本発明に係るスロットマシンは、規定数の遊技媒体が設定されたことを条件に1回の単位遊技(単に「遊技」ともいう。)が実行可能となり、複数のリールが停止したときに表示される図柄組合せに対応付けられる遊技役が存在するとき、当該遊技役が成立する等の遊技を提供する遊技機である。以下説明する実施形態のスロットマシンは遊技媒体としてメダルを用いる。ここで「投入」とは、遊技者がメダルをスロットマシン内部に入れること、及び、スロットマシンに設けたベットボタンを操作することにより、遊技にメダルを賭ける一連の動作をいう。以下、図面を参照しながら、本実施形態によるスロットマシン10の詳細を説明する。
[スロットマシンの外観構造]
図1は、スロットマシン10の前面外観を示す正面図である。スロットマシン10は、略矩形状の筐体を備えており、前扉20が筐体の前面開口部を開閉可能とするように設けられている。通常、前扉20は、図1に示されるように筐体の前面を閉じる位置でロックされている。
前扉20は、遊技者に対し視覚的な演出効果を高めるような意匠が施されたパネル部材により構成される。前扉20のパネル部材は、リール40L、40C、40Rに付された図柄の表示等を行う遊技領域である中央パネル部30と、中央パネル部30の下方において主にリール40L、40C、40Rの回転及び停止等の遊技操作を行うためのスイッチ等が配置される操作パネル部50と、中央パネル部30の上方において主に遊技演出のためのランプやスピーカ等が配置される上部パネル部60と、操作パネル部50の下方においてスロットマシン10の遊技において登場するキャラクタなどの絵が描かれる下部パネル部70と、により概ね構成される。なお、前扉20は、それぞれユニット化された中央パネル部30、操作パネル部50、上部パネル部60及び下部パネル部70等により組み立てられる。また、これらパネル部が一体として構成される1つのパネル部材により前扉20を製造してもよい。
中央パネル部30には、硬質アクリル等の樹脂板からなる中パネル31が設けられる。その中パネル31の略中央には、3列の縦長矩形の透明部からなる表示窓32が形成される。スロットマシン10は、この表示窓32を通して、筐体内部のリール40L、40C、40Rのそれぞれ横3列×縦3コマの合計9コマの図柄が視認可能とされている。
表示窓32には、リール40L、40C、40Rを横切る合計5本のラインが設定される。これら5本のラインは、水平方向の3本のライン(水平中段のラインL1、水平上段のラインL2A、水平下段のラインL2B)と、斜め方向の2本のライン(斜め右下がりのラインL3A、斜め右上がりのラインL3B)とからなる。本実施形態のスロットマシン10では、水平中段のラインL1のみが入賞判定の基準となるライン(以下「有効ライン」という。)として設定される。なお、投入数(投入したメダルの枚数、「ベット数」ともいう。)に応じた数の有効ラインが設定されてもよい。また、有効ラインの個数を予め定めておき、投入数に応じて役の当選確率を異なるようにしてもよい。
中央パネル部30の中パネル31には、上述した表示窓32の他に、遊技に関する各種情報を遊技者へ知らせるための各種ランプ及び表示器等が設けられている。例えば、表示窓32に隣接して3つの操作指示ランプ33l、33c、33rが設けられる。これら操作指示ランプ33l、33c、33rは、停止操作手段であるそれぞれストップボタン56L、56C、56Rに対応している。例えば、後述するAT(アシストタイム)が作動した遊技においては、操作指示ランプ33l、33c、33rの何れかが点灯することで、停止操作を促すストップボタンの位置を遊技者に報知することができる。
また、中パネル31の下部には、ベット数表示ランプ34a、34b、34c、クレジット数表示器35及び獲得数表示器36が設けられている。
ベット数表示ランプ34a、34b、34cは、当該遊技に投入した(つまり遊技に賭けられた)メダルの枚数を表示するためのランプである。すなわち、1枚のメダルが投入されるとベット数表示ランプ34aのみが点灯し、2枚のメダルが投入されるとベット数表示ランプ34a、34bが点灯し、3枚のメダルが投入されると全てのベット数表示ランプ34a、34b、34cが点灯する。なお、メダルの投入は、後述するメダル投入口51からメダルを直接投入することにより行うことができ、またクレジット(内部貯留)されているメダルを用いて後述する1枚ベットボタン52又はマックスベットボタン54を操作することによっても行うことができる。
クレジット数表示器35は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、スロットマシン10に現在クレジットされているメダルの枚数を表示する。獲得数表示器36は、2桁の7セグメント数値表示器からなり、入賞役が成立したことにより遊技者に払出されるメダルの枚数を表示する。なお、入賞によりメダルを払出す際には、原則、その払出される枚数がクレジットに加算されるが、クレジットが満杯(例えば50枚)のときには、その上限を超える枚数分のメダルが実際にメダル払出口71から払出される。
中央パネル部30の下方に設けられる操作パネル部50は、その上面が若干遊技者側に傾斜する卓状面50aを有している。その卓状面50aの右部に遊技者がスロットマシン10へメダルを投入するためのメダル投入口51が設けられている。なお、このメダル投入口51の内部には、投入されたメダルを検出し、かつ、正規又は非正規のメダルを振り分けるメダルセレクタ28が設けられている。スロットマシン10のメイン制御回路は、このメダルセレクタ28が出力するメダル検知信号を計測することで、投入されたメダルの枚数を認識している。
卓状面50aの左部には、遊技者がクレジットを用いてメダルを投入するための1枚ベットボタン52及びマックスベットボタン54が設けられている。1枚ベットボタン52が操作されると、1枚のメダルがクレジットから投入される。マックスベットボタン54が操作されると現在の遊技状態で定められる最多のメダル枚数が投入される。例えば、ボーナスが非内部中又は内部中(通常遊技)であれば3枚、ボーナス遊技中(特別遊技)であれば2枚が投入されるように設定されている。1枚ベットボタン52又はマックスベットボタン54の操作によりメダルが投入されると、その枚数分のメダルが当該遊技に賭けられるとともにクレジットが減算される。
操作パネル部50の右部には清算ボタン57が設けられている。清算ボタン57が操作されると、まず当該遊技に賭けられているメダルが払い戻される。ベット数がない状態で清算ボタン57が操作された場合には、クレジットされているメダルがメダル払出口71から払い戻される。
操作パネル部50の正面左部には、傾倒操作が可能な操作ノブを有するスタートレバー55が設けられている。スロットマシン10においては、遊技者がメダルの投入操作をして規定数のメダルが賭けられたことにより当該遊技が実行可能な状態となる。この遊技開始の状態で遊技者がスタートレバー55を操作すると、全てのリール40L、40C、40Rの回転が開始する。このとき、リール40L、40C、40Rの各外周面の図柄が表示窓32を通して上から下へと移動(スクロール)して表示される。
操作パネル部50の正面の中央部には、遊技者の押圧操作によってリール40L、40C、40Rの回転を停止させる操作(これを「停止操作」という。)をするための、停止操作手段としてのストップボタン56L、56C、56Rが設けられる。左端のストップボタン56Lは左端のリール(左リール)40Lに対応し、中央のストップボタン56Cは中央のリール(中リール)40Cに対応し、右端のストップボタン56Rは右端のリール(右リール)40Rに対応している。
すなわち、スロットマシン10は、回転中のリール40L、40C、40Rに対し、遊技者が左のストップボタン56Lを押して操作すると左リール40Lが停止し、中のストップボタン56Cを押して操作すると中リール40Cが停止し、右のストップボタン56Rを押して操作すると右リール40Rが停止するように構成されている。リール40L、40C、40Rの回転が停止することにより、表示窓32を通して、縦3個×横3列の図柄が表示される。そして、中段の有効ラインL1上に沿って停止表示された図柄の組合せにより、入賞等の遊技役の成立が判定される。
詳細は後述するが、スロットマシン10に備えられる図柄表示制御手段は、役抽選手段による役抽選結果と、遊技者がしたストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作順とに基づいて、許容される最大の滑り制御コマ数(例えば5コマ)以内に停止できる図柄を停止図柄として決定する。そして、それら決定した図柄を有効ラインに停止表示すべく各リール40L、40C、40Rを停止制御している。なお、このような図柄を数コマ停止させずに滑らせて表示する制御は「引込制御」と称されている。
なお、スタートレバー55への操作を契機にリール40L、40C、40Rの回転が開始してから定速回転(例えば、80回転/分)に達するまでは、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作は受付けられず無効とされる。また、フリーズ演出などの特定の状況下においては、リール40L、40C、40Rが定速回転に達している場合であっても、例外的にストップボタン56L、56C、56Rへの操作を受付けないようにしてもよい。
中央パネル部30の上方に位置する上部パネル部60には、その中央部にカラーの画像表示装置である液晶表示器61が設けられる。液晶表示器61は、例えば遊技の進行に応じて展開するアニメーションを演出画像として表示する。なお、スロットマシンに設けられる表示装置としては、液晶表示器61でなくても、例えばドットマトリクス式の表示装置など簡素化したものであってもよい。また、遊技履歴や内部役抽選結果の情報を文字や記号等で直接的に表示するものでもよく、そのような情報をコード化して間接的又は暗示的に表示するものでもよい。
また、上部パネル部60には、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rなどの電飾装置が設けられる。上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63Rは、例えばリール40L、40C、40Rが停止して何れかの役が成立した場合において、その役に応じたパターンで点灯及び点滅することで、役の成立を視覚的に演出する。
また、上部パネル部60には、ステレオのスピーカ64L、64Rが設けられる。例えば液晶表示器61が表示する動画の演出画像に伴って、演出効果音がスピーカ64L、64Rを介して出力される。
中央パネル部30の下方に位置する下部パネル部70には、メダル払出口71と受け皿72とが設けられる。スロットマシン10の筐体内部に収容されるメダル払出装置83が作動すると、メダル払出口71を介してメダルが付勢されて受け皿72へ払出される。
また、下部パネル部70の下方部左右にはスピーカ73L、73Rが設けられる。例えば、遊技において遊技役が成立したとき、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等の演出ランプの点灯や点滅に連動した効果音がスピーカ73L、73Rを介して出力される。
[スロットマシンの内部構造]
図2は、前扉20を開いた状態でスロットマシン10の内部構造を示す図である。図2に示されるように、スロットマシン10は矩形箱状の筐体80を備え、遊技中には前扉20によって筐体80が閉塞される。
筐体80内の水平フレームには、3つのリール40L、40C、40Rを回転可能に支持するリール装置40が、前扉20の中央パネル部30に対向するように位置決めされて設けられている。リール装置40において、各リール40L、40C、40Rは、それらの回転軸が一つの水平直線に一致して設けられる。また、各リール40L、40C、40Rは、リール装置40のフレームに固定されるリール駆動手段としてのステッピングモータによって、それぞれ独立して回転駆動される。
筐体80内の底部には、スロットマシン10に搭載される種々の機器・装置に電源を供給する電源ユニット82と、複数枚のメダルを貯留可能なホッパーを備えるメダル払出装置83とが収容されている。また、筐体80の背板上部には、スロットマシン10における主に遊技の進行を制御するメイン制御回路(「メイン制御手段」ともいう。)を搭載したメイン制御基板100が脱着不能に固定されている。
前扉20の背面側には、その上段部にスピーカ64L、64Rを備える上パネルユニット22が設けられている。上パネルユニット22は、スピーカ64L、64Rの他に前面側の上述した液晶表示器61、上部ランプ62及びコーナーランプ63L、63R等を含めてユニット化されて構成されている。また、上パネルユニット22の背面側には、サブ制御基板200が固定されている。サブ制御基板200に搭載されるサブ制御回路(「サブ制御手段」ともいう。)は、メイン制御基板100から送信されてくるコマンドに基づいて主に遊技の演出を制御する。
前扉20の背面側の中段部には、メダル投入口51から投入されたメダルの振り分け及び検出を行うセレクタ28が設けられる。セレクタ28の下方には、セレクタ28によって正規のものと判別されたメダルをメダル払出装置83のホッパーに導くシュート部24と、非正規のメダル又は異物と判別されたものを前面のメダル払出口71に導くメダル返却路25とが設けられる。また、前扉20の背面側の下段部には、上述したスピーカ73L、73Rがそれぞれ設けられている。
[スロットマシンのシステム構成]
図3は、スロットマシン10のシステム全体のハードウェア構成を例示するブロック図である。メイン制御基板100は、CPU、ROM、RAM及び信号の入出力回路等を含むマイクロコンピュータユニット(MPU)を備えるメイン制御回路を搭載している。メイン制御回路は、後述する役抽選、リール制御及び入賞判定等の基本的なスロットマシン遊技の進行を制御するための制御回路である。メイン制御基板100には、サブ制御基板200、回胴装置基板120、ドア中継端子板130等の各種回路基板や、電源ユニット82(図2参照)等の他の内部装置が接続されている。
メイン制御基板100には、ドア中継基板130を介して、左のストップボタン56Lに内蔵される停止ボタンセンサ56Ls、中のストップボタン56Cに内蔵される停止ボタンセンサ56Cs及び右のストップボタン56Rに内蔵される停止ボタンセンサ56Rsが接続されている。すなわち、各ストップボタン56L、56C、56Rへの操作状態が停止ボタンセンサ56Ls、56Cs、56Rsからのスイッチ信号(停止操作信号)としてメイン制御基板100に入力される。
また、ドア中継基板130を介して、スタートレバー55のスタートレバーセンサ55sがメイン制御基板100に接続され、スタートレバー55への操作状態がスタートレバーセンサ55sからのスイッチ信号(回転開始操作信号)としてメイン制御基板100に入力される。
同様に、1枚ベットボタン52とマックスベットボタン54のベットセンサ52s、54s、及び清算ボタン57の清算ボタンセンサ57sからの各操作信号がドア中継基板130を介してメイン制御基板100に入力される。
また、メイン制御基板100には、ドア中継基板130を介してセレクタ28内のセレクタセンサ28sが接続されている。セレクタセンサ28sは、メダル投入口51から投入されたメダルが正規であると判別したことを示すメダル検知信号をメイン制御基板100に対し出力する。
なお、これら操作信号及び検知信号は、所定周期(例えば2ミリ秒)の割込処理(インターバル割込)により、メイン制御回路に備えられるRAMの所定アドレス領域に随時取り込まれる。
更に、メイン制御基板100には、ドア中継基板130を介して、投入表示LED基板34B、クレジット表示基板35B及び払出数表示基板36Bが接続されている。投入表示LED基板34Bには、上述したベット数表示ランプ34a、34b、34cが実装されており、メイン制御回路がメダルの投入を検知すると、そのベット数に応じてベット数表示ランプ34a、34b、34cを点灯させる。
クレジット表示基板35Bには、上述したクレジット数表示器35を構成するLED数値表示器(7セグLED)が実装されている。メイン制御回路は、スロットマシン10に内部貯留されているメダル(クレジット)を管理しており、現時点で内部貯留されているクレジットのデータがクレジット表示基板35Bにより数値表示用のセグメントコードに変換されてクレジット数表示器35に数値表示される。
払出数表示基板36Bには、上述した獲得数表示器36を構成するLED数値表示器(7セグLED)が実装されている。メイン制御回路の処理により入賞役(ベル等)の入賞を判定すると、所定の払出数のデータを払出数表示基板36Bに出力する。払出数表示基板36Bは、払出数のデータを数値表示用のセグメントコードに変換して獲得数表示器36に数値表示させている。
回胴装置基板120には、各リール40L、40C、40Rを駆動するステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmと、各リール40L、40C、40Rの回転基準位置を検出するフォトセンサである回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsが接続されている。
リール40L、40C、40Rを駆動する際には、メイン制御回路は、インターバルの割込処理毎に、例えば1−2相励磁方式により励磁相(例えばφ0、φ1、φ2、φ3)が変化する駆動パルス信号を生成する。駆動パルス信号は、回胴装置基板120において電流増幅されてステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmに供給される。回転中のリール40L、40C、40Rの位置や有効ライン上の表示図柄(図柄番号)は、回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsからの基準位置検出信号と駆動パルス信号のカウント数とに基づいて、メイン制御基板回路に常時把握されている。
外部集中端子板150は、スロットマシン10が現在行われている遊技に関する情報を外部へ出力する際に、それらの情報を中継する基板である。例えばスロットマシン10に対応して別途設置されている遊技情報表示装置や、遊技場に設置されている各遊技機の遊技状態や出玉などを管理しているいわゆるホールコンピュータへ情報を送信する場合は、この外部集中端子板150を介して行われる。ここで、スロットマシン10からホールコンピュータへ送信される外部信号としては、遊技が行われる際にスロットマシン10へメダルが投入されたことを示す信号(IN信号)、遊技の結果、遊技者にメダルが払出されたことを示す信号(OUT信号)、遊技状態がMB遊技やRB遊技等の特別遊技状態になったことを示す信号(特別遊技作動信号)、再遊技が作動したことを示す信号(リプレイ作動信号)、スロットマシン10において異常を検知したことを示す信号(異常検知信号)、スタートレバー55が操作されたことを示す信号(スタート信号)、及び、ATが行われていることを示す信号(AT信号)などがある。
また、メイン制御基板100には、払出制御基板300を介してメダル払出装置83が接続される。メダル払出装置83は、メダルを貯留可能なホッパー部と、ホッパー部に貯留したメダルを放出する払出機構部とを有している。メイン制御回路は、入賞等によりメダルを遊技者に払出すときに払出制御基板300に対し払出指令信号を出力し、払出制御基板300がメダル払出装置83を作動させてメダルを1枚ずつカウントしながら放出させる。なお、メダル払出装置83から放出されたメダルは、メダル払出口71から受け皿72へと排出される。
次に、サブ制御基板200は、主に遊技の演出の制御を行うサブ制御回路を搭載している。サブ制御回路は、CPU、ROM、RAM及び信号の入出力回路等を含むマイクロコンピュータユニット(MPU)や、メイン制御基板100からのコマンドを受信するための通信回路、スピーカ64L、64R、73L、73Rを鳴動させるためのサウンド回路、LED照明基板240に実装されているLEDランプ(上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等)を点灯又は点滅駆動するためのランプ駆動回路を含む。
また、サブ制御基板200には、画像制御基板210が接続されている。画像制御基板210には、音声基板230、演出ROM220、画像表示制御基板211が接続されている。画像制御基板210は、サブ制御基板200の制御下で選択した演出パターンにより参照される楽音等の音声データを音声基板230から取り込んで再生する。これとともに、画像制御基板210は、選択された演出パターンに従った画像データを演出ROM220から取り込み画像表示制御基板211に送出する。画像表示制御基板211は、画像制御基板210から受信した画像データをビデオ信号に変換し液晶表示器61に出力する。これにより、選択された演出パターンのアニメーションなどの動画像が演出効果音とともに液晶表示器61に表示される。
サブ制御基板200による演出パターンの選択は、基本的にはメイン制御基板100から送信されてくる、役抽選結果や遊技状態等の情報を含むコマンドに応じて行われる。また、サブ制御基板200における演出抽選手段の結果に基づいて演出パターンを選択してもよい。そのような演出抽選により決定される結果としては、メイン制御回路による役抽選の結果を遊技者に報知するかしないかの抽選(例えばAT抽選)などがある。さらには、スロットマシン10の本来の遊技に付随して行われる、遊技者参加型の連続演出(バトル演出等)における勝敗判定などの抽選を行うこともできる。
なお、メイン制御基板100とサブ制御基板200との間の遊技に関連する情報伝達は、メイン制御基板100からサブ制御回路200への一方向に限られている。ここでは、メイン制御基板100からサブ制御回路200へ送信されるコマンドについて説明する。
説明する
[メイン制御基板からサブ制御基板へ送信されるコマンド]
メイン制御基板100からサブ制御基板200へ送信される情報は、コマンドという形態で送信される。コマンドは、所定周期のインターバル割込処理で送信され、1割込に1コマンドが送信される。1つのコマンドは、コマンドの種類を識別するための識別情報と、そのコマンドによって送信する情報の内容を示す送信情報とによって構成されている。サブ制御回路は、メイン制御基板100から受信したコマンドの種類及びコマンドと共に送られて来た情報に基づいて、遊技の進行について認識し得るとともに、各種演出に関する処理を行う。
以下に、主なコマンドの内容について説明する。コマンドには下記(A)〜(G)までの上位コマンドと下記(1)〜(16)までの下位コマンドとがある。
(A)遊技開始コマンドは、下記(1)〜(4)の下位コマンドを備える。
(1)設定値指定コマンド
新たな単位遊技の処理を開始する時に、現在、スロットマシン10にセットされている「設定」の値(設定1〜6の何れか)を送信するためのコマンドである。ここで、「新たな単位遊技の処理を開始する時」とは、後述する単位遊技終了コマンドの送信直後の状態をいう。
(2)遊技状態コマンド
上述した設定値指定コマンドに続いて送信されるコマンドであり、次に行われる単位遊技が、後述するMB遊技、再遊技、又は、それらのいずれでもない遊技のいずれであるかを示す情報が送信される。
(3)RT状態コマンド
上述した遊技状態コマンドに続いて送信されるコマンドであり、現在の状態が「非RT」中であるか、「RT」中であるかを示す情報を送信する。
(4)MB獲得可能枚数コマンド
MB遊技中のときに、上述したRT状態コマンドに続いて送信されるコマンドであり、MB遊技の終了条件が成立するまでに獲得することができる残りのメダル枚数を示す情報を送信する。
(B)メダル投入コマンド
ベットボタン52、54が受付けられたとき、又は、メダル投入口51からのメダル投入が受付けられたときに、投入されたメダルの枚数を送信するためのコマンドである。ここで、1枚ベットボタン52が操作されたときは、自動メダル投入1コマンドが送信される。また、マックスベットボタン54が操作されたときは、MB遊技中は自動メダル投入2コマンドが、MB遊技中でなければ自動メダル投入3コマンドが送信される。さらに、メダル投入口51にメダルが投入される毎に、手動メダル投入コマンドが送信される。
(C)スタートレバー受付コマンドには、下記(5)〜(7)の下位コマンドを備える。
(5)スタートレバー受付コマンド
スタートレバーの操作が受付けられたときに送信されるコマンドであり、投入されているメダル枚数(2枚又は3枚)の値が送信される。
(6)役抽選結果1コマンド
役抽選の結果を示すコマンドである。ここでは、役抽選手段によって当選役とされた抽選対象(但しMB役を除く)が送信される。すなわち、「再遊技役」、「小役」等の当選役が送信される。また、役抽選の結果いずれの抽選対象も決定されなかった場合は、「ハズレ」を示す情報が送信される。さらに、MB遊技中は、役抽選の結果に関係なく、入賞したことで払出枚数が1枚以上の結果を有する小役が全て当選状態となった「全入賞役当選」を示す情報が送信される場合がある。
(7)役抽選結果2コマンド
役抽選結果1コマンドに続いて送信されるコマンドであり、MB役が当選している状態になっているか否かを送信する。ここで、内部中は単位遊技が行われる毎に、MB役が当選していることが送信される。
(D)回転開始コマンドは、下記(8)、(9)の下位コマンドを備える。
(8)回転待機終了コマンド
役抽選結果2コマンドの送信後、前回の単位遊技でスタートレバーが操作されてから4.1秒が経過すると、送信されるコマンドである。なお、役抽選結果2コマンドを送信したときに、既に4.1秒が経過していたときは、直ちに回転待機終了コマンドが送信される。
(9)回転開始コマンド
回転待機終了コマンドに続いて送信されるコマンドであり、左リール40Lが回転を開始したときに左リール回転開始コマンドが送信され、中リール40Cが回転を開始したときに中リール回転開始コマンドが送信され、右リール40Rが回転を開始したときに右リール回転開始コマンドが送信される。
(E)回転停止コマンドは、下記(10)、(11)の下位コマンドを備える。
(10)リール停止受付コマンド
回転中のリールに対応するストップボタンが操作されると、操作されたストップボタンに応じて、左リール停止受付コマンド、中リール停止受付コマンド、又は、右リール停止受付コマンドが送信される。また、各リール停止受付コマンドが送信される際に、併せて、対応するリールに対する停止制御について、有効ライン(中段のラインL1)上に停止させるべく決定された図柄番号(停止図柄番号という。)を示す情報と、滑りコマ数を示す情報とが送信される。
(11)リール停止コマンド
送信されたリール停止受付コマンドに対応するリールが、回転を停止したときに送信されるコマンドである。
(F)全リール停止コマンドは、下記(12)〜(14)の下位コマンドを備える。
(12)作動図柄コマンド
全リールの回転が停止し、入賞判定が行われると送信されるコマンドであり、入賞判定の結果、入賞した遊技役を示す情報を送信する。また、入賞した遊技役がなかった場合は、その旨を示す情報が送信される。
(13)メダル払出開始コマンド
作動図柄コマンドに続いて送信されるコマンドであり、小役が入賞した場合は、そのときの遊技状態(MB遊技中か否か)に応じた払出枚数を示す情報を送信する。また、MB役若しくは再遊技役が成立したとき、又は、いずれの遊技役も成立若しくは入賞しなかったときは、払出枚数が0枚であることを示す情報が送信される。
(14)メダル払出終了コマンド
単位遊技の結果、小役が入賞したことによってメダルが払出され、当該メダルの払出しが終了したときに送信されるコマンドである。
(G)遊技終了コマンドには、下記(15)、(16)の下位コマンドを備える。
(15)MB遊技終了コマンド
MB遊技中にメダル払出終了コマンドが送信された後に送信されるコマンドであり、小役が入賞したことによりメダルが払出された結果、MB遊技の終了条件が満たされたときに送信されるコマンドである。
(16)単位遊技終了コマンド
単位遊技で行うべき処理が全て終了したときに送信されるコマンドである。
上述したコマンドは主なものを例示列挙したに過ぎない。例えば、特別役として後述するBB役やRB役が役抽選手段による抽選対象となっているスロットマシンの場合には、これらの当選の情報を含む役抽選結果コマンドがサブ制御基板200へ送信されてもよい。
[スロットマシンの遊技に供される遊技役]
次に、スロットマシンの遊技に供される遊技役(単に「役」ともいう。)を説明する。一般的なスロットマシンの遊技において予め定められている遊技役としては、主なものに小役(ベル等の入賞役)、再遊技役(リプレイ役)、BB役(ビックボーナス役)、RB役(レギュラーボーナス役)、MB役(ミドルボーナス役)などがある。なお、後述するように、各役には、リール40L、40C、40Rにより停止表示可能な少なくとも1つの図柄組合せが対応付けられている。スロットマシン10においては、遊技者によるストップボタン56L、56C、56Rへの操作に基づいてリール40L、40C、40Rが停止し、これにより有効ライン(ラインL1)に沿って表示された図柄の組合せに対応付けられる役が存在するとき、当該役が成立又は入賞することとなる。
これらの遊技役のうち、小役は、予め対応付けられているベルなどの図柄の組合せが有効ラインに揃うことで入賞となり、所定枚数のメダルが遊技者に払出される役であることから入賞役ともいわれる。前述した、MB遊技中に役抽選の結果に関わらず全て当選状態となる小役とは、ここでいう入賞役のことを指す。再遊技役は、成立すると次の単位遊技に限ってメダルを投入することなく再び遊技を行うことができるが、メダルの払出しはない役である。
BB役、RB役及びMB役は、後述する役抽選手段により決定された当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる特別役である。このような当選状態を次遊技以降に持ち越すことができる遊技役を「持越役」ともいう。これに対し、上述した小役や再遊技役は、当選状態を次遊技以降に持ち越すことができないので「非持越役」ということがある。
また、これら特別役が成立すると、次遊技以降、所定の終了条件に至るまで、当該特別役が作動した特別遊技に移行する。したがって、BB役、RB役及びMB役などの特別役を「持越可能な作動役」ということがある。なお、スロットマシンに供される特別役(持越役)として、BB役、RB役及びMB役全てを備える必要はなく、例えばBB役、RB役若しくはMB役の何れか1つのみ、RB役とMB役の双方、又は、BB役とRB役の双方を備えるものでもよい。
RB役は、成立することにより次の遊技からRB遊技(レギュラーボーナス)に移行させる役である。このRB遊技においては、通常遊技(特別遊技中ではない遊技であって、後述するRT又は非RTにある遊技)に当選する小役よりも少なくともいずれか1つの小役の当選確率が高くなるように設計されている。そして、このような高確率遊技が継続し、所定回数(例えば12回)の遊技を消化するか、又は、所定回数(例えば8回)の小役の入賞によりRB遊技が終了する。
なお、RB遊技中は、一定の確率で一部又は全部の小役が同時に複合して当選した状態(入賞役複合当選)となり得る。詳細は後述するが、通常遊技において個々の入賞役(例えば入賞−A)の当選を含む役抽選結果が得られる個別の確率は、RB遊技において入賞役複合当選(例えば入賞ABCDE)の役抽選結果が得られる確率よりも低く設定されている。つまり、1つの小役(例えば入賞−A)に注目すれば、通常遊技よりもRB遊技のほうが高い当選確率となっている。その一方で、RB遊技において入賞(メダル払出し)の条件となり得る役抽選結果は入賞役複合当選(例えば入賞−ABCDE)のみであるのに対し、通常遊技においてメダル払出しの条件となり得る役抽選結果は複数機会の小役当選(入賞−A、入賞−B、入賞−C、・・・)がある。すなわち、メダル払出しの期待値としては、RB遊技よりも通常遊技のほうが高くなる。
BB役は、成立することにより次の遊技からBB遊技(ビッグボーナス)に移行させる役である。BB遊技は、RB遊技と同様の高確率遊技が連続して作動し、所定の払出枚数上限(例えば419枚)を超えるメダルの払出しで終了する遊技である。
MB役は、成立することにより次の遊技からMB遊技(ミドルボーナス)に移行させる役である。MB遊技では、上述した全入賞役当選の遊技が、所定の払出枚数上限(例えば42枚)を超えるメダルの払出しが行われるまで継続する。また、MB遊技中は、後述する引込制御の際の最大の滑り制御コマ数が、少なくとも1つのリールで例えば2コマと通常より少なく定められる。なお、後述する実施例のように、MB役を複数種類(後述するMB−01、MB−02)設け、同時当選する入賞役のメダルの払出枚数(後述するpa、pb)や移行したMB遊技の種類に応じて遊技終了条件である払出枚数上限(後述するma、mb)が変わるようにしてもよい。また、MBの種類に応じて後述するATの上乗せ等の特典を変更してもよい。
なお、特別遊技役(持越役)であるBB役、RB役、MB役は、いずれも成立時のメダルの払出しがない役である。
[スロットマシンにおいて遷移する遊技状態]
(メイン制御手段が管理する遊技状態)
図4は、メイン制御手段が管理する遊技状態の遷移を概念的に示す図である。メイン制御手段で管理される遊技の状態は、大まかには「通常遊技」か、RB役やMB役などの特別役が成立した「特別遊技」かに分けられる。そして、通常遊技においては、後述する役抽選手段により特別役が当選していない状態(図4の例では非RT)か、特別役が当選しその当選状態が持ち越された状態(図4の例ではRT)に分けられる。後述するように、非RTとRTとでは再遊技役(リプレイ)の当選確率が異なっており、通常は非RTよりもRTのほうが再遊技役の当選確率が高く設定されている。
なお、図示はしないが、通常遊技中に再遊技役の当選確率を更に変えたRTの状態が複数存在してもよい。例えば、遊技者が所定の押し順で停止操作したときなど特定の図柄組合せが表示された次遊技以降の遊技において再遊技役の当選が高確率となった遊技状態(RT1)や、後述するAT中に再遊技役の当選確率が変化した状態(RT2)や、再遊技役の当選確率が変化した遊技が有限回数だけ継続する状態(RT3)など、図4以外にも様々な種類のRT状態を設けることができる。
なお、特別遊技が終了すると遊技状態は通常遊技(非RT)に戻る。
(サブ制御手段が管理する遊技状態)
次に、図5は、サブ制御手段が管理する状態遷移を概念的に示す図である。サブ制御手段で管理される遊技状態は、大まかには、役抽選結果に内部的に対応付けられている停止操作順(押し順)を報知するAT(アシストタイム又はサブボーナスともいう。)と、停止操作順を報知しない非ATとに分けられる。
AT中では、操作指示ランプ33l、33c、33rの点灯や液晶表示器61の画像を用いて停止操作の順番が遊技者に報知される。後述するように、通常は、メダルの払出枚数がより多いほうの小役の入賞に導く押し順を正解押し順として報知される。また、遊技者にとって有利な遊技状態への移行に導く押し順を正解押し順として報知したり、逆に不利な遊技状態へ移行しない押し順を報知したりすることもできる。
ATは、例えば特別遊技の終了後、所定回数の遊技において実行される。また、サブ制御手段における抽選結果に基づいてATを実行してもよい。実行されたATは、所定回数の遊技の間継続する(例えば1セットが30遊技)。AT中に別のATが当選すれば、引続きもう1セット(例えば30遊技)のATを上乗せして継続させることもできる。このように、AT実行の役抽選結果(ATの実行権利ともいう。)は、特に制約を受けない限り複数個ストックすることができる。また、1セットのAT終了時にATを継続するかどうかの抽選を行ってもよい。なお、このように抽選によりATが継続する確率を「AT継続率」という。
更に、本来のスロットマシン遊技中の演出としてメイン制御手段が実行する疑似遊技において、遊技者の停止操作により例えば「7」図柄が揃う等の表示がされたときにATを所定数だけストックするようにしてもよい。また、複数備えられるMB遊技に応じて、ATの上乗せ特典を変更するようにしてもよい。
[メイン制御手段を構成する各制御手段]
次に、メイン制御基板100において実行される各種制御手段を説明する。メイン制御基板100に搭載されるメイン制御回路のCPUが所定の制御プログラムを実行することにより、下記の各制御手段が実現される。以下、機能ブロック毎に、各制御手段を説明する。
(役抽選手段)
役抽選手段は、遊技者によるスタートレバー55の操作に応じて、メイン制御基板100が有する乱数発生器によって発生された乱数をサンプリングし、そのサンプリングした当該乱数に基づいて、予め定められている複数種類の遊技役のうち何れか1つ又は複数の役を当選役として決定するか否かを定める手段である。
小役と再遊技役とは、1つの役だけが当選役に決定される役抽選結果(単独当選)の場合と、小役等の複数の役が同時に当選役に決定される役抽選結果(同時当選)の場合とが存在する。更に、1つ又は複数の小役と1つ又は複数の再遊技役とが同時に当選役に決定される役抽選結果があってもよい(同時複合当選)。更に実施例として後述するが、MB遊技中には全ての小役が同時に当選状態となる全入賞役当選があり、またRB遊技中には一部又は全部の小役が同時に複合的に当選状態となる入賞役複合当選がある。
一般に、役抽選の結果、何らかの役が当選した場合は、その当選状態は当選した役が入賞するか否かを問わず、単位遊技が終了すると消滅する。しかしながら、MB役などの特別役が当選したときは、その遊技で特別役を成立させることができなくても、成立するまで次の遊技以降に当選した状態が持ち越される。すなわち、特別役が成立するまで特別役を成立させることができるチャンスが継続する。なお、例えばMB役の当選状態が維持されている期間における役抽選では、MB役は抽選対象とはされず、重ねて当選役と定められることはない。
このような特別役の内部当選状態が維持されている期間を「内部中」という。また、特別役が内部当選していない通常遊技が行われている状態を「非内部中」という。単に「通常遊技中」といった場合は、特に定義がなされていなければ、「内部中」及び「非内部中」の双方の状態を含むものとする。
次に、図6に示す一般的な役抽選テーブルを参照して、役抽選における各抽選対象の当選確率について説明する。役抽選テーブルの情報はメイン制御基板100のROMに予め記憶されている。図6に示す役抽選テーブルにおいては、非内部中及び内部中における各抽選対象について、メイン制御基板100に搭載されている乱数発生器が発生する乱数値(‘0’〜‘65535’の何れかの整数)のうち、当選と見なされる数値の数(以下、置数という。)が示される。なお、乱数値‘0’も数値に含まれるため、乱数発生器が発生し得る乱数値の個数は65536となる。よって、各抽選対象の当選確率は、対応する置数を65536で割った値となる。また、図6に示す役抽選テーブルにおいて、MB役及び再遊技役の行は、破線によって上下段に分割されているが、上段は非内部中における置数、下段は内部中における置数を示している。さらに、「設定1」〜「設定6」は、スロットマシン10の内部に設けられたスイッチを操作することで設定されるものであり、遊技場の関係者が、スロットマシン10における各役の当選確率を変更する際に適宜設定される。
図6に示される役抽選テーブルでは、複数の小役が同時当選する入賞A〜Cの当選確率が「設定1」〜「設定6」のいずれにおいても一定の値となっている。これに対して、小役2単独の当選確率は、「設定1」のときに最も低く、「設定」の値が大きくなるに連れて高くなっている。MB役については、非内部中は、小役2と同様に、当選確率が「設定1」のときに最も低く、設定の値が大きくなるに連れて高くなっているが、前述したように、MB役が当選して内部中になると、抽選対象から除外されるため、「設定1」〜「設定6」のいずれにおいても当選確率がゼロとなる。これに対して、再遊技役は、非内部中は、「設定1」〜「設定6」のいずれにおいても同じ当選確率になっているが、内部中になると、「設定1」〜「設定6」のいずれにおいても置数が増大しており、再遊技役の当選確率が上昇している。
なお、図6に示される役抽選テーブルに基づいて算出される役抽選確率は、あくまでも例示である。また、図6に示す特別役の抽選対象がMB役でなく、RB役又はRB役を連続作動させることができるBB役であってもよい。また、MB役に加えてRB役やBB役を備えていてもよい。
役抽選手段は、このような役抽選テーブルを参照して、乱数発生器から取得した乱数値が属する当選数値範囲に対応する遊技役を当選役として決定する。役抽選手段は、当選役を決定すると、当該当選役に係る当選役フラグ(条件装置フラグともいう。)をオンに設定する。例えばMB役が役抽選により当選しそれが持ち越された内部中の遊技では、MB役に係る当選役フラグがオンに設定される。ここで、フラグとは、具体的にはメイン制御基板100に搭載されているRAMの所定メモリ領域に記憶されるビット単位の変数データのことであり、フラグがオンする(又は立つ)とは、当該メモリ領域のビットが例えば‘0’から‘1’になることをいう。
(リール制御手段)
リール制御手段は、リールの40L、40C、40Rの回転加速制御及び定速制御をする回転制御手段と、リールを制御して図柄を停止表示する図柄表示制御手段とを含む。図柄表示制御手段は、より詳細には、役抽選手段による役抽選結果、並びに、ストップボタンへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作の順番に基づいて、有効ライン(ラインL1)に停止表示させるべき図柄を決定する停止図柄決定手段と、操作されたストップボタンに対応するリールを停止制御する停止制御手段とを備える。
まず、リールを回転駆動するステッピングモータへの制御について説明する。図7は、スロットマシン10が採用する、1−2相励磁方式によるステッピングモータの回転制御の原理を説明するための図である。
リールの駆動手段として使用されるステッピングモータは、例えば4つの相φ0〜φ3を有している。回転制御手段からの駆動指令データ信号に基づいて、各相φ0〜φ3の励磁コイルには、互いにπ/2(単位:ラジアン)だけ位相がずれた駆動パルス信号が所定周期の割込処理毎に次々に供給される。また、駆動パルス信号は、デューティ比が3/8(1周期に対しては3/4π相当)のパルス幅を有している。このような1−2相励磁方式により、各相の励磁状態がφ0、φ0・φ1、φ1、φ1・φ2、φ2、φ2・φ3、φ3及びφ3・φ0の8つの励磁相のステップ順で推移しながら、これを1サイクルとして回転動作が繰り返される。このような1−2相励磁方式によれば、リール40L、40C、40Rの回転トルクを十分確保しながら消費される電力を抑えることができる。
図8は、駆動パルス信号及び全相励磁停止信号の波形と、リールの回転速度との関係を示す図である。遊技に規定数のメダルが投入された状態でスタートレバー55が操作されると、回転制御手段は、全てのリール40L、40C、40Rのステッピングモータ40Lm、40Cm、40Rmに対し、駆動パルス信号のパルス幅が次第に又は段階的に短くなるように加速制御を行う。そして、回転制御手段は、各リール40L、40C、40Rの回転数が所定の例えば80回転/分となったとき、駆動パルス信号の周期を一定にしてリールを定速制御する。
ここで、メイン制御基板100のRAMには、各リール40L、40C、40Rに対応して図9に示されるような構成のリール制御フラグカウンタが管理される。リール制御手段は、所定周期の割込処理に応じてステッピングモータを1ステップ駆動する毎にリール制御フラグカウンタを更新することにより、リールの正確な回転位置を逐一把握しながら制御を行う。ここで、図9に示されるリール制御フラグカウンタは、リール状態フラグRF1と、フォトセンサフラグRF2と、図柄ステップフラグRF3と、通過図柄フラグRF4と、停止図柄フラグRF5とを含むフラグ変数領域を有している。また、リール制御フラグカウンタは、ステップカウンタRC1と、位相カウンタRC2とを含むカウンタ変数領域を有している。また、図10は、1つのリールに関しリール制御フラグカウンタが時間の経過とともに推移する例を示す図である。なお、これらの図において、英数字の後に付された‘h’は、その英数字が16進数による数の表記であることを意味する。
リール状態フラグRF1は、リール40L、40C、40Rの回転又は停止等の状態を示すフラグであり、当該リールが停止中のときには‘0’が設定され、加速中のときには‘1’が設定され、定速回転中のときには‘2’が設定され、制動中のときには‘3’が設定される。
回胴センサフラグRF2は、リール40L、40C、40Rが回転基準位置を通過したことを示すフラグであり、各リールの回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsがオンする間‘FFh’が設定される。
図柄ステップフラグRF3は、水平中段のラインL1を通過中の図柄の当該ラインL1に対する相対的な位置(回転角)を、ステッピングモータの残りステップ数で示すフラグである。すなわち、ある図柄の端部がラインL1に差し掛かった時に、初期値として、その図柄に割り当てられるステップ数(‘25’又は‘26’)が図柄ステップフラグRF3に設定される。そして、ステッピングモータが1ステップずつ回転する毎に図柄ステップフラグRF3の値が1ずつ減算(デクリメント)される。
通過図柄フラグRF4は、水平中段のラインL1を現在通過中の図柄の図柄番号が設定されるフラグである。
停止図柄フラグRF5は、リールの停止操作を受付けた時に停止図柄決定手段により決定された停止図柄の図柄番号が設定されるフラグであり、すなわち中段のラインL1に停止させるべき図柄の図柄番号を示すフラグである。
ステップカウンタRC1は、リールの現在の回転位置を回転基準位置からのステップ数で示すフラグカウンタである。回胴センサ40Ls、40Cs、40Rsによりリール40L、40C、40Rの回転基準位置が検出された時に当該リールに係るステップカウンタフラグRF6が‘1’にリセットされ、当該リールのステッピングモータに1ステップ分の駆動パルス信号が出力される毎に1ずつ加算(インクリメント)される。
位相カウンタRC2には、ステッピングモータの回転位置に対応する現在の位相状態がコード化されて設定される。具体的に位相状態は、ステッピングモータの最小可動単位(最小ステップ)毎に変化する励磁相(φ0、φ0・1、φ1、φ1・2、φ2、φ2・3、φ3及びφ3・0)により表される。ステッピングモータが駆動パルス信号に基づいて正常に制御される間は、その位相状態と励磁状態とが一致している。したがって、位相カウンタには、出力中の駆動パルス信号の位相に基づいて対応するコード値が設定される。
図9の下段の表に示されるように、ステッピングモータ41の励磁相がφ3・0のときには位相カウンタRC2に‘0’が設定され、励磁相がφ0のときにはRC2に‘1’が設定され、励磁相がφ0・1のときにはRC2に‘2’が設定され、励磁相がφ1のときにはRC2に‘3’が設定され、励磁相がφ1・2のときにはRC2に‘4’が設定され、励磁相がφ2のときにはRC2に‘5’が設定され、励磁相がφ2・3のときにはRC2に‘6’が設定され、励磁相がφ3のときにはRC2に‘7’が設定される。
リール40L、40C、40Rが定速回転制御に至ると、ストップボタン56L、56C、56Rによる停止操作の受付けが可能となる。そして、何れかのストップボタン56L、56C、56Rから停止操作信号が受付けられると、停止図柄決定手段が、役抽選結果と回転中のリールに対するストップボタンへの停止操作のタイミング及び/又は停止操作順とに基づいて、所定の滑り制御コマ数(例えば5コマ)以内で当該リールが有効ラインに表示させるべき停止図柄を決定する。
ここで図11を参照して、停止図柄決定手段による停止図柄の決定処理を説明する。停止図柄とは、後述する停止制御手段により有効ラインL1上に停止表示すべく決定された図柄をいう。停止図柄決定手段は、役抽選手段による役抽選結果に応じて、リール40L、40C、40R毎に「滑りコマ数テーブル」を作成する。
例えばベル役が同時当選した役抽選結果の場合には、当選ベル役毎に停止操作順の対応付けがされる。そして、それら停止操作態様で場合分けされた滑りコマ数テーブルが各リールについて作成される。ここで、図11には、中リールについての滑りコマ数テーブルが示される。図11の例によれば、左中右の順番の押し順正解のときにベル図柄が有効ライン(ラインL1)に揃うように引込制御され、例えばメダル7枚の払出しがあるベル役が入賞する。しかし、最初の停止操作(第一停止操作)が右であるような不正解押し順のときには、ベル以外の図柄組合せ(ベルこぼし目)が停止制御され、メダルの払出しがより少ない例えば1枚の役が入賞する。
滑りコマ数テーブルには、リールに配列されている各図柄の各図柄番号と、当該図柄番号を起点として図柄が移動する方向(図柄番号が増える方向)において、停止図柄までのコマ数差(滑りコマ数)がセットされる。図11の例では、押し順正解用の滑りコマ数テーブルには、図柄番号とベル図柄までの滑りコマ数がセットされる。押し順不正解用の滑りコマ数テーブルには、図柄番号とベル図柄ではない図柄(例えば「7」その他の図柄)までの滑りコマ数がセットされる。これらの滑りコマ数のデータは、メイン制御基板100のROMに予め記憶され、停止図柄決定手段は、役抽選手段による役抽選の結果を受けて、関連する滑りコマ数のデータを読み取っている。
停止図柄決定手段は、例えば第一停止操作として左のストップボタン56Lの停止操作を受付け、第二停止操作として中のストップボタン56Cを受付け、その時に中段のラインL1を通過中の図柄が例えば図柄番号13の「黒BAR」図柄の場合には、押し順正解時の滑りコマ数テーブルで参照される3コマ先の図柄(図柄番号16の「ベル」図柄)を停止図柄として決定する(図11(a))。
他方、停止図柄決定手段は、例えば第一停止操作として右のストップボタン56Rの停止操作を受付け、第二停止操作として中リール40Cの同じ図柄番号13の「黒BAR」図柄がラインL1を通過中にストップボタン56Cを受付けた場合には、押し順不正解時の滑りコマ数テーブルで参照される5コマ先の図柄(図柄番号17の「7」図柄)を停止図柄として決定する(図11(b))。
以上は、役抽選により複数の小役が同時当選した場合に、停止操作順に応じて優先的に停止表示させる、つまり引込制御の対象とする図柄を決定する例を説明した。この他に、本実施形態のスロットマシン10では、MB役などの特別役が当選した状態が持ち越された遊技で小役や再遊技役が重複して当選する場合や、小役及び再遊技役が複合して当選する役抽選結果もあり得る。これら複数種類の役の当選状態が同時に存在する遊技では、基本的には、再遊技役(リプレイ)>小役(入賞)>特別役(ボーナス)の順で停止図柄が決定される(小役優先)。また、同時当選している役のうちメダルの払出枚数が多い役に対応付けられている図柄を優先して停止図柄として決定してもよいし(払出枚数優先)、内部中の複数の遊技役に対応付けられている図柄の中で数が多い図柄を優先して停止図柄として決定してもよい(図柄個数優先)。これら払出枚数優先や図柄個数優先等に基づくリールの停止制御についての詳細は後述する。
停止図柄が決定されると、停止制御手段は、停止操作がされた回転中のリールに対し、決定された停止図柄と有効ラインとがちょうど一致する位置に停止制御する。
再びリール制御フラグカウンタの推移が例示されている図10を参照して、停止制御手段の動作例を説明する。図10の例では、図柄番号5の図柄がラインL1を通過中(RF4の値が‘5’)の時にストップボタンによる停止操作が受付けられ、図柄番号8の図柄がラインL1に停止させる停止図柄として決定される(RF5の値が‘8’)。つまり、停止図柄決定手段は、上述した役抽選手段による役抽選結果と、回転中のリールに対する停止操作のタイミングと、ストップボタンへの停止操作の順番とに基づいて、例えば図柄番号8の図柄を停止図柄として決定すると、停止図柄フラグRF5に‘8’を設定する。
ここで、図柄番号8の図柄が占める、リールの回転方向における寸法幅は、ステッピングモータの回転角に換算すると25ステップに相当する。停止制御手段は、決定された停止図柄(図柄番号8)がラインL1に差し掛かかる少し前、つまり停止図柄の1コマ前の図柄(図柄番号7)の残りステップ数を示すフラグRF3に‘4’が設定された時に、当該リールのステッピングモータに対して全ての相φ0〜φ3を励磁させる全相励磁停止信号を出力する。全相励磁停止信号により生じるステッピングモータの制動力と回転するリールの慣性力とが対抗し、結果的には16ステップ相当量だけステッピングモータのロータが非制御状態で進む。これにより、停止図柄の中心がちょうどラインL1に一致する位置にリールを停止させることができる。
なお、実際の全相励磁のタイミングは、リールの慣性や、ステッピングモータの性能などに応じて変化する。このため、例えば制動時にリールが進む量を実機で確認等することで全相励磁のタイミングなどの制御パラメータが事前に適合される。
(入賞判定手段)
次に、全てのリール40L、40C、40Rが停止したときに起動される入賞判定手段を説明する。入賞判定手段は、各リール40L、40C、40Rについてのリール制御フラグカウンタを参照して、有効ライン(ラインL1)に表示された図柄を認識する。なお、入賞判定手段は、リールの回転基準位置から送出した駆動パルス信号のステップ数に基づいて有効ライン上の図柄を認識してもよい。更に、入賞判定手段は、ラインL1上に停止表示された図柄組合せを直接認識しなくともよく、各リールにおいて、予め定められた位置(例えば、各リールの下段のラインL2Bや表示窓32の枠上など)の図柄を認識することで、間接的に有効ライン上に停止表示された図柄組合せを判断してもよい。
入賞判定手段は、有効ライン上に停止表示された図柄組合せが何れかの遊技役に対応付けられた組合せと一致するか否か調べる。入賞判定手段は、有効ライン上の図柄の組合せが何れかの遊技役に対応付けられた図柄の組合せと一致する場合、当該対応付けられた役が成立(入賞)したと判定する。
(入賞処理手段)
入賞処理手段は、入賞判定手段により何れかの小役が入賞したと判定されると、貯留手段を起動して入賞した小役に対応する枚数のメダルをクレジットに加算する払出処理を実行する。また、クレジットが貯留上限を超える場合などには、入賞処理手段は、払出制御基板300に搭載される払出制御回路によってメダル払出装置83を駆動し、メダルを払出すための制御を行う。すなわち、メダル払出装置83が1枚ずつメダルを払出すたびに出力する払出信号を計数し、入賞した小役に対応する枚数が排出されたと判断すると、メダル払出装置83の駆動を停止する。
また、入賞処理手段は、小役又は再遊技役が当選していたときは入賞判定後にそれらの当選状態を非当選状態にする。つまり、入賞判定後には、入賞又は役が成立したか否かに関わらず、小役又は再遊技役に係る当選役フラグがオフにされる。一方、MB役などの特別役が当選していたときは、当該特別役が成立した場合を除き、当該特別役に係る当選役フラグのオンが維持される。
また、入賞処理手段は、入賞判定手段により再遊技役が成立したと判断されると当該再遊技役に係る作動フラグをオンにする。MB役やRB役などの特別役が成立した場合には、当該成立した特別役に係る作動フラグをオンにする。
(遊技状態制御手段)
遊技状態制御手段は、入賞判定結果に基づいて、遊技状態の移行を制御する。上述したように、通常遊技では、「非内部中」(「非RT」中)と「内部中」(「RT」中)の遊技状態が存在する。入賞判定後又は入賞処理後に起動される遊技状態制御手段は、遊技状態が「非内部中」(「非RT」中)のときにMB役などの特別役が当選すると、遊技状態を「内部中」(「RT」中)に移行させる。また、遊技状態制御手段は、「内部中」にMB役などの特別役が成立すると、遊技状態をMBなどの特別遊技に移行させる。さらに、遊技状態制御手段は、特別遊技の終了条件が成立したか否かを判断し、成立したと判断したときは、遊技状態を通常遊技の「非内部中」の状態に移行させる。
(貯留手段)
貯留手段は、メダル投入口51から投入されたメダルをクレジット上限の例えば50枚まで貯留する。すなわち、遊技終了後、メダル投入口51から投入されたメダルのうち、規定数を越えた分のメダルをクレジットに加算する。現在クレジットしているメダルの枚数は、クレジット数表示器35に表示される。なお、クレジットとして貯留されているメダルの枚数が上限(満杯)になっているときにメダル投入口51にメダルが投入されると、投入されたメダルをそのままメダル払出口71から排出させる。また、メダルの投入受付期間中に清算ボタン57が操作されると、メダル払出装置83を駆動して、クレジットされているメダル全てをメダル払出口71から排出させる。
また、貯留手段は、再遊技役の成立後、スタートレバー55の操作が受付けられるまでの所定期間(遊技待機中)にメダルが投入されると、そのメダルをクレジットに加算する。また、再遊技役の成立後(再遊技が作動中)であっても、同期間内に清算ボタン57が操作されたときには、クレジット分のメダルをメダル払出口71から排出させる。なお、再遊技が作動した遊技(リプレイ時)であっても、クレジットが所定の上限(例えば50枚)未満の場合には、遊技待機中にされたメダルの投入を受付け、クレジットに加算してもよい。
[メイン制御フロー]
次に、上述した各種制御手段と連携してメイン制御手段が遊技を進行させる遊技進行メイン処理をフローチャートに基づいて説明する。
(遊技進行メイン処理)
図12は、メイン制御手段による遊技進行のメイン処理を例示するフローチャートである。スロットマシン10へ電源電力が供給されると、メイン制御手段は、はじめに初期化処理を実行する(ステップS101)。初期化処理には、メイン制御回路のCPUにおけるスタックポインタやプログラムカウンタのセットなどの電断前の状態に復帰する処理が含まれる。そして、初期化処理の後に遊技開始処理が実行される(ステップS102)。詳細は後述するが、ステップS102の遊技開始処理では、再遊技作動時の自動投入やメダルの投入を許可するなどの処理が行われる。
そして、メイン制御手段は、現在遊技に投入されている(賭けられている)メダルの枚数(ベット数)を記憶するベット数変数からベット数をレジスタに読み込む(ステップS103)。ベット数がないとき(ステップS104:NO)、メダル投入待ちの表示出力要求をセットする(ステップS105)。これにより、メダル投入待ちを報知するランプなどが点灯する。
次に、メダル管理処理が実行される(ステップS106)。詳細は後述するが、メダル管理処理では、メダルが投入された場合のメダル投入処理、ベットボタン52、54が操作された場合のベット操作受付処理、清算ボタン57が操作された場合の清算処理などが実行される。
次に、メイン制御手段は、上述した役抽選手段による役抽選で使用されるソフト乱数を更新する(ステップS107)。そして、後述のスタートレバーチェック処理が実行される(ステップS108)。なお、スタートレバーチェック処理では、所定のエラーチェックを行いスタートレバー55の操作受付けが可能か否か判断する。
メイン制御手段は、スタートレバー55の操作受付けがあるまで、上述したステップS103〜S108のメダル管理に関する処理を繰り返す。そして、規定数のメダルが賭けられた状態でスタートレバー55の操作の受付けがされると(ステップS109:YES)、メイン制御手段は、上述した役抽選手段による役抽選処理を実行する(ステップS110)。
次に、リール制御手段は、リール回転出力要求をセットすることにより、全てのリール40L、40C、40Rの回転を開始する(ステップS111)。上述したようにリール40L、40C、40Rへの回転制御は、ステッピングモータ41L、41C、41Rに対する1−2相励磁方式により行われ、φ0〜φ3の各励磁相への駆動パルス信号の更新がインターバル割込処理毎に行われる。
そして、リール制御手段(図柄表示制御手段)は、滑りコマ数テーブルを作成する(ステップS112)。上述したように、滑りコマ数テーブルには、各図柄番号を起点として決定した停止図柄までのコマ数がセットされる。
そして、リール制御手段は、ストップボタン56L、56C、56Rへの停止操作に基づくリール停止受付けをチェックする(ステップS113)。ステップS113のリール停止受付けのチェック処理では、1つのストップボタンへの停止操作が受付けられると、作成された滑りコマ数テーブルが参照されて、決定された停止図柄を有効ラインに停止表示する停止制御が実行される。
リール制御手段は、全てのリール40L、40C、40Rの停止を判断するまで、ステップS111〜S113までの処理を繰り返し、全てのリールの停止を判断すると(ステップS114:YES)、入賞判定手段が有効ライン(ラインL1)上に停止表示された図柄を判定する(ステップS115)。すなわち、入賞判定手段は、有効ライン上に停止表示された、リール40L、40C、40Rの図柄組合せが何れかの当選役に対応付けられた組合せと一致するか否か判定し、これらが一致するとき当該当選役が成立(入賞)したと判定する。
入賞判定手段が例えば小役が入賞したと判定したときには、入賞処理手段がメダルの払出処理を実行する(ステップS116)。なお、メダルの払出処理は、クレジットを加算する場合と、メダル払出口71からメダルを実際に払出す場合とがある。本実施形態によるスロットマシン10ではクレジットへの加算(貯留)が優先される。
次に、遊技終了チェック処理が実行される(ステップS117)。ステップS117の遊技終了チェック処理では、小役が入賞したと判断されると、入賞処理手段は入賞した当該小役の当選役フラグをオフにする。また、再遊技役が成立したと判断されると、入賞処理手段は当該再遊技役の当選役フラグをオフにする。
また、遊技終了チェック処理において入賞処理手段は、再遊技役が成立したと判断されると当該再遊技役に係る作動フラグをオンにする。また、入賞処理手段は、MB役やRB役などの特別役が成立した場合には、当該成立した特別役に係る当選役フラグをオフにするとともに、当該成立した特別役に係る作動フラグをオンにする。遊技状態制御手段は、当該成立した特別役に係る特別遊技に遊技状態を移行させる。なお、特別役の当選役フラグがオン(つまり特別役が内部中の遊技)において、当該特別役が成立しなかった場合には、当該特別役の当選役フラグはオフにされず、次の遊技以降に当選状態が持ち越される。
また、遊技終了チェック処理において遊技状態制御手段は、特別遊技が所定の終了条件を満たすと判断した場合には、通常遊技に遊技状態を移行させる。
メイン制御手段は、遊技終了チェック処理後に上述したステップS102の遊技開始処理に戻り、次の遊技の進行を開始させる。
(遊技開始処理)
次に、遊技進行メイン処理のステップS102で起動される遊技開始処理の詳細を説明する。ここで、図13は遊技開始処理を例示するフローチャートである。
遊技開始処理では、はじめにクレジット数表示要求がセットされる(ステップS121)。クレジット数表示要求が有効である間、インターバル割込処理により、現在スロットマシン10に貯留されているクレジット数がクレジット数表示器35に表示される。そして、メイン制御手段は、作動フラグをチェックし(ステップS122)、再遊技が作動状態か否かを判定する(ステップS123)。なお作動フラグは、上述したように遊技終了チェック処理において、成立した役に応じてセットされる遊技状態を示すフラグである。
再遊技が作動状態であれば(ステップS123:YES)、メダルが1枚ずつ自動投入される。ここで「自動投入」とは、メダルが自動的に賭けられることをいう。具体的には、一定時間(例えば100ミリ秒)待機し(ステップS124)、そして1枚ベット処理(ステップS125)を前回の遊技で投入されたメダルの枚数になるまで(ステップS126:YES)繰り返し実行する。
メイン制御手段は、現在のクレジット数をCPUのレジスタに読込む(ステップS127)。そして、メイン制御手段は、クレジット数が上限(例えば50枚)か否か判断する(ステップS128)。クレジット数が上限未満の場合には(ステップS128:NO)、セレクタ28に対するブロッカ信号出力処理が実行され(ステップS129)、これによりメダル投入口51からのメダルの投入が許可される。
また、メイン制御手段は、当該遊技において再遊技が作動状態でないと判断した場合には(ステップS123:NO)、クレジット数の有無にかかわらずブロッカ信号出力処理を実行し(ステップS129)、メダルの投入を許可する。
このように、本実施形態のスロットマシン10では、遊技開始の状態で再遊技作動中と判断した場合には、クレジット数を判断してメダルの投入を許可するようにセレクタ28を制御する。一方、再遊技作動状態ではないと判断した場合には、クレジット数の有無にかかわらずメダルの投入を許可するようにセレクタ28を制御している。これにより、再遊技が作動した遊技開始の時期でも、メダル投入口51からのメダルの投入を受付けるとともに、投入されたメダルがクレジットに加算される。
なお、フローチャートには示されていないが、遊技開始処理において、再遊技が作動中であっても清算ボタン57への清算操作の受付けを可能としてもよい。つまり、再遊技中の清算処理を認めるようにしてもよい。
(メダル管理処理)
次に、遊技進行メイン処理におけるステップS106で起動されるメダル管理処理を説明する。ここで、図14はメダル管理処理を例示するフローチャートである。
メダル管理処理では、メイン制御手段は、はじめにブロッカ信号が出力中か判断する(ステップS141)。ブロッカ信号が出力中と判断すると(ステップS141:YES)、セレクタ28の投入センサが作動(オン)したか判断する(ステップS142)。ブロッカ信号が出力中であって(ステップS141:YES)、投入センサが作動した場合には(ステップS142:YES)、正規のメダルが投入されたと推定し、メダル投入処理が実行される(ステップS143)。
なお、メダル投入処理では、セレクタ28のエラーをチェック後、正常であれば投入されたメダルの枚数をベット数に加算する。そして、ベット数が規定数に至ると遊技進行メイン処理に戻る。
ブロッカ信号が出力されていないか(ステップS141:NO)、又はブロッカ信号が出力中であるが、投入センサが非作動(オフ)のときに(ステップS142:NO)、メイン制御手段が何れかのベットスボタン52、54の操作を検知すると(ステップS145:YES)、ベット操作受付処理を実行する(ステップS146)。
ステップS146のベット操作受付処理では、メイン制御手段は、クレジット数が1枚以上残されており、1枚ベットボタン52が操作されたときには、ベット数を1枚加算する。これとともに、クレジット数を1枚減算する。そして、ベット数が規定数に至ると遊技進行メイン処理に戻る。ここで「規定数」とは、遊技状態に応じて定められる、遊技に賭けることができるメダルの枚数をいう。例えば通常遊技中の規定数は2枚又は3枚に定められ、MB遊技中の規定数は2枚に定められる。
ベット操作受付処理でメイン制御手段は、クレジット数が規定数以上残されており、マックスベットボタン53が操作されたときには、ベット数を最大の規定数(通常は3枚)にし、クレジット数からベット処理された枚数分を減算する。
また、ブロッカ信号が出力されていないか(ステップS141:NO)、又はブロッカ信号が出力中であるが、投入センサが非作動(オフ)のときに(ステップS142:NO)、メイン制御手段が清算ボタン57の操作を検知すると(ステップS147:YES)、清算処理を実行する(ステップS148)。なお、清算ボタン57の長押しを検知するにより清算処理を実行するようにしてもよい。
ステップS148の清算処理では、メイン制御手段ははじめに現在投入されているベット数を判断し、ベット数が存在すればメダル払出装置83を駆動して、その枚数分のメダルをメダル払出口71から払い戻す。ただし、再遊技が作動中の遊技開始の期間、又は、ベット数が存在しない場合には(直前にベット数が清算された場合を含む)、クレジットとして貯留されているメダルが全てメダル払出口71から払い戻される。
(スタートレバーチェック処理)
次に、遊技進行メイン処理におけるステップS109で起動されるスタートレバーチェック処理を説明する。ここで、図15はスタートレバーチェック処理を例示するフローチャートである。
スタートレバーチェック処理で、メイン制御手段は、はじめにセレクタ28やメダル払出装置83などのエラーをチェックする(ステップS151)。メイン制御手段は、規定数をチェックし(ステップS152)、投入数が規定数を満たしているかチェックする(ステップS153)。上述したように「規定数」とは、遊技状態に応じて当該遊技に投入することができるメダル枚数をいう。
投入数が規定数を満たしていると判断すると(ステップS153:YES)、メイン制御手段はスタートレバー55の操作受付が可能か否か判定する(ステップS154)。例えば、単位遊技の最短時間間隔を調整する遊技ウエイトタイマが4.1秒の所定時間経過を示していれば、スタートレバー55の操作受付が可能と判定する。
メイン制御手段は、スタートレバー55の操作受付が可能であると判定すると(ステップS154:YES)、スタートレバー受付許可フラグをオンにセットする(ステップS155)。他方、投入数が規定数を満たしていない場合(ステップS153:NO)、又はスタートレバー55の操作受付が可能でなければ(ステップS154:NO)、スタートレバー受付許可フラグのオフを維持する(ステップS156)。
スタートレバー受付許可フラグをオンにセットした後、メイン制御手段がスタートレバー55からの回転開始操作信号の立ち上り(オン)を検知すると(ステップS157:YES)、セレクタ28に対するブロッカ信号停止処理が実行され(ステップS158)、これによりメダル投入口51からのメダルの投入が禁止される。
そして、メイン制御手段は、役抽選手段が役抽選に使用する乱数値を乱数発生器から取得する(ステップS159)。なお、役抽選に使用される乱数値は、カウンタ値とソフト乱数とに基づいて演算処理して求めてもよい。
(フリーズ演出処理)
遊技の進行を一時停止状態にして遅延させるフリーズ演出を実行する。「フリーズ演出」としては、例えば、メダルの投入受付け、ベットボタンへの投入操作受付け、遊技を開始するためのスタートレバー操作の受付け、又は、ストップボタンへのリール停止操作の受付けに関する機能を一時停止状態にすることなどが挙げられる。
また、フリーズ演出は、遊技の進行に関わる全ての機能に関して一時停止状態にしてもよいし、スタートレバーの操作の受付けは有効にするが、ストップボタンの操作の受付けは一時停止状態とする等の一部の機能に関してのみ一時停止状態にしてもよい。
遊技の進行を一時停止状態にする態様としては、遊技者の操作に基づく制御処理(メダルの投入検出処理、ベットボタンの操作に基づいた賭け枚数設定処理、スタートレバーの操作に基づいたリール回転処理及び役抽選処理、ストップボタンの操作に基づいたリールの停止処理)を一定期間行わないことが挙げられる。
フリーズ演出によって遊技の進行を一時停止している期間中に遊技者の操作に基づいた入力信号が発せられたときは、入力信号に基づく制御処理を行わない、入力信号を受付けない、遅延回路を用いて入力信号の送信を所定期間が経過するまで遅延させるなどの処理を行う。これにより、フリーズ演出を行わない場合と比較して単位遊技が終了するまでの期間が遅延することになる。
スタートレバーの操作に基づいて行われるフリーズ演出に関しては、スタートレバーが操作された時点ではリールを回転させず所定期間経過後にリールの回転を開始する場合や、スタートレバーが操作された時点では役抽選を行わず所定期間経過後に役抽選とリールの回転を行う場合や、スタートレバーが操作された時点で役抽選を行うがリールを回転させず所定期間経過後にリールの回転を開始する場合などが挙げられる。
ストップボタンの操作に基づいて行われるフリーズ演出に関しては、ストップボタンの操作の受付け時のフリーズ演出と、ストップボタンの操作の結果、特定の図柄がリール上に停止表示されたことに基づいて行うフリーズ演出とで制御処理の内容が異なる。
例えば、ストップボタンの操作の受付け時のフリーズ演出の制御処理は、回転しているリールの停止制御処理を行わないことが挙げられる。その場合には所定期間、遊技者は回転中のリールを停止できなくなる。所定期間が経過してストップボタンが操作されたことにより停止制御処理を行うので、ストップボタンの停止操作受付けからリール停止までのタイミングを遅延させることができる。
ストップボタンの操作の結果、特定の図柄がリール上に停止表示されたことに基づいて行うフリーズ演出の制御処理は、第一停止操作又は第二停止操作で特定の図柄がリールに停止表示されたときは、次のストップボタンの停止操作を所定期間受付けないことが挙げられる。また、最後のストップボタンへの停止操作(第三停止操作)で特定の図柄がリールに停止表示されたときは、次の遊技を開始するためのベットボタン操作受付処理、メダルの投入処理、又は、リプレイが作動時の自動投入処理を所定期間行わないことなどが挙げられる。
フリーズ演出を行う所定期間は、遊技者の操作に基づく遊技進行制御を一時停止させるが、遊技の進行に関わらない遊技機動作は実行可能である。例えば、ストップボタンの操作に基づく停止制御処理は行わないが、リールの回転態様は任意に設定することができる。
所定期間におけるリールの回転態様として、リールを通常回転とは逆方向に回転すること、リールを所定図柄数回転し特定の図柄組合せを停止すること、複数のリールのうち所定のリールを停止状態にして他のリールを回転状態にすること、リールの回転速度を変化すること、又は、遊技者の操作に起因してリールの動作を変化することなどが挙げられる。
フリーズ演出を行う所定期間は、所定の条件(遊技者の操作、抽選等)によって変化させることができる。ここで、所定の条件とは、遊技者による操作(スタートレバー、ベットボタン、ストップボタン、清算ボタン)に基づく信号の検出や抽選による所定の結果などが挙げられる。また、「変化させること」とは一時停止期間を短くすることや長くすることが挙げられる。
一時停止期間を短くする制御処理として、一時停止期間を強制終了すること、又は、一時停止期間よりも短い期間に書き換えることが挙げられる。そして、一時停止期間を長くする制御処理として、一時停止期間の後に他の期間を追加すること、または、一時停止期間よりも長い期間に書き換えることが挙げられる。また、フリーズ演出に基づく一時停止期間は、最大時間が定められたものでなく、遊技者の操作に基づき一定の結果が得られるまで継続してもよい。
フリーズ演出を行う一時停止期間は、ウエイト期間の経過後に設定してもよいし、ウエイト期間を含んで設定してもよい。ウエイト期間を含んだ場合は、ウエイト期間中にフリーズ演出が終了するか否かを判断して、終了する場合は、ウエイト期間後にフリーズ演出期間を設定する態様やフリーズ演出終了後に残りのウエイト期間を再開する態様が挙げられる。または、予めウエイト期間よりも長い期間のフリーズ演出期間を設けることで、このような判断処理を省略することも可能である。
フリーズ演出の他の態様として、あたかも通常の遊技を進行しているかのような疑似遊技を行うこと(以下、「疑似遊技フリーズ演出」という。)が挙げられる。疑似遊技フリーズ演出は、スタートレバーが操作されたことに基づいたスタートレバー受付処理からリール回転開始処理までの間にフリーズ演出期間を定め、フリーズ演出期間中は、通常の遊技のようにスタートレバーの操作に基づいてリール回転制御を行い、ストップボタンの操作に基づいてリール停止制御を行う。ただし、スタートレバーの操作に基づく役抽選処理やストップボタンの操作に基づく入賞判定処理又は払出制御処理は行わない。
疑似遊技フリーズ演出では、ストップボタンが操作された時、特定のリールが回転した時、又は、全てのリールが停止した時のタイミングでリールを上下に揺動させるリール変則動作演出を行ってもよい。これにより、通常の遊技ではなく疑似遊技フリーズ演出であることを遊技者に示唆することができる。
[サブ制御手段を構成する各制御手段]
次に、サブ制御基板200において実行される各種制御手段を説明する。サブ制御基板200に搭載されるサブ制御回路のCPUが所定の制御プログラムを実行することにより、下記の制御手段が実現される。
(演出制御手段)
演出制御手段は、スロットマシン10の上部ランプ62、コーナーランプ63L、63R等のランプ類を用いた光による演出、スピーカ64L、64R、73L、73Rを用いた音による演出、及び、液晶表示器61を用いた画像や文字等による演出の制御を行う。サブ制御基板200に接続される演出ROM220には、そのような各種演出を実行するための画像(動画又は静止画)データ、音声、楽音及び効果音データ、ランプ類の点灯パターンデータなどからなる演出パターンデータが記憶されている。演出抽選手段は、メイン制御基板100からコマンドを介して送信される役抽選の結果及び遊技状態に応じて、実行する演出の内容を抽選などによって決定する。
演出制御手段は、例えばスタートレバー55が操作されメイン制御基板100から回転開始コマンドを受信すると、所定の又は随時選択される演出画像を液晶表示器61に表示して、リールの回転動作に遊技者の関心を惹き込むような演出をする。また、演出制御手段は、例えばメイン制御基板100から疑似遊技中にリールが変則動作するコマンドを受けたとき、それに連動して疑似入賞を煽るような対応演出を行ってもよい。
(演出抽選手段)
サブ制御回路に備えられる演出抽選手段は、メイン制御基板100から所定のコマンドを受信したときなどに乱数値に基づく抽選処理を実行する。なお、演出抽選手段は、上述した演出パターンデータを選択する抽選(演出抽選)の他にも、メイン制御回路側で抽選した役抽選結果を報知するか否かの抽選(役報知抽選)や、遊技者に停止操作態様を報知するか否かの抽選(AT抽選)なども行う。
(AT制御手段)
サブ制御回路に備えられるAT制御手段は、停止操作順などの操作態様を報知する操作態様報知手段と、上述の演出抽選手段の一態様であるAT抽選手段とを含み構成される。
ATが開始されると、操作態様報知手段は、操作指示ランプ33l、33c、33rの点灯や液晶表示器61の画像を用いて停止操作の順番を遊技者に報知する。AT中に報知する停止操作態様としては、例えば最初に停止操作すべきストップボタン(第一停止操作)だけの報知であってもよい。例えば小役である複数の入賞役が同時に当選する役抽選結果の場合には、操作態様報知手段は、メダルの払出枚数がより多いほうの小役が入賞する押し順を正解押し順として報知する。また、操作態様報知手段は、遊技者にとって有利な遊技状態への移行に導く押し順を正解押し順として報知してもよい。逆に不利な遊技状態へ移行しないような押し順を報知してもよい。
ATは、例えばMB遊技などの特別遊技の終了後、所定回数遊技(例えば1セットが30遊技)において連続して実行される。また、サブ制御回路におけるAT抽選手段による抽選結果に基づいてATを実行してもよい。
AT抽選手段によるAT抽選は、1セットのATが終了するとき、又はAT中に所定の図柄が表示されたときなどに実行される。なお、AT抽選の契機となる図柄は、遊技役が対応付けられている図柄でもよいし、遊技役が対応付けられていない図柄であってもよい。また、遊技結果とは無関係の疑似遊技中に所定の図柄が表示されたのを契機にAT抽選が行われてもよい。
AT中に別のATが当選すれば、引続きもう1セット(例えば30遊技)のATを上乗せして継続させることもできる。また、AT実行の役抽選結果は、特に制約を受けない限り複数個ストックすることができる。なお、レア役などの成立により、AT抽選を行わずにAT実行の権利がストックされてもよい。
(特典付与手段)
また、サブ制御回路には特典付与手段が備えられる。特典付与手段は、メイン制御基板100から受信したコマンドに基づいて遊技者に特典を付与する手段である。例えば、上述したようにレア役などの成立によりAT実行の権利を遊技者に付与することができる。また、AT抽選の確率を低確率状態から高確率状態に変更することで、AT継続率を高める特典を付与することもできる。更に後述する第1の実施例の変形例のように、複数種類のMB役が存在する場合に、それぞれのMB遊技の種類に応じてAT上乗せの特典を変更するようにしてもよい。
(ペナルティ手段)
また、サブ制御回路にはペナルティ手段が備えられる。ペナルティ手段は、メイン制御基板100から受信したコマンドに基づいて遊技者にペナルティを与える手段である。例えばAT中に報知された操作態様に従って停止操作がされないとき、意図しないタイミングで遊技者に払い出しの結果を与える図柄組合せが表示されるとき、又は、これらの組合せによる結果が得られないとき等には、AT(操作態様)の報知を一時的に停止したり、AT抽選を取り止めたり、AT抽選確率を低く設定したりすることができる。また非AT中の通常遊技においても、望ましくない停止操作順(例えば変則押しや逆押しなど)が繰り返されたときには、ATへの移行を取り止めたり、AT抽選確率を低く設定したりすることができる。また、ペナルティ手段は、AT期間中などの遊技者に有利な状態であるときは設定しないようにしてもよい。
[実施例1]
次に、本発明に係るスロットマシンの具体的な実施例を説明する。ここで、図16には、第1の実施例による図柄の配列が示される。左リール40L、中リール40C及び右リール40Rの各外周面には、図16に示される図柄が等間隔で印刷されたリールテープが巻かれている。各図柄にはリールが回転する方向に沿って1ずつ増加する‘0’〜‘19’の図柄番号が割り当てられており、リールテープをリールに巻いて貼着したときには、図柄番号0と図柄番号19の図柄が隣接し、全ての図柄が環状に連続することとなる。
リールに付される図柄としては、「ベル」、「スイカ」、数字の「7」及び「チェリー」などをモチーフとしたものが一般的に用いられる。しかし、これらの図柄のモチーフは伝統的に慣用されているものに過ぎず、スロットマシンの機種や登場するキャラクタ等に合わせて適宜選択することができる。また、リールの図柄数も20個に限定されず21図柄など任意の個数に定めることができる。
なお、図柄にはその種類を示す種別コード(図示略)が割り当てられており、各リール40L、40C、40Rについて図柄番号と種別コードとが対応付けられた図柄配列テーブルがメイン制御基板100のROMに記憶されている。
図17(a)には、持越役であるMB役(MB−01)に対応付けられた図柄の組合せがリールの位置に対応して示される。本実施例では、1つのMB−01に第1の図柄組合せ(「白BAR」「JAC」「JAC」)と第2の図柄組合せ(「リプレイ」「スイカ」「チェリー」)とが対応付けられている。
図17(b)には、再遊技役(再遊技−01、02、・・・、06)に対応付けられた図柄の組合せが示される。
再遊技−01(通常リプレイ)には、「ベル」「7」「JAC」など4通りの図柄組合せが対応付けられている。再遊技−01に係る図柄組合せは、いずれも水平中段のラインL1に揃うと、水平上段のラインL2Aに「リプレイ」「リプレイ」「リプレイ」が停止表示されることから「上段リプレイ」とも称される。
再遊技−01の左の図柄を構成する「ベル」は、最大の滑り制御コマ数である5コマ間隔以内に左リール上に配列されているので、停止操作のタイミングに関わらず必ず停止図柄として決定し得る図柄、つまり引込制御が可能な図柄(以下「引込可能図柄」という。)である。中の図柄を構成する「7」「黒BAR」「白BAR」「ブランク」は、それぞれ何れかの図柄が中リール上で5コマ間隔以内に配列されている。したがって、停止操作のタイミングに関わらず、これらのうち何れかの図柄を引込むことが可能となっている。右の図柄を構成する「JAC」も右リール上で5コマ間隔以内に配列されているので引込可能図柄である。
したがって、再遊技−01は、当選すれば停止操作のタイミングに関わらず、上記4通りの図柄組合せの何れかを停止表示できる図柄構成を有している。同様に、再遊技−02、03、04も停止操作のタイミングに関わらず成立し得る図柄構成を有している。
他方、再遊技−05、06については、所定の停止操作のタイミングに基づかなければ成立しない図柄構成となっている。特に再遊技−06は、各リールで1図柄しか配置されていない「白BAR」を全て揃える必要があるリプレイである。このような図柄を揃えにくいリプレイを、例えばメダルを減らさないより有利なRTへの移行契機となる役とすることができる。
次に、図18には、入賞役であるベル役(ベル−01、02、・・・、12)に対応付けられた図柄の組合せが示される。これらのうち、ベル−01、02は、通常遊技においてメダル3枚を投入した遊技で入賞すると7枚の払出しがあり、メダル2枚を投入した遊技で入賞すると2枚の払出しがある役である。ベル−01、02は、何れも引込可能図柄の組合せで構成され、またメダルの払出しが比較的多いことから正解押し順用として用いられる。
ベル−03、04は、入賞するとメダルの投入枚数に関わらず1枚の払出しがある役である。ベル−03、04は、どちらも4通りの何れかの図柄組合せが表示可能な図柄構成を有しており、メダルの払出しが比較的少ないことから不正解押し順用として用いられる。
ベル−05、06、・・・、12は、何れも1枚の払出役である。これらは、単独では引込可能図柄の組合せで構成されてはいないが、2つ以上のベル役が同時当選することで何れか1つのベル役が入賞可能となる不正解押し順用として用いられる。
図19及び図20には、その他のベル役(ベル−13、14、・・・、34)に対応付けられた図柄の組合せが示される。ベル−13、14、・・・、34も1枚の払出役であり、他のベル役との同時当選した際の不正解押し順用として用いられる。
図21には、同じく入賞役であるスイカ、チェリー−01、02、特殊−01に対応付けられた図柄の組合せが示される。スイカは、メダル3枚を投入した遊技で入賞すると3枚の払出しがあり、メダル2枚を投入した遊技で入賞すると2枚の払出しがある役である。また、スイカは、4通りの何れかの図柄組合せが表示可能な図柄構成を有している。チェリー−01は、メダル1枚の払出役であり、12通りの何れかの図柄組合せが表示可能な図柄構成を有している。また、チェリー−02は、メダル1枚の払出役であり、4通りの何れかの図柄組合せが表示可能な図柄構成を有している。特殊−01は、メダル3枚を投入した遊技で入賞すると1枚の払出しがあり、メダル2枚を投入した遊技で入賞すると2枚の払出しがある役であり、4通りの何れかの図柄組合せが表示可能な図柄構成を有している。
なお、MB遊技中は、必ず全ての入賞役が同時当選(全入賞役当選)し、遊技者による停止操作に基づいてベルやスイカ等の入賞役に係る図柄組合せが有効ラインに表示されても、メダルの払出しが例えば2枚と定められている。また、チェリー役に関しては、投入枚数に関わらず1枚の払出しと定められている。
次に、図22及び図23を参照して、役抽選手段により生じ得る役抽選結果について説明する。ここで、役抽選のそれぞれの結果は、当該結果が得られることが当該結果に対応付けられている図柄組合せを表示させるために必要な条件であること、言い換えると当該結果に含まれる遊技役が入賞(又は成立)するための条件とされていることから「条件装置」とも称されている。なお「条件装置が作動する」とは、役抽選により当該条件装置に対応する遊技役が当選すること、又は対応する複数の遊技役が同時に当選するということを意味している。
図22(a)には、持越役であるMBに関する役抽選結果(条件装置)とその当選役が示される。同図に示されるように、MBに関する役抽選結果としては、上述したMB−01が単独で当選するMB−Aがある。
図22(b)には、再遊技に関する役抽選結果(条件装置)とそれらの当選役が示される。同図に示されるように、再遊技に関する役抽選結果としては、再遊技−01(上段にリプレイが揃う通常リプレイ)が単独で当選する再遊技−Aと、再遊技−01及びその他の再遊技役が1つ又は複数同時当選する再遊技−B、C、D、E、G、Hと、再遊技−04(JAC揃いリプレイ)が単独で当選する再遊技−Fがある。
上段リプレイ、JAC揃いリプレイ、ベル揃いリプレイなど図柄組合せが異なる複数の再遊技役を同時当選の抽選対象とする役抽選結果(再遊技−B、C、D、E、G、H)では、それぞれの抽選対象毎に停止操作態様(停止操作順;押し順)が対応付けられている。例えば役抽選の結果が再遊技−Bでは、再遊技−01と再遊技−04とが同時当選する。再遊技−01(上段リプレイ)には第一停止操作が左と中そして右中左の停止操作の順番が対応付けられており、再遊技−04(JAC揃いリプレイ)にはそれら以外の右左中の停止操作の順番が対応付けられている。したがって、再遊技−Bの役抽選結果となった遊技では、遊技者が第一停止操作を左若しくは中、又は、右中左の順番で停止操作をした場合には再遊技−01(上段リプレイ)が成立し、右左中の停止操作をした場合には再遊技−04(JAC揃いリプレイ)が成立することとなる。
図23には、入賞に関する役抽選結果(条件装置)とそれらの当選役が示される。同図に示されるように、入賞に関する役抽選結果としては、ベル−01及び他のベル役が同時当選する入賞−A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2と、ベル−02及び他のベル役が同時当選する入賞−E1、E2、E3、E4、F1、F2、F3、F4とがある。
ベル−01及びベル−02は、上述したように比較的メダルの払出しが多い入賞役であり、入賞−A1、A2、・・・、F4では、これらベル−01又はベル−02に正解の押し順が対応付けられ、他の同時当選するベル役に対応付けられる押し順は不正解の押し順とされる。
例えば、入賞−A1の役抽選結果となった遊技では、遊技者が左中右の順番(正解押し順)で停止操作をした場合にはベル−01が必ず入賞する。また、遊技者が左右中の順番で停止操作をした場合には操作のタイミングによりベル−03が1/2の確率で入賞し、第一停止操作が中の場合には操作のタイミングによりベル−05、06、11又は12が1/2の確率で入賞し、第一停止操作が右の場合には操作のタイミングによりベル−13、14が1/4の確率で入賞する。
またベル役の他に入賞に関する役抽選結果として、スイカと特殊−01とが同時当選する入賞−G、チェリー−01とチェリー−02とが同時当選する入賞−H、特殊−01が単独当選する入賞−Iがある。
なお、MB遊技中(MB作動時)の役抽選の結果は上述した全入賞役当選のみとなる。
図24(a)にはMB役が非内部中(非RT)の状態、図24(b)にはMB役が内部中(RT)の状態、図24(c)にはMB遊技中の各状態において各遊技役の抽選確率を円グラフで比較した図が示される。そして、図25には、それら各遊技役の役抽選に適用される置数と抽選乱数母数が65536の場合の抽選確率が示される。
これらの図で比較されるように、通常遊技においては、非RTとRTとの間で入賞役(入賞−A〜I)全体の置数に変化はなく、つまり入賞役の当選確率は同じに設定されている。しかし、非RTよりもRTのほうが、再遊技(リプレイ)の当選確率が高く設定されている。また、非RTではMB役が当選役となる可能性があるが、MB役の当選が持ち越されたRTではMB役の当選確率はゼロである。つまり、MB内部中(RT)では役抽選手段による抽選対象からMB−01が除外される。
また、MB遊技中(MB作動時)は全入賞役当選の確率が100%であり必ず全ての入賞役が当選状態となる。ただし、図示はしていないが、MB遊技中に例えば一定の抽選確率で何れの遊技役も当選しない状態、つまりハズレの状態が存在してもよい。また、MB遊技中の全入賞役当選の状態は入賞時の払出枚数に差はなく、どの小役に係る図柄組合せが表示された場合でも、共通して2枚のメダルが遊技者に払出される。更に、MB遊技中は、MB役の当選確率がゼロであり、MBの抽選は行われない。また、MB作動中は、内部抽選の結果に関わらず全小役が当選状態となると記載しているが、内部抽選の結果に基づいて表示する図柄を変更するように制御してもよい。
本実施例のスロットマシンによれば、役抽選手段による抽選結果には、少なくとも、第1の入賞役の当選を含む第1の役抽選結果と、第2の入賞役の当選を含む第2の役抽選結果と、前記第1及び第2の入賞役の当選を含む第3の役抽選結果とがある。
具体的には、図23に示されるように、第1の入賞役がベル−01とした場合に、この第1の入賞役の当選を含む第1の役抽選結果として入賞−A〜D(入賞−A1、A2、・・・、D2)があり、第2の入賞役がベル−02とした場合に、この第2の入賞役の当選を含む第2の役抽選結果として入賞−E、F(入賞−E1、E2、・・・、F4)がある。また、第3の役抽選結果として、MB遊技中に第1の入賞役であるベル−01と第2の入賞役であるベル−02と含む全ての入賞役が同時に当選する全入賞役当選がある。
そして、本実施例のスロットマシンによれば、通常遊技では役抽選手段による抽選結果で第1又は第2の役抽選結果の可能性はあるが第3の役抽選結果の可能性はなく、特別遊技では第3の役抽選結果の可能性はあるが前記第1又は第2の役抽選結果の可能性はないように設定されている。
つまり、図24及び図25に示したように、通常遊技(RT、非RT)では、第1の役抽選結果である入賞−A〜Dと、第2の役抽選結果である入賞−E、Fのいずれかの当選の可能性はあるが、第3の役抽選結果である全入賞役当選の確率はゼロである。逆に、特別遊技(MB遊技)では、第3の役抽選結果である全入賞役当選の確率は100%であるが、入賞−A〜Dや入賞−E、Fの個別の当選確率はゼロである。
また、本実施例のスロットマシンによれば、少なくとも1つの持越役に第1の図柄組合せと、この第1の図柄組合せとは異なる第2の図柄組合せとが対応付けられている。
上述したように、持越役とは、次遊技以降に当選状態を持ち越すことができる例えばMB役である。図17(a)に示したように、MB−01には、第1の図柄組合せとしての「白BAR」「JAC」「JAC」と、第2の図柄組合せとしての「リプレイ」「スイカ」「チェリー」とが対応付けられている。
また、スロットマシンの図柄表示制御手段は、持越役の当選状態が持ち越された遊技では第1の図柄組合せを停止表示可能に制御し、持越役が当選した当該遊技では第2の図柄組合せを停止表示可能に制御する。
具体的に例えば、通常遊技においてMB役が当選しその当選状態が持ち越された遊技では、MB−01の第1の図柄組合せである「白BAR」「JAC」「JAC」が停止表示可能となる。図16に示したように、左の「白BAR」は、左リールに1個配置され、中右の「JAC」はそれぞれ滑り制御コマ数以内の間隔で中及び右リールに配置された引込可能図柄である。したがって、MB−01が内部中であって他の入賞役が当選していなければ、1/4の確率で「白BAR」「JAC」「JAC」が停止表示されMB遊技に移行することとなる。
一方で、MB役が当選した当該遊技では、MB−01の第2の図柄組合せである「リプレイ」「スイカ」「チェリー」が停止表示可能となる。左中の「リプレイ」「スイカ」は、引込可能図柄であり、右の「チェリー」は、右リールに2個配置されている。MB役が当選した当該遊技ではMB−01のみが単独当選しているはずなので、「リプレイ」「スイカ」「チェリー」が停止表示される確率は1/2となる。
また、本実施例のスロットマシンによれば、持越役の当選状態が持ち越され、かつ、役抽選手段により少なくとも1つの非持越役が当選した遊技では、図柄表示制御手段は、所定の態様で停止操作手段が操作されたことに基づいて、当選状態が持ち越された持越役に対応付けられる第1の図柄組合せを停止表示可能に制御する。
持越役の当選状態が持ち越され、かつ、役抽選手段により少なくとも1つの非持越役が当選した遊技とは、持越役である例えばMB−01が当選した他の内部中の遊技において、例えば入賞−A1などの非持越役が重複して当選している遊技をいう。この例では、MB−01が成立する可能性の他に、入賞−Aの役抽選結果において同時当選しているベル−01、03、05、06、11、12、13、14の何れにも入賞の可能性がある(図23の結果番号10参照)。上述したように、複数の入賞役などが同時当選した役抽選結果においては、入賞させる(引込対象となる)役に停止操作の順番が予め対応付けられている。しかし、複数の入賞役などがMB役などの持越役と重複して当選したときには、所定の停止操作態様で操作されたことに基づいて、MB役などの持越役を成立させる。
ここで、主に図16の図柄配列、及び、図26のMB−01と入賞−Aに対応付けられる図柄組合せの例を参照しながら、MB−01と入賞−Aとが重複当選した遊技において、停止操作の態様に基づく停止図柄の決定方法を詳細に説明する。
MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技では、図26に抜粋して示される図柄の組合せが有効ラインへの引込停止の対象となる。すなわち、MB−01と入賞−Aを構成するベル−01、03、05、06、11、12、13、14に係る各図柄組合せが停止図柄の候補として選択される。
1.停止操作の順番が<左→中→右>の場合
まず、第一停止操作が左リールに対してされると、「ベル」が停止図柄として決定される。ここで、ベル−01は、同時当選している他のベル役(ベル−03、05、06、11、12、13、14)よりも払出枚数が多い入賞役である。また、当選が持越しされたMB−01はメダルの払出しがない役である。したがって、払出枚数優先を適用すると払出枚数が最も多いベル−01が優先され、左リールにはベル−01の左図柄を構成する「ベル」が有効ラインに停止表示される。
なお、図26に示されるように、MB−01と入賞−Aを構成する全ての図柄組合せのうち、左リールに配置される構成図柄(左図柄)で最も多い図柄は「ベル」(5個)である。そのため、図柄個数優先を適用した場合でも同様に「ベル」が左リールの停止図柄として決定される。そして、図16に示されるように、左リールには「ベル」図柄が最大の滑り制御コマ数である5コマ間隔以内で等間隔に4個配置されているので、決定された「ベル」は、停止操作のタイミングに関わらず、必ず有効ラインに引込まれて停止表示される。なお、左リールの「ベル」のように停止操作のタイミングの関わらず必ず有効ラインに停止できる図柄を以下「引込可能図柄」という。
図26において、左図柄が「ベル」の当選役はベル−01とベル−03である。したがって、左リールに「ベル」が表示されたこの時点で入賞する可能性がある役はベル−01とベル−03に絞られる。左リールに「ベル」が表示された状態で、次に中リールに対し第二停止操作がされると、ベル−01の中図柄を構成する「ベル」が停止図柄として決定される。払出枚数優先を適用すると、ベル−01のほうがベル−03よりも払出枚数が多いのでベル−01が優先され、更に中リールにおいて「ベル」は引込可能図柄でもある。したがって、停止操作のタイミングに関わらず、中リールには「ベル」が有効ラインに停止表示される。
左リールに「ベル」、中リールに「ベル」が停止表示された状態で入賞の可能性があるのはベル−01のみであり(ベル−01がテンパイ)、したがって右リールに対する第三停止操作により決定される停止図柄は「ベル」となる。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが重複して当選した遊技で、左中右の順(いわゆる正順)で停止操作がされると「ベル」「ベル」「ベル」が有効ラインに揃い、ベル−01が入賞することとなる。なお、このような複数の入賞役が同時当選した場合に払出枚数優先が適用される停止操作順は、通常、正解押し順となる。
2.停止操作の順番が<左→右→中>の場合
上述したように、MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で第一停止操作が左リールに対してされると、左リールに「ベル」が停止表示される。そして、停止表示された左図柄が「ベル」の当選役はベル−01とベル−03であり、入賞の可能性がある役はこれらの役に絞られる。すなわち、左リールに「ベル」が表示された状態で、次に右リールに対し第二停止操作がされると、右リールの引込対象図柄は、ベル−01、03を構成する「ベル」、「スイカA」、「チェリー」から選択される。
図26において、ベル−01、03を構成する右図柄の個数は、「ベル」が1個、「スイカA」が2個、「チェリー」が2個である。そのため、図柄個数優先を適用した場合、最も多い「スイカA」又は「チェリー」が右リールの停止図柄として決定される。図16に示したように、これら「スイカA」と「チェリー」は、右リールに滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ2個、合計4個配置されている。言い換えると、右リールでは、停止操作のタイミングに関わらず「スイカA」又は「チェリー」を有効ラインに停止させることができる。つまり、左リールに「ベル」が表示された状態で第二停止操作が右リールに対してされると、ベル−03の右図柄を構成する「スイカA」又は「チェリー」が停止表示される。
左リールに「ベル」が表示され仮に右リールに「スイカA」が表示されたこの時点で入賞する可能性がある当選役はベル−03のみである(ベル−03がテンパイ)。すなわち、左リール、右リールの順で停止した後に中リールに対し第三停止操作がされると、ベル−03の中図柄である「7」、「黒BAR」が引込対象図柄として選択される。
ここで、図16に示したように、中リールには「7」と「黒BAR」が滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ1個、合計2個配置されている。このことは、中リールに対し、図柄番号‘9’〜‘18’の合計10図柄の位置で停止操作をしなければ、「7」又は「黒BAR」を有効ライン上に停止させることができないことを意味している。1つのリールには全部で20図柄が配置されているので、中リールの「7」又は「黒BAR」の図柄を特に狙わずに有効ライン上に停止させることができる確率は50%となる。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが重複して当選した遊技で左右中の順で停止操作がされると、その停止操作のタイミングに応じてベル−03に入賞の可能性が生じることとなる。
3.停止操作の順番が<中→左→右>の場合
MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で第一停止操作が中リールに対してされると、「ベル」が停止図柄として決定される。図26に示されるように、同時当選中のMB−01と入賞−Aを構成する役の図柄組合せのうち、中リールに配置される構成図柄(中図柄)で最も多い図柄は「ベル」(9個)である。そのため、図柄個数優先を適用すると「ベル」が優先され、かつ「ベル」は中リールにおいて引込制御可能図柄でもあるので、中リールへの第一停止操作により「ベル」が必ず有効ラインに停止表示される。
図26において、中図柄が「ベル」の当選役はベル−01、05、06、11、12に絞られる。中リールに「ベル」が表示された状態で、次に左リールに対し第二停止操作がされると、左リールの引込対象図柄は、これらベル−01、05、06、11、12の左図柄を構成する「ベル」、「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」から選択される。これらの図柄のうち、左図柄の個数は、「ベル」が1個、「7」、「スイカA」、「スイカB」及び「ブランク」がそれぞれ2個ある。そのため、図柄個数優先を適用すると、引込対象図柄は最も多い「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」から選択される。
ここで、図16に示したように、左リールの「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」は、滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ1個、合計4個配置されている。つまり、中リールに「ベル」を表示した後に、左リールに対し第二停止操作をすると、その操作のタイミングに関わらず、「7」、「スイカA」、「スイカB」又は「ブランク」の何れかが有効ラインに停止表示され、ベル−05、06、11、12の何れかがテンパイする。
例えば、左リールに仮に「7」が表示され、中リールに「ベル」が表示されるとベル−05がテンパイする。すなわち、中リール、左リールの順で停止した後に右リールに対し第三停止操作がされると、ベル−05の中図柄を構成する「7」又は「スイカA」が引込対象図柄となる。
また、図16に示したように、右リールにおいて、「スイカA」は、滑り制御コマ数以内の間隔で合計2個配置され、その間に「7」が配置されている。このことは、右リールに対し、図柄番号‘10’〜‘19’の合計10図柄の位置で停止操作をしなければ、ベル−05を構成する「7」又は「スイカA」を有効ライン上に停止させることができないことを意味している。つまり、右リールの「7」又は「スイカA」の図柄を特に狙わずに有効ライン上に停止させることができる確率は50%となる。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で中左右の順で停止操作がされると、その停止操作のタイミングに応じてベル−05、06、11、12の何れかに入賞の可能性が生じることとなる。
4.停止操作の順番が<中→右→左>の場合
上述したように、MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で第一停止操作が中リールに対してされると、「ベル」が停止図柄として決定される。「ベル」が中リールに停止表示されたこの時点では、中図柄に「ベル」を有するベル−01、05、06、11、12が入賞可能な役となる。
第二停止操作が右リールの場合には、これらベル−01、05、06、11、12の右図柄である「ベル」、「7」、「スイカA」、「ブランク」、「チェリー」が右リールの引込対象図柄として選択される。更に、図26において、ベル−01、05、06、11、12の右図柄の個数は、「ベル」が1個、「7」、「スイカA」、「ブランク」及び「チェリー」がそれぞれ2個である。そのため、図柄個数優先を適用すると、右リールの引込対象図柄は最も多い「7」、「スイカA」、「ブランク」、「チェリー」に絞られる。
また、図16に示したように、右リールの「7」、「スイカA」、「ブランク」、「チェリー」は、滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ1個、合計4個配置されている。つまり、中リールに「ベル」を表示した後に右リールに第二停止操作がされると、その停止操作のタイミングに関わらず、これら「7」、「スイカA」、「ブランク」又は「チェリー」の何れかが有効ラインに停止表示され、ベル−05、06、11、12の何れかがテンパイする。
例えば、中リールに「ベル」が表示され、右リールに仮に「7」が表示されたこの時点で入賞する可能性がある当選役はベル−05、06である。すなわち、中リール、右リールの順で停止した後に左リールに対し第三停止操作がされると、ベル−05の中図柄である「7」又はベル−06の中図柄である「スイカA」が左リールの引込対象図柄となる。
ここで、図16に示したように、「7」と「スイカA」は左リールにそれぞれ1個、合計2個配置されている。このことは、左リールに対し、図柄番号‘6’〜‘15’の合計10図柄の位置で停止操作をしなければ、ベル−05の左図柄「7」又はベル−06の左図柄「スイカA」を有効ライン上に停止させることができないことを意味している。つまり、左リールの「7」又は「スイカA」を特に狙わずに有効ライン上に停止させることができる確率は50%となる。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが重複して当選した遊技で中右左の順で停止操作がされると、その停止操作のタイミングに応じてベル−05、06、11、12の何れかに入賞の可能性が生じることとなる。
5.停止操作の順番が<右→左→中>の場合
MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で第一停止操作が右リールに対してされると、「JAC」が停止図柄として決定される。図26に示されるように、同時当選中の役の図柄組合せのうち、右リールに配置される構成図柄(右図柄)で最も多い図柄は「JAC」(5個)と「チェリー」(5個)となり、図柄個数優先を適用すると「JAC」又は「チェリー」が右リールの引込対象図柄となる。「JAC」のみが引込制御可能範囲内にあるときは「JAC」が必ず有効ラインに停止表示されるようにし、「JAC」又は「チェリー」が双方ともに右リールにおいて引込制御可能範囲にあるときは、予め定められた図柄を表示するように制御してもよく、本実施例では「JAC」が必ず有効ラインに停止表示されるようにしている。
図26において、右図柄に「JAC」を有する当選役はMB−01、ベル−13、14に絞られる。したがって、右リールに「JAC」が表示された状態で次に左リールに対し第二停止操作がされる場合には、その左リールの引込対象図柄は、MB−01の「白BAR」、ベル−13、14の「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」となる。これらの図柄のうち、MB−01、ベル−13、14を構成する左図柄の個数は何れも1個であり個数に差異はない。このような場合には、図柄個数優先を適用できず、予め定めた図柄を停止図柄として決定することができる。また、MB−01はメダルの払出しがない役である一方で、ベル−13、14はメダルの払出しがある役。そのため、払出枚数優先を適用するとベル−13、14の左図柄「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」が左リールの引込対象図柄として選択される。
図16に示したように、左リールの「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」は、滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ1個、合計4個配置されている。つまり、右リールが停止後に左リールに対し第二停止操作がされると、その停止操作のタイミングに関わらず、「7」、「スイカA」、「スイカB」又は「ブランク」の何れかが有効ラインに停止表示され、ベル−13又はベル−14がテンパイする。
例えば、左リールに仮に「7」が表示され右リールに「JAC」が表示されるとベル−13がテンパイする。すなわち、右リール、左リールの順で停止した後に中リールに対し第三停止操作がされると、ベル−13の中図柄「7」が引込対象図柄となる。
ここで、図16に示したように、中リールには「7」が1個だけ配置されている。このことは、中リールに対し、図柄番号‘14’〜‘18’の合計5図柄の位置で停止操作をしなければ、ベル−13の中図柄「7」を有効ライン上に停止させることができないことを意味している。つまり、中リールの「7」の図柄を特に狙わずに有効ライン上に停止させることができる確率は25%となる。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが重複して当選した遊技で右のリールに対し第一停止操作がされると、MB−01、ベル−13、14に入賞の可能性が生じる。また、左リールに対し第一停止操作をして「JAC」が表示された場合でも、左リールに対し第二停止操作することで、MB−01の成立を回避することができる。第二停止操作でMB−01の成立を回避した場合には、中リールに対する第三停止操作で「7」を狙うことによりベル−13又はベル14を入賞させることも可能である。
6.停止操作の順番が<右→中→左>の場合
上述したように、MB−01が内部中に入賞−Aが当選した遊技で第一停止操作が右リールに対してされると、右リールには「JAC」が停止表示される。この時点で入賞可能な役は、MB−01、ベル−13、14に絞られる。
右リールに「JAC」が表示された状態で次に第二停止操作される中リールの引込対象図柄は、MB−01の「JAC」、ベル−13、14の「7」となる。図16に示したように、これらの図柄のうちMB−01の中図柄「JAC」は、中リールにおいて合計4個配置される引込可能図柄である。その一方で、ベル−13、14の中図柄「7」は中リールに1個だけ配置される。ここで、中リールの「7」を引込むことができない図柄番号‘1’〜‘13’又は‘19’〜‘0’の合計15図柄の位置で停止操作がされたときには、MB−01の中図柄「JAC」が停止図柄として決定され引込制御される。しかし、それ以外の図柄番号‘14’〜‘18’の合計5図柄の位置で停止操作がされたときには、ベル13、14の中図柄「7」が停止図柄として決定され引込制御される。このように、MB−01の「JAC」及びベル13、14の「7」の両方を引込むことができるリール位置で中リールに対し第二停止操作された場合には、図柄個数優先又は払出枚数優先のどちらを適用した場合でも、ベル13、14を構成する「7」が停止図柄として決定され、有効ライン上に表示される。
つまり、右リールに「JAC」を表示して、次に中リールに対し第二停止操作がされると、その停止操作のタイミングに応じて75%の確率で「JAC」が中リールに停止表示され(MB−01がテンパイ)、他方25%の確率で「7」が中リールに停止表示される(ベル13、14がテンパイ)。
図16に示したように、MB−01の左図柄である「白BAR」は、左リールに1個だけ配置されている。そのため、中右リールに「JAC」「JAC」が表示されMB−01がテンパイした状態で、左リールに対し第三停止操作がされると25%の確率で「白BAR」が有効ラインに停止表示され、MB−01が成立する。
他方、ベル−13、14の左図柄である「7」、「スイカA」、「スイカB」、「ブランク」は、滑り制御コマ数以内の間隔でそれぞれ1個、合計4個配置されている。そのため、中右リールに「7」「JAC」が表示された状態で、左リールに対し第三停止操作がされると、「7」、「スイカA」、「スイカB」又は「ブランク」の何れかが有効ラインに停止表示され、ベル−13又はベル−14が入賞する。
このように、MB−01が内部中に入賞−Aが重複して当選した遊技で左中右の順(いわゆる逆順)で停止操作がされると、その停止操作のタイミングによってはMBが成立する。また、左リールに対し第一停止操作をして「JAC」が表示された場合でも、右リールに対する第二停止操作で「7」を狙うことによりベル−13、14を入賞させることもできる。
また、本実施例のスロットマシンは報知手段を備える。上述したようにMBが内部中の遊技では、所定の停止操作順がMB役成立の条件となる場合がある。このため、報知手段が所定の停止操作順を遊技者に報知することで、MB遊技の移行をナビすることができる。
また、報知手段は、前記所定の態様で操作されることを報知してもよい。報知手段は、例えばMB役の図柄組合せが表示される可能性が生じる、例えば右のストップボタンが最初に操作されたときに、液晶表示器の画像や警告音などを用いて、所定の態様であることを遊技者に報知することができる。また、報知手段は、前記所定の態様で操作されることをフリーズ演出により報知してもよい。フリーズ演出とは、一定時間、遊技進行を遅延することである。フリーズの間はサブ制御手段による演出を実行してもよい。また、メイン制御手段によるリールの変則動作演出や疑似遊技演出などが、フリーズ中に実行されてもよい。
なお、本実施例によれば、上述したように例えばMB内部中に役抽選結果が入賞−Aとなった遊技において、左中右の停止操作順で停止操作が行われるとベル−01が入賞し、比較的多くのメダルを獲得できる。したがって、報知手段はAT中に、例えば液晶表示器を用いて図27(a)に例示するような画像を表示して、左中右の順番で停止操作すべきことを遊技者に報知することができる。
左への第一停止操作を報知(ナビ)したにも関わらず、右への第一停止操作に基づいて右リールに「JAC」が表示されると、MB−01が成立する可能性が生じる。しかし、次の第二停止操作が左であれば「7」「スイカA」「スイカB」又は「ブランク」が左リールに表示される。このため、第二停止操作が左であれば結果としてMB−01の図柄が揃わなくなる。そこで、報知手段は、右リールに「JAC」が停止表示された後であっても、例えば図27(b)に例示するような左への第二停止操作をナビする報知をすることができる。また、報知手段は、左への第二停止操作を促すために図27(c)に例示するような記号に変えて停止操作の順番を変更する報知をしてもよい。
また、本実施例では、中右リールに「JAC」「JAC」が表示されMBがテンパイした状態であっても、左リールに対する第三停止操作で「白BAR」が表示されなければMB遊技に移行しない。したがって、報知手段は、中右リールに「JAC」「JAC」が表示されたとき、図28(a)に例示するような、「左の白BARは狙うな!」などの文言を液晶表示器を介した画像又はスピーカを介した音声で出力することで、MB遊技への移行回避を促すことができる。
更に、本実施例では、第一停止の右リールに「JAC」が表示され、MB遊技への移行の可能性が生じたあとであっても、中への第二停止操作が所定のタイミングであれば「7」が表示され、ベル−13、14の入賞が決定する。そこで、報知手段は、右リールに「JAC」が表示された段階で図28(b)に例示するような、「中の7を狙え!」などの文言を液晶表示器を介した画像又はスピーカを介した音声で出力することで、ベル役の入賞をナビするとともにMB遊技への移行回避を促すことができる。
つまり、最初の停止操作がMB役成立につながる所定の態様でされた場合でも、報知手段がMB役成立を明示的又は暗示的に遊技者に報知することで、MB遊技への移行を回避させる救済効果が期待できる。また、このような救済効果が期待できる場合に限り、報知手段が操作を報知(アシスト)して、MB遊技への移行回避を遊技者に促してもよい。
また、報知手段は、中右リールに「JAC」「JAC」が表示されMBがテンパイした状態で、左リールに対する第三停止操作を一時的に(例えば1回だけ)受付けないフリーズ演出を発生させてもよい。そのようなフリーズ演出は、「白BAR」が停止する所定のタイミングで停止操作されたときに限り実行してもよい。このようなフリーズ演出により、左の「白BAR」を停止させないようにして、MB遊技への移行回避の機会を遊技者に与えることができる。
次に、図29を参照して、本実施例の変形例を説明する。ここで、図29(a)は、通常遊技において生じ得るMBに関する役抽選の結果を示す。本変形例では、特別役として少なくともMB−01とMB−02の2種類のMB役が存在する。図29(a)に示されるように、MBに関する役抽選結果としては、MB−01とベル役とが同時当選するMB−A及びMB−02とスイカ役とが同時当選するMB−Bとがある。
ここで、MB−01と同時当選するベル役の入賞時のメダルの払出枚数paは9枚である。一方、MB−02と同時当選するスイカ役の入賞時のメダルの払出枚数pbは5枚である。つまり、ベル役とスイカ役のそれぞれの払出枚数の関係はpa>pbとなっている。
また、図29(b)に示されるように、MB−01の成立により移行したMBA遊技の終了条件は、総払出枚数がその払出枚数上限ma(例えば20枚)を超えることである。一方、MB−02の成立により移行したMBB遊技の終了条件は、総払出枚数がその払出枚数上限mb(例えば10枚)を超えることである。つまり、MBA遊技とMBB遊技のそれぞれの払出枚数上限の関係はma>mbとなっている。したがって、一般的には、MBAの遊技期間のほうがMBBの遊技期間よりも長くなる。
これにより、最大払出枚数/(最大払出枚数+同時当選入賞役の払出枚数)で計算される役物比率を、2種類の異なるMB遊技どちらも例えば70%以下に抑え、かつ、両者を概ね一致させることができる。したがって、MB遊技の出玉率に一定の制限を加えたとしても、MB遊技の態様にバリエーションを与えて単調さを解消することができる。
なお、MB−01の当選が持ち越された遊技では、MB−01、02の何れのMB役も役抽選手段による抽選対象から除外される。MB−02の当選が持ち越された遊技でも、同様にMB−01、02が抽選対象から除外される。更に、MBA、MBBの何れのMB遊技中もMB−01、02の抽選は行われない。
なお、MB遊技に応じて付与する特典を変えてもよい。例えばMBA遊技では毎回の遊技でATを上乗せし、MBB遊技では例えば1/2の確率でATを上乗せしてもよい。
[実施例2]
次に、本発明に係るスロットマシンの第2の実施例を説明する。ここで、図30には、第2の実施例による図柄の配列が示される。また、図31(a)には、特別役であるRB役(RB−01)に対応付けられた図柄の組合せが示される。本実施例では、RB−01に第1の図柄組合せ「ブランク」「ブランク」「ブランク」が対応付けられている。
図31(b)には、再遊技役(再遊技−01、02、・・・、05)に対応付けられた図柄の組合せが示される。
再遊技−01(通常リプレイ)には、「リプレイ」「リプレイ」「リプレイ」の図柄組合せが対応付けられている。再遊技−01の左中右の「リプレイ」は、各リールで滑り制御コマ数(5コマ)間隔以内に配列されているので引込可能図柄である。したがって、再遊技−01は、当選すれば停止操作のタイミングに関わらず有効ラインに停止表示される図柄構成を有している。
同様に、再遊技−02、03、04、05の図柄組合せについても、全て引込可能図柄で構成されている。
次に、図32及び図33には、入賞役である特殊役(特殊−01、02)、ベル役(ベル−01、02、・・・、43)に対応付けられた図柄の組合せが示される。これらのうち、ベル−01、02、03、04、05は、通常遊技においてメダル3枚を投入した遊技で入賞すると8枚の払出しがあり、メダル2枚を投入した遊技で入賞すると2枚の払出しがある役である。ベル−01、02、03、04、05は、何れも引込可能図柄の組合せで構成され、またメダルの払出しが比較的多いことから正解押し順用として用いられる。
ベル−06、07、・・・、43は、入賞するとメダルの投入枚数に関わらず1枚の払出しがある役である。これらのベル役は、単独では引込可能図柄の組合せで構成されてはいないが、2つ以上のベル役が同時当選することで何れか1つのベル役が入賞可能となる不正解押し順用として用いられる。
次に、第2の実施例の役抽選手段により生じ得る役抽選結果について説明する。図34(a)には、特別役であるRBに関する役抽選結果(条件装置)とその当選役が示される。同図に示されるように、RBに関する役抽選結果としては、上述したRB−01が単独で当選するRB−Aがある。なお、例示はしないが、RB遊技が連続して作動するBB遊技への移行役であるBB役が当選する役抽選結果があってもよい。
図34(b)には、再遊技及び入賞に関する役抽選結果とそれらの当選役が示される。同図に示されるように、再遊技に関する役抽選結果としては、再遊技−01、02、03、04、05がそれぞれ単独で当選する再遊技−A、B、C、D、Eがある。また、入賞に関する役抽選結果としては、ベル−01及び他のベル役が同時当選する入賞−A1、A2、・・・、A8と、ベル−02及び他のベル役が同時当選する入賞−B1、B2と、ベル−03及び他のベル役が同時当選する入賞−C1、C2と、ベル−04及び他のベル役が同時当選する入賞−D1、D2と、ベル−05及び他のベル役が同時当選する入賞−E1、E2とがある。
ベル−01、02、03、04、05は、上述したようにメダルの払出しが比較的多い入賞役である。このためベル入賞に関する役抽選結果には、ベル−01、02、03、04、05に正解の押し順が対応付けられ、これら以外で同時当選するベル役には不正解の押し順が対応付けられる。
例えば、入賞−A1、A2、・・・A8の役抽選結果となった遊技では、第一停止操作が左以外の変則押し(中左右、中右左、右中左、右左中)で正解のベル−01が入賞するように制御される。また、入賞−B1、B2の役抽選結果となった遊技では、中左右の正解押し順でベル−02が入賞するように制御され、入賞−C1、C2の役抽選結果となった遊技では、中右左の正解押し順でベル−03が入賞するように制御され、入賞−D1、D2の役抽選結果となった遊技では、右左中の正解押し順でベル−04が入賞するように制御され、入賞−E1、E2の役抽選結果となった遊技では、右中左の正解押し順でベル−05が入賞するように制御される。
なお、入賞に関する他の役抽選結果としては、特殊−01、02が同時当選する特殊−A(チャンス目)がある。また、RB遊技中(RB作動時)の役抽選の結果は、例えば入賞−A、B、C、D、Eが同時複合的に当選状態となる入賞役複合当選(入賞−ABCDE)かハズレかのどちらかとなる。なお、例示はしていないが、RB遊技中に再遊技役の当選があってもよい。
図35(a)にはRB役が非内部中(非RT)の状態、図35(b)にはRB役が内部中(RT)の状態、図35(c)にはRB遊技中の各状態において各遊技役の抽選確率を円グラフで比較した図が示される。そして、図36には、それら各遊技役の役抽選に適用される置数と抽選乱数母数が65536の場合の抽選確率が示される。
これらの図で比較されるように、通常遊技においては、非RTとRTとの間で入賞役(入賞−A〜E)全体の置数に変化はなく、つまり入賞役の当選確率は同じに設定されている。しかし、非RTよりもRTのほうが、再遊技(リプレイ)の当選確率が高く設定されている。また、非RTではRB役が当選役となる可能性があるが、RB役の当選が持ち越されたRTではRB役の当選確率はゼロである。つまり、RB内部中(RT)は役抽選手段による抽選対象からRB−01が除外される。
また、RB遊技中は一定の抽選確率で小役の一部又は全部の同時当選を含む入賞役複合当選(入賞−ABCDE)となる。つまり、RB遊技では小役が単独で当選することはない。また、RB遊技中に入賞役複合当選(入賞−ABCDE)で入賞した場合には、メダルの払出枚数に差はなく、どの小役(ベル−01〜43)に係る図柄組合せが表示された場合でも、共通して2枚のメダルが遊技者に払出される。更に、RB遊技中は、RB役の当選確率がゼロであり、RBの抽選は行われない。なお、図示はしないが、BBの特別遊技が備えられるスロットマシンでは、BB作動中の単位遊技の役抽選処理において、上述したRB遊技と同様に一定の確率で入賞役複合当選(入賞−ABCDE)が得られてもよい。
本実施例のスロットマシンによれば、役抽選手段による抽選結果には、少なくとも、第1の入賞役の当選を含む第1の役抽選結果と、第2の入賞役の当選を含む第2の役抽選結果と、前記第1及び第2の入賞役の当選を含む第3の役抽選結果とがある。
具体的には、図34に示されるように、例えば第1の入賞役がベル−02とした場合に、この第1の入賞役の当選を含む第1の役抽選結果として入賞−B(入賞−B1、B2)があり、第2の入賞役がベル−03とした場合に、この第2の入賞役の当選を含む第2の役抽選結果として入賞−C(入賞−C1、C2)がある。また、第3の役抽選結果として、RB遊技中に第1の入賞役であるベル−02と第2の入賞役であるベル−03とを含むすべての入賞役が同時に当選する入賞役複合当選(入賞−ABCDE)がある。
そして、本実施例のスロットマシンによれば、通常遊技では役抽選手段による抽選結果で第1又は第2の役抽選結果の可能性はあるが第3の役抽選結果の可能性はなく、特別遊技では第3の役抽選結果の可能性はあるが前記第1又は第2の役抽選結果の可能性はないように設定されている。
具体的には、図35及図36に示したように、通常遊技(RT、非RT)では、第1の役抽選結果である入賞−Bと、第2の役抽選結果である入賞−Cの当選確率はそれぞれ7.63%であるが、第3の役抽選結果である入賞役複合当選(入賞−ABCDE)の当選確率はゼロである。逆に、特別遊技(RB遊技)では、第3の役抽選結果である入賞役複合当選の当選確率は7.64%であるが、入賞−Bや入賞−Cの当選確率はそれぞれゼロである。
また、本実施例のスロットマシンによれば、特別遊技で前記第3の役抽選結果が得られた場合には、図柄表示制御手段は停止操作手段が操作されたことに応じて前記第1又は第2の入賞役の何れかに対応付けられた図柄組合せを停止表示する。
つまり、RB遊技中に第3の役抽選結果である入賞−ABCDEが当選した場合に図34(b)で参照される停止操作の順序でストップボタンが操作されると、その操作態様に応じた入賞役に係る図柄組合せが停止表示される。例えば、第1の入賞役としてのベル−02には、予め中左右の正解押し順が対応付けられ、第2の入賞役としてのベル−03には予め中右左の正解押し順が対応付けられている。したがって、入賞−ABCDEが当選した遊技で遊技者が中左右で停止操作を行うとベル−02の図柄が表示され、中右左で停止操作を行うとベル−03の図柄が表示される。これにより、RB遊技の操作態様や図柄の表示態様にバリエーションを与えることができる。
また、本実施例のスロットマシンによれば、第1の入賞役又は第2の入賞役に対応付けられた図柄組合せが停止表示されたことに基づいて遊技者に与えられる利益は同一である。
つまり、通常遊技では、第1の入賞役としての例えばベル−02に対応付けられた図柄「ベル」「ベル」「リプレイ」が停止表示されたことに基づいて払出されるメダル枚数は、3枚賭けの遊技で8枚、2枚賭けの遊技で2枚と定められている。また、第2の入賞役としての例えばベル−03に対応付けられた図柄「ベル」「ベル」「白チェリー」が停止表示されたことに基づいて払出されるメダル枚数は、3枚賭けの遊技で8枚、2枚賭けの遊技で2枚と定められ、すなわち第1の入賞役と同一である。また、上述したように、RB遊技中は何れの入賞役に係る図柄組合せが表示されてもメダルの払出枚数は2枚となる。
また、本実施例のスロットマシンによれば、通常遊技において第1の役抽選結果又は第2の役抽選結果が得られるそれぞれ個別の確率は、特別遊技において第3の役抽選結果が得られる確率よりも低く設定されている。
図36を参照して、具体的に説明すると、例えばベル−02の当選を含む第1の役抽選結果である入賞−Bの置数は5000であり、通常遊技で入賞−Bの役抽選結果となる確率は7.63%となる。同様に、第2の役抽選結果である入賞−Cの置数も5000であり、入賞−Cの役抽選結果となる確率も7.63%となる。
その一方で、第3の役抽選結果である入賞役複合当選(入賞−ABCDE)の置数は5004であり、RB遊技でこの入賞役複合当選(入賞−ABCDE)の役抽選結果となる確率は7.64%となる。つまり、通常遊技において入賞−B又は入賞−Cの役抽選結果となる個別の確率(7.63%)は、RB遊技における入賞−ABCDEの当選確率(7.64%)よりも低い。
しかし、通常遊技における入賞役全体についてみると、第1又は第2の役抽選結果のどちらか一方の結果が得られる合計の確率は、特別遊技において第3の役抽選結果が得られる確率よりも高く設定されている。つまり、通常遊技において入賞−B又は入賞−Cの役抽選結果となる合計の確率は15.27%であり、RB遊技で入賞−ABCDEの役抽選結果となる確率(7.64%)よりも高い。
要するに、個別の入賞役(例えば入賞−Bのベル−02や入賞−Cのベル−03など)に着目すると、通常遊技よりもRB遊技のほうが入賞の確率は高いが、入賞役全体についてみるとメダル払出しの期待値は通常遊技よりもRB遊技のほうが低くなっている。したがって、RB遊技へ移行しないで、なるべく通常遊技の状態に留まる戦術が有効となるような、新たな遊技性を提供することができる。
なお、BB遊技が実行されるスロットマシンにおいて、上述した第2の実施例のRB遊技と同様にBB遊技中に入賞役が複合当選し(入賞−ABCDE)、その当選確率を通常遊技における個々の入賞役(入賞−A、入賞−B、入賞−C・・・)の各確率よりも若干高くする一方で、BB遊技におけるメダル獲得の期待値については通常遊技よりも低くなるように設定してもよい。
上述した第1及び第2の実施例において、例えば遊技者による停止操作によりベル−01などの正解用ベルが停止表示されたことに基づいてフリーズの制御を発生するようにしてもよい。また、このときのフリーズの制御の代わりに外部機器に信号を出力するための外部信号を出力する制御を行ってもよい。上述した実施例のスロットマシンでは、MB又はRBの内部中で遊技を行い、かつ、メイン制御回路とサブ制御回路とは一方向通信で電気的に接続されているため、通常、メイン制御回路はサブ制御回路がAT中か否かを判定することができない。しかし、遊技者が正解用ベルを停止表示したことで、メイン制御回路側でサブ制御回路がAT中であると判定することができ、その結果、フリーズを制御すること及び/又は有利な状態であることを示す外部信号を出力する制御などが可能となる。更に、メイン制御回路は、正解用ベルの図柄が2回以上連続して表示されたことに基づいてサブ制御回路がAT中であると判定し、それによりフリーズの制御を開始し及び/又は外部信号を出力するようにしてもよい。
また、上記有利な状態を示す外部信号は、遊技者による停止操作により正解用ベルが連続して表示されている間は出力するようにしてもよいが、正解用ベルが当選しかつ連続して所定回数表示されなかったときは外部信号の出力をオフにするようにしてもよい。正解用ベルが当選してもベル図柄が所定回数表示されなければ、メイン制御回路はサブ制御回路がAT中でないと判定することができる。同様に、正解用ベルが当選しかつ連続して所定回数表示されなかったときにフリーズの制御を停止してもよい。また、メイン制御回路は、サブ制御回路がAT中であると判定したときに上述のフリーズ制御又は外部信号の出力制御に限らず他の任意の制御を実行してもよい。