層製造用の発泡粒子を得た。該発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などの測定結果を表13に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記発泡粒子に表13に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表13に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して8種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜7層及び最外の第8層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表10に示す。第1〜8層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜8層をこの順で嵌装して8層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.20g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例6
表3に示すように、直径800mm、層数13の誘電体レンズを製造した。実施例4の誘電体レンズの第1〜第7層及び第9〜第13層製造に使用した発泡粒子を実施例6の誘電体レンズの第1〜第7及び第9〜第13層の製造にそれぞれ用いた。実施例2の樹脂粒子2−1を分散法により発泡させ発泡粒子(発泡粒子4−1)とし、それを分級し実施例6の誘電体レンズの第8層製造用の発泡粒子を得た。樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細は以下の通りである。
<発泡粒子の製造>
樹脂粒子2−1を、発泡温度、発泡圧力等を表14に示すように設定した以外は実施例1と同様に発泡させて、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子(発泡粒子4−1)の諸物性を表14に併せて示す。
Figure 0004638487
発泡粒子4−1を比重選別機にかけて発泡粒子を分級して、誘電体レンズ第8層用の発泡粒子を得た。誘電体レンズの第1〜13層用の発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などを表15に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記13種の発泡粒子の各々について、表15に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表15に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して13種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜12層及び最外の第13層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表15に示す。第1〜13層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装して13層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.27g/cmであった。
Figure 0004638487
実施例7
表3に示すように、直径370mm、層数8の誘電体レンズを製造した。実施例2の誘電体レンズの第1〜第8層製造に使用した発泡粒子を実施例7の誘電体レンズの第1〜第8層の製造にそれぞれ用いた。
<発泡粒子成形体の製造>
上記8種の発泡粒子の各々について、表16に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表16に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して8種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜7層及び最外の第8層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表16に示す。第1〜8層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装して8層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.20g/cmであった。
Figure 0004638487
比較例1
表3に示すように、直径370mm、層数8の誘電体レンズを製造した。実施例2の誘電体レンズの第1〜第4層及び第7〜第8層製造に使用した発泡粒子を比較例1の誘電体レンズの第1〜第4及び第7〜第8層の製造にそれぞれ用いた。実施例6で得た発泡粒子4−1を分級して比較例1の誘電体レンズの第6層製造用の発泡粒子を得た。実施例2で得た樹脂粒子2−1を分散法により発泡させて発泡粒子(発泡粒子5−1)を作製し、これを分級して比較例1の第5層製造用の発泡粒子を得た。樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細は以下の通りである。
<発泡粒子の製造>
樹脂粒子2−1について、発泡温度、発泡圧力等を表17に示すように設定した以外は実施例1と同様に発泡させて、発泡粒子(発泡粒子5−1)を得た。得られた発泡粒子の諸物性を表17に併せて示す。
Figure 0004638487
発泡粒子5−1を比重選別機にかけて発泡粒子を分級して誘電体レンズの第5層用の発泡粒子を得た。8層の誘電体レンズに用いた発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などを表18に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記8種類の発泡粒子に表18に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表18に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して8種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜7層及び最外の第8層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表18に示す。第1〜8層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装して8層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.20g/cmであった。
Figure 0004638487
比較例2
表3に示すように、直径800mm、層数13の誘電体レンズを製造した。実施例4の誘電体レンズの第1、第7、第10、第12及び第13層製造に使用した発泡粒子を比較例2の誘電体レンズの第1、第7、第10、第12及び第13層の製造にそれぞれ用いた。実施例4の第11層製造に使用した発泡粒子を比較例2の第9層の製造に用いた。実施例2で得た樹脂粒子2−1を分散法により発泡させて発泡粒子(発泡粒子6−1)を作製し、これを分級して比較例2の第8及び第11層製造用の発泡粒子を得た。樹脂粒子の製造、発泡粒子の製造、発泡粒子成形体の製造について詳細は以下の通りである。
<発泡粒子の製造>
樹脂粒子2−1について、発泡温度、発泡圧力等を表19に示すように設定した以外は実施例1と同様に発泡させてた。得られた発泡粒子(発泡粒子6−1)の諸物性を表19に併せて示す。
Figure 0004638487
発泡粒子6−1を比重選別機にかけて発泡粒子を分級して誘電体レンズの第8及び第11層用の発泡粒子を得た。13層の誘電体レンズに用いた発泡粒子の見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、重量の標準偏差などを表20に示す。
<発泡粒子成形体の製造>
上記13種類の発泡粒子に表20に示した圧力の加圧タンク内に48時間保持してタンク内圧力と略同じ発泡粒子内圧を付与してから、成形用の金型内に充填し、表20に示す圧力のスチームを金型内に導入して発泡粒子を融着せしめ、続いて冷却して13種類の発泡粒子成形体を得た。その内の1つは誘電体レンズの最内の第1層(中芯層)として用いる半球形状の層であり、その他の発泡粒子成形体は、中間の第2〜12層及び最外の第13層として用いる半球形状のドーム層である。
得られた発泡粒子成形体を60℃、大気圧下の養生室で24時間放置した後、23℃、大気圧下の部屋に移し48時間後の発泡粒子成形体について、内径、外径寸法、単位体積あたりのセラミックス含量、単位重量あたりのセラミックス含量、見かけ密度、見かけ密度の標準偏差、表層部のボイド数(V)、面積が0.3〜2.5mmのボイド数、表層部の発泡粒子数(N)等を測定した。結果を表18に示す。第1〜13層の連続気泡率は各層とも20%以下であった。第1〜13層をこの順で嵌装して13層からなる半球形状誘電体レンズを形成した。このものの全体の見かけ密度は0.27g/cmであった。
Figure 0004638487
なお、実施例1〜7、比較例1、2で得られた誘電体レンズ部材を構成する発泡粒子成形体の高温ピーク熱量(ΔH)、全体の吸熱曲線ピークの熱量(ΔH)、高温ピークの熱量の全体の吸熱曲線ピークの熱量に対する割合(ΔH/ΔH×100)、断面の平均気泡数及び断面の平均気泡径の値は、該発泡粒子成形体を型内成形するために使用した発泡粒子の各々の値と同様であった。
実施例1〜7、比較例1、2で得られた夫々8層、或いは13層の発泡粒子成形体からなるルーネベルグ型誘電体レンズについて、図7に示すシステムを用いてようにして各誘電体レンズのアンテナ利得を測定した。被測定用ルーネベルグ型誘電体レンズを設けたアンテナ20を電波暗室22に配置された回転テーブル21に設置した。発信器23より11.7GHzの電波を送信してルーネベルグ型誘電体レンズに受信させた。アンテナ利得をネットワークアナライザ24で測定した。その結果を表21に示す。
Figure 0004638487
表21に示した結果から、本発明の8層誘電体レンズ(実施例2、5及び7)は、セラミックスの含有量(g/cm)が第5層よりも第6層が大きくなっている比較例1のものとを比較すると、アンテナ利得が著しく大きいことが判る。また、本発明の13層誘電体レンズ(実施例1、4及び6)は、セラミックスの含有量(g/cm)が第9層から第11層に向かって小さくなっている比較例2のものとを比較すると、アンテナ利得が著しく大きいことが判る。
実施例5の誘電体レンズは、第4層と第5層のセラミックスの含有量(g/cm)が略同じであることにより、アンテナ利得が実施例2のものと比較して、多少低下している。また、実施例6の誘電体レンズは、第8層の見かけ密度の標準偏差が0.05g/cmであることから、実施例4と比較するとアンテナ利得が多少低下している。実施例7の誘電体レンズは、第5層に比(V/N)が、0.2〜1.0の条件を満足しないため、アンテナ利得が実施例2のものと比較して多少低下している。実施例1の誘電体レンズは、繊維状のセラミックスを含んでいるため、球状セラミックスを含む実施例4と比べてアンテナ利得が多少大きくなっている。
本発明は、本発明の精神又は本質的な特徴から逸脱しない限り種々の態様が可能である。従って、上記した実施例はすべての点で限定的なものでなく説明のためであり、本発明の範囲は上記の説明ではなく特許請求の範囲により示されるものである。従って、特許請求の範囲と均等な範囲又は意味の中でのすべての変更は特許請求の範囲に包含されるものである。
図1は本発明の誘電体レンズの一例を示す斜視図である。 図2は図1の誘電体レンズのカバーを取り除いた状態の分解斜視図である。 図3はポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の、第1回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図面である。 図4は融点及び融解終了温度の測定に用いる、ポリプロピレン系樹脂の第2回目のDSC曲線のチャートの一例を示す図面である。 図5は発泡粒子の比重測定装置の概略図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図6はドーム層から比誘電率の測定試料を切り出すサンプリング位置を示す図で、(a)は該ドーム層の平面図、(b)は(a)のVIb−VIbに沿う断面図である。 図7はルーネベルグ型アンテナのアンテナ利得の測定方法の説明図である。

Claims (7)

  1. 半球形状の外表面を持つ半球形状の中芯層と、
    各々同心半球形状の内表面と外表面を持つ複数の半球形状ドーム層とから構成される半球形状の誘電体レンズであって、
    中芯層及び各ドーム層の外表面は異なる外径を持ち、各ドーム層の内表面は異なる内径を持ち、
    中芯層と各ドーム層は順次互いに同心的に嵌合一体化されて半球形状とされ、
    中芯層はセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
    各ドーム層は0〜80重量%のセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
    中芯層及び各ドーム層の単位体積あたりのセラミックス含有量は、中芯層から最外層のドーム層に向かって小さくなっており、
    中芯層及びドーム層の各々において、その見かけ密度の標準偏差は0.07g/cm以下であり、
    中芯層の外表面に隣接する部分、又は最外層のドーム層を除く各ドーム層の内表面及び外表面に隣接する部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)の比(V/N)が、0.2〜1.0であることを特徴とする誘電体レンズ。
  2. セラミックスが酸化チタンを主成分とし、最大径の平均値が0.01〜30μm、かつ平均長さが0.1〜100μmの繊維状であるか、又は最大長さの平均値が0.01〜100μmの粒状である、請求項1に記載の誘電体レンズ。
  3. セラミックスを含有する中芯層及びドーム層の各々が、カルボン酸変性熱可塑性重合体を含有する、請求項1に記載の誘電体レンズ。
  4. 全体の見かけ密度が0.03〜1.2g/cmである、請求項1に記載の誘電体レンズ。
  5. 中芯層及びドーム層の各々の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である、請求項1に記載の誘電体レンズ。
  6. 中芯層及び各ドーム層の見かけ密度が中芯層から最外層のドーム層に向かって小さくなっている、請求項1に記載の誘電体レンズ。
  7. 球形状の外表面を持つ球形状の芯と、
    各々同心球形状の内表面と外表面を持つ複数の中空球形状殻とから構成される球形状の誘電体レンズであって、
    芯及び各殻の外表面は異なる外径を持ち、各殻の内表面は異なる内径を持ち、
    芯と各殻は順次互いに同心的に嵌合一体化されて球形状とされ、
    芯はセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
    各殻は0〜80重量%のセラミックスを含有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなり、
    芯及び各殻の単位体積あたりのセラミックス含有量は、芯から最外殻に向かって小さくなっており、
    芯及び殻の各々において、その見かけ密度の標準偏差は0.07g/cm以下であり、
    中芯層の外表面に隣接する部分、又は最外層のドーム層を除く各ドーム層の内表面及び外表面に隣接する部分における発泡粒子数(N)に対するボイド数(V)の比(V/N)が、0.2〜1.0であることを特徴とする誘電体レンズ。
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