JP6490851B2 - 超電導コイルおよび超電導コイル装置 - Google Patents

超電導コイルおよび超電導コイル装置 Download PDF

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Description

本発明は、超電導コイル装置などの熱暴走またはクエンチの防止技術に関する。
超電導線材には、超電導状態の維持が可能な電流密度、温度および磁場の範囲、すなわち臨界電流密度、臨界温度および臨界磁場がある。
よって、超電導状態になって電気抵抗がほぼゼロになっても、無限には電流を流せない。
電流密度、温度および磁場のいずれかがこれらの臨界値を越えると、超電導線材は常電導状態へ転移する。
常電導転移による常電導箇所のジュール熱によって、超電導線材を焼損させる熱暴走、または瞬時に多量の発熱をするクエンチなどが発生する恐れがある。
よって、超電導コイルでは、超電導相からの常電導転移に対する保護が必要になる。
例えば、超電導コイルに並列に保護抵抗を接続して、常電導状態への転移によるコイル電圧またはコイル温度の上昇をトリガーとして励磁電源を遮断する方法が知られている。
励磁電源の遮断後、超電導コイルおよび保護抵抗のみの閉回路となるため、コイルに流れる電流を減衰させることができる。
特開平04−032207号公報 特開2010−267835号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、熱暴走またはクエンチの発生を抑制するために、励磁電源を遮断する遮断機構が別個に必要になるという課題があった。
この遮断機構によって、超電導コイル装置が大型になるとともに複雑になる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、熱暴走またはクエンチの発生を抑制することができる超電導コイルおよび超電導コイル装置を提供することを目的とする。
本実施形態にかかる超電導コイルは、超電導線材が巻回によってコイル径方向に積層されることで形成されるコイル径方向に沿った側面を有する巻線部材と、巻線部材の側面の少なくとも一部に設けられて超電導線材をコイル径方向に電気的に接続する迂回路と、を備え、前記巻線部材の側面は、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、金属微粒子、金属酸化物、金属繊維、金属コートした微粒子、金属コートした合成繊維のうち、少なくとも一つを含む導電粉末を混入させた導電性樹脂でコーティングされて通常運転時における前記超電導線材の抵抗より大きく、かつ、前記超電導線材の常伝導転移時の抵抗よりも小さい抵抗の材料で前記迂回路を形成するものである。
本発明により、熱暴走またはクエンチの発生を抑制することができる超電導コイルおよび超電導コイル装置が提供される。
一般的な高温超電導線材の構成斜視図。 高温超電導線材を巻回した巻線部材からなる超電導コイルの一例を簡略的に示す斜視図。 超電導コイルの第1実施形態を示すもので、図2のII−II線のコイル径方向断面を示す断面図。 図3のΩ部を拡大して示す断面図。 超電導コイルの第1実施形態の第1変形例を示すコイル径方向断面を示す拡大断面図。 超電導コイルの第1実施形態の第2変形例を示すコイル径方向断面を示す断面図。 図6のΠ部を拡大して示す拡大断面図。 第1実施形態の超電導コイルに作用する通電電流に基づく磁場形状の説明図。 超電導コイルの最内周から最外周までのコイル径方向に沿った断面における位置とフラックスフロー抵抗による電界強度との関係を示す図。 超電導コイルの第1実施形態の第2変形例を示すコイル径方向の拡大断面図で、迂回路の配置位置を示す説明図。 超電導コイルの第1実施形態の第3変形例を示すコイル径方向の拡大断面図で、迂回路の配置態様を示す説明図。 第2実施形態にかかる超電導コイルに設けられる迂回路の上面図。 第3実施形態にかかる超電導コイルに設けられる迂回路の上面図。 第4実施形態にかかる超電導コイルのコイル径方向の断面を拡大して示す断面図。 超電導コイル装置の第1実施形態を示す部分的な断面斜視図。 超電導コイル装置を構成する各々のコイルにおける磁場の垂直成分の分布を示す図。 超電導コイル装置の第2実施形態を示す部分的な構成断面図。 (A)は鞍型の巻線部材の上面図、(B)は図18(A)の巻線部材のXVII−XVII線に沿う断面図。 ソレノイド型の巻線部材を示す図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
実施形態にかかる超電導コイルおよび超電導コイル装置は、高温超電導線材および低温超電導線材のいずれにおいても効果を発揮する。
ただし、以下では、特に高い効果を発揮する高温超電導線材を用いた場合を例にして説明する。
(第1実施形態)
まず、図1の一般的な高温超電導線材20の構成斜視図を用いて、高温超電導線材20の構成を説明する。
高温超電導線材20は、図1に示されるように、一般に薄膜状の層が積層されたテープ形状の薄膜線材20を構成している。
この薄膜線材20は、例えばレアメタル酸化物(RE酸化物)からなる高温超電導層25(以下、「超電導層25」という)を含むREBCO線材などの線材である。
薄膜線材20は、例えば、ニッケル基合金、ステンレスまたは銅などの高強度の金属材質である基板22と、基板22の上に形成される中間層24と、中間層24を基板22の表面に配向させるマグネシウムなどからなる配向層23と、中間層24の上に形成される酸化物でできた超電導層25と、銀、金または白金などで組成される保護層26と、銅またはアルミニウムなどの良伝導性金属である安定化層21と、から構成される。
中間層24は、基板22と超電導層25の熱収縮の際に起因する熱歪みを防止する。
保護層26は、超電導層25に含まれる酸素が超電導層25から拡散することを防止して、超電導層25を保護している。
安定化層21は、超電導層25への過剰通電電流の迂回経路となって熱暴走を防止する。
ただし、薄膜線材20を構成する各層の種類および数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて多くても少なくてもよい。
また、図2は、薄膜線材20を巻回した巻線部材12で構成される超電導コイル10の一例を簡略的に示す斜視図である。
薄膜線材20は、例えば図2で示されるように、巻回中心Cを中心に同心円状のいわゆるパンケーキ形状に巻回されて巻線部材12が構成される。
この巻線部材12には図示しない巻枠14に巻回されて超電導コイル10が構成される。
図3は、超電導コイル10の第1実施形態を示すもので、図2のII−II線に沿うコイル径方向断面を示す断面図である。
また、図4は、図3のΩ部を拡大して示す断面図である。
巻線部材12は、一般的に、巻枠14への巻回によって成形された後に、巻枠14ごとエポキシ樹脂などの絶縁材16に含浸される。
巻枠14に巻回されて隣接する複数の薄膜線材20同士の間隙(線材間隙)に絶縁材16が充填されるとともに、巻線部材12が絶縁材16でコーティングされる。
絶縁材16にエポキシ樹脂などの粘着性を有する絶縁材料を用いる場合は、隣接するターン間の薄膜線材20同士は、絶縁されるとともに接着され、一体的に構成される。
なお、薄膜線材20は、製造方法によっては巻回されながら随時接着されることもある。
また、絶縁材16は、線材間隙に充填されるものと、巻線部材12の全体をコーティングするものとがあり、それぞれ別個に形成されることもある。
なお、線材間隙に形成する絶縁材16は、絶縁材料のテープ線としてもよい。
また、図5は、超電導コイル10Aの第1実施形態の第1変形例を示すコイル径方向断面を示す拡大断面図である。
図5に示されるように、薄膜線材20は、絶縁材16で絶縁せずに線材間隙の一部に常電導金属32を配置する場合もある。また、隣接する他のターンの薄膜線材20を直に接触させて配置しても良い。
常電導金属32を配置する場合、薄膜線材20の局所的な常電導転移による常電導箇所15が発生した際、コイル周方向に流れていた通電電流Iの一部Iが、常電導金属32を横断して隣接する他のターンの薄膜線材20に向かってコイル径方向に流出する。
第1実施形態にかかる超電導コイル10Aは、図3および図4に示されるように、巻線部材12の側面18に設けられて薄膜線材20をコイル径方向に電気的に接続する迂回路19を備える。
巻線部材12は、薄膜線材20が巻回によってコイル径方向に積層されることで形成されるコイル径方向に沿った側面18を有する。
迂回路19は、この側面18において、異なるターンの薄膜線材20を電気的に接続する。
迂回路19の材料は、通常運転時においての超電導コイル10Aの抵抗より大きく、かつこの超電導コイル10Aの常電導転移時の抵抗よりも小さい抵抗の材料が選択される。例えば、ステンレス、アルミもしくはインジウムなどの常電導体、半導体、セラミックス材または超電導材料などである。
これらの材料は、板材または箔などにして圧着またはハンダ接続などによって電気的に巻線部材12に接続される。
また、迂回路19の材料を薄膜線材20の例えば一方の側面18にメッキまたは塗布して、迂回路19を形成してもよい。
特にメッキによって迂回路19を形成すると、迂回路19を薄くすることができ、超電導コイル10Aの自由な変形を阻害しない。
なお、図3および図4では巻線部材12の側面18の片面のみに迂回路19を設けた例を示しているが、両面に設けてもよい。
薄膜線材20は、通電電流の限界である臨界電流に近づくにつれ、徐々に外部磁場が侵入し、局所的に超電導状態が破壊された部分が常電導転移する。この局所的な常電導転移に伴うフラックスフロー抵抗は、ジュール損失による発熱を発生するため、コイル温度の上昇などで増大すると熱暴走またはクエンチ(以下、まとめて「熱暴走等」という)を誘引する。
迂回路19を設けることで、薄膜線材20の一部で常電導転移による局所的なフラックスフロー抵抗が発生したときに、コイル周方向に流れていた通電電流Iの一部Iが、迂回路を介して隣接する他のターンの薄膜線材20に、コイル径方向へ迂回することができる。
ここで、コイル周方向に流れる通電電流はIからI−Iに減少する。このとき、迂回路19の抵抗をR、フラックスフロー抵抗をRとすると、コイル径方向に迂回する電流Iは、R/(R+R)に比例する。
よって、フラックスフロー抵抗が増大に伴い、より多くの通電電流がコイル径方向に迂回することになる。
よって、局所的に常電導状態に転移した常電導箇所15に多量の通電電流Iが流れるのを未然に防止することができ、熱暴走等が発生することを抑制することができる。
また、図6は、超電導コイル10Aの第1実施形態の第2変形例を示すコイル径方向断面を示す断面図、図7は、図6のΠ部を拡大して示す拡大断面図である。
図6および図7に示されるように、超電導コイル10Aは、薄膜線材20の特定の線材間隙に離形材31を配置して、離形材31の配置部分が他の線材間隙部分よりも接着力が低い箇所を設けることがある。
薄膜線材20は、上述したように各種の層(21〜26)を積層しているので、テープ面垂直方向の引張り応力、すなわち剥離応力にきわめて脆弱である。
しかし、超電導コイル10Aの使用時には、運転温度までの冷却時に発生するコイル径方向の熱応力および励磁により発生する電磁応力などの剥離応力がかかる。
よって、超電導コイル10Aに薄膜線材20を用いる場合、剥離応力が許容値以上にならないように工夫する必要がある。
離形材31によって、剥離応力に合わせて巻線部材12を複数に分割することで、この剥離応力が低減される。
しかし、上述したように、熱暴走等の発生を抑制するために、図5では、離形材31に隣接してターン間の薄膜線材20の線材間隙に常電導金属32など電導性のある材料を配置している場合がある。
離形材31によって常電導金属32が非接着になった箇所では、この箇所の近傍で常電導転移が発生しても通電電流Iを十分に横断して流出させることができない。
そこで、図6および図7で示されるように、離形材31によって非接続になる薄膜線材20を迂回路19で接続することで、通電電流Iの流出経路を確保する。
迂回路19によって、離形材31が非接着になった箇所で薄膜線材20に常電導箇所15が発生しても熱暴走等が発生することを抑制することができる。
ところで、このような常電導体などからなる迂回路19がある場合でも、通電電流Iが完全に定常状態になった後は、通電電流Iは迂回路19を迂回しない。
通電電流Iが定常状態になったときの薄膜線材20の電気抵抗およびインダクタンスはほぼゼロで、迂回路19には有限の電気抵抗があるからである。
一方、非通電状態から定格電流値まで励磁する際には、通電電流Iの変化によるインダクタンスにより誘導電圧が発生する。
誘導電圧によって隣接する他のターンの薄膜線材20との間に電位差が発生し、この誘導電圧を迂回路19の電気抵抗で割った値の電流が迂回路19に流れる。
迂回路19の量に伴って増加するこの迂回する電流Iは、上述のように、想定した磁場形状の形成を遅らせる。
また、迂回路19で発熱して超電導コイル10Aの超電導性を不安定にする。
そこで、迂回路19の位置は、超電導コイル10B(10)の側面18の一部のみに設けることが望ましい。
ここで、図8および図9を用いて、迂回路19の具体的な配置位置について説明する。
図8は、超電導コイル10(10A,10B)に作用する磁場形状の説明図である。
通電電流Iに基づく磁場Bは、超電導コイル10の巻回中心Cからコイル径方向に旋回して、図8に示されるように、一部が薄膜線材20に進入する。
薄膜線材20における各位置でのフラックスフロー抵抗の大きさは、各位置を貫くこの磁場Bの向きおよび大きさなどによって変化する。
また、図9は、超電導コイル10Aの最内周から最外周までのコイル径方向に沿った断面における位置とフラックスフロー抵抗による電界強度との関係を示す図である。
図9からわかるように、フラックスフロー抵抗による電界強度が最大になるのは、超電導コイル10Aの最内周からコイル径方向の中央部付近までの位置である。
つまり、超電導コイル10Aの最内周から中央部付近までの位置では、一般に臨界電流値Iが他の位置もよりも低くなる。
そこで、図10の超電導コイル10の第1実施形態の第2変形例を示すコイル径方向の拡大断面図に示されるように、迂回路19を設ける側面18の一部は、超電導コイル10Bの最内周から中央部付近までの位置であることが望ましい。
つまり、迂回路19は、超電導コイル10Bの内部で臨界電流値Iを低下させるフラックスフロー抵抗が高くなる位置が好ましい。
また、図11は、超電導コイル10の第1実施形態の第3変形例を示すコイル径方向の拡大断面図で、迂回路19の配置態様を示す説明図である。
図11に示されるように、迂回路19の位置は、巻線部材12にテープまたはスプレーなどのマスキング材料33を用いて限定してもよい。
なお、図8の磁場Bの形状は、典型的な形状を例示したもので、超電導コイル10Bの形状または配置される環境によって変化する。
よって、迂回路19が配置される具体的な位置は、実際の磁場Bの形状などによって、適宜決定される。
以上のように、第1実施形態にかかる超電導コイル10Aによれば、通電電流Iに常電導箇所15を迂回させることができるので、熱暴走等の発生を抑制することができる。
また、離形材31と迂回路19を組み合わせることで、超電導コイル10Bの内部で発生する剥離応力を軽減して、熱暴走等の発生を抑制することができる。
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態にかかる超電導コイル10に設けられる迂回路19の上面図である。
第2実施形態にかかる超電導コイル10は、図12に示されるように、ディスク上の迂回路19a(19)が、コイル径方向に放射状に数分割されてコイル周方向に沿って略同心円状に複数配置される。
超電導コイル10による励磁の開始時には、通電電流Iに基づく磁場Bが変動する。
この磁場Bの変動によって、迂回路19aに渦電流が発生する。
渦電流は通電電流Iを減少させて磁場Bの生成を抑制する方向に流れるので、渦電流の発生は好ましくない。
そこで、迂回路19aをコイル径方向に切断して、切断されて分割された迂回路19aをコイル周方向に沿って配置することで、渦電流の周回経路を細分する。
迂回路19aにおける渦電流の周回経路を細分することで、渦電流損失を抑制することができる。
また、渦電流による発熱で熱暴走等が発生することを抑制することができる。
なお、迂回路19aを分割して渦電流の経路を細分すること以外は、第2実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第2実施形態にかかる超電導コイル10によれば、第1実施形態の効果に加え、励磁の開始時に迂回路19aに発生する渦電流の発生を抑制できる。
つまり、渦電流損失による磁場Bの減少を防止するとともに、渦電流による発熱によって励磁の開始時に熱暴走等が発生することを防止することができる。
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態にかかる超電導コイル10に設けられる迂回路19b(19)の上面図である。
第3実施形態にかかる超電導コイル10は、図13に示されるように、ディスク状の迂回路19bには、側面18との接触面積を調整する空隙または空孔が設けられている。
迂回路19bの最適な導電率は、迂回路19bが適用される超電導コイル10の性質または用途などによって異なる。
よって、迂回路19bの導電率は、各超電導コイル10に合わせて自由に変更することができることが望ましい。
しかし、迂回路19bの厚さなどの外形および材質は、迂回路19bの強度または体積などの観点から、変更範囲に制限がある。
そこで、迂回路19bに空隙または空孔を設けて巻線部材12の側面18との接触面積を調整することで、超電導コイル10の外形および材質を変更せずに、自由に迂回路19bの導電率を調節する。
迂回路19bの空隙または空孔は、例えば、導電体の平板に無数の空孔を穿孔して形成される場合や、導電線材を編み込んで形成される場合がある。
また、メッシュ材、パンチング材、フィラメント材、不織布、フェルト、ウールまたはスリット材など、空隙または空隙を有する既存の製品を迂回路19bとして用いてもよい。
また、これらの導電体を巻線部材12の製造時に適宜組み合わせたり、第1実施形態などに示した空隙等を有さない迂回路19bと組み合わせたりすることで導電率を調節してもよい。
迂回路19bの材料には、金属材料、セラミックス材、半導体または導電性プラスチックなどの導電性材料が好ましい。
また、グラファイト、炭素繊維または炭素繊維複合材などのカーボン材料なども迂回路19bとして好適に用いることができる。
なお、迂回路19bに空隙または空孔を設けること以外は、第3実施形態は第1実施形態などと同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第3実施形態にかかる超電導コイル10によれば、第1実施形態の効果に加え、空隙または空孔の割合を調節することで迂回路19bと側面18との接触面積を調節して、導電率を調節することができる。
つまり、迂回路19bの厚みなどの外形を変更することなく、迂回路19bを最適な導電率にすることができる。
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態にかかる超電導コイル10C(10)の図2のII−II線に沿う断面を拡大して示す断面図である。
第4実施形態にかかる超電導コイル10Cは、図14に示されるように、巻線部材12の側面18は、絶縁材16に導電性粉末35を混入させた導電性樹脂36でコーティングされる。
例えば、カーボンブラック、炭素繊維またはグラファイトなどのカーボン系の粉末で構成される導電性粉末35が、迂回路19を形成する。
迂回路19を形成する導電性粉末35には、金属微粒子、金属酸化物、金属繊維またはウィスカーなどの金属系の粉末が用いられてもよい。
また、微粒子または合成繊維を金属コートすることで導電性粉末35にしてもよい。
また、上述したように、近年では、線材間隙に常電導金属32を配置して、常電導箇所15が発生したときに通電電流Iを他のターンの薄膜線材20に横断させることがある。
絶縁材16を導電性粉末35を含む導電性樹脂36にして巻線部材12を含浸することで、同時に、線材間隙にも導電性のある材料を充填することができる。
当然、線材間隙と側面18のコーティングとを別個に形成して、異なる導電率にしてもよい。
なお、絶縁材16に含まれる導電性粉末35が迂回路19になること以外は、第4実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第4実施形態にかかる超電導コイル10Cによれば、絶縁材16と別個の迂回路19が不要になるため、第1実施形態の効果に加え、超電導コイル10Cの厚さを不要に増加させずに迂回路19を形成させることができる。
また、導電性粉末35の混入量を調節することで、容易に導電率を変更することができる。
(第5実施形態)
図15は、超電導コイル装置50の第1実施形態を示す部分的な断面斜視図である。
第5実施形態にかかる超電導コイル装置50は、図15に示されるように、第1実施形態〜第4実施形態に示した超電導コイル10Aを含む複数のコイル100が巻回中心Cに沿って積層される。
コイル100の積層体38には、フランジ41など磁場発生源として必要な部品が設けられて、超電導コイル装置50が構成される。
積層されるコイル100のうちには常電導性コイルが含まれていてもよいが、以下ではいずれも超電導性コイルであるとして説明する。
前述したように、通電電流Iによって発生した磁場Bの強度および向きは各位置によって異なる。
ここで、図16は、各々のコイル100(例えば、n=1〜6)における磁場Bによるフラックスフロー抵抗による電界強度の垂直成分の分布を示す図である。
図16から、積層されるコイル100は、巻回中心方向の中央部に位置するほど、磁場Bのテープ面垂直成分が小さく、遮蔽電流の影響が小さいことがわかる。
そこで、超電導コイル装置50では、迂回路19を設けた薄膜線材20は、コイル100(100)など、巻回中心Cに沿った端部近傍のものに用いられることが望ましい。
コイル間経路37で接続されるコイル100の組が複数ある場合、それぞれのコイル間経路37の導電率を異なるものにして、迂回する通電電流Iの流量を調節してもよい。
よって、巻回中心Cに沿って積層された複数のコイル100の積層体38においても、コイル100の位置によって磁場Bに基づくフラックスフロー抵抗の大きさは異なる。
つまり、コイル100の積層体38における積層される位置によって、コイル100の臨界電流値Iは異なる。
具体的には、通常、磁場Bの剥離方向(すなわち、コイル径方向)の成分が最大になる積層体38における両端のコイル100が、臨界電流値Iが低くなるものである。
そこで、第1実施形態〜第4実施形態に示した超電導コイル10を積層体38の両端に配置する。
前述したように、迂回路19を過度に多用すると、励磁の開始時に迂回路19に迂回する通電電流Iが過大になり、想定した磁場形状になるまでに時間がかかる。
そこで、迂回路19が設けられた超電導コイル10は、積層体38の両端等のように、特に臨界電流値Iが低くなる位置に限定して用いることが望ましい。
なお、超電導コイル10を具体的に超電導コイル装置50に適用したこと、および超電導コイル10の配置位置を限定したこと以外は、第5実施形態は第1実施形態と同じ構造および動作手順となるので、重複する説明を省略する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
このように、第5実施形態にかかる超電導コイル装置50によれば、第1実施形態などと同様の効果を発揮することができる。
また、積層体38のうち特定の位置にのみ迂回路19を設けた超電導コイル10を用いることで、想定した磁場形状にするまでの励磁時間の長時間化を防止することができる。
(第6実施形態)
図17は、超電導コイル装置50の第2実施形態を示す部分的な構成断面図である。
第6実施形態にかかる超電導コイル10は、図17に示されるように、積層されて隣接する他のコイル100に電気的に接続されるコイル間経路37を備える。
迂回路19は、通電電流Iを特定ターンの巻線部材12における他のターンの薄膜線材20へ迂回させるものである。
しかし、例えば特定のコイル100の大部分が常電導転移している場合などは、通電電流Iを隣接する他のコイル100へ迂回させるのが好ましい。
そこで、特定の超電導コイル10の側面18に設けられたコイル間経路37を隣接する他のコイル100に電気的に接続する。
コイル間経路37が他のコイル100に接続されることによって、常電導転移が進行した場合などに通電電流Iを他のコイル100に迂回させることができる。
なお、第1実施形態と同様に、他のコイル100に接続されるコイル間経路37は、磁場Bの侵入が強く、臨界電流値Iくなる位置にあるコイル100(100,100)など一部のものに設けるのが好ましい。
また、コイル間経路37は、迂回路19と比較して導電率を低くするのが望ましい。
できるだけ速く磁場形状を想定した形状にするために、通電電流Iは、できるだけ一つの超電導コイル10の中でのみ迂回するのが望ましいからである。
このように、第6実施形態にかかる超電導コイル10(100)によれば、第1実施形態の効果に加え、常電導転移が進行したコイル100から隣接する他のコイル100に通電電流Iを横断させることで、熱暴走等の発生を抑制することができる。
また、反対に臨界電流値Iが高いと想定される位置にあるコイル100についても、何らかの異常で予期せぬ抵抗が発生しても熱暴走等の発生を抑制することができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の超電導コイル10Aおよび超電導コイル装置50によれば、通電電流Iに常電導箇所15を迂回させることにより、熱暴走またはクエンチの発生を抑制することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、図2では、迂回路19が設けられた巻線部材12の形状として、いわゆるパンケーキ形状の超電導コイル10を例示した。
しかし、適用できる巻線部材12は、パンケーキ形状のものに限定されない。
例えば、図18(A)は、例えば円形の曲面39に設置されるレーストラック型の巻枠14および薄膜線材20の巻線部材12aを示すもので、図18(B)は、図18(A)のXVII−XVII線(図18(A))に沿った断面図である。
例えば、図18(A)および図18(B)に示されるように、歪曲した巻枠14とともに曲面39に載置される鞍型の巻線部材12aにも適用することもできる。
また、迂回路19は、非円形に巻回したレーストラック型、鞍型、楕円または図19で示されるソレノイド型の巻線部材12bなどにも適用することができる。
10(10A〜10C)…超電導コイル、12(12a,12b)…巻線部材、14…巻枠、15…常電導箇所、16…絶縁材、18…側面、19(19a,19b)…迂回路、20…高温超電導線材(薄膜線材)、21…安定化層、22…基板、23…配向層、24…中間層、25…高温超電導層(超電導層)、26…保護層、31…離形材、32…常電導金属、33…マスキング材料、34…平板、35…導電性粉末、36…導電性樹脂、37…コイル間経路、38…積層体、39…曲面、41…フランジ、50…超電導コイル装置、100(100)…コイル(超電導コイル)、B…磁場、C…巻回中心、I…通電電流、I…迂回する電流、I…臨界電流値、R…迂回路の抵抗、R…フラックスフロー抵抗。

Claims (9)

  1. 超電導線材が巻回によってコイル径方向に積層されることで形成される前記コイル径方向に沿った側面を有する巻線部材と、
    前記巻線部材の側面に設けられて前記超電導線材を前記コイル径方向に電気的に接続する迂回路と、を備え、
    前記巻線部材の側面は、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、金属微粒子、金属酸化物、金属繊維、金属コートした微粒子、金属コートした合成繊維のうち、少なくとも一つを含む導電粉末を混入させた導電性樹脂でコーティングされ、前記迂回路を形成することを特徴とする超電導コイル。
  2. 前記巻回によって対向する前記超電導線材の対向面間に接着力を弱める離形材が設けられ、
    前記迂回路は、前記離形材を挟んで反対側の超電導線材同士を接続する請求項1に記載の超電導コイル。
  3. 前記迂回路は、塗布により形成される請求項1又は請求項2に記載の超電導コイル。
  4. 前記超電導線材は高温超電導線材である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超電導コイル。
  5. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超電導コイルを備える超電導コイル装置。
  6. 前記超電導コイルを含む複数のコイルが巻回中心に沿って積層された請求項に記載の超電導コイル装置。
  7. 前記超電導コイルは、前記複数のコイルのうち臨界電流値が低くなる位置に配置される請求項に記載の超電導コイル装置。
  8. 積層されて隣接する他のコイルに電気的に接続されるコイル間経路を備える請求項6または請求項7に記載の超電導コイル装置。
  9. 前記コイル間経路の導電率は、配置された巻回中心方向の位置によって異なる請求項に記載の超電導コイル装置。
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