JP2014060072A - 電極の製造方法 - Google Patents

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正樹 井上
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Abstract

【課題】金属箔のカールを抑制できる電極の製造方法を提供する。
【解決手段】活物質とバインダと溶剤とを含む中性又はアルカリ性の電極材12を、金属箔2の一方の面2a上に塗布する。次に、金属箔2の一方の面2a上に塗布された電極材12を乾燥させることにより金属箔2の一方の面2a上に第1活物質層12aを形成する。次に、金属箔2の他方の面2b上に電極材12を塗布する。次に、金属箔2の他方の面2b上に塗布された電極材12を乾燥させることにより金属箔2の他方の面2b上に第2活物質層12bを形成する。第1活物質層12aを形成する工程では、第1活物質層12aの全質量を基準として第1活物質層12a中に残存する溶剤が2〜5質量%となるように、電極材12を乾燥させる。これにより、電極50が製造される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電極の製造方法に関する。
金属箔の表面に活物質ペーストを塗布した後、活物質ペーストを乾燥させることにより金属箔の表面上に活物質層を形成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平11−329416号公報
しかしながら、上記方法では、活物質ペーストを乾燥させる際に、活物質ペースト中のバインダが収縮することにより、金属箔がカールする可能性がある。金属箔がカールすると、金属箔のカールした部分にひびが入ったり、しわが形成されたりするおそれがある。
本発明は、金属箔のカールを抑制できる電極の製造方法を提供する。
本発明の一側面に係る電極の製造方法は、蓄電装置に用いられる電極の製造方法であって、活物質とバインダと溶剤とを含む中性又はアルカリ性の電極材を、金属箔の一方の面上に塗布する工程と、前記金属箔の一方の面上に塗布された前記電極材を乾燥させることにより前記金属箔の前記一方の面上に第1活物質層を形成する工程と、前記第1活物質層を形成した後、前記金属箔の他方の面上に前記電極材を塗布する工程と、前記金属箔の他方の面上に塗布された前記電極材を乾燥させることにより前記金属箔の前記他方の面上に第2活物質層を形成する工程と、を含み、前記第1活物質層を形成する工程では、前記第1活物質層の全質量を基準として前記第1活物質層中に残存する前記溶剤の割合が2〜5質量%となるように、前記電極材を乾燥させる。第1活物質層のための電極材と第2活物質層のための電極材とは、同一材料であってもよいし、互いに異なる材料であってもよい。
この電極の製造方法では、第1活物質層を形成する際に、第1活物質層中に残存する溶剤の割合が2質量%以上となるよう電極材を乾燥させている。このため、第1活物質層中に残存する溶剤の割合が比較的高いので、金属箔のカールを抑制できる。また、この電極の製造方法では、第1活物質層を形成する際に、第1活物質層中に残存する溶剤の割合が5質量%以下となるよう電極材を乾燥させている。このため、第1活物質層が形成された金属箔の取り扱いが容易になる。
前記バインダが熱可塑性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂は電極材を乾燥させる際に収縮し易いが、そのような場合でも金属箔のカールを抑制できる。
前記バインダが主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂であってもよい。
イミド結合を有するポリマー樹脂は充分な耐熱性を有するので、電極材を高温で乾燥させることができる。
前記バインダがポリアミドイミド又はポリイミドであってもよい。
前記第1活物質層を形成する工程では、60〜90℃の範囲内の第1温度で前記電極材を乾燥させ、前記第2活物質層を形成する工程では、90〜150℃の範囲内の第2温度で前記電極材を乾燥させ、前記第1温度と前記第2温度との差が20℃以上であってもよい。
この場合、第1活物質層中に残存する溶剤の割合を比較的高くすることが容易になる。
本発明によれば、金属箔のカールを抑制できる電極の製造方法が提供され得る。
電極の製造装置の一例を模式的に示す図である。 一実施形態に係る電極の製造方法の各工程を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
図1は、電極の製造装置の一例を模式的に示す図である。図1に示される電極の製造装置100は、金属箔2上に電極材12を塗布する塗布部10と、金属箔2上に塗布された電極材12を乾燥させる乾燥部30とを備える。
金属箔2は、巻出ロール14から塗布部10に供給されてもよい。電極材12は、塗工ロール16とコンマロール18との間に挟まれた金属箔2上に塗布されてもよい。電極材12は、ポンプ24を用いて、タンク20から供給管22を介して、塗工ロール16とコンマロール18との間に供給されてもよい。金属箔2上に電極材12が塗布された後、金属箔2は乾燥部30に供給されてもよい。乾燥部30を通過した金属箔2は、巻取ロール32に供給されてもよい。
図2は、一実施形態に係る電極の製造方法の各工程を示す断面図である。本実施形態に係る電極は、例えば図1に示される製造装置100を用いて製造される。図2は、金属箔2の進行方向に垂直な平面における構造体の断面を示す。
まず、図2(a)に示されるように、金属箔2の一方の面2a上に電極材(電極合材とも言う。)12を塗布する。電極材12は、図1の塗布部10において塗布され得る。金属箔2は例えば銅箔又はアルミニウム箔であってもよい。電極材12は、中性又はアルカリ性である。電極材12のpHは例えば7以上12以下である。電極材12は、活物質とバインダと溶剤とを含む。電極材12は、例えばアセチレンブラック等の導電助剤を更に含んでもよい。
活物質は、正極活物質であってもよく、負極活物質であってもよい。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物は、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含む。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiO(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。バインダは、例えばポリアミドイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂であってもよく、主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂であってもよい。溶剤は、例えばNMP(N−メチルピロリドン)、メタノール、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であってもよく、水であってもよい。
バインダの配合割合は、電極材12の固形成分(活物質、導電助剤及びバインダ)の全質量を基準として、4〜15質量%であってもよい。
次に、図2(b)に示されるように、金属箔2の一方の面2a上に塗布された電極材12を乾燥させることにより金属箔2の一方の面2a上に第1活物質層12aを形成する。電極材12は、図1の乾燥部30において乾燥され得る。第1活物質層12aの厚みは電極材12の厚みより薄くなり得る。第1活物質層12aの全質量を基準として第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合が2〜5質量%となるように、電極材12を乾燥させる。例えば60〜90℃の範囲内の第1温度Tで電極材12を乾燥させる。第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合は、第1活物質層12a中に残存する溶剤の質量を第1活物質層12aの全質量で割ることにより算出され得る。第1活物質層12a中に残存する溶剤の質量は、第1活物質層12a及び金属箔2の合計質量と、第1活物質層12a中の溶剤を完全に除去した後の第1活物質層12a及び金属箔2の合計質量との差分から算出され得る。第1活物質層12aの全質量は、第1活物質層12a及び金属箔2の合計質量と、金属箔2の質量との差分から算出され得る。例えば200℃で10分間、第1活物質層12aを乾燥させると、第1活物質層12a中の溶剤を完全に除去することができる。
次に、図2(c)に示されるように、金属箔2の他方の面2b上に電極材12を塗布する。電極材12は、図1の塗布部10において塗布され得る。例えば、第1活物質層12aが形成された金属箔2を巻取ロール32に巻き取ったものが巻出ロール14として用いられる。
次に、図2(d)に示されるように、金属箔2の他方の面2b上に塗布された電極材12を乾燥させることにより金属箔2の他方の面2b上に第2活物質層12bを形成する。電極材12は、図1の乾燥部30において乾燥され得る。第1活物質層12a及び第2活物質層12bの厚みは、図2(b)の第1活物質層12aの厚みよりも薄くなり得る。第2活物質層12bの全質量を基準として第2活物質層12b中に残存する溶剤の割合が0.1〜1.5質量%となるように、電極材12を乾燥させてもよい。この場合、第1活物質層12aの全質量を基準として第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合も0.1〜1.5質量%となる。例えば90〜150℃の範囲内の第2温度Tで電極材12を乾燥させる。第1温度Tと第2温度Tとの差は20℃以上であってもよい。第1活物質層12a及び第2活物質層12bの厚さは、20〜80μmであってもよい。金属箔2の厚さは、8〜20μmであってもよい。
その後、必要に応じて第1活物質層12a及び第2活物質層12bを圧縮成形してもよい。
上記各工程を経ることによって、電極50が製造される。金属箔2は集電体として機能し得る。電極50は、例えば二次電池又は電気二重層キャパシタ等の蓄電装置に用いられる。二次電池としては、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池等が挙げられる。
上述の電極50の製造方法では、第1活物質層12aを形成する際に、第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合が2質量%以上となるよう電極材12を乾燥させている。このため、第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合が比較的高いので、バインダの収縮による金属箔2のカールを抑制できる。よって、金属箔2にひびが入ったり、しわが形成されたりすることを抑制できる。また、電極50の製造方法では、第1活物質層12aを形成する際に、第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合が5質量%以下となるよう電極材12を乾燥させている。このため、第1活物質層12aが形成された金属箔2の取り扱いが容易になる。
電極材12中のバインダが熱可塑性樹脂である場合、電極材12を乾燥させる際に熱可塑性樹脂が収縮し易い。しかしながら、そのような場合でも金属箔2のカールを抑制できる。
電極材12中のバインダが主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂である場合、イミド結合を有するポリマー樹脂が充分な耐熱性を有するので、電極材12を高温で乾燥させることができる。
また、第1活物質層12aを形成する際に60〜90℃の範囲内の第1温度Tで電極材12を乾燥させ、第2活物質層12bを形成する際に90〜150℃の範囲内の第2温度Tで電極材12を乾燥させ、第1温度Tと第2温度Tとの差が20℃以上である場合、第1活物質層12a中に残存する溶剤の割合を比較的高くすることが容易になる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
(実施例)
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明がより具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
厚さ10μmの銅箔の一方の面上に、以下の組成を有する固形成分を64質量%、NMPを36質量%含む電極材を塗布した。
<固形成分>
SiO(0.5≦x≦1.5):32質量%
カーボン:50質量%
アセチレンブラック:4質量%
ポリアミドイミド:8質量%
続いて、70℃で電極材を乾燥させて銅箔の一方の面上に活物質層を形成した。このようにして、銅箔の一方の面上に活物質層が形成された2つのサンプルを得た。1つのサンプルについて、サンプルの重量を測定し、サンプルを200℃で10分間加熱した後の重量を測定した。これらの差分から活物質層中に残存する溶剤の割合を算出した。その結果、活物質層中に残存する溶剤の割合は2.2質量%であった。
もう1つのサンプルについて、銅箔の他方の面上に上記電極材を塗布した。次に、電極材を100℃で乾燥させて銅箔の他方の面上にも活物質層を形成した。このようにして、電極を製造した。この電極では、金属箔のカールは確認されなかった。
2…金属箔、2a…金属箔の一方の面、2b…金属箔の他方の面、12…電極材、12a…第1活物質層、12b…第2活物質層、50…電極。

Claims (5)

  1. 蓄電装置に用いられる電極の製造方法であって、
    活物質とバインダと溶剤とを含む中性又はアルカリ性の電極材を、金属箔の一方の面上に塗布する工程と、
    前記金属箔の一方の面上に塗布された前記電極材を乾燥させることにより前記金属箔の前記一方の面上に第1活物質層を形成する工程と、
    前記第1活物質層を形成した後、前記金属箔の他方の面上に前記電極材を塗布する工程と、
    前記金属箔の他方の面上に塗布された前記電極材を乾燥させることにより前記金属箔の前記他方の面上に第2活物質層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1活物質層を形成する工程では、前記第1活物質層の全質量を基準として前記第1活物質層中に残存する前記溶剤が2〜5質量%となるように、前記電極材を乾燥させる、電極の製造方法。
  2. 前記バインダが熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記バインダが主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂である、請求項1又は2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記バインダがポリアミドイミド又はポリイミドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  5. 前記第1活物質層を形成する工程では、60〜90℃の範囲内の第1温度で前記電極材を乾燥させ、
    前記第2活物質層を形成する工程では、90〜150℃の範囲内の第2温度で前記電極材を乾燥させ、
    前記第1温度と前記第2温度との差が20℃以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
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