JP6913570B2 - 超電導テープ線、この超電導テープ線を用いた超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイル - Google Patents

超電導テープ線、この超電導テープ線を用いた超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイル Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、超電導テープ線、この超電導テープ線を用いた超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイルに関するものである。
超電導技術の向上に伴い、例えば磁気共鳴画像診断装置(所謂、MRI)や、超電導磁気エネルギー貯蔵装置(所謂、SMES)、単結晶引き上げ装置などが実用化されている。これらの機器には、超電導線を巻回してなる超電導コイルが使用されており、超電導状態を維持するため、超電導コイルは極低温下で保持するように構成されている。
超電導コイルに電流を流すためには、外部の電源装置より超電導電流リードを介して電流を供給する構成が採用されているが、超電導コイルを極低温下で保持するためには、熱を伝えにくい構成にしておくことが重要である。超電導体は、超電導現象を起こし始める転移温度(臨界温度ともいう。)以下では電気抵抗がほぼゼロであって、熱伝導率が低い特性を示すため、例えば、超電導電流リードの材質として最適である。
従来の超電導電流リードでは、比較的高い転移温度で超電導が起こる高温超電導体としてのYBCO(イットリウム系超電導体)やBi2223(ビスマルク)のバルク材を用いたものが提案されているが、バルク材は脆く破損しやすい性質を有するため、その取り扱いには注意が必要であった。
一方、次世代の線材として、金属基板上に中間層を形成し、その上にYBCO等のRE123(REBa2Cu3O7−x)系における高温超電導体の薄膜を超電導層として積層させた超電導テープ線の開発が進められている。超電導テープ線は、金属基板として高強度材料を用いているため、機械強度に優れているという特徴を有している。
そのため、超電導電流リードとして超電導テープ線を用いて構成することが検討されているが、超電導層は、水分や湿気等と反応して分解する性質があることや、常伝導転移時に超電導層に電流が流れ、超電導層が常伝導転移による抵抗になって発熱すると、熱によって超電導層が破壊されて消失する性質があることなどが知られている。そのため、超電導層の表面に数μm程度の厚さを有する金属保護層を形成して、超電導テープ線を構成することが提案されている。
金属保護層は、超電導層が水等と反応しないように防止する保護用としての機能を奏するとともに、常伝導転移時に超電導層に電流が流れるのを防止するため、金属保護層をバイパス回路として機能させている。そして、金属保護層を設けることによって、常伝導転移時には、電流が超電導層ではなく超電導層よりも電気抵抗の小さな金属保護層に流れるように構成している。尚、転移温度以下では、超電導層の電気抵抗はゼロになるので、金属保護層よりも電気抵抗は低くなる。
超電導テープ線を用いて超電導電流リードを作製する際に、超電導テープ線の端部における電気抵抗を小さくしておくためには、ハンダ付けで金属製の電極と超電導テープ線とを電気的に接続する必要がある。
しかも、超電導テープ線を用いて超電導電流リードを構成するためには、超電導テープ線における熱伝導率を低く構成しておくことが必要であり、そのためには、保護層が数μm程度の厚さとなるように薄く構成する必要がある。
しかし、保護層を構成している金や銀は、熱によってハンダ材として用いられている鉛、錫、インジウム等の金属やそれらの合金に溶け込み易い性質を有するため、ハンダ付け作業の際に、保護層が消失してしまう可能性がある。
保護層が消失してしまうと、バイパス回路が無くなり、常伝導転移時において電流が超電導層を流れることになり、電流通電時における超電導層の電気抵抗が大きくなって、超電導電流リードが焼損する問題が生じる。
そこで、金属製の電極に接続する超電導テープ線の端部において、金属製の電極に接続する端部における保護層の厚みのみを厚くした構成や超電導テープ線の端部に拡散防止層を設けた構成あるいはBi2223銀シース線を介して超電導テープ線の端部と金属製の電極とを接続した構成などが提案されている。
また、超電導テープ線は、永久電流スイッチの構成においても用いられている。例えば、超電導コイルに対して外部から電流を供給した後に、超電導状態になった超電導コイルを閉ループ回路の一部として構成しておくことにより、超電導状態になった閉ループ回路では電気抵抗ゼロの状態で電流が流れ続けることになるので、外部電源不要で超電導コイルに磁場を発生させ続けることができる。
そして、超電導コイルに対して、常伝導転移時には電流を供給し、超電導状態では、超電導コイルとの間で電気抵抗ゼロの閉ループ回路を構成するものとして永久電流スイッチが用いられている。
そこで、永久電流スイッチを超電導コイルと並列に配置して閉ループ回路を構成するとともに、閉ループ回路に外部電源から電流を供給できるように構成する。そして、永久電流スイッチの電気抵抗を大きくした常伝導状態において、外部電源から超電導コイルに電流を通電して、超電導コイルが定格状態になるまで通電する。定格状態になった後で、永久電流スイッチを常伝導状態から超電導状態に切替えることにより、永久電流スイッチと超電導コイルとで構成された閉ループ回路は電気抵抗がゼロの状態となり、超電導コイルにおいて磁場を発生させ続けることができる。
常伝導状態時において永久電流スイッチでの電気抵抗を大きくするためには、永久電流スイッチを構成している超電導テープ線に形成した保護層の厚さを数μm程度に薄く構成しておくことが必要となる。しかし、上述した超電導電流リードの場合と同様にハンダ付け作業の際に、永久電流スイッチにおいても保護層を薄く構成しておくと、超電導層が消失してしまう問題が生じることになる。
特許第3837749号公報 特許第5496175号公報
特許文献1に記載されているように、超電導テープ線の端部に形成した保護層の厚さだけを厚く構成しておくためには、最初に薄い保護層を超電導テープ線の全長に亘って形成した後、端部の保護層のみを再度処理して、端部における保護層の厚みを厚く構成する必要がある。
また、超電導テープ線の両端部間における熱伝導は、超電導テープ線の断面積に比例し、長さに反比例する性質があるので、端部における保護層の長さや当該保護層の厚さの調整が困難となる。このことは、特許文献2に記載されている拡散防止層を端部のみに設けた構成の場合でも同様の問題が生じることになる。
また、超電導テープ線の端部を金属製の電極との間でハンダ付けする際には、熱が超電導テープ線に伝わってしまうため、保護層の厚さが薄い箇所があると、その箇所が劣化してしまう問題が生じる。
また、特許文献2に記載されたように、超電導電流リードの構成として超電導テープ線の両端部にBi2223銀シース線を接続し、Bi2223銀シース線に金属製の電極をハンダ付けする構成の場合には、金属基板として高強度材料を用いている超電導テープ線に比べてBi2223銀シース線の機械強度が低いため、特性劣化を起こしてしまう問題が生じる。
本発明は、金属基板として高強度材料を用いて構成した2種類の高温超電導テープ線を組み合わせて超電導テープ線を構成することにより、ハンダ付け作業の際に保護層が消失せず、安定性を向上させることができる超電導テープ線と、当該超電導テープ線を用いて構成し、安定性を向上させた超電導テープを用いた超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイルの提供を目的としている。
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る超電導テープ線は、金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され、金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層から構成される第1高温超電導テープ線と、金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され、金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層と、当該保護層の上と前記金属基板の下面に更に銅や銅を含有する合金、または銅・クロム合金を用いた安定化層を積層し、前記第1高温超電導テープ線に比べて熱に対する許容温度が高い第2高温超電導テープ線を有し、前記第1高温超電導テープ線と前記第2高温超電導テープ線とが、電気的に接続させる接続材である第1のハンダにより電気的に接続され、前記第2高温超電導テープ線と金属電極とが、前記第1のハンダの融点よりも融点温度が高い電気的に接続させる接続材である第2のハンダにより接続されていることを特徴とする。
また、本発明の実施形態に係る超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイルは、上述した超電導テープ線を用いて構成したことを特徴としている。
本発明に係る超電導テープ線によれば、2種類の第1高温超電導テープ線と第2高温超電導テープ線を組み合わせた構成になっているので、ハンダ付け作業の際に保護層が消失することがなく、また両端の間で温度差が生じている超電導テープ線において、極低温部側への熱侵入量を減らすことができ、安定性を向上させた超電導テープ線を提供することができるとともに、超電導テープ線を用いて安定性を向上させた超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイルを提供することができる。
本発明に係る超電導テープ線を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は変形例の平面図、(d)は変形例の側面図。 (a)は第1高温超電導テープ線の構成を示す要部斜視断面図、(b)および(c)は第2高温超電導テープ線の構成を示す要部斜視断面図。 超電導テープ線を構成する主な構成材料の熱伝導率と温度(ケルビン温度)の関係を示すグラフ。 厚さ10μmの銀における接続抵抗値を基準にして、銀の厚みと接続抵抗値の関係を示すグラフ。 加熱温度185℃における接続抵抗を基準にして、加熱温度と接続抵抗の関係を示すグラフ。 本発明の実施形態3を示し、(a)は超電導テープ線を用いた超電導電流リードの平面図、(b)は図6(a)のA−A断面図。 (a)は超電導テープ線を直線状に配した永久電流スイッチの平面図、(b)は超電導テープ線をコイル状に巻回した超電導コイルまたは永久電流スイッチのコイル部における側面図。 直線状の超電導テープ線をコイル状に巻回する状態を示す超電導コイルまたは永久電流スイッチのコイル部における側面図。 超電導テープ線を巻回して形成したパンケーキコイルを示し、(a)は平面図、(b)は側面図。 本発明の実施形態6を示す超電導テープ線を直線状に配した永久電流スイッチの平面図。
以下、本発明に係る超電導テープ線、超電導テープ線を用いて構成した超電導電流リード、永久電流スイッチおよび超電導コイルの実施形態について、図を参照して説明する。なお、各図において、共通する部材には同一の部材符号を付与して、重複する説明は適宜省略する。
[実施形態1]
(超電導テープ線の構成)
超電導電流リードを例に挙げて、図1、図2を用いて超電導テープ線15の構成について説明する。超電導テープ線15は、図2(a)に示した第1高温超電導テープ線1と図2(b)に示した第2高温超電導テープ線2とを、図1(b)に示すように第1のハンダ4aで電気的に接続させた構成になっている。
図2(a)に示すように、第1高温超電導テープ線1は、金属基板20上に配向層21を積層し、配向層21の上に中間層22を介して高温超電導体からなる超電導層23を積層し、超電導層23の上に保護層24を積層した構成になっている。
また、第2高温超電導テープ線2は、第1高温超電導テープ線に比べて、超電導状態の高温超電導テープ線に熱を加えたときに超電導特性が低下する温度(熱に対する許容温度)が高く、金属基板20上に配向層21、中間層22、高温超電導体からなる超電導層23および保護層24をこの順番で積層した構成に関しては、第1高温超電導テープ線1における構成と同様の構成になっているが、保護層24の上と金属基板20の下面に更に安定化層25を積層した構成になっている。
なお、配向層21を積層した構成について説明を行ったが、金属基板20の結晶粒を3次元的に配向させることができる場合には、配向層21を積層していない構成にしておくことができる。
金属基板20としては、例えば、Ni基合金等を用いて構成することができ、配向層21としては、例えば、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)等によりセラミック薄膜を金属基板20上に成膜していくことにより構成することができる。尚、配向層21を用いない構成の場合には、結晶粒を配向した金属基板20上に中間層22を作製させた構成にしておくことができる。
中間層22としては、例えば、酸化セリウム、酸化マグネシウム等をIBAD法などにより3次元的に配向させて配向層21上に構成することができる。超電導層23としては、高温超電導体から構成されており、例えば、パルスレーザー蒸着法(PLD法)等を用いて中間層22上にRE123系の薄膜超電導層をエピタキシャルに成長させていくことで構成することができる。
保護層24としては、金(Au)や銀(Ag)あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金から構成することができ、安定化層25としては、銅(Cu)や銅を含有する合金、または銅・クロム合金(Cu−Cr合金)等を用いて構成することができる。
図1に示すように、第1高温超電導テープ線1の端部に電気的に接続させる接続材である第1のハンダ4aを用いて第2高温超電導テープ線2の一端部を電気的に接続させることにより、超電導テープ線15を作製することができる。超電導テープ線15の端部、即ち、第2高温超電導テープ線2の他端部では、電気的に接続させる接続材である第2のハンダ4bを用いて、外部電流を供給するための金属電極3を電気的に接続させることができる。
さらに、変形例として図1(c)、(d)に示すように、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とをテープ部材44を介して電気的に接続させる接続材である第2のハンダ4bを用いて電気的に接続させることができる。このテープ部材44はその素材の抵抗率が第2のハンダ4bの抵抗率より小さい材料を採用し、例えば金、銀、銅または金、銀、銅の何れか2種類または3種類の合金およびビスマス系の高温超電導テープ線の何れかを採用することができる。
第1高温超電導テープ線1および第2高温超電導テープ線2における保護層24の厚みは1μm程度の厚さとして構成しておくことができ、第2高温超電導テープ線2における安定化層25の厚みは10μm程度の厚さとして構成しておくことができる。尚、上述した保護層24の厚みおよび安定化層25の厚みは、例示であって、超電導テープ線15を使用する用途等に応じた適宜の厚さに、本発明の技術思想を適用することで構成することができる。そのため、本実施形態では、上述した厚みの数値に限定されるものではない。また、第2高温超電導テープ線2としては、図2(c)に示す銀または銀合金等の母材26中に例えば、(Bi,Pb)2223((Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3Ox)超電導体などの酸化物高温超電導体からなる超電導フィラメント27が配されたビスマス系の高温超電導テープ線を用いることもできる。
このように構成された超電導テープ線15は、例えば、全体をエポキシ樹脂やポリアミド絶縁体等を用いて被覆しておくことができる。エポキシ樹脂で超電導テープ線15を被覆した構成例としては、後述する図6に示すような構成にしておくことができる。図6では、超電導テープ線15をエポキシ樹脂等の含浸材6にて樹脂含浸し、樹脂含浸した外表面側をFRP(繊維強化プラスチック)でコーティングしている構成例を示している。
(超電導テープ線の作用、効果)
次に、図3〜図5を用いて、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2とを第1のハンダ4aを用いて接合した超電導テープ線15の構成によって奏される作用、効果について説明するとともに、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを第2のハンダ4bを用いて接合したことによって奏される作用、効果について説明する。
両端の間で温度差が生じている超電導テープ線15において、極低温部側への熱侵入量を減らすための構成として、または、常伝導状態時における電気抵抗を大きくするためには、超電導テープ線15における熱伝導率が低いことが望ましい構成となる。
以下では、熱伝導率等について説明するため、超電導テープ線15において、保護層24として銀(Ag)を用いて構成され、安定化層25が銅(Cu)を用いて構成され、金属基板20としてニッケル(Ni)を用いて構成されている場合を例に挙げて、説明を続ける。
なお、超電導テープ線15における金属基板20、保護層24および安定化層25の材質について記載したが、この材質の記載は例示であって、この材質に限定されるものではない。以下で説明するよう、本実施形態1に係る超電導テープ線15として作用効果を奏することができるものであれば、本発明の技術思想を適用することによってそれらの材質を適宜選択することができる。
図3は、超電導テープ線15を構成する主な構成材料についての熱伝導率と温度(ケルビン温度)の関係を示したグラフであり、横軸はケルビン温度(K=t(℃)+273.15(℃))を示しており、縦軸は熱伝導率(w/m/k)を示している。
図4は、銀の厚みと接続抵抗値の関係を示したグラフであり、横軸は銀の厚みを示しており、縦軸は銀の厚みを10μmとしたときの接続抵抗値を基準値にして銀の厚み毎の接続抵抗値を規格化したときの値を示している。
図5は、加熱温度と接続抵抗の関係を示すグラフであり、横軸は加熱温度(℃)を示しており、縦軸は185℃の加熱温度における接続抵抗値を基準値にして加熱温度毎の接続抵抗値を規格化したときの値を示している。
図3から分かるように、保護層24を構成している銀(Ag)や安定化層25を構成している銅(Cu)の熱伝導率は、金属基板20を構成しているニッケル(Ni)の熱伝導率と比較して、2桁以上大きい値となっている。よって、第1高温超電導テープ線1の熱伝導率が、銅からなる安定化層25を有している第2高温超電導テープ線2の熱伝導率よりも低く構成されている。
また、図4から分かるように、銀の厚みを0.5μmに構成した場合には、銀の厚みを1μmや10μmに構成した場合に比較すると、接続抵抗値が2倍以上の大きな値になっている。
このことから、両端部間において温度勾配が存在する超電導テープ線15では、超電導テープ線15の極低温部側への熱侵入量を減らすためには、安定化層25を含む第2高温超電導テープ線2の長さを第1高温超電導テープ線1より短く構成しておくことが必要になる。因みに、第1高温超電導テープ線1および第2超高温電導テープ線2におけるそれぞれの両端部間における伝熱は、それぞれの断面積に比例し、それぞれの長さに反比例する。
そして、第1高温超電導テープ線1および第2高温超電導テープ線2の保護層24の厚さ、少なくとも第1高温超電導テープ線1の保護層24を構成している銀の厚さを10μm以下に構成しておくことが望ましい構成となる。
同様に熱侵入量と電気抵抗との間には相関関係が存在しており、常伝導状態における超電導テープ線15における電気抵抗を大きく構成しておくためには、第2高温超電導テープ線2の長さを、第1高温超電導テープ線1の長さよりも短く構成すると共に、少なくとも第1高温超電導テープ線1における保護層24の厚さを10μm以下に構成しておくことが望ましい構成となる。
なお、第1高温超電導テープ線1および第2超高温電導テープ線2の保護層24として、金を用いて構成した場合については特に説明を行わないが、従来から公知の金の厚みに関する熱伝導率や接続抵抗値の値を用いることにより、上述した銀を用いて保護層24を構成した場合と同様にして、金を用いた保護層24の厚さを設定することができる。
上述した説明では、保護層24の厚さを10μm以下に構成しておくことが望ましい構成であると説明を行ったが、保護層24の厚さを薄く構成し過ぎると、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2を単純にハンダにて電気的に接続する作業を行う際には、ハンダからの熱によって保護層24を構成している銀がハンダ材に溶け込んでしまうことになる。金を用いて保護層24を構成した場合においても、ハンダからの熱によって、保護層24の金がハンダ材に溶け込んでしまうことになる。
保護層24の銀がハンダ材に溶け込むと、常伝導転移時において保護層24はバイパス回路としての機能を奏さなくなり、超電導テープ線15における超電導層23の接続抵抗値が増えてしまうことになる。
図4のグラフから、銀の厚みを10μmとしたときの接続抵抗値と、厚みを1μmにしたときの接続抵抗値の値は、大きく変化していないことが分かる。そこで、銀を用いて構成した保護層24の厚さが1μmの第1高温超電導テープ線1を使用することにより、超電導テープ線15の接続抵抗値を低く構成することができる。そして、例えば、この超電導テープ線15を用いて超電導電流リードや永久電流スイッチ、超電導コイルを構成した場合には、これらの接続抵抗値を低く構成しておくことができる。
このようにして超電導テープ線15を用いた超電導電流リードなどの接続抵抗値を低くすることができるが、上述したように保護層24を構成している銀は、ハンダ接続時の加熱温度や加熱時間の影響も受けることになる。
図5は、加熱温度と接続抵抗の関係をグラフで示しており、横軸は加熱温度(℃)を示しており、縦軸は、185℃の加熱温度における接続抵抗値を基準値にして、加熱温度毎の接続抵抗値を規格化したときの値を示している。
図5から分かるように、加熱温度が220℃の場合における接続抵抗値の値としては、加熱温度が185℃や195℃の場合における接続抵抗値に比較して、1.7倍程度になっており、加熱温度が240℃の場合には、30倍近くも大きな接続抵抗値となっていることが分かる。
このことから、第1高温超電導テープ線1を金属電極3に比べて熱容量が小さい第2高温超電導テープ線2との間で電気的に接続させる接続材であるハンダ接続することにより、加熱時間を少なく抑えることができる。
また、金属電極3と接続する際には、金属電極3の熱容量が大きいため、加熱時間が長くなってしまう。そこで、本実施形態1では、安定化層25を有した第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを第2のハンダ4bにて電気的に接続するとともに、安定化層25の厚みを10μm以上の厚さとして構成しておくことで、第2高温超電導テープ線2がハンダ付けによって特性劣化することを防止している。
(効果)
本実施形態1に係る超電導テープ線15では、銀を用いて構成した保護層24の厚さを1μmとして構成することで、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2をハンダ付けする際に、保護層24を構成している銀の消失を防ぐことができる。これにより、常伝導転移時における第1高温超電導テープ線1での接続抵抗値の増加を防ぐことができ、安定性を向上させることができる。また、第2高温超電導テープ線2と金属電極3をハンダ付けする際には、安定化層25の厚みを10μmとすることで、ハンダ付けを行っている際の熱による特性劣化を防止することができる。
なお、本実施形態1における超電導テープ線15の構成としては、保護層24の厚さを1μm、安定化層25の厚みを10μmとした構成に限定されるものではなく、超電導テープ線15を用いる用途に応じて、また、超電導テープ線15を用いて構成する超電導電流リードや永久電流スイッチ、超電導コイルを使用する用途に応じて、本実施形態1における超電導テープ線15として上述した効果を奏することができる適宜の値に構成しておくことができる。
[実施形態2]
図5を用いて、本発明の実施形態2に係る超電導テープ線15における第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2とを接続する第1のハンダ4aと、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを接続する第2のハンダ4bの構成について説明する。
なお、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。また、実施形態2に係る超電導テープ線15の構成、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを接続する構成に関しては、図1および図2に示した構成を用いることができる。
(第1のハンダおよび第2のハンダの構成)
実施形態1において、図5のグラフを用いて説明したように、加熱温度が185℃や195℃の場合の方が、これより加熱温度が高くなる場合よりも接続抵抗値は、小さくなっていることが分かる。
実施形態2に係る超電導テープ線15では、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2とを電気的に接続する第1のハンダ4aとして、融点が143℃となるハンダ材を用いており、また、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを電気的に接続する第2のハンダ4bとしては、融点が173℃となるハンダ材を用いている。
第1のハンダ4aや第2のハンダ4bとしては、例えば、Sn−Bi系の低融点ハンダを用いることができる。
(第1のハンダおよび第2のハンダの作用)
ハンダ接続する際には、実際には融点以上の温度にすることがあるため、加熱温度を195℃以下としておくためには、第1のハンダ4a及び第2のハンダ4bにおけるそれぞれの融点は180℃以下であることが望ましい。
実施形態2の超電導テープ線15では、第1のハンダ4aとして融点が143℃のハンダを使用しているため、接続抵抗値を減らすことができ、しかもハンダ接続時に保護層24の銀が消失してしまう危険性を減らしている。また、第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続には、融点が173℃の第2のハンダ4bを用いているが、第2高温超電導テープ線2は安定化層25で覆われているため、保護層24の銀が消失する問題が生じにくく、かつハンダからの熱に対して特性劣化しにくい構成となっている。
このように、第2高温超電導テープ線2に安定化層25を構成しているので、第2のハンダ4bの融点が第1のハンダ4aの融点に比べて高いハンダを使用することができる。その結果、第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続部における機械強度を高めることができる。
(効果)
このように、実施形態2に係る超電導テープ線15では、融点が143℃の第1のハンダ4aを使用し、第2のハンダ4bとしては、融点が173℃のハンダ材を使用することで、接続抵抗を減らすことができる。しかも、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2をハンダ付けする際に、保護層24における銀の消失を防ぐことができるため、超電導テープ線15における接続抵抗値の増加を防ぐことができ、安定性を向上させることができる。
また、第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続には融点が、第1のハンダ4aにおける融点よりも高いハンダを使用しているため、第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続部における機械強度を高めることができ、安定性が向上する。
更に、超電導テープ線15を用いて構成した超電導電流リードや超電導コイル、永久電流スイッチにおける接続抵抗値の増加を防ぐことができ、それぞれの安定性を向上させることができる。
なお、第1のハンダ4aの融点が143℃、第2のハンダ4bの融点が173℃とした構成について説明を行ったが、実施形態2における構成としては、ハンダにおける融点がこの数値に限定されたハンダ材を使用するものに限定されるものではない。超電導テープ線15における第1のハンダ4aの構成、第2高温超電導テープ線2と金属電極3とを接続する第2のハンダ4bの構成としては、ハンダ付けの際に加熱温度が195℃以下となるハンダ材を用いることができる。
[実施形態3]
図6を用いて、本発明の実施形態3に係る超電導電流リード16の構成について説明する。超電導電流リード16を構成する超電導テープ線15の構成および第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続構成は、実施形態1、2における構成と同様の構成になっている。そのため、実施形態1、2と同一の構成には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
(構成)
図6(a)に示すように、第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2を第1のハンダ4aにて電気的に接続した3本の超電導テープ線15を並列に配設して、第2のハンダ4bによって金属電極3と電気的に接続している。その後、図6(a)に示すように、点線で囲んだFRP等からなる補強材5で被覆し、補強材5の内部を含浸材6により樹脂含浸させた構成になっている。これによって、超電導電流リード16が構成されている。
図6(a)では、補強材5及び含浸材6による被覆を除いた超電導電流リード16の構成を示すため、補強材5の構成を点線で示しており、含浸材6の図示は省略している。また、図6(b)には、図6(a)のA−A断面図を示しており、第1のハンダ4aによる第1高温超電導テープ線1と第2高温超電導テープ線2との接続状態、第2のハンダ4bによる第2高温超電導テープ線2と金属電極3との接続状態、および補強材5内の含浸材6の充填状態を示している。
(作用)
超電導テープ線15を超電導電流リード16として使用する場合には、電流容量に応じて必要な本数の超電導テープ線15を選定することができる。そして、必要な本数を並列に配設した超電導テープ線15を繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)等からなる補強材5内に配設して、エポキシ樹脂等の含浸材6にて樹脂含浸することにより、超電導電流リード16における機械強度を高めることができる。
(効果)
機械強度を高めて構成することができるので、超電導電流リード16をマグネットに取り付ける際に生じる特性劣化や、電磁力による特性劣化を防止することができる。そして、特性劣化が防止された超電導電流リード16の性能を向上させることができる。
[実施形態4]
図7(a)、(b)を用いて、本発明の実施形態4に係る超電導コイル17または永久電流スイッチ18におけるコイル部の構成について説明する。超電導コイル17や永久電流スイッチ18を構成する超電導テープ線15の構成は、実施形態1、2における構成と同様の構成になっている。そのため、実施形態1、2と同一の構成には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
(構成)
第1高温超電導テープ線1と、第1高温超電導テープ線1に対して第2高温超電導テープ線2を第1のハンダ4aにて電気的に接続した超電導テープ線15を2本並列に組み合わせ、一対の第1高温超電導テープ線1間に絶縁テープ7を介在させている。そして、2本の第2高温超電導テープ線2の端部同士を第2のハンダ4bで電気的に接続している。
この絶縁テープ7を挟持した2本の超電導テープ線15を巻回させることで、図7(b)に示すような、無誘導巻形状の超電導コイル17またはこの超電導コイル17を備えた永久電流スイッチ18のコイル部を構成している。永久電流スイッチ18としては、コイル状に巻回させた形状のコイル部を有する構成としておくことも、図7(a)に示すように直線状の形状を有する構成にしておくこともできる。
しかし、直線状の形状とした場合には、永久電流スイッチ18を装置内に配設するためには設置スペースを広く構成しておくことが必要になる。そのため、永久電流スイッチ18を直線状で使用することが難しくなるので、設置スペースや取り扱いの容易さから、永久電流スイッチ18の構成として、コイル状の巻形状やらせん状の巻形状、レイヤー巻きの形状等のコイル部を有する構成にしておくことができる。
絶縁テープ7としては、絶縁材を用いた構成にしておくことも、ステンレステープなどの高抵抗材料で構成しておくこともできる。
(作用)
一対の第1高温超電導テープ線1は絶縁テープ7によって電気的に絶縁状態となっているので、図7(a)に示すように、上方側の超電導テープ線15に矢印方向の電流を流すと、下方側の超電導テープ線15にはこれとは逆向きの電流が流れることになる。これによって、一対の超電導テープ線15を無誘導状態として構成することができる。そして、一対の超電導テープ線15をコイル状に巻回することにより、無誘導巻形状の超電導コイル17またはこの超電導コイル17を備えた永久電流スイッチ18を構成することができる。
第1高温超電導テープ線1の保護層24の厚さを2μmとすると、ケルビン温度が100Kのとき保護層24を構成している銀の抵抗率が7.4nΩmになる。そこで、例えば、第1高温超電導テープ線1の幅を4mm、長さを11mにすると、常伝導状態での電気抵抗を10Ωにすることができる。これにより、図7(a)、(b)のように形成した超電導コイル17や永久電流スイッチ18の常伝導状態における電気抵抗を高く設定することができる。
また、第1高温超電導テープ線1は、第2高温超電導テープ線2と第1のハンダ4aによって接続し、第1のハンダ4aの融点を、例えば、143℃とすることで、保護層24の消失を防ぐことができる。また、絶縁テープ7として、ステンレステープなどの高抵抗材料を一対の第1高温超電導テープ線1間に挿入した場合には、高抵抗材料に電流を通電することで、高温抵抗材料をヒータとして使用することもできる。即ち、永久電流スイッチ18をON−OFFさせるヒータとして使用することができる。
(効果)
図7(a)、(b)に示すようにして永久電流スイッチ18を構成した場合には、永久電流スイッチ18の常伝導状態における電気抵抗を高く設定することができ、かつ特性劣化も防止できる。これによって、永久電流スイッチ18の安定性を向上させることができる。
また、図7(a)、(b)に示すようにして超電導コイル17を構成した場合には、無誘導巻形状のコイルを構成することができ、超電導コイル17としての安定化を向上させることができる。
[実施形態5]
図8、図9(a)、(b)を用いて、本発明の実施形態5に係る超電導コイル17または永久電流スイッチ18におけるコイル部の構成について説明する。超電導コイル17や永久電流スイッチ18を構成する超電導テープ線15の構成は、実施形態1、2における構成と同様の構成になっている。そのため、実施形態1、2と同一の構成には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
(構成)
超電導コイル17や永久電流スイッチ18におけるコイル部としての超電導コイル17を備えた構成の形成方法について、図8を用いて説明する。図8に示すように、巻枠9に固定したコイル電極8に対して、超電導テープ線15における第2高温超電導テープ線2の端部を第2のハンダ4bを用いて電気的に接続する。
その後、超電導テープ線15を巻枠9の回りに巻回させていき、図示例の場合には、時計回り方向に巻回させていくことで、図9(a)に示すようなパンケーキコイル10となった超電導コイル17が形成される。このようにして形成された超電導コイル17は、内径側にコイル電極8を有し、外周径側に第2高温超電導テープ線2が配設されることになる。
図9(b)に示すように、同じ向きに巻回した2枚のパンケーキコイル10を軸方向に沿って重ね合わせ、接続電極11を用いて外周径側に配設された第2高温超電導テープ線2同士を電気的に接続する。接続電極11と第2高温超電導テープ線2とのハンダ付けは、第2のハンダ4bを用いて行うことができる。
このようにして構成された、軸方向に2枚のパンケーキコイル10が重なり合った形状を有する超電導コイル17は、無誘導巻コイルとして構成されることになる。また、2枚のパンケーキコイル10の外周径側に配設した第2高温超電導テープ線2同士を接続電極11で接続した構成を説明したが、内径側に配設したコイル電極8をパンケーキコイル10を軸方向に延設させた構成にして、このコイル電極8を接続電極の代わりに用いた構成にしておくこともできる。
(作用)
軸方向に重なり合った2枚のパンケーキコイル10のうち一方のパンケーキコイル10に流れる電流の向きと、他方のパンケーキコイル10に流れる電流の向きが、逆方向になるので、一方のパンケーキコイル10で発生した磁界と他方のパンケーキコイル10で発生した磁界とが互いにキャンセルし合って、無誘導状態になることができる。
上述した説明では、軸方向に重なり合った2枚のパンケーキコイル10における巻回し方向が、同じ巻回し方向とした場合について説明を行ったが、軸方向に重なり合った2枚のパンケーキコイル10における巻回し方向が逆向きとなるように配置した場合には、超電導コイル17の磁力を倍に構成することができる。即ち、磁力を高めた超電導磁石を構成することができる。
(効果)
このように構成することにより、超電導コイル17を備えた永久電流スイッチ18の常伝導状態における電気抵抗を高く設定することができ、かつ特性劣化も防止できる。これによって、永久電流スイッチ18の安定性を向上させることができる。
また、超電導コイル17として使用する場合には、無誘導巻形状のコイルとして使用することも、磁力を高めた超電導磁石として使用することもできる。
[実施形態6]
図10を用いて、本発明の実施形態6に関わる永久電流スイッチの構成について説明する。また、同一の構成には同一の符号を付しており、重複する説明は省略する。
(構成)
永久電流スイッチの構成を図10を用いて説明する。図10に示すように、巻枠9に固定したコイル電極8に対して、銅テープ(テープ部材)44の端部を第2のハンダ4bを用いて電気的に接続する。ここで、第2のハンダ以外のものを使用して電気的に接続してもよい。銅テープ44の端部は、超電導テープ線15と第2のハンダ4bを使用して電気的に接続する。
その後、巻枠9の回りに巻回させていき、図示例の場合には、時計回り方向に巻回させていくことで、無誘導巻コイルを構成することができる。
(作用)
2本の超電導テープ線15の流れる電流の向きが逆向きとなるため、無誘導状態となることができる。
(効果)
このように構成することにより、永久電流スイッチ18の常伝導状態における電気抵抗を高く設定することができ、かつ特性劣化をも防止できる。これによって、永久電流スイッチ18の安定性を向上させることができる。
以上、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…第1高温超電導テープ線、2…第2高温超電導テープ線、3…金属電極、4a…第1のハンダ、4b…第2のハンダ、5…補強材、6…含浸材、7…絶縁テープ、8…コイル電極、9…巻枠、10…パンケーキコイル、11…接続電極、15…超電導テープ線、16…超電導電流リード、17…超電導コイル、18…永久電流スイッチ、20…金属基板、21…配向層、22…中間層、23…超電導層、24…保護層、25…安定化層、26…母材、27…超電導フィラメント、44…テープ部材(銅テープ)。

Claims (11)

  1. 金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層から構成される第1高温超電導テープ線と、
    金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され、金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層と、当該保護層の上と前記金属基板の下面に更に銅や銅を含有する合金、または銅・クロム合金を用いた安定化層を積層し、前記第1高温超電導テープ線に比べて熱に対する許容温度が高い第2高温超電導テープ線を有し、
    前記第1高温超電導テープ線と前記第2高温超電導テープ線とが、電気的に接続させる接続材である第1のハンダにより電気的に接続され、
    前記第2高温超電導テープ線と金属電極とが、前記第1のハンダの融点よりも融点温度が高い電気的に接続させる接続材である第2のハンダにより接続されていることを特徴とする超電導テープ線。
  2. 金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層から構成される第1高温超電導テープ線と、
    金属基板上に中間層を介して積層される高温超電導体からなる超電導層と、当該超電導層上に積層され、金または銀あるいは金と銀のうち少なくとも一方を含有する合金からなる保護層と、当該保護層の上と前記金属基板の下面に更に銅や銅を含有する合金、または銅・クロム合金を用いた安定化層を積層し、前記第1高温超電導テープ線に比べて熱に対する許容温度が高い第2高温超電導テープ線を有し、
    前記第1高温超電導テープ線と前記第2高温超電導テープ線とが、電気的に接続させる接続材である第1のハンダにより電気的に接続され、
    前記第2高温超電導テープ線の他端は、テープ部材と接続材によって電気的に接続され、このテープ部材は前記接続材よりも抵抗率が低い素材からなり、
    前記第2高温超電導テープ線と前記テープ部材および金属電極とが、前記第1のハンダの融点よりも融点温度が高い電気的に接続させる接続材である第2のハンダにより接続されていることを特徴とする超電導テープ線。
  3. 前記テープ部材は、金、銀、銅または金、銀、銅の何れか2種類または3種類の合金およびビスマス系の高温超電導テープ線の何れかから成ることを特徴とする請求項2に記載の超電導テープ線。
  4. 前記第1高温超電導テープ線の熱伝導率が、前記第2高温超電導テープ線の熱伝導率よりも低く構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超電導テープ線。
  5. 前記第1高温超電導テープ線と前記第2高温超電導テープ線とが、電気的に接続させる接続材である第1のハンダにより電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超電導テープ線。
  6. 前記第2のハンダの融点が、195℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超電導テープ線。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の超電導テープ線を用いて構成したことを特徴とする超電導電流リード。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の超電導テープ線を用いて構成したことを特徴とする永久電流スイッチ。
  9. 前記永久電流スイッチが、前記超電導テープ線を巻いたパンケーキコイルで内周側の端部同士を電気的に接続して無誘導に巻線されていることを特徴とする請求項8記載の永久電流スイッチ。
  10. 請求項1乃至6のいずれかに記載の超電導テープ線を巻き回して構成したことを特徴とする超電導コイル。
  11. 前記超電導コイルが、前記超電導テープ線を巻き回して構成した2個のパンケーキコイルと、隣接するパンケーキコイルの外周径側の端部同士、または内周径側の端部同士を電気的に接続する接続電極と、を有し、隣接するパンケーキが前記超電導テープ線を同方向または逆方向に巻回させていることを特徴とする請求項10に記載の超電導コイル。
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