JP2015065116A - 酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体、及びこれを備えた超電導機器、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体、及びこれを備えた超電導機器、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Agを使用することなく酸化物超電導層が水分により劣化することを抑制することができる酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、及びこれを備えた超電導機器を提供する。
【解決手段】前記課題を解決するため本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された超電導積層体と、前記酸化物超電導層の少なくとも基材と反対側の面を覆い、前記酸化物超電導層に固着されたセラミック用半田層と、を有する酸化物超電導線材。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体、及びこれを備えた超電導機器、並びにこれらの製造方法に関する。
近年のエネルギー問題を解決できる電気機器の一つに低損失の導電材料として酸化物超電導体を用いたケーブル、コイル、モータ、マグネットなどの超電導機器が挙げられる。酸化物超電導体をこれらの機器に使用するためには、酸化物超電導体を線材に加工して用いるのが一般的である。具体的には、酸化物超電導体層の表面にAgからなるコーティング層が設けられた酸化物超電導テープと安定化材テープとを、半田を介して接合した酸化物超電導線材が知られている(例えば特許文献1)。酸化物超電導層の表面にAgのコーティング層を設けることで、酸化物超電導層を保護するとともに酸化物超電導層が水分により劣化することを抑制できる。
しかしながら、Agは高価な金属であるためその使用量を抑制することが求められている。また、Agからなるコーティング層に半田を接合すると、コーティング層と半田との界面において合金層が形成され脆化し強度が落ち、さらに電気的安定性が低下するという問題があった。
特開2009−48987号公報
本発明が解決しようとする課題は、高価なAgのコーティング層を使用することなく酸化物超電導層が水分により劣化することを抑制できる酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、及びこれを備えた超電導機器を提供することである。
前記課題を解決するため本発明の酸化物超電導線材は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された超電導積層体と、前記酸化物超電導層の少なくとも基材と反対側の面を覆い、前記酸化物超電導層に固着されたセラミック用半田層と、を有する。
本発明によれば、超電導積層体の酸化物超電導層を当該酸化物超電導層と固着するセラミック用半田層によって覆うことで、高価なAgを使用することなく酸化物超電導層の水分による劣化を抑制でき、コスト削減を図ることができる。また、Agを使用しないため、Agのコーティング層と半田層の間に、これらの合金層が形成されることが無く、脆化や電気安定性の低下を抑制できる。
本発明の酸化物超電導線材は、前記セラミック用半田層が、前記超電導積層体の全周を覆っていても良い。
半田層が超電導積層体の端面を含む全周を覆うことで、酸化物超電導層の水分による劣化をより確実に抑制できる。
本発明の酸化物超電導線材は、前記セラミック用半田層の構成成分が、前記酸化物超電導層の酸化物成分と化学的に結合していることが好ましい。
セラミック用半田層が、前記酸化物超電導層の酸化物と結合することで、より強固に固着させることができる。
本発明の酸化物超電導線材は、前記セラミック用半田層が、前記酸化物超電導層に対し10MPa以上の剥離強度で固着していることが好ましい。
このように固着することで、セラミック用半田層と酸化物超電導層とが剥離しづらい酸化物超電導線材を供給できる。
本発明の酸化物超電導線材は、前記セラミック用半田層に接合された安定化層を有していても良い。
この酸化物超電導線材は、安定化層を有することで酸化物超電導層のクエンチが起こり常電導状態に転移した時に発生する過電流を抑制することができる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された超電導積層体を、超音波振動を印加されているセラミック用半田浴にディッピングし、少なくとも前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程を有する。
セラミック用半田浴に超電導積層体をディッピングすることで、酸化物超電導層を含む超電導積層体の全周を容易に覆うことができる。また、このセラミック用半田浴に超音波を付加することで、セラミック用半田層を酸化物超電導線材に固着させることができるのみならず、基材や中間層とも固着させることができ、水分に対して堅牢な酸化物超電導線材を製造できる。
本発明の酸化物超電導線材の接続構造体は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された一対の酸化物超電導線材と、前記一対の酸化物超電導線材の酸化物超電導層同士が対向する領域に設けられ、前記酸化物超電導層同士を固着されたセラミック用半田層と、を有する。
本発明によれば、酸化物超電導線材の酸化物超電導層同士を、酸化物超電導層と固着するセラミック用半田層により接続されることで接続部にAgを介在させることなく酸化物超電導線材同士を接続することができる。したがって、接続部が脆化することがなく、加えて電気安定性の低下を抑制できる。
本発明の酸化物超電導線材の接続構造体の製造方法は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された一対の酸化物超電導線材の接続構造体の製造方法であって、前記一対の酸化物超電導線材の接続しようとするそれぞれの端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングし、それぞれの端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程と、前記一対の酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層同士を対向して配置し、それぞれの端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を溶融させ接続する工程と、を有する。
本発明によれば、接続しようとするそれぞれの酸化物超電導線材のそれぞれの端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングすることで、各端部の酸化物超電導層に固着したセラミック用半田層を形成することができる。さらに、これらの端部に固着したセラミック用半田層を溶融させ端部同士を接合することで、Agを介在させることなく酸化物超電導線材同士を接続し接続構造体を製造できる。
本発明の酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された酸化物超電導線材と、前記酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層に対向して配置された電極端子と、前記酸化物超電導層に固着され、前記酸化物超電導層と前記電極端子とを接合するセラミック用半田層と、を有する。
本発明によれば、酸化物超電導線材と電極端子を、酸化物超電導層と固着するセラミック用半田層を介し接続することで、接続部にAgを介在させることなく、接続部の脆化、及び電気安定性の低下を抑制できる。
本発明の酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体の製造方法は、テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体の製造方法であって、前記酸化物超電導線材の接続しようとする端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングし、端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程と、前記酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層に前記電極端子を対向して配置し、端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を溶融させ接続する工程と、を有する。
本発明によれば、酸化物超電導線材の端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングし酸化物超電導層に固着したセラミック用半田層を形成し、このセラミック用半田を介し電極端末と接合することで、Agを介在させることなく酸化物超電導線材と電極端末を接続しこれらの接続構造体を製造できる。
本発明の超電導機器は、上述した何れかの酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体を有する。
上述した何れかの酸化物超電導線材、酸化物超電導線材の接続構造体、酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体を超電導機器に用いることで、高い信頼性を有する超電導機器を実現することが可能となる。
本発明によれば、超電導積層体の酸化物超電導層を当該酸化物超電導層と固着するセラミック用半田層によって覆うことで、Agを使用することなく安価に得ることができ、酸化物超電導層の水分による劣化を抑制できる。また、Agを使用しないため、Agと半田の合金層が形成されることが無くなり、脆化や電気安定性の低下を抑制できる。
本発明の第1実施形態に係る酸化物超電導線材を示し図1(a)は、酸化物超電導線材の横断面を示す模式図であり、図1(b)は、酸化物超電導線材の端部近傍の縦断面を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る酸化物超電導線材の横断面を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る酸化物超電導線材の横断面を示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る酸化物超電導線材の横断面を示す模式図である。 本発明の第5実施形態に係る酸化物超電導線材の横断面を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る接続構造体の縦断面を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る接続構造体の縦断面を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る接続構造体の縦断面を示す模式図である。 本発明の第4実施形態に係る接続構造体の縦断面を示す模式図である。 超電導ケーブルの一例を示す部分断面略図である。 超電導限流器の一例を示す断面図である。 超電導モータの一例を示し、図12(a)は、全体構成を示す部分断面図、図12(b)は、各構成部品の位置関係を示す模式図である。 超電導コイルの一例を示し、図13(a)は、超電導コイルの積層体を示す斜視図、図13(b)は、超電導コイル単体を示す斜視図である。
以下、本発明に係る酸化物超電導線材の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、各実施形態において同一の構成要素については同一符号を付し、後段における同一構成要素の説明は省略する。
<酸化物超電導線材>
図1(a)に第1実施形態の酸化物超電導線材1の横断面の模式図を示す。本実施形態の酸化物超電導線材1は、テープ状の基材3に中間層4と酸化物超電導層5とが積層された超電導積層体6と、超電導積層体6を覆うセラミック用半田層7と、を有している。
なお、本明細書中の各図において、線材の幅方向をX方向、長手方向をY方向、厚さ方向をZ方向とする。
基材3は、ハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)に代表されるニッケル合金やステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金が適用される。基材3の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、10〜500μmの範囲とすることができる。
基材3上に形成される中間層4は、一例として、基材側から順に拡散防止層とベッド層と配向層とキャップ層の積層構造とすることができるが、拡散防止層とベッド層の一方あるいは両方を略して構成しても良い。
拡散防止層は、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成され、例えば厚さ10〜400nmに形成される。ベッド層は、界面反応性を低減し、その上に形成される膜の配向性を得るため層であり、Y、Er、CeO、Dy3、Er、Eu、Ho、La等からなり、その厚さは例えば10〜100nmである。配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなり、具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等からなる。キャップ層の膜厚は50〜5000nmの範囲に形成できる。
酸化物超電導層5は酸化物超電導体として公知のもので良く、具体的には、RE−123系と呼ばれるREBaCu(REは希土類元素であるSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上を表す)を例示できる。この酸化物超電導層5として、Y123(YBaCu7−X)又はGd123(GdBaCu7−X)などを例示できる。酸化物超電導層5の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
上述した基材3に中間層4、酸化物超電導層5が積層された超電導積層体6は、その全周に亘って一様な厚さのセラミック用半田層7に覆われている。
セラミック用半田層7は、超電導積層体6をセラミック用半田が満たされた半田浴にディッピングすることで形成することができる。このとき、半田浴に超音波を加え超音波振動させることにより、超電導積層体6の基材3、中間層4、酸化物超電導層5にセラミック用半田を固着させセラミック用半田層7を形成することができる。
このように形成されたセラミック用半田層7の厚みは、20μm〜100μmとなり、ピンホールが生じない十分な厚さを確保することができる。また、セラミック用半田層7の外側にさらに銅めっきを施す場合には、めっき法による超電導積層体の損傷を防ぎ均一なめっき層を形成できる。
また、セラミック用半田層7の外側に金属テープを被覆する場合(例えば後述する第3実施形態の酸化物超電導線材12、図3参照)においては、セラミック用半田層7の厚さを3μm〜100μmにすることができる。これは、金属テープの被覆により水分の浸入が抑制できるためである。
セラミック用半田層7の厚みは、セラミック用半田が冷え固まる時間で管理することができる。また、半田浴から取り出し冷え固まるまでの間に、溶融状態のセラミック用半田を刷毛でそぎ落としたり、エアーで吹き飛ばすなどして、積極的に厚みの制御を行うこともできる。
ところで、一般的な半田は、基材3(例えばNi系合金)や、中間層4(金属酸化物、金属窒化物等)、酸化物超電導層5(金属酸化物)とは密着性が悪いため、従来方法で半田付けを行っても超電導積層体6の全周を半田で覆うことができなかった。
これは、一般的な半田の接合原理は、母材と半田との相互の拡散によるものであるため、母材と半田の拡散性が悪い場合においては、接合しにくくなるためである。加えて、一般的な半田接合では、母材表面の微細な気泡が、半田と母材の接合を阻害し、接合力を低下させるという問題もあった。
これに対して、セラミック用半田の構成成分は、母材である基材3の表面に形成される酸化物や、中間層4、酸化物超電導層5を構成する酸化物と化合物を形成し科学的に結合することができる。加えて、このセラミック用半田を超音波を与えながら半田付けすることで、超音波振動によって気泡が除去され、濡れが促進されて母材と半田を強固に固着させることができる。
このように、形成されたセラミック用半田層7は、酸化物超電導層5に対して10MPa以上の剥離強度で固着させることができる。また、セラミック用半田層7は、基材3、中間層4に対しても同様に10MPa以上の剥離強度で固着させることができる。
セラミック用半田は、例えば、半田(例えばPb−Sn合金、Sn−Zn合金等)に酸素親和力の高い金属が微量に添加されるなどして酸化物と結合可能に構成されている。
セラミック用半田としては、In半田や、Pb−Sn合金にZn、Sb、Al、Ti、Si、Cuが適宜添加されたもの、Sn−Zn合金にIn、Sb、Alが適宜添加されたもの、Snを主成分としTiを含有し、さらに適宜Ag、Cu、Zn、Alが添加されたもの、SnにZn、Sb、In、Bi、Ag、Au、Al、Pt、Pd、Rh、Os、Ru、及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属を含むもの等、セラミックに接合可能な半田を様々使用することができる。
より具体的には、黒田テクノ株式会社で販売されているセラソルザー(登録商標)を使用することができる。
セラミック用半田層7を形成するディッピング工程は、酸化物超電導層5に酸素を供給して、超電導特性を高める酸素アニール処理の後に行うことが好ましい。
また、このディッピング工程は、短時間で行うことが好ましく具体的には、10s以下のディッピングであることが望まれる。10s以下のディッピングであれば、酸化物超電導層5の酸素が抜け超電導特性が劣化することを抑制することができる。
図1(b)に第1実施形態の酸化物超電導線材1の長手方向端部1a近傍の横断面の模式図を示す。セラミック用半田層7は、超電導積層体6の長手方向の端面6aを覆う端面被覆部7aを備えており、超電導積層体6の外周のみならず端面6aも覆っている。端面被覆部7aは、超電導積層体6をセラミック用半田浴にディッピングする際に、端面6aも合わせてディッピングすることで形成することができる。
本実施形態の酸化物超電導線材1は、超電導積層体6の酸化物超電導層5が、これと固着するセラミック用半田層7により覆われているため、水分の浸入により超電導特性が劣化することを抑制できる。また、この酸化物超電導線材1は、中間層4もこのセラミック用半田層7に覆われているため、中間層4と水分の反応も防ぐことができ、水分と中間層4の反応により中間層4の機能が低下することを抑制できる。
加えて、本実施形態の酸化物超電導線材1は、その端部1aにおいて、超電導積層体6の端面6aがセラミック用半田層7の端面被覆部7aに覆われている。これにより超電導積層体6の端面6aへの水分浸入も抑制される。したがって、端部1a近傍における超電導特性の劣化を防ぐことができる。
この酸化物超電導線材1は、従来技術において酸化物超電導層5に水分が浸入することを抑制する目的で使用されたAgのコーティング層を形成する必要がなく、コスト削減を図ることができる。
図2に第2実施形態の酸化物超電導線材11の横断面の模式図を示す。
本実施形態の酸化物超電導線材11は、第1実施形態の酸化物超電導線材1と比較して、酸化物超電導層5側の主面1b上にセラミック用半田層7を介し金属テープからなる安定化層8が形成されている点が異なる。
安定化層8を構成する金属テープの材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅製が好ましい。
この酸化物超電導線材11において安定化層8は、事故時に発生する過電流を転流するバイパスとなる。
また、酸化物超電導線材11を超電導限流器に使用する場合において安定化層8は、クエンチが起こり常電導状態に転移した時に発生する過電流を瞬時に抑制するために用いられる。この場合、安定化層8に用いられる材料は、例えば、Ni−Cr等のNi系合金等の高抵抗金属を用いる事が好ましい。
安定化層8は、第1実施形態の酸化物超電導線材1(図1参照)と同形態の予備酸化物超電導線材1Aの酸化物超電導層5側である主面1bに安定化層8となる金属テープを半田付けすることにより形成できる。半田付けに用いる半田は、主面1bのセラミック用半田層7で補っても良いが、金属テープが銅製である場合においては、金属テープの半田との接合性を考慮し予め金属テープの面上に半田めっきを施したものを用いる事が好ましい。この場合は、金属テープの半田めっきと主面1bのセラミック用半田層7とにより安定化層8が接合される。金属テープの半田めっきに用いられる半田は、従来公知の半田を使用可能である。
酸化物超電導層5とセラミック用半田層7の固着は、セラミック用半田層7を再度溶融しても解消されることはなく、セラミック用半田層7を構成する半田を再度溶融して金属テープを接合することができる。
なお、安定化層8を形成する工程における半田付けは、超音波振動を付加して行っても良い。
また、金属テープからなる安定化層8が形成される位置は、酸化物超電導層5側の主面1bに限らない。基材3側にのみ形成しても良く、また、第3実施形態として後述するように予備酸化物超電導線材1Aの周面を覆うように形成しても良い。
図3に第3実施形態の酸化物超電導線材12の横断面の模式図を示す。
本実施形態の酸化物超電導線材12は、第2実施形態の酸化物超電導線材11と比較して安定化層8Aの構成が異なる。
安定化層8Aは、金属テープを予備酸化物超電導線材1A(酸化物超電導線材1(図1参照)と同形態)の主面1b側から略C字型に覆い形成されている。安定化層8Aは、予備酸化物超電導線材1Aの外周(横断面四方)においてセラミック用半田層7と接合されている。金属テープにより覆われていない部分(即ち、金属テープの側端部同士の間)は、溶融したセラミック用半田層7によって埋め込まれ、埋込部7bが形成されている。
酸化物超電導線材12の安定化層8Aは、セラミック用半田層7を溶融させながら、予備酸化物超電導線材1Aの主面1b側から横断面略C字型をなすように包み込んで折り曲げ加工することで形成できる。なお、上述した第2実施形態と同様に、安定化層8Aには内側となる面に予め半田めっきを施したものを用いる事が好ましい。
このように加工することで、溶融した半田(セラミック用半田層7及び金属テープに予め施された半田めっき)が、金属テープの側端部同士の隙間に集中し埋込部7bが形成される。
第3実施形態の酸化物超電導線材12は、予備酸化物超電導線材1Aの横断面四方に安定化層8Aが形成されているため、より確実に内部に水分を浸入させない構造を実現できる。また、予備酸化物超電導線材1Aの外周に金属テープを螺旋巻きにするなどして安定化層を形成することもできる。
また、予備酸化物超電導線材1Aにめっき法により銅などからなるめっき層からなる安定化層を形成しても良い。
安定化層8Aを構成する金属テープは、上述した第2実施形態の安定化層8を構成する金属テープを幅広としたものを用いる事ができる。金属テープの厚さは特に限定されず、適宜調整可能であるが、9〜60μmとすることができる。金属テープの厚さが薄すぎると加工工程で破れが生じる虞があり、また厚すぎると、横断面略C字型に成形することが困難となるのみならず、成形時に高い応力を加える必要があるため酸化物超電導層5が劣化する虞がある。
第2実施形態の酸化物超電導線材11、第3実施形態の酸化物超電導線材12においては、安定化層8、8Aを形成することで、事故時などに発生する過電流をバイパスし電気的に安定させることができる。
従来の酸化物超電導線材においては、Agのコーティング層を介し半田により安定化層形成されていたが、本実施形態のように、酸化物超電導層5に直接半田(セラミック用半田層7)を固着させることによって、Agのコーティング層を介することなく安定化層8、8Aを形成することができる。
Agを使用しないことによって、コスト削減が図れるばかりか、半田層とAgの合金層が形成されることがないため、半田とAgの合金化による脆化と、半田とAgの界面における抵抗値の増大を抑制できる。
図4に第4実施形態の酸化物超電導線材13の横断面の模式図を示す。この酸化物超電導線材13は、第1実施形態の酸化物超電導線材1と比較して、セラミック用半田層9の構成が異なる。第4実施形態におけるセラミック用半田層9は、超電導積層体6において酸化物超電導層5の主面5a上に形成されている。
図5に第5実施形態の酸化物超電導線材14を示す。この酸化物超電導線材14は、第4実施形態の酸化物超電導線材13を予備酸化物超電導線材13Aとし、当該予備酸化物超電導線材13Aのセラミック用半田層9上に安定化層8を形成することで得られる。
第4及び第5実施形態の酸化物超電導線材13、14のように、酸化物超電導層5の主面5a上にセラミック用半田層9を形成することで、水分による超電導特性の劣化を防ぐのみならず、線材自体の厚みが肥大化を抑制できる。
また、セラミック用半田層9が酸化物超電導層5の主面5a側にのみ形成され、基材3側に形成されていないことで、酸化物超電導層5が線材の厚み方向中心近くに形成される。したがって、酸化物超電導層5が線材の中立軸に近づくため、線材が曲げられた際に酸化物超電導層5に加わる応力が軽減され、超電導特性の劣化が起こりにくくなる。
なお、図4及び図5において、セラミック用半田層9は、酸化物超電導層5の主面5a上にのみ形成されたように図示されているが、酸化物超電導層5及び中間層4の側面においてもセラミック用半田層9が形成され、酸化物超電導層5と中間層4を覆って形成されていることが好ましい。
<接続構造体>
次に図6を基に、酸化物超電導線材1(図1参照)を一対用意しこれらを接続した第1実施形態の接続構造体20について説明する。なお、以下の接続構造体の説明において一対の酸化物超電導線材1をそれぞれ区別する目的で、一方を酸化物超電導線材1B、他方を酸化物超電導線材1Cとする。
接続構造体20は、テープ状の基材3に中間層4と酸化物超電導層5とが積層された超電導積層体6と、超電導積層体6を覆うセラミック用半田層7とからなる酸化物超電導線材1B、1Cの長手方向端部1a同士を接続して構成されている。
接続構造体20において、一対の酸化物超電導線材1B、1Cは、その酸化物超電導層5が互いに向かい合う端部1a同士が重なり合って配置されている。この重なり合った部分同士が、酸化物超電導線材1B、1Cの外周に形成されたセラミック用半田層7によって接合され半田接合層7Aを形成し一対の酸化物超電導線材1B、1Cが電気的、機械的に接続されている。
酸化物超電導線材1B、1Cは、端部1aを含む全周にセラミック用半田層7が形成されている。セラミック用半田層7は、超電導積層体6の外周に固着しているが、低融点金属合金から構成されているため、融点以上に加熱することで再溶融させることができる。
一対の酸化物超電導線材1B、1Cにおいて、互いの酸化物超電導層5側を対向させて端部1a同士を重ね合わせた後に、重ね合わされた部分を加熱することで、セラミック用半田層7が溶融し半田接合層7Aが形成できる。このとき重ね合わせた部分に半田箔を挟み込み半田を供給することで、半田接合層7Aの半田を十分に確保しても良い。この場合の半田箔は、セラミック用半田に限定されることはない。
次に図7を基に、酸化物超電導線材1(図1参照)と電極端子10を接続する第2実施形態の接続構造体21について説明する。第2実施形態の接続構造体21は、上述した第1実施形態の接続構造体20の接続しようとする一対の酸化物超電導線材1B、1Cのうち、一方を電極端子10に置き換えた構造を有する。
なお、電極端子10は、酸化物超電導線材1を備えた超電導機器の出力側、又は入力側に配置され、酸化物超電導線材1に電流を流す役割を果たす。
接続構造体21において電極端子10は、酸化物超電導線材1の酸化物超電導層5側に配置される。また、電極端子10は、酸化物超電導線材1の端部1a近傍に重なり合うように配置される。この重なり合った部分同士が酸化物超電導線材1の外周に形成されたセラミック用半田層7によって接合され半田接合層7Aを形成する。これにより、酸化物超電導線材1と電極端子10が電気的、機械的に接続されている。
接続構造体21は、酸化物超電導線材1の酸化物超電導層5側に電極端子10を重ね合わせて配置し、酸化物超電導線材1のセラミック用半田層7を溶融させることにより形成することができる。
図8を基に第3実施形態の接続構造体22について説明する。接続構造体22は、一対の酸化物超電導線材1B、1C(図1に示す酸化物超電導線材1と同形態)を接続用線材2を介し接続する構造となっている。なお、接続用線材2は、酸化物超電導線材1を短尺に加工したものであって、酸化物超電導線材1と同様の層構造を有する。
接続構造体22において、接続される一対の酸化物超電導線材1B、1Cの端部1a同士を所定の間隙を設けて突き合わせて配置されている。これらの一対の酸化物超電導線材1B、1Cの積層方向(基材3に対して中間層4、酸化物超電導層5が積層される方向)は一致している。また、端部1a、1a間を跨って接続用線材2が配置されている。接続用線材2は、一対の酸化物超電導線材1B、1Cに対して積層方向を逆転している。接続用線材2と酸化物超電導線材1B、1Cの酸化物超電導層5は互いに対向している。接続構造体22は、一対の酸化物超電導線材1B、1Cと接続用線材2の重なり合った部分同士が、セラミック用半田層7によって接合され半田接合層7Aを形成し、電気的、機械的に接続されている。
第3実施形態の接続構造体22は、第1実施形態の接続構造体20を線材の長手方向に沿って連続して構成したものであると説明できる。このような構造とすることで、接続部分で酸化物超電導線材1B、1Cの表裏の逆転がない接続構造体を提供することができる。
上述した、第1〜第3実施形態の接続構造体20、21、22は酸化物超電導線材1(図1参照)を接続する構造として例示したものである。しかしながら、これらの接続構造体20、21、22は、図2〜図5を基に説明した酸化物超電導線材11、12、13、14においても適用可能である。なお、酸化物超電導線材11、12、14は、安定化層8、8Aを備えているため、安定化層同士を半田を介して接続させることで接続構造体を得ることができる。
図9を基に、第4実施形態の接続構造体23について説明する。
第4実施形態の接続構造体23は、酸化物超電導層5上にAg層16が設けられた一対の酸化物超電導線材15A、15Bを接続するものである。
接続構造体23において接続される一対の酸化物超電導線材15A、15Bは、超電導積層体6の酸化物超電導層5の上面(基材と反対側の面)がAg層16により覆われている。この酸化物超電導線材15A、15Bの長手方向端部15a近傍においては、Ag層16が除去された除去部15bが形成されている。一対の酸化物超電導線材15A、15Bは、除去部15b同士を対向させて重ね合わされている。また、当該除去部15b同士を重ね合わせた部分を接合するように半田接合層7Bが形成され、これらを電気的、機械的に接続されている。この半田接合層7Bは、酸化物超電導線材15A、15Bの除去部15b、即ち露出した酸化物超電導層5に固着している。
この酸化物超電導線材15A、15Bの接続構造体23は、以下の手順によって形成できる。
まず、一対の酸化物超電導線材15A、15Bの端部15a近傍のAg層16を除去し除去部15bを形成する。Ag層16を除去する手段として、例えばアンモニアと過酸化水素の混合溶液を用いてAg層16を溶解させる方法等を用いる事ができる。また、除去部15bの長さは、10mm以上とすることで、半田接合層7Bの長さを十分確保することができ接続抵抗が低い接続構造体23を形成できる。端部15a近傍において、除去部15bを形成することで酸化物超電導層5が露出した状態となる。
次に、酸化物超電導線材15A、15Bの除去部15bを覆うようにセラミック用半田層を形成する。このセラミック用半田層は、例えば超音波を付加したセラミック用半田の半田浴に酸化物超電導線材15A、15Bの除去部15bを含む端部15aをディッピングすることで形成することができる。これにより、除去部15bから露出した酸化物超電導層5を覆うようにセラミック用半田層が形成される。
次に、これらの酸化物超電導線材15A、15Bにおいて、セラミック用半田層を形成した除去部15b同士を対向させて重ね合わせた後に、重ね合わされた部分を加熱することで、セラミック用半田層が溶融し半田接合層7Bが形成される。これにより、酸化物超電導線材15A、15Bの接続構造体23を得ることができる。
以上に説明した各実施形態の接続構造体20、21、22、23は、酸化物超電導線材1B、1C(又は接続用線材2)、酸化物超電導線材15A、15B同士の接続、又は酸化物超電導線材1と電極端子10との接続部である半田接合層7A、7Bにおいて、Agが介在していない。したがって、半田とAgの合金化による脆化と、半田とAgの界面における抵抗値の増大を抑制できる。
上述した各実施形態の酸化物超電導線材及び接続構造体は、様々な超電導機器に使用可能である。以下、図1を基に説明した酸化物超電導線材1を使用した超電導ケーブル、超電導限流器、超電導モータ、超電導コイルについて説明する。以下の説明においては、酸化物超電導線材1を各超電導機器に適用した例を説明するが、その他の実施形態の超電導線材、及び接続構造体を各超電導機器も同様に適用することができる。
(超電導ケーブル)
図10に本発明の実施形態としての超電導ケーブル80の部分断面略図を示す。超電導ケーブル80の中心にあるケーブルコア85は、金属製(例えば銅製)フォーマ81の周りに、複数列のテープ状の酸化物超電導線材1を、絶縁層82を挟んで2層にわたって螺旋状に巻きつけ、さらに導電性のケーブル用安定化層83によって覆われて形成されている。このケーブルコア85は可撓性を有する金属製の二重断熱管84の中に収納されている。二重断熱管84は、内管84aと外管84cを有し、内管84aと外管84cの間には、真空断熱層84bが形成されており、外部からの熱の影響を排除する構造となっている。
(超電導限流器)
図11に本発明の実施形態としての超電導限流器99を示す。
超電導限流器99において、酸化物超電導線材1は、巻胴に複数層に渡って巻回され超電導限流器用モジュール90を構成し、当該超電導限流器用モジュール90として液体窒素98が充填された液体窒素容器95に格納されている。さらに液体窒素容器95は、外部との熱を遮断する真空容器96の内部に格納されている。
液体窒素容器95は、上部に、液体窒素充填部91と冷凍機93を有し、冷凍機93の下方には、熱アンカー92と熱板97が設けられている。
また、超電導限流器99は、超電導限流器用モジュール90に外部電源(図示略)を接続するための電流リード部94を有する。
なお、超電導線材を以上のような超電導限流器99の超電導限流器用モジュール90として使用する場合において、クエンチが起こり常電導状態に転移した時に発生する過電流を瞬時に抑制するためにNi−Cr等の高抵抗金属からなる安定化層を備えた超電導線材を使用することが好ましい。
(超電導モータ)
図12(a)、(b)に超電導モータ130の一例を示す。超電導モータ130は、円筒状の密閉型の容器131の内部に、回転自在に軸支された軸型の回転子132を備え構成されている。
回転軸133の中央部周囲側に、軸周りに複数の超電導モータ用コイル135が取り付けられ、これら複数の超電導モータ用コイル135の周囲側に容器131の内壁側に支持された銅コイルからなる複数の常電導コイル136が配置されている。
超電導モータ用コイル135は、酸化物超電導線材1を適当なスミRを有するレーストラック状のボビンに巻回して形成されている。
回転軸133の内部には冷却ガスを流入させるか流出させるための複数の配管が設けられ、外部に別途設けられている図示略の冷媒供給装置から容器131の内部に冷却ガスを導入し、冷却ガスにより超電導モータ用コイル135を臨界温度以下に冷却できるように構成されている。なお、超電導モータ用コイル135は臨界温度以下に冷却されるが、常電導コイル136は常温部として構成される。
図12(a)、(b)に示す超電導モータ130は、容器131の内部に冷却ガスを導入し、この冷却ガスにより超電導モータ用コイル135を臨界温度以下に冷却して使用する。常電導コイル136には別途図示略の電源から必要な電流を供給し、超電導モータ用コイル135にも別途図示略の電源から必要な電流を供給することで、両者のコイルが生成する磁場に起因した回転力により回転軸133を回転させて超電導モータ130として使用することができる。
(超電導コイル)
図13(b)にパンケーキ状の超電導コイル101を示す。また超電導コイル101を複数個積層し、それぞれの超電導コイル101同士を上述した接続構造体よって接続することにより、図13(a)に示す強力な磁力を発する超電導コイル積層体100を形成することができる。
上述した各実施形態の酸化物超電導線材及び接続構造体を超電導機器に用いることで、高い信頼性を有する超電導機器を実現することが可能となる。
ここで、超電導機器は、酸化物超電導線材1を有するものであれば特に限定されず、例えば、超電導ケーブル、超電導モータ、超電導変圧器、超電導限流器、超電導電力貯蔵装置などを例示できる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試料の作製)
幅10mm、厚さ0.1mmのテープ状のハステロイ(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚150nm)を成膜し、その上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚20nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)によりMgO(金属酸化物層;膜厚10nm)を形成し、その上にパルスレーザー蒸着法(PLD法)により0.5μm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。次いでCeO層上にPLD法により2.0μm厚のGdBaCu7−δ(酸化物超電導層)を形成し、さらに450℃で10時間、酸素雰囲気中において酸素アニールを行い超電導積層体を得た。
この超電導積層体を超音波振動を付加したセラミック用半田の半田浴に5秒間ディッピングし、20μmの膜厚を有するセラミック用半田層を形成し図1に示す酸化物超電導線材の試料を作製した。
なお、セラミック用半田として、黒田テクノ株式会社製、型式#182のセラソルザー(融点180℃)を用いた。また半田浴は220℃とし、20kHzの超音波振動を印加した。
上記の試料作製工程において、半田浴にディッピングする前後の臨界電流値を測定したところ、ディッピングによる酸化物超電導特性の劣化は見られなかった。これは、ディッピング工程において酸化物超電導層の酸素抜けが起こらなかったことを示している。
この試料に対し高温(121℃)・高湿(100%)・高圧力(2気圧:203kPa)下に100時間放置するプレッシャークッカー試験を行い、その前後での臨界電流値を測定したところ、臨界電流値の劣化は見られなかった。このことから、酸化物超電導層への水分浸入をセラミック用半田層が抑制できることが確認された。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
1、11、12、13、14、15…酸化物超電導線材、1A、13A…予備酸化物超電導線材、1a、15a…端部、1b、5a…主面、2…接続用線材、3…基材、4…中間層、5…酸化物超電導層、6…超電導積層体、6a…端面、7…セラミック用半田層、7A、7B…半田接合層、7a…端面被覆部、8、8A…安定化層、9…セラミック用半田層、10…電極端子、15b…除去部、16…Ag層、20、21、22、23…接続構造体、80…超電導ケーブル、99…超電導限流器、100…超電導コイル積層体、101…超電導コイル、130…超電導モータ

Claims (11)

  1. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された超電導積層体と、
    前記酸化物超電導層の少なくとも基材と反対側の面を覆い、前記酸化物超電導層に固着されたセラミック用半田層と、を有する酸化物超電導線材。
  2. 前記セラミック用半田層が、前記超電導積層体の全周を覆っている請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記セラミック用半田層の構成成分が、前記酸化物超電導層の酸化物成分と化学的に結合している請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記セラミック用半田層が、前記酸化物超電導層に対し10MPa以上の剥離強度で固着されている請求項1〜3の何れか一項に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記セラミック用半田層に接合された安定化層を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の酸化物超電導線材。
  6. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された超電導積層体を、超音波振動を印加されているセラミック用半田浴にディッピングし、少なくとも前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程を有する酸化物超電導線材の製造方法。
  7. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された一対の酸化物超電導線材と、
    前記一対の酸化物超電導線材の酸化物超電導層同士が対向する領域に設けられ、前記酸化物超電導層同士を固着されたセラミック用半田層と、を有する酸化物超電導線材の接続構造体。
  8. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された一対の酸化物超電導線材の接続構造体の製造方法であって、
    前記一対の酸化物超電導線材の接続しようとするそれぞれの端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングし、それぞれの端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程と、
    前記一対の酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層同士を対向して配置し、それぞれの端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を溶融させ接続する工程と、を有する酸化物超電導線材の接続構造体の製造方法。
  9. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された酸化物超電導線材と、
    前記酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層に対向して配置された電極端子と、
    前記酸化物超電導層に固着され、前記酸化物超電導層と前記電極端子とを接合するセラミック用半田層と、を有する酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体。
  10. テープ状の基材に中間層と酸化物超電導層とが積層された酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体の製造方法であって、
    前記酸化物超電導線材の接続しようとする端部を、超音波振動を印加したセラミック用半田浴にディッピングし、端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を形成するディッピング工程と、
    前記酸化物超電導線材の前記酸化物超電導層に前記電極端子を対向して配置し、端部の前記酸化物超電導層を覆うセラミック用半田層を溶融させ接続する工程と、を有する酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体の製造方法。
  11. 請求項1〜5の何れか一項に記載の酸化物超電導線材、請求項7に記載の酸化物超電導線材の接続構造体、もしくは請求項9に記載の酸化物超電導線材と電極端子の接続構造体を有する超電導機器。
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