JP6495195B2 - 温風暖房装置 - Google Patents

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Description

本発明は、温風を発生させて室内を暖房する温風暖房装置に関するものである。
従来、灯油やガスなどの燃料を燃焼させて、その燃焼排ガスを温風として排出することで室内を暖房する温風暖房装置が広く使用されている。この種の暖房器具は、速暖性に優れているという特徴があるが、その一方で燃料を燃焼させるという性質上、酸素が消費されて二酸化炭素が増加するため室内の空気を定期的に換気する必要がある。
また、上述の暖房器具以外にも、エアコンやオイルヒーターまたは蓄熱装置なども室内を暖房する器具として使用されている。これらの暖房器具は、酸素を消費しないため換気が不要であるという利点があるが、燃焼によって発生する熱を直接暖房に使用するものに比べ速暖性に劣るため暖房運転を開始してもすぐに部屋を暖めることができない。特に寒冷地ではエアコンやオイルヒーターだけで部屋を暖房しようとしてもなかなか室温が上昇しないので、運転を開始してもしばらくは寒い状態が続いてしまうという問題がある。
このように、暖房器具にはその方式によって夫々特徴がある。そのため、異なる特徴をもつ暖房器具を組み合わせて使用すれば夫々の欠点を補って快適な室内環境を作ることができると考えられる。例えば、エアコンやオイルヒーターなどを使用する際には、速暖性に優れる暖房器具を併用して運転させることで暖房能力不足を補うことができるようになるため、とりわけ運転開始時の室温上昇の改善に大きな効果が期待される。ところが、個々の暖房器具はそれ単独での使用を前提として暖房能力の制御を行うようになっているため、併用して使用したとしても必ずしもお互いの利点を最大限活用することができるものではない。
そこで、この問題を解決するため、複数の暖房器具間で制御データを通信して双方の暖房能力を制御する方法や暖房システムが考えられている(特許文献1)。このように制御データを通信し暖房器具を連動制御することで、部屋の暖めすぎを防止して快適性と省エネを同時に実現することができるのである。
特開2004−257656号公報
しかしながら、上記特許文献で提案されているような方法では制御データを通信することが前提となっているため、通信手段を有する限られた器具間でしか暖房運転を連動制御することができないものであり、一般的な暖房器具はそのような通信手段を備えていないものがほとんどである。そのため、もともとエアコンを使用していた部屋で暖房能力や速暖性を補うためにファンヒーターを追加したとしても、ファンヒーターとエアコンとを連動させて制御することは不可能である。
本発明は、上記課題を解決するためのもので、暖房器具間でデータの通信を行うことなく、かつ複数の暖房器具を併用して運転した際に夫々の持つ利点を最大限活用できるような暖房運転を行うことのできる暖房装置を提供することを目的とする。
本発明は、運転モードを切り替える運転モード切替手段と、暖房出力を決定する出力決定手段と、前記出力決定手段が決定する暖房出力に基づき熱を発生させる熱発生手段と、室温を検知する室温検知手段を有し、前記運転モードには少なくとも通常運転モードと、他の暖房器具を併用して使用する際に選択する併用運転モードを備え、前記出力決定手段は前記通常運転モードでは室温と設定温度から室温を設定温度付近に維持するよう暖房出力を決定し、前記併用運転モードでは室温が設定温度よりも低い第1所定温度に到達すると、前記第1所定温度を目標室温として暖房出力を決定し、その後室温が第2所定温度に到達すると、前記熱発生手段を停止して暖房運転を停止することを特徴とする温風暖房装置である。
また、前記第2所定温度は設定温度と同じまたは低い温度であることを特徴とする請求項1記載の温風暖房装置である。
また、前記出力決定手段は、前記併用運転モードにおいて、室温が前記第1所定温度に到達してから所定時間経過しても前記第2所定温度に到達しない場合には、目標室温を上方に補正することを特徴とする請求項2記載の温風暖房装置である。
また、前記併用運転モードにおいて暖房運転を停止した際には、表示部に暖房運転が停止していることを表示するとともに、自動での暖房運転の再開を行わないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の温風暖房装置である。
上述のように構成することにより、複数の暖房器具を併用して暖房をおこなう場合に、夫々の暖房器具の持つ利点をうまく利用して快適に暖房をおこなうことができ、またデータ通信を必要としないためどのような暖房器具間においてもその制御をおこなうことが可能となる。
温風暖房装置の一例であるファンヒーターの内部構成図である。 温風暖房装置の一例であるファンヒーターの要部構成図である。 実施例の併用運転モードにおけるファンヒーターの動作を表すフローチャートである。 実施例の併用運転モードにおける暖房出力と室温の時間変化を説明するタイムチャートである。 実施例の併用運転モードにおける暖房出力と室温の時間変化を説明するタイムチャートである。
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
本発明は、設定温度と室温から暖房出力を設定する通常運転モードのほかに、他の暖房器具と併用して使用する際に選択する併用運転モードを備えた温風暖房装置であって、併用運転モードが選択された際には、運転を開始後、室温が設定温度よりも低い第1所定温度に到達すると、この第1所定温度を目標室温として暖房運転を行い、その後室温が第2所定温度に到達すると熱発生手段を停止して暖房運転を停止するようになっている。
本発明にかかる温風暖房装置は速暖性に優れるという特徴を有しており、この併用運転モードとは、速暖性に劣る暖房器具を併用して室内を暖房するときに選択することで、互いの持つ利点を最大限利用した暖房運転を行うものである。つまり、併用運転モードを選択すると運転開始時には速暖性を有する温風暖房装置の暖房能力によって室温をすばやく上昇させる。そしてある程度室温が上昇した後は、目標室温を低く設定して暖房出力を抑えることで他の暖房器具の暖房能力を活用し、室温を設定温度に維持するのである。加えて、この併用運転モードでは、温風暖房装置が検知する室温をもとに暖房出力を制御するようになっており、他の暖房器具とのデータ通信を必要としないため、どのような暖房器具とでも併用運転が可能となる。
また、第2所定温度は設定温度と同じもしくは低い温度とすることで、他の暖房器具の運転を妨げることなく併用運転を行うことができる。
また、室温が第1所定温度に到達してから所定時間経過しても第2所定温度に到達しない場合には、目標室温を上方に補正する。つまり、この併用運転モードでは、室温が第1所定温度に到達すると、その後は第1所定温度が目標室温となるように暖房出力を抑えて運転をし、他の暖房器具の暖房能力を活用するようになっている。そのため、他の暖房器具の能力がこの暖房出力の低下に追いついていないと、室温が上がりにくくなってしまい、使用者に不快感を与えてしまうおそれがある。そこで、このように室温が上がりにくくなった場合は、目標室温を上方に補正して暖房出力を上昇させる。これにより、室温の上昇を手助けし、使用者の快適性を損なうことなく併用運転を行うことができる。
また、併用運転モード実行時に暖房運転が停止した場合は、自動での運転を再開させないようになっている。つまり、併用運転モード実行中に温風暖房装置の運転が停止した状態となっているとき、室温の低下を検知して自動での運転を再開する装置であると、もし使用者が併用運転モードで運転停止していることを忘れて(そもそも運転を行っていないと思って)、部屋を離れるために他の暖房器具の運転を停止させた場合、温風暖房装置は室温の低下を検知して誰もいない部屋で運転が再開されてしまうという事態が起こりうる。しかし、本発明の暖房装置は一旦運転を停止すると、自動での運転再開をしないので、誰もいない部屋で運転が行われてしまうといった使用者が予期しない状況を回避することができる。
以下、本発明の温風暖房装置の一実施例として、灯油を燃料としたファンヒーターを例に挙げ図面を用いて説明する。
図1は温風暖房装置の一例であるファンヒーターの内部構成図であり、本体1内には、灯油を加熱気化する気化器2と、気化器2で発生した気化ガスを燃焼し熱を発生させる熱発生手段としてのバーナ3と、本体1に着脱自在な給油タンク4と、給油タンク4から供給された灯油を貯留する油受皿5と、油受皿5上に載置され気化器2へ灯油を汲み上げる電磁ポンプ6を備えている。
また、本体1の背面には本体1内部に空気を供給する送風機7が取付けられていて、バーナ3での燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機7から供給される空気と混合されて温風となり本体1の前面から排出されることで室内の暖房が行われる。
図2は、温風暖房装置の動作を制御する制御部の構成を示すブロック図である。マイコンからなる制御部8の入力側には、室温を検知する室温検知手段9、バーナ3での燃焼状態を検知する炎検知手段10、使用者がボタンの操作を行う操作部12が接続されており、操作部12には運転の開始および停止を指示する運転ボタン13、温度を設定する温度設定ボタン14、運転モードの切替を行う運転モード切替手段としての運転切替ボタン15などが設けられている。また、制御部8の出力側には、前出の気化器2、電磁ポンプ6、送風機7のほか、温度や時刻またはエラーといった情報を表示する表示部11が設けられている。
そして制御部8は、室温検知手段9が検知した室温と温度設定ボタン14の操作によって設定された設定温度との差から暖房出力(燃焼量)を決定してバーナ3での燃焼を制御する出力決定手段16、送風機7の駆動を制御する送風機制御手段17、表示部11に表示する内容を制御する表示制御手段18、所定の時間を計時するタイマ手段19を備えている。
また、ファンヒーターには、室温と設定温度の差から暖房出力を決定し室温を設定温度に維持するよう暖房運転を行う「通常運転モード」と、室温と設定温度の差によって燃焼を断続的に行う「セーブ運転モード」と、他の暖房器具を併用して暖房する際に使用する「併用運転モード」が備えられており、運転切替ボタン15を操作することにより複数の運転モードから所定の運転モードを選択して実行する。
ここで、前述の「併用運転モード」についてさらに詳細に説明する。室内の暖房を行う暖房器具には種々のものがあるが、その中でファンヒーターのように灯油やガスなどの燃料を燃焼させその燃焼排ガスを室温の上昇に用いる暖房器具は、速暖性に優れているという特徴を有している。一方で、エアコンやオイルヒーターまたは蓄熱装置など燃焼によって発生する熱を直接暖房に使用しない暖房器具も室内を暖房する手段として使用されており、これらの暖房器具は燃焼排ガスを発生させないため長時間連続して使用しても室内の酸素濃度を低下させる原因とはならないが、燃焼排ガスを室温の上昇に用いるものに比べて速暖性の面では劣るものである。そのため、春先や秋口など外気温がそれほど低くなければ、エアコン等の暖房だけでも部屋を暖めることはできるが、外気温がかなり低くなると室内の空気を暖めるまでに時間がかかり、暖房運転を開始してもなかなか室内が暖まらずに寒く感じることがある。そこで、エアコンやオイルヒーターなど速暖性に劣る暖房器具を使用する際には、ファンヒーターのように速暖性に優れる暖房器具を同時に運転させることで暖房能力の不足を補い、特に暖房開始時の快適性を向上させることが可能になる。
しかしながら、個々の暖房器具はそれ単独での使用を前提として暖房能力の制御を行うようになっているため、夫々に目標温度を設定して使用したとしても必ずしも個々の利点を最大限活用することができるわけではない。つまり、ファンヒーターとエアコンを同時に運転させたとすると、ファンヒーターの発する熱をエアコンが検知して部屋が暖まっていると判断してしまうため、エアコンは暖房出力を落として運転するので、室温の上昇・維持のためにエアコンの暖房能力はあまり活用されないことになる。これでは、使用者が意図するような併用運転を行っていることにはならない。
そこで、室内の暖房にファンヒーターと他の暖房器具を併用して運転させる場合にはこの併用運転モードを選択し、夫々の暖房器具の持つ利点を生かして室内の暖房を行うようにファンヒーターの運転を制御する。つまり、暖房運転の開始時には、ファンヒーターの持つ速暖性を生かしてすばやく室温を上昇させる。そして室温がある程度上昇したら、その後は他の暖房器具が暖房出力を落として運転してしまわないよう、目標室温を低く設定して暖房出力を抑えた運転を行う。さらには、このように目標温度を低く設定した後に、室温が設定温度付近に到達したときには、他の暖房器具のみで室内の暖房が可能であると判断できるためファンヒーターの運転を停止するようになっている。
次に、上述の構成におけるファンヒーターの動作について図3〜5を用いて説明する。
操作部12に設けられた運転ボタン13の操作により運転開始が指示されると、気化器2のヒータへ通電が行われ気化器2の加熱が開始される。気化器2が加熱されて灯油を気化することのできる温度まで上昇すると、電磁ポンプ6が始動して油受皿5内の灯油を汲み上げ、灯油が気化器2に供給される。
気化器2に供給された灯油は、加熱気化されて気化ガスとなり、気化器2の先端に設けられた噴出口からバーナ3に向けて噴出される。バーナ3に向けて噴出された気化ガスは、噴出された際のエジェクタ効果により周囲の空気を一次空気として取り込むため、バーナ3内部で気化ガスと一次空気とが混合されて混合ガスとなる。この混合ガスはバーナ3から噴出して、図示しない点火手段により点火され燃焼が開始される。
燃焼開始に伴い、送風機7の駆動も開始される。送風機7の回転によって本体1内に取り込まれた空気は一部が二次空気として火炎に供給されて火炎が完全燃焼し、燃焼によって発生した排ガスは、本体1内に取り込まれた空気と混合されて温風となり本体1前面より排出される。このようにして暖房運転が開始されると、運転切替ボタン15によって設定された運転モードに基づき出力決定手段16は暖房出力を決定し、室内の暖房を行うようになっている。
<通常運転モード>
運転切替ボタン15にて「通常運転モード」が選択されているときは、出力決定手段16は室温Txと設定温度T0との差から暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量が制御され、送風機7は送風機制御手段17により回転数が制御されて、室温Txが設定温度T0を維持するようバーナ3で燃焼が行われる。なお、春先や秋口など比較的外気温が高いときは、暖房出力を最小にしても室温Txが設定温度T0を超える場合があるが、このときも燃焼の停止は行わず最小出力での燃焼を継続する。
<セーブ運転モード>
運転開始から室温Txが設定温度T0に到達するまでは通常運転モードと同様に、室温Txと設定温度T0の差から暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量が制御され、送風機7は送風機制御手段17により回転数が制御される。ここで、通常運転モードとの違いは、暖房出力を最小にしても室温Txが設定温度T0を超えるような場合には燃焼を停止させる点である。
具体的には、室温Txと設定温度T0を比較し、室温Txが設定温度T0より所定温度(例えば3℃)高くなったと判断されるとバーナ3での燃焼を停止し、表示部11にはセーブ運転モードで燃焼待機状態であることを表示する。そして燃焼が停止することで徐々に室温が下がり、室温Txが設定温度T0よりも所定温度(例えば1℃)低くなったと判断されると燃焼を再開させる。つまり、室温Txと設定温度T0の差によって燃焼の停止と再開とが繰り返されるものであり、これにより室温Txが設定温度T0を上回る状態を抑えて灯油の消費を抑えた運転が可能となる。
<併用運転モード>
他の暖房器具を併用して運転させる際に選択するモードであり、ここでいう他の暖房器具とは、エアコンやオイルヒーターまたは蓄熱装置など速暖性の面でファンヒーターに比べて劣る暖房器具を指す。
図3は併用運転モードにおけるファンヒーターの動作を表したフローチャートであって、ここではファンヒーター、他の暖房器具とも設定温度をT0として運転を開始したものとして説明する。
ファンヒーターの運転切替ボタン15を操作して「併用運転モード」を選択すると、出力決定手段16は通常運転モードと同様に室温Txと設定温度T0との差から暖房出力を決定し、この暖房出力に基づいて気化器2を加熱するヒータの温度、電磁ポンプ6が汲み上げる灯油の量、送風機7の回転数を制御してバーナ3での燃焼が行われる。このとき、他の暖房器具も暖房運転を行っているが、室温の上昇には主としてファンヒーターの発する燃焼熱が用いられることになり、ファンヒーターの速暖性を生かして暖房が行われる。
次に、室温Txと第1所定温度T1(T1は任意の温度、ただしT1<T0)を比較する(ステップ1)。室温Txが第1所定温度T1に到達したと判断すると、出力決定手段16は目標室温を第1所定温度T1に変更し(ステップ2)、室温Txと目標室温T1との差から暖房出力を決定してバーナ3での燃焼が継続される。また、これと同時にタイマ手段19が計時を開始する(ステップ3)。
しかしながら、ステップ2でファンヒーターの目標室温をT1に変更しても、他の暖房機器は設定温度T0で運転しているため、実際には室温Txは上昇していく。そのため、室温検知手段9では上昇する室温Txを検知して、出力決定手段16はこの室温Txと目標室温T1に基づき徐々に暖房出力を低下させることになる。つまり、室温がT1に到達した後はファンヒーターの暖房出力が徐々に下がることにより、他の暖房器具は暖房出力を落とすことなく運転を行うことになる。このように、ファンヒーターの目標室温を自動的に変更させることによって、暖房器具間で制御データを通信しなくとも使用者が意図するような暖房運転を行わせることができるのである。
そして、次に室温Txと第2所定温度T2(T2は任意の温度、ただしT1<T2≦T0)を比較する(ステップ4)。室温Txが第2所定温度T2に到達したと判断すると、ファンヒーターの運転を停止し、以後は他の暖房器具のみで暖房を行わせる。この第2所定温度T2は設定温度T0と同じでもよいし、低くてもよいが、第2所定温度T2と設定温度T0の差が大きいとファンヒーターの運転を停止した後、設定温度T0に到達するまでに時間がかかってしまうおそれがあるため、その差は1℃程度とするのが好ましい。
一方、ステップ4で室温Txが第2所定温度T2に達していない場合は、ステップ3でタイマ手段19が計時開始した時間が所定時間を経過したか判断し(ステップ5)、所定時間経過していたときには目標室温を上方に補正する(ステップ6)。併用運転モードでは、室温Txが第1所定温度T1に到達すると、その後は目標室温をT1として暖房出力を抑えて運転をし、他の暖房器具の暖房能力を活用するようになっているが、他の暖房器具の能力がこの暖房出力の低下に追いついていないと、室温が上がりにくくなってしまい、使用者に不快感を与えてしまうおそれがある。そこで、室温の上がり具合をステップ5で判定し、所定時間を経過した場合は室温が上がりにくくなっているため、目標室温T1を上方に補正して暖房出力を上昇させる。これにより、他の暖房器具の能力を補って室温の上昇を手助けし、使用者の快適性を損なうことなく併用運転を行うことができる。そして目標室温を補正した後は、タイマ手段19をリセットする(ステップ7)。
このように、併用運転モードを選択すると、暖房運転の開始時にはファンヒーターの持つ速暖性を生かして効率よく室温を上昇させ、室温がある程度上昇したら、その後は他の暖房器具が暖房出力を落として運転してしまわないよう、ファンヒーターの暖房出力が徐々に低下するようになっており、使用者が意図するような暖房運転を実行することで夫々の暖房器具の持つ利点をうまく利用して快適な室内環境を作ることができる。またデータ通信を必要としないため、併用運転の対象となる暖房器具が限定されず汎用性にも優れる。
図4、5は上述の併用運転モードにおけるファンヒーターの暖房出力と室温の時間変化を表したタイムチャートであって、それぞれ室温Txが第1所定温度T1に達してから所定時間内に第2所定温度T2に到達した場合と、到達しなかった場合を示している。なお、ここでは設定温度T0=20℃、第1所定温度T1=16℃、第2所定温度T2=19℃、所定時間=20分として説明する。
まず図4において、併用運転モードの開始から第1所定温度である16℃に到達するまでは、設定温度の20℃を目標に通常運転モードと同様の暖房出力にて運転し、室温Txが16℃に到達したと判断されると(A点)、目標室温が16℃に変更される。目標室温が16℃になったことで、実際の室温Txはすでに目標室温に到達しているため暖房出力は段階的に低下していき、暖房出力が最小となるとこの出力を維持して暖房を継続する。ファンヒーターの暖房出力が低下しても、他の暖房器具は設定温度20℃で運転を継続しているため室温Txは上昇を続け、室温Txが第2所定温度である19℃に到達した時点で運転を停止する(C点)。このように、A点からC点の間ではファンヒーターが暖房出力を落とすことにより、ファンヒーター主体の暖房から他の暖房器具主体の暖房へと移行し、C点でファンヒーターの運転が停止した後も、室温Txは緩やかに上昇して設定温度に到達する。そして、他の暖房器具のみの暖房により設定温度に室温が維持されるようになる。
一方、図5では、A点で室温Txが第1所定温度である16℃に到達すると、目標室温が16℃に変更され、図4と同様に暖房出力が段階的に低下していく。しかし、A点から20分経過した時点でも室温が第2所定温度の19℃に到達していないため、目標室温の16℃を上方に2℃補正して18℃に変更する(B点)。目標室温が18℃に上がったことにより暖房出力が上昇するので、これに伴って室温Txの上昇度合は大きくなる。そして、室温Txが19℃に到達した時点で運転を停止する(C点)。このように、室温Txの上昇度合いが小さく設定温度に到達するまでに時間がかかるような場合は、目標室温を上げて他の暖房器具の能力を補うことで室温Txの上昇を手助けし、使用者の快適性を損なうことなく併用運転が行われる。
なお、一般的なファンヒーターは表示部11に室温を表示させるようになっているが、上述のように第2所定温度が設定温度より低く設定される場合、設定温度に到達する前にファンヒーターの運転が停止してしまうことになり、これを見た使用者はファンヒーターが正常に運転していないと勘違いしてしまうおそれがある。そのため、第2所定温度が設定温度より低い場合には、併用運転モードが選択されると自動的に表示温度を補正するようにしてもよい。例えば、上の例では第2所定温度が設定温度20℃よりも1℃低い19℃に設定されるので、表示する温度は実際の室温に1℃プラスした値とする。これにより、第2所定温度の19℃でファンヒーターの運転を停止する際にも表示部11には設定温度の20℃を表示させることができる。
また、この併用運転モードにおいて、C点で運転が停止した際には、表示部11に運転停止中であることを表示し、以後は運転ボタン13を操作しない限り運転は開始しない。つまりセーブ運転モードのように、室温を検知して自動での運転再開は行わない。運転が停止した状態となっているとき、室温の低下を検知して自動での運転を再開するようになっていると、もし使用者が併用運転モードで運転停止していることを忘れて、部屋を離れるために他の暖房器具の運転を停止させた場合、ファンヒーターは室温の低下を検知して誰もいない部屋で運転が再開されてしまうという事態が起こりうる。しかし、一旦運転を停止すると自動での運転再開をしないようにすれば、誰もいない部屋で運転が行われてしまうといった使用者が予期しない状況を回避することができる。
本実施例では運転モードとして、「通常運転モード」「セーブ運転モード」「併用運転モード」の3つを備えたものとして説明したが、少なくとも「通常運転モード」と「併用運転モード」の2つを備えていればよく、その他の運転モードは本実施例に限定されるものではない。
また、ファンヒーターと他の暖房器具の設定温度をどちらも同じT0として運転を開始すると説明したが、設定温度は必ずしも同じである必要はなく、異なっていたとしても併用運転を行わせることは可能である。
3 バーナ(熱発生手段)
9 室温検知手段
11 表示部
15 運転切替ボタン(運転モード切替手段)
16 出力決定手段

Claims (4)

  1. 運転モードを切り替える運転モード切替手段と、暖房出力を決定する出力決定手段と、前記出力決定手段が決定する暖房出力に基づき熱を発生させる熱発生手段と、室温を検知する室温検知手段を有し、前記運転モードには少なくとも通常運転モードと、他の暖房器具を併用して使用する際に選択する併用運転モードを備え、前記出力決定手段は前記通常運転モードでは室温と設定温度から室温を設定温度付近に維持するよう暖房出力を決定し、前記併用運転モードでは室温が設定温度よりも低い第1所定温度に到達すると、前記第1所定温度を目標室温として暖房出力を決定し、その後室温が第2所定温度に到達すると、前記熱発生手段を停止して暖房運転を停止することを特徴とする温風暖房装置。
  2. 前記第2所定温度は設定温度と同じまたは低い温度であることを特徴とする請求項1記載の温風暖房装置。
  3. 前記出力決定手段は、前記併用運転モードにおいて、室温が前記第1所定温度に到達してから所定時間経過しても前記第2所定温度に到達しない場合には、目標室温を上方に補正することを特徴とする請求項2記載の温風暖房装置。
  4. 前記併用運転モードにおいて暖房運転を停止した際には、表示部に暖房運転が停止していることを表示するとともに、自動での暖房運転の再開を行わないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の温風暖房装置。
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