JP2012069358A - 電極乾燥方法、および電極乾燥装置 - Google Patents

電極乾燥方法、および電極乾燥装置 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥温度や熱風量などの乾燥条件を大きく変化させることなく、スラリー状態の電極スラリーに含まれる溶媒を効率よく揮発させて、乾燥時間の短縮を図るとともに乾燥炉の長さを短くでき、もって、電極の乾燥に要する投資を削減することが可能な電極乾燥方法、および電極乾燥装置を提供する。
【解決手段】電極乾燥装置10は、乾燥炉30の中に設置され溶媒を含む電極スラリー22が塗布された電極箔21を巻きつかせるためのローラー40と、ローラーを回転させるための駆動部50と、熱を付与するヒーター部60と、を有している。ヒーター部は、熱源として熱風を用いている。電極乾燥装置はさらに、乾燥炉の中央に設置されたローラーに電極箔を連続して巻きつかせる搬入部70を有している。そして、電極箔に対して、電極スラリーが塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態で熱を付与して、電極スラリーを表面から乾燥させている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電極乾燥方法、および電極乾燥装置に関する。
リチウムイオン二次電池は、蓄電密度が大きく、充放電を繰り返し行っても蓄電性能をよく保つことから、自動車や家電製品の電源として広く用いられている。
リチウムイオン二次電池の電極形成過程においては、まず、正極のアルミニウム箔、負極の銅箔のような電極箔上に、溶媒を含むスラリー状態の電極スラリーを一定重量塗布する。次に、電極乾燥装置によって、電極スラリーに含まれる溶媒を揮発させて乾燥させ、電極スラリーの固形分と電極箔とを固着させている。
電極乾燥工程においては、乾燥炉内において、電極箔の上下面から熱風を吹きつける方法が一般的である(例えば、特許文献1、および2を参照)。熱風による場合の乾燥条件の主なものとして、熱風の温度、熱風の吹き付け量、および乾燥時間がある。乾燥時間は、乾燥炉内において電極箔を進行させる進行速度と、乾燥炉の長さによって定まる。
特開2003−272612 特開2006− 73234
電極乾燥装置には、電極の生産性を上げるために乾燥時間の短縮を図ることが要請され、設備費用を低減するために乾燥炉の長さを短くすることも要請されている。このような要請に対して、乾燥条件(熱風の場合における熱風の温度、および熱風の吹き付け量)を大きく変化させると、電極形状や電極内部の微細構造に影響が及んでしまい、電極性能が劣化することがある。電極性能の劣化を招かない範囲内において乾燥条件を変化させなければならないため、乾燥時間の短縮や乾燥炉の長さを短くすることに対して効果的な対策をとることができない。
電極形状や電極内部の微細構造に影響が及んでしまう理由は、乾燥温度を高温にしたり、熱風量を増加させたりすると、スラリー状態の電極スラリーにおいて、表面における溶媒の揮発速度と、深部からの溶媒の拡散速度との差が大きくなることに起因していると考えられる。
そこで、本発明の目的は、乾燥温度や熱風量などの乾燥条件を大きく変化させることなく、スラリー状態の電極スラリーに含まれる溶媒を効率よく揮発させて、乾燥時間の短縮を図るとともに乾燥炉の長さを短くでき、もって、電極の乾燥に要する投資を削減することが可能な電極乾燥方法、および電極乾燥装置を提供することにある。
上記目的を達成するための電極乾燥方法は、溶媒を含む電極スラリーが塗布された電極箔を、前記電極スラリーが塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態とする。そして、熱を付与して、前記電極スラリーを表面から乾燥させている。
また、上記目的を達成するための電極乾燥装置は、乾燥炉の中に設置され、溶媒を含む電極スラリーが塗布された電極箔を巻きつかせるためのローラーを有している。電極乾燥装置はさらに、前記ローラーを回転させるための駆動部と、熱を付与するヒーター部と、を有している。
本発明によれば、電極箔は電極スラリーが塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態となり、溶媒を含む電極スラリーの表面の露出面積が増大する。この状態で熱を付与することで、溶媒が揮発することから、深部からの溶媒が表面に向けて拡散しやすくなる。したがって、電極スラリーに含まれる溶媒を効率よく揮発させることができ、乾燥温度や熱風量などの乾燥条件を大きく変化させることなく、乾燥時間の短縮を図るとともに乾燥炉の長さを短くできる。もって、電極の乾燥に要する投資を削減することが可能となる。
実施形態に係る電極乾燥装置を示す概略構成図である。 図1の2−2線に沿う概略断面図である。 図3(A)は、本実施形態に係る「凸面乾燥」を実施している状態を示す図、図3(B)は、「凸面乾燥」後に電極が平坦になっている状態を示す図、図3(C)は、「凸面乾燥」後に一様な電極スラリーとなっている状態を示す模式図である。 図4(A)は、対比例に係る「平面乾燥」を実施している状態を示す図、図4(B)は、「平面乾燥」後に電極が凹面形状に反っている状態を示す図、図4(C)は、「平面乾燥」後の電極スラリーの内部に気泡が発生した状態を示す模式図である。 図5(A)(B)は、熱風乾燥方式によって電極スラリーを乾燥させている状態を示す模式図である。 図6(A)(B)は、乾燥条件の変化によって電極スラリーの内部に気泡が発生するメカニズムを説明するための模式図である。 図7(A)は、「凸面乾燥」のときの電極層の断面観察結果を示す電子顕微鏡写真、図7(B)は、「平面乾燥」のときの電極層の断面観察結果を示す電子顕微鏡写真である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
図1および図2に示すように、電極乾燥装置10は、概説すれば、乾燥炉30の中に設置され溶媒を含む電極スラリー22が塗布された電極箔21を巻きつかせるためのローラー40と、ローラー40を回転させるための駆動部50と、溶媒を揮発させるための熱を付与するヒーター部60と、を有している。ヒーター部60は、熱源として熱風を用いている。乾燥炉30は円筒形状を有している(図2を参照)。電極乾燥装置10はさらに、乾燥炉30の中央に設置されたローラー40に電極箔21を連続して巻きつかせる搬入部70を有している。そして、電極箔21に対して、電極スラリー22が塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態で熱を付与して、電極スラリー22を表面から乾燥させている。以下、詳述する。
電極箔21は、集電体として用いられる。電極箔21は、適宜の材料、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼を用いることができる。具体的には、例えば、正極集電体にはアルミニウムなどの電極箔21を用い、負極集電体には銅などの電極箔21を用いることができる。電極箔21の具体的な厚さについて特に制限はないが、例えば、アルミニウムの場合には20μm、銅の場合には10μ程度の薄膜である。
電極スラリー22には、正極を形成するために用いる正極スラリーと、負極を形成するために用いる負極スラリーとがある。
正極スラリーは、例えば、正極活物質、導電助剤、およびバインダを有し、溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。正極活物質は、例えば、マンガン酸リチウムである。導電助剤は、例えば、アセチレンブラックである。バインダは、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。溶媒は、例えば、NMP(ノルマルメチルピロリドン)である。なお、正極活物質は、マンガン酸リチウムに特に限定されないが、容量および出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物を適用することが好ましい。導電助剤は、例えば、カーボンブラックやグラファイトを利用することも可能である。バインダおよび溶媒は、PVDFおよびNMPに限定されない。溶媒として水を用いることもできる。
負極スラリーは、例えば、負極活物質、導電助剤、およびバインダを有し、溶媒を添加することで、所定の粘度にされる。負極活物質は、例えば、グラファイトである。導電助剤、バインダ、および溶媒は、例えば、アセチレンブラック、PVDF、およびNMPである。なお、負極活物質は、グラファイトに特に限定されず、ハードカーボンや、リチウム−遷移金属複合酸化物を利用することも可能である。導電助剤は、例えば、カーボンブラックやグラファイトを利用することも可能である。バインダおよび溶媒は、PVDFおよびNMPに限定されない。溶媒として水を用いることもできる。
電極箔21に塗布した正極スラリーの塗膜および負極スラリーの塗膜は、乾燥炉30において乾燥し、正極および負極を形成する。このとき、電極スラリー22に含まれる溶媒としてのNMPは、揮発することによって電極スラリー22から除去する。
電極乾燥装置10の乾燥炉30は、ローラー40の外周を覆う円筒形状のケーシング31を有している。乾燥炉30の内部に、ローラー40を回転自在に配置している。ケーシング31内面とローラー40外周面との間に、熱風を流通させる熱風通路32を形成してある。ケーシング31には、熱風通路32に熱風を供給するための熱風吹出口33と、ケーシング31内を排気するための排気口34とを設けている。熱風吹出口33および排気口34は、熱風通路32内の熱風を撹拌し、熱風が熱風通路32内を均一に流れる位置に設定されている。
乾燥炉30の中に設置されたローラー40は、円柱形状を有し、回転自在に支持されている。このローラー40に電極箔21が巻きついた状態で、ローラー40を回転させながら電極スラリー22を乾燥させている。電極箔21がローラー40に巻きつくことによって、電極箔21は、電極スラリー22が塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態となる(図3(A)を参照)。ローラー40を回転させながら電極スラリー22を乾燥させることから、乾燥炉30の中における電極スラリー22の加熱ムラを抑えて、溶媒を均一に揮発させることができる。
ローラー40はその回転軸を乾燥炉30の軸線に一致させて乾燥炉30の中に設置することが好ましい。ローラー40の回転軸に直交する面で見て、熱風通路32の径方向の寸法がローラー40の全周にわたって等しく、ローラー40の全周にわたって熱風量が均一になる。これよって、乾燥炉30の中における電極スラリー22の加熱ムラをより一層抑えることができるからである。
ヒーター部60は、空気を吸い込む吸気口61と、熱媒体(例えば、蒸気)との間で熱交換を行って空気を加熱する熱交換器62と、熱交換器62からの熱風を送風する送風ファン63と、を有している。送風ファン63の出口と熱風吹出口33とは、送気バルブ64および配管を介して接続されている。送気バルブ64を開くことによって、熱風を、熱風吹出口33から熱風通路32内に供給する。
熱風の温度は、環境温度や電極スラリー22の種類などによって種々異なることから特に限定されないが、例えば140℃前後である。
搬入部70は、電極スラリー22を塗布する前の電極箔21を供給する供給ロール71を有している。供給ロール71には、電極箔21を予め巻回してある。供給ロール71とローラー40との間には、電極箔21の下面を保持する複数の図示しないサポートロールを配置してある。搬入部70を設け、電極箔21を連続してローラー40に巻きつかせることによって、電極スラリー22を連続して乾燥させることができる。したがって、電極を量産するときに用いて好適な電極乾燥装置10となる。
本実施形態では、搬入部70に加えて、乾燥させた後の電極箔21をローラー40から連続的に巻き取る搬出部80を設けている。搬出部80は、乾燥後の電極箔21を巻き取る巻取りロール81を有している。巻取りロール81には、巻取りロール81を回転駆動するモータMを接続してある。ローラー40と巻取りロール81との間には、電極箔21の下面を保持する複数の図示しないサポートロールを配置してある。
搬入部70および搬出部80は、ローラー40の長手方向に離れて配置してある。搬入部70は、電極箔21を、ローラー40の軸線に対して傾斜する方向から供給する。搬出部80は、電極箔21を、ローラー40の軸線に対して傾斜する方向に巻き取る。したがって、搬入部70と搬出部80との間では、電極箔21は、ローラー40の外周面に螺旋状に複数回巻きついている。
モータMを駆動して巻取りロール81を回転駆動すると、電極箔21は、供給ロール71から繰り出され、ローラー40の回転に伴って螺旋状に巻取りロール81に向けて進行し、巻取りロール81に巻き取られる。このようにして、搬入部70、ローラー40、および搬出部80は、長尺状の電極箔21をロールトゥロール方式によって連続的に搬送する。
ローラー40は、電極箔21の下面とローラー40の外周面との間の摩擦によって、電極箔21の巻き取りに伴って従動回転する。本実施形態にあっては、巻取りロール81を回転駆動するモータMが、ローラー40を回転させるための駆動部50として機能する。
電極スラリー22の塗布は、電極箔21を搬送しつつ、塗布部90によって行う。塗布部90は、溶媒を含むスラリー状の電極スラリー22を電極箔21に塗布するコータ91を有している。コータ91は、電極箔21に対向し、電極箔21を搬送しながら間欠的に電極スラリー22を塗布する。これにより、電極スラリー22は、一定の間隔の隙間sを空けて間欠的に配列する。電極スラリー22を間欠的に配列するのは、電池の外部端子と電極箔21とを電気的に接続するためのタブを形成するためである。コータ91は、スリットダイを備え、ダイに形成したスリットから電極スラリー22を押し出して塗工する。
電極乾燥装置10は、ヒーター部60、モータM、および塗布部90の作動を制御するコントローラ100を有している。コントローラ100は、CPUおよびメモリを主体として構成され、動作を制御するためのプログラムがメモリに記憶されている。コントローラ100は、塗布部90の作動を制御して、電極スラリー22の塗布量、塗布厚さなどを調整し、ヒーター部60の作動を制御して、熱風の温度、風量などを調整する。コントローラ100はまた、モータMの作動を制御して、電極箔21の搬送速度を調整する。
図3(A)を参照して、電極スラリー22を乾燥させるときには、電極箔21がローラー40に巻きつくことによって、電極箔21は、電極スラリー22が塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態となる。この状態で熱を付与して電極スラリー22を表面から乾燥させている。
本明細書においては、電極箔21の表面側を凸状に曲率を持たせた状態で電極スラリー22を乾燥させることを、「凸面乾燥」という。これに対して、上述した特許文献1、および2に記載されているような、電極箔21を平面にした状態で電極スラリー22を乾燥させることを、「平面乾燥」という。
本実施形態の作用を説明する前に、「平面乾燥」を行う対比例において生じる不具合について説明する。
一般的な熱風乾燥方式において、溶媒の揮発速度がもっとも大きいのは、熱風が直接当たるスラリー表面である。表面の溶媒101が減少するのに伴い、スラリー深部の溶媒101が表面の溶媒減少量を補うように表面方向に拡散する(図5(A))。溶媒101の移動が定常的に行われた結果、スラリーの固形分102が一様に体積収縮する。そして、最深部にあった溶媒101が揮発したところで、電極スラリー22の乾燥が完了する(図5(B))。
熱風温度や熱風量を多少変化させても、スラリー表面の溶媒の揮発速度が、スラリー深部からの溶媒の拡散速度に比べてさほど大きくない条件においては、密度が均一な電極層を作ることができる(図5(B))。これは、スラリーが有する流動性のために、溶媒101が占めていた場所が、スラリーの固形分102が一様に体積収縮しながら埋められるためである。
しかしながら、乾燥速度の高速化を狙って、熱風温度を極度に増加させたり、熱風量を極度に増加させたりするなどの大きな条件変更を行うと、スラリー表面の溶媒101の揮発速度が増加し、スラリー深部からの溶媒101の拡散速度との差が大きくなる。このような状態となると、乾燥初期に表面のみが優先的に乾燥されて電極固形分の皮膜が生じ、スラリー深部の溶媒101が表面に拡散しづらくなる(図6(A))。
スラリー深部の溶媒101の拡散が少ない場合、熱風温度や熱風量を増加させた割には、電極スラリー22を乾燥させるのに必要な時間を短縮することができない。しかも、スラリー深部に残留した溶媒101は、表面に達しないうちに深部で気化してしまい、溶媒101が気化した場所はスラリーの固形分102によって埋められることがない。このため、気化したガスだまり(気泡)103が形成されてしまう(図4(C)、図6(B))。
このようにして電極スラリー22の深部において気泡103が発生すると、電極箔21と電極スラリー22との接触量あるいは接触面積が少ないことから、セルの電気抵抗が増大したり、電極スラリー料の密着強度が不足したりする等の性能低下を招いてしまう。
発生した気泡103をなくすために、乾燥後の電極をロールプレス機などによって圧縮する方法がある。しかしながら、乾燥が完了して電極スラリー料が固着した後に強制的に構造変化させることになるため、電極スラリー料の密着強度はさほど向上しない。しかも、低コストで量産を実現する観点から、乾燥工程の後に圧縮工程を付加することは避けることが望ましい。
さらに、「平面乾燥」では、乾燥時のスラリーの体積収縮によって、乾燥後の電極は凹面形状となりやすい(図4(B))。電極は実使用時に再び平面にされることから、内部応力が発生し、密着強度が低下する虞がある。
気泡103が形成されたり、乾燥後の電極が凹面形状になったりする現象は、乾燥温度や風量を増加するほど顕著である。
次に、本実施形態の作用を説明する。
モータMを駆動して巻取りロール81を回転駆動し、電極箔21を、供給ロール71から繰り出し、ローラー40の回転に伴って螺旋状に巻取りロール81に向けて進行させ、巻取りロール81に巻き取る。ローラー40は、電極箔21の下面とローラー40の外周面との間の摩擦によって、電極箔21の巻き取りに伴って従動回転する。
コータ91は、移動している電極箔21の表面に間欠的に電極スラリー22を塗布する。コントローラ100は、塗布部90の作動を制御し、電極スラリー22の塗布量、塗布厚さなどを調整している。
ヒーター部60は、送気バルブ64を開き、熱風を、熱風吹出口33から熱風通路32内に供給する。
電極箔21の表面に溶媒を含む電極スラリー22を塗布した後、乾燥炉30内において、電極スラリー22に含まれる溶媒を揮発させる。電極箔21を搬送しつつ、電極スラリー22の塗布と、塗布した電極スラリー22の乾燥とを継続する。
図3(A)を参照して、電極スラリー22を乾燥させるときには、電極箔21がローラー40に巻きつくことによって、電極箔21は、電極スラリー22が塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態となる。流動性のあるスラリーの状態の電極スラリー22の表面が引き伸ばされて、熱風が当たる表面の露出面積が増大する。この状態で熱を付与して電極スラリー22を表面から乾燥させると、溶媒が効率よく揮発する。さらに、電極スラリー22が引き伸ばされた分だけスラリー厚さも減少することから、電極スラリー22の深部の溶媒が表面に拡散しやすく、電極スラリー22の表面における溶媒の揮発速度と、深部からの溶媒の拡散速度との差も比較的小さくなる。このため、電極スラリー22の表面の溶媒量と深部の溶媒量との差を小さくすることができる。したがって、表層のみが極端に乾燥することを防ぐことができ、気泡103の発生を防止することができる。スラリーの深部から表層にかけて溶媒の移動が定常的に行われた結果、一様な電極層を形成することができる。
「凸面乾燥」においては、スラリー状態の電極スラリー22に含まれる溶媒を効率よく揮発させることができるので、乾燥温度、熱風量などの乾燥条件を大きく変化させることなく、乾燥時間の短縮を図るとともに乾燥炉30の長さを短くできる。もって、電極の乾燥に要する投資を削減することが可能となる。
電極箔21をローラー40に巻きつけて螺旋状に進行させているので、ローラー40の長手方向の寸法を短くしても、電極箔21を平面状にして進行させたときの移動距離と同じ移動距離を確保することができる。この点からも乾燥炉30の長さを短くでき、電極の乾燥に要する投資をより削減することが可できる。
さらに、図3(B)に示すように、「凸面乾燥」においては、スラリーと電極箔21との間にせん断応力が発生するため、乾燥後の電極は、凹面になることがなく、実際に使用する状態と同じ平面とすることができる。乾燥後に構造変化を付与する必要がなく、均質な電極層を形成することができ、電極抵抗や密着強度の観点で有利なものとなる。乾燥工程の後に圧縮工程を付加しなくてよいので、低コストで量産を実現することもできる。
「平面乾燥」にあっては、乾燥温度や熱風量を増加するほど、乾燥後の電極が凹面形状になったり、気泡103が発生して不均一な電極層になったりする現象が顕著に現れてしまう。これに対して、「凸面乾燥」にあっては、乾燥温度や熱風量を増加しても、乾燥後の電極の平面性と、気泡103の発生がない一様な電極層(均一性)とを保つことができる。
「凸面乾燥」の原理から、ローラー40の直径寸法を選択することによって、乾燥時の電極スラリー22の曲率を調整することができる。ローラー40の直径、乾燥温度、熱風量などの基本的な条件に加えて、これらに関連させてスラリーの固形分を最適化することが好ましい。スラリーの固形分を最適化することによって、さまざまな材料に応じて、スラリー表面の溶媒揮発量とスラリー内部の溶媒拡散量とを制御することができる。したがって、電極層内の気泡103を抑制しながら、温度や風量の増加によって乾燥時間の短縮を見込むことができるからである。
(「凸面乾燥」と「平面乾燥」との比較検討試験)
電極箔上に設けたスラリーの乾燥を、「凸面乾燥」および「平面乾燥」のそれぞれで行い、電極構造の差異を断面観察写真によって調べた。
「凸面乾燥」では、電極塗布面積を50mm×50mmに設定し、凸面の高低差を10mmに設定した。スラリーの固形分濃度は75%とした。電極表面温度は140℃に設定して、毎秒220ccの流量のエアポンプで空気を攪拌しながらスラリーを10分間乾燥させた。
一方、「平面乾燥」では、乾燥時の電極箔を平面とし、他の乾燥条件は「凸面乾燥」のときと同じとした。
「凸面乾燥」のときの電極層の断面観察結果の電子顕微鏡写真を図7(A)に示し、「平面乾燥」のときの電極層の断面観察結果の電子顕微鏡写真を図7(B)に示す。
「凸面乾燥」(図7(A))のときには、「平面乾燥」(図7(B))のときのような気泡103は認められず、一様で緻密な電極層を形成することができた。「凸面乾燥」「平面乾燥」ともにスラリーの塗布重量は同じであるが、「平面乾燥」のときの電極層が厚いのは、内部に空洞が存在するからである。
このように「凸面乾燥」により乾燥させた電極層は、電極箔との間の電気抵抗が少なく、電極スラリー料の密着強度が強いため、「平面乾燥」により乾燥させた電極層に比べて性能が優れている。さらに、「平面乾燥」のときに、これらの性能を向上させるために乾燥後の電極にプレス処理を施していたが、プレス工程を簡素化または廃止できる可能性が示唆された。
以上説明したように本実施形態の電極乾燥装置10は、乾燥炉30の中に設置され溶媒を含む電極スラリー22が塗布された電極箔21を巻きつかせるためのローラー40と、ローラー40を回転させるための駆動部50と、溶媒を揮発させるための熱を付与するヒーター部60と、を有している。かかる電極乾燥装置10によれば、溶媒を含む電極スラリー22が塗布された電極箔21に対して、電極スラリー22が塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態で溶媒を揮発させるための熱を付与して、電極スラリー22を表面から乾燥させる工程を実施できる。かかる実施形態によれば、溶媒を含む電極スラリー22の表面の露出面積を増大させた状態で溶媒が揮発することから、深部からの溶媒が表面に向けて拡散しやすくなる。したがって、スラリー状態の電極スラリー22に含まれる溶媒を効率よく揮発させることができ、乾燥温度や熱風量などの乾燥条件を大きく変化させることなく、乾燥時間の短縮を図るとともに乾燥炉30の長さを短くできる。もって、電極の乾燥に要する投資を削減することが可能となる。
また、乾燥炉30の中に設置されたローラー40に電極箔21が巻きついた状態で、ローラー40を回転させながら電極スラリー22を乾燥させることから、乾燥炉30の中における電極スラリー22の加熱ムラを抑えて、溶媒を均一に揮発させることができる。
電極乾燥装置10は、乾燥炉30が円筒形状を有し、乾燥炉30の中央に設置されたローラー40に電極箔21を連続して巻きつかせる搬入部70をさらに有している。かかる電極乾燥装置10によれば、乾燥炉30の中央に設置されたローラー40に電極箔21を巻きつかせながら、電極スラリー22を連続して乾燥させる工程を実施できる。電極スラリー22を連続して乾燥させることができるため、電極を量産するときに用いて好適な電極乾燥装置10となる。また、乾燥炉30が円筒形状を有することによって、ローラー40との間で均一な熱風通路32を形成することができ、乾燥炉30の中における電極スラリー22の加熱ムラをより一層抑えることができる。
(改変例)
電極箔21の表面側を凸状に曲率を持たせた状態とするために、電極箔21を円柱状ローラー40に巻きつける形態を示したが、この場合に限定されるものではない。例えば、円錐状のローラー40に巻きつけることによって、電極箔21がローラー40の長手方向に進行するにつれて、付与される曲率を変化させるようにしてもよい。電極箔21を巻きつかせるローラー40は、円形形状のように断面における曲率が一定のものに限定されるものではなく、楕円形状のように断面における曲率が変化するようなものを適用することもできる。
巻取りロール81を回転駆動するモータMが、ローラー40を回転させるための駆動部50として機能する実施形態を示したが、これに限られるものではない。ローラー40を回転駆動するモータをさらに設け、このモータの作動を、巻取りロール81用モータMと同期を取りながら制御してもよい。
ローラー40に電極箔21を連続して巻きつかせる実施形態を図示したが、ローラー40に電極箔21をバッチ式で巻きつける形態でもよい。この形態にあっては、ローラー40を回転駆動するモータだけを設ければよい。
ヒーター部60の熱源として熱風を用いた実施形態を示したが、赤外線ヒーターを用いてもよい。また、熱源としての熱風や赤外線ヒーターを組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明は、電極スラリー22を間欠的に塗布する場合に限られるものではなく、電極スラリー22を連続塗布する場合にも適用できることは言うまでもない。
10 電極乾燥装置、
21 電極箔、
22 電極スラリー、
30 乾燥炉、
31 ケーシング、
32 熱風通路、
33 熱風吹出口、
34 排気口、
40 ローラー、
50 駆動部、
60 ヒーター部、
63 送風ファン、
70 搬入部、
71 供給ロール、
80 搬出部、
81 巻取りロール、
90 塗布部、
91 コータ、
100 コントローラ、
M 巻取りロール用モータ(駆動部)。

Claims (6)

  1. 溶媒を含む電極スラリーが塗布された電極箔に対して、前記電極スラリーが塗布された表面側を凸状に曲率を持たせた状態で熱を付与して、前記電極スラリーを表面から乾燥させる、電極乾燥方法。
  2. 乾燥炉の中に設置されたローラーに前記電極箔が巻きついた状態で、前記ローラーを回転させながら前記電極スラリーを乾燥させる、請求項1に記載の電極乾燥方法。
  3. 乾燥炉の中に設置されたローラーに前記電極箔が螺旋状に巻きついた状態で、前記ローラーを回転させながら前記電極スラリーを乾燥させる、請求項2に記載の電極乾燥方法。
  4. 前記乾燥炉は円筒形状を有し、前記乾燥炉の中央に設置された前記ローラーに前記電極箔を巻きつかせながら、前記電極スラリーを連続して乾燥させる、請求項2または請求項3に記載の電極乾燥方法。
  5. 乾燥炉の中に設置され、溶媒を含む電極スラリーが塗布された電極箔を巻きつかせるためのローラーと、
    前記ローラーを回転させるための駆動部と、
    前記電極箔に熱を付与するヒーター部と、を有する電極乾燥装置。
  6. 前記乾燥炉は円筒形状を有し、前記乾燥炉の中央に設置された前記ローラーに前記電極箔を連続して巻きつかせる搬入部をさらに有する請求項5に記載の電極乾燥装置。
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