JP6489351B2 - 電極およびその製造方法ならびに蓄電装置 - Google Patents

電極およびその製造方法ならびに蓄電装置 Download PDF

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ等に代表される各種の蓄電装置、および当該蓄電装置に使用される電極ならびに当該電極を製造する方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される蓄電装置は、電極および電解液を含む。電極は正極および負極で構成される。
電極は一般に、集電体および活物質層を含む。活物質層は電極活物質、溶剤およびバインダを含む電極合剤の固形分で構成されている。例えば正極であれば、正極用集電体および正極活物質層で構成され、正極活物質層は、正極活物質、溶剤およびバインダを含む正極合剤を材料とするのが一般的である。そして、当該正極合剤が正極用集電体上に塗布されかつ圧着されて、正極活物質層となるのが一般的である。電極合剤のうちバインダは主として電極活物質を集電体に結着する機能を担う。溶剤は、固体状のバインダを溶かしたり、電極活物質とバインダとの親和性を高めたり、電極合剤と集電体との親和性を高めたりするのに役立つ。
近年、蓄電装置の用途は多様化している。例えば、携帯通信機器、家電製品、オフィス機器、パーソナルコンピュータ、電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動、産業機器等である。このように蓄電装置の用途は多岐にわたり、それに伴って蓄電装置にも各種特性の更なる向上が要求されている。
例えば特許文献1には、負極活物質として合金系のものを用い、電極を製造する際の熱処理条件を非酸化性雰囲気下かつ当該負極活物質の結晶化温度以下とすることで、蓄電装置のサイクル特性を向上させる技術が紹介されている。特許文献1の技術によると、熱処理条件を最適化することで、負極中の負極活物質が実質的に非晶質であるようにしている。そして特許文献1においては、このような負極活物質を用いることで、充放電の際の負極活物質の大きな結晶構造の変化を抑制し負極活物質粒子の崩壊等を抑制でき、ひいては蓄電装置のサイクル特性を向上させ得るとしている。
しかし上述したように、蓄電装置には各種特性の向上が求められており、サイクル特性を向上するだけでは充分でない。例えば、自動車のモータ駆動や産業機器等、大きな出力が要求される用途に供される蓄電装置においては、出力特性の向上が求められている。
特開2002−216746号公報
本発明は、上記した事情に鑑みて為されたものであり、蓄電装置の出力特性を向上させ得る技術を提供することを目的とする。
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、蓄電装置の電極におけるバインダの状態が、蓄電装置の出力特性に関与していることを見出した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の電極の製造方法は、
バインダと電極活物質と溶剤とを含む電極合剤層を集電体上に形成する第1工程と、
前記バインダの相転移温度よりも10℃高い基準温度を設定するとともに、前記基準温度以下かつ25℃以上の温度で前記電極合剤層を加熱して、前記溶剤の少なくとも一部を除去する第2工程と、を含む方法である。
また、上記課題を解決する本発明の電極は、上記の製造方法で製造されてなるものである。
さらに、上記課題を解決する本発明の蓄電装置は、上記した本発明の電極を含むものである。
本発明の電極の製造方法によると蓄電装置の出力特性を向上させ得る電極を製造できる。本発明の電極によると蓄電装置の出力特性を向上させ得る。本発明の蓄電装置は出力特性に優れる。
PVdFのDSC曲線である。 蓄電装置#1〜#20における正極のNMP量および出力測定の結果を表すグラフである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の電極は、バインダと電極活物質と溶剤とを含む電極合剤層が加熱され、溶剤の少なくとも一部が除去されてなる電極活物質層を有する。このうちバインダ、電極活物質および溶剤は特に限定されない。したがって、本発明の電極は正極であっても良いし、負極であっても良い。さらに、本発明の蓄電装置は当該本発明の電極を用いたものであり、正極に本発明の電極を用いても良いし、負極に本発明の電極を用いても良いし、或いは正極および負極に本発明の電極を用いても良い。何れの場合にも、本発明の製造方法で製造することにより、本発明の電極には優れた出力特性が付与される。
例えば上記した特許文献1の技術のように、電極活物質層を形成する際に電極活物質の変性を抑制することで蓄電装置のサイクル特性の向上がみられるとしても、それが蓄電装置の出力特性向上に繋がるとは言い難い。つまり、特許文献1に紹介されているように、電極活物質の変性を抑制しただけでは、蓄電装置の出力特性を向上させるには充分でない。
本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、電極におけるバインダの状態が蓄電装置の出力に影響を及ぼすことを見出した。具体的には、バインダの相転移温度よりも低い温度またはバインダの相転移温度付近の温度で熱処理を施すことで、蓄電装置の出力特性向上を実現し得ることを見出した。
バインダは電極活物質や導電助剤等の電池構成成分同士を互いに結着させるとともに当該成分を集電体に結着させるための成分であり、一般には電池反応にあまり関与しない。そしてこのようなバインダは、寧ろ、電池内において抵抗成分となり得る。さらに、バインダが高温に曝されて相転移した場合、例えばバインダが非晶質構造から結晶構造になった場合等には、バインダの抵抗が増大して電池の出力特性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の電極の製造方法においては、バインダの相転移温度よりも10℃高い基準温度を設定し、熱処理つまり第2工程を当該基準温度以下かつ25℃以上の温度でおこなうことで、上記したバインダの相転移による悪影響を抑制しつつ、電極合剤層から溶剤を除去できる。
バインダの相転移温度とは、上記したように非晶質のバインダが結晶化する温度であっても良いし、例えばある結晶状態のバインダが他の結晶状態となる温度であっても良い。何れの場合にも、相転移温度はバインダ毎に固有の値である。
バインダの相転移温度は、後述するDSC分析による吸熱ピークの温度と一致するものとする。つまり、当該吸熱ピークが生じないバインダは相転移しないとみなし得る。また、当該吸熱ピークが複数あるバインダは複数段階で相転移し、相転移温度を複数有するとみなし得る。DSC分析については試験例の欄で詳説する。
基準温度を相転移温度よりも10℃高い温度にした理由は、相転移温度において、必ずしもバインダの全量が相転移しきってしまう訳ではないからである。つまり、相転移温度よりも少し高い温度で加熱した場合であっても、加熱時間により、相転移していないバインダが充分な量残存する場合があり、上述したバインダの相転移による悪影響は充分に抑制されるといえる。
また、加熱温度を25℃以上、つまり、常温以上としたことで、バインダの相転移温度は、15℃以上であることが必須となる。
以下、本発明の電極の製造方法を説明する。
(電極の製造方法)
本発明の電極の製造方法は、一般の電極の製造方法と同様に、バインダと電極活物質と溶剤とを含む電極合剤層を集電体上に形成する工程と、電極合剤層から溶剤を除去する工程と、を有する。バインダと電極活物質と溶剤とを含む電極合剤層を集電体上に形成する工程を第1工程と呼び、電極合剤層から溶剤を除去する工程を第2工程と呼ぶ。
(1)第1工程
電極合剤は、バインダと電極活物質と溶剤とを必須成分とし、導電助剤や添加剤等のその他の成分を含んでも良い。上記したように、バインダ、電極活物質および溶剤は特に限定せず、電極の用途に応じて適宜選択すれば良い。例えば、電極が正極であれば、電極活物質としては正極に使用可能なものすなわち正極活物質を選択すれば良い。また、電極が負極であれば、電極活物質としては負極に使用可能なものすなわち負極活物質を選択すれば良い。バインダ、溶剤、導電助剤、添加材等についても同様に適宜選択すれば良い。第1工程で形成する電極合剤層および当該電極合剤層を形成する集電体を以下に詳説する。
(正極)
〔集電体〕
集電体は、使用する電極活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば良い。具体的には、集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、ならびにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の電極用保護層で被覆されていても良い。更には集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
集電体としては、特に、アルミニウム製の集電体を用いるのが好ましい。以下、必要に応じて、アルミニウム製の集電体をアルミニウム集電体と略する場合がある。
正極用の集電体としてアルミニウム集電体を用いることで、正極が高電位となる場合にも対応できる。例えば正極がリチウムイオン二次電池用の正極である場合、正極の電位がリチウム基準で4V以上(例えば4.5V)となる場合がある。アルミニウム集電体はこのような高電位にも耐え得る。したがって、アルミニウム集電体を有する正極は4V以上の高電位で使用されるリチウムイオン二次電池用の正極として特に好ましく使用できる。
アルミニウム集電体としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、AL−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
〔正極活物質〕
正極活物質は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵および放出可能であれば良い。正極合剤は正極活物質を必須とし、必要に応じて、溶剤、バインダおよび導電助剤の少なくとも一種を含む。本発明の蓄電装置における正極が本発明の電極であれば、バインダおよび溶剤は正極合剤の必須構成要素であるが、正極が本発明の電極でなければ、正極は正極活物質のみで構成しても良い。
正極活物質は、上記したように、電荷担体を吸蔵および放出可能であれば良い。例えば電荷担体がリチウムであれば、正極活物質としては、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル、およびスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVOまたはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられる何れの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。さらには、正極活物質として金属単体を用いても良い。また、正極活物質として、充放電に寄与する電荷担体を含まないもの、例えば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリンおよびアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用しても良い。
なお、正極活物質が金属単体である場合、例えば金属リチウムが正極活物質である場合には、正極活物質が集電体を兼ね得る。つまりこの場合には実質的には、正極活物質層および集電体が単層の金属リチウムで構成される場合もある。
電荷担体を含まない正極活物質を用いる場合には、正極および/または負極に、公知の方法により、予め電荷担体を添加する必要がある。ここで、電荷担体を含まない正極活物質に電荷担体を添加するためには、電荷担体を金属として加えるか、または電荷担体を含む化合物を正極、負極、電解液等の蓄電装置構成要素に加えれば良い。
上述したように、アルミニウム集電体を選択する場合には、本発明の蓄電装置を高電位で使用可能な蓄電装置として具現化できる。したがって、この場合には正極活物質として高電位となるものを使用するのが良い。例えば、上記したLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)、LiMnO等の層状化合物、LiMn等のスピネル、およびスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVOまたはLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。
正極活物質が粒子状である場合、正極活物質の平均粒径D50は、1μm〜10μmであるのが好ましく、3μm〜8μmであるのがより好ましく、4μm〜7μmであるのがさらに好ましい。平均粒径D50は、粒度分布測定法によって計測できる。平均粒径D50とはレーザー回析法による粒度分布測定における体積分布の積算値が50%に相当する粒子径を指す。つまり、平均粒径D50とは、体積基準で測定したメディアン径を指す。
〔バインダ〕
バインダは、正極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースを例示することができる。これらのバインダを単独でまたは複数で採用すれば良い。
正極活物質層中のバインダの配合割合は、質量比で、正極活物質:バインダ=1:0.001〜1:0.3であるのが好ましく、1:0.005〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.01〜1:0.15であるのがさらに好ましい。バインダが少なすぎると電極の成形性が低下し、また、バインダが多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
〔溶剤〕
溶剤は特に限定されず、バインダの種類に応じて適宜選択すれば良い。例えば溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン(MMP)、メタノール、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を使用できる。溶剤の量は、バインダをはじめとする正極合剤構成材料の種類や量に応じて適宜設定すれば良い。
〔導電助剤〕
導電助剤は、正極活物質層の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、正極活物質層の導電性が不足する場合に任意に加えれば良く、正極活物質層が導電性に十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。これらの導電助剤を単独でまたは二種以上組み合わせて正極合剤に添加することができる。
正極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、正極活物質:導電助剤=1:0.005〜1:0.5であるのが好ましく、1:0.01〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.03〜1:0.1であるのがさらに好ましい。導電助剤が少なすぎると効率の良い導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると正極活物質層の成形性が悪くなるとともに正極のエネルギー密度が低くなるためである。
(負極)
負極は、集電体および集電体上に結着した負極活物質層で構成できる。正極と同様に、負極が本発明の電極である場合には、負極合剤はバインダおよび溶剤を必須とするが、例えば正極が本発明の電極である場合には、負極は負極活物質たる金属単体で構成しても良い。負極用の集電体、導電助剤、バインダおよび溶剤については、正極の項で説明したものを適宜適切に採用すれば良い。
〔負極活物質〕
負極活物質としては、電荷担体を吸蔵および放出し得る一般的なものを使用可能である。例えば蓄電装置がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムと合金化可能な元素(単体)、当該元素を含む合金、または当該元素を含む化合物であれば良い。具体的には、負極活物質として、Liや、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫などの14族元素、アルミニウム、インジウムなどの13族元素、亜鉛、カドミウムなどの12族元素、アンチモン、ビスマスなどの15族元素、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、銀、金などの11族元素をそれぞれ単体で採用すれば良い。ケイ素などを負極活物質に採用すると、ケイ素1原子が複数のリチウムと反応するため、高容量の活物質となるが、リチウムの吸蔵および放出に伴う体積の膨張および収縮が顕著となるとの問題が生じる恐れがあるため、当該恐れの軽減のために、ケイ素などの単体に遷移金属などの他の元素を組み合わせた合金または化合物を負極活物質として採用するのも好適である。合金または化合物の具体例としては、Ag−Sn合金、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、ケイ素単体と二酸化ケイ素に不均化するSiO(0.3≦x≦1.6)などのケイ素系材料、ケイ素単体若しくはケイ素系材料と炭素系材料を組み合わせた複合体が挙げられる。また、負極活物質として、Nb、TiO、LiTi12、WO、MoO、Fe等の酸化物、または、Li3−xN(M=Co、Ni、Cu)で表される窒化物を採用しても良い。負極活物質として、これらのものの一種以上を使用することができる。
なお、本発明の蓄電装置においては、少なくとも一方の電極にバインダが用いられていれば良く、正極または負極が金属単体で構成されても良い。したがって、負極活物質もまた金属単体であっても良いし、その場合に負極活物質たる金属単体が集電体を兼ねても良い。
上記した各種の電極合剤構成要素を適宜組み合わせて、以下のように電極合剤を調製するとともに電極合剤層を形成する。
正極については、正極用の集電体上に正極合剤層を形成する。正極合剤は、正極活物質、溶剤、バインダ、導電助剤およびその他の添加剤を含み得る。これら正極合剤を構成する材料を、必要に応じて正極合剤構成材料と呼ぶ。既述したように集電体としては如何なるものを用いても良いが、アルミニウム集電体を用いるのが特に好ましい。
正極合剤は、上記した各種の正極合剤構成材料を混合することで得られる。そして、得られた正極合剤を集電体上に塗布、載置、積層等することで、集電体上に正極合剤層を形成できる。正極合剤の混合方法および正極合剤層の形成方法は特に限定せず、既知の方法を用いれば良い。例えば、集電体上に正極合剤層を形成するにあたり、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いれば良い。具体例を挙げると、正極活物質を含む正極合剤構成材料を混合し、スラリー状またはペースト状の正極合剤を調製する。そして当該正極合剤を集電体の表面に塗布することで正極合剤層を形成し得る。
負極についても同様に、負極用の集電体上に負極合剤層を形成する。負極合剤層もまた、負極活物質、溶剤、バインダ、および、必要に応じて導電助剤およびその他の添加剤を含む負極合剤構成材料を材料とする。負極合剤層は正極合剤層と同様にして形成できる。
(2)第2工程
第2工程においては、第1工程で形成した電極合剤層から溶剤を除去する。正極が本発明の電極であれば正極合剤層から溶剤を除去すれば良く、負極が本発明の電極であれば負極合剤層から溶剤を除去すれば良い。勿論、第2工程においては、正極合剤層および負極合剤層の両方から溶剤を除去しても良い。
第2工程において電極合剤層から溶剤を除去する方法としては、電極合剤層を加熱する方法を採用する。このとき電極合剤層は集電体とともに加熱しても良い。既述したように、このときの加熱温度が高すぎると、バインダが相転移して電極の品質に悪影響を及ぼす場合がある。このため第2工程では、使用するバインダに応じた加熱温度で電極合剤層を加熱する。
具体的には、バインダの相転移温度よりも10℃高い温度を基準温度として定め、当該基準温度以下の温度で電極合剤層を加熱する。ここでいう相転移とは、固体−固体間の相転移および流体−固体間の相転移を含む概念であり、気化および溶融は本発明における相転移に含まれない。当該相転移としては、結晶化が例示される。具体的には、バインダのDSC曲線における吸熱ピークのピークトップ温度が相転移温度であり、当該ピークトップ温度を境にバインダが相転移するとみなし得る。つまり、本発明の電極に用いるバインダに相転移が生じるか否か、および当該バインダが如何なる温度で相転移するかは、DSCで分析可能である。DSC分析用の被検体は電極合剤ではなくバインダそのものとする。
第2工程における加熱温度は、基準温度以下であれば良いが、バインダの相転移を抑止するためには、なるべく低い温度であるのが好ましい。具体的には、第2工程の加熱温度は基準温度よりも5℃以上低い温度であるのが好ましく、10℃以上低い温度であるのがより好ましく、15℃以上低い温度であるのが特に好ましい。加熱温度が基準温度よりも5℃以上低い温度であれば、加熱温度のとり得る最大値が相転移温度+5℃となり、バインダの大部分が結晶化を免れると考えられる。
溶媒の除去効率を考慮すると、基準温度以下でありつつもなるべく高い温度であるのが好ましい。第2工程の作業効率、電極の生産設備等を考慮すると、第2工程は50℃以上250℃以下でおこなうのが好ましく、70℃以上200℃以下でおこなうのがより好ましく、80℃以上180℃以下でおこなうのがさらに好ましく、100℃以上150℃以下でおこなうのがなお好ましい。
なお、本発明の電極における電極活物質層では、バインダの相転移が完了していない。このため本発明の電極における電極活物質層をDSC分析すると相転移温度で吸熱ピークが観察される場合がある。
ところで、バインダのなかには多段階で相転移するものがある。例えばバインダによっては、一次結晶、二次結晶等複数種の結晶構造をとり得るものもある。このようなバインダには、相転移温度が複数存在する。
相転移温度が複数存在する場合には、溶剤の除去効率と相転移によるバインダの物性に留意して、適切な相転移温度を基に基準温度を設定すれば良い。例えば、最も低い相転移温度、つまり最低相転移温度を基準に、上記した基準温度を設定すれば良い。この最低相転移温度は、既述したように15℃以上の温度を指すことはいうまでもない。また、例えば最低相転移温度が80℃以下である場合には、80℃を超え最も80℃に近い相転移温度を基に基準温度を設定するのがより好ましい。比較的低温での相転移は電極中のバインダの特性に悪影響を及ぼさない場合が多いからである。
第2工程においては、上記した加熱温度で、電極合剤層を加熱する。乾燥時間は特に限定せず、溶剤が充分に除去できる時間を適宜設定すれば良い。例えば、乾燥時間は1分間〜10時間程度であるのが好ましく、1分間〜5時間程度であるのがより好ましく、3分間〜1時間程度であるのがさらに好ましい。第2工程は大気圧で行っても良いが、減圧雰囲気下で行うのがより好ましい。第2工程は一段階で行っても良いが、上記の加熱温度であれば多段階で行っても良いし、加熱温度および/または圧力状態を徐々に変化させる無段階で行っても良い。
本発明の電極の製造方法は、既述した第1工程および第2工程以外の工程を含み得る。
例えば、バインダの相転移温度を予め測定し、相転移温度が所定温度、例えば、25℃以上であるものを第1工程に供する工程を有しても良い。例えば、原料や製造ロットの違い等によりバインダの相転移温度が異なる場合があるが、本発明の電極の製造方法がこのような工程を有すれば、バインダ毎の相転移温度の違いに対応でき、適切な加熱温度を設定できる利点がある。当該工程は、電極の製造時に毎回おこなっても良いし、数回製造する毎に一回おこなっても良いし、原料のロット等が変わる毎におこなっても良い。バインダの相転移温度は、既述したDSC分析により測定することができる。
また、本発明の電極の製造方法は、電極合剤層および/または電極活物質層を集電体に圧着させるプレス工程を含み得る。プレス工程はプレス機等の一般的な加圧装置を用いておこなうことができる。プレス工程は、第2工程後におこなっても良いし、第2工程と同時におこなっても良いし、第2工程前におこなっても良い。
プレス工程は必須ではないが、電極活物質層と集電体との密着性を高めて電極の抵抗を低減させるため、および、電極密度を高めるためにはプレス工程をおこなう方が好ましい。以上の工程により、電極活物質層が集電体上に形成されてなる電極を得ることができる。
(その他の構成要素)
〔電解液〕
本発明の蓄電装置は、電極の少なくとも一方が上記した方法で製造した本発明の電極であれば良く、それ以外は特に限定しない。本発明の蓄電装置においては電解液もまた特に限定されず、蓄電装置の用途や電極の構成に応じて、電解液として使用可能なものを適宜使用すれば良い。例えばリチウムイオン二次電池用の電解液であれば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質(支持電解質、支持塩ともいう)とを含んだものを使用すれば良い。
非水溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部または全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
リチウムイオン二次電池用の電解液として、具体的には、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
〔その他〕
その他の構成要素として、セパレータが挙げられる。セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。セパレータもまた1層構造であっても良いし、2層以上の多層構造であっても良い。
本発明の蓄電装置が電池であれば、上記した正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装して電極体とする。電極体は、正極、セパレータおよび負極を重ねた積層型、または、正極、セパレータおよび負極を捲いた捲回型の何れの型であっても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えて電池とするとよい。また、本発明の蓄電装置は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されれば良い。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明の蓄電装置は、車両に搭載しても良い。車両は、その動力源の全部或いは一部に蓄電装置による電気エネルギーを使用している車両であれば良く、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであると良い。例えば蓄電装置がリチウムイオン二次電池であれば、を複数直列に接続して組電池とし、車両に搭載すると良い。蓄電装置を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明の蓄電装置は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置および電力平滑化装置、船舶等の動力および/または補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力および/または補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いても良い。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、具体例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、「部」とは質量部を意味し、「%」とは質量%を意味する。
(試験例)
以下のとおり、蓄電装置#1〜#20を作製した。なお、試験例の蓄電装置はリチウムイオン二次電池である。なお、蓄電装置#0〜#14における正極が本発明の電極であり、負極は共通である。
(正極)
各蓄電装置の正極合剤は、正極活物質、導電助剤、バインダおよび溶剤からなる。正極活物質としてはLiNi0.5Co0.2Mn0.3を用いた。この正極活物質は、層状岩塩構造をなすリチウム金属複合酸化物の一種である。
導電助剤としては、アセチレンブラックを用いた。バインダとしてはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。溶剤としてはNMPを用いた。この正極合剤の固形分は、正極活物質、導電助剤およびバインダからなる。
なお、バインダについては、使用前に、DSC分析により相転移温度を測定した。具体的には、バインダをステンレス製のパンに入れ、該パンを密閉した。密閉パンを用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量分析を行い、DSC曲線を観察した。示差走査熱量測定装置としてRigaku DSC8230を使用した。得られたDSC曲線を図1に示す。
図1に示すように、試験例で用いたPVdFのDSC曲線は115℃付近と135℃付近にそれぞれ1つずつ、合計2つの吸熱ピークを有していた。つまり、試験例で用いたPVdFは2種の相転移温度を有し、二段階で相転移するものであった。
正極合剤の固形分を、質量比で、正極活物質:導電助剤:バインダ=94:3:3となるように配合した。NMPは、正極合剤の固形分率がおおよそ70〜75%となる量を配合した。
集電体として、厚さ15μmのアルミニウム箔を準備した。
乾燥機を有する塗布装置を用いて、同じ正極合剤を各々異なる集電体に塗布し正極合剤層を形成した。正極合剤層の目付量は18mg/cmであり、正極合剤層の密度は3.1g/cmであった。その後、80℃〜130℃の範囲で5分間乾燥して、集電体上に正極合剤層が形成されてなる正極複合体を得た。
正極複合体をロールプレス機にかけ、正極合剤層と集電体とを圧着させて、正極活物質層を得た。以上の工程によって、20種の正極(#1〜#20)を得た。各正極を各々所定の形状に裁断した。なお、裁断で生じた各正極の残部は、後述するNMP量測定に供した。
(負極)
負極用集電体としては厚み10μmの銅箔を用いた。負極合剤は、負極活物質、バインダおよび溶剤からなる。負極活物質としては黒鉛を用いた。バインダとしてはカルボキシメチルセルロースおよびスチレン−ブタジエンゴムを用いた。溶剤としては水を用いた。
黒鉛、カルボキシメチルセルロースおよびスチレン−ブタジエンゴムからなる負極合剤の固形分が、質量比で、黒鉛:カルボキシメチルセルロース:スチレン−ブタジエンゴム=98:1:1となるように負極合剤のスラリーを調製した。上記スラリーを、乾燥機を有する塗布装置を用いて集電体の表面に塗布し、乾燥して、集電体上に負極合剤層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極合剤層を強固に圧着し、目付量11mg/cm、密度1.4g/cmの負極活物質層を形成した。
以上の工程で負極を得た。この負極を所定形状に裁断して、同形状の20個の負極を得た。各負極は同じものとみなし得る。
(リチウムイオン二次電池)
上記した正極#1〜#20および20個の負極を用いて、リチウムイオン二次電池#1〜#20を作製した。リチウムイオン二次電池#1〜#20は各々異なる正極を有するが、負極その他の電池構成要素については共通である。
上記した各正極および負極の間にセパレータとしてのポリエチレン多孔体を介在させて、電極体電池とした。この電極体電池を電池ケースに収容した。電池ケースには、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを3:3:4(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入した。電池ケースを密閉して、リチウムイオン二次電池#1〜#20を得た。
(NMP量測定)
正極#1〜#20の各残部から、各々同形状の正極試験片を切り出した。各正極試験片の正極活物質層を所定量のアセトンに浸し、30分間超音波洗浄した後、フィルター濾過し、濾液つまりNMPとアセトンとを含む液体をNMP測定用の検体とした。検体をガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により分析し、分析結果を基に、正極活物質層中のNMPの量を算出した。結果を表1および図2に示す。
(リチウムイオン二次電池の出力測定)
リチウムイオン二次電池#1〜#20の出力を測定した。測定条件は、充電状態(SOC)15%、0℃での、放電開始から2秒後での出力を測定した。なお、SOC15%、0℃なる充電かつ温度領域は、例えば、冷蔵室などで使用する場合のように出力特性が出にくい領域である。出力測定結果を以下の表1および図2に示す。
Figure 0006489351
表1および図2に示すように、加熱温度110℃の#8〜#11の蓄電装置においてSOC15%、0℃の出力値は最大であり、乾燥温度120℃の#12〜#14の蓄電装置もまた高い出力値を示した。これに対して乾燥温度130℃の#15〜#20の蓄電装置は何れも出力値に劣っていた。
図1に示したように、試験例で用いたバインダの相転移温度は115℃であることから、#8〜#14の蓄電装置における正極は、(相転移温度+10)℃つまり125℃を基準温度とし、当該基準温度以下の温度で加熱をおこなったものである。このため、#8〜#14の蓄電装置の正極における正極活物質層では、バインダの相転移が生じていないかまたはバインダが相転移しきっていないと考えられる。そして#8〜#14の蓄電装置はこのような正極を有するために、優れた出力特性を発揮すると考えられる。
一方、#15〜#20の蓄電装置における正極は、基準温度を超える130℃で加熱したものである。このため、#15〜#20の蓄電装置の正極における正極活物質層では、バインダの相転移が進行しているかまたはバインダが相転移しきってバインダの多くが結晶状態にあると考えられる。そして、#15〜#20の蓄電装置はこのような正極を有するために出力特性に劣ると考えられる。
つまり、表1および図2に示す結果から、加熱温度を基準温度以下とする本発明の電極によると、蓄電装置に優れた出力特性を付与できることがわかる。
また、加熱温度100℃〜120℃であれば充分に出力値が高いことから、好ましい加熱温度は基準温度以下かつ(基準温度−30)℃以上であるといえる。さらに好ましい加熱温度は(基準温度−5)℃以下かつ(基準温度−25)℃以上であるといえる。特に好ましい加熱温度は(基準温度−5)℃以下かつ(基準温度−20)℃以上であると言える。
ところで、表1および図2に示すように、加熱温度100℃以下の場合には、加熱温度が低下するのに伴い出力値もまた低下している。これは、正極活物質層中の溶媒つまりNMPが充分に除去されていないためだと考えられる。このような場合、加熱時間を長くしたり減圧下で加熱したりすることで、NMPを除去することができる。しかし、もし常圧下かつ比較的短い加熱をおこなうのであれば、加熱温度を100℃以上とするのが好ましいといえる。特に好ましくは105℃以上である。
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。

Claims (5)

  1. ポリフッ化ビニリデン正極活物質とN−メチル−2−ピロリドンとを含む正極合剤層を集電体上に形成する第1工程と、
    前記ポリフッ化ビニリデンのDSC曲線における吸熱ピークのピークトップ温度よりも10℃高い基準温度以下かつ25℃以上の温度で前記正極合剤層を加熱して前記N−メチル−2−ピロリドンの少なくとも一部を除去し正極活物質層を得る第2工程と、を含み、
    前記第2工程における加熱温度は、(前記基準温度−5)℃以下かつ(前記基準温度−25)℃以上であり、
    前記第2工程で得られた前記正極活物質層のN−メチル−2−ピロリドンの量は245〜280ppmの範囲内である、正極の製造方法。
  2. ポリフッ化ビニリデンをDSC分析するDSC測定工程を有し、
    前記DSC測定工程において得られた前記ピークトップ温度が15℃以上であるポリフッ化ビニリデンを前記第1工程に供する請求項1に記載の正極の製造方法。
  3. 前記ピークトップ温度が15℃以上でありかつ前記ピークトップ温度が複数存在するポリフッ化ビニリデンを前記第1工程に供し、
    前記第2工程において、前記複数のピークトップ温度のうち最も低い最低ピークトップ温度を基に、前記最低ピークトップ温度よりも10℃高い温度を前記基準温度として前記正極合剤層を加熱する、請求項1または請求項に記載の正極の製造方法。
  4. 前記基準温度は125℃である、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の正極の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の正極の製造方法により正極を製造する工程を具備する蓄電装置の製造方法。
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