JP6487238B2 - 編地及びワイピングクロス - Google Patents

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Description

本発明は、ワイピングクロスに好適な編地に関するもので、詳しくは洗車後の自動車などを美観よく拭き取ることのできるワイピングクロスに好適な編地、及びその編地からなるワイピングクロスに関するものである。
従来から、ワイピングクロスは家庭用清掃具や眼鏡拭きといった家庭用途から、車の清掃、拭き上げ用具などといった産業用途まで広範な分野で展開されている。特に合成繊維、中でもポリエステル繊維を用いたワイピングクロスは、生産性と低発塵性との観点から汎用されている。
しかし、従来からあるワイピングクロスは、一般的なハンカチ、ふきん、タオルなどの域を超えるものではなく、少量の汚れに対しては優れた拭き取り性を発揮するが、例えば油汚れを拭き取った場合には、拭き取った汚れがクロス表面に付着し易く、再度クロスを使用した際に汚れを広げてしまうことがあり、その改善が求められていた。
そこで、クロス表面に凹凸を設け、凹部に汚れを移すことで、クロスを再び使用したときに汚れが広がるのを抑える工夫が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2006−6537号公報
上記特許文献記載のクロスは、従来のクロスと比べ持続的な拭き取り性に優れているが、一方でポリエステル繊維を主体にして構成されているため、保水性に乏しいという難点がある。ポリエステルは疎水性高分子であるため、吸水性を付与したり、吸水できる構造を付与しない限り、ポリエステル繊維を主体に構成したクロスは、必然的に保水性に欠けるものとなる。
クロスの保水性が乏しくなると、例えば水拭き時もしくは水等を拭き取る際に、クロスと拭き取り対象物との間に水等の膜が形成され、クロスの移動が大きく妨げられることになる。したがって、上記クロスは、いわゆる乾拭き状態で使用する分には、取扱いの点で何ら問題ないが、水等が介在する場合には、非常に扱い難いものとなる。
ただ、このようなクロスでも、強い力を作用させるなどすれば、たとえ水等が介在する状況下でもクロスを移動させることは一応可能である。しかし、強い力をもって移動できたとしても、拭き取り後、対象物表面に筋状の滴の痕が残ることがあり、かえって対象物の美観を損ねてしまう。特に対象物表面に砂汚れや泥汚れ等が併せて付着しているようなときに強い力で拭き取ると、砂や泥を強く引きずることとなり、表面を傷つけてしまうことがある。
したがって、本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消する点にあり、持続的な拭き取り性に優れているのは無論のこと、水等の液状物が介在する状況下においても少しの力で滑らかに対象物表面を拭き取ることができ、拭き取り後に滴の痕を残し難くかつ表面を傷つけ難いワイピングクロスに適した編地を提供する点にある。
本発明者らが検討したところ、対象物表面に水等が付着していると、水等の表面張力によりクロスが対象物表面に貼りつき易くなり、これが原因でクロスの移動が妨げられ、同時にクロスの移動に付随して滴の痕が残ることが分かった。そこで、かかる水等を素早く取り除けば、クロスを円滑に移動させつつ滴の痕を残さず美観よく拭き取ることができるとの考えの下、クロスを構成する編地の設計について検討したところ、拭き取り面となる表面に単糸繊度の細い糸を配置し、裏面にその糸条よりもさらに細い糸条を配置すれば、裏面層の保水力が表面層よりも相対的に高くなり、結果として、毛細管現象により素早く水等を吸収し、その吸い上げた水等を裏面層に溜めておく(保水しておく)ことができることを見出した。こうすることで、少しの力で対象物表面を滑らかに拭き取ることができ、拭き取り後滴の痕を残しづらくなる。同時に、傷も残りづらくなる。
そして、以上に加え、汚れを拭き取った後のクロスを再度使用したとき、汚れの広がりを効率よく抑えることのできる編地について、その設計をさらに工夫したところ、表裏面それぞれの層を構成する糸の単糸繊度、繊度比を規定すると共に、表面の形状、編地の厚みなどを特定すれば、所望の効果が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成されたものである。
すなわち、本発明は、第一に、表面が単糸繊度0.1〜1.5dtexのポリエステル糸条から構成され、かつ裏面が単糸繊度0.01〜1.0dtexの合成繊維糸条から構成され、表面を構成する前記ポリエステル糸条の単糸繊度が、裏面を構成する前記合成繊維糸条の単糸繊度より1.5〜20倍太い編地であって、表面に高低差0.3〜0.8mmの凹凸部を有し、その凹部の密度が10〜50個/cmであり、さらに編地の厚みが0.7〜1.5mmであることを特徴とする編地を要旨とするものである。
本発明によれば、汚れの広がりを抑えながら使用でき、かつ汚れを拭き取った後でも繰り返して使用できるワイピングクロスに適した編地が提供できる。また、このワイピングクロスは、水等の液状物が介在する状況下でも少しの力で滑らかに対象物表面を拭き取ることができ、拭き取り後に滴の痕を残し難い。また、対象物表面も傷つけ難い。
このような特性を持つ本発明のワイピングクロスは、例えば洗車後の自動車の拭き上げや台所等の油汚れの拭き取り、窓拭きや金管楽器の拭き上げなどに適しており、美観よく仕上げることができる。
本発明において好適な編組織の一例である。 本発明において使用できる編組織の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の編地は、表裏面にそれぞれ繊維層を有する多層構造の編地である。本発明では、表裏面層の間にさらに別の繊維層を有していてもよいが、基本的には二層構造のものが好ましい。
本発明では、主として表面にポリエステル糸条を、裏面に合成繊維糸条を各々使用するが、効果を損なわない限り他の糸条を併用してもよい。他の糸条の組成、形態等は特に限定されないが、後述するように、本発明の編地は主にワイピングクロスとして使用することから、フィラメント形態のものを使用するとよい。
本発明では、表裏面を各々構成する糸条の単糸繊度、繊度差などが規定されている。具体的に、表面は単糸繊度0.1〜1.5dtexのポリエステル糸条で構成し、裏面は単糸繊度0.01〜1.0dtexの合成繊維糸条で構成する。そして、表面に配すべきポリエステル糸条の単糸繊度を、裏面に配すべき合成繊維糸条の単糸繊度より1.5〜20倍太くする。
編地の表面は、ワイピングクロスにしたときの拭き取り面に相当する。上記のように単糸繊度を細くすることで、毛細管現象を利用して対象物表面の水又は液状物を素早く吸い上げることができる。そして、単糸繊度を細くすることで、対象物表面に付着した細かい汚れを効率よくかき取ることができる。ただし、あまり細くし過ぎると、繊維の剛性が失われ、少しの指圧で容易に対象物に密着し、クロスを滑らかに移動させ難くなる。その意味で、単糸繊度が0.1dtex未満になると、汚れをかき取る能力は向上するものの、対象物との接触面積も増加するため、水もしくは液状物が介在する場合にクロスの移動が妨げられ易くなる。一方、1.5dtexを超えると、汚れをかき取る能力が低下し、さらに毛細管現象が働きづらくなるため、水等を素早く吸収できなくなる。
前述の通り、本発明では、付着している水もしくは液状物を素早く取り除きながら対象物表面を拭き取ることで、後に滴の痕を残りづらくすることができる。水等を吸収するには、一般に親水性繊維糸が好適とされる。しかし、親水性繊維糸を使用して表面を構成してしまうと、吸水性は確かに確保されるものの、糸条自身に水等が留まり、かえって滴の痕が残ることになる。加えて、親水性繊維糸を使用したものは、拭き取り後、水を絞りづらい。そこで、本発明では、ポリエステル糸条を使用する。ポリエステルを使用したものであれば、水を絞り易く、乾燥速度も速い。ただその一方で、ポリエステル糸条はそれ自体疎水性の糸であるため、単に使用したというだけでは素早く水等を吸収できない。そこで上記のように、単糸繊度を好適化する。これにより、ワイピングクロスとしたとき水等を素早く吸収することができる。
本発明におけるポリエステル糸条としては、紡糸、延伸を通じて直接的に細繊度化したものや、アルカリ易溶性ポリエステル成分とアルカリ難溶性ポリエステル成分とからなる複合繊維を複数本束ねた糸条を、製編後、アルカリ割繊して細繊度化するものなどが使用できる。
一方、編地の裏面は、ワイピングクロスとしたとき拭き取り面と反対側の面となる。本発明では、ワイピングクロスとして使用したとき、拭き取り後の滴の痕を減らす目的で、表面から吸い上げた水等の液状物が裏面に溜まり易い構造のものとすることが好ましい。そこで、裏面は単糸繊度0.01〜1.0dtexの合成繊維糸条で構成し、かつ表面に配置するポリエステル糸条の単糸繊度を、裏面に配置する合成繊維糸条の単糸繊度より1.5〜20倍太くする必要がある。こうすることで、表面に水等が留まりづらくなり、滴の痕が残りづらくなる。また、クロスの移動も滑らかになり、ひいては対象物表面を傷つけ難くなる。
ここで、裏面合成繊維糸条の単糸繊度が0.01未満になると、保水性の点では特段問題はないものの、糸条の強度が低下することに伴い編地の耐久性が低下する。一方、1.0dtexを超えると、保水性が低下し、水等の液状物を裏面層に留め置くことが困難となる。さらに、ワイピングクロスとしたとき、指圧により水等の液状物が逆戻りすることがある。また、繊度比については、表面ポリエステル糸条の単糸繊度と裏面合成繊維糸条の単糸繊度との比が1.5倍を下回ると、両層の保水性に差を設けることが困難となり、表面から吸い上げた水等を素早く移水することが困難となる。さらに、裏面層に水等を留め置くことも困難となる。一方、繊度比が20倍を超えても、移水や保水性の点では特に問題ないものの、裏面を構成する糸条の単糸繊度が必然的に相当細くなり、裏面層が柔らかく剛性のないものとなる。そうすると、ワイピングクロスとしたとき、少しの指圧で水等が容易に逆戻りすることがある。また、取扱いの点でも支障を来し易くなる。
本発明では、このような構成にすることで、編地裏面層が表面層より多くの水等を保水することができる。このような保水層を裏面に有することで、表面層で吸水された水等が、積極的に裏面層へと移水する。そして、表面層の水分量が減ることで、水等が介在し難くなり、クロスの移動が容易となる。
ここで、裏面を構成する合成繊維糸条としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ナイロン、ポリビニルアルコール糸(PVA糸)などがあげられ、細繊度化が容易であるポリエステルやナイロン糸条が好ましく、複数種の糸条を併用してもよい。また、合成繊維糸条の種類としては、紡糸、延伸を通じて直接的に細繊度化するものや、アルカリ易溶性ポリエステル成分とアルカリ難溶性ポリエステル成分とからなる複合繊維から構成される糸条を、製編後、アルカリ割繊して細繊度化するものなどが採用できる。
この他、本発明の編地には、表面に高低差0.3〜0.8mmの凹凸部が形成されている。この凹凸部は、パイル布帛でパイルを凸部と見立てたようなものでなく、編組織を工夫することにより、編地表面に高低差のある形態を形成したものである。この低い部分が凹部となり、凹部と凹部との間は相対的に盛り上がったようになるので、この盛り上がった部分が凸部となる。
このような凹凸部により、編地表面の凸部に配された繊維が対象物表面から汚れをかき取り、その後、凹部に汚れを移し保持するため、拭き取り性が持続する。さらに、凸部だけが対象物と接触し易くなるため、接触面積が小さくなり、クロスの移動がより滑らかになる。
凹凸部について、高低差が0.3mm未満になると、凹部の窪みが浅くなり、汚れを溜め込むことが難しくなるため、拭き取り後再度クロスを使用したとき汚れを広げ易くなる。また、窪みが浅くなり過ぎると、対象物との接触面積が増えてしまい、クロスの移動が滞り易くなる。一方、0.8mmを超えると、凸部が過度に突き出した形態となり、指圧がクロス全体に行き渡りづらくなるため、拭き取り性が低下する。また、凹部の窪みが大きくなることで編地全体が空隙の多いものとなり、対象物との総接触面積が減ることで吸水力が低下する。
凹凸部は、例えば表面組織中にタック組織を配することにより形成できる。タック部分が凹部となり、隣接するタック部分同士の間が相対的に盛り上がったものとなるため、この部分が凸部となる。そして、タック部分は編地の表裏面をつなぐ連結部分を兼ねており、このタック部分の糸条を通じて裏面へ水等が運ばれる。さらに、編地表面は、上記した単糸繊度の細い糸条から編成されているから、かかるタック組織も同様に単糸繊度の細い糸条から編成されている。そうすると、この糸条に働く毛細管現象により、裏面に溜めておいた水等は、表面に逆戻りし難く、クロス表面は、常に乾いた感触のものとなり易い。
凹凸部の高低差は、編成長により調整でき、通常、タック組織の編成長を27〜36cm/100Wとすることが好ましい。当該編成長を好適化することは、編地の耐ピリング性や耐摩耗性を向上させる点でも好ましい。また、高低差の調整は、例えば編成時の巻き取り張力を調整する、後加工時の仕上巾を調整することなどによっても可能である。
さらに、凹凸部は、凹部の密度が10〜50個/cmの範囲を満たすように形成する。当該密度が10個/cm未満になると、編地表面の形態が平らに近いものとなり、水等が介在する状況下では、クロスが対象物表面に貼りつき易くなり、クロスの移動が妨げられ易くなる。また、凸部の繊維が汚れをかき取りづらくなり、汚れを保持することも困難となる。一方、密度が50個/cmを超えると、対象物との総接触面積が減り、かえって吸水力や拭き取り性などが低下する。凹部の密度は、20〜40個/cmがより好ましい。
凹部密度の調整は、タック部分の間隔や針密度などを調整することにより可能である。針密度としては22〜28Gが好ましい。この他にも、凹部密度の調整は、編成時の巻き取り張力、後加工時の仕上巾の調整などにより可能である。
さらに、本発明の編地は、厚みが0.7〜2.0mmの範囲にある。厚みが0.7mm未満でも、後述する保水率が直ちに低下するわけではないが、水等を少し保水しただけで容易に保水限界に達し易く、対象物表面に付着している水の量が多少増えただけで、拭き取り後、滴の痕が残り易い傾向にある。一方、2.0mmを超えると、クロスが嵩高いものとなり、扱い難いものとなる。厚みの調整は、編組織や編成長、糸条の太さや仕上巾などを適宜調整することにより可能である。
図1、2に、本発明において好ましく採用できる編組織を例示する。なお、図2の組織は、図1のものと比べ凹部の密度が疎になり易い傾向にある。
本発明では、以上のように、糸の種類、太さ、繊度比、表面の形状及び厚みなどが各々特定されており、これらの相乗効果により、拭き取り性が良く、繰り返し使用が可能で、しかも対象物を美観よく簡単に仕上げることのできるワイピングクロスに好適な編地が提供できる。
本発明では、この他にも、編地裏面にポリエステル高収縮糸を挿入するとよい。これにより、裏面の構造が密なものとなり、表面凹凸部の高低差がより明瞭なものとなる。その結果、拭き取り性がより持続し、クロスの移動もより滑らかになる。さらに、編地の後加工を通じて目付け、厚みなどが調整し易くなり、吸水力、保水性に優れる編地を設計するうえでも有利となる。
高収縮糸を挿入する手段としては、特に限定されないが、例えば、裏面を構成する糸条として、単糸繊度0.01〜1.0dtexの合成繊維糸条と高収縮糸とを複合した糸条を用いるとよい。この場合、当該複合糸として2糸条を直接複合したものを用いてもよいが、当該合成繊維糸条の単糸繊度が非常に細いため、工程管理や品質向上の観点から、アルカリ易溶性ポリエステル成分とアルカリ難溶性ポリエステル成分とからなる複合繊維より構成される糸条と当該高収縮糸との複合糸を使用することが好ましく、製編後、アルカリ割繊することで上記繊度範囲に細繊度化する手段が好ましく採用される。
また、裏面合成繊維糸条に対して高収縮糸をプレーティング編することで、裏面に高収縮糸を挿入することもできる。本発明では、特にこのプレーティング編による手段が好適であり、編成時に裏面糸条と高収縮糸との混率を容易に調整できる結果、目付け、厚みなどできるようになる。
ポリエステル高収縮糸としては、編地を構成するこれ以外の糸条より沸騰水収縮率が高く、編地の後加工中に熱収縮させうるものであれば、どのようなものでも使用できるが、好ましくは沸騰水収縮率が10〜30%で単糸繊度が0.5〜5.0dtexのポリエステル高収縮糸を用いる。
ここで、沸騰水収縮率が10%未満になると、熱収縮の度合いが減り、凹凸部を明瞭にするなどといった上記効果が得られ難くなる。一方、30%を超えると、凹凸部の高低差に斑が生じ易くなったり、凹部が閉じてしまったりすることで、優れた拭き取り性が持続し難くなる傾向にある。
また、高収縮糸の単糸繊度が0.5dtexを下回ると、繊度が細くなることに伴い、所望の沸騰水収縮率が得られ難くなり、5.0dtexを上回ると、繊度が太くなることに伴い、沸騰水収縮率が高くなる結果、後加工を通じて編地がシボ立つことがあり、明瞭な凹凸部を形成するうえで好ましくない。
ポリエステル高収縮糸としては、例えばエチレングリコール、テレフタル酸の合計含有量が85モル%以上で、イソフタル酸等の含有量が15モル%以下であり、かつ必要に応じて2,2ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパンを含有する共重合ポリエステルを紡糸、延伸することにより得られる糸条が使用できる。
次に、編地の保水性を評価する指標について説明する。保水性の指標としては、具体的に保水率が280%以上であることが好ましく、280〜500%がより好ましい。保水率が280%未満になると、吸水力が乏しくなる傾向にあり、対象物表面に水等が付着している場合、ひと拭きで吸水できる量が減る傾向にある。このため、繰り返し対象物表面を拭かなければならないときがあり、これに伴い対象物表面に傷を与え易くなることがある。
保水率の測定には、まずタテヨコ25cm四方に切り出した試料を用意する。次に、試験に供する前の質量(W)を測定し、その後、試料を蒸留水中に10分間浸漬する。浸漬後、試料の四隅の一端を吊り上げ、10分間そのままの状態で静止し、その後、質量(W)を測定する。そして、保水率(%)=〔(W−W)/W〕×100なる式で算出する。
本発明の編地の用途としては、特に限定されないが、ワイピングクロスが最も好適である。ワイピングクロスとして使用する場合、表面を対象物に向け、裏面に指圧をかけ、編地単体でそのままの形で使用してもよいが、好ましくは、裏面同士を重ね合わせたうえで、縁を縫製した形で使用するのがよい。こうすることで、縫製後は表裏面のいずれもが拭き取り面となり、より使用し易いものとなる。加えて、裏面同士を重ねることで、重ね合わせ部分の隙間にも水を溜めることができ、保水量の一層の増加が期待できるようになる。このため、一度の拭き取りで多くの水等を拭き取ることができる。
裏面同士を重ね合わせて使用する場合、縁以外の場所も任意に縫製してよいが、縫製箇所を増やし過ぎると、縫糸によってクロスの特異な表面形状が崩れてしまうため、あまり増やさないことが好ましい。本発明の編地は、対象物表面を拭き取るにあたり強い力を要しないことから、縁部分のみの縫製でも使用中に2枚の編地の位置関係がずれ難く、ワイピングクロスとして優れた効果を奏する。
本発明のワイピングクロスは、例えば洗車後の自動車の拭き上げや金管楽器の拭き上げ、さらには台所等の油汚れの拭き取りや窓拭きなどに適しており、特に自動車の拭き上げに適している。本発明のワイピングクロスを使用すれば、拭き取り後に滴の痕や傷が残り難く、対象物を美観よく仕上げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種特性は、以下の方法で測定した。
(1)編地表裏面を構成する糸条の単糸繊度、繊度比
まず、加工後の編地から、表裏面を構成する糸条を各々抜き取り、JIS L1013 8.3.1B法(簡便法)に基づいてそれぞれの総繊度を算出した。その後、JIS L1013 8.4に基づいてフィラメント数を数え、総繊度をフィラメント数で除し、それぞれの単糸繊度とした。単糸繊度算出後、繊度比を算出した。
(2)ポリエステル高収縮糸の沸騰水収縮率
製編前の糸条を外周1.125mの検尺機で5回かせ取りして2重にし、1/10g/dtexの荷重を掛け、試料長aを測定する。その後、1/6000g/dtexの荷重を掛けて30分間放置した後、30分間沸騰水処理し、乾燥後、1/10g/dtexの荷重を掛け、試料長bを測定し、沸騰水収縮率(%)=〔(a−b)/a〕×100なる式により算出した。
(3)ポリエステル高収縮糸の単糸繊度
製編前の高収縮糸をJIS L1013 8.3.1B法(簡便法)に基づいて総繊度を算出し、その後、JIS L1013 8.4に基づいてフィラメント数を数え、総繊度をフィラメント数で除し、単糸繊度とした。
(4)凹凸部の高低差
後加工後の編地をウェール方向の編目に沿って切り取り、切り取った試料の断面をデジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製、VHX−900)を使用して、倍率50倍で観察し、その際の凸部先端から凹部の底辺までの高さを測定した。1つの試料に対して10箇所の高低差を測定し、その平均値を編地の凹凸部の高低差とした。
(5)凹部の密度
ルーペを使用して後加工後の編地表面を観察し、1cmに見える凹部の個数を目視で数えた。
(6)編地の厚み
後加工後の編地の厚みを、JIS L1018 8.5.1に基づいて測定した。
(7)タック組織の編成長
後加工前の編地において、表面の任意の地点と、その地点から100W目の地点とに各々印を付けた。次に、編成組織ごとに糸を解き、タック組織の糸に1/10g/dtexの荷重を掛けて糸長を測定し、これをタック組織の編成長とした。
(8)水分を拭き取る際の貼りつき感、及び滴の痕の残り具合
後加工後の編地について、タテヨコ20cm四方に切り出した試料を2枚用意し、これらの試料の裏面同士を重ね合わせ、縁を縫製することでワイピングクロスとした。次に、水を十分蓄えた水槽の中に当該ワイピングクロスを10分間浸漬し、クロスを引き上げた後、水分率が100%となるように手で絞った。そして、10mLの水を滴下、付着させたアルミ板の表面を先ほど絞ったクロスで拭き取り、拭き取り時の貼りつき感を◎(貼りつき感をほとんど感じない)、○、△、×(貼りつき感を大いに感じる)の4段階で官能評価した。また、拭き取った後のアルミ板表面について、滴の痕の残り具合を◎(滴の痕がほぼ残っていない)、○、△、×(滴の痕が大いに残っている)の4段階で官能評価した。
(実施例1)
72dtex168fのポリエステル糸条と、78dtex48fのポリエステル複合繊維糸条、33dtex12fで沸騰水収縮率が22%のポリエステル高収縮糸とを用意した。なお。前記ポリエステル複合繊維糸条は、アルカリ易溶性ポリエステル成分とアルカリ難溶性ポリエステル成分とからなる複合繊維を束ねた糸条である(割繊後384f)。福原精機社製LPJ−H型編機(釜径33インチ、針密度28G)に上記3糸を導入し、図1に示す組織にて、表面をポリエステル糸条で編成し、裏面をポリエステル複合繊維糸条に対し高収縮糸をプレーティング編することにより編成した。
編成後、生機を液流染色機にて80℃、20分で精練した。その後、アルカリ濃度20g/Lの浴を使用し、100℃、30分間の条件でアルカリ割繊した。続いて、SR1801conc(高松油脂社製)を3.0%omf使用して、液流染色機にて130℃、30分間の条件で、吸水加工を兼ねてリラックス処理した。その後、170℃で1分間ファイナルセットし、編地を得た。
(実施例2)
72dtex168fのポリエステル糸条に代えて84dtex72fのポリエステル糸条を使用した以外は、実施例1の場合と同様に編成し、生機を得た。以降も実施例1と同様に後加工し、編地を得た。
(実施例3)
78dtex48fのポリエステル複合繊維糸条(割繊後384f)に代えて78dtex48fのポリエステル複合繊維糸条(割繊後960f)を使用した以外は、実施例2の場合と同様に編成し、以降も実施例2と同様に後加工し、編地を得た。
(比較例1)
78dtex48fのポリエステル複合繊維糸条(割繊後384f)に代えて72dtex168fのポリエステル糸条を使用して編成したこと、及び後加工においてアルカリ割繊を省いたこと以外は、実施例1と同様に行い、編地を得た。
(比較例2、3)
図1の組織に代えてスムース組織を採用したこと(比較例2)、及び図1のものに代えて図2の組織を採用したこと(比較例3)以外は、各々実施例1と同様に行い、編地を得た。
(比較例4)
タック部分の間隔と共に編成時の巻き取り張力及び後加工時の仕上巾を各々変更すること以外は、実施例1と同様に行い、編地を得た。
(比較例5、比較例6)
タック組織の編成長と共に編成時の巻き取り張力及び後加工時の仕上巾を各々変更すること以外は、実施例2と同様に行い、編地を得た。
Figure 0006487238
本発明の編地は、表1実施例欄に示すように、保水性に優れており、水が介在する状況下でも少しの力で滑らかに対象物表面を拭き取ることができ、かつ拭き取り後に滴の痕を残し難いものであった。
これに対し、比較例1の編地は、表面糸条と裏面糸条との繊度比が所定範囲に満たないため、両裏面層の保水性に差を設けることができず、水を素早く裏面に移すことができなかった。その結果、対象物表面を滑らかに拭き取ることができず、拭き取り後も、滴の痕を残すこととなった。
比較例2の編地は、表面の形態が平滑なため、持続的な拭き取り性が期待できないものであった。また、実施例1のものと比べ、水が介在する状況下では編地の移動が滞り易いものとなった。さらに、厚みが薄くなってしまい、拭き取り後、滴の痕を残すこととなった。
比較例3の編地は、凹部の密度が少な過ぎるため、編地と対象物との接触面積が増え、拭き取り時の移動が妨げられ易いものとなった。
比較例4の編地は、凹部の密度が多過ぎるため、対象物との総接触面積が減り、編地表面の吸水力が乏しくなった結果、水が対象物表面に残り、拭き取り時の移動が妨げられかつ滴の痕が残るものとなった。
比較例5の編地では、凹凸部の高低差が十分でないため、対象物との接触面積が増え、拭き取り時に編地の移動が妨げられ易いものとなった。
また、比較例6の編地では、凹凸部の高低差が所定範囲を超えており、編地内に多く空隙が形成されたために吸水力や保水性が低下し、拭き取り後の滴の痕が残り易いものとなった。

Claims (5)

  1. 表面が単糸繊度0.1〜1.5dtexのポリエステル糸条から構成され、かつ裏面が単糸繊度0.01〜1.0dtexの合成繊維糸条から構成され、表面を構成する前記ポリエステル糸条の単糸繊度が、裏面を構成する前記合成繊維糸条の単糸繊度より1.5〜20倍太い編地であって、表面に高低差0.3〜0.8mmの凹凸部を有し、その凹部の密度が10〜50個/cmであり、さらに編地の厚みが0.7〜1.5mmであり、
    前記合成繊維糸条に対して、沸騰水収縮率が10〜30%で単糸繊度が0.5〜5.0
    dtexのポリエステル高収縮糸をプレーティング編したものであることを特徴とする編地。
  2. 表面組織中にタック組織が配され、かつそのタック組織により前記凹凸部が形成されており、そのタック組織の編成長が27〜36cm/100Wであることを特徴とする請求項1記載の編地。
  3. 保水率が280%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の編地。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の編地を用いてなるワイピングクロス。
  5. 裏面同士を重ね合わせたうえで、縁を縫製してなる請求項記載のワイピングクロス。
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