[第1実施形態]
第1実施形態の定着装置及び画像形成装置の一例を図面に基づき説明する。
以下の説明では、図1に矢印Yで示す方向を装置高さ方向、図1に矢印Xで示す方向を装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(Zで示す)を装置奥行き方向とする。そして、画像形成装置10をユーザ(図示省略)が立つ側から見て(正面視して)、装置高さ方向、装置幅方向、装置奥行き方向をY方向、X方向、Z方向と記載する。さらに、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれ一方側と他方側を区別する必要がある場合は、画像形成装置10を正面視して、上側をY側、下側を−Y側、右側をX側、左側を−X側、奥側をZ側、前側を−Z側と記載する。
〔全体構成〕
図1に示すように、画像形成装置10は、現像剤像形成手段の一例としての画像形成部12と、定着装置20と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部18とを有している。また、画像形成装置10では、図示しないロール対を含む搬送手段によって、記録媒体の一例としてのフィルム16が搬送されるようになっている。
<画像形成部>
画像形成部12は、一例として、4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kを有している。符号の添え字の「Y」はイエロー用、「M」はマゼンタ用、「C」はシアン用、「K」は黒(ブラック)用であることを示している。4つの画像形成ユニット14Y、14M、14C、14Kは、それぞれ帯電、露光、現像、転写を含む公知の電子写真方式のユニットで構成されている。また、画像形成部12は、一例として、液体現像剤Gを用いて、フィルム16上に現像剤の一例としてのトナーTからなるトナー画像TAを形成するようになっている。トナー画像TAは、現像剤像の一例である。
(フィルム)
フィルム16は、一例として、熱可塑性のOPP(Oriented Polypropylene)フィルムで構成されている。また、フィルム16は、連帳フィルムであり、図示しない繰出ロールから繰り出され、図示しない巻取ロールで巻き取られることにより、張力が付与された状態で画像形成部12及び定着装置20を搬送されるようになっている。
(トナー)
トナーTは、液体現像剤Gに図示しないオイルと共に含まれている。また、トナーTは、一例として、ポリエステル系の樹脂で構成されている。なお、オイルは、一例として、シリコーンオイルで構成されている。
〔要部構成〕
次に、定着装置20について説明する。
図1に示すように、定着装置20は、フィルム16に形成されたトナー画像TAに前処理を行う前処理部30と、前処理部30により前処理されたトナー画像TAを加熱してフィルム16に定着する定着部40とを有している。本実施形態における前処理とは、トナーTとフィルム16との接着性を高めるために、フィルム16の搬送方向(矢印Aで示す)における定着部40よりも上流側において、トナーTを加熱処理することを意味している。
<前処理部>
図2(A)に示すように、前処理部30は、第1加熱部32と第2加熱部34とを有している。
{第1加熱部}
第1加熱部32は、フィルム16の搬送方向で第2加熱部34及び定着部40(図1参照)よりも上流側に配置されている。また、第1加熱部32は、一例として、第1加熱ロール33と、ヒータ35とを有している。そして、第1加熱部32は、フィルム16の温度が第1温度T1(図示省略)となるように、フィルム16を加熱するようになっている。第1温度T1は、後述する熱変形温度以上の温度であり、本実施形態では、一例として、120〔℃〕に設定されている。
第1加熱ロール33は、一例として、アルミニウム製で円筒状の金属ロールで構成されており、Z方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、第1加熱ロール33は、一例として、Z方向に見てY側の半円に相当する範囲の外周面がフィルム16と接触している。言い換えると、フィルム16は、第1加熱ロール33の外周面のほぼ周方向1/2の範囲に巻き掛けられている。
ヒータ35は、第1加熱ロール33の内側に配置されている。また、ヒータ35は、図示しない温度センサ及び制御部18(図1参照)により加熱温度が制御されており、第1加熱ロール33と接触したフィルム16の温度が第1温度T1となるように、第1加熱ロール33を加熱する。
(熱変形温度)
本実施形態における熱変形温度とは、定着部40における後述する定着ロール42の温度(定着温度)以下でかつフィルム16が変形する温度を意味している。本実施形態では、一例として、以下に記載する方法で熱変形温度を測定する。
直径が150〔mm〕のアルミニウム製のロールの外周面に、周方向の接触長さが150〔mm〕となるように、幅250〔mm〕のフィルム16を巻き掛ける。そして、ロールの加熱温度及びロールによるフィルム16の張力(搬送張力)を変えて、搬送速度150〔mm/s〕(加熱時間1〔s〕)を固定条件として、ロールによりフィルム16を搬送する。ここで、ロールによる各加熱温度前後の搬送方向におけるフィルム16の変形率〔%〕を測定する。この測定結果において、搬送方向のフィルム16の変形率〔%〕がほぼ0〔%〕となるときの搬送張力を得る。
続いて、フィルム16の搬送張力〔N〕を、搬送方向の変形率〔%〕がほぼ0〔%〕となる搬送張力に設定した状態で、フィルム16の搬送速度を150〔mm/s〕として、ロールの加熱温度を変えてフィルム16を搬送する。そして、ロール加熱前後のロールの軸方向におけるフィルム16の変形率(幅方向の変形率)を測定し、フィルム16の加熱変形特性とする。この加熱変形特性において、フィルム16の変形率の絶対値(縮み率)が0.3〔%〕となる温度を、熱変形温度と定義する。つまり、本実施形態では、フィルム16の搬送方向の変形率がほぼ0〔%〕でかつ軸方向(幅方向)の変形率が0.3〔%〕となる(しわが発生する)温度を熱変形温度と定義している。
図3(A)には、一例として、フィルム16をPET(Polyethylene terephthalate)製としたときの搬送張力〔N〕と搬送方向変形率〔%〕との関係がグラフで示されている。図3(B)には、一例として、フィルム16をOPP(Oriented Polypropylene)製としたときの搬送張力〔N〕と搬送方向変形率〔%〕との関係がグラフで示されている。なお、図3(A)、(B)共に、ロールの加熱温度について、菱形プロットは80〔℃〕を、四角プロットは90〔℃〕を、三角プロットは100〔℃〕を、×プロットは110〔℃〕を、*プロットは120〔℃〕を表している。
図3(A)の結果では、搬送方向変形率がほぼ0〔%〕となるときの搬送張力がほぼ25〔N〕となった。図3(B)の結果では、搬送方向変形率がほぼ0〔%〕となるときの搬送張力がほぼ10〔N〕となった。
図4(A)には、図3(A)の結果に基づいて搬送張力を25〔N〕としたときの加熱温度〔℃〕と軸方向変形率〔%〕との関係が示されている。図4(A)の結果から、フィルム16がPET製のときの熱変形温度は、110〔℃〕となる。また、図4(B)には、図3(B)の結果に基づいて搬送張力を10〔N〕としたときの加熱温度〔℃〕と軸方向変形率〔%〕との関係が示されている。図4(B)の結果から、フィルム16がOPP製のときの熱変形温度は、110〔℃〕となる。
(フィルム変形率の他の測定方法)
フィルム16の変形率の他の測定方法について説明する。なお、ここでは、フィルム16の変形率を伸縮率と称して説明する。
図7(A)には、熱変形試験装置60が示されている。熱変形試験装置60は、フィルム16(図1参照)の試験片TP2を長手方向に引っ張る引張部62と、試験片TP2を加熱する加熱部64とを有している。加熱部64の加熱温度は、変更可能となっている。試験片TP2は、短手方向の長さが15〔mm〕、長手方向の長さが75〔mm〕となっている。引張部62は、試験片TP2を引っ張ると共に試験片TP2にかかる張力を測定可能となっている。また、引張部62は、JIS−K−7157に準拠した引っ張り試験が可能となっている。熱変形試験装置60では、一例として、日本電産シンポ株式会社製試験器FGS−TVを使用している。
熱変形試験装置60を用いた熱変形試験では、加熱部64が試験片TP2に接触していない状態で、室温(25〔℃〕)で試験片TP2を2〔mm/min〕で引っ張り、試験片TP2の伸び量が予め定めた伸び量になったときに引っ張りを停止する。そして、予め定めた伸び量において試験片TP2に作用している張力を測定する。なお、変位と張力との関係をグラフG1(図7(B)参照)で示す。
次に、加熱部64を試験片TP2に一定時間接触させる。ここでは、一例として、加熱部64を試験片TP2に2〔s〕接触させている。加熱することで試験片TP2が伸長し、張力が矢印B(図7(B)参照)で示す方向に低下する。このときの低下した張力を、プロットC(図7(B)参照)で示す。
加熱部64による加熱を停止した後で室温(25〔℃〕)に冷却することで、試験片TP2が収縮し、矢印D(図7(B)参照)で示す方向に張力が上がる。そして、試験片TP2に作用する張力を低下させることで試験片TP2の変位を元に戻し、試験片TP2に作用する張力が0(ゼロ)になる変位量Δd(図7(B)参照)を求める。変位量Δdが、試験片TP2の熱変形による残留伸縮量〔mm〕であり、この残留伸縮量を試験片TP2の元の長さ75〔mm〕で除したものが残留伸縮率〔%〕となる。なお、試験片TP2の変位を元に戻すときの変位と張力の関係をグラフG2(図7(B)参照)で示す。
上記試験を試験片TP2の加熱温度を変えて行った結果について、試験片TP2に作用する張力を、画像形成装置10において張力が作用するフィルム16の長さ(一例として500〔mm〕)に換算して図8(A)、(B)に示す。なお、図8(A)では、一例として、厚さ12〔μm〕のPETフィルムの測定結果が示されている。図8(B)では、一例として、厚さ20〔μm〕のOPPフィルムの測定結果が示されている。
図8(A)及び図8(B)に示す結果において、残留伸び率の差が0.2〔%〕を超える温度条件の場合に、フィルム16にしわが形成され易い傾向が見られた。言い換えると、既述の第1加熱ロール33と後述する第2加熱ロール37との温度差が、図8(A)、(B)に示す残留伸び率の差に換算して0.2〔%〕を超える温度差(50〔℃〕以上)になると、しわが形成され易くなることが分かった。このため、本実施形態では、一例として、第1加熱ロール33の加熱温度120〔℃〕に対して、第2加熱ロール37の加熱温度を40〔℃〕の差となる80〔℃〕に設定している。
なお、第2加熱ロール37の温度が低すぎると、フィルム16のしわが固定化され易くなることから、第2加熱ロール37の温度は、フィルム16がある程度の変形をする温度となっていることが望ましい。この観点から、本実施形態では、残留伸び率の下限値を0.05〔%〕に設定している。そして、第2加熱ロール37の温度を、残留伸び率が0.05〔%〕以上となる温度で設定している。
{第2加熱部}
図2(A)に示す第2加熱部34は、フィルム16の搬送方向で第1加熱部32よりも下流側でかつ定着部40(図1参照)よりも上流側に配置されている。また、第2加熱部34は、一例として、第2加熱ロール37と、ヒータ39とを有している。本実施形態では、一例として、第2加熱ロール37及びヒータ39が1本ずつ設けられている。そして、第2加熱部34は、フィルム16の温度が第2温度T2(図示省略)となるように、フィルム16を加熱するようになっている。第2温度T2は、既述の熱変形温度未満で設定される温度(既述の第1温度T1よりも低い温度)であり、本実施形態では、既述のように、一例として、80〔℃〕に設定されている。
第2加熱ロール37は、一例として、アルミニウム製で円筒状の金属ロールで構成されており、Z方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、第2加熱ロール37は、一例として、Z方向に見て−Y側の半円に相当する範囲の外周面がフィルム16と接触している。言い換えると、フィルム16は、第2加熱ロール37の外周面のほぼ周方向1/2の範囲に巻き掛けられている。さらに、第2加熱ロール37は、後述する熱変形時間以上の時間でフィルム16に接触するように、外径及び線速度が設定されている。
ヒータ39は、第2加熱ロール37の内側に配置されている。また、ヒータ39は、図示しない温度センサ及び制御部18(図1参照)により加熱温度が制御されており、第2加熱ロール37と接触したフィルム16の温度が第2温度T2となるように、第2加熱ロール37を加熱する。
第1加熱ロール33と第2加熱ロール37との間には、他のロールが無い。このため、第1加熱ロール33の外周面から離れたフィルム16は、張力が付与された状態で第2加熱ロール37の外周面に接触する。第1加熱ロール33と第2加熱ロール37との間で第1加熱ロール33及び第2加熱ロール37と非接触状態であるフィルム16の長さL1は、第2加熱ロール37に到達するフィルム16のしわが固定化されない(過剰に冷却されない)ように設定されている。
(熱変形時間)
本実施形態では、熱変形時間について、張力が付与されているフィルム16を第2温度T2で加熱したときに、加熱開始時点から張力が50〔%〕低下する時点までの時間で定義する。言い換えると、熱変形時間を超える時間でフィルム16を加熱すると、フィルム16が変形することを意味する。本実施形態では、一例として、以下に記載する方法で熱変形時間を測定している。
図5(A)に示すように、フィルム16を短手方向の長さ(幅)15〔mm〕、長手方向の長さ100〔mm〕に切断して試験片TP1とする。試験片TP1の長手方向の両端部を把持部材52で把持する。そして、把持部材52の一方を移動させて、試験片TP1を速度10〔mm/min〕で長手方向に伸ばし、試験片TP1に作用する張力が1.5〔N〕となったところで把持部材52の移動を停止する。この停止状態において、試験片TP1に加熱部材(図示省略)を接触させて、加熱時間と張力との関係を測定する。
図5(B)には、得られた加熱時間と張力との関係がグラフで示されている。張力は、加熱部材による加熱前の張力(1.5〔N〕)を100〔%〕とし、加熱中の飽和張力を0〔%〕として、比率で示している。ここで、既述のように、張力が100〔%〕から50〔%〕まで変化するのに要する時間が熱変形時間である。図5(B)では、一例として、熱変形時間が0.3〔s〕程度となっている。
図6には、材質が異なるフィルムA、Bの2種類のフィルムについて、加熱温度を70〔℃〕から130〔℃〕まで10〔℃〕ずつ変更したときの熱変形時間〔s〕が示されている。図6において、フィルムAはOPP製フィルムであり、フィルムBはPET製フィルムである。フィルムAでは、70〔℃〕で0.4〔s〕、80〔℃〕以上130〔℃〕以下で0.3〔s〕となった。フィルムBでは、70、80〔℃〕で0.5〔s〕、90〔℃〕で0.3〔s〕、100〔℃〕以上130〔℃〕以下で0.25〔s〕となった。
<定着部>
図1に示すように、定着部40は、定着部材の一例としての定着ロール42と、定着ロール42と共にフィルム16を挟んで加圧する加圧ロール44とを有している。また、定着部40は、一例として、定着ロール42及び加圧ロール44が、フィルム16の搬送方向に間隔をあけて1組配置されている。そして、定着部40は、張力が付与された状態で搬送されるフィルム16上のトナーTを加熱してフィルム16に定着させるようになっている。
(定着ロール)
定着ロール42は、円筒状に形成され、Z方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、定着ロール42は、径方向内側から外側へ向けて、芯金、弾性層及び離型層を有する多層構造となっている。さらに、定着ロール42は、内側にハロゲンヒータ46が設けられている。そして、定着ロール42は、フィルム16のトナー画像TAが形成された側の面と接触してトナーTを加熱及び加圧するようになっている。
ハロゲンヒータ46は、一例として、定着ロール42の外周面の温度が120〔℃〕に維持されるように、定着ロール42の温度を検出する温度センサ(図示省略)の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
(加圧ロール)
加圧ロール44は、円筒状に形成され、Z方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、加圧ロール44は、径方向内側から外側へ向けて、芯金、弾性層及び離型層を有する多層構造となっている。さらに、加圧ロール44は、バネなどの図示しない付勢手段を用いて定着ロール42に向けて付勢されている。加えて、加圧ロール44は、内側にハロゲンヒータ48が設けられている。ハロゲンヒータ48は、一例として、加圧ロール44の外周面の温度が120〔℃〕に維持されるように、加圧ロール44の温度を検出する温度センサ(図示省略)の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。そして、加圧ロール44は、フィルム16のトナー画像TAが形成された側とは反対側の面と接触して、定着ロール42と共にトナーTを加熱及び加圧するようになっている。
<しわの発生メカニズム>
図16(A)には、第1加熱ロール33の外周面にフィルム16が巻き掛けられた状態が示されている。第1加熱ロール33の外周面と接触しているフィルム16には、搬送方向に沿った張力F1と、搬送方向とは直交する直交方向の垂直抗力F2とが作用している。
図16(B)に示すように、フィルム16は、第1加熱ロール33と接触したことで既述の熱変形温度以上に加熱される(領域S1)。そして、フィルム16は、熱変形温度以上の温度で第1加熱ロール33の外周面から離れる。このとき、第1加熱ロール33から作用していた垂直抗力F2(図16(A)参照)が作用しなくなるため、フィルム16が撓んでしわK1が発生する(領域S2)。発生したしわK1は、放熱により熱変形温度以下まで冷却されると、搬送方向に沿った縦スジのしわK2としてフィルム16に固定化される(領域S3)。このように、比較例として、第1加熱ロール33で加熱された後で第1加熱ロール33から離れて、他の部材とは接触せずに自然冷却される構成では、しわK2が固定化されたままとなる。
〔作用〕
次に、第1実施形態の作用について説明する。
図1に示す画像形成装置10では、搬送されるフィルム16上に画像形成部12によりトナー画像TAが形成される。フィルム16上のトナー画像TAは、定着装置20の前処理部30において前処理(加熱)された後で、定着部40において加熱及び加圧されることで、フィルム16に定着される。
図2(B)に示す前処理部30において、第1加熱部32では、第1加熱ロール33によりフィルム16が熱変形温度以上の第1温度T1(図示省略)で加熱される。このとき、第1加熱ロール33の外周面と接触しているフィルム16には、搬送方向に張力F1が作用すると共に垂直抗力F2が作用する。このため、第1加熱部32では、フィルム16に垂直抗力F2が作用しない場合に比べて、フィルム16にしわが生じることが抑制される。
続いて、第1加熱部32を抜けたフィルム16には、垂直抗力F2が作用しないので、第1温度T1で加熱された作用及び張力F1による作用により、しわが生じようとする。ここで、第1加熱ロール33から離れたフィルム16は、第2加熱ロール37の外周面と接触する。このため、フィルム16は、第2加熱ロール37の外周面から垂直抗力F3を受ける。さらに、フィルム16は、第2加熱ロール37と接触して、熱変形温度よりも低い第2温度T2(図示省略)で加熱されることで、第1温度T1からの急激な温度低下が抑制される。加えて、フィルム16は、第2加熱ロール37と熱変形時間以上の時間で接触すると共に加熱される。
このように、定着装置20では、第2加熱ロール37によってフィルム16に垂直抗力F3が作用することで、フィルム16の変形が抑制される。また、定着装置20では、第2加熱ロール37によりフィルム16が第2温度T2で加熱されることで、フィルム16の温度が第1温度T1から急激に低下することが抑制される。さらに、定着装置20では、第2加熱ロール37が熱変形時間以上の時間でフィルム16と接触することで、フィルム16に生じるしわの固定化が抑制される。これらの作用により、定着装置20では、第1加熱部32と定着部40(図1参照)との間でフィルム16を自然冷却する構成に比べて、しわが固定化され難くなるので、第1加熱部32から定着部40へ搬送されるフィルム16のしわの発生が抑制される。
また、定着装置20では、第1加熱ロール33がフィルム16と接触しており、フィルム16に対して垂直抗力F2を作用させているので、第1加熱ロール33がフィルム16と接触しない構成に比べて、フィルム16が撓み難い。これにより、フィルム16のしわが抑制される。
さらに、定着装置20では、第2加熱ロール37の数が1本となっている。これにより、第2加熱ロール37の数が複数本となっている構成に比べて、第2温度T2での加熱中にフィルム16が一の第2加熱ロール37から他の第2加熱ロール37へ離れること(一時的な冷却)が抑制されるので、フィルム16のしわが抑制される。
図1に示す画像形成装置10では、既述のように、定着装置20においてフィルム16にしわが生じることが抑制される。これにより、トナー画像TAをフィルム16に定着するときに、フィルム16のしわが増加することにより生じる画像不良(例えば、トナー画像TAの部分的な剥離)が抑制される。
図9には、第1加熱ロール33(図2(A)参照)における加熱温度を100、110、120〔℃〕と変えたときのしわの発生状態(縦スジランク)が示されている。なお、図9における白菱形プロットは比較例であり、OPP製フィルムで第2加熱部34(図2(A)参照)無しの組合せの結果を表している。白四角形プロットは比較例であり、PET製フィルムで第2加熱部34(図2(A)参照)無しの組合せの結果を表している。黒菱形プロットは本実施形態であり、OPP製フィルムを用いた結果を表している。黒四角形プロットは本実施形態であり、PET製フィルムを用いた結果を表している。100〔℃〕のデータは、参考データである。
縦スジランクは、ランク1からランク4まで、0.5きざみで示している。大まかには、定着後のフィルム16を目視して、縦スジが気にならないものをランク4、縦スジが少しあるものをランク3、明らかな縦スジがあるものをランク2、明らかな縦スジが多数あるものをランク1としている。ここで、図9に示すように、本実施形態の定着装置20(図1参照)の結果は、比較例の結果に比べて縦スジランクが上昇することが確認された。
図12(A)には、定着装置20(図2(A)参照)における接触時間と縦スジランクとの関係が示されている。接触時間とは、第2加熱ロール37(図2(A)参照)とフィルム16との接触時間(加熱時間)を意味している。なお、設定条件は、フィルム16がPET製、第1加熱ロール33の温度が120〔℃〕、第2加熱ロール37の温度が80〔℃〕となっている。図12(A)に示す結果から、第2加熱ロール37によるフィルム16の冷却時間が長くなると、縦スジランクが上がることが確認された。ただし、1〔s〕以上の過熱では、ほとんど差は見られなかった。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図10(A)には、第2実施形態に係る定着装置70が示されている。定着装置70は、第1実施形態の画像形成装置10(図1参照)において、定着装置20(図1参照)に換えて設けられている。また、定着装置70は、前処理部72と定着部40(図1参照)とを有している。前処理部72は、第1加熱部32と第2加熱部74とを有している。
第2加熱部74は、フィルム16の搬送方向で第1加熱部32よりも下流側でかつ定着部40(図1参照)よりも上流側に設けられている。また、第2加熱部74は、一例として、第2加熱ロール76、78と、ヒータ77、79とを有している。さらに、第2加熱部74は、フィルム16の温度が第2温度T2(図示省略)となるように、フィルム16を加熱するようになっている。第2実施形態では、第2温度T2が、一例として、80〔℃〕に設定されている。
第2加熱ロール76、78は、一例として、アルミニウム製で円筒状の金属ロールで構成されており、Z方向を軸方向としてX方向に並んで、それぞれ回転可能に設けられている。第2加熱ロール76、78の外径は、第1実施形態の第2加熱ロール37(図2(A)参照)の外径よりも小さくなっている。そして、第2加熱ロール76の外径と第2加熱ロール78の外径は、ほぼ同じ大きさとなっている。第2加熱ロール76、78の外周面には、一例として、第1加熱ロール33から送られたフィルム16がS字状に巻き掛けられている。
さらに、第2加熱ロール76、78は、既述の熱変形時間以上の時間でフィルム16に接触するように、外径及び線速度が設定されている。なお、第1実施形態における第2加熱ロール37(図2(B)参照)とフィルム16との接触時間をt1とする。また、第2加熱ロール76とフィルム16との接触時間をt2、第2加熱ロール78とフィルム16との接触時間をt3とする。ここで、一例として、t1=t2+t3となっている。
ヒータ77は、第2加熱ロール76の内側に配置されており、第2加熱ロール76の温度及びフィルム16の温度が第2温度T2となるように、第2加熱ロール76を加熱する。ヒータ79は、第2加熱ロール78の内側に配置されており、第2加熱ロール78の温度及びフィルム16の温度が第2温度T2となるように、第2加熱ロール78を加熱する。ヒータ77、79は、図示しない温度センサ及び制御部18(図1参照)により加熱温度が制御されている。
第1加熱ロール33と第2加熱ロール76との間には、他のロールが無い。このため、第1加熱ロール33の外周面から離れたフィルム16は、張力が付与された状態で第2加熱ロール76の外周面に接触する。ここで、第1加熱ロール33と第2加熱ロール76との間で第1加熱ロール33及び第2加熱ロール76と非接触状態となっているフィルム16の長さL2は、第2加熱ロール76に到達するフィルム16のしわが固定化されないように設定されている。また、第2加熱ロール76と第2加熱ロール78との間で第2加熱ロール76及び第2加熱ロール78と非接触状態となっているフィルム16の長さL3(<L2)は、第2加熱ロール78に到達するフィルム16のしわが固定化されないように設定されている。
〔作用〕
次に、第2実施形態の作用について説明する。
図10(B)に示す前処理部72において、第1加熱部32では、第1加熱ロール33によりフィルム16が熱変形温度以上の第1温度T1(図示省略)で加熱される。続いて、第1加熱部32を抜けたフィルム16には、垂直抗力F2が作用しないので、第1温度T1で加熱された作用及び張力F1による作用により、しわが生じようとする。ここで、第1加熱ロール33から離れたフィルム16は、第2加熱ロール76の外周面と接触する。このため、フィルム16は、第2加熱ロール76の外周面から垂直抗力F4を受ける。
さらに、フィルム16は、第2加熱ロール76、78と接触して、熱変形温度よりも低い第2温度T2でかつ熱変形時間以上の時間で加熱されることで、第1温度T1からの急激な温度低下が抑制される。定着装置70では、これらの作用により、第1加熱部32と定着部40(図1参照)との間でフィルム16を自然冷却する構成に比べて、しわが固定化され難くなるので、第1加熱部32から定着部40へ搬送されるフィルム16のしわの発生が抑制される。
画像形成装置10(図1参照)では、定着装置70においてフィルム16にしわが生じることが抑制される。これにより、トナー画像TA(図1参照)をフィルム16に定着するときに、フィルム16のしわが増加することにより生じる画像不良(例えば、トナー画像TAの部分的な剥離)が抑制される。
<第1変形例>
図11には、第2実施形態の定着装置70(図10(A)参照)に対する第1変形例としての定着装置80が示されている。定着装置80は、第2加熱ロール76と第2加熱ロール78との間で第2加熱ロール76及び第2加熱ロール78と非接触状態となっているフィルム16の長さL3が、第2実施形態の長さL3(図10(A)参照)よりも長くなっている。ただし、第1変形例の長さL3についても、第2加熱ロール78に到達するフィルム16のしわが固定化されないように設定されている。このように、しわの発生が抑制される構成であれば、第2加熱ロール76と第2加熱ロール78とが離れて配置されていてもよい。
図12(B)には、定着装置70(図10(A)参照)における総接触時間と縦スジランクとの関係が示されている。総接触時間とは、第2加熱ロール76、78(図10(A)参照)とフィルム16との接触時間(加熱時間)の合計を意味する。なお、黒菱形プロットはPET製のフィルム16を用いたデータ、黒四角形プロットはOPP製のフィルム16を用いたデータ、黒三角形プロットがONY(Oriented Nylon)製のフィルム16を用いたデータを表している。また、第1加熱ロール33の温度が120〔℃〕、第2加熱ロール76、78の温度がそれぞれ80〔℃〕となっている。図12(B)に示す結果から、フィルム16の材質が異なっても、第2加熱ロール76、78によるフィルム16の総接触時間が長くなると、縦スジランクが上がることが確認された。
図13(A)には、既述の定着装置20、70、80において、PET製のフィルム16を用いて、第2加熱ロール37、76、78のロール温度を60〔℃〕から80〔℃〕までの間で変えたときの縦スジランクが示されている。第1加熱ロール33の温度が120〔℃〕、フィルム16の張力が50〔N/500mm〕となっている。
図13(B)には、既述の定着装置20、70、80において、OPP製のフィルム16を用いて、第2加熱ロール37、76、78のロール温度を60〔℃〕から80〔℃〕までの間で変えたときの縦スジランクが示されている。第1加熱ロール33の温度が120〔℃〕、フィルム16の張力が20〔N/500mm〕となっている。
図13(A)、(B)共に、黒菱形プロットが定着装置20のデータ、黒四角形プロットが定着装置70のデータ、黒三角形プロットが定着装置80のデータを表している。また、フィルム16と各第2加熱ロールとの接触時間(合計)は、定着装置20、70、80いずれも800〔ms〕となっている。
図13(A)、(B)に示す結果から、縦スジランクは、定着装置20が最も高く、次いで定着装置70、定着装置80の順で高くなることが確認された。これは、第2加熱部内において、第2加熱ロールとフィルム16とが非接触となる時間が短くなるほど、縦スジランクが上がることを表している。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る定着装置及び画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1、第2実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1、第2実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
図14(A)には、第3実施形態に係る定着装置90が示されている。定着装置90は、第1実施形態の画像形成装置10(図1参照)において、定着装置20(図1参照)に換えて設けられている。また、定着装置90は、前処理部92と定着部40(図1参照)とを有している。前処理部92は、第1加熱部32と、第3加熱部94と、第2加熱部74とを有している。
第3加熱部94は、フィルム16の搬送方向で第1加熱部32よりも下流側でかつ第2加熱部74よりも上流側に設けられている。また、第3加熱部94は、一例として、中間ロール96とヒータ98とを有している。さらに、第3加熱部94は、フィルム16と接触して、フィルム16を第1温度T1及び熱変形温度よりも低く第2温度T2よりも高い第3温度T3(図示省略)で加熱するようになっている。第3実施形態では、第3温度T3が、一例として、100〔℃〕に設定されている。つまり、第3温度T3は、第1加熱ロール33と第2加熱ロール76との間でのフィルム16の温度勾配が小さくなるように、温度が設定されている。
中間ロール96は、一例として、アルミニウム製で円筒状の金属ロールで構成されており、Z方向を軸方向としてX方向に並んで、それぞれ回転可能に設けられている。中間ロール96の外径は、第2加熱ロール76の外径とほぼ同じ外径となっている。中間ロール96の外周面には、第1加熱ロール33から送られたフィルム16が巻き掛けられている。さらに、中間ロール96とフィルム16との接触時間は、一例として、第2加熱ロール76とフィルム16との既述の接触時間t2(図示省略)よりも短くなっている。
ヒータ98は、中間ロール96の内側に配置されており、中間ロール96と接触したフィルム16の温度が第3温度T3となるように、中間ロール96を加熱する。なお、ヒータ98は、図示しない温度センサ及び制御部18(図1参照)により加熱温度が制御されている。
第1加熱ロール33と中間ロール96との間で非接触となるフィルム16の長さをL4とする。また、中間ロール96と第2加熱ロール76との間で非接触となるフィルム16の長さをL5とする。ここで、長さL4、L5は、第2加熱ロール76に到達するフィルム16のしわが固定化されないように設定されている。
〔作用〕
次に、第3実施形態の作用について説明する。
図14(B)に示す前処理部92において、第1加熱部32では、第1加熱ロール33によりフィルム16が熱変形温度以上の第1温度T1で加熱される。続いて、第1加熱部32を抜けたフィルム16には、垂直抗力F2が作用しないので、第1温度T1で加熱された作用及び張力F1による作用により、しわが生じようとする。ここで、第1加熱ロール33から離れたフィルム16は、中間ロール96の外周面と接触する。このため、フィルム16は、中間ロール96の外周面から垂直抗力F5を受ける。
中間ロール96では、フィルム16が第1温度T1よりも低く第2温度T2よりも高い第3温度T3で加熱される。言い換えると、フィルム16は、中間ロール96と接触することで、第1温度T1から第2温度T2への温度低下が抑制される。つまり、第1加熱部32と第2加熱部74との間でのフィルム16の温度勾配(温度変化)が、第3加熱部94が無い構成に比べて小さくなるので、フィルム16のしわが抑制される。
中間ロール96から第2加熱部74へ送られたフィルム16は、第2加熱ロール76、78と接触して、第2温度T2でかつ熱変形時間以上の時間で加熱されることで、第3温度T3からの急激な温度低下が抑制される。定着装置90では、これらの作用により、第1加熱部32と定着部40(図1参照)との間でフィルム16を自然冷却する構成に比べて、しわが固定化され難くなるので、第1加熱部32から定着部40へ搬送されるフィルム16のしわの発生が抑制される。
画像形成装置10では、既述のように、定着装置90においてフィルム16にしわが生じることが抑制される。これにより、トナー画像TA(図1参照)をフィルム16に定着するときに、フィルム16のしわが増加することにより生じる画像不良(例えば、トナー画像TAの部分的な剥離)が抑制される。
図15には、装置A、B、CについてフィルムA、B、Cを用いたときの縦スジの評価ランクが示されている。装置Aは、定着装置20(図2(A)参照)である。装置Bは、定着装置70(図10(A)参照)である。装置Cは、定着装置90(図14(A)参照)である。また、フィルムAはPET製、フィルムBはOPP製、フィルムCはONY製である。第1加熱部32については、加熱温度を120〔℃〕とした。第2加熱部34、74については、各ロールとフィルム16との接触時間(合計)を800〔ms〕として合わせた。また、第2加熱部34、74については、加熱温度を80〔℃〕とした。第3加熱部94については、加熱温度を100〔℃〕とし、中間ロール96とフィルム16との接触時間を320〔ms〕とした。
図15に示す結果から、縦スジランクは、装置C(定着装置90)が最も高く、装置A(定着装置20)と装置B(定着装置70)が同レベルとなることが確認された。これは、第1加熱部における加熱温度が熱変形温度よりも高い場合に、第1加熱部と第2加熱部との間にこれらの中間の温度となる第3加熱部を設けると、第1加熱部と第2加熱部との間でのフィルムの温度勾配が小さくなり、しわの発生がさらに抑制されることを表している。
なお、本発明は上記の第1、第2、第3実施形態及び第1変形例に限定されない。
<第2変形例>
図17には、本実施形態の第2変形例としての定着装置100が示されている。定着装置100は、前処理部102と定着部40とを有している。前処理部102は、第1加熱部104と第2加熱部106とを有している。
第1加熱部104は、フィルム16の搬送方向で定着部40よりも上流側に設けられている。また、第1加熱部104は、一例として、3つのカーボンヒータ108と、3つのカーボンヒータ108を覆うカバー112と、フィルム16を間にして3つのカーボンヒータ108と対向する反射板114とを有している。3つのカーボンヒータ108は、フィルム16に対して非接触となるように、フィルム16のトナー画像TAが形成された表面側に配置されている。また、3つのカーボンヒータ108は、フィルム16の温度が既述の第1温度T1以上(一例として、120〔℃〕)となるようにフィルム16を加熱するようになっている。反射板114は、フィルム16の表面側とは反対側の裏面側に配置され、フィルム16の裏面と接触している。
第2加熱部106は、フィルム16の搬送方向で第1加熱部104よりも下流側でかつ定着部40よりも上流側に設けられている。また、第2加熱部106は、第2加熱ロール116とヒータ118とを有している。第2加熱ロール116は、円筒状の金属ロールであり、回転可能に設けられている。第2加熱ロール116の外周面の一部には、フィルム16が巻き掛けられている。第2加熱ロール116は、フィルム16の裏面に接触している。ヒータ118は、第2加熱ロール116の内側に配置され、第2加熱ロール116を既述の第1温度T1よりも低い第2温度T2(一例として、80〔℃〕)で加熱するようになっている。
定着装置100では、第1加熱部104で加熱されたフィルム16が、第2加熱部106において第2加熱ロール116から垂直抗力F6を受ける。さらに、フィルム16は、第2加熱ロール116と接触して、熱変形温度よりも低い第2温度T2で加熱されることで、第1温度T1からの急激な温度低下が抑制される。これらの作用により、定着装置100では、第1加熱部104と定着部40との間でフィルム16を自然冷却する構成に比べて、しわが固定化され難くなるので、第1加熱部104から定着部40へ搬送されるフィルム16のしわの発生が抑制される。このように、第1加熱部104が、フィルム16と接触しない非接触タイプであってもよい。
<他の変形例>
定着装置90において、第2加熱ロール76、78が1本の第2加熱ロール(例えば、第2加熱ロール37)で構成されていてもよい。
第1加熱ロール33、第2加熱ロール37、76、77及び中間ロール96は、アルミニウム製に限らず、他の金属製(例えば、ステンレス鋼製)であってもよい。また、第1加熱ロール33、第2加熱ロール37、76、77及び中間ロール96の外周面は、トナー画像TAが付着し難くなるように、表面エネルギーの低い材料で構成されていてもよい。例えば、フッ素系樹脂であるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成されていてもよい。さらに、第1加熱ロール33、第2加熱ロール37、76、77及び中間ロール96は、駆動により回転することが望ましい。
トナーTは、ポリエステル樹脂に限らず、他の樹脂であってもよい。また、画像形成装置10で使用する現像剤は、液体現像剤Gに限らず、オイルの無い乾式の現像剤であってもよい。
定着部40は、定着ロール42及び加圧ロール44を用いたロール方式に限らず、ベルト方式であってもよい。また、定着部40は、1組の定着ロール42及び加圧ロール44を用いるものに限らず、2組以上のロールを用いてもよい。
第1加熱ロール33の温度は、110〔℃〕以上で120〔℃〕以下の範囲における他の温度で設定されていてもよい。第2加熱ロール37、76、77の温度は、80〔℃〕以上で第1温度T1よりも低い温度範囲において、他の温度で設定されていてもよい。中間ロール96の温度は、100〔℃〕に限らず、第1温度T1よりも低く第2温度T2よりも高い温度範囲において、他の温度で設定されていてもよい。熱変形温度は、110〔℃〕に限らず、他の温度であってもよい。