JPH11329416A - シート電極の製造方法 - Google Patents
シート電極の製造方法Info
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- JPH11329416A JPH11329416A JP10132069A JP13206998A JPH11329416A JP H11329416 A JPH11329416 A JP H11329416A JP 10132069 A JP10132069 A JP 10132069A JP 13206998 A JP13206998 A JP 13206998A JP H11329416 A JPH11329416 A JP H11329416A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 活物質ペーストを厚く塗布した場合であって
も、従来の同じ長さの乾燥炉でまた同じ乾燥時間で、完
全に固形化しかつ表面にクラックのない均質で良好な活
物質層を形成させる。 【解決手段】 帯状金属箔製の集電体の表面に電極活物
質ペーストを塗布する塗布工程と、該塗布工程に連続し
て該ペーストを乾燥させる乾燥工程とからなるシート電
極の製造方法であって、前記乾燥工程は少なくとも2段
以上で行われ、後段の乾燥工程に進むにつれ、乾燥温度
が高く設定する。
も、従来の同じ長さの乾燥炉でまた同じ乾燥時間で、完
全に固形化しかつ表面にクラックのない均質で良好な活
物質層を形成させる。 【解決手段】 帯状金属箔製の集電体の表面に電極活物
質ペーストを塗布する塗布工程と、該塗布工程に連続し
て該ペーストを乾燥させる乾燥工程とからなるシート電
極の製造方法であって、前記乾燥工程は少なくとも2段
以上で行われ、後段の乾燥工程に進むにつれ、乾燥温度
が高く設定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池のエネルギー
体積密度およびエネルギー重量密度の向上を図るべく使
用される集電体表面に厚い活物質層を有するシート電極
の製造方法に関する。
体積密度およびエネルギー重量密度の向上を図るべく使
用される集電体表面に厚い活物質層を有するシート電極
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、携帯電話等の電子機器の小型
化に伴い、情報関連産業、通信産業の分野では二次電池
の開発が進み、高性能で小型の二次電池が、既に実用化
されるに至っている。一方、自動車産業の分野において
も、環境問題および省エネルギーの観点から電気自動車
に対する要求が高まる中、電気自動車用二次電池の開発
が急がれている。ところが電気自動車に使用される二次
電池は、大電流放電が可能でかつ大容量でなければなら
ないため、電子機器に使用される二次電池とは異なる構
成のものにせざるを得ない。
化に伴い、情報関連産業、通信産業の分野では二次電池
の開発が進み、高性能で小型の二次電池が、既に実用化
されるに至っている。一方、自動車産業の分野において
も、環境問題および省エネルギーの観点から電気自動車
に対する要求が高まる中、電気自動車用二次電池の開発
が急がれている。ところが電気自動車に使用される二次
電池は、大電流放電が可能でかつ大容量でなければなら
ないため、電子機器に使用される二次電池とは異なる構
成のものにせざるを得ない。
【0003】一般に、リチウムイオン二次電池等は、集
電体と呼ばれる金属箔製の基材表面に起電反応の素とな
る活物質を層状に形成してシート電極とし、この電極を
セパレータを介して積層あるいは巻回して電極体とし、
この電極体を電解液とともにケースに密封して形成され
ている。したがって、放電する容量は、この活物質層の
体積に比例するものとなる。
電体と呼ばれる金属箔製の基材表面に起電反応の素とな
る活物質を層状に形成してシート電極とし、この電極を
セパレータを介して積層あるいは巻回して電極体とし、
この電極体を電解液とともにケースに密封して形成され
ている。したがって、放電する容量は、この活物質層の
体積に比例するものとなる。
【0004】電子機器に使用される放電容量の比較的小
さい電池では、厚さ20μm程度の集電体の両面に、結
着剤等を混合してペースト状にした活物質を片面80μ
m程度の厚さに塗布し、これを乾燥し、さらにもう一方
の面も同様に塗布乾燥して180μmの厚さのものとし
た後、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行
って活物質層の厚みを約半分とし、全厚100μm程度
の電極を形成していた。このような電極を使用して大容
量の電池を形成しようとすれば、電極の面積を大きくす
る必要がある。ところが電極の面積を広くすれば、集電
体の面積もそれに応じて広くなりまた集電体から端子ま
で導通させる集電リードの数量も増加し、電池自体の体
積および重量も放電容量に比例して増加するものとな
る。このことは大容量電池を製造する上で大きな問題と
なっていた。
さい電池では、厚さ20μm程度の集電体の両面に、結
着剤等を混合してペースト状にした活物質を片面80μ
m程度の厚さに塗布し、これを乾燥し、さらにもう一方
の面も同様に塗布乾燥して180μmの厚さのものとし
た後、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行
って活物質層の厚みを約半分とし、全厚100μm程度
の電極を形成していた。このような電極を使用して大容
量の電池を形成しようとすれば、電極の面積を大きくす
る必要がある。ところが電極の面積を広くすれば、集電
体の面積もそれに応じて広くなりまた集電体から端子ま
で導通させる集電リードの数量も増加し、電池自体の体
積および重量も放電容量に比例して増加するものとな
る。このことは大容量電池を製造する上で大きな問題と
なっていた。
【0005】そこで大容量電池のエネルギー体積密度お
よびエネルギー重量密度を向上するために、集電体表面
に形成する活物質層の厚みを大きくし、単位電極面積当
たりの活物質量を大きくすることが考えられた。つまり
電極の厚さを従来の100μmから倍程度の200μm
にするという試みである。厚さが200μmの電極を形
成するという目的を達成するためには、集電体表面に、
片面あたり180μm程度の厚さに活物質ペーストを塗
布し、これを乾燥させ、さらにロールプレスにて厚さ9
0μm程度の活物質層とすることが必要となった。
よびエネルギー重量密度を向上するために、集電体表面
に形成する活物質層の厚みを大きくし、単位電極面積当
たりの活物質量を大きくすることが考えられた。つまり
電極の厚さを従来の100μmから倍程度の200μm
にするという試みである。厚さが200μmの電極を形
成するという目的を達成するためには、集電体表面に、
片面あたり180μm程度の厚さに活物質ペーストを塗
布し、これを乾燥させ、さらにロールプレスにて厚さ9
0μm程度の活物質層とすることが必要となった。
【0006】ここで従来から行われているシート電極の
製造について簡単に説明する。活物質層の形成は、帯状
の集電体を基材として、この集電体の表面に活物質ペー
ストを連続的に塗布し、さらに塗布された活物質ペース
トを連続的に乾燥させる塗工方法によって行われてい
る。この塗工方法を実施する塗工機の概念を図5に示
す。この塗工機は、巻出部50、塗布部10、乾燥部3
0、巻取部60から構成されており、活物質ペーストの
塗布工程と乾燥工程とを連続的に行うことを特徴として
いる。通常活物質層は集電体2の両面に形成させるた
め、上記塗布部10および乾燥部30をさらにもう1ラ
イン設けて、連続的に塗布乾燥を行うことができるよう
に構成されるのが一般的である。
製造について簡単に説明する。活物質層の形成は、帯状
の集電体を基材として、この集電体の表面に活物質ペー
ストを連続的に塗布し、さらに塗布された活物質ペース
トを連続的に乾燥させる塗工方法によって行われてい
る。この塗工方法を実施する塗工機の概念を図5に示
す。この塗工機は、巻出部50、塗布部10、乾燥部3
0、巻取部60から構成されており、活物質ペーストの
塗布工程と乾燥工程とを連続的に行うことを特徴として
いる。通常活物質層は集電体2の両面に形成させるた
め、上記塗布部10および乾燥部30をさらにもう1ラ
イン設けて、連続的に塗布乾燥を行うことができるよう
に構成されるのが一般的である。
【0007】塗布部10は、ナイフコーター、ドクター
ロールコーター、コンマロールコーター、リバースロー
ルコーター等様々な方式を採用することができるが、図
5ではコンマロール方式のコーターを示している。基材
となる集電体2は、ペースト溜13に存在する活物質ペ
ーストに接するように塗工ロール11で支持搬送されて
おり、コンマロール12のブレードにより塗布厚を一定
保たれながら連続的に表面に活物質ペーストが塗布され
る。基本的にはコンマロール12と集電体2の間隙の大
きさによって活物質の塗布厚が決定されることになる。
ロールコーター、コンマロールコーター、リバースロー
ルコーター等様々な方式を採用することができるが、図
5ではコンマロール方式のコーターを示している。基材
となる集電体2は、ペースト溜13に存在する活物質ペ
ーストに接するように塗工ロール11で支持搬送されて
おり、コンマロール12のブレードにより塗布厚を一定
保たれながら連続的に表面に活物質ペーストが塗布され
る。基本的にはコンマロール12と集電体2の間隙の大
きさによって活物質の塗布厚が決定されることになる。
【0008】塗布部10を通過して活物質を塗布された
シート電極1は、次に乾燥部30に移動させられる。乾
燥部30は熱風方式の連続乾燥炉であり、一定の温度の
熱風がシート電極1の活物質ペースト塗布面および裏面
に向けて送風されている。この熱風の持つ熱および熱風
が引き起こす対流により、活物質ペーストが含んでいる
溶媒成分が蒸散させられ固形分のみが集電体の表面に層
状に形成されることになる。熱風の温度は所定の値に設
定できるが、乾燥炉のいずれの送風口からも同じ温度の
熱風が送風されるようになっており、乾燥炉の全域にわ
たって単一の温度条件となっている。
シート電極1は、次に乾燥部30に移動させられる。乾
燥部30は熱風方式の連続乾燥炉であり、一定の温度の
熱風がシート電極1の活物質ペースト塗布面および裏面
に向けて送風されている。この熱風の持つ熱および熱風
が引き起こす対流により、活物質ペーストが含んでいる
溶媒成分が蒸散させられ固形分のみが集電体の表面に層
状に形成されることになる。熱風の温度は所定の値に設
定できるが、乾燥炉のいずれの送風口からも同じ温度の
熱風が送風されるようになっており、乾燥炉の全域にわ
たって単一の温度条件となっている。
【0009】しかし、このような従来の製造方法をその
まま使用して、厚さが200μmの電極を形成すること
は容易ではなかった。つまり、集電体の表面に180μ
mもの厚さに活物質ペーストを塗布するためには高固形
分であって高粘度の活物質ペーストを用いなければなら
ず、現状の比較的低粘度の活物質ペーストを用いる場合
とは異なる特別の配慮がコート部において必要となるこ
とに加え、乾燥部において厚く塗布された活物質ペース
トを短時間で良好に乾燥させることは、さらなる困難性
を伴うという問題を抱えていた。
まま使用して、厚さが200μmの電極を形成すること
は容易ではなかった。つまり、集電体の表面に180μ
mもの厚さに活物質ペーストを塗布するためには高固形
分であって高粘度の活物質ペーストを用いなければなら
ず、現状の比較的低粘度の活物質ペーストを用いる場合
とは異なる特別の配慮がコート部において必要となるこ
とに加え、乾燥部において厚く塗布された活物質ペース
トを短時間で良好に乾燥させることは、さらなる困難性
を伴うという問題を抱えていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したような熱風方
式の連続乾燥炉で活物質ペーストを乾燥させるわけであ
るが、従来は、乾燥炉の入口側から出口側に至る全箇所
において同じ温度の熱風を集電体の両面に吹き当てるこ
とによって行っていた。したがって、乾燥温度は乾燥炉
の全域において同じものとなっていた。活物質ペースト
の塗布厚が大きくなると蒸散させる溶媒量も増加するた
め、乾燥条件を変更させることが必要となってくる。つ
まり溶媒の増加量に見合った乾燥温度の上昇または乾燥
時間の延長が必要となる。
式の連続乾燥炉で活物質ペーストを乾燥させるわけであ
るが、従来は、乾燥炉の入口側から出口側に至る全箇所
において同じ温度の熱風を集電体の両面に吹き当てるこ
とによって行っていた。したがって、乾燥温度は乾燥炉
の全域において同じものとなっていた。活物質ペースト
の塗布厚が大きくなると蒸散させる溶媒量も増加するた
め、乾燥条件を変更させることが必要となってくる。つ
まり溶媒の増加量に見合った乾燥温度の上昇または乾燥
時間の延長が必要となる。
【0011】ところが、乾燥温度を上昇させた場合、乾
燥工程の初期において、活物質ペーストの表面が優先的
に固形化されるという現象が生じる。初期において表面
のみが固形化し、その後乾燥工程の後期において活物質
ペーストの内部つまり集電体近傍の部分が遅れて固形化
されるため、厚さ方向において均質な活物質層が形成さ
れなくなる。しかもそればかりではなく、固形化する際
の収縮作用によって、乾燥後の活物質層は表面に亀裂
(クラック)が発生することにもなる。これらの不均
質、クラック等は、電極の性能を大きく劣化させること
になる。
燥工程の初期において、活物質ペーストの表面が優先的
に固形化されるという現象が生じる。初期において表面
のみが固形化し、その後乾燥工程の後期において活物質
ペーストの内部つまり集電体近傍の部分が遅れて固形化
されるため、厚さ方向において均質な活物質層が形成さ
れなくなる。しかもそればかりではなく、固形化する際
の収縮作用によって、乾燥後の活物質層は表面に亀裂
(クラック)が発生することにもなる。これらの不均
質、クラック等は、電極の性能を大きく劣化させること
になる。
【0012】この活物質層の不均質およびクラックを防
止するには、従来同様比較的低い乾燥温度条件で乾燥さ
せればよいが、低い乾燥温度で乾燥させる場合、活物質
ペーストの塗布厚増加に伴って溶媒量が増加した分だけ
乾燥時間を長くしなければならない。つまり活物質ペー
ストが塗布された集電体の乾燥炉内の通過速度を遅くす
るか乾燥炉の長さを長くする必要があり、シート電極の
製造の長時間化または塗工機自体大型化となって製造コ
ストの増大につながるものとなる。集電体両面に連続的
に活物質層を形成させる場合は、この問題はさらに顕著
になる。
止するには、従来同様比較的低い乾燥温度条件で乾燥さ
せればよいが、低い乾燥温度で乾燥させる場合、活物質
ペーストの塗布厚増加に伴って溶媒量が増加した分だけ
乾燥時間を長くしなければならない。つまり活物質ペー
ストが塗布された集電体の乾燥炉内の通過速度を遅くす
るか乾燥炉の長さを長くする必要があり、シート電極の
製造の長時間化または塗工機自体大型化となって製造コ
ストの増大につながるものとなる。集電体両面に連続的
に活物質層を形成させる場合は、この問題はさらに顕著
になる。
【0013】本発明は、上述したような集電体表面に厚
い活物質層を形成させる際の問題、特に厚く塗布された
活物質ぺ−ストを内部まで乾燥させる際の問題を解決す
ることを課題とし、厚い活物質層であって均質かつ良質
な活物質層を有するシート電極を、従来同様に簡便かつ
低コストで製造することを目的としている。
い活物質層を形成させる際の問題、特に厚く塗布された
活物質ぺ−ストを内部まで乾燥させる際の問題を解決す
ることを課題とし、厚い活物質層であって均質かつ良質
な活物質層を有するシート電極を、従来同様に簡便かつ
低コストで製造することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意努力を
重ね、塗工機による乾燥工程を2段以上に分離し、各段
ごとに異なる乾燥温度条件とすることにより、厚い活物
質層であっても、短時間の乾燥で良質なものが得られる
ことに想到するに至った。つまり本発明は、帯状金属箔
製の集電体の表面に電極活物質ペーストを塗布する塗布
工程と、該塗布工程に連続して該ペーストを乾燥させる
乾燥工程とからなるシート電極の製造方法であって、前
記乾燥工程は少なくとも2段以上で行われ、後段の乾燥
工程に進むにつれ、乾燥温度が高く設定されていること
を特徴とする。
重ね、塗工機による乾燥工程を2段以上に分離し、各段
ごとに異なる乾燥温度条件とすることにより、厚い活物
質層であっても、短時間の乾燥で良質なものが得られる
ことに想到するに至った。つまり本発明は、帯状金属箔
製の集電体の表面に電極活物質ペーストを塗布する塗布
工程と、該塗布工程に連続して該ペーストを乾燥させる
乾燥工程とからなるシート電極の製造方法であって、前
記乾燥工程は少なくとも2段以上で行われ、後段の乾燥
工程に進むにつれ、乾燥温度が高く設定されていること
を特徴とする。
【0015】この製造方法は、前段工程において、活物
質ペースト表面が固形化しない低い温度条件である程度
の溶媒分を蒸散させた後、後段工程において、段階的に
高い温度条件の下で乾燥させ活物質ペーストを完全に固
形化させようとするものである。このように乾燥工程を
2段以上に分けることによって、活物質ペーストの表面
のみが優先的に固形化するのを防止して、後段工程では
従来より高温条件での乾燥を可能にし、厚く塗布された
活物質ペ−ストであっても、従来と同じ長さの乾燥炉で
同じ時間で乾燥を行うことを可能としている。
質ペースト表面が固形化しない低い温度条件である程度
の溶媒分を蒸散させた後、後段工程において、段階的に
高い温度条件の下で乾燥させ活物質ペーストを完全に固
形化させようとするものである。このように乾燥工程を
2段以上に分けることによって、活物質ペーストの表面
のみが優先的に固形化するのを防止して、後段工程では
従来より高温条件での乾燥を可能にし、厚く塗布された
活物質ペ−ストであっても、従来と同じ長さの乾燥炉で
同じ時間で乾燥を行うことを可能としている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のシート電極の製造
方法の実施形態について図面に基づいて詳細に説明す
る。説明は、活物質ペーストの原料および活物質ペース
トの製造方法についてまず簡単に行い、次いで活物質ペ
ーストの集電体表面への塗布工程を、そして最後に集電
体表面に塗布された活物質ペーストの乾燥工程について
行う。なお本実施形態はリチウムイオン二次電池の場合
のものであるが、本発明はリチウムイオン二次電池に限
定されるものではない。
方法の実施形態について図面に基づいて詳細に説明す
る。説明は、活物質ペーストの原料および活物質ペース
トの製造方法についてまず簡単に行い、次いで活物質ペ
ーストの集電体表面への塗布工程を、そして最後に集電
体表面に塗布された活物質ペーストの乾燥工程について
行う。なお本実施形態はリチウムイオン二次電池の場合
のものであるが、本発明はリチウムイオン二次電池に限
定されるものではない。
【0017】リチウムイオン二次電池の電極活物質層
は、活物質、結着剤、導電材とから構成されている。活
物質層を形成させるための活物質ペーストは、これらの
活物質層構成原料に溶媒を加えて混合して製造される。
活物質は起電反応の素となる物質であり、正極活物質と
しては、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4等の
リチウム複合酸化物の粉状体を用いることができるが、
リチウムイオンのドープ脱ドープが可能なものであれば
よく、これらに限定されるものではない。負極活物質と
しては、リチウムイオンのドープ、脱ドープが可能な、
黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス
等の粉状体を用いることができる。
は、活物質、結着剤、導電材とから構成されている。活
物質層を形成させるための活物質ペーストは、これらの
活物質層構成原料に溶媒を加えて混合して製造される。
活物質は起電反応の素となる物質であり、正極活物質と
しては、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4等の
リチウム複合酸化物の粉状体を用いることができるが、
リチウムイオンのドープ脱ドープが可能なものであれば
よく、これらに限定されるものではない。負極活物質と
しては、リチウムイオンのドープ、脱ドープが可能な、
黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス
等の粉状体を用いることができる。
【0018】正極活物質ペーストは、上記正極活物質に
導電材、結着剤を混合し、適当な溶媒を加え正極合剤と
し、これを混練して製造する。導電剤は正極活物質層の
電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラ
ック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の
1種又は2種以上を混合したものを用いることができ
る。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすも
ので、ポリテトラフルオオロエチレン、ポリフッ化ビニ
リデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができ
る。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶媒と
しては、N−メチルピロリドン等の有機溶媒を用いるこ
とができる。
導電材、結着剤を混合し、適当な溶媒を加え正極合剤と
し、これを混練して製造する。導電剤は正極活物質層の
電気伝導性を確保するためのものであり、カーボンブラ
ック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の
1種又は2種以上を混合したものを用いることができ
る。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすも
ので、ポリテトラフルオオロエチレン、ポリフッ化ビニ
リデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができ
る。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶媒と
しては、N−メチルピロリドン等の有機溶媒を用いるこ
とができる。
【0019】正極合剤の配合割合は、使用する原料の種
類によって異なるが、通常、活物質82〜96重量部、
導電材2〜9重量部、結着剤2〜9重量部程度とし、こ
れらの活物質層構成原料に相当量の溶剤を加える。起電
反応の素となる活物質をできるだけ多くするのが望まし
いが、活物質層の強度、集電体への密着性、電池のサイ
クル特性等を考慮して配合量を決定する。溶媒の配合量
は、活物質層構成原料が均一に分散できる量であること
が必要であるが、集電体へ塗布する際に適した粘度等を
考慮して決められる。
類によって異なるが、通常、活物質82〜96重量部、
導電材2〜9重量部、結着剤2〜9重量部程度とし、こ
れらの活物質層構成原料に相当量の溶剤を加える。起電
反応の素となる活物質をできるだけ多くするのが望まし
いが、活物質層の強度、集電体への密着性、電池のサイ
クル特性等を考慮して配合量を決定する。溶媒の配合量
は、活物質層構成原料が均一に分散できる量であること
が必要であるが、集電体へ塗布する際に適した粘度等を
考慮して決められる。
【0020】従来の小型電池のシート電極は、活物質層
の厚みが片面40μm程度であり、活物質ペーストを片
面80μm程度塗布すればよかったため、製造される活
物質ペーストの固形分を活物質ペースト全体の50〜6
0重量%程度となるようにして、粘度が10000mP
a・s/0.5rpm(E型粘度計)となるように溶媒
の量を決定していた。ところが本実施形態では、片面1
80μmもの活物質ペーストを一度で塗布しなければな
らないため、溶媒量を少なくして、製造される活物質ペ
ーストの固形分を60%以上にして、粘度が15000
〜30000mPa・s/0.5rpm以上となるよう
に溶媒の量を決定する。
の厚みが片面40μm程度であり、活物質ペーストを片
面80μm程度塗布すればよかったため、製造される活
物質ペーストの固形分を活物質ペースト全体の50〜6
0重量%程度となるようにして、粘度が10000mP
a・s/0.5rpm(E型粘度計)となるように溶媒
の量を決定していた。ところが本実施形態では、片面1
80μmもの活物質ペーストを一度で塗布しなければな
らないため、溶媒量を少なくして、製造される活物質ペ
ーストの固形分を60%以上にして、粘度が15000
〜30000mPa・s/0.5rpm以上となるよう
に溶媒の量を決定する。
【0021】負極活物質ペーストは、上記負極活物質に
結着剤を混合し、溶媒を加えて負極合剤とし、これを混
練して製造する。正極と同様、結着剤としてポリフッ化
ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶媒としてN−メチ
ルピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。また
負極活物質ペーストでは、上記原料に代えて、結着剤と
して、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のグループから選ばれる1種又は2種以上のセルロー
スエーテル系物質とスチレンブタジエンゴムラテック
ス、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックス
等の合成ゴム系ラテックス型接着剤との複合バインダを
用い、溶媒として水を用いることもできる。
結着剤を混合し、溶媒を加えて負極合剤とし、これを混
練して製造する。正極と同様、結着剤としてポリフッ化
ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶媒としてN−メチ
ルピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。また
負極活物質ペーストでは、上記原料に代えて、結着剤と
して、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のグループから選ばれる1種又は2種以上のセルロー
スエーテル系物質とスチレンブタジエンゴムラテック
ス、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックス
等の合成ゴム系ラテックス型接着剤との複合バインダを
用い、溶媒として水を用いることもできる。
【0022】負極合剤の配合割合は、正極同様使用する
原料によって異なるが、活物質92〜98重量部、結着
剤2〜9重量部程度とし、これらの活物質層構成原料に
相当量の溶媒を加える。溶媒の配合量は、正極と同様、
活物質ペーストを厚く塗布しなければならない点を考慮
して決定する。なお上記の正極および負極活物質ペース
トの原料の種類およびその配合量は、あくまで例示であ
りこれらに限定されるものではない。
原料によって異なるが、活物質92〜98重量部、結着
剤2〜9重量部程度とし、これらの活物質層構成原料に
相当量の溶媒を加える。溶媒の配合量は、正極と同様、
活物質ペーストを厚く塗布しなければならない点を考慮
して決定する。なお上記の正極および負極活物質ペース
トの原料の種類およびその配合量は、あくまで例示であ
りこれらに限定されるものではない。
【0023】上記のように作成した正極または負極合剤
を混練して活物質ペーストを作成する。混練は、錨羽根
またはねじり羽根を有する攪拌機にて行うのが一般的で
ある。活物質粒子が結着剤等と充分に混合しかつ溶媒中
に均一に分散していないと電池の特性を劣化させる原因
となるため、混練工程は充分な時間をかけて行うのがよ
い。また、活物質粒子の粒度分布も電池特性を左右する
ため、混練作業をボールミル等の手段によって行うこと
も有効である。このように作成された活物質ペーストは
塗布工程にあるペーストタンクに移される。
を混練して活物質ペーストを作成する。混練は、錨羽根
またはねじり羽根を有する攪拌機にて行うのが一般的で
ある。活物質粒子が結着剤等と充分に混合しかつ溶媒中
に均一に分散していないと電池の特性を劣化させる原因
となるため、混練工程は充分な時間をかけて行うのがよ
い。また、活物質粒子の粒度分布も電池特性を左右する
ため、混練作業をボールミル等の手段によって行うこと
も有効である。このように作成された活物質ペーストは
塗布工程にあるペーストタンクに移される。
【0024】次に塗布工程について説明する。図4は本
実施形態の塗布工程および使用する塗工機の塗布部を示
す。なお本実施形態では、高固形分、高粘度の活物質ペ
ーストを使用して厚く塗布することを目的としているた
め、従来方法に種々の工夫を凝らしている。塗布工程に
おいて従来方法の抱える問題およびそれを解決するため
の手段については、以下の説明の中で順次述べることに
する。
実施形態の塗布工程および使用する塗工機の塗布部を示
す。なお本実施形態では、高固形分、高粘度の活物質ペ
ーストを使用して厚く塗布することを目的としているた
め、従来方法に種々の工夫を凝らしている。塗布工程に
おいて従来方法の抱える問題およびそれを解決するため
の手段については、以下の説明の中で順次述べることに
する。
【0025】塗工機の塗布部10は、集電体2を支持搬
送する塗工ロール11と、塗工ロール11の上方に所定
の間隙を設けて配設されたコンマロール12と、塗工ロ
ール11の上方であってコンマロール12の背面に活物
質ペースト3が集電体2の表面に接しながら貯溜できる
よう堰を設けて形成されたペースト溜13と、ペースト
溜13に活物質ペーストを供給する活物質ペースト供給
機構16とから構成されている。このように構成された
塗布部10を集電体2が通過することによって、集電体
2の表面に活物質ペースト3が塗布される。
送する塗工ロール11と、塗工ロール11の上方に所定
の間隙を設けて配設されたコンマロール12と、塗工ロ
ール11の上方であってコンマロール12の背面に活物
質ペースト3が集電体2の表面に接しながら貯溜できる
よう堰を設けて形成されたペースト溜13と、ペースト
溜13に活物質ペーストを供給する活物質ペースト供給
機構16とから構成されている。このように構成された
塗布部10を集電体2が通過することによって、集電体
2の表面に活物質ペースト3が塗布される。
【0026】基材となる集電体2は、リチウムイオン二
次電池では一般に、正極は厚さ10〜20μm程度のア
ルミニウム箔、また負極は厚さ10〜20μm程度の銅
箔であって、電池の設計に応じた所定幅の長い帯状のも
のを用いる。巻出機より巻き出された集電体2は、長手
方向にテンションをかけられながら、回転している塗工
ロール11に裏面を接して搬送される。ペースト溜13
に貯溜されている活物質ペースト3に集電体2の表面が
接するようになっており、集電体2がペースト溜13を
通過するときに活物質ペースト3が集電体2の表面に付
着する。
次電池では一般に、正極は厚さ10〜20μm程度のア
ルミニウム箔、また負極は厚さ10〜20μm程度の銅
箔であって、電池の設計に応じた所定幅の長い帯状のも
のを用いる。巻出機より巻き出された集電体2は、長手
方向にテンションをかけられながら、回転している塗工
ロール11に裏面を接して搬送される。ペースト溜13
に貯溜されている活物質ペースト3に集電体2の表面が
接するようになっており、集電体2がペースト溜13を
通過するときに活物質ペースト3が集電体2の表面に付
着する。
【0027】ペースト溜13を通過した集電体2は、次
に塗工ロール11とコンマロール12のブレードの間隙
を通過する。コンマロール12は、塗布される活物質ペ
ースト3の塗布厚を一定にするとともに活物質ペースト
3の表面を平滑にする働きをする。したがって、コンマ
ロール12は、上下に移動させることが可能で、活物質
ペースト3の塗布厚を180μmにするのであればそれ
に応じた間隙量に調整しなければならない。なお本実施
形態ではコンマロールを用いたが、コンマロールに代え
て、ドクターロール、ナイフブレードを用いることもで
きる。また、一旦活物質ペーストを塗工ロールに一定厚
で付着させ、それを集電体表面に転写塗布させるリバー
スロール方式を用いることもできるこのように、活物質
ペースト3の塗布厚は、基本的にはコンマロール12の
ブレードと集電体の間隙量および活物質ペースト3の粘
度で決定されるものであるが、本実施形態では高粘度の
活物質ペーストを使用しているためペースト溜13に貯
溜されている活物質ペースト3の液面高さも塗布厚に大
きな影響を与えることになる。従来は液面の管理を行っ
ていなかったため、貯溜する液面高さによって塗布され
る活物質ペースト3の厚さが変化するという問題を抱え
ていた。そこでこの問題を解決すべく、本実施形態で
は、液面センサ17をペースト溜13に設置し、液面セ
ンサ17で検知したペーストの液面高さを信号としてバ
ルブ開度調節器21に入力させ、このバルブ開度調節器
21によりペースト供給管19の途中に設けたバルブ2
0の開度を調節して、ペースト溜13の液面高さを一定
に保つようにしている。このことにより、集電体2に塗
布されるペーストの塗布厚が一定に保たれることにな
る。なお図4では接触式の液面センサ17を示している
が、活物質ペースト3と接触しない非接触式の液面セン
サを使用してもよい。
に塗工ロール11とコンマロール12のブレードの間隙
を通過する。コンマロール12は、塗布される活物質ペ
ースト3の塗布厚を一定にするとともに活物質ペースト
3の表面を平滑にする働きをする。したがって、コンマ
ロール12は、上下に移動させることが可能で、活物質
ペースト3の塗布厚を180μmにするのであればそれ
に応じた間隙量に調整しなければならない。なお本実施
形態ではコンマロールを用いたが、コンマロールに代え
て、ドクターロール、ナイフブレードを用いることもで
きる。また、一旦活物質ペーストを塗工ロールに一定厚
で付着させ、それを集電体表面に転写塗布させるリバー
スロール方式を用いることもできるこのように、活物質
ペースト3の塗布厚は、基本的にはコンマロール12の
ブレードと集電体の間隙量および活物質ペースト3の粘
度で決定されるものであるが、本実施形態では高粘度の
活物質ペーストを使用しているためペースト溜13に貯
溜されている活物質ペースト3の液面高さも塗布厚に大
きな影響を与えることになる。従来は液面の管理を行っ
ていなかったため、貯溜する液面高さによって塗布され
る活物質ペースト3の厚さが変化するという問題を抱え
ていた。そこでこの問題を解決すべく、本実施形態で
は、液面センサ17をペースト溜13に設置し、液面セ
ンサ17で検知したペーストの液面高さを信号としてバ
ルブ開度調節器21に入力させ、このバルブ開度調節器
21によりペースト供給管19の途中に設けたバルブ2
0の開度を調節して、ペースト溜13の液面高さを一定
に保つようにしている。このことにより、集電体2に塗
布されるペーストの塗布厚が一定に保たれることにな
る。なお図4では接触式の液面センサ17を示している
が、活物質ペースト3と接触しない非接触式の液面セン
サを使用してもよい。
【0028】また従来、ペーストタンク22からペース
ト溜13に活物質ペースト3を供給するのは、図5に示
すように、電動ポンプ28によりペースト溜13の上方
から注ぎ込むように行っていた。従来の供給方法で行う
と、注ぎ込むときに空気をペーストに巻き込んでしま
う。従来の比較的低粘度の活物質ペーストであればその
後自然に空気中に放散するが、本実施形態の場合、高粘
度の活物質ペーストを使用するため、この巻き込んだ空
気が気泡となって活物質ペースト3中に残存しやすく、
残存した気泡が小さなものであれば、そのまま集電体2
に塗布されてしまい、均一な活物質層が形成されない。
このことは電極性能の劣化につながる。
ト溜13に活物質ペースト3を供給するのは、図5に示
すように、電動ポンプ28によりペースト溜13の上方
から注ぎ込むように行っていた。従来の供給方法で行う
と、注ぎ込むときに空気をペーストに巻き込んでしま
う。従来の比較的低粘度の活物質ペーストであればその
後自然に空気中に放散するが、本実施形態の場合、高粘
度の活物質ペーストを使用するため、この巻き込んだ空
気が気泡となって活物質ペースト3中に残存しやすく、
残存した気泡が小さなものであれば、そのまま集電体2
に塗布されてしまい、均一な活物質層が形成されない。
このことは電極性能の劣化につながる。
【0029】本実施形態ではこの気泡の巻き込みを防止
するため、以下の手段を講じている。ペーストタンク2
2の本体23の上部に密着して蓋24を設けることによ
りペーストタンク22を密閉し、活物質ペースト送給管
19を活物質タンク22に貯められている活物質ペース
ト3の下方部まで挿入し、これとは別に圧縮気体送入管
25をペーストタンク22内の活物質ペースト3が存在
しない上部に挿入し、圧縮気体を送入管25よりペース
トタンク22内に送入して、この圧縮気体の圧力により
活物質ペースト3を持ち上げるようにペースト供給管1
9内を移動させ、ペースト溜13の下部に設けたペース
ト供給口18からペースト溜13に活物質ペースト3を
供給するものである。
するため、以下の手段を講じている。ペーストタンク2
2の本体23の上部に密着して蓋24を設けることによ
りペーストタンク22を密閉し、活物質ペースト送給管
19を活物質タンク22に貯められている活物質ペース
ト3の下方部まで挿入し、これとは別に圧縮気体送入管
25をペーストタンク22内の活物質ペースト3が存在
しない上部に挿入し、圧縮気体を送入管25よりペース
トタンク22内に送入して、この圧縮気体の圧力により
活物質ペースト3を持ち上げるようにペースト供給管1
9内を移動させ、ペースト溜13の下部に設けたペース
ト供給口18からペースト溜13に活物質ペースト3を
供給するものである。
【0030】この方法により活物質ペースト3は、静か
にペースト溜13めに供給され、供給時に大気を巻き込
むことは防止される。ペーストの送給に用いられる圧縮
気体は空気でもよいが、ゴミ、水分の混入およびO2が
酸化作用によって活物質ペースト3を多少なりとも変質
させることを考慮すれば、N2、Ar等の不活性なもの
を用いるのが望ましい。なお本実施形態では、活物質ペ
ースト3の供給時にペースト溜13に貯溜されている活
物質ペースト3の液面が波立ち液面センサ17での液面
高さの計測の障害となることを考慮して、ペースト溜1
3内のペースト供給口18と液面センサ17の間にじゃ
ま板14を設けている。
にペースト溜13めに供給され、供給時に大気を巻き込
むことは防止される。ペーストの送給に用いられる圧縮
気体は空気でもよいが、ゴミ、水分の混入およびO2が
酸化作用によって活物質ペースト3を多少なりとも変質
させることを考慮すれば、N2、Ar等の不活性なもの
を用いるのが望ましい。なお本実施形態では、活物質ペ
ースト3の供給時にペースト溜13に貯溜されている活
物質ペースト3の液面が波立ち液面センサ17での液面
高さの計測の障害となることを考慮して、ペースト溜1
3内のペースト供給口18と液面センサ17の間にじゃ
ま板14を設けている。
【0031】また本実施形態では、使用する活物質ペー
ストは溶媒分が少ないことから、少しの溶媒の蒸散によ
っても活物質ペーストの粘度が変化する。そこでペース
ト溜13の上部に蓋15を設け、塗布前の溶媒分の蒸散
を極力防ぎ、活物質ペーストの粘度を一定に保つことに
よって、活物質ペースト3の集電体2への塗布厚を一定
にしている。さらに温度の変化による粘度変化も見逃せ
ず、ペーストタンク22にヒータ27および攪拌用プロ
ペラ26を配設し、活物質ペースト3を一定の温度条件
に保っている。本実施形態では上述したような様々な配
慮をして高固形分、高粘度の活物質ペーストによる厚膜
塗布を容易にしている。
ストは溶媒分が少ないことから、少しの溶媒の蒸散によ
っても活物質ペーストの粘度が変化する。そこでペース
ト溜13の上部に蓋15を設け、塗布前の溶媒分の蒸散
を極力防ぎ、活物質ペーストの粘度を一定に保つことに
よって、活物質ペースト3の集電体2への塗布厚を一定
にしている。さらに温度の変化による粘度変化も見逃せ
ず、ペーストタンク22にヒータ27および攪拌用プロ
ペラ26を配設し、活物質ペースト3を一定の温度条件
に保っている。本実施形態では上述したような様々な配
慮をして高固形分、高粘度の活物質ペーストによる厚膜
塗布を容易にしている。
【0032】次に集電体の表面に塗布された活物質ペー
ストの乾燥工程について説明する。本実施形態で使用す
る乾燥炉は、2つの乾燥室を持つ2段式の連続乾燥炉で
ある。この乾燥炉を図1に示す。乾燥炉は中間に隔壁3
3を設け前段乾燥室31と後段乾燥室32とに分離され
ている。乾燥炉内にはサポートロール34が複数設けら
れており、これによって活物質ペーストが塗布されたシ
ート電極1は、活物質ペーストが塗布されていない面を
支持されて、本図に示されていない巻取機に巻き取られ
るように一定速度で乾燥炉内を前段乾燥室31、後段乾
燥室32の順に搬送される。なお本実施形態ではロール
サポート方式の乾燥炉を示したが、上下面を空気でサポ
ートしつつ乾燥させるフルフローティング方式の乾燥炉
であってもよい。
ストの乾燥工程について説明する。本実施形態で使用す
る乾燥炉は、2つの乾燥室を持つ2段式の連続乾燥炉で
ある。この乾燥炉を図1に示す。乾燥炉は中間に隔壁3
3を設け前段乾燥室31と後段乾燥室32とに分離され
ている。乾燥炉内にはサポートロール34が複数設けら
れており、これによって活物質ペーストが塗布されたシ
ート電極1は、活物質ペーストが塗布されていない面を
支持されて、本図に示されていない巻取機に巻き取られ
るように一定速度で乾燥炉内を前段乾燥室31、後段乾
燥室32の順に搬送される。なお本実施形態ではロール
サポート方式の乾燥炉を示したが、上下面を空気でサポ
ートしつつ乾燥させるフルフローティング方式の乾燥炉
であってもよい。
【0033】前段乾燥室31、後段乾燥室32のそれぞ
れの上部には、シート電極1の活物質ペースト塗布面に
向けて熱風を吹き出す上部ノズル36が複数個設置され
ている。この上部ノズル36を図2に示す。上部ノズル
36は、集電体1の幅方向の全域に向けてに熱風を吹き
出せるように長いボックス状になっており、その先端部
には所定の風速が得られるように細長いスリット36a
が形成されている。またこの上部ノズル36は、上部ダ
クト35に連結しており、上部ダクト35からの熱風が
分配されるようになっている。さらにこの上部ダクト3
5は、ヒータ40を介して送風機39に連結され、送風
機39で送風されヒータ40で加熱された空気をノズル
に導く役割を果たしている。
れの上部には、シート電極1の活物質ペースト塗布面に
向けて熱風を吹き出す上部ノズル36が複数個設置され
ている。この上部ノズル36を図2に示す。上部ノズル
36は、集電体1の幅方向の全域に向けてに熱風を吹き
出せるように長いボックス状になっており、その先端部
には所定の風速が得られるように細長いスリット36a
が形成されている。またこの上部ノズル36は、上部ダ
クト35に連結しており、上部ダクト35からの熱風が
分配されるようになっている。さらにこの上部ダクト3
5は、ヒータ40を介して送風機39に連結され、送風
機39で送風されヒータ40で加熱された空気をノズル
に導く役割を果たしている。
【0034】同様に前段乾燥室31、後段乾燥室32の
それぞれの下部には、シート電極1の活物質ペーストが
塗布されてない面に向けて熱風を吹き出す下部ノズルボ
ックス37が設置されている。この下部ノズルボックス
37は、図3に示すようなボックス状をしており、シー
ト電極1の全幅にわたって熱風をあてることができるの
は上部ノズル36と同様であるが、1つのボックスで長
い距離をカバーするため、シート電極1の長さ方向に大
きいものとなっており、相当数のノズル孔37aがボッ
クスの上面に設けられている。また上部ノズル36と同
様に、下部ノズルボックス37は、下部ダクト38に連
結されており、さらにヒーター40を介して送風機39
に連結されている。
それぞれの下部には、シート電極1の活物質ペーストが
塗布されてない面に向けて熱風を吹き出す下部ノズルボ
ックス37が設置されている。この下部ノズルボックス
37は、図3に示すようなボックス状をしており、シー
ト電極1の全幅にわたって熱風をあてることができるの
は上部ノズル36と同様であるが、1つのボックスで長
い距離をカバーするため、シート電極1の長さ方向に大
きいものとなっており、相当数のノズル孔37aがボッ
クスの上面に設けられている。また上部ノズル36と同
様に、下部ノズルボックス37は、下部ダクト38に連
結されており、さらにヒーター40を介して送風機39
に連結されている。
【0035】乾燥工程は、活物質ペーストを塗布したシ
ート電極1を、この熱風式連続乾燥炉を通過させること
によって行うのであるが、本実施形態では、前段乾燥室
31で行う前段乾燥工程の乾燥温度と、後段乾燥室32
で行う後段乾燥工程の乾燥温度とをそれぞれ独立して設
定し、しかも前段乾燥工程の乾燥温度を後段乾燥工程の
温度より高く設定することを特徴としている。つまり各
乾燥室にある加熱用ヒーター40を独自に制御し、後段
乾燥室の熱風温度を前段乾燥室の熱風温度より高くして
いる。このような乾燥工程とすることによって、前段乾
燥工程において活物質ペーストの表面が固形化しない比
較的低温度で、ある程度の溶媒分を蒸散させ、その後の
後段乾燥工程において高温度で活物質ペーストを完全に
固形化させることができ、片面180μmという厚さで
塗布された活物質ペーストであっても、塗布厚80μm
の場合と同様の乾燥時間で、表面にクラックを発生させ
ずに均一な活物質層として形成させることが可能となっ
た。
ート電極1を、この熱風式連続乾燥炉を通過させること
によって行うのであるが、本実施形態では、前段乾燥室
31で行う前段乾燥工程の乾燥温度と、後段乾燥室32
で行う後段乾燥工程の乾燥温度とをそれぞれ独立して設
定し、しかも前段乾燥工程の乾燥温度を後段乾燥工程の
温度より高く設定することを特徴としている。つまり各
乾燥室にある加熱用ヒーター40を独自に制御し、後段
乾燥室の熱風温度を前段乾燥室の熱風温度より高くして
いる。このような乾燥工程とすることによって、前段乾
燥工程において活物質ペーストの表面が固形化しない比
較的低温度で、ある程度の溶媒分を蒸散させ、その後の
後段乾燥工程において高温度で活物質ペーストを完全に
固形化させることができ、片面180μmという厚さで
塗布された活物質ペーストであっても、塗布厚80μm
の場合と同様の乾燥時間で、表面にクラックを発生させ
ずに均一な活物質層として形成させることが可能となっ
た。
【0036】なお本実施形態は乾燥工程を2段に分けた
ものであるが、3段以上に分けることもできる。その場
合乾燥温度を、後段部に進むにつれた徐々に高く設定す
ればよい。乾燥工程を多段にすればする程、乾燥温度の
急激な変化がなくなり、より良好な活物質ペーストを形
成できるものとなる。但し設備コストが高騰するため、
形成される活物質層の品質と製造コストの両面を考慮し
て乾燥の段数を決定するのが望ましい。また本実施形態
は熱風式乾燥炉であるが、赤外線方式等他の異なる方式
の乾燥炉であっても、各乾燥工程において独立して乾燥
温度を設定できるものであれば使用することは可能であ
る。
ものであるが、3段以上に分けることもできる。その場
合乾燥温度を、後段部に進むにつれた徐々に高く設定す
ればよい。乾燥工程を多段にすればする程、乾燥温度の
急激な変化がなくなり、より良好な活物質ペーストを形
成できるものとなる。但し設備コストが高騰するため、
形成される活物質層の品質と製造コストの両面を考慮し
て乾燥の段数を決定するのが望ましい。また本実施形態
は熱風式乾燥炉であるが、赤外線方式等他の異なる方式
の乾燥炉であっても、各乾燥工程において独立して乾燥
温度を設定できるものであれば使用することは可能であ
る。
【0037】以上ここまでにわたって、厚い活物質層を
形成させる方法について、活物質ペーストの塗布方法と
乾燥方法分け、実施の形態に基づき説明したが、本シー
ト電極の製造方法は、厚い活物質層を形成することにだ
けに限定して使用されるものではない。比較的薄い活物
質層を形成させる場合であっても、本発明の製造方法を
使用した場合は、従来の方法よりも高速塗工が可能とな
り、短時間でシート電極が製造できることから、コスト
パフォーマンスに優れる塗工方法となり、また製造され
た電極の特性も従来より良好なものとなる。
形成させる方法について、活物質ペーストの塗布方法と
乾燥方法分け、実施の形態に基づき説明したが、本シー
ト電極の製造方法は、厚い活物質層を形成することにだ
けに限定して使用されるものではない。比較的薄い活物
質層を形成させる場合であっても、本発明の製造方法を
使用した場合は、従来の方法よりも高速塗工が可能とな
り、短時間でシート電極が製造できることから、コスト
パフォーマンスに優れる塗工方法となり、また製造され
た電極の特性も従来より良好なものとなる。
【0038】
【実施例】上記実施形態の方法に基づいて、活物質ペー
ストを集電体の表面に塗布し、乾燥室を2つ有する乾燥
炉においてそれぞれの設定温度を種々変更させて活物質
ペーストの状態を比較する実験を行った。この結果を実
施例として以下に記載する。なお本実施例では、熱風方
式の乾燥炉を使用したため集電体のペースト塗布面に当
たる熱風の風速と、ペーストの塗布されてない面に当た
る熱風の風速とによっても、活物質ペーストの乾燥状態
が異なるため、乾燥室の上部ノズルと下部ノズルボック
スから吹き出る熱風の速度を変えて行った比較実験を、
参考実験としてあわせて記載する。
ストを集電体の表面に塗布し、乾燥室を2つ有する乾燥
炉においてそれぞれの設定温度を種々変更させて活物質
ペーストの状態を比較する実験を行った。この結果を実
施例として以下に記載する。なお本実施例では、熱風方
式の乾燥炉を使用したため集電体のペースト塗布面に当
たる熱風の風速と、ペーストの塗布されてない面に当た
る熱風の風速とによっても、活物質ペーストの乾燥状態
が異なるため、乾燥室の上部ノズルと下部ノズルボック
スから吹き出る熱風の速度を変えて行った比較実験を、
参考実験としてあわせて記載する。
【0039】〈実施例1〉正極側のシート電極について
行った。基材となる集電体は、厚さ20μm、幅350
mmのアルミニウム箔を用いた。集電体の表面に塗布す
る活物質ペーストは、活物質としてLiMn2O4粉状体
90重量部に対して、導電材として カーボンブラック
5重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5重量部
を混合し、これに溶媒としてN−メチルピロリドンを適
量を加え、これを充分攪拌混合して固形分62重量%、
粘度26000mmPa・s/0.5rpm(E型粘度
計)のものとした。
行った。基材となる集電体は、厚さ20μm、幅350
mmのアルミニウム箔を用いた。集電体の表面に塗布す
る活物質ペーストは、活物質としてLiMn2O4粉状体
90重量部に対して、導電材として カーボンブラック
5重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5重量部
を混合し、これに溶媒としてN−メチルピロリドンを適
量を加え、これを充分攪拌混合して固形分62重量%、
粘度26000mmPa・s/0.5rpm(E型粘度
計)のものとした。
【0040】この活物質ペーストを、上記実施形態で示
した方法で、集電体の片面に180μmの厚さに塗布し
た。そして上記実施形態で示した熱風方式の連続乾燥炉
で乾燥させた。本実施例の乾燥炉は、前段乾燥室と後段
乾燥室との2室から構成されており、それぞれ対称とな
っている。乾燥炉の全長は2mあり、前段乾燥室、後段
乾燥室はそれぞれ1mの長さとなっている。シート電極
の通加速度は、0.4m/minであり、シート電極
は、前段後段の乾燥室をそれぞれ2.5minで通過す
る。
した方法で、集電体の片面に180μmの厚さに塗布し
た。そして上記実施形態で示した熱風方式の連続乾燥炉
で乾燥させた。本実施例の乾燥炉は、前段乾燥室と後段
乾燥室との2室から構成されており、それぞれ対称とな
っている。乾燥炉の全長は2mあり、前段乾燥室、後段
乾燥室はそれぞれ1mの長さとなっている。シート電極
の通加速度は、0.4m/minであり、シート電極
は、前段後段の乾燥室をそれぞれ2.5minで通過す
る。
【0041】乾燥室の上部ノズルは前後段の乾燥室とも
9本づつ配設されている。上部ノズルの先端のスリット
幅は5mmで、ノズルの先端部からシート電極までの平
均距離は50mmとなっており、ノズルから吹き出す熱
風の平均風速は、ノズル先端部から50mmのところで
16m/sとなるように設定されている。下部ノズルボ
ックスは、それぞれの乾燥室に2つずつ設けられてお
り、ノズル孔の孔径は5mmφで、ボックス1つあたり
200個のノズル孔が設けられている。ボックス上面と
集電体下面の距離は50mmあり、熱風の速さは、ボッ
クス上面から50mmのところで8m/sとなるように
設定されている。 本実施例で最も問題となる乾燥温度
条件についてであるが、前段乾燥室の上部ノズルおよび
下部ノズルボックスから吹き出される熱風の温度を80
〜90℃に設定し、後段乾燥室の熱風温度を130〜1
50℃に設定した。このような条件の下で集電体に塗布
した活物質ペーストの乾燥を行った。
9本づつ配設されている。上部ノズルの先端のスリット
幅は5mmで、ノズルの先端部からシート電極までの平
均距離は50mmとなっており、ノズルから吹き出す熱
風の平均風速は、ノズル先端部から50mmのところで
16m/sとなるように設定されている。下部ノズルボ
ックスは、それぞれの乾燥室に2つずつ設けられてお
り、ノズル孔の孔径は5mmφで、ボックス1つあたり
200個のノズル孔が設けられている。ボックス上面と
集電体下面の距離は50mmあり、熱風の速さは、ボッ
クス上面から50mmのところで8m/sとなるように
設定されている。 本実施例で最も問題となる乾燥温度
条件についてであるが、前段乾燥室の上部ノズルおよび
下部ノズルボックスから吹き出される熱風の温度を80
〜90℃に設定し、後段乾燥室の熱風温度を130〜1
50℃に設定した。このような条件の下で集電体に塗布
した活物質ペーストの乾燥を行った。
【0042】〈比較例1〉前段乾燥室の熱風温度を温度
を130〜150℃に、後段乾燥室の熱風温度を130
〜150℃に設定し、上記実施例1と乾燥温度条件のみ
を変更して活物質ペーストの乾燥を行った。 〈比較例2〉前段乾燥室の熱風温度を温度を130〜1
50℃に、後段乾燥室の熱風温度を80〜90℃に設定
し、上記実施例1と乾燥温度条件のみを変更して活物質
ペーストの乾燥を行った。
を130〜150℃に、後段乾燥室の熱風温度を130
〜150℃に設定し、上記実施例1と乾燥温度条件のみ
を変更して活物質ペーストの乾燥を行った。 〈比較例2〉前段乾燥室の熱風温度を温度を130〜1
50℃に、後段乾燥室の熱風温度を80〜90℃に設定
し、上記実施例1と乾燥温度条件のみを変更して活物質
ペーストの乾燥を行った。
【0043】〈比較例3〉前段乾燥室の熱風温度を温度
を80〜90℃に、後段乾燥室の熱風温度を80〜90
℃に設定し、上記実施例1と乾燥温度条件のみを変更し
て活物質ペーストの乾燥を行った。 〈比較例4〉乾燥室の上部ノズルからの熱風の平均風速
を16m/sとし、下部ノズルボックスからの熱風の風
速を16m/sに設定して活物質ペーストの乾燥を行っ
た。他の条件は実施例1と同様の条件である。
を80〜90℃に、後段乾燥室の熱風温度を80〜90
℃に設定し、上記実施例1と乾燥温度条件のみを変更し
て活物質ペーストの乾燥を行った。 〈比較例4〉乾燥室の上部ノズルからの熱風の平均風速
を16m/sとし、下部ノズルボックスからの熱風の風
速を16m/sに設定して活物質ペーストの乾燥を行っ
た。他の条件は実施例1と同様の条件である。
【0044】〈比較例5〉乾燥室の上部ノズルからの熱
風の平均風速を8m/sとし、下部ノズルボックスから
の熱風の風速を16m/sに設定して活物質ペーストの
乾燥を行った。他の条件は実施例と同様の条件である。
乾燥条件を変更して行ったそれぞれの実験の結果を表1
に示す。
風の平均風速を8m/sとし、下部ノズルボックスから
の熱風の風速を16m/sに設定して活物質ペーストの
乾燥を行った。他の条件は実施例と同様の条件である。
乾燥条件を変更して行ったそれぞれの実験の結果を表1
に示す。
【0045】
【表1】
【0046】まず実施例1と比較例1、比較例2および
比較例3との判定結果を対比させて検討する。この結果
が示すように比較例1および比較例2の場合は前段乾燥
室の熱風温度が高く、塗布された活物質ペーストの表面
のみが優先的に乾燥固形化し、その後に活物質の内部が
遅れて固形化するために、活物質層の表面に亀裂(クラ
ック)が発生した。また比較例3の場合は、前段乾燥
室、後段乾燥室とも熱風温度が低いため、活物質ペース
トが乾ききらず、活物質層が生乾きの状態となってしま
った。
比較例3との判定結果を対比させて検討する。この結果
が示すように比較例1および比較例2の場合は前段乾燥
室の熱風温度が高く、塗布された活物質ペーストの表面
のみが優先的に乾燥固形化し、その後に活物質の内部が
遅れて固形化するために、活物質層の表面に亀裂(クラ
ック)が発生した。また比較例3の場合は、前段乾燥
室、後段乾燥室とも熱風温度が低いため、活物質ペース
トが乾ききらず、活物質層が生乾きの状態となってしま
った。
【0047】これに対して実施例1の場合は、前段乾燥
室の熱風温度を低く設定して、前段乾燥室において活物
質ペーストの溶媒分をある程度蒸散させた後、熱風温度
を高くした後段乾燥室で活物質を完全に固形化させたた
め、形成した活物質層は、クラックのない良好なものと
なっている。この実験により、厚く塗布した活物質ペー
ストの乾燥には、乾燥工程を2段以上に分け、前段乾燥
工程は乾燥温度を比較的低く設定し、後段乾燥工程は乾
燥温度を比較的低く設定することが有効な手段であるこ
とが証明された。
室の熱風温度を低く設定して、前段乾燥室において活物
質ペーストの溶媒分をある程度蒸散させた後、熱風温度
を高くした後段乾燥室で活物質を完全に固形化させたた
め、形成した活物質層は、クラックのない良好なものと
なっている。この実験により、厚く塗布した活物質ペー
ストの乾燥には、乾燥工程を2段以上に分け、前段乾燥
工程は乾燥温度を比較的低く設定し、後段乾燥工程は乾
燥温度を比較的低く設定することが有効な手段であるこ
とが証明された。
【0048】次に実施例1と比較例4および比較例5と
の判定結果を対比して検討する。実施例1の結果が良好
なのに対して、比較例4および比較例5の場合に活物質
層が生乾きとなっていることから、熱風の風速も活物質
層の乾燥程度に影響を与えることが判明した。ただし、
乾燥炉の容積、ノズルの数量等、その乾燥炉の形式を変
更すれば風速の影響は大きく変化することから、使用し
た乾燥炉固有の問題であると考えられる。本実施例で使
用した乾燥炉の場合、上部ノズルから吹き出される熱風
の速度を、下部ノズルボックスから吹き出される熱風の
風速の2倍程度に設定したときが活物質層の乾燥具合が
良好となる。このように乾燥炉の形式に応じてノズルか
らの熱風の風速を適正な値に管理することも、良好な活
物質層を得るための一つの要素となってくる。
の判定結果を対比して検討する。実施例1の結果が良好
なのに対して、比較例4および比較例5の場合に活物質
層が生乾きとなっていることから、熱風の風速も活物質
層の乾燥程度に影響を与えることが判明した。ただし、
乾燥炉の容積、ノズルの数量等、その乾燥炉の形式を変
更すれば風速の影響は大きく変化することから、使用し
た乾燥炉固有の問題であると考えられる。本実施例で使
用した乾燥炉の場合、上部ノズルから吹き出される熱風
の速度を、下部ノズルボックスから吹き出される熱風の
風速の2倍程度に設定したときが活物質層の乾燥具合が
良好となる。このように乾燥炉の形式に応じてノズルか
らの熱風の風速を適正な値に管理することも、良好な活
物質層を得るための一つの要素となってくる。
【0049】
【発明の効果】上述したように本発明は、帯状金属箔製
の集電体の表面に電極活物質ペーストを塗布する塗布工
程と、該塗布工程に連続して該ペーストを乾燥させる乾
燥工程とからなるシート電極の製造方法を、乾燥工程は
少なくとも2段以上で行ない、後段の乾燥工程に進むに
つれ、乾燥温度を高く設定することを特徴としている。
この方法によって、前段工程において、活物質ペースト
表面が固形化しない低い温度条件である程度の溶媒分を
蒸散させた後、後段工程において、段階的に高い温度条
件の下で乾燥させ活物質ペーストを完全に固形化させる
ことが可能となる。
の集電体の表面に電極活物質ペーストを塗布する塗布工
程と、該塗布工程に連続して該ペーストを乾燥させる乾
燥工程とからなるシート電極の製造方法を、乾燥工程は
少なくとも2段以上で行ない、後段の乾燥工程に進むに
つれ、乾燥温度を高く設定することを特徴としている。
この方法によって、前段工程において、活物質ペースト
表面が固形化しない低い温度条件である程度の溶媒分を
蒸散させた後、後段工程において、段階的に高い温度条
件の下で乾燥させ活物質ペーストを完全に固形化させる
ことが可能となる。
【0050】したがって本発明は、活物質ペーストを厚
く塗布した場合であっても、従来の同じ長さの乾燥炉で
また同じ乾燥時間で、完全に固形化しかつ表面にクラッ
クのない均質で良好な活物質層を形成させることができ
るという効果を有する。このことは、二次電池に使用さ
れるシート電極を厚いものとすることを可能にし、エネ
ルギー体積密度、エネルギー重量密度の良好な二次電池
の開発促進に繋がっている。
く塗布した場合であっても、従来の同じ長さの乾燥炉で
また同じ乾燥時間で、完全に固形化しかつ表面にクラッ
クのない均質で良好な活物質層を形成させることができ
るという効果を有する。このことは、二次電池に使用さ
れるシート電極を厚いものとすることを可能にし、エネ
ルギー体積密度、エネルギー重量密度の良好な二次電池
の開発促進に繋がっている。
【図1】本発明の実施形態の乾燥工程で使用する塗工機
の乾燥部を示す図
の乾燥部を示す図
【図2】乾燥炉の内部に配設された上部ノズルを示す斜
視図
視図
【図3】乾燥炉の内部に配設された下部ノズルボックス
を示す斜視図
を示す斜視図
【図4】実施形態の塗布工程で使用する塗工機の塗布部
を示す図
を示す図
【図5】従来のシート電極の製造方法を示す概念図
1:活物質ペーストが塗布されたシート電極 2:集電体 3:活物質ペースト 10:塗布部 11:塗工ロール 12:コンマロール 13:ペース
ト溜 14:じゃま板 15:蓋 16:ペースト供給機構
17:液面センサ 18:供給口 19:ペースト供給管 20:バルブ 21:バルブ開度調節器 22:ペーストタンク 2
3:タンク本体 24:蓋 25:圧縮気体送入管 26:攪拌用プロペ
ラ 27:ヒータ 28:ペースト供給ポンプ 30:乾燥部 31:前段乾燥室 32:後段乾燥室 33:隔壁 34:サポートロール 35:上部ダクト 36:上部
ノズル 36a:スリット 37:下部ノズルボックス 37
a:ノズル孔 38:下部ダクト 39:送風機 40:ヒータ 50:巻出部 60:巻取部
ト溜 14:じゃま板 15:蓋 16:ペースト供給機構
17:液面センサ 18:供給口 19:ペースト供給管 20:バルブ 21:バルブ開度調節器 22:ペーストタンク 2
3:タンク本体 24:蓋 25:圧縮気体送入管 26:攪拌用プロペ
ラ 27:ヒータ 28:ペースト供給ポンプ 30:乾燥部 31:前段乾燥室 32:後段乾燥室 33:隔壁 34:サポートロール 35:上部ダクト 36:上部
ノズル 36a:スリット 37:下部ノズルボックス 37
a:ノズル孔 38:下部ダクト 39:送風機 40:ヒータ 50:巻出部 60:巻取部
Claims (1)
- 【請求項1】 帯状金属箔製の集電体の表面に電極活物
質ペーストを塗布する塗布工程と、該塗布工程に連続し
て該ペーストを乾燥させる乾燥工程とからなるシート電
極の製造方法であって、 前記乾燥工程は少なくとも2段以上で行われ、後段の乾
燥工程に進むにつれ、乾燥温度が高く設定されているこ
とを特徴とするシート電極の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10132069A JPH11329416A (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | シート電極の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10132069A JPH11329416A (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | シート電極の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11329416A true JPH11329416A (ja) | 1999-11-30 |
Family
ID=15072797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10132069A Pending JPH11329416A (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | シート電極の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11329416A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006107780A (ja) * | 2004-09-30 | 2006-04-20 | Dainippon Printing Co Ltd | 電極板の製造方法および電極板 |
JP2007141540A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電極板の製造方法およびその製造装置 |
JP2007227831A (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-06 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電気化学素子用電極体の製造方法およびこれを用いた電気化学素子用電極体の製造装置 |
JP2007324271A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電気化学キャパシタ及びその製造方法 |
JP2008287936A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 電極の製造方法 |
JP2009266660A (ja) * | 2008-04-25 | 2009-11-12 | Nec Tokin Corp | リチウムイオン2次電池用電極板の製造方法 |
JP2013084383A (ja) * | 2011-10-06 | 2013-05-09 | Toyota Motor Corp | 電池用電極の製造方法及び製造装置 |
JP2014060072A (ja) * | 2012-09-18 | 2014-04-03 | Toyota Industries Corp | 電極の製造方法 |
JP2015046410A (ja) * | 2014-12-10 | 2015-03-12 | トヨタ自動車株式会社 | 電池用電極の製造装置 |
JP2016510939A (ja) * | 2013-03-11 | 2016-04-11 | アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated | リチウムイオン電池の吹付けコーティングプロセスのための電極表面粗さ制御 |
JP2021514098A (ja) * | 2018-07-17 | 2021-06-03 | エルジー・ケム・リミテッド | 空気浄化機能を備えた電極組立体製造装置 |
EP4106039A4 (en) * | 2020-11-18 | 2023-10-11 | LG Energy Solution, Ltd. | ELECTRODE SUBSTRATE DRYING EQUIPMENT COMPRISING A STRAINER FOR FLOW DISTRIBUTION AND CORRESPONDING METHOD |
-
1998
- 1998-05-14 JP JP10132069A patent/JPH11329416A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4571841B2 (ja) * | 2004-09-30 | 2010-10-27 | 大日本印刷株式会社 | 電極板の製造方法 |
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US11769898B2 (en) | 2018-07-17 | 2023-09-26 | Lg Energy Solution, Ltd. | Device for manufacturing electrode assembly with air purifying function |
EP4106039A4 (en) * | 2020-11-18 | 2023-10-11 | LG Energy Solution, Ltd. | ELECTRODE SUBSTRATE DRYING EQUIPMENT COMPRISING A STRAINER FOR FLOW DISTRIBUTION AND CORRESPONDING METHOD |
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