JP3997606B2 - 二次電池用電極板、およびその二次電池用電極板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池に使用する正極および負極用電極板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器や通信機器の小型化および軽量化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として用いられる二次電池に対しても、小型化および軽量化の要求が強くなってきている。これらの要求に対して、リチウムイオン二次電池に代表される、高エネルギー密度でかつ高電圧を有する二次電池が開示されている。
【0003】
また、二次電池の性能に大きく影響を及ぼす電極板に関しては、充放電サイクル寿命を延長させるために、また、高エネルギー密度化のために、薄膜大面積化を図ることが提案されている。たとえば、特開昭63−10456号公報や特開平3−285262号公報などに、金属酸化物,硫化物,ハロゲン化物などの正極活物質粉末に導電性および結着性を向上させるために添加される結着剤を適当な湿潤剤(溶媒)に分散溶解させて、液状の活物質塗着液を調製し、金属箔からなる集電体を基材とし、前記基材上に前記塗着液を塗着して塗着膜(活物質層)を形成して得られる正極電極板が開示されている。この際、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、またはシリコン・アクリル共重合体が用いられている。また、負極電極板は、カーボンなどの負極活物質に結着剤を適当な溶媒に溶解させたものを加えて、液状の活物質塗着液を調製し、金属箔集電体である基材に塗着して得られる。具体的には、図2に示すように塗着,乾燥される。正極および負極の活物質を主成分とした塗着液は、配管21を通過しポンプ22によりノズル23内のマニホールド24に供給され、集電体となる基材25上に塗着される。塗着された前記基材25は、乾燥炉26を通過することにより乾燥され、塗着膜27となる。
【0004】
ところが、塗着直後は、集電体となる基材上に塗着された塗着液中の結着剤は、膜厚方向に均一に分布しているが、乾燥過程において、溶媒とともに塗着膜表面上に結着剤が浮き上がるため、乾燥後は塗着膜の表面に結着剤が偏在してしまい、塗着膜内で結着剤が希薄になってしまった部分の結着性や、塗着膜と基材との間の結着性が低下してしまう。このため、塗着膜の加圧形成時に塗着膜が基材からはがれたり、電池組立工程および充放電時に、剥離、脱落、ひび割れなどが生じる。また、電池特性的にも、塗着膜中の結着剤の偏在による過電圧によって、放電容量が小さくなったり、結着力不足によって、充放電の繰り返しにともなって放電容量の劣化を引き起こしてしまう。
【0005】
一方、電池容量の高い電池を得るには、電池の充放電に寄与しない物質、すなわち結着剤の含有量を減少させる必要があるが、結着剤の含有量を減少させると、塗着液の塗工適性が得られなかったり、塗着できたとしても、集電体である基材と塗着膜との密着性が不足し、塗着膜の加圧成形時や電池組立工程において、脱落などの問題が生じ、高品質な電極板が得られない。
【0006】
これらの問題点を解決するため、種々のアプローチがなされている。たとえば、特開平9−185960号公報には、塗着液中の結着剤の含有量が異なる2種以上の塗着液を使用し、最初に塗着する塗着液の結着剤の含有量が、後に塗着する塗着液の結着剤の含有量よりも大きくなるように、重ね塗着を行い、塗着膜の膜厚方向の結着剤の含有量が集電体となる基材に近いほど多くなるように、電極板を作製することが記載されている。また、特開平7−6752号公報には、活物質塗着液を集電体となる基材上に塗着,乾燥し、加圧成形した後、熱処理することによって、乾燥後に塗着膜中に偏在する結着剤を膜中に分散させて電極板を作製することが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
塗着膜内で結着剤が希薄になってしまった部分の結着性や塗着膜と基材間との結着性の低下による、塗着膜の加圧成形時や電池組立工程における脱落などの問題や、放電容量の低下や充放電の繰り返しにともなう放電容量の劣化などの電池特性の劣化を防ぐためには、塗着,乾燥後の塗着膜中の結着剤の含有量を均一にする必要がある。特開平7−6752号公報に開示されている、加圧成形後に熱処理することにより塗着膜中の結着剤含有量を均一にする方法では、乾燥後の結着剤の偏在により、加圧成形時に塗着膜が基材からはがれる可能性がある。また、熱処理工程が一つ増え、かつ熱処理による結着剤の分散には、かなりの時間がかかり、生産性の低下を招いてしまう。
【0008】
また、特開平9−185960号公報に開示されている、塗着液中の結着剤の含有量が異なる2種以上の塗着液を使用し、それを最初に塗着する塗着液の結着剤の含有量が、後に塗着する塗着液の結着剤の含有量よりも大きくなるように、重ね塗着を行い、塗着膜の膜厚方向の結着剤の含有量が集電体となる基材に近いほど多くなるように塗着する方法では、塗着膜中の結着剤の含有量が基材表面上に偏在することによって生ずる過電圧によって、放電容量が小さくなる可能性があり、また、重ね塗工するために塗着,乾燥工程の回数が増大し、生産性が低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明は前記する従来例の問題点に鑑み、活物質塗着液を塗着し、乾燥した後の塗着膜中の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上し、かつ放電容量の低下や充放電の繰り返しにともなう放電容量の劣化が少ない二次電池用電極板の構成、およびその電極板の作製を生産性の低下を招くことなく実現することができる電極板の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記する目的を達成するための手段として活物質塗着液を集電体となる基材上に塗着し、乾燥して構成される電極板において、乾燥後の塗着膜に含まれる結着剤の分布が膜厚方向に均一にすることによって、乾燥後の塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性を向上し、塗着膜中の結着剤の偏在をなくしたものである。
【0011】
そして、前記することを実現するには、塗着直後の塗着液に含まれる結着剤の含有量が、基材表面に近いほど多く塗着すれば、乾燥後の塗着膜に含まれる結着剤の含有量を膜厚方向に均一にすることができる。具体的には、結着剤の含有量が異なる塗着液を用意し、前記基材に近い方に結着剤の含有量の多い塗着液が塗着されるように、同時に多層塗着することで実現することができる。
【0012】
これにより、塗着膜の加圧形成時に塗着膜が基材からはがれたり、電池組立工程および充放電時におこる、剥離,脱落,ひび割れなどを低減することができる。また、塗着膜中の結着剤の偏在による過電圧によって、放電容量が小さくなるのを抑制し、結着力不足による充放電の繰り返しにともなう放電容量の劣化を低減することができ、電池の品質を向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、従来の技術と比較しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
本発明を適用し、正極電極板を作製した。なお、実施の形態1の電極板の製造方法における同時多層塗着の層数は2層とし、各層の結着剤含有量の平均が、塗着膜全体の結着剤含有量と一致するように、かつ基材に近い側に塗着する塗着液の結着剤含有量の方が多くなるように結着剤含有量を調整した。
【0015】
基材に近い側に塗着する塗着液Aは、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末を100重量部、導電剤としてアセチレンブラックを3.0重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を83.3重量部、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン60重量部を水100重量部に溶解した水溶液を5.75重量部を配合し、混合分散して作製した。また、基材に遠い側に塗着する塗着液Bは、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末を100重量部、導電剤としてアセチレンブラックを3.0重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を83.3重量部、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン60重量部を水100重量部に溶解した水溶液を17.25重量部を配合し、混合分散して作製した。これらの塗着液A,Bを図1に示した装置で、集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔を基材として、その上に、同時に多層塗着した後、乾燥させて、塗着膜を作製した。
【0016】
具体的には、基材に近い側に塗着する塗着液Aは、下流配管1を通過し下流ポンプ2によりノズル3内の下流マニホールド4に供給され、集電体となる基材5上に塗着される。それと同時に、基材5に遠い側に塗着する塗着液Bは、上流配管6を通過し上流ポンプ7によりノズル3内の上流マニホールド8に供給され、集電体となる基材5上に塗着された基材5に近い側に塗着された塗着液Aの上に、同時に塗着される。2種類の塗着液A,Bが塗着された前記基材は、乾燥炉9を通過することにより乾燥され、塗着膜10となる。塗着膜10の幅は500mm、塗着膜10の厚みは基材5に近い側の厚みと基材5に遠い側の厚みが同一になるようにし、乾燥後の厚みは両者を併せて180μmになるように塗着した。また、乾燥炉内の温度は120℃、その風量は250m3/minとした。なお、塗着は基材の両面に行った。
【0017】
(比較例1)
正極電極板に従来の技術を適用し、正極電極板を作製した。
【0018】
塗着液は、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末を100重量部、導電剤としてアセチレンブラックを3.0重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を83.3重量部、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン60重量部を水100重量部に溶解した水溶液を11.5重量部を配合し、混合分散して作製した。この塗着液を図2に示した装置で、集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔を基材とし、その上に塗着,乾燥させて、塗着膜を作製した。塗着膜の幅は500mm、乾燥後の厚みは180μmになるように塗着した。また、乾燥炉内の温度は120℃、その風量は250m3/minとした。なお、塗着は基材の両面に行った。
【0019】
(結着剤含有量と結着性との関係)
実施の形態1と比較例1で得られた正極電極板について、塗着膜全体の結着剤含有量、膜厚方向の結着剤含有量の分布、結着性をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
全体の結着剤含有量は蛍光X線分析により測定、膜厚方向の結着剤含有量の分布は電子線マイクロプローブ分析により測定、結着性は剥離強度試験器により測定した。
【0022】
両者を比較すると、全体の結着剤含有量は同一であるが、膜厚方向の結着剤含有量の分布が大きく異なっている。実施の形態1の電極板は、膜厚方向全域にわたって、ほぼ同量の結着剤が塗着膜中に存在しているが、比較例1の電極板は、基材に近い側の方が結着剤含有量が少なくなっており、全体の平均含有量の50%ほどしか結着剤が存在していない。両者の結着性を比較すると、実施の形態1の電極板の方が、比較例1の電極板より約1.7倍も剥離強度が高くなっている。これは、乾燥後の塗着膜中の膜厚方向の結着剤含有量が、ほぼ均一なために、塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上するためである。
【0023】
このように、本発明の電極板および電極板の製造方法により、塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上し、塗着膜の加圧形成時に塗着膜が基材からはがれたり、電池組立工程におこる、剥離,脱落,ひび割れなどを低減することができ、電池の品質を向上することができる。
【0024】
(実施の形態2)
本発明を適用し、負極電極板を作製した。なお、実施の形態2の電極板の製造方法における同時多層塗着の層数は2層とし、各層の結着剤含有量の平均が、塗着膜全体の結着剤含有量と一致するように、かつ基材に近い側に塗着する塗着液の結着剤含有量の方が多くなるように結着剤含有量を調整した。
【0025】
基材に近い側に塗着する塗着液Cは、負極活物質として球状黒鉛粉末を100重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を107.2重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム3.5重量部を水100重量部に溶解した水溶液を3.65重量部を配合し、混合分散して作製した。また、基材に遠い側に塗着する塗着液Dは、負極活物質として球状黒鉛粉末を100重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を107.2重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム3.5重量部を水100重量部に溶解した水溶液を10.95重量部を配合し、混合分散して作製した。これらの塗着液C,Dを図1に示した装置で、集電体となる厚みが14μmの銅箔を基材として、その上に同時に多層塗着した後、乾燥させて、塗着膜を作製した。塗着膜の幅は500mm、塗着膜の厚みは基材に近い側の厚みと基材に遠い側の厚みが同一になるようにし、乾燥後の厚みは両者を併せて120μmになるように塗着した。また、乾燥炉内の温度は100℃、その風量は50m3/minとした。なお、基材の両面に塗着を行った。
【0026】
(比較例2)
負極電極板に従来の技術を適用し、負極電極板を作製した。
【0027】
塗着液は、負極活物質として球状黒鉛粉末を100重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1重量部を水100重量部に溶解した水溶液を107.2重量部、結着剤としてスチレンブタジエンゴム3.5重量部を水100重量部に溶解した水溶液を7.3重量部を配合し、混合分散して作製した。この塗着液を図2に示した装置で、集電体となる厚みが14μmの銅箔を基材として、その上に塗着,乾燥させて、塗着膜を作製した。塗着膜の幅は500mm、乾燥後の厚みは120μmになるように塗着した。また、乾燥炉内の温度は100℃、その風量は50m3/minとした。なお、塗着は基材の両面に行った。
【0028】
(結着剤含有量と結着性との関係)
実施の形態2と比較例2で得られた正極電極板について、塗着膜全体の結着剤含有量、膜厚方向の結着剤含有量の分布、結着性をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
全体の結着剤含有量は蛍光X線分析により測定、膜厚方向の結着剤含有量の分布は電子線マイクロプローブ分析により測定、結着性は剥離強度試験器により測定した。
【0031】
両者を比較すると、全体の結着剤含有量は同一であるが、膜厚方向の結着剤含有量の分布が大きく異なっている。実施の形態2の電極板は、膜厚方向全域にわたって、ほぼ同量の結着剤が塗着膜中に存在しているが、比較例2の電極板は、基材に近い側の方が結着剤含有量が少なくなっており、全体の平均含有量の75%ほどしか結着剤が存在していない。両者の結着性を比較すると、実施の形態2の電極板の方が、比較例2の電極板より1.3倍から1.4倍も剥離強度が高くなっている。これは、乾燥後の塗着膜中の膜厚方向の結着剤含有量が、ほぼ均一なために、塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上するためである。
【0032】
このように、本発明の電極板および電極板の製造方法により、塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上し、塗着膜の加圧形成時に塗着膜が基材からはがれたり、電池組立工程でおこる、剥離,脱落,ひび割れなどを低減することができ、電池の品質を向上することができる。
【0033】
(実施の形態3)
実施の形態1で作製した正極電極板と実施の形態2で作製した負極電極板を用いて、直径17mm、高さ50mmのサイズの電池を作製した。
【0034】
なお、実施の形態1で作製した正極電極板は、全体の厚みが180μmとなるまで加圧成形し、電極部の幅が38mm、長さが345mmの大きさに切断し、塗着膜中の水分を除去するため、250℃の空気雰囲気中に10.5時間、乾燥処理を行った。また、実施の形態2で作製した負極電極板は、全体の厚みが195μmとなるまで加圧成形し、電極部の幅が40mm、長さが395mmの大きさに切断し、塗着膜中の水分を除去するため、110℃の空気雰囲気中に7.5時間、乾燥処理を行った。
【0035】
このように加工された実施の形態1の正極電極板と実施の形態2の負極電極板を用い、正極および負極電極板より幅広い多孔質ポリエチレンフィルムからなる正極電極板と負極電極板を絶縁するためのセパレータを介して、渦巻き状に巻回して、極板群を構成した。次に、この極板群を、負極端子を兼ねる有底円筒状のステンレス容器内に挿入し、炭酸エチレン30容量%と、炭酸ジエチル50容量%とプロピオン酸メチル20容量%との混合液に六フッ化リン酸リチウムを1モル/リットルの濃度に溶解したものを電解液として注液し、直径17mm、高さ50mmのサイズで、定格容量720mAhの電池を作製した。
【0036】
(比較例3)
比較例1で作製した正極電極板と比較例2で作製した負極電極板を用いて、直径17mm、高さ50mmのサイズの電池を作製した。作製方法は実施の形態3と同じである。
【0037】
なお、比較例1で作製した正極電極板は、全体の厚みが180μmとなるまで加圧成形し、電極部の幅が38mm、長さが345mmの大きさに切断し、塗着膜中の水分を除去するため、250℃の空気雰囲気中に10.5時間、乾燥処理を行った。また、比較例2で作製した負極電極板は、全体の厚みが195μmとなるまで加圧成形し、電極部の幅が40mm、長さが395mmの大きさに切断し、塗着膜中の水分を除去するため、110℃の空気雰囲気中に7.5時間、乾燥処理を行った。
【0038】
(電池性能評価結果)
電池特性の測定には、充放電測定装置を用いた。25℃の温度条件で、充電を500mAの定電流で行い、4.1Vになった時点で、4.1Vの定電圧充電に切り替え、合計2時間の充電を行った。放電は、20℃の温度条件で、720mAで行い、放電電位が3.0Vになった時点で放電を終了し、次の充電を開始した。このように、同一条件で500回の充放電を繰り返し、放電特性を測定した。その結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
なお、各放電容量は実施の形態3の一回目放電容量値を100として、その比で示している。また、放電容量保持率は、次式により算出した。
放電容量保持率[%]=(500回目放電容量)/(1回目放電容量)×100
表3から明らかなように、実施の形態3の電池の方が、比較例3の電池より初期の放電容量が高く、また、繰り返し充放電を行った場合の放電容量維持率も高い。
【0041】
このように、本発明の電極板を用いた電池は、乾燥後の塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上するため、充放電時におこる、剥離,脱落,ひび割れなどを低減することができる。また、塗着膜中の結着剤の偏在による過電圧によって、放電容量が小さくなるのを抑制し、かつ結着力不足による、充放電の繰り返しにともなう放電容量の劣化を低減することができ、電池の品質を向上する。
【0042】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明の二次電池用電極板、およびその電極板の製造方法により、生産性を損ねることなく、乾燥後の塗着膜の結着性、および塗着膜と基材間の結着性が向上するため、塗着膜の加圧形成時に塗着膜が基材からはがれたり、電池組立工程および充放電時におこる、剥離,脱落,ひび割れなどを低減することができる。また、塗着膜中の結着剤の偏在による過電圧によって、放電容量が小さくなるのを抑制し、結着力不足による充放電の繰り返しにともなう放電容量の劣化を低減することができ、電池の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における二次電池用電極板の製造方法の概略説明図
【図2】従来の技術における二次電池用電極板の製造方法の概略説明図
【符号の説明】
1 下流配管
2 下流ポンプ
3,23 ノズル
4 下流マニホールド
5,25 基材
6 上流配管
7 上流ポンプ
8 上流マニホールド
9,26 乾燥炉
10,27 塗着膜
21 配管
22 ポンプ
24 マニホールド
Claims (1)
- 正極または負極の活物質を主成分とした塗着液を、集電体となる基材上に塗着し、乾燥して構成される二次電池用電極板において、塗着剤の含有量が異なる塗着液を、前記基材に近い方に結着剤の含有量の多い塗着液が塗着されるようにして、同時に多層塗着することで、乾燥後の塗着膜中に含まれる結着剤が、膜厚方向に均一に分布しているようにすることを特徴とする二次電池用電極板の製造方法。
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