本発明に係る遊技機の一種であるスロットマシンは、規定枚数のメダルが投入されたことを条件に1回の単位遊技(単に「遊技」ともいう。)が実行可能となり、複数のメインリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる遊技役が存在するとき、当該遊技役が入賞又は成立する等の遊技を提供する遊技機である。ここで「投入(ベット)」とは、遊技者がメダルをスロットマシン内部に投下すること、又は、スロットマシンに設けたベットボタンを操作することにより、遊技にメダルを賭ける一連の動作をいう。
[スロットマシンの構造]
図1は、本実施形態によるスロットマシン10の前面外観を示す正面図である。本実施形態によるスロットマシン10は、外周面に複数の図柄が付された回転する4個のリール40S、40C、40R、40Lと、これらのリールの回転開始を操作指示するためのレバー状のスイッチであるスタートレバー55と、遊技の結果を表示するリール40L、40C、40Rに対応して設けられ、当該各リールの回転停止を操作指示するための押圧スイッチであるストップボタン56L、56C、56Rとを備えている。これらのリールのうち右側3個のリール40L、40C、40Rが停止表示する図柄組合せにより、遊技の結果が表示される。このように遊技結果の判定処理(入賞判定処理)に用いられるこれらのリール40L、40C、40Rを「メインリール」と称している。一方で、左端のリール40Sは、遊技結果に影響を及ばさないことから「サブリール」と称している。ただし、サブリール40Sが表示する図柄は、遊技結果に与しない演出用の図柄であり、入賞判定処理においては考慮されない。ただし、サブリール40Sは、隣接するメインリール40C、40R、40Lと連動することにより、なんらかの遊技役に対応付けられている図柄組合せを表示したり、メインリール40L、40C、40Rとは異なる態様の回転動作でリール演出を行ったり、左のストップボタン56Lへの停止操作と同時に図柄を停止表示(いわゆる「ビタ止まり」。)したりする等の特殊な図柄演出を行うことができる。
ここで、遊技結果を表示するメインリール40L、40C、40Rにおいて、実際には右端にあるメインリール40Lは左のストップボタン56Lに対応して停止することから、本明細書では「左メインリール」と称している。また、サブリール40Sの右隣りのリール40Cは、中のストップボタン56Cに対応して停止することから「中メインリール」と称している。中メインリール40Cの右隣りのリール40Rは、右のストップボタン56Rに対応して停止することから「右メインリール」と称している。また、右端に設けられている左メインリール40Lを「第1回胴」、中メインリール40Cを「第2回胴」、右メインリール40Rを「第3回胴」ということがある。
また、スロットマシン10は、遊技に用いる遊技媒体であるメダルを遊技者が投下するためのメダル投入口51、遊技者がクレジット(スロットマシン内部に貯留しているメダルのこと。)を用いて1枚のメダルを賭ける操作をするためのスイッチである1枚ベットボタン52、及び、最大規定枚数(通常は3枚)のメダルを賭ける操作をするためのスイッチである3枚ベットボタン54、メダルの払い出しや返却をするためのメダル払出口71を備えている。以下、図1を参照して、スロットマシン10の前面構造をより詳細に説明する。
(前扉の構造)
スロットマシン10の前扉(フロントドア)20は、遊技者に対し視覚的な演出効果を高めるような装飾デザインが施されたパネル部材により構成される。前扉20のこれらパネル部材は、サブリール40S及びメインリール40L、40C、40Rに付された図柄の表示等を行う領域である中央パネル部30と、中央パネル部30の下方においてこれらリール40S、40C、40R、40Lの回転及び停止等の遊技操作を行うためのスイッチ等が配置される操作パネル部50と、中央パネル部30の上方において主に遊技演出のための電飾ランプやスピーカ等が配置される上部パネル部60と、操作パネル部50の下方においてスロットマシン10の遊技において登場するキャラクタなどの絵が描かれる下部パネル部70と、により概ね構成される。なお、前扉20は、それぞれユニット化された中央パネル部30、操作パネル部50、上部パネル部60及び下部パネル部70等により組み立てられるが、これらパネル部が一体として構成される1つのパネル部材により前扉20を製造してもよい。
中央パネル部30には、硬質アクリル等の樹脂板からなる中パネル(後述する大パネル320と小パネル330の2枚構造の透明パネル板))が設けられる。中央パネル部30の略中央部には、2個の中メインリール40C、右メインリール40Rについて、2×3の合計6個の図柄を表示するための矩形状の第1表示窓32aが形成されている。中央パネル部30の略右部には、左メインリール40Lの1個の図柄を表示するための第2表示窓32bが形成され、中央パネル部30の略左部には、サブリール40Sの3個の図柄を表示するための第3表示窓32cが形成されている。
サブリール40S及びメインリール40L、40C、40Rは、各回転軸が、水平方向の同一直線上に並ぶように設けられ、各々リング状の形状を有し、その外周面には例えば20個の図柄が等間隔で印刷された帯状のリールテープ(図17参照)が貼り付けられている。メインリール40L、40C、40Rが停止したときは、第1表示窓32aを透してメインリール40C、40Rの各外周面に付された2リール×3図柄の合計6個の図柄が停止表示され、第2表示窓32bを透してメインリール40Lの外周面に付された1個の図柄が停止表示される。また、サブリール40Sが停止したときには、第3表示窓32cを透してサブリール40Sの外周面に付された3個の図柄が停止表示される。
ここで、サブリール40S、中メインリール40C及び右メインリール40Rが停止しているときに第1及び第3表示窓32a、32cに表示される連続する3個の図柄のうち、最も上側の停止表示位置を上段U、中央の停止表示位置を中段M、最も下側の停止表示位置を下段Lとする。また、右端の左メインリール40Lが停止しているときに第2表示窓3bに表示される1つの図柄の停止表示位置を中段Mとする。なお、左メインリール40Lの図柄を表示する第2表示窓32bは、第1表示窓32aの下段Lに隣接して形成されているが、第1表示窓32aの中段M又は上段Uに隣接する高さ位置に形成されてもよい。
また、第1及び第2表示窓32a、32bには、メインリール40C、40R、40Lをそれぞれ横切る入賞ラインが定められている。この入賞ラインは、第1及び第2表示窓32a、32bにおいて、例えば各メインリールの中段Mを水平に貫く入賞ラインL1によって構成されている。
入賞ラインL1は、各々、予め定められた複数種類の遊技役に対応する図柄組合せを判定する際の基準となるラインであり、メインリール40L、40C、40Rが停止したときに、有効とみなされた入賞ラインL1(以下、「有効ライン」という。)に対応する停止表示位置に各々停止表示された3つの図柄の組合せが、何れかの役に対応していたときに、その役が入賞若しくは成立したことになる。
なお、図示はしないが、有効ライン(入賞ライン)を、例えば第1表示窓32aにおいて中メインリール40C及び右メインリール40Rの下段Lと、第2表示窓32bにおいて左メインリール40Lの中段Mを水平に貫くラインとしてもよい。この場合、第1及び第2表示窓32a、32b間の有効ラインが直線状となる。これらの他に有効ラインをメダルの投入数(ベット数)に応じて増減させてもよい。例えば最大規定枚数のメダルが投入された遊技では、上記ラインL1にとともに、直線状のラインや斜めのラインも有効ラインとして加えてもよい。また、有効ラインを上記ラインL1だけに固定し、メダルの投入数に応じて役の当選確率が異なるようにしてもよい。
また、中央パネル部30には、遊技に関する各種情報を遊技者へ知らせるための各種ランプ及び表示器等が設けられている。例えば、左中及び右のストップボタン56L、56C、56Rに対応して、左中及び右の3つの操作指示ランプ33L、33C、33Rを設けてもよい。例えば、後述するAT(アシストタイム)が作動した遊技においては、操作指示ランプ33L、33C、33Rの何れかが点灯することで、停止操作を促すストップボタンの位置を遊技者に報知することができる。すなわち、操作指示ランプ33Lが点灯したときは左のストップボタン56Lを、操作指示ランプ33Cが点灯したときは中のストップボタン56Cを、操作指示ランプ33Rが点灯したときは右のストップボタン56Rを、各々停止操作すべきであることを示す。
また、中央パネル部30の下部には、クレジット数表示器35及び獲得数表示器36が設けられている。クレジット数表示器35は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、スロットマシン10のRAMに記憶しているクレジット数(内部貯留しているメダル枚数)を表示する。獲得数表示器36は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、入賞役が成立したことにより遊技者に払い出されるメダルの枚数を表示する。なお、入賞によりメダルを払い出す際には、その払い出される枚数がクレジットに加算されるが、クレジットが満杯(例えば50枚)のときには、その上限を超える枚数分のメダルがメダル払出口71から払い出される。
次に、中央パネル部30の下方に設けられる操作パネル部50は、その上面が若干遊技者側に傾斜する卓状部50aを有している。その卓状部50aの上面右部に遊技者がスロットマシン10の内部へメダルを投下するためのメダル投入口51が設けられている。なお、このメダル投入口51の内部には、投下されたメダルを検出し、かつ、正規又は非正規のメダルを振り分けるメダルセレクタ28(図2参照)が設けられている。スロットマシン10の後述するメイン制御手段100は、このメダルセレクタが出力する投入センサ信号をカウントすることで、投入されたメダルの枚数を認識することができる。
卓状部50aの上面左部には、1枚ベットボタン52及び3枚ベットボタン54が設けられている。1枚ベットボタン52が操作されると、1枚のメダルがクレジットから遊技に賭けられる。3枚ベットボタン54が操作されると現在の遊技状態で定められる最多のメダル枚数(通常3枚)が遊技に賭けられる。例えば、後述するBBなどのボーナスが非内部中又は内部中の通常遊技であれば3枚、BBなどのボーナスが作動した特別遊技中であれば2枚のメダルが投入されるように設定されている。つまり、3枚ベットボタン54は、当該遊技における最大規定枚数のメダルをベットすることから、通称「マックスベットボタン」ともいう。
遊技者がメダル投入口51からメダルを投下し、又は、1枚ベットボタン52若しくは3枚ベットボタン54を操作して、投入数が当該遊技の規定枚数に達すると、入賞ラインL1が有効となる。また、各ベットボタン52、54を操作してメダルを投入した場合は、クレジット数が減算され、これに伴ってクレジット数表示器35に表示されている値も減算される。規定枚数(例えば3枚)のメダルが既に投入されている状態で、さらにメダル投入口51からメダルが投下されると、当該投下されたメダルの枚数がクレジットに加算されるとともに、クレジット数表示器35に表示されている値も加算される。
操作パネル部50の右部には、例えば押圧スイッチである清算ボタン57が設けられている。清算ボタン57が操作されると、まず当該遊技に賭けられているメダルが払い戻される。メダルが賭けられていない状態で清算ボタン57が操作された場合には、クレジットされているメダルがメダル払出口71から払い戻される。
操作パネル部50の正面左部には、球状の操作ノブを有し傾倒操作が可能なレバースイッチであるスタートレバー55が設けられている。スロットマシン10においては、遊技者がメダルを規定枚数投入すると遊技開始の状態となる。遊技者がスタートレバー55を傾倒操作すると、全てのリール40S、40C、40R、40Lの回転が開始する。このとき、リール40S、40C、40R、40Lの各外周面の図柄が表示窓32a、32bを通して上から下へと移動(スクロール)して表示される。
操作パネル部50の正面の中央部には、メインリール40L、40C、40Rの回転を停止させる操作(これを「停止操作」という。)をするためのストップボタン56L、56C、56Rが設けられている。ここで、左のストップボタン56Lは、実際には右端にある左メインリール40Lに対応し、中央のストップボタン56Cは中メインリール40Cに対応し、右端のストップボタン56Rは右メインリール40Rに対応している。
また、詳細は後述するが、スロットマシン10に備えられる停止図柄決定手段は、役抽選手段による役抽選結果と、遊技者がしたストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作順に基づいて、許容される最大の滑り制御コマ数(例えば5コマ)以内に停止できる図柄を停止図柄として決定する構成を有している。つまり、役抽選で何らかの役が当選したときは、停止操作のタイミングに応じてその役に対応する図柄組合せを構成する図柄を停止図柄として決定し、決定した当該停止図柄を有効ライン上に揃うようにメインリールを停止させる制御(これを「引込制御」という。)が行われる。一方、役抽選の結果がハズレであった場合は、何れの役にも対応しない図柄組合せを構成する図柄を停止図柄として決定し、決定した当該停止図柄を有効ライン上に揃うようにメインリールを停止させる制御(これを「蹴飛ばし制御」という。)が行われる。
なお、スタートレバー55への操作を契機にメインリール40L、40C、40Rの回転が開始してから定速回転(例えば、80回転/分)に達するまでは、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作は受け付けられない。また、フリーズなどの特殊演出の状態下においては、メインリール40L、40C、40Rが定速回転に達している場合であっても、例外的にストップボタン56L、56C、56Rへの操作を受け付けない(操作がされても無効となる)場合もある。
次に上部パネル部60には、その中央部に画像表示装置として例えば液晶表示器61が設けられている。液晶表示器61は、例えば遊技の進行に応じて展開するアニメーションなどの画像や映像を演出表示する。また、役抽選の結果を報知する報知画像、遊技履歴を表示する履歴画像なども表示可能である。なお、このようなスロットマシン10の演出用の表示装置としては、液晶表示器61でなくても、例えばドットマトリクス式の表示装置など画像情報や文字情報を遊技者が遊技中に視認し得る装置であれば特に限定されない。
また、液晶表示器61の左右には、上部パネル部60の背面側に設けられるステレオの上部スピーカ64Ls、64Rs(図2参照)からの音を外部に放出させる通気性メッシュ穴からなる放音部64L、64Rが形成されている。例えば液晶表示器61が表示する動画の演出画像に伴って、演出効果音が放音部64L、64Rを介して出力される。また、上部パネル部60には、上部ランプ62及びサイドランプ63L、63Rなどの電飾ランプが設けられている。上部ランプ62及びサイドランプ63L、63Rは、例えばメインリール40L、40C、40Rが停止して何れかの役が成立した場合において、その役に応じたパターンで点灯及び点滅することで、役の成立を視覚的に演出する。
また、下部パネル部70には、上述したメダル払出口71と受け皿72とが設けられている。スロットマシン10の筐体内部に収容されるメダル払出装置83(図2参照)が作動すると、メダル払出口71を介してメダルが付勢されて受け皿72へ払い出される。すなわち、メインリール40L、40C、40Rが停止したときに、有効ラインに沿って停止表示された3つの図柄の組合せが入賞役(例えばベルやスイカなどの小役)に対応していた場合にはその入賞役が入賞したと判定される。そして、入賞した場合には、スロットマシン10の内部に設置されたメダル払出装置83が作動して、その入賞役に設定された枚数のメダルがメダル払出口71から払い出されて受け皿72に貯留される。
また、メダル払出口71の左右には、下部パネル部70の背面側に設けられる下部スピーカ73Ls、73Rs(図2参照)からの音を外部に放出させる透し穴からなる放音部73L、73Rが形成されている。例えば、遊技において遊技役が成立したとき、上部ランプ62及びサイドランプ63L、63R等の演出ランプの点灯や点滅に連動した効果音が放音部64L、64R、73L、73Rを介して出力される。
図1に示される下部パネル部70には、水差し状のランプをモチーフにした形態を有するディスプレイ部77が形成されている。ディスプレイ部77は、着色された透光性の部材がこのようなランプなどの形状に型取りされて下部パネル部70に取り付けられている。下部パネル部70の背面部には、図示しないLED(発光ダイオード)を備え、入賞時や特殊演出時など遊技状態に応じてLEDが点灯することで、ディスプレイ部77の全体又は主要部分を発光させることができる。なお、ディスプレイ部77は、下部パネル部70と一体成型されるものでもよい。また、ディスプレイ部77は、ランプなどの絵を印刷した透明シートを下部パネル部70に装着したものでもよい。
また、下部パネル部70にはディスプレイ部77とともに下発光部78が形成されている。下発光部78は、ディスプレイ部77の一部(例えばランプの口)から立ち昇る煙をモチーフとした形態を有して形成されている。この下発光部78も、下部パネル部70の背面側に設けた複数のLED(図示略)を適宜点灯させることにより、下部発光部78の全部又は一部を発光させることができる。
本実施形態のスロットマシン10は、上部パネル部60の液晶表示器61の右隣り及びその下方部に、下部パネル部70と同様の煙をモチーフとした形態の上発光部68と、サブリール40Sの第3表示窓32cを囲むように同様の中発光部38が形成されている。図1に示されるように、上部パネル部60、中央パネル部30及び下部パネル部70が所定位置に配置し組み立てた前扉20においては、上発光部68、中発光部38及び下発光部78が連続して繋がり、ディスプレイ部77のランプの口から立ち昇る煙をモチーフとした、全体として統一感のある装飾的形態を呈する電飾装置が構成されている。これら特徴的な電飾装置を構成する上発光部68、中発光部38及び下発光部78を、遊技の進行に応じて一斉に点灯又は点滅させたり、ディスプレイ部77(ランプ)から煙が立ち上るイメージを演出するために、下発光部78→中発光部38→上発光部68の順で点灯させたりする等の光による視覚的な演出が可能である。特に、中央パネル部30に設けられる中発光部38は、第3表示窓32cを取り囲む態様で設けられ、第3表示窓32cを介して視認されるサブリール40Sの動作に連動して、サブリール40Sの図柄を光で強調して表示する等の演出効果を奏することができる。
(前扉及び筐体内部の構造)
次に、スロットマシン10の内部構造を説明する。図2は、前扉20を開いた状態でスロットマシン10の内部構造を例示する図である。図2に示されるように、スロットマシン10は、矩形箱状の筐体80を備え、遊技中には前扉20によって筐体80が閉塞され施錠される。
筐体80内の水平フレームには、3つのメインリール40L、40C、40Rと1つのサブリール40Sを回転可能に支持するリール装置40が、前扉20の中央パネル部30に対向するように位置決めされて設けられる。リール装置40において、各リール40L、40C、40Rは、それらの回転軸が一つの水平直線に一致して設けられる。また、各メインリール40L、40C、40R及びサブリール40Sは、リール装置40のフレームに固定されるステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rm、40Smによって、それぞれ独立して回転駆動される(図16参照)。
筐体80内の底部には、スロットマシン10に搭載される種々の機器・装置に電源を供給する電源ユニット82と、複数枚のメダルを貯留可能なホッパーを備えるメダル払出装置83とが収容される。また、筐体80の上部に、透明又は半透明な硬質プラスチック製の基板ケース内に収容したメイン制御基板100が、筐体80から脱着不能に固定されている。メイン制御手段としてのメイン制御基板100は、スロットマシン10における主に遊技の進行を制御する電子制御回路基板である。
前扉20の背面側には、その上段部にサブ制御手段としてのサブ制御基板200が設けられている。サブ制御基板200は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドに基づいて主に遊技の演出を制御する電子制御回路基板である。詳細は後述するが、サブ制御基板200は、透明又は半透明な硬質プラスチック製の基板ケース内に収容され、脱着規制部材205を介して前扉80から脱着不能に固定されている。また、サブ制御基板200の左右に上部スピーカ64Ls、64Rsが設けられている。なお、図示はしないが、前扉20の上部を構成する上部パネル部60は、サブ制御基板200や上部スピーカ64Ls、64Rsの他に、上部ランプ62等を含めてユニット化されて構成されている。
前扉20の背面側の中段部には、メダル投入口51から投下されたメダルの振り分け及び検出を行うセレクタ28が設けられる。セレクタ28の右方には、スタートレバー55、ストップボタン56L、56C、56R等の操作系スイッチ類を主に搭載する端子基板であって、これらスイッチ信号をメイン制御基板100へ中継するドア中継端子板500が設けられている。また、セレクタ28の下方には、セレクタ28によって正規のものと判断されたメダルをメダル払出装置83のホッパーに導くシュート部24と、投入受け付けが拒否されたメダル又は異物と判断されたものを前面のメダル払出口71に導くメダル返却路25とが設けられる。また、前扉20の下部を構成する下部パネル部70の背面側には、上述したスピーカ73Ls、73Rsがそれぞれ設けられている。
(中央パネル部の構造)
次に、係る本実施形態のスロットマシン10において、前扉20の中央パネル部30の詳細な構造と併せて、特徴的な装飾的形態を有する電飾装置の1つである中発光部38の構造を更に説明する。ここで、図3は、中央パネル部30の構造を例示する分解斜視図である。
中央パネル部30は、硬質プラスチックにより横長矩形状に成型された支持枠体310と、支持枠体310に前方から取り付けられる第1透明パネル板である大パネル320と、大パネルの前面に取り付けられる第2透明パネル板である小パネル330と、大パネル320の前面であって小パネル330に隣接して取り付けられる装飾レンズ部材340と、装飾レンズ部材340を前方から固定する固定装飾部材351、352、353と、を少なくとも備え組み立てられる。
図3に示すように、支持枠体310の横方向の略中央部には、上述の第1表示窓32aに相当する開口部32aC、32aRが、縦に延びる仕切り311を介して縦長矩形状に2箇所に開口形成されている。第1の開口部32aCは、図3には図示されていない中メインリール40C(図3には図示されていない)の前方の位置に、第2の開口部32aRは右メインリール40R(図3には図示されていない)の前方の位置に形成される。また、支持枠体310の右下部には、上述の第2表示窓32bが開口形成され、支持枠体310の左部には、上述の第3表示窓32cが開口形成されている。
特定の表示窓である第3表示窓32cは、図3には図示されていないサブリール40Sの前方に開口形成される。支持枠体310においては、この第3表示窓32cの開口周縁に沿って前方に立設する内リブ315が一体形成されている。内リブ315よりも外側、つまり中メインリール40Cが配置される方向とは逆の左側に外リブ316が、内リブ315とは間隔を有して当該支持枠体310に形成されている。この外リブ316も、内リブ315と同様に前方に立設して支持枠体310と一体形成されている。これら内リブ315と外リブ316は、当該装飾レンズ部材340の外郭形状(本実施形態では煙の形状)に適合して曲線状に形成されている。
また、支持枠体310において、内リブ315と外リブ316との間には、本電飾装置の光源(発光素子)である複数のLED314、314、・・・が上下に適宜配置されている。そして、内リブ315と外リブ316との間の少なくとも一部に、後述する大パネル320や装飾レンズ部材340の位置を固定するための円柱状のボス部313が形成されている。また、支持枠体310の外縁部や隅部などの複数位置に、前扉20のフレームにネジ等で固定するための取付け部312が設けられている。
次に、第1パネル板である大パネル320は、支持枠体310と同形で略同寸法の透明なプラスチック板からなる。大パネル320は、例えばアクリル等の樹脂により一体成型されている。大パネル320には、第3表示窓32cの左縁に対応する位置で立設する内リブ322と、内リブ322から間隔をおいて外側の位置に立設する外リブ323とが形成されている。大パネル320が支持枠体310に取り付けられた状態では、支持枠体310の内リブ315と大パネル320の内リブ322とが前後方向において同じ位置となり、支持枠体310の外リブ316と大パネル320の外リブ323とが前後方向において同じ位置となる。大パネル320の内リブ322と外リブ323は、これらの間に装飾レンズ部材340を嵌合できるように、装飾レンズ部材340の外郭形状に適合して曲線状に形成されている。また後述するように、内リブ322と外リブ323は、装飾レンズ部材340の外周の位置で当該装飾レンズ部材340と嵌合するため、装飾レンズ部材340のこじ開けや不正具の侵入を防ぐ等の不正防止の効果もある。
大パネル320の外リブ323よりも外側隅部には、支持枠体310のボス部313が挿入される嵌合穴324が形成されている。また、複数個所に固定装飾部材351等をネジ止めするためのネジ穴325、325が形成されている。
次に、第2パネル板である小パネル330は、例えばアクリル等の樹脂により大パネル320よりも小さい寸法で矩形状に成型されている。すなわち、小パネル330は、支持枠体310の第3表示窓32c及びその右側を除く部分、要するに第3表示窓32cの左側で第1表示窓32a及び第2表示窓32bを覆う部分と重なる寸法の矩形板として形成されている。なお、小パネル330は、第1表示窓32a及び第2表示窓32bに重なる領域が無色透明であり、図示はしていないが、それら以外の表示窓の周辺に重なる領域には支持枠体310の内部構造を視覚的に隠す背景色で塗りつぶされ、また遊技方法などの案内を記載した文字や装飾された絵柄等が第1及び第2表示窓32a、32b以外の領域に印刷されている。
装飾レンズ部材340は、上述した中発光部38の要部を構成するレンズ部材であり、第3表示窓32cを取り囲む態様で、複数のLED314、314、・・・の光軸方向において、いくつかの膨出部により大パネル320よりも前方に突出して設けられる(図6参照)。装飾レンズ部材340は、透光性を有するプラスチック素材で、例えば射出成型法により一体成型される。本実施形態による装飾レンズ部材340は、煙をモチーフに外観形状が成型されているが、発明の実施にあたり装飾レンズ部材をどのような形態にするかは、搭載される遊技機の機種、テーマ、キャラクタ等に応じて適宜定めればよい。
装飾レンズ部材340は、支持枠体310に取り付けられた際に第3表示窓32cの外側を囲むように、概ねC字状を有している。より詳細には、概ねC字状の装飾レンズ部材340は、第3表示窓32cの左方に位置する略縦長の左膨出部341と、第3表示窓32cの下方に位置する略横長の下膨出部342と、第3表示窓32cの右上方に位置する略縦長の右上膨出部343と、第3表示窓32cの右下方に位置する略縦長の右下膨出部344とを有している。左膨出部341の上部と右上膨出部343の上部とは連結部345を介して連結している。左膨出部341の下部と下膨出部342の左部とが連結し、右下膨出部344の下部と下膨出部342の右部とが連結している。右上膨出部343の下部と右下膨出部343の上部とは連結しておらず、これらは間隙346を有して互いに対向している。
装飾レンズ部材340の主要部である左膨出部341、下膨出部342、右上膨出部343、右下膨出部344の各表面は、ダイヤモンドカットのように多数の凹凸を有して波面状に形成されている。このような波面状の表面を有する装飾レンズ部材340は、LED314からの光を屈折させ、各方向に散乱光を生じさせることができる。
装飾レンズ部材340において、左膨出部341の下部と下膨出部342の左部とが結合する位置に板状のブラケット部347が一体形成されている。またブラケット部347には、支持枠体310のボス部313が挿入される嵌合穴348が形成されている。
固定装飾部材351、352、353は、それぞれ遮光性を有する例えば黒色の樹脂部材である。固定装飾部材351の右端辺は、装飾レンズ部材340の左膨出部341の左端辺と適合するために、それと一致した輪郭を有して形成されている。固定装飾部材352の上端辺は、装飾レンズ部材340の下膨出部342の下端辺と一致した輪郭を有して形成されている。固定装飾部材353の上端辺は、装飾レンズ部材340の右上膨出部343の下端と一致した輪郭を有し、その下端辺は右下膨出部344の上端と一致した輪郭を有して形成されている。図示はしないが、固定装飾部材351、352、353の裏側には、大パネル320を介して支持枠体310の裏側より挿入されるネジを螺合させるボス部が設けられている。
ここで、図4には、大パネル320の右部に小パネル330が取り付けられ、小パネル330の左方に装飾レンズ部材340が取り付けられた状態の正面図が示される。また、図5には、更に、固定装飾部材351、352、353が大パネル320のそれぞれ所定の位置に取り付けられた状態の正面図が示される。これらの図に示すように、固定装飾部材351は、装飾レンズ部材340の左膨出部341の左側の領域を詰めるように大パネル320を介して支持枠体310にネジ止めされている。
図6には、図5のA−A’線で切断した場合の中央パネル部30(電飾装置)の断面構造が例示される。上述したように支持枠体310には、内リブ315及び外リブ316が前方に向けて立設されている。そして、外リブ316よりも外側の位置で、固定装飾部材351が大パネル320を挟んでネジ351sにより支持枠体310に固定されている。固定装飾部材351が支持枠体310に固定されると、図6に示されるように固定装飾部材351の右端部が、装飾レンズ部材340の左膨出部341の左端部に重なるように係合し、これにより装飾レンズ部材340の大パネルに320からの脱着を規制している。なお、固定装飾部材352も、図示はしないがその上端部が装飾レンズ部材340の下膨出部342の下端部に係合し、装飾レンズ部材340を大パネルに320に固定している。
図6に示されるように、支持枠体310には、大パネル320の内リブ322(第1の内リブ)に対応する後方位置に上述した内リブ315(第2の内リブ)が形成され、大パネル320の外リブ323に対応する後方位置に上述した外リブ316(第2の外リブ)が形成されている。これら内リブ315及び外リブ316が形成される間の裏面側に、光源としての複数の発光素子であるLED314(図6には1つのみのLED314が示されている)を搭載するLED基板360がネジ360s、360sにより固定されている。LED314は、支持枠体310に形成された穴に挿入され、装飾レンズ部材340に向けて背後から光を照射するように配置されている。この電飾装置(中発光部38)の構成によれば、支持枠体310及び大パネル320の2段の内リブ315、322と、同じく支持枠体310及び大パネル320の2段の外リブ316、323との間に、光源であるLED314が設けられているので、LED314から放射される横方向の光は、内リブ315、322及び外リブ316、323で遮光又は内側に反射される。したがって、サブリール40Sやメインリール40C等の表面へ電飾装置(中発光部38)からの光が漏れることがなくなり、これらリールの図柄の視認性を阻害することを防止できる。なお、このリールの視認性を確保する効果をより効率的に発揮するために、内リブ315、322に対して、好ましくは外リブ316、323にもシボ加工などの半透明又は遮光の表面処理を施してもよい。
また、装飾レンズ部材340(左膨出部材341)を照射するLED314、314、・・・は、支持枠体310の内リブ315及び外リブ316の間のスペースに複数設けられている(図3参照)。そして、LED314、314、・・・が点灯すると、その光は装飾レンズ部材340(左膨出部材341)を通過するときに屈折し、更に装飾レンズ部材340(左膨出部材341)の波面状表面に形成された多数の凹凸により、各方向に散乱光が放出される。LED314、314、・・・は、光波長帯域が赤、青、緑の何れのLED素子を有するものでもよく、またそれらの多色の素子の組合せによる例えば白色のLEDであってもよい。
なお、図示はしないが、装飾レンズ部材340の下膨出部342、右上膨出部343及び右下膨出部344も、それらの背後に設けたLEDにより前方に散乱光を放射できる構成となっている。また、図6には、肉厚の装飾レンズ部材340が記載されているが、装飾レンズ部材を中空体で形成してもよい。また、装飾レンズ部材の内側面を凹レンズ状にして、光の放射角を広げたり、逆に内側面を凸レンズ状にして光の放射角を一方向に狭めたりしてもよい。
また、図6などには、大パネル320の内リブ322と外リブ323との間の内側で装飾レンズ部材340が係合する実施形態が示されているが、大パネル320の内リブ322と外リブ323の各外側で装飾レンズ部材340が係合する構成でもよい。この構成によれば、大パネル320の内リブ322及び外リブ323が装飾レンズ部材340の端部により隠されるので、正面から見た中発光部38の見栄えが改善される。
本実施形態の電飾装置は、図1及び図3等で示したように、装飾レンズ部材340(中発光部38)を、第3表示窓32cを取り囲む態様で設けることができる。また光源であるLED314、314、・・・を、装飾レンズ部材340の背後に設けることができるので、装飾レンズ部材340や光源が第3表示窓32cを遮ることがなく、また、支持枠体310及び大パネル320の内リブ315、322及び外リブ316、323により、サブリール40Sやメインリール40C等の視認性を阻害することもない。また、サブリール40S等の図柄の視認性を確保できる位置に装飾レンズ部材340を設けることができるので、装飾レンズ部材340を様々にデザインする創作の幅が広がり、装飾レンズ部材340を例えば大胆で斬新な装飾的形態とすることができる。更には、例えばサブリール40Sの動作に合わせてLED314、314、・・・を点灯・点滅させることで、装飾レンズ部材340で屈折散乱された光を放射し、これによりサブリール40Sの図柄を光で強調して表示する等の従来にはない視覚的な演出効果を奏することができる。したがって、遊技の興趣をこれまで以上に高めることができる。
(サブ制御基板の電磁シールド構造)
次に、スロットマシン10に備えられる電磁シールド構造を説明する。ここでは、一例として、サブ制御基板を収容する基板ケース(ケース基体201、ケース蓋体202)内に設けられる電磁シールド構造(第1シールド板金部材203、第2シールド板金部材204)を説明する。図7は、サブ制御基板200を収容する基板ケースの分解斜視図である。また、図8は、そのサブ制御基板200の基板ケース(201、202)の構造を更に詳細に示す分解斜視図である。
まず、サブ制御基板200を収容する基板ケースは、ケース基体201及びケース蓋体202を備え、これらは透明又は半透明な硬質プラスチック成型体からなる。ケース基体201及びケース蓋体202は、互いに対向して組み立てられた状態では、全体として略四角形の箱体として形成される。なお、サブ制御基板200の基板ケースを構成する一方のケース基体201が、前扉20(図7には図示されていない)の背面側に設けられる固定フレーム部材220に着脱不能に固定されている。
ケース基体201の固定フレーム部材220とは反対側(筐体80側、つまり後方側)には、第1シールド板金部材203が配置され、その第1シールド板金部材203を介在させて、サブ制御基板200がケース基体201の後方側の複数個所でネジ止めされている。図8に示されるように、サブ制御基板200には、いわゆるグラフィックボードである画像制御基板210がコネクタを介して接続され、これにより2階建ての基板構造となっている。画像制御基板210には、画像処理プロセッサであるDSP(Digital Signal Processor)211が搭載されている(なお、図7及び8には、DSPを冷却する冷却ファンのみが図示されている)。また、画像制御基板210には、ホルダー212Fを介して音声基板212が搭載され、ホルダー213Fを介して演出ROM213が搭載される。
そして、この画像制御基板210を覆うように、第2シールド板金部材204が第1シールド板金部材203に結合される。第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204とは、それぞれ導電性を有する金属板から構成されている。第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204は、図7及び8に示されるように対向配置され、それぞれ上下の位置でコ字状に折り曲げて形成された両側壁面を重ねた態様で、物理的には弾性接続し、電気的には導通接続することにより、それらの内部に箱状に囲まれた電磁シールド空間を形成している。サブ制御基板200の少なくとも画像制御基板210は、第1シールド板金部材203及び第2シールド板金部材204によるこの電磁シールド空間内に配置される。これにより、画像制御基板210からの電磁波ノイズを効率的に遮断し、筐体80内でサブ制御基板200に近接して配置される例えばメイン制御基板100やメインリール基板600等の電子制御回路基板その他機器等への電磁干渉又は電磁障害を効果的に防止している。また、人体に帯電した静電気がスロットマシン10のフロントドアに装飾されたメッキなど導電性部材に触れたとしても、高電圧の静電気によるサブ制御基板20への直接的な影響を防ぐことができる。
図9及び図10を参照して、まず、第1シールド板金部材203について説明する。ここで、図9は第1シールド板金部材203の斜視図であり、図10は第1シールド板金部材203の三面図である。第1シールド板金部材203は、導電性金属板を所定の金型を用いてプレス加工することにより一体形成される。
第1シールド板金部材203は、図8に示したサブ制御基板200及び画像制御基板210を一体化した制御基板と略同形、同寸法の平坦面部2030を有している。図面上、平坦面部2030の左部の各縁に、上側壁面2031、それに対向する下側壁面2032、フラップ2034がプレスベンディングにより内側に折り曲げられ断面コ字状に成形されている。また、平坦面部2030の右部の各縁に、フラップ2035、フランジ2033a、2033b、2033cが内側に折り曲げ形成されている。上側壁面2031、下側壁面2032、フラップ2034、2035は、それぞれ概ね同じ高さで平坦面部2030の各縁から立設している。また、平坦面部2030の四隅にはネジ穴部2036a、2036b、2036c、2036dがプレス成形され、平坦面部2030の上下の各縁で上記右部と左部を分ける境界位置にもネジ穴部2036e、2036fがプレス成形されている。ネジ穴部2036a、2036b、2036c、2036d、2036e、2036fは、図示しないネジにより第1シールド板金部材203をケース基体201に取り付けるために設けられている。
第1シールド板金部材203の上側壁面2031には、図9に示されるように、上側壁面2031の長手方向に沿って細長い開口であるスリット2031a、2031bが形成されている。これらスリット2031a、2031bで挟まれる間の位置に、複数の通気口2031c、2031c、・・・が開口形成されている。また、上側壁面2031に対向する下側壁面2032にも、その長手方向に沿って細長い開口であるスリット2032a、2032bと、それらに挟まれる間の位置に、複数の通気口2032c、2032c、・・・が形成されている。
次に、図11及び図12を参照して、第2シールド板金部材204について説明する。図11は第2シールド板金部材204の斜視図であり、図12は第2シールド板金部材204の三面図である。第2シールド板金部材204は、導電性金属板を所定の金型を用いてプレス加工することにより一体形成される。
第2シールド板金部材204は、図8に示したサブ制御基板200の画像制御基板210と略同寸法で略四角形の平坦面部2040を有している。平坦面部2040には、画像制御基板210のDSP211(又は冷却ファン)に対応する位置に略正方形の第1の開口部2045が形成されている。開口部2045の端辺には、幅広のフランジ2045a、2045b、2045cが内側に折り曲げ成形されている。また、平坦面部2040には、画像制御基板210の演出ROM213に対応する位置に略正方形の第2の開口部2046が形成され、音声基板212に対応する位置に第3の開口部2047が形成されている。これら第1〜第3の開口部2045、2046、2047は、DSP211、演出ROM213、音声基板212等のヒートシンクを露出させ、これらの排熱性能を高めるために設けられている。また、第1〜第3の開口部2045、2046、2047により、演出ROM213や音声基板212等への不正改造等がなされていないか、目視検査を可能としている。
平坦面部2040の各縁には、上側壁面2041、それに対向する下側壁面2042、フラップ2043、2044がプレスベンディングにより内側に折り曲げられ断面コ字状に成形されている。上側壁面2041及び下側壁面2042は、それぞれ概ね同じ高さで平坦面部2030の各縁から立設している。図11において左側のフラップ2043は、上側壁面2041及び下側壁面2042よりも若干低く立設して形成され、右側のフラップ2044は、上側壁面2041及び下側壁面2042よりも若干高く立設して形成されている。
第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204は、第1シールド板金部材203の上側壁面2031と第2シールド板金部材204の上側壁面2041とが重なり、第1シールド板金部材203の下側壁面2032と第2シールド板金部材204の下側壁面2042とが重なって結合する。そのために、第2シールド板金部材204の上側壁面2041には、第1シールド板金部材203のスリット2031aに対応する位置で細長く延び、内側(図11では下方側)に凸の稜線を有する凸条部2041aが形成されている。また、第2シールド板金部材204の上側壁面2042にも、第1シールド板金部材203のスリット2032aに対応する位置で細長く延び、(図11では上方側)に凸の稜線を有する凸条部2042aが形成されている。
上側壁面2041の凸条部2041aは、上側壁面2041よりも内側(図11では下方側)の稜線を頂点とする断面三角形状を有しており、その長さは上述した第1シールド板金部材203のスリット2031aの長さと同じかそれ以下である。また、上側壁面2042の凸条部2042aも、上側壁面2042よりも内側(図11では上方側)の稜線を頂点とする断面三角形状を有しており、その長さは上述した第1シールド板金部材203のスリット2032aの長さと同じかそれ以下である。
図13に示すように、第1シールド板金部材203の上側壁面2031に第2シールド板金部材204の上側壁面2041を重ねると、第1シールド板金部材203のスリット2031aに第2シールド板金部材204の凸条部2041aが挿入して係合する。また、第2シールド板金部材204のもう1つの凸条部2041bも、同様に断面が三角形状を有しており、第1シールド板金部材203のスリット2032bに凸条部2042bが挿入して係合する。
図13(a)に示すように、第2シールド板金部材204の凸条部2041a、2041bは、上側壁面2041の内側(図13では左側)に押し出され断面が三角形状となるようにプレス成形される。これにより凸条部2041aの稜線を挟む両斜面2041aa、2041abは、上側壁面2041aの水平長手方向に長く延びる平坦面として形成されている。図13(b)に示すように、第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204とが結合した状態では、凸条部2041の平坦な両斜面2041aa、2041abと、スリット2031aの上下の開口縁とが接触し、電気的に導通(コンタクト)している。図示はしないが、上側壁面2041のもう1つの凸条部2041b、及び、下側壁面2042の凸条部2042a、2042bも、第1シールド板金部材203のスリット2031b、2032a、2032bにそれぞれ電気的に導通(コンタクト)して係合する。
このような、サブ制御基板200における本実施形態の電磁シールド構造によれば、第1シールド板金部材203のスリット(例えばスリット2031a)と、第2シールド板金部材204の凸条部の稜線を挟む両斜面(例えば凸条部2041aの斜面2041aa、2041a)を、それぞれ水平方向に長く形成できるので、これらの接触領域を距離的に長く確保することができる。これにより、第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204とを結合させたときの接触抵抗を減らすことができ、内部からの電磁波ノイズが放出されても常に第1シールド板金部材203及び第2シールド板金部材204の電位差を一定にして電磁シールド効果を高めることができる。
なお、本実施形態のように、電磁シールド構造体は、第2シールド板金部材204の凸条部2041a、2041b、2042a、2042bが、シールド空間が形成される側に稜線を有するように内側凸に形成されること、つまり、第1シールド板金部材203の上下側壁面2031、2032が内側に配置され、第2シールド板金部材204の上下側壁面2041、2042が外側に重ねて配置される構造であることが好ましい。このようなシールド構造によれば、第2シールド板金部材204の壁面よりも内側に凸条部が存在することになり、係合のための凸条部が不要な突起部とならず、シールド構造体を基板ケース(ケース基体201、ケース蓋体202)内に密に配置することができる。
また、第1シールド板金部材203の上下側壁面2031、2032と、第2シールド板金部材204の上下側壁面2041、2042とは、弾性的に接触した状態で重ねて配置されることが好ましい。そのためには、内側に配置され、コ字状に形成される第1シールド板金部材203の上下側壁面2031、2032の折り曲げ角度を、予め平行ではなく若干広角にプレス成形し、及び/又は、外側に配置され、同じくコ字状に形成される第2シールド板金部材204の上下側壁面2041、2042の折り曲げ角度を若干狭角にプレス成形しておくとよい。これにより、第1シールド板金部材203の上下側壁面2031、2032と第2シールド板金部材204の上下側壁面2041、2042とが、常時互いに近づく側に付勢され、これら重ねられた側壁面どうしが面接触した状態が安定的に維持される。したがって、第1シールド板金部材203と第2シールド板金部材204との接触面積が拡大し、シールド壁の有効断面積も増大するので、導通性が更に良好となり電磁シールド効果を更に高めることができる。
なお、図示はしないが、第2シールド板金部材204の凸条部2041a、2041b、2042a、2042bを、断面が半円又は円弧形状となるようにプレス成形してもよい。この実施形態では、凸条部の稜線を挟む両斜面が水平方向に長く延びる曲面として形成され、上述した実施形態と同様に、それぞれ係合する第1シールド板金部材203のスリット2031a、2031b、2032a、2032bとの接触抵抗を減らして電磁シールド効果を高めることができる。更に、凸条部2041a、2041b、2042a、2042bの断面が半円又は円弧形状のため、第1及び第2シールド板金部材203、204の結合及び取り外しの作業を容易にする等の効果も期待できる。
第1及び第2シールド板金部材203、204が結合されてなる電磁シールド構造体は、サブ制御基板200のアナロググラウンド及び前扉20並びに筐体80のフレームアースに接続して接地されることが好ましい。第1及び第2シールド板金部材203、204をこのように接地することで、電磁シールド構造体を低インピーダンス化し、また静電容量も無視できる程度となり、例えば外来の電磁波ノイズによる不要な電界や磁界の誘導を効果的に阻止することができる。また、シールド構造体を接地することにより、サブ制御基板200の静電気対策も図ることができる。
サブ制御基板200が第1シールド板金部材203を介してケース基体201に取り付けられた後に、サブ制御基板200の画像制御基板210の部分を被せるようにして、第2シールド板金部材204が第1シールド板金部材203に結合される。そして、ケース基体201の開放部を塞ぐようにケース蓋体202が取り付けられる。
ケース蓋体202は、図7に示されるように、画像制御基板210の冷却ファンに対向する位置に形成される複数の通気口2021と、サブ制御基板200のコネクタを露出させるコネクタ口2022、2023、2024と、脱着規制部材205が係合する係合段部2025等が形成されている。また、ケース蓋体202の隅部には、有底の丸穴であるカシメ収容部2026a、2026b、2026c、2026dが形成されている。カシメ収容部2026a、2026b、2026c、2026dの各底部において、第1シールド板金部材203及びサブ制御基板200の隅部を挟んで、ケース基体201とケース蓋体202とがネジ止めされる(図15参照)。このネジ止めには、締め付ける方向のみ回すことができるワンウェイネジが用いられることが好ましい。
カシメ収容部2026a、2026b、2026c、2026dの各底部でケース蓋体202をケース基体201にネジ止めした後、これらカシメ収容部2026a、2026b、2026c、2026dにはカシメキャップ206a、206b、206c、206dが挿着される。
図14は、カシメキャップ206aの斜視図である。カシメキャップ206aは、硬質透明のプラスチックからなり、中空円筒状の本体部2061と、本体部2061の軸方向端部に円形に張り出すフランジ部2062と、フランジ部2062がある側の本体部2061内部に形成され中央に小穴を有するオリフィス部2063と、本体部2061の外周2箇所に形成される弾性爪部2064と、を備えて一体形成される部材である。他のカシメキャップ206b、206c、206dも、図14に示すカシメキャップ206aと同形、同寸法のものであり、これらは全て共通する部材である。
図15は、サブ制御基板200の基板ケースにおけるカシメ収容部2026a周囲の断面図である。第1シールド板金部材203及びサブ制御基板200の隅部を挟んで、ケース基体201とケース蓋体202とがネジ止めされたカシメ収容部2026aには、カシメキャップ206aの円筒状の本体部2061が挿入される。このとき、カシメキャップ206aの弾性爪部2064が内側に変形してカシメ収容部2026aの内壁を摺動し、所定の位置に到ると、弾性爪部2064がカシメ収容部2026a内の段部に係合した状態となる。これにより、一旦、カシメ収容部2026aに挿入されたカシメキャップ206aは、外部からの取り出しが不可能となり、カシメ収容部2026aが封鎖される。他のカシメ収容部2026b、2026c、2026dも、カシメキャップ206b、206c、206dにより封鎖される。これによりケース基体201とケース蓋体202とからなる基板ケースは、一旦、カシメキャップ206a、206b、206c、206dで封鎖されると、再度開くことができない開放不能の構造となっている。このような開放不能の基板ケース構造は、サブ制御基板200への不正行為(ROM換えや、信号操作など)を防止するためであり、遊技の進行を制御するメイン制御基板100の基板ケースにも採用されている。
[スロットマシンの制御システム]
次に、スロットマシン10の制御システムを説明する。図16は、スロットマシン10のシステム全体のハードウェア構成を例示するブロック図である。メイン制御手段としてのメイン制御基板100は、CPU、ROM、RAM及び信号の入出力回路等を含んで集積化したマイクロコンピュータユニット(MPU)、サブ制御基板200へコマンド情報を送信する通信回路、及び、他の制御基板等に適合するインタフェース回路等を備える演算処理回路を搭載している。メイン制御基板100は、後述する役抽選、リール制御及び入賞判定等の基本的なスロットマシン遊技の進行を制御するための制御基板である。図16に示すように、メイン制御基板100には、サブ制御基板200、ドア中継端子板500、リール装置のメインリール基板600等の各種回路基板や、電源ユニット(図示略)等の他の内部装置が電気的に接続されている。
メイン制御基板100には、ドア中継端子板500を介して、左のストップボタン56Lに内蔵される停止ボタンセンサ56Ls、中のストップボタン56Cに内蔵される停止ボタンセンサ56Cs及び右のストップボタン56Rに内蔵される停止ボタンセンサ56Rsが接続されている。すなわち、各ストップボタン56L、56C、56Rへの操作状態が停止ボタンセンサ56Ls、56Cs、56Rsからの停止信号によりメイン制御基板100に入力される。
また、ドア中継端子板500を介して、スタートレバー55のスタートレバーセンサ55sがメイン制御基板100に接続され、すなわちスタートレバー55への操作状態がスタートレバーセンサ55sからのスタート信号メイン制御基板100に入力される。
同様に、1枚ベットボタン52に内蔵される1枚ベットスイッチ52sと、3枚ベットボタン54に内蔵される3枚ベットスイッチ54sと、清算ボタン57に内蔵される清算スイッチ57sからの各スイッチ信号(1枚投入信号、3枚投入信号、精算スイッチ信号)がドア中継端子板500を介してメイン制御基板100に入力される。
また、メイン制御基板100には、ドア中継端子板500を介してセレクタ28内の投入センサ28sが接続されている。つまり、投入センサ28sは、メダル投入口51から投下されたメダルが正規であると判別したことを示す投入センサ信号をメイン制御基板100に対し出力する。
なお、これらスイッチ信号及びセンサ信号は、所定周期(例えば2.23ミリ秒)の割込処理により、メイン制御基板100に備えられるRAMの所定アドレス領域に定期的に取り込まれる。なお、メイン制御基板100(メイン制御手段)において起動される定期的な割込処理を、本明細書では「メイン割込処理」という。
更に、メイン制御基板100には、ドア中継端子板500を介して数値表示基板700が接続されている。数値表示基板700には、クレジット数表示器35及び獲得数表示器36が実装されている。メイン制御基板100は、現時点で内部貯留されているクレジットのデータを数値表示基板700に出力し、数値表示基板700がそのデータを数値表示用のセグメントコードに変換してクレジット数表示器35に数値表示させる。また、メイン制御基板100は、ベル等の入賞時に払い出すメダルの枚数を決定すると、その払出数のデータを数値表示基板700に出力し、数値表示基板700がそのデータを数値表示用のセグメントコードに変換して獲得数表示器36に数値表示させる。
メインリール40L、40C、40Rを駆動制御するメインリール基板600には、各リール40L、40C、40Rを駆動するステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmと、各リール40L、40C、40Rの回転基準位置を検出するフォトセンサである回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsが接続されている。
メインリール40L、40C、40Rを駆動する際には、メイン制御基板100は、所定周期の割込処理毎に、例えば1−2相励磁方式により励磁相(例えばφ0、φ1、φ2、φ3)が変化する駆動パルス信号を生成する。駆動パルス信号は、メインリール基板600において電流増幅されてステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmに供給される。回転中のメインリール40L、40C、40Rの位置や有効ライン上の停止図柄(図柄番号)は、回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsからの基準位置検出信号と駆動パルス信号のカウント数とに基づいて、メイン制御基板100に常時把握される。
また、メイン制御基板100には、払出制御基板300を介してメダル払出装置83が接続されている。メダル払出装置83は、メダルを貯留可能なホッパー部と、ホッパー部に貯留したメダルを放出する払出機構部とを有している。メイン制御基板100は、入賞等によりメダルを遊技者に払い出すときに払出制御基板300に対し払出指令信号を出力し、払出制御基板300がメダル払出装置83を作動させてメダルを1枚ずつカウントしながら放出させる。なお、メダル払出装置83から放出されたメダルは、メダル払出口71から受け皿72へと排出される。
外部集中端子板400は、スロットマシン10が現在行われている遊技に関する情報を外部へ出力する際に、それらの情報を中継する基板である。例えばスロットマシン10に対応して別途設置されている遊技情報表示装置や、遊技場に設置されている各遊技機の遊技状態や出玉などを管理しているいわゆるホールコンピュータへ情報を送信する場合は、この外部集中端子板400を介して行われる。ここで、スロットマシン10からホールコンピュータへ送信される外部信号としては、遊技が行われる際にスロットマシン10へメダルが投入されたことを示す信号(IN信号)、遊技の結果、遊技者にメダルが払い出されたことを示す信号(OUT信号)、遊技状態がBBやRB等の特別遊技が作動中であることを示す信号(特別遊技作動信号)、再遊技が作動したことを示す信号(リプレイ作動信号)、スロットマシン10において異常を検知したことを示す信号(異常検知信号)、スタートレバー55が操作されたことを示す信号(スタート信号)、ATが行われていることを示す信号(AT信号)などがある。
次に、サブ制御手段としてのサブ制御基板200は、CPU、ROM、RAM及び信号の入出力回路等を含んで集積化したマイクロコンピュータユニット(MPU)、メイン制御基板100からのコマンド情報を受信するための通信回路、他の制御基板等に適合するインタフェース回路、スピーカ64L、64R、73L、73Rを鳴動させるためのサウンド回路、LED照明基板800に実装されている電飾ランプ(上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等)を点灯又は点滅駆動するためのランプ駆動回路を搭載している。メイン制御基板100とサブ制御基板200とは、シリアル通信ライン及びそれに併設されるパラレル通信ラインを介して接続されているメイン制御基板100とサブ制御基板200との間の情報の伝達は、メイン制御基板100からサブ制御基板200への一方向に限られており、その詳細については後述する。
遊技の演出制御の処理を実行するサブ制御基板200には、いわゆるグラフィックボードである画像制御基板210が図示しないコネクタを介して接続され、これにより2階建ての構造となっている。画像制御基板210は、DSP(画像処理プロセッサ)211、音声基板212、演出ROM213が接続されている。画像制御基板210は、サブ制御基板200の制御下で選択した演出パターンにより参照される音声データ(人の音声に限らず楽音、効果音、自然の音など広く含む)を音声基板212から取り込んで再生する。これとともに、画像制御基板210は、選択された演出パターンに従った画像データを演出ROM213から取り込みDSP211に送出する。DSP211は、画像制御基板210から受信した画像データを処理し、画像制御基板210が映像データのビデオ信号に変換して液晶表示器61に出力する。これにより、選択された演出パターンのアニメーションなど三次元的かつリアリティのある動画像が演出効果音とともに液晶表示器61に表示される。
サブ制御基板200による演出パターンの選択は、基本的にはメイン制御基板100から送信されてくる、役抽選結果や遊技状態等の情報を含むコマンドに応じて行われる。また、サブ制御基板200における演出抽選手段の結果に基づいて演出パターンを選択してもよい。そのような演出抽選により決定される結果としては、メイン制御基板100における役抽選の結果を遊技者に報知するかしないかの抽選(例えばAT抽選)などがある。さらには、スロットマシン10の本来の遊技に付随して行われる、遊技者参加型の連続演出(バトル演出等)における勝敗判定などの抽選を行うこともできる。
サブリール40Sを駆動制御するサブリール基板900には、サブリール40Sを駆動するステッピングモータ40Sm、サブリール40Sの回転基準位置を検出するフォトセンサである回胴センサ40Ssが接続されている。サブ制御基板200がサブリール40Sを駆動する方式は、メイン制御基板100がメインリール40L、40C、40Rを駆動する方式と同様に1−2相励磁方式を採用することができる。
[リールの図柄配列]
図17には、本実施形態のスロットマシン10に備えられる4つのリール(サブリール40S、メインリール40C、40R、40L)の各外周部に付される図柄の配列が例示される。なお、リールに付される図柄としては、図17に示されるような「ベル」、「スイカ」、数字の「7」及び「チェリー」などをモチーフとしたものが一般的に用いられる。しかし、これらの図柄のモチーフは伝統的に慣用されているものに過ぎず、スロットマシンの機種、テーマ、キャラクタ等に合わせて、適宜、変更し選択することができる。
この例では1つのリールに付される図柄数は20図柄であり、リールが回転する方向に沿って「0」〜「19」の図柄番号がそれぞれの図柄に割り当てられる。ただし、1つのリールに付される図柄数は20図柄に限定されず、例えば21図柄でもよい。図柄の種類毎に図柄コードが割り当てられ、各リール40L、40C、40R、40Sについて図柄番号と図柄コードとが対応付けられた図柄配列テーブル(図柄識別情報)がメイン制御基板100のROMに記憶される。これらの情報は、スロットマシン10が、透明部の各停止表示位置(上段U、中段M、下段L)に表示された図柄を識別する際に参照される。図柄番号及び図柄コードをまとめて「図柄識別情報」ということがある。図17に示した内容のリールテープを、各々対応するリール40S、リール40C、40R、40Lの外周面に巻回して無端状に貼り付けると、図柄番号「0」と「1」の図柄が隣接して連続することになる。
ここで、メインリール40L、40C、40Rについては、これらのリールが回転すると図柄番号の値が増加する方向、つまり透明部32a、32bにおいて図柄が上から下に向けてスクロール表示されることになる。サブリール40Sについては、基本的にはメインリール40Lに連動して図柄が上から下に向けてスクロール表示されるが、特殊な遊技演出をする際にはメインリールとは異なる動作をしてもよい。例えば、特殊演出中にサブリール40Sを逆回転させ図柄を下から上に向けて逆方向にスクロール表示したり、遊技者にメインリール40Lの目押しをアシストするために停止させるべき図柄(目標図柄)を先にサブリール40Sで表示したりすることができる。また、左のストップボタン56Lへの停止操作のタイミングと同時にサブリール40Sを停止させたり(ビタ止め)、逆に規定の最大滑りコマ数(例えば5コマ)以上滑らせてサブリール40Sを停止させたりしてもよい。
[スロットマシンの遊技に供される遊技役]
次に、スロットマシン10の遊技に供される遊技役(単に「役」ともいう。)を説明する。一般的なスロットマシンの遊技において予め定められている遊技役としては、主なものに小役(ベル等の入賞役)、再遊技役(リプレイ役)、RB役(レギュラーボーナス役)、BB役(ビックボーナス役)、MB役(ミドルボーナス役)などがある。なお、後述するように、各役には、メインリール40L、40C、40Rにより停止表示可能な少なくとも1つの図柄組合せが対応付けられている。スロットマシン10においては、遊技者によるストップボタン56L、56C、56Rへの操作に基づいてメインリール40L、40C、40Rが停止し、これにより有効ライン(例えば入賞ラインL1)に沿って表示された図柄の組合せに対応付けられる役が存在するとき、当該役が成立又は入賞することとなる。
これらの遊技役のうち、小役は、予め対応付けられているベルなどの図柄の組合せが有効ラインに揃うことで入賞となり、所定枚数のメダルが遊技者に払い出される役であることから入賞役ともいわれる。再遊技役(リプレイ役)は、成立すると次の単位遊技に限ってメダルを投入することなく再び遊技を行うことができるが、メダルの払い出しはない役である。
BB役、RB役及びMB役は、成立すると次遊技以降、所定の終了条件に至るまで、ボーナスなどの特別遊技に移行させる役であり、「特別遊技役」とも称される。ただし、特別遊技役は、何れも成立時のメダルの払い出しがない役である。
RB役は、成立することにより次の遊技からRB遊技(レギュラーボーナス)に移行させる役である。このRB遊技においては、通常遊技(特別遊技中ではない遊技であって、後述するRT又は非RTにある遊技)に当選する小役よりも少なくとも何れか1つの小役の当選確率が高くなる。そして、このような高確率遊技が継続し、所定回数(例えば12回)の遊技を消化するか、又は、所定回数(例えば8回)の小役の入賞によりRB遊技が終了する。
BB役は、成立することにより次の遊技からBB遊技(ビッグボーナス)に移行させる役である。BB遊技は、RB遊技が連続して作動し、所定の払出枚数上限を超えるメダルの払い出しで終了する遊技である。詳細は後述するが、本実施形態のスロットマシン10では、BB役として図柄組合せの異なる2種類のBB役(BB−A、BB−B)を備えている。BB−A役の成立により移行するBB−A遊技(以下「BB−A」と略称する。)は、45枚のメダルの払い出しで終了し、BB−B役の成立により移行するBB−B遊技(以下「BB−B」と略称する。)は、10枚のメダルの払い出しで終了するものとする。
MB役は、成立することにより次の遊技からMB遊技(ミドルボーナス)に移行させる役である。MB遊技は、全ての小役が当選状態となる遊技が、所定の払出枚数上限(例えば42枚)を超えるメダルの払い出しが行われるまで継続する。また、MB遊技中は、少なくとも1つのメインリールにおける引込制御の際の最大の滑り制御コマ数を、通常の例えば5コマ(例えば190ミリ秒以内)よりも少ない例えば2コマ(例えば75ミリ秒以内)に定めることができる。
RB役、BB役、MB役などの特別遊技役は、後述する役抽選手段により決定された当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる役である。このような当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる遊技役を「持越役」ともいう。これに対し、上述した小役や再遊技役は、当選状態を次遊技以降に持ち越すことができないので「非持越役」ということがある。役抽選により何れかの特別遊技役が決定することを「内部当選」といい、何れかの特別遊技役の当選が持ち越された状態を「内部中」という。この内部中においては、特別遊技役が重ねて当選役として決定されることはない。また、何れの特別遊技役も当選していない状態を「非内部中」という。単に「通常遊技中」という場合は、特に定義がなされていなければ、「内部中」及び「非内部中」の双方の状態が該当する。
スロットマシンの遊技では、役抽選手段による役の当選(決定)が当該役の成立(図柄組合せの停止表示)の前提条件とされている。また、後述するように役抽選手段による役の抽選結果には、1つ又は複数の役が同時に決定されることがある。本明細書では、そのような役の成立条件となる個々の抽選結果を「条件装置」と称して扱っている。そして、役抽選手段によりある抽選結果となることを、その「条件装置の作動」ということがある。
なお、スロットマシンに供される特別遊技役(持越役)として、BB役、RB役及びMB役全てを備える必要はなく、例えばBB役、RB役若しくはMB役の何れか1つのみ、RB役とMB役の双方、又は、BB役とRB役の双方を備えるものでもよい。
(遊技役の実施例)
図18〜図23は、役抽選の結果である条件装置の番号(条件装置番号)、条件装置名、及びそれらに対応する役及び図柄組合せを例示する図である。
図18(a)には、非内部中の通常遊技において作動し得る条件装置0、1と、各条件装置の作動により成立し得るBB−A役、BB−B役の図柄組合せが例示される。BB−A役は、成立すると次の単位遊技からBB−A遊技が開始されることとなる役であり、BB−B役は、成立すると次の単位遊技からBB−B遊技が開始されることとなる役である。BB−A遊技中に積算して45枚のメダルが払い出されるとBB−A遊技が終了し、BB−B遊技中に積算して10枚のメダルが払い出されるとBB−B遊技が終了する。なお、BB−A又はBB−B遊技中は、図23に示される条件装置番号2、17、18のみを対象とする役抽選が行われる。
図18(b)には、3枚賭けの通常遊技において作動し得る条件装置2〜4と、各条件装置に対応するハズレ、再遊技役、小役の図柄組合せが例示される。条件装置2にはハズレが対応し、ハズレの遊技では何れの役の組合せも構成しない図柄組合せが停止表示される。条件装置3には再遊技役(リプレイ役)が対応し、成立すると次の単位遊技に限ってメダルを投入することなく再び遊技(「リプレイ」ともいう)を行うことができる。
条件装置4には左中右ベルが対応し、条件装置4が作動すると「ベル1」、「1枚役1」〜「1枚役14」が同時に当選する。各役に対応付けされる図柄組合せは、図示された図柄組合せとなっている。役抽選により条件装置4が作動した遊技で、左中右の押し順(ストップボタン56L→ストップボタン56C→ストップボタン56Rの順)で停止操作がされると、入賞ラインL1に「ブドウ」「ブドウ」「白バー」が停止表示され、「ベル1」が入賞して8枚のメダルが払い出される。一方で、左中右以外の押し順で停止操作がされると、その操作のタイミングに応じて「1枚役1」〜「1枚役14」に対応する図柄組合せが表示され、1枚のメダルが払い出される可能性がある。
例えばBB−B役が内部中に条件装置4の抽選結果となった場合に、左中右の押し順では8枚役が100%の確率で入賞し、左右中の押し順では1枚役の何れかが100%の確率で入賞し、中第一の押し順では1枚役の何れかが1/2の確率で入賞し、右第一の押し順では1枚役の何れかが1/4の確率で入賞する。また、非内部中又はBB−A内部中に条件装置4の抽選結果となった場合に、左第一の押し順では8枚役が100%の確率で入賞し、中第一の押し順では8枚役が100%の確率で入賞し、右第一の押し順では1枚役の何れかが1/4の確率で入賞する。このように、非内部中又はBB−A内部中とBB−B内部中とでは抽選結果を異なる条件装置としてみなすことができ、同じ操作順でも入賞可能な小役を異なるようにすることができる。
図19には、3枚賭けの通常遊技において作動し得る条件装置5、6と、各条件装置に対応する小役の図柄組合せが例示される。条件装置5は、左中右ベルが対応し、8枚役の「ベル1」と、1枚役の「1枚役1」〜「1枚役6」、「1枚役15」〜「1枚役22」が同時に当選する。条件装置6は、右左中ベルが対応し、8枚役の「ベル2」、「ベル3」と、1枚役の「1枚役1」〜「1枚役3」、「1枚役7」〜「1枚役10」、「1枚役23」〜「1枚役27」が同時に当選する。各役に対応付けされる図柄組合せ及び設定される操作順は、図示されたとおりとなっている。
図20には、3枚賭けの通常遊技において作動し得る条件装置7〜9と、各条件装置に対応する小役の図柄組合せが例示される。条件装置7は、中右左ベルが対応し、8枚役の「ベル2」、「ベル3」と、1枚役の「1枚役4」〜「1枚役6」、「1枚役23」、「1枚役28」〜「1枚役33」が同時に当選する。条件装置8は、右左中ベル1が対応し、8枚役の「ベル4」と、1枚役の「1枚役15」、「1枚役16」、「1枚役34」〜「1枚役39」が同時に当選する。条件装置9は、右左中ベル2が対応し、8枚役の「ベル4」と、1枚役の「1枚役7」、「1枚役8」、「1枚役40」〜「1枚役45」が同時に当選する。各役に対応付けされる図柄組合せ及び設定される操作順は、図示されたとおりとなっている。
図21には、3枚賭けの通常遊技において作動し得る条件装置10〜12と、各条件装置に対応する小役の図柄組合せが例示される。条件装置10は、右中左ベル1が対応し、8枚役の「ベル5」と、1枚役の「1枚役46」〜「1枚役53」が同時に当選する。条件装置11は、右中左ベル2が対応し、8枚役の「ベル5」と、1枚役の「1枚役9」、「1枚役10」、「1枚役54」〜「1枚役59」が同時に当選する。条件装置12は、スイカが対応し、8枚役の「スイカ1」〜「スイカ4」と、1枚役の「1枚役60」が同時に当選する。各役に対応付けされる図柄組合せ及び設定される操作順は、図示されたとおりとなっている。
図22には、2枚賭けの通常遊技において作動し得る条件装置13〜16と、各条件装置に対応する小役の図柄組合せが例示される。2枚賭け共通役Aである条件装置13が作動すると、2枚役の「ベル1」が当選する。2枚賭け共通役Bである条件装置14が作動すると、2枚役の「ベル2」が当選する。2枚賭け共通役Cである条件装置15が作動すると、2枚役の「ベル4」が当選する。2枚賭け共通役Dである条件装置16が作動すると、2枚役の「ベル5」が当選する。これら条件装置13〜16が当選した遊技では、操作順に関係なく2枚役が100%の確率で入賞する。
図23には、2枚賭けのBB−A遊技又はBB−B遊技において作動し得る条件装置17、18が例示される。なお、条件装置2にはハズレが対応し、ハズレの場合には何れの役の組合せも構成しない図柄組合せが停止表示される。全小役ALLである条件装置17が作動すると、8枚役の「ベル1」〜「ベル5」及び「スイカ」が同時に当選する。1枚小役ALLである条件装置18が作動すると、1枚役の「1枚役1」〜「1枚役60」が同時に当選する。
[スロットマシンにおいて遷移する遊技状態]
(RT/特別遊技状態の遷移)
図24は、本実施形態のスロットマシン10において、メイン制御手段が管理する遊技状態の遷移を概念的に示す図である。メイン制御手段で管理される遊技の状態は、大まかには「通常遊技」か、BB役などの特別遊技役が成立した「特別遊技」かに分けられる。特に、通常遊技においては、後述する役抽選手段により特別遊技役(BB−A、BB−B)が内部中となって再遊技役の当選確率が上昇した状態を「RT」中という。特別遊技役が非内部中であっての再遊技役の当選確率が内部中よりも低い状態を「非RT」中という。
非RT中の再遊技役の当選確率は、例えば1/7.3となっている。そして、この非RTの通常遊技でBB−A役又はBB−B役が当選すると、再遊技役の当選確率が1/2.43〜1/7.3となるRT中に移行する。RT中の状態はBB−A役又はBB−B役が成立するまで継続する。BB−Aが開始されメダルの払い出しの総数が10枚を超えると非RTの通常遊技に戻る。また同様に、BB−Bが開始されメダルの払い出しの総数が45枚を超えると非RTの通常遊技に戻る。
なお、図示はしないが、通常遊技中に再遊技役の当選確率を更に変えたRTの状態が複数存在してもよい。例えば、遊技者が所定の押し順で停止操作したときなど特定の図柄組合せが表示された次遊技以降の遊技において再遊技役の当選が高確率となった遊技状態(RT1)や、後述するAT中に再遊技役の当選確率が変化した状態(RT2)や、再遊技役の当選確率が変化した遊技が有限回数だけ継続する状態(RT3)など、図24以外にも様々な種類のRT状態を設けることができる。
(AT/特殊演出状態の遷移)
図25は、本実施形態のスロットマシン10において、サブ制御手段が管理するAT状態とメイン制御手段が管理する特殊演出の遊技状態の遷移を概念的に示す図である。メイン制御手段における役抽選処理において、例えば条件装置12(スイカ)が当選すると、その結果がサブ制御手段へコマンド送信され、サブ制御手段においてはそのコマンドを受けてATの抽選が実行される。サブ制御手段においてATに当選すると、状態がAT当選中に変更される。
ここで、メイン制御手段は、役抽選処理を行った後、この当選した条件装置の情報をからサブ制御手段へコマンド送信する(条件装置番号コマンド)。また、メイン制御手段は、ストップボタン56L、56C、56Rの停止操作を受け付ける毎にその停止操作位置(右、左、中)及び停止図柄番号(0〜19)をサブ制御手段へコマンド送信する(回胴停止受付コマンド)。メイン制御手段における役抽選処理において条件装置4〜11のベル役が当選すると、ストップボタン56L、56C、56Rの押し順が設定される。サブ制御手段は、メイン制御手段からの条件装置番号コマンドと回胴停止受付コマンドとを受けることにより、当選した条件装置番号と、実際に遊技者が操作した停止操作の順番を認識することができる。つまり、サブ制御手段は、AT当選中において、メイン制御手段からのコマンドから、例えば条件装置8〜11のベル役の当選を認識すると、AT抽選を行う。そして、サブ制御手段は、ATが当選し(AT当選中)、その後2回の正解押し順(8枚役である「ベル4」又は「ベル5」が2回(場合によっては2回連続して)入賞したこと)を認識すると、ATが実行された状態(AT中)に変更する。
AT中においては、操作指示ランプ33L、33C、33Rの点灯や液晶表示器61の画像を用いて停止操作の順番が遊技者に報知される。通常は、「ベル1」〜「ベル5」などメダルの払出枚数がより多いほうの小役の入賞に導く押し順を正解押し順として報知される。また、遊技者にとって有利な遊技状態への移行に導く押し順を正解押し順として報知したり、逆に不利な遊技状態へ移行しない押し順を報知したりすることもできる。
ATが開始すると、初期のATゲーム数として例えば50ゲームが付与される。サブ制御手段は、AT中に、例えば条件装置12(スイカ)当選のコマンドを受けたときに、ATゲーム数の上乗抽選を行うことができる。上乗抽選に当選した場合には上乗数(ATゲーム数の追加)が決定される。また、上乗抽選に当選した場合に、更に上乗特別状態の抽選を行ってもよい。この上乗特別状態では、毎ゲーム上乗が発生する。ATは、ATゲーム数を消化することにより終了する。
なお、メイン制御手段は、例えば条件装置8〜11のベル役が当選し、2回連続の正解押し順により2回連続して「ベル4」又は「ベル5」が入賞した場合に特殊演出遊技を実行してもよい。この特殊演出遊技では、メイン制御手段は、遊技操作を受け付けないフリーズを実行したり、また例えば疑似遊技を行ったりしてもよい。疑似遊技中は、あたかも通常の遊技のようにスタートレバーやストップボタンの操作に基づいてリールの回転が制御されるが、リール動作に揺れ変動を伴って図柄が疑似的に停止表示される(これを「疑似停止表示」という)。例えばメイン制御手段が入賞ラインL1に「7」を揃えて疑似停止表示し、サブ制御手段が、上述のAT当選中の状態で、メイン制御手段からの「疑似7揃成立」のコマンドを受けることにより、次遊技からATを実行するようにしてもよい。
特殊演出(疑似遊技、フリーズ)中は、入賞判定(入賞ラインL1上に疑似停止表示された図柄組合せが何らかの役に対応しているか否かの判定)を行わない。つまり、仮に何らかの役に対応する図柄組合せが有効ラインに擬似停止表示されても、その役が入賞したことにならず、遊技結果には何ら影響を与えない(特典等が付与されることもない)。なお特殊演出は、疑似遊技とリール演出との組み合わせからなってもよい。また、特殊演出中は、疑似遊技が複数回数連続して行われてもよい。
[スロットマシンの制御手段]
図26は、スロットマシン10に備えられる各種制御手段を例示するブロック図である。ここでは、各種制御手段による動作を詳細に説明する。なお、以下説明する各種制御手段は、上述したメイン制御基板100(メイン制御手段)及びサブ制御基板200(サブ制御手段)の各CPUがROMなどに記憶した所定プログラムに従って演算処理を実行することにより実現される。
<遊技進行手段>
はじめに、メイン制御手段を構成する、遊技の実行に関連する制御手段を説明する。メイン制御手段は、スロットマシン遊技を進行させる遊技進行手段を備えている。図27は、遊技進行手段が実行するメインループ処理である遊技進行処理を例示するフローチャートである。スロットマシン10へ電源電力が供給されると、メイン制御手段は、はじめに初期化処理を実行する(ステップS101)。初期化処理には、メイン制御基板100のCPUにおけるスタックポインタやプログラムカウンタのセットなどの電断前の状態に復帰する処理が含まれる。そして、初期化処理の後に遊技開始処理が実行される(ステップS102)。詳細は後述するが、ステップS102の遊技開始処理では、再遊技作動時の自動投入やメダルの投入を許可するなどの処理が行われる。
遊技進行手段は、現在遊技に投入されている(賭けられている)メダルの枚数(ベット数)を記憶するベット数変数からベット数をレジスタに読み込む(ステップS103)。ベット数がないとき(ステップS104:NO)、メダル投入待ちの表示出力要求をセットする(ステップS105)。これにより、次の割込処理でメダル投入待ちを報知するランプなどが点灯する。
次に、メダル管理処理が実行される(ステップS106)。詳細は後述するが、メダル管理処理では、メダルが投入された場合のメダル投入処理、ベットボタン52、54が操作された場合のベット操作受付処理、清算ボタン57が操作された場合の清算処理などが実行される。
次に、遊技進行手段は、後述する役抽選手段による役抽選で使用されるソフト乱数を更新する(ステップS107)。そして、後述のスタートレバーチェック処理が実行される(ステップS108)。なお、スタートレバーチェック処理では、所定のエラーチェックを行いスタートレバー55の操作受け付けが可能か否か判断する。
遊技進行手段は、スタートレバー55の操作受け付けがあるまで、上述したステップS103〜S108のメダル管理に関する処理を繰り返す。そして、規定数のメダルが賭けられた状態でスタートレバー55の操作の受け付けがされると(ステップS109:YES)、遊技進行手段は、役抽選手段による役抽選処理を実行する(ステップS110)。
次に、遊技進行手段は、後述するリール制御手段による、全てのメインリール40L、40C、40Rの回転開始及び加速の処理を実行する(ステップS111)。上述したようにメインリール40L、40C、40Rへの回転制御は、ステッピングモータ41L、41C、41Rに対する1−2相励磁方式により行われ、φ0〜φ3の各励磁相への駆動パルス信号の更新が所定周期の割込処理毎に行われる。なお、サブリール40Sについては、メイン制御手段からの回胴回転開始コマンドをサブ制御手段が受信し、サブ制御手段に備えられるサブリール制御手段によりサブリール40Sの回転が開始される。スタートレバー55の操作が受け付けられると、メインリール40L、40C、40R及びサブリール40Sが、ほぼ一斉に回転を開始する。
そして、リール制御手段は、当選した役(条件装置番号)に基づいて滑りコマ数テーブルを作成する(ステップS112)。詳細は後述するが滑りコマ数テーブルには、停止図柄の引込制御をするために、各図柄番号を起点とする停止図柄までの滑りコマ数がセットされる。
そして、リール制御手段は、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作に基づくリール停止受け付けをチェックする(ステップS113)。ステップS113のリール停止受け付けのチェック処理では、1つのストップボタンへの停止操作が受け付けられると、作成された滑りコマ数テーブルが参照されて停止図柄が決定され、この決定された停止図柄を有効ラインに停止表示する引込制御が実行される。
リール制御手段は、全てのメインリール40L、40C、40Rの停止を判断するまで、ステップS113、S114までの処理を繰り返す。全てのメインリールの停止を判断すると(ステップS114:YES)、入賞判定手段が有効ライン(入賞ラインL1)上に停止表示された図柄を判定する(ステップS115)。すなわち、入賞判定手段は、有効ライン上に停止表示された、メインリール40L、40C、40Rの図柄組合せが何れかの当選役に対応付けられた組合せと一致するか否か判定し、これらが一致するとき当該当選役が成立(入賞)したと判定する。
入賞判定手段が例えば小役が入賞したと判定したときには、入賞処理手段が起動されメダルの払出処理を実行する(ステップS116)。なお、メダルの払出処理は、クレジットを加算する場合と、メダル払出口71からメダルを実際に払い出す場合とがある。本実施形態によるスロットマシン10ではクレジットへの加算(貯留)が優先される。
次に、遊技終了チェック処理が実行される(ステップS117)。ステップS117の遊技終了チェック処理では、小役が入賞したと判断されると、入賞処理手段は入賞した当該小役の当選役フラグをオフにする。また、再遊技役が成立したと判断されると、入賞処理手段は当該再遊技役の当選役フラグをオフにする。
また、遊技終了チェック処理において入賞処理手段は、再遊技役が成立したと判断されると当該再遊技役に係る作動フラグをオンにする。また、入賞処理手段は、BB−A役やBB−B役などの特別遊技役が成立した場合には、当該成立した特別遊技役に係る当選役フラグをオフにするとともに、当該成立した特別遊技役に係る作動フラグをオンにする。そして、遊技状態制御手段を起動して、当該成立した特別遊技役に係る特別遊技に遊技状態を移行させる。なお、特別遊技役の当選役フラグがオン(つまり特別遊技役が内部中の遊技)において、当該特別遊技役が成立しなかった場合には、当該特別遊技役の当選役フラグはオフにされず、次の遊技以降に当選状態が持ち越される。また、遊技終了チェック処理において遊技状態制御手段は、BB−AやBB−Bなどの特別遊技が所定の終了条件を満たすと判断した場合には、通常遊技に遊技状態を移行させる。なお、遊技状態制御手段は、例えば図24に示される条件を満たす場合にリプレイの当選確率が異なる遊技状態(RT状態)に遷移させる処理も行っている。
遊技進行手段は、遊技終了チェック処理後に、上述したステップS102の遊技開始処理に戻り、次の遊技の進行を開始させる。
<遊技開始処理手段>
次に、図27の遊技進行処理のステップS102で起動される遊技開始処理の詳細を説明する。ここで、図28は遊技開始処理を例示するフローチャートである。
遊技開始処理では、はじめにクレジット数表示要求がセットされる(ステップS121)。クレジット数表示要求が有効である間、メイン割込処理により、現在スロットマシン10に貯留されているクレジット数がクレジット数表示器35に表示される。そして、遊技開始処理手段は、作動フラグをチェックし(ステップS122)、再遊技が作動状態か否かを判定する(ステップS123)。なお作動フラグは、上述したように遊技終了チェック処理において、成立した役に応じてセットされる遊技状態を示すフラグである。
再遊技が作動状態であれば(ステップS123:YES)、メダルが1枚ずつ自動投入される。ここで「自動投入」とは、メダルが自動的に賭けられることをいう。具体的には、一定時間(例えば100ミリ秒)待機し(ステップS124)、そして1枚ベット処理(ステップS125)を前回の遊技で投入されたメダルの枚数になるまで(ステップS126:YES)繰り返し実行する。
遊技開始処理手段は、現在のクレジット数をCPUのレジスタに読込む(ステップS127)。そして、遊技開始処理手段は、クレジット数が上限(例えば50枚)か否か判断する(ステップS128)。クレジット数が上限未満の場合には(ステップS128:NO)、セレクタ28に対するブロッカ信号出力処理が実行され(ステップS129)、これによりメダル投入口51からのメダルの投下が許可される。つまり、セレクタ28にブロッカ信号が出力された状態では、メダル投入口51から投下されたメダルが内部に受け付けられ、投入センサ信号が出力される。
また、遊技開始処理手段は、当該遊技において再遊技が作動状態でないと判断した場合には(ステップS123:NO)、クレジット数の有無にかかわらずブロッカ信号出力処理を実行し(ステップS129)、メダルの投入を許可する。
このように、本実施形態のスロットマシン10では、遊技開始の状態で再遊技作動中と判断した場合には、クレジット数を判断してメダルの投下を許可するようにセレクタ28を制御する。一方、再遊技作動状態ではないと判断した場合には、クレジット数の有無にかかわらずメダルの投下を許可するようにセレクタ28を制御している。これにより、再遊技が作動した遊技開始の時期でも、メダル投入口51からのメダルの投下を受け付けるとともに、投下されたメダルがクレジットに加算される。
なお、フローチャートには示されていないが、遊技開始処理において、再遊技が作動中であっても清算ボタン57への清算操作の受け付けを可能としてもよい。つまり、再遊技中の清算処理を認めるようにしてもよい。
<メダル管理手段>
次に、図27の遊技進行処理におけるステップS106で起動されるメダル管理処理を説明する。ここで、図29はメダル管理処理を例示するフローチャートである。
メダル管理手段は、はじめにブロッカ信号が出力中か判断する(ステップS141)。ブロッカ信号が出力中と判断すると(ステップS141:YES)、セレクタ28の投入センサが作動(オン)したか判断する(ステップS142)。ブロッカ信号が出力中であって(ステップS141:YES)、メダル投入口51にメダルが投下されセレクタの投入センサが作動した場合には(ステップS142:YES)、正規のメダルが投入されたと推定し、メダル投入処理が実行される(ステップS143)。
なお、メダル投入処理では、セレクタ28のエラーをチェック後、正常であれば投入されたメダルの枚数をベット数に加算する。そして、ベット数が規定数に至ると遊技進行処理に戻る。
ブロッカ信号が出力されていないか(ステップS141:NO)、又はブロッカ信号が出力中であるが、投入センサが非作動(オフ)のときに(ステップS142:NO)、メダル管理手段が何れかのベットスボタン52、54の操作を検知すると(ステップS145:YES)、ベット操作受付処理を実行する(ステップS146)。
ステップS146のベット操作受付処理では、メダル管理手段は、クレジット数が1枚以上残されており、1枚ベットボタン52が操作されたときには、ベット数を1枚加算する。これとともに、クレジット数を1枚減算する。そして、ベット数が規定数に至ると遊技進行処理に戻る。ここで「規定数」とは、遊技状態に応じて定められる、遊技に賭けることができるメダルの枚数をいう。例えば通常遊技中の規定数は2枚又は3枚に定められ、MB遊技中の規定数は2枚に定められる。
ベット操作受付処理でメダル管理手段は、クレジット数が規定数以上残されており、3枚ベットボタン53が操作されたときには、ベット数を最大の規定数(通常は3枚)にし、クレジット数からベット処理された枚数分を減算する。
また、ブロッカ信号が出力されていないか(ステップS141:NO)、又はブロッカ信号が出力中であるが、投入センサが非作動(オフ)のときに(ステップS142:NO)、メダル管理手段が清算ボタン57の操作を検知すると(ステップS147:YES)、清算処理を実行する(ステップS148)。なお、清算ボタン57の長押しを検知するにより清算処理を実行するようにしてもよい。
ステップS148の清算処理では、メダル管理手段は、はじめに現在投入されているベット数を判断し、ベット数が存在すればメダル払出装置83を駆動して、その枚数分のメダルをメダル払出口71から払い戻す。ただし、再遊技が作動中の遊技開始の期間、又は、ベット数が存在しない場合には(直前にベット数が清算された場合を含む)、クレジットとして貯留されているメダルが全てメダル払出口71から払い戻される。
<スタートレバーチェック手段>
次に、図27の遊技進行処理におけるステップS108で起動されるスタートレバーチェック処理を説明する。ここで、図30はスタートレバーチェック処理を例示するフローチャートである。
スタートレバーチェック処理で、スタートレバーチェック手段は、はじめにセレクタ28やメダル払出装置83などのエラーをチェックする(ステップS151)。スタートレバーチェック手段は、現在の遊技における規定数をチェックし(ステップS152)、投入数(ベット数)が規定数を満たしているかチェックする(ステップS153)。上述したように「規定数」とは、遊技状態に応じて当該遊技に投入することができるメダル枚数をいう。
投入数が規定数を満たしていると判断すると(ステップS153:YES)、スタートレバーチェック手段は、スタートレバー55の操作受付が可能か否か判定する(ステップS154)。例えば、単位遊技の最短時間間隔を調整する遊技ウエイトタイマが4.1秒の所定時間経過を示していれば、スタートレバー55の操作受付が可能と判定する。
スタートレバーチェック手段は、スタートレバー55の操作受付が可能であると判定すると(ステップS154:YES)、スタートレバー受付許可フラグをオンにセットする(ステップS155)。他方、投入数が規定数を満たしていない場合(ステップS153:NO)、又はスタートレバー55の操作受付が可能でなければ(ステップS154:NO)、スタートレバー受付許可フラグのオフを維持する(ステップS156)。
スタートレバー受付許可フラグをオンにセットした後、スタートレバーチェック手段がスタートレバー55からのスタート信号レベルデータの立ち上り(オン)を検知すると(ステップS157:YES)、セレクタ28に対するブロッカ信号停止処理が実行され(ステップS158)、これによりメダル投入口51からのメダルの投下が禁止される。つまり、スタートレバー55が操作された後は、セレクタ28に対するブロッカ信号の出力が停止され、仮にメダル投入口51からメダルを投下してもそのメダルがメダル払出口71から払い戻される。
そして、スタートレバーチェック手段は、役抽選手段が役抽選に使用する乱数値を乱数発生器から取得する(ステップS159)。なお、役抽選に使用される乱数値は、カウンタ値とソフト乱数とに基づいて演算処理して求めてもよい。
<役抽選手段>
次に、図27の遊技進行処理におけるステップS110で起動される役抽選処理を説明する。役抽選手段は、遊技者によるスタートレバー55への操作に応じて、メイン制御基板100が有する乱数発生器によって発生された乱数をサンプリングし、当該サンプリングした乱数に基づいて、予め定められた条件装置(役抽選条件装置)のうち何れか1つを当選した条件装置とするかを定めるものである。
ここでは、図18〜図23に示した役の実施例に基づいて、役抽選手段による役抽選の各抽選対象の当選確率について説明する。図31には、通常遊技(非内部中、BB−A内部中及びBB−B内部中)における役抽選テーブルが例示される。また、図32には、BB−A中及びBB−B中における役抽選テーブルが例示される。これらの役抽選テーブルには、各抽選対象について、メイン制御基板100の乱数発生器が発生する乱数値(0〜65535の何れかの整数)のうち、当選と見なされる数値の数(以下、置数という。)が示されている。なお、乱数値「0」も数値に含まれるため、乱数発生器が発生し得る乱数値の数は65536となる。よって、各抽選対象の当選確率は、対応する置数を65536で割った値となる。また、図31、32に示す役抽選テーブルは、「設定1」〜「設定6」共通の役抽選テーブルとなっている。
図31に示す役抽選テーブルでは、条件装置名がBB−Aである条件装置0の置数は、非内部中の3枚賭けにおいて4300、非内部中の2枚賭けにおいて1となっている。条件装置名がBB−Bである条件装置1の置数は、非内部中の3枚賭けにおいて1、非内部中の2枚賭けにおいて4300となっている。なお、BB−A内部中及びBB−B内部中は、BB−A及びBB−Bの抽選は行われない。
3枚賭け非内部中の通常遊技の例で更に説明すると、ハズレに対応する条件装置2の置数は0、再遊技(リプレイ)に対応する条件装置3の置数は8978、左中右ベルに対応する条件装置4の置数は2820、左右中ベルに対応する条件装置5の置数は2820、中左右ベルに対応する条件装置6の置数は2820、中右左ベルに対応する条件装置7の置数は2820、右左中ベルに対応する条件装置8、9の置数は13300、右中左ベルに対応する条件装置10、11の置数は13300、スイカに対応する条件装置12の置数は748と設定されている。したがって、3枚賭け非内部中の通常遊技の例で抽選対象の当選確率が高い順に並べると、右左中ベル又は右中左ベルがそれぞれ13300/65536、再遊技が8978/65536、BB−Aが4300/65536、左中右ベル、左右中ベル、中左右ベル又は中右左ベルがそれぞれ2820/65536、スイカが748/65536、BB−Bが1/65536となる。ちなみに本実施例の3枚賭け非内部中の通常遊技における抽選でハズレはないが、低い確率(例えば1/65536)でハズレが決定されるようにしてもよい。そして、ハズレが決定された場合には、ATが付与されるようにしてもよい。
BB−A中及びBB−B中に使用される図32に示す役抽選テーブルでは、ハズレ(条件装置2)の置数は100、全小役ALL(条件装置17)の置数は16384、1枚役ALL(条件装置18)の置数は49052となっている。なお、BB−A中及びBB−B中は、BB−A及びBB−Bの抽選は行われない。したがって、BB−A中又はBB−B中の特別遊技での抽選確率は、1枚役ALLが49052/65536、全小役ALLが16384/65536であり、ハズレとなる確率は100/65536である。なお、BB−A中及び/又はBB−B中にハズレが決定される確率をゼロにし、必ず全ての小役が当選するようにしてもよい。
<リール制御手段>
次に、メイン制御手段に備えられるリール制御手段(図26参照)を説明する。リール制御手段は、メインリールの40L、40C、40Rの回転加速及び定速制御をするリール回転制御手段と、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作のタイミングに応じて対応するメインリールを停止させるリール停止制御手段と、有効ラインに停止させるべき図柄(停止図柄)を決定する停止図柄決定手段とを備え構成される。
(リール回転制御手段)
まず、メインリールを回転駆動するステッピングモータへの制御について説明する。図33は、スロットマシン10が採用する、1−2相励磁方式によるステッピングモータの回転制御の原理を説明するための図である。
リールの駆動手段として使用されるステッピングモータ(図2のステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rm)は、例えば4つの相φ0〜φ3を有している。リール回転制御手段からの駆動指令データ信号に基づいて、各相φ0〜φ3の励磁コイルには、互いにπ/2(単位:ラジアン)だけ位相がずれた4相の駆動パルス信号が所定周期の割込処理毎に次々に供給される。また、駆動パルス信号は、デューティ比が3/8(1周期に対しては3/4π相当)のパルス幅を有している。このような1−2相励磁方式により、各相の励磁状態がφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3及びφ3・φ0の8つの励磁相のステップ順で推移しながら、これを1サイクルとして回転動作が繰り返される。このような1−2相励磁方式によれば、メインリール40L、40C、40Rの回転トルクを十分確保しながら消費される電力を抑えることができる。
図34は、駆動パルス信号及び全相励磁停止信号の波形と、リールの回転速度との関係を示す図である。遊技に規定数のメダルが投入された状態でスタートレバー55が操作されると、リール回転制御手段は、全てのメインリール40L、40C、40Rのステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmに対し、駆動パルス信号のパルス幅が次第に又は段階的に短くなるように加速制御を行う。そして、リール回転制御手段は、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定の例えば80回転/分となったとき、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する。
ここで、メイン制御基板100のRAMには、各メインリール40L、40C、40Rに対応して図35に示されるような構成のリール制御フラグカウンタが管理される。リール回転制御手段は、所定周期の割込処理に応じてステッピングモータを1ステップ駆動する毎にリール制御フラグカウンタを更新することにより、リールの正確な回転位置を逐一把握しながら制御を行う。ここで、図35に示されるリール制御フラグカウンタは、リール状態フラグRF1と、回胴センサフラグRF2と、図柄ステップフラグRF3と、通過図柄フラグRF4と、停止図柄フラグRF5とを含むフラグ変数領域を有している。また、リール制御フラグカウンタは、ステップカウンタRC1と、位相カウンタRC2とを含むカウンタ変数領域を有している。また、図36は、1つのリールに関しリール制御フラグカウンタが時間の経過とともに推移する例を示す図である。なお、これらの図において、英数字の後に付された‘h’は、その英数字が16進数表記であることを意味する。
リール状態フラグRF1は、メインリール40L、40C、40Rの回転又は停止等の状態を示すフラグであり、当該リールが停止中のときには‘0’が設定され、加速中のときには‘1’が設定され、定速回転中のときには‘2’が設定され、制動中のときには‘3’が設定される。
回胴センサフラグRF2は、メインリール40L、40C、40Rが回転基準位置を通過したことを示すフラグであり、各リールの回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsがオンする間‘FFh’が設定される。
図柄ステップフラグRF3は、水平中段のラインL1を通過中の図柄の当該ラインL1に対する相対的な位置(回転角)を、ステッピングモータの残りステップ数で示すフラグである。すなわち、ある図柄の端部がラインL1に差し掛かった時に、初期値として、その図柄に割り当てられるステップ数(‘25’又は‘26’)が図柄ステップフラグRF3に設定される。そして、ステッピングモータが1ステップずつ回転する毎に図柄ステップフラグRF3の値が1ずつ減算(デクリメント)される。
通過図柄フラグRF4は、水平中段のラインL1を現在通過中の図柄の図柄番号が設定されるフラグである。
停止図柄フラグRF5は、リールの停止操作を受け付けた時に停止図柄決定手段により決定された停止図柄の図柄番号が設定されるフラグであり、すなわち中段のラインL1に停止させるべき図柄の図柄番号を示すフラグである。
ステップカウンタRC1は、リールの現在の回転位置を回転基準位置からのステップ数で示すフラグカウンタである。回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsによりメインリール40L、40C、40Rの回転基準位置が検出された時に当該リールに係るステップカウンタフラグRF6が‘1’にリセットされ、当該リールのステッピングモータに1ステップ分の駆動パルス信号が出力される毎に1ずつ加算(インクリメント)される。
位相カウンタRC2には、ステッピングモータの回転位置に対応する現在の位相状態がコード化されて設定される。具体的に位相状態は、ステッピングモータの最小可動単位(最小ステップ)毎に変化する8つの励磁相(φ0、φ0・1、φ1、φ1・2、φ2、φ2・3、φ3及びφ3・0)により表される。ステッピングモータが駆動パルス信号に基づいて正常に制御される間は、その位相状態と励磁状態とが一致している。したがって、位相カウンタには、出力中の駆動パルス信号の位相に基づいて対応するコード値が設定される。
例えば、ステッピングモータ41の励磁相がφ3・0のときには位相カウンタRC2に‘0’が設定され、励磁相がφ0のときにはRC2に‘1’が設定され、励磁相がφ0・1のときにはRC2に‘2’が設定され、励磁相がφ1のときにはRC2に‘3’が設定され、励磁相がφ1・2のときにはRC2に‘4’が設定され、励磁相がφ2のときにはRC2に‘5’が設定され、励磁相がφ2・3のときにはRC2に‘6’が設定され、励磁相がφ3のときにはRC2に‘7’が設定される。
(リール停止制御手段)
ここで、図37(a)には、通常の停止モードでリールが通常停止するときの回転速度の変化、及び、ステッピングモータへの全相励磁停止信号のタイムチャートが例示される。再びリール制御フラグカウンタの推移が例示されている図36を参照すると、この例では、図柄番号5の図柄がラインL1を通過中(RF4の値が‘5’)の時にストップボタンによる停止操作が受け付けられ、図柄番号8の図柄がラインL1に停止させる停止図柄として決定される(RF5の値が‘8’)。ここで、図柄番号8の図柄が占める、リールの回転方向における寸法幅は、ステッピングモータの回転角に換算すると25ステップに相当する。リール停止制御手段は、後述する停止図柄決定手段により決定された停止図柄(図柄番号8)がラインL1に差し掛かかる少し前、つまり停止図柄の1コマ前の図柄(図柄番号7)の残りステップ数を示すフラグRF3に‘4’が設定された時に、当該リールのステッピングモータに対して全ての相φ0〜φ3を励磁させる全相励磁停止信号を出力する。この全相励磁停止信号により生じるステッピングモータの制動力と回転するリールの慣性力とが対抗し、結果的には16ステップ相当量だけステッピングモータのロータが非制御状態で進む。これにより、停止図柄(図柄番号8)の中心がちょうどラインL1に一致する位置にリールを停止させることができる。
なお、実際の全相励磁のタイミングは、リールの慣性や、ステッピングモータの性能などに応じて変化する。このため、全相例示停止信号を出力するタイミング等はこの実施形態に限定されない。これらの制御パラメータは、遊技機の機種毎に例えば制動時にリールが進む量を実際の実機で確認等することで設定される。
次に、リール停止制御手段による、もう一つの停止モードである、揺れ変動を伴う疑似停止モードの停止制御を説明する。図37(b)には、疑似停止モードでリールが疑似停止するときの回転速度の変化、及び、ステッピングモータへの励磁停止信号のタイムチャートが例示される。スロットマシン10では、所定の条件を満足することにより、本来の遊技がフリーズして特殊演出が実行されることがある。この特殊演出の1つの例に疑似遊技演出がある。疑似遊技演出において回転中のメインリールに対し停止操作がされたときには、リール停止制御手段が、図37(b)に示されるようにステッピングモータの隣接する所定の2つの相(例えばφ0とφ1相)のみを励磁して当該リールを制動する。
疑似停止モードでは、位相カウンタRC2の値が例えば‘4’(φ1・φ2)の次の割込みで、位相カウンタRC2の値が‘5’(φ0)に指定される。リール停止制御手段は、例えばφ0・φ1→φ2→φ0・φ1→φ2→・・・のように特定の励磁相だけを繰り返し変動して励磁させる駆動パルス信号をステッピングモータに出力する。これにより、目的の図柄をラインL1の位置で完全に停止させずに揺れ変動させ、疑似的に停止しているように見せることができる(疑似停止表示)。
なお、疑似停止表示時には、制動の励磁相(この例ではφ0・φ1)の時間幅よりも、変動の励磁相(この例ではφ2)の時間幅のほうが長いことが好ましい。具体的には、φ0・φ1の時間幅が10ミリ秒であるのに対し、φ2の時間幅が390ミリ秒であるとすることができる。この場合、揺れ変動を生じさせる駆動パルス信号の周期は、400ミリ秒となる。
なお、上述したメイン制御手段のリール制御手段による、メインリール40L、40C、40Rの回転及び停止の制御方法は、サブ制御手段のサブリール制御手段によるサブリール40Sの制御にも採用されている。
(停止図柄決定手段)
次に、停止図柄決定手段を説明する。停止図柄決定手段は、回転中のメインリール40L、40C、40Rにおいて、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作順に基づいて、有効ラインL1に停止表示させるべき停止図柄を決定する手段である。停止図柄決定手段は、例えば図38に示すような滑りコマ数テーブルを参照して、停止図柄を決定する。滑りコマ数テーブルは、メインリール毎、及び、役抽選手段による決定される条件装置(抽選結果)毎に作成され、メイン制御基板100のROMに予め記憶されている。
滑りコマ数テーブルには、ストップボタンの操作が受け付けられた時にラインL1上を通過中の図柄の図柄番号と、その図柄番号の図柄から停止図柄までのコマ数差(滑りコマ数、最大で5コマ)とが対応して記載されている。図38は、役抽選手段による役抽選によって、条件装置4が当選したときに選択される滑りコマ数テーブルである。図38(a)には、停止操作を受け付けた時点の図柄番号とメインリール及びサブリールを停止させるまでの滑りコマ数との対応関係が、滑りコマ数テーブルとして示されている。例えば、(実際には右端に位置する)左メインリール40Lの図柄番号9の「白BAR」図柄がラインL1を通過中に、左のストップボタン56Lの停止操作が受け付けられると、3コマ先の図柄番号12の「白BAR」がラインL1に停止すべき停止図柄として決定される(図38(b)参照)。なお、サブ制御手段側のサブ停止図柄決定手段は、例えばサブリール40Sの図柄番号10の「チェリー」図柄が中段のラインL1を通過中に、メイン制御手段からストップボタン56Lの回胴操作受付コマンドを受信したときには、5コマ先の図柄番号15の「ブドウ」図柄を停止図柄として決定する。そして、サブリール制御手段は、決定した「ブドウ」図柄を中段のラインL1に引き込み停止させる。
同様に、中メインリール40Cの図柄番号10の「ブドウ」図柄が中段のラインL1を通過中に、中のストップボタン56Cの停止操作が受け付けられると、5コマ先の図柄番号15の「ブドウ」図柄が中段のラインL1に停止すべき停止図柄として決定される(図38(c)参照)。また、右メインリール40Rの図柄番号10の「リプレイ」図柄が中段のラインL1を通過中に、右のストップボタン56Rの停止操作が受け付けられると、1コマ先の図柄番号11の「ブドウ」図柄が中段のラインL1に停止すべき停止図柄として決定される(図38(d)参照)。
<演出制御手段>
次に、図26に示したサブ制御手段に備えられる、遊技の演出に関連する制御手段を説明する。演出制御手段は、メイン制御手段から送信されてくるコマンドに応じて、遊技の進行状況に適合した遊技演出を実行する手段である。サブ制御基板200のROMには、上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等の電飾ランプを様々な態様で点灯又は点滅させる点灯パターンデータが記憶されている。演出制御手段は、メイン制御手段からのコマンドに応じて選択される点灯パターンデータに基づいて電飾ランプを点灯・点滅駆動し、音声基板212から読み出した音声データを再生してスピーカ64L、64R、73L、73Rから音を出力させる。これとともに、演出制御手段は、メイン制御手段からのコマンドに応じて選択される演出パターンに従った画像データを演出ROM213から取り込み画像表示制御基板211に送出する。画像表示制御基板211は、画像データをビデオ信号に変換し液晶表示器61に出力する。これにより、選択された演出パターンのアニメーションなどの動画像が演出効果音とともに液晶表示器61に表示している。
(演出抽選手段)
また、演出パターンの選択は、メイン制御手段からのコマンドとは別に、サブ制御手段に備えられる演出抽選手段の結果に基づいて演出パターンを選択してもよい。そのような演出抽選により決定されるものとしては、他に例えばATを実行するか否かの「AT抽選」、ATの遊技回数を上乗する「上乗抽選」などがある。
<AT制御手段>
サブ制御手段に備えられるAT制御手段は、メイン制御手段側の役抽選で例えば条件装置12(スイカ)が当選したときなど所定の条件を満たすときには演出抽選手段にAT抽選を行なわせる。AT制御手段は、AT抽選によりATに当選したならば初期のATゲーム数(例えば50ゲーム)を設定し、AT報知手段を起動してATを実行する。AT制御手段は、ATに当選した状態をAT当選中とし、例えば8枚役のベルが2回入賞するなど、所定の条件を満たした次の遊技からATを実行するようにしてもよい。AT当選中に、メイン制御手段側で8枚役2回連続入賞後の特殊演出(疑似遊技)が実行されている場合には、その特殊演出終了のコマンド(例えば「疑似7揃成立」コマンド)をサブ制御手段が受信した後にATが実行されてもよい。また、AT制御手段は、AT当選中に、条件装置12(スイカ)が当選した場合に、更にAT抽選を行ってもよい。AT当選中に更にATに当選した場合には、ATの実行権利をストックしてもよい。なお、AT当選中に更にATに当選した場合には、ATをストックしないで、直ぐにATを実行するようにしてもよい。
AT制御手段は、管理しているATゲーム数を全て消化するとATを終了させる。なお、AT制御手段は、正解の押し順を報知した回数、AT中の純増枚数又は払出枚数が所定の上限値を超えたときを、ATの終了条件としてもよい。AT制御手段は、ATが終了すると次のATが実行されるまでの最多ゲーム数(天井遊技数)を設定する。そして、ATが実行されない期間では、毎遊技でこの天井遊技数を1ずつ減算し、天井遊技数が0になるとATを実行するようにしてもよい。なお、天井遊技数が0になったことを条件に演出抽選手段によるAT抽選を行い、これによりATが当選したときにATを実行するようにしてもよい。
(AT報知手段)
AT報知手段は、AT中に8枚役ベルなどの入賞役が入賞する正解の押し順や目押しのタイミング等を遊技者に報知して操作をアシストする手段である。具体的にAT報知手段は、操作指示ランプ33L、33C、33Rの点灯や液晶表示器61等の画像を用いて停止操作順を遊技者に報知する。通常は、「ベル1」〜「ベル5」などメダルの払出枚数がより多いほうの小役の入賞に導く押し順を正解押し順として報知する。また、遊技者にとって有利な遊技状態への移行に導く停止操作順を報知したり、逆に不利な遊技状態へ移行しない停止操作順を報知したりすることもできる。
(特典付与手段)
AT中に、メイン制御手段の役抽選で例えば条件装置12(スイカ)が当選したときには、特典付与手段が起動し、演出抽選手段によるATゲーム数の上乗抽選を実行させる。この上乗抽選に当選した場合には上乗数が決定され、現在のATゲーム数に上乗数が追加される。また、特典付与手段は、AT中に毎ゲーム上乗が発生する上乗特別状態に移行させる上乗特別抽選を演出抽選手段にさせてもよい。
(ペナルティ手段)
ペナルティ手段は、例えばメイン制御手段の役抽選で条件装置4〜11の何れかが当選し、右メインリール第1停止の変則押し(ペナルティ押し)が行われたことを示すコマンドを受信したときなどに、遊技者にペナルティを与えてもよい。具体的なペナルティとしては、例えば、所定ゲーム間、AT抽選を行わないようにすることや、ATの抽選確率を低確率状態から高確率状態に移行させる移行抽選を行わないなど、遊技者に不利となる状態を科してもよい。
また、ペナルティ手段は、例えばAT中に、報知した操作順とは異なる停止操作が行われたことを示すコマンドを受信したときなどに、遊技者にペナルティを与えてもよい。具体的なペナルティとしては、例えば、所定ゲーム間、ATの報知を行わないことや、特典付与手段を起動させない(例えば上乗抽選を行わない)などとしてもよい。
<割込処理手段>
次に、図26に示したメインの遊技進行処理(メインループ処理)とは別に定期的に起動される割込処理(メイン割込処理)を説明する。このメイン割込処理は、通常約0.2〜0.4ミリ秒行われ、その間、メインループ処理の進行は中断する。割込処理が終了すると再びメインループ処理に復帰する。メイン割込処理では、操作に係るスイッチやセンサ信号の入力、リール制御のための駆動パルス信号等の出力、シリアルコマンド、パラレルコマンド1の送信等が行われる。
図39は、メイン制御手段で実行される割込処理(メイン割込処理)の内容を例示するフローチャートである。図39の割込処理は、2.23ミリ秒の周期で発信する割込信号がメイン制御基板100のCPUに入力されたときに起動される。CPUが割込信号を検出すると、割込処理手段は、メインループで使用しているレジスタの値をRAMのスタック領域に退避する(ステップS201)。これにより、CPUのレジスタが解放され、以降説明する割込処理による使用が可能となる。次に、割込処理中に別の割込処理が始まらないように、割込処理の禁止フラグをオンにする(ステップS202)。そして、電源断信号に割り当てられた入力ポート2を読み込むことで、電源断検知を行う(ステップS203)。
割込処理手段は、電源断と判断したとき(ステップS203:YES)、電源断処理を行う(ステップS220)。電源断処理では、RAMのチェックサムデータを算出し、記憶する。そして、電源電圧監視装置からリセット信号が出力されるまで待機する。
一方、割込処理手段は、電源断でないと判断したとき(ステップS203:NO)、入力ポート0〜2の読み込みを行う(ステップS204)。入力ポート0には、清算スイッチ信号、3枚投入信号、1枚投入信号、スタート信号、停止信号(左、中、右)等のデータ、入力ポート1には、第3センサ信号(セレクタの信号)、ドアスイッチ信号、設定キー信号、設定ドア信号、設定/リセットボタン信号、回胴センサ(左、中、右)等のデータ、入力ポート2には、電源断信号、投入センサ信号(セレクタの信号)、払出センサ信号(メダル払出装置の信号)、満杯検知信号(ホッパーの信号)等のデータが入力される。
そして、タイマ計測が行われる(ステップS205)。タイマ計測では、4.1秒のウエイトの減算、メダル滞留時間の減算等が行われる。次に、ランプ管理処理が行われる(ステップS206)。ランプ管理処理では、遊技機の状態に応じて、設定値、獲得数、クレジット数(貯留メダル枚数)の表示を行う7セグ等の発光パターンを対応する出力ポートに設定する。
そして、割込処理手段は、入力ポート0〜2の読み込みを再度行い、ステップ204で読み込んだ値と比較し、同じであれば入力ポートのレベルデータを作成する(ステップS207)。異なる場合は、先に読み込んだ入力ポート0〜2の値はノイズによるものとしてレベルデータは作成されない。また、レベルデータに基づいて信号の立ち上がりデータが作成される。立ち上がりデータは、前回の割込処理で読み込んだ入力ポートのデータと、今回の割込処理で読み込んだ入力ポートのデータとを比較し、0(オフ)→1(オン)に立ち上がっている場合(又は立ち下がっている場合)に1(オフ)がセットされる。
そして、割込処理手段は、メインリールの駆動制御中であれば、対応するステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmに対し駆動パルス信号を1パルス出力する(ステップS208)。次に、メダル払出装置、セレクタのブロッカに対し、RAM(出力ポートバッファ)に記憶されているデータに基づきポート出力を行う(ステップS209)。
そして、パラレルコマンド1送信手段(図26参照)が、操作系の信号情報を示すパラレルコマンド1をサブ制御手段へパラレル通信する(ステップS210)。続いて、シリアルコマンド送信手段(図26参照)がRAM(送信用バッファ)に記憶されている未送信のコマンドをサブ制御手段へシリアル送信する(ステップS211)。
次に、割込処理手段は、RAMのスタック領域に退避したレジスタのデータを復帰させ(ステップS211)。そして、割込処理の禁止フラグをオフにして(ステップS213)、割込処理を終了する。これにより、メイン制御基板100のCPUの処理が中断したメインループ処理に戻る。
<コマンド送受信手段>
図26に示したように、本実施形態のスロットマシン10は、メイン制御基板100であるメイン制御手段と、サブ制御基板200であるサブ制御手段とを備え、シリアル及びパラレルの双方の通信ラインを介して、メイン制御手段からサブ制御手段へ一方向に情報が送信されるように構成されている。ここでは、はじめにシリアル通信ラインを介したシリアルコマンドの送受信について説明する。
(シリアルコマンド通信手段)
メイン制御手段のシリアルコマンド送信手段は、メイン割込処理中に定められた情報(図40〜図42参照)をシリアルコマンドとしてシリアル通信ラインに出力している。図40〜図42は、シリアルコマンドの1回の送信単位であるデータフレームの構成例を示す図である。各図には、各コマンドが送信される時期、及び送信される情報内容が示される。これらの図に示されるように、シリアルコマンドのフレームデータは、そのコマンドの種別(コマンド名に対応)を示す8ビットの第1制御コマンドと、当該コマンドのデータ内容を示す8ビットの第2制御コマンドとからなる。詳細は後述するが、メイン割込処理で送信されるシリアルコマンドとしては、主に、単位遊技の開始時に送信される遊技状態に関する遊技状態1・2コマンド、RT状態コマンド、BBが作動中であればその遊技開始時に送信される獲得可能枚数コマンド(上位・下位)、メダル投入時(再遊技の自動投入も含む)に送信されるメダル投入枚数コマンド、スタートレバー55の操作が受け付けられ役抽選処理後に送信される回胴回転開始コマンド及び条件装置番号コマンド、何れかのストップボタン56L、56C、56Rへの操作が受け付けられ停止位置が決定した後に送信される回胴停止受付コマンド、停止操作がされた当該メインリール40L、40C、40Rが停止する毎に送信される回胴回転停止コマンド、全てのメインリールが停止した後に送信される全回胴停止コマンド及び作動図柄表示コマンド、単位遊技終了時(入賞判定後)に送信される遊技終了コマンドなどがある。
なお、操作系に関する信号情報である、例えばスタート信号、停止信号、投入信号及びそれらのレベルデータなどの情報は、シリアル通信ラインを介したコマンドとしては送信されない。後述するように、これらの操作系に関する信号情報は、パラレル通信ラインを介したパラレルコマンド(コマンド1、コンパネコマンド)により、メイン割込処理において定期的にサブ制御手段へ送信されている。
なお、サブ制御手段において実行されるシリアルコマンド受信手段(図26参照)は、シリアル通信ラインに出力されたスタートビットを受信したときに、シリアルコマンドのデータ受信を開始する。それ以外にシリアルコマンド受信手段は、メイン制御手段側のシリアルコマンド送信手段によるDSR(データセットレディ)制御信号又はCTS(クリアトゥセンド)制御信号がオンであるときに、シリアルコマンドデータの受信を開始してもよい。
(パラレルコマンド通信手段)
次に、パラレル通信ラインを介したシリアルコマンド1の送受信について説明する。図43は、パラレルコマンドの1回の送信単位であるデータフレームの構成例を示す図である。同図には、各コマンドが送信される時期、及び送信される情報内容が示される。同図に示されるように、送信されるパラレルコマンドとしては、主に、毎回の割込処理で送信されるコマンド1(コンパネコマンド)、メインリール40L、40C、40Rの停止時、詳細には停止図柄決定直後に送信されるコマンド2(通常停止コマンド)、フリーズなどの特殊演出においてメインリール40L、40C、40Rが停止中に何れかのストップボタン56L、56C、56Rの操作がされた時に送信されるコマンド3(サブ停止コマンド)などがある。なお、同図及び本明細書において数字の後に付された‘b’は、その数字が2進数(バイナリ)表記であることを意味する。
((パラレルコマンド1))
メイン制御手段のパラレルコマンド1送信手段は、メイン割込処理中に、遊技操作に関連する操作系の信号情報をコマンド1(コンパネコマンド)としてパラレル通信ラインに出力する。
コマンド1(コンパネコマンド)は、遊技操作に関連する操作系の信号情報を送信するコマンドである。図43を参照すると、コマンド1は8ビットのデータフレーム構成を有し、BIT0には右停止信号レベルデータが設定され、BIT1には中停止信号レベルデータが設定され、BIT2には左停止信号レベルデータが設定され、BIT3には3枚投入信号レベルデータが設定され、BIT4には1枚投入信号レベルデータが設定され、BIT5には精算スイッチ信号レベルデータが設定され、BIT6にはスタート信号レベルデータが設定され、BIT7には値‘0’が固定されている。ここで、「左停止信号」は左のストップボタン56Lが操作されたときに出力される停止信号を、「中停止信号」は中のストップボタン56Cが操作されたときに出力される停止信号を、「右停止信号」は右のストップボタン56Cが操作されたときに出力される停止信号を意味する。
メイン割込処理は、例えば2.23ミリ秒の第1周期で定期的に起動されるため、コマンド1(コンパネコマンド)もこの第1周期T1(=2.23ミリ秒)毎にパラレル通信ラインに定期的に出力されている。パラレルコマンド1送信手段がメイン割込処理でコマンド1(コンパネコマンド)を出力した後、次のメイン割込処理が起動されるまで、つまり、第1周期T1の時間が経過するまでは、メイン処理手段はパラレル通信ラインの出力状態を保持する。一方、サブ制御手段において実行されるパラレルコマンド受信手段(図26参照)は、メイン割込周期(第1周期T1=2.23ミリ秒)よりも短い、例えば1ミリ秒(これを「第2周期T2」とする。)毎に起動する割込処理(サブ割込処理)において、パラレル通信ラインにアクセスする。つまり、パラレルコマンド受信手段は、メイン割込処理の第1周期T1よりも短い第2周期T2で、パラレル通信ラインから8ビットのコマンドデータを取得している。これにより、メイン割込の第1周期T1とサブ割込の第2周期T2とが同期していなくても、サブ制御手段のパラレルコマンド受信手段は、メイン制御手段において周期T1で更新される最新のコマンド1(コンパネコマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。なお、サブ制御手段において起動される定期的な割込処理を、本明細書では「サブ割込処理」という。
((パラレルコマンド2))
メイン制御手段のパラレルコマンド2送信手段は、遊技進行処理(メインループ処理)においてコマンド1の操作系の情報とは異なる所定の情報を決定した場合には、当該遊技進行処理(メインループ処理)において、当該所定の情報をコマンド2により早期にパラレル通信出力する。ここで「所定の情報」は、少なくとも遊技結果の表示に関連する情報を含む。
コマンド2(通常停止コマンド)は、各メインリール40L、40C、40Rの停止時、詳細には停止操作が受け付けられ停止図柄が決定された直後にメインループ処理で送信されるコマンドである。再び図43を参照し、コマンド2は、8ビットのデータフレーム構成を有し、BIT0、1には停止するメインリールの回胴番号がバイナリ(2進数)形式で設定され(第1回胴:01b、第2回胴:10b、第3回胴:11b)、BIT2〜6には、停止図柄決定手段により決定された停止図柄番号(0〜19)がバイナリ形式で設定され、BIT7には値‘1’が固定されている。ここで、「第1回胴」はメインリール40Lに、「第2回胴」はメインリール40Cに、「第3回胴」はメインリール40Rにそれぞれ対応する。
コマンド2(通常停止コマンド)は、上述の操作系の情報とは異なる所定の情報を送信するコマンドである。この場合の「所定の情報」は、具体的に例えば図43のコマンド2(通常停止コマンド)のBIT0、1に設定される停止回胴番号や、BIT2〜6に設定される停止図柄番号(0〜19)などである。これら「停止回胴番号及び停止図柄番号の情報」は「遊技結果の表示に関連する情報」でもある。この例において「所定の情報を決定した場合」とは、メイン制御手段が何れかのストップボタン56L、56C、56Rの停止操作を受け付け、停止図柄決定手段により、有効ラインに停止表示すべき停止図柄番号を決定した場合が該当する。
また、パラレルコマンド2送信手段は、停止図柄が決定された直後にコマンド2をパラレル通信ラインに出力し、次のメイン割込処理が起動されるまでの時間(これを「第1時間」とする。)、パラレル通信ラインの出力状態を保持する。メインループ処理で、前回の割込処理が終了後、停止図柄の決定までに0.4ミリ秒要するとしたならば、メイン割込周期は2.23ミリ秒なので、第1時間は1.83秒となる。一方、サブ制御手段側でパラレルコマンド受信手段が起動されるサブ割込の周期T2は1ミリ秒である(この時間を「第2時間」とする。)。つまり、メイン制御手段のパラレルコマンド2送信手段がコマンド2を出力する第1時間は、サブ制御手段のパラレルコマンド受信手段がコマンド2を取得する第2時間間隔よりも長く設定されている。これにより、パラレルコマンド受信手段は、メイン制御手段において送信される最新のコマンド2(通常停止コマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。
なお、「遊技結果の表示に関連する情報」とは、コマンド2の「停止回胴番号及び停止図柄番号の情報」に限定されない。例えば、スタートレバー55の操作を契機に決定された条件装置番号(遊技結果)も「遊技結果の表示に関連する情報」に含まれる。そのような情報を「所定の情報」として含むパラレルコマンドを、メインループ処理中にパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ出力する構成でもよい。
((パラレルコマンド3))
メイン制御手段のパラレルコマンド3送信手段は、遊技進行処理(メインループ処理)においてフリーズ中などに別の所定の情報を決定した場合には、当該遊技進行処理(メインループ処理)において当該情報をコマンド3により早期にパラレル通信出力する。
再び図43を参照し、コマンド3は、8ビットのデータフレーム構成を有し、BIT0には右停止信号の状態が設定され、BIT1には中停止信号の状態が設定され、BIT2には左停止信号の状態が設定され、BIT3〜6には、当該コマンドがコマンド3であることを示すコマンド種別コード(1111b)が設定され、BIT7には値‘1’が固定されている。
コマンド3(サブ停止コマンド)は、上述の操作系の情報とは異なる別の所定の情報を送信するコマンドである。この場合の別の「所定の情報」は、具体的に例えばフリーズなどの特殊演出において停止操作がされた位置を示す停止操作位置情報(左、中又は右停止信号)である。この例において「所定の情報を決定した場合」とは、フリーズなどの特殊演出においてメインリール40L、40C、40Rが停止中に、何れかのストップボタン56L、56C、56Rの操作を検知した場合が該当する。
また、パラレルコマンド3送信手段がコマンド3を出力する時間は、コマンド1、2と同様にサブ制御手段のパラレルコマンド受信手段がコマンド3を取得する第2時間間隔よりも長く設定されている。これにより、パラレルコマンド受信手段は、送信される最新のコマンド3(サブ停止コマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。
再び図43を参照し、コマンド3の送信単位であるデータフレームには、その一部の所定ビット位置に当該データフレームのコマンド種別を識別させるための種別コードが格納されている。つまり、図43に示されるように、コマンド3のデータフレームのBIT3〜6に、当該コマンドがコマンド3であることを識別させるコマンド種別コードの値‘1111b’が設定されている。
また、コマンド3が第1のコマンド種別であるとし、コマンド2が第2のコマンド種別であるとした場合、コマンド3が送信されるデータフレームの所定ビット位置(BIT3〜6)には、当該第1のコマンド種別を識別させる種別コード(‘1111b’)が格納され、第2のコマンド種別のコマンド2が送信されるデータフレームの所定ビット位置(BIT3〜6)には種別コード以外の情報が格納されている。つまり、コマンド2のBIT3〜6には、停止図柄決定手段が決定した停止図柄番号の一部が割り当てられ、コマンド2自身の種別コードは格納されない。コマンド2(BIT3〜6)にコマンド2自身の種別コードが格納されていなくても、コマンド3の同じビット位置にコマンド3自身の種別コードが格納されているので、サブ制御手段は、受信したパラレルコマンドのデータフレームのBIT3〜6の値から、コマンド2かコマンド3かを区別することができる。
コマンド2のBIT7には固定値‘1’が設定され、コマンド3のBIT7にも固定値‘1’が設定される。他方、操作系のコマンド1のデータフレームのBIT7には固定値‘0’が設定されているので、サブ制御手段は、受信したパラレルコマンドのBIT7のビットの値により、コマンド1か又はコマンド2、3の何れかであることを識別できる。このように、コマンド種別を判別させるビットを増加させることなく、少なくとも3種以上のパラレルコマンドの種別を判別させることができる。
なお、本実施形態は1つのリールについて0〜19の図柄番号(20図柄)を使用している。つまり、20図柄のスロットマシン10にあっては、コマンド2のBIT3〜6に‘1010b’以上の値が設定される場合はない。したがって、コマンド3をコマンド2から区別するためのコマンド種別コードとして、コマンド3のBIT3〜6に上記‘1111b’だけでなく、‘1010b’〜‘1111b’の範囲の任意の値を使用してもよい。更に、コマンド3のBIT3〜6に上記‘1010b’〜‘1111b’の範囲で値を設定して、例えばフリーズ中のサブリール40Sの停止位置を示す情報と対応付けてもよい。つまり、サブ制御手段は、パラレルコマンドのデータフレームのBIT3〜6の値が‘1010b’〜‘1111b’であれば当該コマンドがコマンド3であることを認識できるとともに、その値に従った停止位置にサブリール40Sを停止制御することも可能である。
また、サブ制御手段には、受信したコマンドを一時的に記憶する例えば外部RAMである記憶手段が備えられている。そのような記憶手段は、電源が遮断されてもバックアップ電源により記憶内容が保持されるスタティックRAM(静的記憶手段)であることが好ましい。サブ制御手段は、パラレル通信ラインから取得したパラレルコマンド1〜3の情報を上記外部RAMに記憶している。そして、サブ制御手段は、次の新しいパラレルコマンドを受信したときにはその情報を上記外部RAMに上書きする。外部RAMの内容は、電源断時にはクリアされないが、例えば出玉率の設定変更時などにクリアしてもよい。
(コマンド送受信の動作例1)
次に、図44及び図45のフローチャートを参照しながら、コマンド送受信手段の更に具体的な動作例を説明する。遊技進行手段は、まず単位遊技の開始時にメインループ処理で遊技開始コマンドをセットする(ステップS301)。遊技開始コマンドは、遊技状態1コマンド、遊技状態2コマンド、RT状態コマンドがあり、遊技進行手段は、これらのコマンドデータフレームを作成した後にシリアル通信用のRAM(送信用バッファ)に記憶させる。例えば当該遊技がBB−A中であれば、第1制御コマンドに‘91h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0に値‘1’を設定した遊技状態1コマンドを作成する(図40参照)。当該遊技がBB−B中であれば、遊技状態1コマンドの第2制御コマンドのBIT1に値‘1’が設定される。また、当該遊技が再遊技中であれば、第1制御コマンドに‘92h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0に値‘1’を設定した遊技状態2コマンドを作成する(図40参照)。また、また、当該遊技が特別役内部中など再遊技の抽選確率が変動したRT状態であれば、第1制御コマンドに‘93h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0〜2にRT状態番号を設定したRT状態コマンドを作成する。
割込処理手段は、次のメイン割込処理で、パラレル通信ラインを介してコマンド1をサブ制御手段へ送信し、シリアル通信ラインを介して遊技状態1コマンドをサブ制御手段へ送信する(ステップS302)。つまり、メイン割込処理では、所定の入力ポートから取得した右、中、左停止信号、3枚投入信号、1枚投入信号、精算スイッチ信号、スタート信号の状態からレベルデータを作成される。パラレルコマンド1送信手段は、これら操作系の信号レベルデータに基づいてコマンド1(コンパネコマンド)のデータフレームを作成する(図43参照)。そして、コマンド1のデータフレームをパラレル通信ラインに出力する。
図43に示したように、コマンド1(コンパネコマンド)のBIT0には右停止信号レベルデータが設定され、BIT1には中停止信号レベルデータが設定され、BIT2には左停止信号レベルデータが設定され、BIT3には3枚投入信号レベルデータが設定され、BIT4には1枚投入信号レベルデータが設定され、BIT5には精算スイッチ信号レベルデータが設定され、BIT6にはスタート信号レベルデータが設定され、BIT7には値‘0’が固定されている。
ここで、図46(a)は、本実施形態によるパラレルコマンド1の出力と取得のタイミングを示すタイミングチャートである。上述したように、メイン割込処理は、2.23ミリ秒の第1周期T1毎に起動されるため、コマンド1はこの第1周期(T1)毎に作成される。そして、同図に示されるように最短でも第1周期T1の期間、コマンド1がパラレル出力ラインに出力される。一方、サブ制御手段(パラレルコマンド受信手段)は、例えば1ミリ秒の第2周期T2毎に起動するサブ割込処理において、パラレル通信ラインにアクセスする。つまり、パラレルコマンド受信手段は、メイン割込処理の第1周期T1よりも短い第2周期T2で、パラレル通信ラインから8ビットのコマンドデータを取得している。サブ制御手段は、第2周期T2(=1ミリ秒)毎にパラレル通信ラインにアクセスし、メイン制御手段は第2周期T2よりも長い第1周期T1(=2.23ミリ秒)だけパラレル通信ラインにコマンド1を出力する。そのため、サブ制御手段のパラレルコマンド受信手段は、第1周期(メイン割込)と第2周期(サブ割込)とが同期しなくても、更新された最新のコマンド1(コンパネコマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。
割込処理手段は、次のメイン割込処理で、更新したコマンド1をパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信し、送信用バッファに記憶されている遊技状態2コマンドをシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信する(ステップS303)。続いて、次のメイン割込処理で、更新したコマンド1をパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信し、RT状態コマンドをシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信する(ステップS304)。
メインループ処理における遊技進行手段は、BBが作動中と判断すると(ステップS305:YES)、BB獲得可能枚数コマンドの上位・下位のコマンドデータフレームをそれぞれ作成する(図40参照)。BB獲得可能枚数の情報は、第1制御コマンドに‘A1h’が設定され、第2制御コマンドに獲得可能枚数の上位8ビットの数値がバイナリで設定されたBB獲得可能枚数(上位)コマンドと、第1制御コマンドに‘A2h’が設定され、第2制御コマンドに獲得可能枚数の下位8ビットの数値がバイナリで設定されたBB獲得可能枚数(下位)コマンドの2つのデータフレームを作成する。遊技進行手段は、シリアル通信用の送信用バッファに、2つのデータフレームをセットする。そして直後のメイン割込処理では、コマンド1をパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信した後、送信用バッファに記憶されているBB獲得可能枚数コマンドを2回に分けてリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信する(ステップS306)。
メインループ処理における遊技進行手段は、3枚ベットボタン54の操作、1枚ベットボタン52の操作、又はメダル投入口51へのメダルの投下によりメダル投入を判断すると(ステップS307:YES)、第1制御コマンドに‘B1h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0〜2に投入メダル数を設定したメダル投入枚数コマンドを作成し(図41参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されているメダル投入枚数コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS308)。なお、ステップS307〜S308の処理は、当該遊技の規定数になるまで、メダルが投入される毎に繰り返される。また、再遊技作動による自動投入された場合には、第1制御コマンドに‘B2h’を設定し、第2制御コマンドに自動投入枚数を設定したメダル投入枚数コマンドが送信される。
次に、メインループ処理における遊技進行手段は、スタートレバー55の操作受け付けを判断すると(ステップS309:YES)、第1制御コマンドに‘C0h’を設定し、第2制御コマンドのBIT1に‘1’を設定した回胴回転開始コマンドを作成し(図41参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。また、遊技進行手段は、役抽選を実行し、その結果である条件装置番号を決定した後に、第1制御コマンドに‘C1h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0〜5に決定した条件装置番号を6ビットのバイナリで設定した条件装置番号コマンドを作成し(図41参照)、送信用バッファにセットする。直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに先に記憶されている回胴回転開始コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS310)。そして、次のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている条件装置番号コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS311)。
次に、メインループ処理における遊技進行手段は、メインリール40L、40C、40Rが定速回転中に何れかのストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作を受け付けると(ステップS312:YES)、停止操作が受け付けられた当該メインリールの停止図柄を決定する(ステップS313)。その直後にパラレルコマンド2送信手段は、当該メインループ処理で、パラレル通信ラインを介してコマンド2(通常停止コマンド)をサブ制御手段へ送信する(ステップS314)。
図43に示したように、コマンド2のBIT0、1には停止するメインリールの回胴番号(停止操作位置)が、第1回胴:01b、第2回胴:10b、第3回胴:11bとしてバイナリ(2進数)形式で設定され、BIT2〜6には、停止図柄決定手段により決定された停止図柄番号(0〜19)がバイナリ形式で設定され、BIT7には値‘1’が固定されている。例えば、仮に左(第1)ストップボタン40Lの操作が受け付けられた場合には、コマンド2のBIT0、1に第1回胴を示す‘01b’が設定され、BIT2〜6には決定された停止図柄番号(0〜19)が設定され、BIT7には‘1’が設定されたコマンド2がサブ制御手段へパラレル送信される。
ここで、図46(b)は、この動作例1によるパラレルコマンド2(及び後述するパラレルコマンド3も該当する。)の出力と取得のタイミングを例示するタイミングチャートである。上述したように、メイン割込処理は、2.23ミリ秒の第1周期T1毎に起動され、コマンド1はこの第1周期(T1)毎に作成される。メインの割込処理手段は、毎回の割込で操作系の信号の入力ポートの状態を読み取り、その信号のレベルデータを作成している(図39、ステップS207)。停止操作の受け付けは、その割込処理が終了し復帰したメインループ処理で判断され、メインループ処理で停止操作を受け付けた後、当該メインリールの停止図柄番号を決定するまで例えば約0.4ミリ秒の時間を必要とする。パラレルコマンド2送信手段がコマンド2をパラレル通信ラインに出力するのはその直後であり、図46(b)に示すように、少なくとも次のメイン割込処理でコマンド1が更新されるまでの期間、つまり少なくとも約1.83ミリ秒(第1時間)はコマンド2の情報がパラレル通信ラインに出力される。
一方、サブ制御手段のパラレル信号受信手段は、例えば1ミリ秒(第2周期T2)毎に起動するサブ割込処理において、パラレル通信ラインにアクセスしている。メイン制御手段がメインループ処理で停止図柄番号を決定した後にコマンド2を出力しても、上述したように、少なくとも約1.83ミリ秒間(第1時間)はコマンド2の情報がパラレル通信ラインに出力されている。そのため、第1時間よりも短い第2周期T2(=1ミリ秒、第2時間)のサブ割込処理毎に起動されるパラレルコマンド受信手段は、更新された最新のコマンド2(通常停止コマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。更に、パラレルコマンド2送信手段は、停止図柄番号を決定した当該メインループ処理中にコマンド2を送信するので、次のメイン割込処理でシリアル送信され同じく同一種別の停止操作位置及び停止図柄番号の情報が含まれる回胴停止受付コマンドよりも先にパラレルコマンド2(停止回胴番号及び停止図柄番号の情報)をサブ制御手段に送信することができる。
メインループ処理における遊技進行手段は、パラレルコマンド2送信手段がコマンド2を送信した後、第1制御コマンドに‘D1h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0〜2のうち停止操作位置に対応するビットに‘1’を設定し、BIT3〜7に決定した停止図柄番号を設定した回胴停止受付コマンドを作成し(図41参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている回胴停止受付コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS315)。
メインループ処理における遊技進行手段は、停止操作が受け付けられた当該メインリールの停止を判断すると(ステップS316:YES)、第1制御コマンドに‘D2h’を設定し、第2制御コマンドのBIT0〜2のうち当該停止したメインリールの回胴番号に対応するビットに‘1’を設定した回胴回転停止コマンドを作成し(図41参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている回胴回転停止コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS317)。
このように、遊技進行処理(メインループ処理)中に決定される「所定の情報」のうち、遊技結果を表示する情報(例えばコマンド2に含まれる停止回胴番号及び停止図柄番号の情報)など特定の情報については、情報を決定した当該遊技進行処理(メインループ処理)においてパラレル通信ラインに出力される。そして、次のメイン割込処理で、当該特定の情報を含む同一種別のコマンド(例えば回胴停止受付コマンド)がシリアル通信出力される。つまり、同一種別の特定の情報が、パラレルコマンド及びシリアルコマンドの双方により異なるタイミングでサブ制御手段へ送信される。
なお、「遊技結果を表示する情報」は、停止操作受け付け時に決定される停止図柄番号の情報以外にも、スタートレバー操作受付時に決定される「条件装置番号の情報」又は「図柄組合せの情報」などでもよい。メインループ中のパラレルコマンド及び割込処理中のシリアルコマンドの双方により異なるタイミングで送信される同一種別の「特定の情報」としては、図示はしていないが、このような「条件装置番号の情報」や「図柄組合せの情報」を含むものでもよい。
停止操作受付から回胴回転停止コマンドの送信までのステップS312〜S317の処理は、全てのメインリール40L、40C、40Rが停止するまで(ステップS318:YES)繰り返される。遊技進行手段は、全てのメインリール40L、40C、40Rの停止を判断すると(ステップS318:YES)、第1制御コマンドに‘E0h’を設定した全回胴停止コマンドを作成し(図42参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。全リール停止が判断された直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている全回胴停止コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS319)。
また、遊技進行手段は、入賞判定処理(ステップS320)により有効ラインに停止した図柄組合せである作動図柄番号を決定した後に、第1制御コマンドに‘E1h’を設定し、第2制御コマンドに決定した作動図柄番号を設定した作動図柄表示コマンドを作成し(図42参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。また、第1制御コマンドに‘F0h’を設定し、通常遊技の終了であれば第2制御コマンドのBIT0に‘1’を設定し、BB遊技の終了であれば第2制御コマンドのBIT0に‘1’を設定し、小役の入賞によりメダルの払い出しがあれば第2制御コマンドのBIT4〜7にその払出枚数を設定した遊技終了コマンドを作成し(図42参照)、シリアル通信用の送信用バッファにセットする。
入賞判定がされた直後のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている作動図柄表示コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信され(ステップS321)、その次のメイン割込処理ではコマンド1がパラレル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信された後、送信用バッファに記憶されている遊技終了コマンドがシリアル通信ラインを介してサブ制御手段へ送信される(ステップS322)。
メインループ処理において、メインリール40L、40C、40Rが停止し所定の条件が揃うなどして、フリーズである特殊演出が実行中と判断したときは(ステップS323:YES)、サブリール40Sの回転を停止させるため、何れかかのストップボタン56L、56C、56Rの停止操作待ちとなる(ステップS324)。この状態で何れかかのストップボタン56L、56C、56Rが押圧操作されると(ステップS324:YES)、パラレルコマンド3送信手段が起動し、当該メインループ処理でパラレル通信ラインを介してコマンド3(サブ停止コマンド)をサブ制御手段へ送信する(ステップS325)。
図43に示したように、コマンド3のBIT0には右停止信号の状態が設定され、BIT1には中停止信号の状態が設定され、BIT2には左停止信号の状態が設定され、BIT3〜6には、当該コマンドがコマンド3であることを示すコマンド種別コード(1111b)が設定され、BIT7には値‘1’が固定されている。例えば、仮にフリーズ中に左(第1)ストップボタン40Lが操作された場合には、BIT0に‘0’、BIT1に‘0’、BIT2に‘1’、BIT3〜6に‘1111b’、BIT7に‘1’が設定されたコマンド3がサブ制御手段へパラレル送信される。
図46(b)には、この動作例1によるパラレルコマンド3(上述したパラレルコマンド2も該当する。)の出力と取得のタイミングを示すタイミングチャートが例示される。上述したように、メイン割込処理は、2.23ミリ秒の第1周期T1毎に起動され、コマンド1はこの第1周期(T1)毎に作成される。メインの割込処理手段は、毎回の割込で操作系の信号の入力ポートの状態を読み取り、その信号のレベルデータを作成している(図39、ステップS207)。ストップボタン56L、56C、56Rに備えられる停止ボタンセンサ56Ls、56Cs、56Rsから出力される各停止信号のデータ(立ち上がりデータ)は、メイン割込処理が終了し復帰したメインループ処理で判断された後、約1.83ミリ秒間、コマンド3の情報がパラレル通信ラインに出力される。
一方、サブ制御手段(パラレル信号受信手段)は、例えば1ミリ秒(第2周期T2)毎に起動するサブ割込処理において、パラレル通信ラインにアクセスしている。上述したように約1.83ミリ秒間はコマンド3の情報がパラレル通信ラインに出力されているので、第2周期T2(=1ミリ秒)のサブ割込処理毎に起動されるパラレルコマンド受信手段は、更新された最新のコマンド3(サブ停止コマンド)を、漏らすことなく確実に受信することができる。
なお、フリーズの実行中に、特殊演出制御手段がサブリールS40を停止させる正解の停止操作位置(左、中又は右)を決定してもよい。この場合において、遊技者が正解の停止操作位置で停止操作しサブリール40Sを停止するまで、メインループ処理のステップS324、S325を繰り返すことで、フリーズ中にサブゲームができるようにしてもよい(図45のフローチャートには記載していない)。
また、停止操作が受け付けられたメインリール40L、40C、40Rの停止と同時か或いはメインリール40L、40C、40Rの停止に連動してサブリール40Sを停止させてもよい。その場合には、サブリール40Sが停止する停止操作がされた時点でコマンド3をサブ制御手段へパラレル送信してもよい。サブ制御手段(サブリール制御手段)は、コマンド3の受信に応じて迅速にサブリール40Sを停止制御させることができる。つまり、サブ制御手段(サブリール制御手段)は、コマンド3の受信と同時にサブリール40Sを停止させてもよい。そうすれば、停止操作とほぼ同時にサブリール40Sを「ビタ止め」することができる。なお、メインリール40L、40C、40Rの停止に連動してサブリール40Sを停止させる場合においては、例えばストップボタン56Lの操作受付時にコマンド2ではなくコマンド3が出力されてもよい。サブ制御手段は、コマンド2を受信しなくても、コマンド3から停止操作された回胴番号を認識でき、メイン制御手段からシリアル送信される回胴停止受付コマンドから停止図柄番号を認識しサブリール40Sの停止制御をすることができる。
(コマンド送受信の動作例2)
メイン制御手段に備えられるパラレルコマンド出力手段は、第1周期T1毎に起動するメイン割込処理によりパラレル通信ラインに第1情報を出力するとともに、遊技進行処理(メインループ処理)において第1情報とは異なる第2情報を決定した場合には当該遊技進行処理により出力フラグをオンにセットして当該第2情報を出力するようにしてもよい。ここで「第1情報」とは、例えば上述したコマンド1により送信される操作系の信号情報とすることができる。また「第2情報」としては、遊技進行処理において決定される情報であり、例えば上述したコマンド2の停止回胴番号及び停止図柄番号の情報とすることができる。また「第2情報」としては、フリーズ中の停止操作により決定される上述したコマンド3の停止操作位置情報であってもよい。更に「第2情報」は、スタートレバー55の操作を契機に決定される条件装置番号であってもよい。「出力フラグ」はメイン制御手段に備えられるRAMの所定記憶領域に設けられることが好ましい。
図47は、この動作例2によるパラレルコマンドの出力と取得のタイミングを例示するタイミングチャートである。上述したように、メイン割込処理は、2.23ミリ秒の第1周期T1毎に起動され、第1情報コマンドはこの第1周期(T1)毎にパラレル通信ラインに出力されている。メインループ処理では、メイン割込処理で取得した操作系のスイッチ信号やセンサ信号等に基づいて様々な遊技処理判断が行われている。そのようなメインループにおける情報の決定は不定期であり、定期的な割込処理とは無関係に生じる。図47の例は割込処理から復帰後、第2情報を決定するまでに1.8ミリ秒要した事例が示されている。
本動作例によるパラレルコマンド出力手段は、決定した第2情報のコマンドをパラレル通信ラインに出力する際に出力フラグをオンにセットする。そして、次のメイン割込処理の起動時に、上記出力フラグがオンにセットされていると判断したときは、パラレル通信ラインの出力状態を維持するようにしている。つまり、直前のメインループ処理で出力フラグがオンにセットされていたならば、次の割込処理においてはルーティンの第1情報コマンドを更新せず、メインループ処理で出力された第2情報コマンドをそのまま継続して出力状態を維持する。図47では、出力フラグがセットされたことにより、第2情報コマンドが2.66ミリ秒間、パラレル通信ラインに出力された事例が示されている。これにより、メインループ処理において不定期にパラレル出力される第2情報コマンドは、少なくとも1回のメイン割込周期である第1周期T1の期間よりも長く出力されることが担保される。この動作例2の場合では、第2情報コマンドが出力される時間(2.66ミリ秒)がサブ割込処理の第2周期T2の2倍以上となっているため、サブ制御手段側で少なくとも2回以上、第2情報コマンドを取得する機会が確保される。したがって、第1周期T1よりも短い第2周期T2毎に起動されるサブ割込処理(パラレルコマンド受信手段)において、メイン制御手段で更新された最新の第2情報コマンドを確実に受信することができるとともに、後述するコマンドチェック処理2の例のようにコマンドのダブルチェック等の処理も可能となる。
なお、メイン制御手段は、メイン割込処理の起動時に出力フラグがオンにセットされていると判断したときは、当該出力フラグをオフにリセットすることが好ましい。第2情報コマンドの出力期間は、少なくとも1回のメイン割込周期である第1周期T1の期間だけ担保されていれば十分だからである。
<コマンドチェック処理手段>
上述したようにサブ制御手段は、シリアル通信ライン及びそれに併設されるパラレル通信ラインを介して、メイン制御手段から送信されるパラレルコマンド及びシリアルコマンドを受信している。本実施形態では、メイン制御手段は、上述したようにメインの割込処理(ルーティン処理)内で操作系のコマンド1(コンパネコマンド、図43参照)をパラレル通信ラインに出力した後に、遊技進行に応じた各種シリアルコマンド(図40〜42)をシリアル通信ラインに出力している。また、遊技進行処理(メインループ処理)において所定の情報を決定した場合には、当該遊技処理内で当該所定の情報をコマンド2又は3としてパラレル通信ラインに早期に出力している。所定の情報のうち、遊技結果を表示する情報(例えば停止回胴番号及び停止図柄番号の情報)など特定の情報については、情報を決定した直後に当該遊技進行処理(メインループ処理)においてパラレル通信ラインに出力される。例えば、停止図柄が決定されると停止回胴番号及び停止図柄番号の情報を含むコマンド2がパラレル通信出力される。そして、次の割込処理では、当該特定の情報を含む同一種別のコマンド(例えば回胴停止受付コマンド)がシリアル通信出力される。
このように、コマンド送受信の正常な動作では、パラレルコマンドの次にシリアルコマンドが送信され、そのうち同一種別の特定の情報については、パラレルコマンド及びシリアルコマンドの双方により異なるタイミングでサブ制御手段へ送信される。本実施形態のスロットマシン10では、サブ制御手段側で正常にコマンド送信ができたか否かをチェックし、異常であればエラー処理又は例外処理を実行するコマンドチェック処理手段を備えている。
(コマンドチェック処理1)
図48には、サブ制御手段に備えられるコマンドチェック処理1の動作を例示するフローチャートが示される。サブ制御手段は、例えば1ミリ秒で起動されるサブ割込処理でパラレル通信ラインにアクセスしてパラレルコマンドを取得する。サブ制御手段は、例えば先に送信された特定の情報を含むパラレルコマンド2を取得できずに(ステップS401:NO)、同一種別のシリアルコマンドである回胴停止受付コマンドを受信したときは(ステップS402:YES)、例外処理1を実行する(ステップS403)。この例外処理1では、シリアルコマンドである回胴停止受付コマンドが示す情報(停止回胴番号及び停止図柄番号の情報)に基づいて、サブリール40Sの停止、表示された図柄組合せに基づく演出、AT抽選や実行などのサブ制御手段の処理が実行される。
サブ制御手段は、特定の情報を含む例えばパラレルコマンド2を取得できずに(ステップS401:NO)、同一種別のシリアルコマンドである回胴停止受付コマンドも受信できないときは(ステップS402:NO)、エラー処理及び/又は例外処理2を実行する(ステップS404)。エラー処理には、エラーカウンタ加算、エラー報知などの処理が含まれる。例外処理2には、メイン制御手段から送信される他の種別のコマンドに基づいて、サブ制御手段の処理が実行される。例えば、サブ制御手段は、後から受信した他の種別のシリアルコマンドである全回胴停止コマンドに基づいてサブリール40Sを停止させてもよい。また、後から受信した他の種別のシリアルコマンドである作動図柄表示コマンドに基づいて、何れの役にも対応していない図柄組合せとなるようにサブリール40Sを停止させてもよい。
また、サブ制御手段は、特定の情報を含む例えばパラレルコマンド2を取得し(ステップS401:YES)、その後同一種別のシリアルコマンドである回胴停止受付コマンドを受信できないときは(ステップS405:NO)、エラー処理及び/又は例外処理3を実行する(ステップS406)。エラー処理には、エラーカウンタ加算、エラー報知などの処理が含まれる。なお、サブ制御手段は、パラレルコマンド3を取得するとその時点でサブリール40Sを停止させるため、直後に同一種別のシリアルコマンドを受信できなかったとしても、例外処理3を実行し、後から受信した他の種別のシリアルコマンドである全回胴停止コマンド又は作動図柄表示コマンドに基づいてサブリール40Sを停止制御してもよい。
また、サブ制御手段は、特定の情報を含む例えばパラレルコマンドを取得し(ステップS401:YES)、その後後同一種別のシリアルコマンドである回胴停止受付コマンドを受信したときは(ステップS405:YES)、これらのコマンドが同一の停止回胴に関するものであるか判断し(ステップS407)、同一の停止回胴であれば(ステップS407:YES)、停止図柄番号などの内容の整合性を確認する(ステップS408)。整合性が確認できなければ(ステップS408:NO)、エラー処理及び/又は例外処理4を実行する(ステップS409)。エラー処理には、エラーカウンタ加算、エラー報知などの処理が含まれる。例外処理4では、シリアルコマンドである回胴停止受付コマンドが示す情報(停止回胴番号及び停止図柄番号の情報)に基づいて、サブリール40Sの停止、表示された図柄組合せに基づく演出、AT抽選や実行などのサブ制御手段の処理が実行される。また、後から受信した他の種別のシリアルコマンドである全回胴停止コマンド又は作動図柄表示コマンドに基づいてサブリール40Sを停止制御してもよい。
(コマンドチェック処理2)
図49には、サブ制御手段に備えられるコマンドチェック処理2の動作を例示するフローチャートが示される。図49は、例えば1回のサブ割込処理中に少なくとも2回、パラレルコマンドを取得する例である。また、メイン制御手段がコマンドをパラレル通信ラインに出力する第1時間に対し、
第1時間>2×サブ割込周期
とすることで、第1時間内にパラレルコマンドをサブ制御手段が少なくとも2回取得するようにしてもよい。
サブ制御手段は、1回目のパラレルコマンドを取得し(ステップS410)、2回目のパラレルコマンドを取得した後(ステップS411)、取得したコマンド内容が一致しているか否か判断する(ステップS412)。内容が一致していなければ、エラー処理及び/又は例外処理5を実行する(ステップS413)。エラー処理には、エラーカウンタ加算、エラー報知などの処理が含まれる。例外処理5では、直近(例えば2回目)に取得したパラレルコマンドに基づいてサブ制御手段の処理を実行してもよい。また、後から受信した同一種別のシリアルコマンドの内容に基づいてサブ制御手段の処理を実行してもよい。更には後から受信した他の種別のシリアルコマンドの内容に基づいてサブ制御手段の処理を実行してもよい。
本発明に係る遊技機は、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。また、上述の複数の実施形態を各種組み合わせてもよい。