[第1実施形態]
以下、図面を参照して第1実施形態の暖房装置100について説明する。図1は、第1実施形態の暖房装置100の概略的な構成図である。具体的には、図1(a)は暖房装置100の主要な構成部品の配置状態を示す正面透視図であり、図1(b)は暖房装置100を側部から見た断面図である。図示するように、暖房装置100は、空気を吸い込む吸込口70及び空気を吹き出す吹出口72を有する筐体10の内部に、燃料を燃焼する燃焼器(「燃焼手段」の一例)20と、燃焼器20に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段Fと、吸込口70を介した筐体10内への空気の吸気と吹出口72を介した筐体10内からの空気の吹き出しとを行うように空気を流動させる対流用ファン40(「空気流動手段」の一例)と、動作を制御する制御手段80とを備え、吸込口70から筐体10内に吸い込んだ空気を燃焼器20の燃焼排ガスと混合させることで空気の昇温を行って、昇温した空気を吹出口72から暖房対象空間に吹き出すように構成されている装置(ガスファンヒータ)である。加えて、暖房装置100は、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度を測定する室内温度センサ1(「吸込空気温度測定手段」の一例)と、筐体10の内部温度を測定する本体内用温度センサ2と、運転に関する指示を使用者から受け付ける運転操作受付部(「運転指示受付手段」の一例)50とを備える。
暖房装置100の筐体10には、背面に外気を燃焼用空気Aとして取り入れる吸込口70が設けられていると共に、前面に燃焼後の燃焼排ガスと空気との混合ガスを温風として吹き出す吹出口72が設けられている。また、吸込口70の外側には、塵埃を捕捉するためのエアフィルタ71が設定されている。
燃焼器20は、燃料ガスGを燃焼用空気Aと共に燃焼させる。具体的には、燃焼器20には、燃料ガスGを導く燃料ガス流路24が連通接続されており、その燃料ガス流路24には、燃料ガスGの流通を止める又は許容する第1電磁弁26a及び第2電磁弁26bと、燃料ガスGの流量を調整可能な比例弁25と、燃料ガスGを燃焼器20に向けて噴射する噴射ノズル23とが、上流側から下流側へ順に設けられている。このうち、第1電磁弁26a及び第2電磁弁26b及び比例弁25が、燃焼器20に供給する燃料量を調節する燃料量調節手段Fとして機能する。二つの電磁弁(第1電磁弁26a及び第2電磁弁26b)が設けられている理由は、燃料ガスGが燃料ガス流路24の下流側へ漏出することを、より確実に防止するためである。加えて、燃焼器20は、その燃焼室22に導かれた燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合気に点火する点火器21と、形成された火炎を検出して火炎の立ち消えを検知可能な火炎センサ4とを備えている。
空気流動手段としての対流用ファン40は、複数のランナを有するクロスフローファン41と、クロスフローファン41を周方向に回転させるファン駆動用モータ42とから構成されている。ファン駆動用モータ42が、クロスフローファン41を回転させることにより、吸込口70から筐体10の内部へと外気が取り入れられる。そして、筐体10の内部に吸い込まれた空気の一部は、燃焼用空気Aとして燃焼器20の燃焼室22へ導かれ、残りの空気は燃焼室22を迂回して流れながら燃焼器20の燃焼排ガスと混合される。これにより、吸込口70から筐体10の内部に吸い込まれた空気が昇温されて、吹出口72から筐体10の外部へと吹き出される。
筐体10の背面には、周囲の空気の温度を測定できる、即ち、暖房装置100が使用されている室内の空気の温度を測定できる室内温度センサ1が設けられている。つまり、この室内温度センサ1は、吸込口70から筐体10内に吸い込む空気の温度を測定する吸込空気温度測定手段として機能する。
図2は第1実施形態の運転操作受付部50の構成例を示す図であり、図3は、第1実施形態の暖房装置100の機能ブロック図である。
運転操作受付部50は、筐体10の天面に設けられ、運転に関する指示を使用者から受け付ける。運転操作受付部50は、使用者等により操作させる操作スイッチとして、エコ運転スイッチS1と、おはようタイマースイッチS2、おやすみタイマースイッチS3と、温度/時間設定スイッチ(温度設定スイッチ)S4(上方向スイッチS4a、下方向スイッチS4b)と、運転/停止スイッチS5とを有する。加えて、運転操作受付部50は、暖房装置100の状態を示す表示部として、エコ運転の実行中に点灯されるエコ運転ランプ51と、おはようタイマーの設定中に点灯されるおはようタイマーランプ52と、おやすみタイマーの設定中に点灯されるおやすみタイマーランプ53と、吸込口70に設けられているフィルタの目詰まりを使用者に報知するために点灯されるフィルタ掃除ランプ54と、運転が行われているときに点灯される運転状態表示ランプ56と、設定室温等を表す数字・文字・記号などを表示する設定室温表示部57と、現在室温等を表す数字・文字・記号などを表示する現在室温表示部58とを有する。
運転/停止スイッチS5は、運転の開始及び停止を指示するためのスイッチである。暖房装置100が運転を停止した状態にあるとき使用者が運転/停止スイッチS5を押し操作すると、制御手段80は、その操作を運転開始の指示として受け付けると共に運転状態表示ランプ56を点灯させる。また、暖房装置100が運転を行っている状態にあるときに使用者が運転/停止スイッチS5を押し操作すると、制御手段80は、その操作を運転停止の指示として受け付けると共に運転状態表示ランプ56を消灯させる。
制御手段80は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理機能及び例えば半導体メモリなどの情報記憶機能を有する電気回路部を用いて構成される装置であり、通常モードでの運転の実行指示を受け付けているとき、吸込空気温度測定手段としての室内温度センサ1が測定する空気の温度が設定目標温度となるように、室内温度センサ1が測定する空気の温度と設定目標温度との温度差に基づいて、最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲の中から燃焼器20に供給する目標供給燃料量を決定し、その目標供給燃料量を燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給させる。本実施形態では、燃料量調節手段Fを構成する比例弁25は、燃焼器20へ供給する燃料量に対応する弁開度を段階的に変化させる段階比例弁である。そして、制御手段80は、比例弁25の弁開度を段階的に変化させることで、燃焼器20へ供給する燃料量を段階的に変化させる。尚、以下においては、燃料量調節手段Fが燃焼器20に供給可能な最小供給燃料量と最大供給燃料量との間の全供給燃料量範囲として、比例弁25の弁開度が1段(最小供給燃料量)~12段(最大供給燃料量)までの合計12段階である場合を例にとって説明する。例えば、弁開度が1段のときの燃焼器20への供給燃料量は、暖房能力で0.76kWに相当する。そして、弁開度の段数が大きくなるにつれて、燃焼器20への供給燃料量(暖房能力)が多くなる。また、制御手段80は、燃焼器20への供給燃料量に応じた空気を燃焼器20に供給するべく、対流用ファン40の運転状態を制御する。
制御手段80が通常モードで運転を行うときの上記設定目標温度は、使用者が温度/時間設定スイッチ(温度設定スイッチ)S4を操作して設定できる。例えば、制御手段80は、通常モードで運転を行っているとき、設定室温表示部57に使用者が入力した設定目標温度又は初期値を表示している。そして、使用者が上方向スイッチS4aを押し操作する毎にその温度の表示値が順次増加変更され、下方向スイッチS4bを押し操作する毎にその温度の表示値が順次減少変更される。
例えば、使用者は、12℃~26℃までの温度を通常モードでの設定目標温度として1℃刻みで設定でき、このとき、現在室温表示部58には室内温度センサ1で測定されている温度が表示されている。加えて、使用者は、12℃よりも低い設定温度に対応する設定状態として「L(ロー)」を設定でき、26℃よりも高い設定温度に対応する設定状態として「H(ハイ)」を設定できる。例えば、「L(ロー)」が設定された場合には設定温度は10℃等の低温度となり、「H(ハイ)」が設定された場合には設定温度は45℃などの高温度になる。これらの設定状態は、上方向スイッチS4a及び下方向スイッチS4bを使用者が押し操作する毎に一段階ずつ順次設定変更される。尚、「L」~「H」までの範囲が「全設定目標温度範囲」である。
エコ運転スイッチS1は、暖房装置100で消費される燃料量を相対的に少なくさせる運転(「エコ運転」の一例)の実行を指令するためのスイッチである。使用者がエコ運転スイッチS1を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、エコ運転の実行指示として受け付ける。例えば、使用者がエコ運転スイッチS1を押し操作すると、制御手段80は、エコ運転ランプ51を点灯させると共に、エコ運転モードでの運転を開始する。このエコ運転モードでの運転では、制御手段80は、通常モードでの運転を行いつつ室内温度センサ1が測定した室内の温度が上記設定目標温度まで上昇すると30分間はその設定目標温度のままで運転を行い、その後、実際の運転制御上の目標温度を設定目標温度よりも1℃下げた状態で通常モードでの運転を継続する。尚、設定室温表示部57に表示される設定目標温度は、使用者が設定した設定目標温度のままである。そして、制御手段80は、更に30分間運転を行い、室内温度センサ1が測定した室内の温度が目標温度(設定目標温度よりも1℃低い温度)以上であれば、更に実際の運転制御上の目標温度を1℃下げる。このように、体感温度を大きく損なうことなく、徐々に設定室温を低くすることで、燃料費を節約することができる。尚、エコ運転モードでの運転では、燃焼量が最小燃焼量であるにもかかわらず、測定温度が設定目標温度よりも高くなった場合には、室温の異常上昇を防ぐために燃焼器20の作動を自動的に一時停止し、測定温度が下がると自動で燃焼器20を再作動させる。
おはようタイマースイッチS2は、運転開始の予約を行うためのスイッチである。使用者がおはようタイマースイッチS2を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、現在停止中である暖房装置100の運転開始の予約指示として受け付ける。例えば、使用者がおはようタイマースイッチS2を「入り」操作すると、制御手段80は、おはようタイマーランプ52を点灯させると共に、設定室温表示部57に、何時間後に運転開始するのかを示す数字(初期値)が表示される。そして、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS4の上方向スイッチS4aを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を増加させること、或いは、温度/時間設定スイッチS4の下方向スイッチS4bを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を減少させることで、その表示された時間を運転開始するまでの残り時間として設定させる。
おやすみタイマースイッチS3は、運転停止の予約を行うためのスイッチである。使用者がおやすみタイマースイッチS3を「入り」操作すると、制御手段80は、その操作を、現在運転中である暖房装置100の運転停止の予約指示(「タイマー運転の実行指示)として受け付ける。例えば、使用者がおやすみタイマースイッチS3を「入り」操作すると、制御手段80は、おやすみタイマーランプ53を点灯させると共に、設定室温表示部57に、何分後に運転停止するのかを示す数字(初期値)を表示させ、おやすみタイマー運転モードでの運転を開始する。そして、制御手段80は、温度/時間設定スイッチS4の上方向スイッチS4aを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を増加させること、或いは、温度/時間設定スイッチS4の下方向スイッチS4bを使用者が押し操作したことに応じてその表示された時間を減少させることで、その表示された時間を運転停止するまでの残り時間(「タイマー運転の運転時間」の一例であり、以下、「おやすみタイマー運転時間」という)として設定させる。また、おやすみタイマー運転モードでの運転においては、おやすみタイマー運転時間が経過するまで通常モードでの運転が行われるが、この通常モードでの設定目標温度は、使用者による温度/時間設定スイッチS4の押し操作に応じて制御手段80によって設定される。尚、暖房装置100が開放燃焼式であるため、60分に1~2回程度の換気が必要であるが、使用者が就寝すると定期的な換気を行うことができなくなる。したがって、おやすみタイマー運転の運転時間として設定可能な時間は、安全を考慮して、例えば60分を上限とする。
本実施形態に係る暖房装置100では、使用者がおやすみタイマースイッチS3を「入り」操作するとともに、エコ運転スイッチS1を同じく「入り」操作することで、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用することができる。
この場合、制御手段80は、運転停止の予約指示及びエコ運転の実行指示を受け付けたとき、所定の初期設定目標温度及びこの初期設定目標温度よりも低い最終設定目標温度を夫々設定するとともに、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度となるように、燃料量調節手段Fにより燃焼器20へ供給する目標供給燃料量を変化させて燃焼器20の燃焼量を調節しながら運転を行う。初期設定目標温度及び最終設定目標温度は、全設定目標温度範囲(上記「L」~「H」の範囲)よりも狭い最適設定目標温度範囲の中から予め決められた温度である。尚、本実施形態においては、人にとって就寝に最適な温度範囲が16℃~20℃であるため、当該温度範囲を最適設定目標温度範囲とするが、これに限られるものではない。尚、おやすみタイマー運転の運転時間は、上記と同様、使用者による温度/時間設定スイッチS4の押し操作に応じて、制御手段80が適宜設定する。
したがって、使用者が最適設定目標温度範囲外に設定目標温度を設定していたとしても、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとの併用時に、最適設定目標温度範囲内の温度を初期設定目標温度として自動的に設定することができ、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われるような事態が生じない。尚、使用者が最適設定目標温度範囲内に設定することも可能であり、使用者が最適設定目標温度範囲内の温度を設定目標温度に設定していた場合には、当該設定目標温度を初期設定目標温度とするようにしても良い。
また、制御手段80は、運転制御上の目標温度が徐々に低下するように、燃焼器20の燃焼量を調節しながら、運転停止の予約指示及びエコ運転の実行指示を受け付けてから室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に達するまでに要した昇温時間の経過後からおやすみタイマー運転時間終了までの間の降温時間内に、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度から最終設定目標温度まで低下するように運転を行う。
したがって、タイマー運転モードとエコ運転モードとを併用する際のエコ運転の制御において、おやすみタイマー運転時間が終了するまで運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲内に維持され、初期設定目標温度を最適設定目標温度範囲内に設定したにもかかわらず、運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲外まで低下するような事態も生じない。
具体的に、本実施形態においては、以下の数式1により、運転制御上の目標温度を1℃下げる時間間隔Xを算出し、運転制御上の目標温度を1℃下げる処理(目標温度低下処理)を算出した時間間隔Xで行うことで、当該目標温度が降温時間内に最終設定目標温度となるように運転する。尚、数式1において、Hはおやすみタイマー運転時間、Mは昇温時間、Taは初期設定目標温度、Tbは最終設定目標温度である。
(数式1)
X=(H-M)/(Ta-Tb+1)
このように、本実施形態の暖房装置100では、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用する場合と、エコ運転モードを単独で使用する場合とで、エコ運転の制御を変えており、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用する場合に、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われたり、エコ運転の制御において、運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲外まで低下したりすることがないようにしている。
ところで、エコ運転モードを単独で使用しているときは、燃焼量が最小燃焼量であるにもかかわらず、測定温度が設定目標温度よりも高くなった場合に、燃焼器20の作動を自動的に一時停止し、測定温度が下がると自動で燃焼器20を再作動させるようにしている。しかしながら、燃焼器20を再作動する際に、点火器21のスパーク音や、電磁弁の開弁音、着火音などが発生し、その音が使用者の睡眠の妨げとなる場合がある。
そこで、制御手段80は、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとの併用時に、おやすみタイマー運転の運転時間終了前に燃焼器20の燃焼量が最小燃焼量となった場合、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度を超えない限り、おやすみタイマー運転の運転時間終了まで運転を続行し、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度を超えた時点で運転を終了する。このようにすることで、燃焼器20の再作動に伴う金属の収縮音が発生するのを防止することができる。
尚、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用した運転中に、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された場合、制御手段80は通常のおやすみタイマー運転を行う。
筐体10の内部には、内部温度を測定する本体内用温度センサ2が設けられており、本実施形態において、本体内用温度センサ2は、燃焼器20よりも下流側で、かつ、燃焼排ガスと空気とが混合された後の混合ガスが流れる部位での温度を測定する。そして、制御手段80は、本体内用温度センサ2の測定温度が、異常高温域に達していると判定した場合には、燃焼器20を停止する等の制御を行う。本体内用温度センサ2の測定温度がこのような異常高温域に達するのは、吸込口70に設けられているフィルタの目詰まりである可能性が高い。そのため、制御手段80は、本体内用温度センサ2の測定温度が異常高温域に達していると判定した場合には、この問題を使用者に報知するためにフィルタ掃除ランプ54を点灯する。
次に、暖房装置100の運転について図4及び図5を参照して以下説明する。尚、図4は、第1実施形態の運転を説明するフローチャートである。また、図5は、第1実施形態の運転を説明するグラフであり、運転時間と室内温度との関係を表している。また、以下においては、おやすみタイマー運転時間Hを60分、初期設定目標温度Taを20℃、最終設定目標温度Tbを16℃と設定し、昇温時間Mが15分である場合に、数式1に基づき運転制御上の目標温度を1℃ずつ下げる時間間隔Xが9分と算出され、制御手段80が、昇温時間の経過後、9分毎に運転制御上の目標温度を1℃ずつ下げる運転を行う場合を例にとって説明する。
まず、制御手段80は、通常モードでの運転中に、おやすみタイマースイッチS3が「入り」操作されると、おやすみタイマー運転での運転、即ち、現在運転中である暖房装置100の通常モードでの運転を所定のおやすみタイマー運転時間経過後に停止させる運転を開始する。
次に、工程#10において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態である場合には工程#15に移行し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でない場合には、工程#11に移行して、通常のおやすみタイマー運転モードでの運転を続行する。
即ち、工程#11において、制御手段80は、使用者による温度/時間設定スイッチS4の押し操作に応じた設定目標温度を設定し、工程#12に移行する。
工程#12において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態である場合には工程#13に移行し、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態でない場合には工程#15に移行する。
工程#13において、制御手段80は、おやすみタイマー運転時間を経過しているか否かを判定し、おやすみタイマー運転時間を経過している場合には工程#14に移行して暖房装置100の運転を停止させ、おやすみタイマー運転時間を経過していない場合には工程#12に帰還する。
工程#15において、制御手段80は、初期設定目標温度及び最終設定目標温度を自動的に設定して工程#16に移行する。このように、使用者が設定目標温度を設定していたとしても、初期設定目標温度が自動的に設定されるため、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われるような事態が生じない。
工程#16において、制御手段80は、おやすみタイマー運転時間が経過しているか否かを判定し、おやすみタイマー運転時間が経過している場合には工程#17に移行して暖房装置100の運転を停止させ、おやすみタイマー運転時間が経過していない場合には工程#18に移行する。
工程#18において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であれば、工程#19に移行する。一方、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でなければ、工程#11に移行し、制御手段80は、通常のおやすみタイマー運転モードでの運転を行う。即ち、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用した運転が行われている最中に、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でなくなった場合、制御手段80は、通常のおやすみタイマー運転モードでの運転を行う。
工程#19において、制御手段80は、目標温度低下処理を実施したか否かを判定し、目標温度低下処理を実施している場合には工程#24に移行し、目標温度低下処理を実施していない場合には工程#20に移行する。
工程#20において、制御手段80は、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達したか否かを判定し、測定温度が初期設定目標温度に到達した場合には工程#21に移行する。
一方、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達していない場合には工程#16に帰還する。したがって、例えば、おやすみタイマー運転時間が経過するまでに、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達しない場合、制御手段80は暖房装置100の運転を停止する。
工程#21において、制御手段80は、上記数式1により時間間隔Xを算出し、工程#22へ移行する。
工程#22において、制御手段80は、初期設定目標温度に到達してからX時間経過したか否かを判定し、初期設定目標温度に到達してからX時間経過した場合には工程#23に移行し、初期設定目標温度に到達してからX時間経過していない場合には工程#16に帰還する。
工程#23において、制御手段80は、運転制御上の目標温度を下げる目標温度低下処理を実施し、工程#16に帰還する。これにより、図5に示すように、室内温度センサ1の測定温度が20℃に到達してから9分後に運転制御上の目標温度が19℃に下げられる。
工程#24において、制御手段80は、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達したか否かを判定し、測定温度が初期設定目標温度に到達した場合には工程#25に移行して制御手段80は暖房装置100の運転を停止する。これにより、エコ運転モードを単独で使用する場合とは異なり、燃焼器20の再作動に伴う音の発生が防止される。一方、測定温度が初期設定目標温度に到達していない場合には工程#26に移行する。
工程#26において、制御手段80は、直前の目標温度低下処理を実施してからX時間経過したか否かを判定し、X時間経過していない場合には工程#16に帰還する。一方、直前の目標温度低下処理を実施してからX時間経過した場合には工程#23に移行して目標温度低下処理を行う。これにより、本実施形態においては、直前の目標温度低下処理を実施してから9分後に運転制御上の目標温度が更に1℃下げられる。そして、本実施形態では、図5に示すように、最終的に目標温度が16℃まで下げられ、おやすみタイマー運転時間が経過すると暖房装置100の運転が停止される。したがって、おやすみタイマー運転時間が終了するまで運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲外まで低下するような事態は生じない。
以上のように、本実施形態の暖房装置100によれば、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用する際に、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われたり、エコ運転の制御において、運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲外まで低下したりすることがなく、最適なエコ運転の制御を行うことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る暖房装置100は、おやすみタイマー運転時間の終了前から終了までの間に、燃焼器20の燃焼量を最小にして運転を行う最小燃焼時間が設定されており、昇温時間の経過後から最小燃焼時間の開始前までの間が降温時間である点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第2実施形態の暖房装置100について説明するが、上記第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態に係る暖房装置100は、燃焼器20による燃焼量がある程度高い状態でおやすみタイマー運転の運転時間が経過して運転が自動的に停止すると、燃焼手段を構成する燃焼室内の金属(バーナーなど)の温度が急激に低下し、金属の収縮音が発生するため、その音が運転の自動停止後も暫く続き使用者の睡眠の妨げとなる場合があるという問題を解決するものである。
即ち、第2実施形態に係る暖房装置100において、制御手段80は、運転停止の予約指示及びエコ運転の実行指示を受け付けてから室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に達するまでに要した昇温時間の経過後から最小燃焼時間の開始までの間の降温時間内に、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度から最終設定目標温度まで低下するように運転を行い、その後、おやすみタイマー運転時間の終了まで燃焼器20の燃焼量を最小にして運転を行う。
具体的に、第2実施形態においては、以下の数式2に基づき時間間隔Xを算出し、目標温度低下処理を時間間隔Xで行い、運転制御上の目標温度が降温時間内に最終設定目標温度となるように運転し、その後、燃焼器20の燃焼量を最小にして所定の最小燃焼時間が経過するまで運転を行う。尚、数式2において、Hはおやすみタイマー運転時間、Kは最小燃焼時間、Mは昇温時間、Taは初期設定目標温度、Tbは最終設定目標温度である。
(数式2)
X=((H-K)-M)/(Ta-Tb+1)
このようにすることで、運転停止前の燃焼室内の金属の温度をできる限り低くし、運転停止した際の温度の急激な低下を抑えて、発生する金属の収縮音を少なくすることができる。
次に、第2実施形態に係る暖房装置100の運転について図6及び図7を参照して以下説明する。尚、図6は、第2実施形態の運転を説明するフローチャートであり、同図中の工程#30-工程#46は、図4に示した工程#10-工程#26と同様である。また、図7は、第2実施形態の運転を説明するグラフであり、運転時間と室内温度との関係を表している。また、以下においては、おやすみタイマー運転時間Hを60分、最小燃焼時間Kを10分、初期設定目標温度Taを20℃、最終設定目標温度Tbを16℃と設定し、昇温時間Mが15分である場合に、数式2に基づき、運転制御上の目標温度を1℃ずつ下げる時間間隔Xが7分と算出され、制御手段80が、昇温時間の経過後、7分毎に運転制御上の目標温度を1℃ずつ下げる運転を行う場合を例にとって説明する。
制御手段80は、通常モードでの運転中に、おやすみタイマースイッチS3が「入り」操作されると、おやすみタイマー運転での運転、即ち、現在運転中である暖房装置100の通常モードでの運転を所定のおやすみタイマー運転時間経過後に停止させる運転を開始する。
次に、工程#30において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態である場合には工程#35に移行し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でない場合には、工程#31に移行して、通常のおやすみタイマー運転モードの運転を続行する。
即ち、工程#31において、制御手段80は、使用者による温度/時間設定スイッチS4の押し操作に応じた設定目標温度を設定し、工程#32に移行する。
工程#32において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態である場合には工程#33に移行し、エコ運転スイッチS1が「切り」操作された状態でない場合には工程#35に移行する。
工程#33において、制御手段80は、おやすみタイマー運転時間を経過しているか否かを判定し、おやすみタイマー運転時間を経過している場合には工程#34に移行して暖房装置100の運転を停止させ、おやすみタイマー運転時間を経過していない場合には工程#32に帰還する。
工程#35において、制御手段80は、初期設定目標温度及び最終設定目標温度を自動的に設定して工程#36に移行する。このように、使用者が設定目標温度を設定していたとしても、初期設定目標温度として自動的に設定されるため、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われるような事態が生じない。
工程#36において、制御手段80は、おやすみタイマー運転時間が経過しているか否かを判定し、おやすみタイマー運転時間が経過している場合には工程#37に移行して暖房装置100の運転を停止させ、おやすみタイマー運転時間が経過していない場合には工程#38に移行する。
工程#38において、制御手段80は、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であるか否かを判定し、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態であれば、工程#39に移行する。一方、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でなければ、工程#31に移行し、制御手段80は、通常のおやすみタイマー運転モードでの運転を行う。即ち、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用した運転が行われている最中に、エコ運転スイッチS1が「入り」操作された状態でなくなった場合、制御手段80は、通常のおやすみタイマー運転モードでの運転を行う。
工程#39において、制御手段80は、目標温度低下処理を実施したか否かを判定し、目標温度低下処理を実施している場合には工程#44に移行し、目標温度低下処理を実施していない場合には工程#40に移行する。
工程#40において、制御手段80は、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達したか否かを判定し、測定温度が初期設定目標温度に到達した場合には工程#41に移行する。
一方、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達していない場合には工程#36に帰還する。したがって、例えば、おやすみタイマー運転時間が経過するまでに、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達しない場合、制御手段80は暖房装置100の運転を停止する。
工程#41において、制御手段80は、上記数式2により時間間隔Xを算出し、工程#42へ移行する。
工程#42において、制御手段80は、初期設定目標温度に到達してからX時間経過したか否かを判定し、初期設定目標温度に到達してからX時間経過した場合には工程#43に移行し、初期設定目標温度に到達してからX時間経過していない場合には工程#36に帰還する。
工程#43において、制御手段80は、運転制御上の目標温度を下げる目標温度低下処理を実施し、工程#36に帰還する。これにより、図7に示すように、室内温度センサ1の測定温度が20℃に到達してから7分後に運転制御上の目標温度が19℃に下げられる。
工程#44において、制御手段80は、室内温度センサ1の測定温度が初期設定目標温度に到達したか否かを判定し、測定温度が初期設定目標温度に到達した場合には工程#45に移行して制御手段80は暖房装置100の運転を停止する。これにより、エコ運転モードを単独で使用する場合とは異なり、燃焼器20の再作動に伴う音の発生が防止される。一方、測定温度が初期設定目標温度に到達していない場合には工程#46に移行する。
工程#46において、制御手段80は、直前の目標温度低下処理を実施してからX時間経過したか否かを判定し、X時間経過していない場合には工程#36に帰還する。一方、直前の目標温度低下処理を実施してからX時間経過した場合には工程#47に移行する。
工程#47において、制御手段80は、降温時間を経過しているか否かを判定し、降温時間を経過していない場合には工程#43に移行して目標温度低下処理を行う。これにより、本実施形態においては、直前の目標温度低下処理を実施してから7分後に運転制御上の目標温度が更に1℃下げられる。そして、本実施形態では、図7に示すように、最終的に目標温度が16℃まで下げられる。
一方、工程#47において、降温時間を経過している場合には工程#48に移行し、工程#48において、制御手段80は、燃焼器20の燃焼量を最小燃焼量にして運転を続行し、最小燃焼時間が経過した時点(工程#49)で暖房装置100の運転を停止させる(工程#50)。このように、第2実施形態においては、暖房装置100の運転を停止する前に、燃焼器20の燃焼量を最小にして所定時間運転を行うため、燃焼室内の金属の温度をできる限り低くし、運転停止した際に発生する金属の収縮音を少なくすることができる。
以上のように、第2実施形態の暖房装置100でも、おやすみタイマー運転モードとエコ運転モードとを併用する際に、設定目標温度が最適設定目標温度範囲外に設定された状態でエコ運転の制御が行われたり、エコ運転の制御において、運転制御上の目標温度が最適設定目標温度範囲外まで低下したりすることがなく、最適なエコ運転の制御を行うことができる。
また、第2実施形態の暖房装置100では、暖房装置100の運転を停止する前に、燃焼器20の燃焼量を最小にして所定時間運転を行うため、燃焼室内の金属の温度をできる限り低くし、運転停止した際に発生する金属の収縮音を少なくすることができる。
[別実施形態]
[1]
上記各実施形態では、暖房装置100の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。上記各実施形態では、運転制御上の目標温度を1℃ずつ下げる例を説明したが、これに限られるものではなく、その下げ幅は適宜設定することができる。
[2]
また、上記各実施形態においては、初期設定目標温度を20℃、最終設定目標温度を16℃に設定、即ち、両設定目標温度間の差を4℃とし、エコ運転の制御で運転制御上の目標温度を計4℃下げる例を説明したが、例えば、初期設定目標温度を18℃、最終設定目標温度を16℃に設定、即ち、両設定目標温度間の差を2℃とし、運転制御上の目標温度を計2℃下げるようにしても良い。尚、人にとって就寝に最適な温度範囲は16℃~20℃であり、運転制御上の目標温度の下げ量は多くなるほど燃料の消費を抑えることができる。したがって、就寝時の室温を使用者にとって快適な温度に保ち、かつ、燃料の消費を抑えるためには、上記第1及び第2実施形態に係る暖房装置100のように、初期設定目標温度を20℃、最終設定目標温度を16℃に設定することが好ましい。尚、初期設定目標温度と最終設定目標温度との間の温度差は、4℃以下であることが好ましい。
[3]
更に、上記実施形態において、時間間隔Xを算出するための数式として数式1及び数式2を示したが、これに限られるものではなく、必要に応じて適宜変更しても良い。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。