JP2005245752A - 拭き取り布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 油膜等の拭き取り性が良好で、かつ、液体等の吸液性及び拭き取り性も良好で、形態保持性が良好で、白色度も高い通常乾燥状態で使用される拭き取り布を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上が単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維である不織布からなり、該表面での表面吸水速度係数が10以上であることを特徴とする拭き取り布。
【選択図】選択図なし。
【解決手段】 少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上が単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維である不織布からなり、該表面での表面吸水速度係数が10以上であることを特徴とする拭き取り布。
【選択図】選択図なし。
Description
本発明は、メガネ拭きやレンズワイパー等の油膜等の拭き取り、ほこり取りや床用ワイパー等の塵埃の拭き取り、カウンタークロス等の液体の拭き取り等、通常乾燥状態で使用される拭き取り布に関する。更に詳しくは、拭き取り性が良好で、吸水性、特にこぼれた液体等の拭き取り性が良好な、通常乾燥状態で使用される拭き取り布に関する。
通常乾燥状態で使用される拭き取り布は、対象となる汚れの拭き取り性をいかに向上させるかが課題である。
例えば、最も取り除きにくい汚れとしてはメガネ等の油膜が挙げられる。この油膜等の汚れを除去するためには拭き取り性を向上させる必要があった。例えば、特許文献1には割繊系のアクリル繊維を用い、かつ、割繊したアクリル繊維の表面部をフィブリル化させることにより油膜等を拭き取れる拭き取り布が提案されている。しかしながら、合成繊維であるため、吸液速度が遅く、一度の拭き取り操作では液体を完全に拭き取れない、すなわち液体を拭き取り布に吸収しきれないこともあった。
例えば、最も取り除きにくい汚れとしてはメガネ等の油膜が挙げられる。この油膜等の汚れを除去するためには拭き取り性を向上させる必要があった。例えば、特許文献1には割繊系のアクリル繊維を用い、かつ、割繊したアクリル繊維の表面部をフィブリル化させることにより油膜等を拭き取れる拭き取り布が提案されている。しかしながら、合成繊維であるため、吸液速度が遅く、一度の拭き取り操作では液体を完全に拭き取れない、すなわち液体を拭き取り布に吸収しきれないこともあった。
また、別の用途においては拭き取り性以外に、例えばこぼれた液体等を拭き取ることも要望されている。液体等の拭き取りについては通常繊維素材の性状からセルロース系、例えば、コットン系、ビスコースレーヨン系、キュプラアンモニウムレーヨン系の不織布が優れており、実際に市販されている。しかしながら、これらの繊維は繊維径が上述のアクリル系極細繊維に比べて大きいため、油膜等を拭き取っても油膜が延びるだけで拭き取り性に問題があった。
上述のように油膜等の汚れや液体の拭き取りの双方に優れた拭き取り布は非常に強く要望されていた。
特許第2064674号
上述のように油膜等の汚れや液体の拭き取りの双方に優れた拭き取り布は非常に強く要望されていた。
本発明は、油膜等の拭き取り性が良好で、かつ、液体等の吸液性及び拭き取り性も良好で、形態保持性が良好で、白色度も高い拭き取り布を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するためセルロース繊維不織布を構成する単糸繊度を細くすることで拭き取り性を向上できること、吸水速度を向上できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上が単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維である不織布からなり、該表面での表面吸水速度係数が10以上であることを特徴とする拭き取り布。
(2)セルロース繊維がセルロース長繊維である(1)に記載の拭き取り布。
(3)セルロース繊維が再生セルロース連続長繊維である(1)または(2)に記載の拭き取り布。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上が単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維である不織布からなり、該表面での表面吸水速度係数が10以上であることを特徴とする拭き取り布。
(2)セルロース繊維がセルロース長繊維である(1)に記載の拭き取り布。
(3)セルロース繊維が再生セルロース連続長繊維である(1)または(2)に記載の拭き取り布。
本発明の拭き取り布は、油膜等の拭き取り性が良好で、かつ、液体等の吸液性及び拭き取り性も良好で、形態保持性が高く、白色度も高いという特長を有する。
本発明について以下具体的に説明する。
本発明でいうセルロース繊維不織布とは、例えば特表2002−521585号公報の精製セルロースであるリヨセル等の長繊維不織布や同じ原液を用いて紡糸した繊維を短繊維として不織布化した短繊維不織布、また、例えばキュプラアンモニウム法レーヨン原液を流下緊張紡糸法によりネット上に連続で紡糸し、繊維自体の自己接着や必要に応じて水流交絡により繊維を交絡させて不織布化した再生セルロース連続長繊維不織布が挙げられる。
セルロース繊維不織布が短繊維不織布の場合はソフト性が向上し、嵩高さが向上する特長が得られるものの不織布表面からの繊維の脱落等がありリント性能が低下する。セルロース長繊維不織布の場合は、構成する繊維が長繊維であるため繊維の脱落がセルロース短繊維不織布に比べて少なく、拭き取り面を再汚染する危険性が少ないので好ましい。
本発明でいうセルロース繊維不織布とは、例えば特表2002−521585号公報の精製セルロースであるリヨセル等の長繊維不織布や同じ原液を用いて紡糸した繊維を短繊維として不織布化した短繊維不織布、また、例えばキュプラアンモニウム法レーヨン原液を流下緊張紡糸法によりネット上に連続で紡糸し、繊維自体の自己接着や必要に応じて水流交絡により繊維を交絡させて不織布化した再生セルロース連続長繊維不織布が挙げられる。
セルロース繊維不織布が短繊維不織布の場合はソフト性が向上し、嵩高さが向上する特長が得られるものの不織布表面からの繊維の脱落等がありリント性能が低下する。セルロース長繊維不織布の場合は、構成する繊維が長繊維であるため繊維の脱落がセルロース短繊維不織布に比べて少なく、拭き取り面を再汚染する危険性が少ないので好ましい。
また、再生セルロース連続長繊維不織布の場合、前述したとおり自己接着や水流交絡により不織布が形成されるため、不織布形成時に接着用の樹脂等のバインダーを使用しないので、接着用樹脂などのバインダー成分が洗剤や溶剤等により溶出することが極めて少なく、拭き取り面の再汚染が少ないので好ましい。
本発明の拭き取り布は、少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは100%が単繊維径2.9〜7.1μm、好ましくは2.9〜6.5μm、更に好ましくは2.9〜5.8μmのセルロース繊維である不織布からなることを特徴とする。
本発明の拭き取り布は、少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上、好ましくは80%以上、最も好ましくは100%が単繊維径2.9〜7.1μm、好ましくは2.9〜6.5μm、更に好ましくは2.9〜5.8μmのセルロース繊維である不織布からなることを特徴とする。
ここでいう単繊維径とは、不織布表面の電子顕微鏡写真で単繊維が約1cm程度になる倍率で観察した時の単繊維の直径のことをいう。本発明では、セルロース繊維不織布表面の任意の200点で単繊維の直径を測定したときの、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維の割合を算出し、これが60%以上であることを特徴とする。
不織布表面を構成するセルロース繊維の単繊維径が2.9〜7.1μmであることにより、この範囲よりも単繊維径が大きい従来のセルロース繊維を用いた不織布と比べて、自己接着点数や繊維自身が交絡する度合いが増加するため伸度が規制され、乾燥時及び湿潤時の形態保持性が向上する。
不織布表面を構成するセルロース繊維の単繊維径が2.9〜7.1μmであることにより、この範囲よりも単繊維径が大きい従来のセルロース繊維を用いた不織布と比べて、自己接着点数や繊維自身が交絡する度合いが増加するため伸度が規制され、乾燥時及び湿潤時の形態保持性が向上する。
また、乱反射によりこの範囲よりも単繊維径が大きい従来のセルロース繊維を用いた不織布と比べて白色度が向上し、黄色度が低下する。単繊維径がこの範囲よりも小さいと製造時に単繊維が切断して毛羽となったり、製品としての使用時に摩擦により容易に単繊維が切断したりして、脱落繊維が増加することがある。特にこのことは、長繊維不織布としての特徴が損なわれるので好ましくない。
本発明に用いられる拭き取り布は、セルロース繊維不織布を、単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が60%以上を占める表面が拭き取り面となるように加工することで得られる。セルロース繊維不織布の両面とも上記範囲であれば、拭き取り布加工時に不織布の裏表を考慮する必要がなくなるため、特に好ましい。
本発明に用いられる拭き取り布は、セルロース繊維不織布を、単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が60%以上を占める表面が拭き取り面となるように加工することで得られる。セルロース繊維不織布の両面とも上記範囲であれば、拭き取り布加工時に不織布の裏表を考慮する必要がなくなるため、特に好ましい。
また、繊維径は各種の効果に作用するため、平均繊維径を用いることもあるが、本発明においては平均繊維径を以下のように規定した。
平均繊維径I:上記測定における繊維径2.9μm未満の繊維の繊維径の平均値
平均繊維径II:上記測定における繊維径2.9〜7.1μmの繊維の繊維径の平均値
平均繊維径III:上記測定における繊維径7.1μmを超える繊維の繊維径の平均値
本発明の拭き取り布は、表面吸水速度係数が10以上、好ましくは12以上であることを特徴とする。ここでいう表面吸水速度係数とは、本発明に用いられる不織布の、繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が表面の繊維本数の60%以上を占める面において、以下の方法で求めたものをいう。
平均繊維径I:上記測定における繊維径2.9μm未満の繊維の繊維径の平均値
平均繊維径II:上記測定における繊維径2.9〜7.1μmの繊維の繊維径の平均値
平均繊維径III:上記測定における繊維径7.1μmを超える繊維の繊維径の平均値
本発明の拭き取り布は、表面吸水速度係数が10以上、好ましくは12以上であることを特徴とする。ここでいう表面吸水速度係数とは、本発明に用いられる不織布の、繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が表面の繊維本数の60%以上を占める面において、以下の方法で求めたものをいう。
表面吸水性能の測定方法であるラローズ法で最大吸水速度を測定する。直径6cmの円形の測定用試料4枚を重ねて測定する。試料を直径6cmのガラスフィルター上に載せ、直径6cm、476.5gの荷重を試料の上に置く。ガラスフィルターを通して全面で水を吸水させるようにする。吸水が開始してから1秒ごとに総吸水量(吸水量の積算値)
(ml)を20秒まで測定する。測定結果より1秒ごとの吸水量(ml)を求める。1秒ごとの吸水量(ml)が最大値になった時間における総吸水量(ml)を、吸水開始からの時間(s)で除して最大吸水速度を求める。この最大吸水速度を試料の目付(1m2当りの重量)で除して1000倍したものを表面吸水速度係数とする。
(ml)を20秒まで測定する。測定結果より1秒ごとの吸水量(ml)を求める。1秒ごとの吸水量(ml)が最大値になった時間における総吸水量(ml)を、吸水開始からの時間(s)で除して最大吸水速度を求める。この最大吸水速度を試料の目付(1m2当りの重量)で除して1000倍したものを表面吸水速度係数とする。
例えば、目付20g/m2の試料を用いて下記の結果を得た場合の表面吸水速度係数は以下のように計算される。
時間(s) 総吸水量(ml) 秒毎の吸水量(ml)
0 0.10 −
1 0.34 0.24
2 0.46 0.12
3 0.55 0.11
4 0.61 0.06
(5(s)以降は秒毎の吸水量が漸減したと仮定する。数値は省略)
一秒毎の吸水量が最大値になった時間は、1(s)の時点であり、その時間での総吸水量は0.34(ml)である。従って最大吸水速度は0.34/1=0.34(ml/s)となる。また、表面吸水速度係数は0.34/20×1000=17と算出される。
時間(s) 総吸水量(ml) 秒毎の吸水量(ml)
0 0.10 −
1 0.34 0.24
2 0.46 0.12
3 0.55 0.11
4 0.61 0.06
(5(s)以降は秒毎の吸水量が漸減したと仮定する。数値は省略)
一秒毎の吸水量が最大値になった時間は、1(s)の時点であり、その時間での総吸水量は0.34(ml)である。従って最大吸水速度は0.34/1=0.34(ml/s)となる。また、表面吸水速度係数は0.34/20×1000=17と算出される。
表面吸水速度係数は、液状物を拭き取った際にどれだけ早く拭き取り布に液状物を吸収できるかの目安であり、10未満であると吸水速度が遅く拭き残りが生じやすくなる。
表面吸水速度係数は、表面形状及び拭き取り布の拭き取り面に対して垂直方向の繊維の配列度合でコントロールすることが可能である。液状物との接触面積を増やせば表面速度係数は向上する。すなわち、表面は平坦な方が好ましい。しかしながら、固体や油膜状の汚れを拭き取ることを考えると凹凸を設けることで掻き取り効果を期待できるため、凹凸表面の場合は拭き取り面に対して垂直方向に繊維を配列させることにより毛管現象で吸水速度係数を向上させることができる。
表面吸水速度係数は、表面形状及び拭き取り布の拭き取り面に対して垂直方向の繊維の配列度合でコントロールすることが可能である。液状物との接触面積を増やせば表面速度係数は向上する。すなわち、表面は平坦な方が好ましい。しかしながら、固体や油膜状の汚れを拭き取ることを考えると凹凸を設けることで掻き取り効果を期待できるため、凹凸表面の場合は拭き取り面に対して垂直方向に繊維を配列させることにより毛管現象で吸水速度係数を向上させることができる。
本発明の拭き取り布に用いられる不織布は、繊維配列係数が0.65〜1.35であることが好ましく、更に好ましくは0.75〜1.25である。ここでいう繊維配列係数とは、以下の方法で測定されたものをいう。
20cm四方の試料を準備し、直径12cmの円筒に試料表面にしわが入らない状態で輪ゴムやテープ等で固定する。蒸留水1Lにシャチハタスタンプインキ水性染料系S−1(赤)を10ml入れ、評価液を作成する。評価液を先端口径0.7mmのビューレットに注入する。ビューレットとカメラを図1に示すようにセットする。カメラは固定式、ビューレットは高さ固定の横移動式で、カメラ位置は試料表面から10cm上方に、ビューレットは試料表面から5cm上方にセットする。
20cm四方の試料を準備し、直径12cmの円筒に試料表面にしわが入らない状態で輪ゴムやテープ等で固定する。蒸留水1Lにシャチハタスタンプインキ水性染料系S−1(赤)を10ml入れ、評価液を作成する。評価液を先端口径0.7mmのビューレットに注入する。ビューレットとカメラを図1に示すようにセットする。カメラは固定式、ビューレットは高さ固定の横移動式で、カメラ位置は試料表面から10cm上方に、ビューレットは試料表面から5cm上方にセットする。
評価液を5滴(0.05ml)サンプル上に落とし、同時にビューレットを横に移動させ、10秒後の拡散状態の写真撮影を行う。この際、試料表面にJIS規格の金尺を置き、写真に写るようにして実際の拡散面積に換算できるようにする。写真から画像処理等で拡散面積を求めることもできる。
得られた写真を用いて繊維配列係数を測定する。通常、液は楕円形に拡散するのがこの楕円の機械軸方向の径aと機械軸と垂直方向の径bを測定する。繊維配列係数cは以下の方法で算出される。
繊維配列係数c=b/a
繊維配列係数は液が滴下された時の拡散状態を示す係数ではあるが、液の拡散が繊維の配列方向と相関が高いことから繊維の配列方向を示すものである。機械軸方向の繊維の配列が大きいと繊維配列係数は1未満となり、機械軸と機械軸と垂直方向への繊維の配列が同じ状態であると液拡散状態は円状になり、この場合繊維配列係数は1となる。また、機械軸方向よりも機械軸と垂直方向の繊維の配列が多いと繊維配列係数は1を超えるものとなる。
繊維配列係数c=b/a
繊維配列係数は液が滴下された時の拡散状態を示す係数ではあるが、液の拡散が繊維の配列方向と相関が高いことから繊維の配列方向を示すものである。機械軸方向の繊維の配列が大きいと繊維配列係数は1未満となり、機械軸と機械軸と垂直方向への繊維の配列が同じ状態であると液拡散状態は円状になり、この場合繊維配列係数は1となる。また、機械軸方向よりも機械軸と垂直方向の繊維の配列が多いと繊維配列係数は1を超えるものとなる。
繊維配列係数が0.65未満であると機械軸方向に繊維が主体的に配列され機械軸と垂直方向に存在する繊維との交絡、結合数が減少するため、機械軸と垂直方向に対する形態保持性が小さく、機械軸と垂直方向に伸びが大きくなったり、幅が入りやすくなったりすると共に、機械軸方向へは引裂きやすくなる。例えば、ロール状の長尺ものワイパーの場合、機械軸方向に張力をかけながら清拭することがあるが、清拭中に幅方向の寸法が変化すると拭き残り部分が発生したり、幅方向に小さくなる分、長さ方向には伸長するため巻き取り時の径が増大し、機械トラブルの原因になることもある。すなわち、通常の加工工程においては機械軸方向に張力がかかることが多く、工程中で不織布の幅が入ったりして加工性能が低下することがある。尚、不織布の伸びについて更に詳細に説明すると、不織布の伸びは組織の伸びと繊維自体の伸びの2つの要因により構成されており、繊維自体の伸びよりは組織自体の伸びが支配的であるため、交絡や結合点数の違いにより伸びは大きく影響される。繊維配列係数が0.65未満であると破断伸度に影響が出るのは繊維自体の伸びが主体的になる。逆に交絡や結合点数の低下から組織伸びは容易に発生することになるので機械軸と垂直方向は機械軸方向に張力がかかることにより幅が入るという現象が生じることになる。
また、繊維配列係数が1.35を超えると機械軸と垂直方向に繊維が主体的に配列され、不織布の伸びは組織伸びが大きく影響し、繊維自体の伸びの影響は小さくなる。しかし、組織伸びは発生するものの、交絡や結合点数が非常に多いため機械軸方向へ張力がかかっても幅方向への影響は大きくはならない。しかし、繊維配列係数が1.35を超えることにより非常に硬い不織布となるので実使用においては支障をきたすことがある。
上述のように、これらの機械軸方向の破断伸度や繊維配列係数は不織布を形成する繊維の単繊度と製造時の機械方向への繊維の配列方向をコントロールすることで得ることができる。単繊度を小さくすることにより単繊度の太いものに比べて同一目付の不織布では構成する繊維の本数が増加し、例えば再生セルロース長繊維の場合、自己接着点数が増加すると共に、繊維同士の交絡点数も大幅に増加する。拘束点が増加することで伸びにくい、すなわち破断伸度の低い不織布が形成される。また、例えば再生セルロース連続長繊維不織布においては、ウエブ形成は紡糸後ネット等へ糸を分散させることによって行われる。この時の糸の分散状態によって機械軸方向、機械軸と垂直方向の力学物性が決定されると言っても過言ではない。分散状態のコントロールは例えばウエブ形成させるネットに進行方向(機械軸方向)と垂直方向(幅方向)に振動を与え、紡糸した糸にSinカーブを描かせることなどで調整できる。幅方向への振動数、振動幅を大きくすると機械軸方向へは伸びにくい不織布を得ることができる。
これらの性状は乾燥状態だけでなく、湿潤状態においても形態保持性が改善されることは容易に予想されることである。
これらの性状は乾燥状態だけでなく、湿潤状態においても形態保持性が改善されることは容易に予想されることである。
また、本発明の拭き取り布に用いられる不織布は、不織布を構成する繊維がセルロース長繊維であることが好ましく、更に好ましくは再生セルロース連続長繊維である。セルロース長繊維不織布とは例えば特表2002−521585号公報に記載された精製セルロースであるリヨセル等の長繊維不織布をいう。また、ここでいう再生セルロース連続長繊維不織布とは例えばキュプラアンモニウム法で製造されるキュプラ連続長繊維不織布等がこれに相当する。再生セルロース連続長繊維不織布であると単繊維の自己接着による結合点の形成と、製法上単繊維の配列方向のコントロールが比較的容易に設定できると共に、連続長繊維の特徴である例えば毛羽抜け等の現象を減少でき、ワイパー表面からの脱落繊維の発生を短繊維不織布に比べて極めて抑制することができる。また、キュプラは薬事法で指定された医療用ガーゼの素材であるため医薬医療用途での使用に適している点からも好ましい。
尚、単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース長繊維不織布を得るには、例えばキュプラアンモニウム法レーヨン原液を用いて再生セルロース長繊維不織布を得る場合、原液を紡糸する紡口の直径を従来のものより小さくすると共に、原液の粘度や原液温度を調整したり、凝固速度をコントロールし、更に延伸倍率を従来よりも高く取ることで好適に得られる。
本発明の拭き取り布に用いる不織布は、白色係数が7以上であることが好ましく、更に好ましくは10以上である。本発明でいう白色係数とは以下の測定により求められたものをいう。試料を12枚重ねの状態で測定する。尚、測定面は繊維径が規定された面とする。サカタインクス株式会社製標準色彩管理システムマクベスCE−3000で、C光源を用い、視野2°、鏡面光沢及び光源の紫外線領域を含めて、5回測定した平均値からX、Y、Zの3刺激値を求め次式より白色度及び黄色度を算出する。
白色度=4(0.847Z)−3Y
黄色度=100(1.28X−1.06Z)/Y
尚、測定原理及び光源が同一であれば他の測定機器で測定してもよい。
白色係数は次式により算出される。
白色係数=白色度/黄色度
白色係数は布帛の白さをより顕著に示す係数値である。通常、白い布帛は白色度が大きく黄色度が小さいものである。従って白色係数を用いれば白さの程度をより明確に捉えることが可能となる。
白色度=4(0.847Z)−3Y
黄色度=100(1.28X−1.06Z)/Y
尚、測定原理及び光源が同一であれば他の測定機器で測定してもよい。
白色係数は次式により算出される。
白色係数=白色度/黄色度
白色係数は布帛の白さをより顕著に示す係数値である。通常、白い布帛は白色度が大きく黄色度が小さいものである。従って白色係数を用いれば白さの程度をより明確に捉えることが可能となる。
本発明の拭き取り布に用いられる不織布の白色係数が向上するのは、単繊度が小さいので紡糸時に繊維内部まで精練できることと単繊度が小さいために不織布表面において乱反射が発生するためと推定され、白色度が向上し、黄色度が低下するため白色係数が大幅に向上する。繊維径が前述の条件を満足しないと白色係数が7以上にならないことがある。従って本発明に用いられる不織布は漂白または蛍光増白処理を行わなくても極めて白色度が高く黄色度が低い不織布である。白色係数が7未満であると例えば医薬医療用や食品用途で用いた場合、清潔感が低下する。白色係数を向上させるには、前述のように繊維径のコントロールや紡糸時の精練条件等をコントロールすることによって向上させることが可能である。尚、本発明における白色係数は、一般的に白色に類する色に関する規定であり、染色品等の着色品に対してはこの規定は相当しない。
また測定上、黄色度が負の値になることがある。その場合算出される白色係数は負の値となる(白色度も負の場合は正となる)が、上述のように本発明における白色係数は白色度が大きく、黄色度が小さいほど数値が大きくなることを示す指標であるので、黄色度が負の値であるときには算出値に関わらず白色係数は7以上であるとする。
また測定上、黄色度が負の値になることがある。その場合算出される白色係数は負の値となる(白色度も負の場合は正となる)が、上述のように本発明における白色係数は白色度が大きく、黄色度が小さいほど数値が大きくなることを示す指標であるので、黄色度が負の値であるときには算出値に関わらず白色係数は7以上であるとする。
本発明の拭き取り布に用いられる不織布の目付は8〜150g/m2が好ましく、より好ましくは10〜120g/m2であり、厚みは0.03〜1mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mmである。目付及び厚みは用途により適宜選択が可能である。目付が8g/m2未満であると不織布としての絶対強度が低く、製品とした場合に破れやすくなり、脱落繊維の発生等、実使用において問題を生じることがある。また、150g/m2を超えると繊維充填密度が高いため非常に硬い不織布となり、拭き取り性が低下する等、実用において問題を生じることがある。
また、本発明の拭き取り布に用いられる不織布には開口部や凹部、凹凸等で形成されたパターンが存在していてもよい。開口部や凹部、メッシュパターンの形状は用法等で適宜選択すればよい。例えば、楕円形や円形、正方形や長方形、ひし形等の独立したパターンや凹凸形状が組み合わされた例えば杉綾形状のパターン等、適宜選択すればよいし、その配列パターン、例えば独立した開口部や凹部で千鳥配列にしたりする等も適宜選択すればよい。但し、上述の独立した開口部や凹部のパターンを設ける場合には、開口部や凹部の1個あたりの面積は0.05〜10mm2が好ましく、より好ましくは0.1〜5mm2、更に好ましくは0.2〜2.5mm2である。開口部や凹部の1個あたりの面積が0.05mm2未満では拭き取り等への寄与がほとんど得られない。また、開口部や凹部の1個あたりの面積が10mm2を超えると拭き取り対象物が開口部や凹部を通過して手等を汚染することがある。尚、開口部や凹部の1個あたりの面積は、不織布の裏側に例えば黒色の色紙等を置いて2値化、すなわち黒と白に分離できる状態にして開口部や凹部が判別できる状態にして画像処理等で求めればよい。
また、このような表面修飾は、例えば不織布をメッシュ状のネットに乗せた状態で高圧液体流で処理することにより、ネットの交絡点部の上にある不織布の繊維が高圧液体流で周囲に押しやられることにより、好適に得ることができる。また、例えば金属ロールの表面に凹凸パターンを作成し、金属ロールとゴムロールの間に圧力をかけながら不織布を通して凹凸形状をつけるいわゆるエンボス等の手法でも好適に得ることができる。
拭き取り布表面のメッシュパターンの有無により拭き取り性や通液性等の機能性をコントロールしたり、意匠性を向上させたりすることができる。
拭き取り布表面のメッシュパターンの有無により拭き取り性や通液性等の機能性をコントロールしたり、意匠性を向上させたりすることができる。
本発明の拭き取り布に用いられる不織布は、前述の規定範囲内であれば、例えば単繊度が違う糸が混合されていてもよいし、他素材や他の不織布と複合されていてもよい。この場合、より高度な機能性を付与することが可能となる。
例えば、合成繊維不織布であるスパンボンドの上にセルロース不織布を重ねて高圧液体流で3次元交絡させて複合不織布を得ると、湿潤時の形態保持性や強度が非常に向上するため好ましい。複合する場合も長繊維不織布同士を複合することが脱落繊維の発生を抑制する面からも好ましい。
例えば、合成繊維不織布であるスパンボンドの上にセルロース不織布を重ねて高圧液体流で3次元交絡させて複合不織布を得ると、湿潤時の形態保持性や強度が非常に向上するため好ましい。複合する場合も長繊維不織布同士を複合することが脱落繊維の発生を抑制する面からも好ましい。
本発明の拭き取り布は、使用時の形態は特に限定されず、適宜用途に応じて使いやすい形状を選択することができる。例えば、拭き取り布を広げた場合の形状が正方形や長方形等の多角形、円形や楕円形等でも問題なく使用でき、用途によって適宜選択すればよい。
また、使用形態についても特に限定されず、用途によって適宜選択すればよい。例えば、目付が高い場合には平版の形状でもよいし、目付が低い場合には折ってあってもかまわない。また、折って使用する場合には、その折り方も適宜選択することができる。
また、使用形態についても特に限定されず、用途によって適宜選択すればよい。例えば、目付が高い場合には平版の形状でもよいし、目付が低い場合には折ってあってもかまわない。また、折って使用する場合には、その折り方も適宜選択することができる。
折り方としては、例えば4つ折り、6つ折り、8つ折り等の多重折りや、端面全内折り、C折り、Z折り等の折り方がある。
例えば多重折りは、折られた部材を開いて最大の大きさにした際に折り目によって分割された数で規定する。4つ折りでは折り目により4つの部分に、6つ折りでは折り目により6つの部分に、8つ折りでは折り目により8つの部分に分割される。また、折り方も特に限定されず作業内容によって適当な大きさ、厚みが得られるように折ればよい。
例えば多重折りは、折られた部材を開いて最大の大きさにした際に折り目によって分割された数で規定する。4つ折りでは折り目により4つの部分に、6つ折りでは折り目により6つの部分に、8つ折りでは折り目により8つの部分に分割される。また、折り方も特に限定されず作業内容によって適当な大きさ、厚みが得られるように折ればよい。
例えば25cm角(625cm2)程度の平版を4つ折りにする場合には、両端を合わせて2つに折り、出来上がった長方形(12.5cm×25cm)の短い端を合わせて更に2つに折ればよい。この場合拭き取り表面は、12.5cm角(156.25cm2)程度になり、ほとんどの部分が4枚重なった構造となる。この大きさは一般的な成人の手のひらの部分をおおよそカバーできる大きさであり、作業性が向上する。
例えば、例えば25cm角(625cm2)程度の平版を6つ折りにする場合、まず8cm程度上端および下端を合わせて内側へ折り、次いで反対側の端を先に折った部分へ合わせて折る。この際、先に折った平版にした際の端が内側に入るように折る。出来上がった長方形(8.5cm×25cm)の短い端を合わせて更に2つに折ればよい。この場合拭き取り表面は、8.5cm×12.5cm(106.25cm2)程度になり、ほとんどの部分が6枚重なった構造となる。この大きさは一般的な成人の指の部分をおおよそカバーできる大きさであり、作業性が向上する。
例えば、30cm×25cm(750cm2)程度の平版を8つ折りにする場合、25cmの端部を中心に向かって約7cm程度両側とも折る。出来上がった長方形(16cm×25cm)を最初に折った端部が内側に入るように短い端の中心で折る。出来上がった長方形(8cm×25cm)の短い端を合わせて更に2つに折ればよい。この場合拭き取り表面は、8cm×12.5cm(100cm2)程度になり、ほとんどの部分が8枚重なった構造となる。この大きさは一般的な成人の指の部分をおおよそカバーできる大きさであり、作業性が向上する。
例えば、25cm×30cm(750cm2)程度の平版を端面全内折り(12重折り)にする場合、30cmの片側の端部を25cmの端部の中心に向かって6cm折り、次いでもう片側の30cmの端部を7cm×25cmの端部の中心に向かって折る。出来上がった長方形(12cm×25cm、中央部に3枚重ね部分が1cm×25cm程度存在)を最初に折った端部が内側に入るように短い端部の両端を長い端部の中央付近で合わせるように折る。出来上がった長方形(12cm×15cm)を短い端部が内側に入るように長い端部の中央で折ればよい。この場合の拭き取り表面は、12cm×7.5cm(90cm2)程度になり、ほとんどの部分が12枚重なった構造となる。端部が表面に出ていない構造のため、脱落繊維が極めて減少するので好ましい。
例えば25cm角(625cm2)程度の平版をC折りにする場合には、両端を中心に向かって両側とも同方向に折り、出来上がった長方形(12.5cm×25cm)の短い端を合わせて更に2つに折ればよい。この場合拭き取り表面は、12.5cm角(156.25cm2)程度になり、ほとんどの部分が4枚重なった構造となる。端部が1辺しか表面に出ていないため、脱落繊維が減少するのが好ましい。
例えば25cm角(625cm2)程度の平版をZ折りにする場合には、両端を中心に向かって両側を逆方向に折る。この折り方は、特にティッシュと同じように積み重ねて容器や袋等から取り出す場合、1端面が取り出し面の中心にくることによって、その端面をつまみ上げると、容易に拭き取り布を取り出すことができるのが好ましい。
例えば25cm角(625cm2)程度の平版をZ折りにする場合には、両端を中心に向かって両側を逆方向に折る。この折り方は、特にティッシュと同じように積み重ねて容器や袋等から取り出す場合、1端面が取り出し面の中心にくることによって、その端面をつまみ上げると、容易に拭き取り布を取り出すことができるのが好ましい。
また、本発明の拭き取り布は、例えば長尺の巻形状、すなわちロール状でもよい。ロール状の拭き取り布は自動化された機械や連続的に拭き取る場合に好適に用いられる。ロール状で用いる場合は長繊維不織布であることが好ましい。端部が長さ方向にしか存在しないため、拭き取り布からの脱落繊維の主な発生源である拭き取り布の端部が上述のピース状の拭き取り布に比べて減少するからである。巻長さや幅等は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されてよい。
また本発明の拭き取り布は、拭き取り布に追加的に付与することが出来る各種の機能付加を任意に行う事が出来る。例えば、加熱処理やガンマー線照射や電子線照射やエチレンオキサイドガス処理等によって滅菌処理又は殺菌処理された拭き取り布、パイロジェンやエンドトキシンの含有量を制御した拭き取り布、拭き取り用の油剤や活性剤等を付与した拭き取り布、等々で機能付加されたものも本発明の拭き取り布に包含され、これら任意の機能付加を何ら制限するものではない。
本発明の拭き取り布のサイズは特に限定されず、使用用途、使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、平版の場合には2〜12インチ角のものが一般的に用いられる。折り品の場合には上述のようなサイズのものが一般的に用いられており、ロール形状の場合には、幅が5〜100cm、巻長さ3〜50m程度のものが一般的に用いられている。
本発明の拭き取り布の包装形態、包装材料等は特に限定されず、用途に応じて適宜選択されてよい。
例えば、折りあがった製品を袋に入れ、その袋数個をダンボール箱に入れる等、使用用途に合わせて適宜選択すればよい。
本発明の拭き取り布の包装形態、包装材料等は特に限定されず、用途に応じて適宜選択されてよい。
例えば、折りあがった製品を袋に入れ、その袋数個をダンボール箱に入れる等、使用用途に合わせて適宜選択すればよい。
本発明の拭き取り布に用いられる不織布の製造方法について一例を紹介する。本発明の好ましい態様はセルロース長繊維不織布であり、例えばキュプラアンモニウム法レーヨンからなる再生セルロース連続長繊維不織布(以下、キュプラ不織布と記載)である旭化成せんい株式会社製のベンリーゼ(登録商標)がこれに相当する。キュプラ不織布の製造方法は、異物を除去し、重合度を調整したコットンリンターを銅アンモニウム溶液に溶解させた原液を細孔(原液吐出孔)を有した紡糸口金(紡口)から押し出し、水と共に漏斗内を落下させ、脱アンモニアさせることにより原液を凝固させつつ、延伸を行い、ネット上へ振り落としウエブ形成させる。この際、ネットを進行させながら進行方向と垂直方向へ振動させることにより、ネットへ振り落とされる繊維はSinカーブを描くことになる。紡糸時の延伸は100〜500倍が可能であり、紡糸漏斗の形状と、その中を流下させる紡糸水量を変えることにより、延伸倍率の調整が任意に可能である。延伸倍率を変えることにより、単繊度や不織布の強度を変えることが可能である。また、紡糸水量や温度を変化させることに原液内に微量残留する低分子量セルロース、いわゆるヘミセルロースをコントロールすることも可能である。また、ネットの進行速度、振動幅を制御することにより、繊維配列方向を制御し、不織布としての強度や伸度等をコントロールすることが可能である。紡糸漏斗の形状としては、矩形型が好ましく、流下させる紡糸漏斗の長さは100〜400mm、流下出口のスリット幅は2〜5mmが好ましい。本発明に用いる紡口の原液吐出孔の直径は0.1〜0.5mmが好ましく、形状は丸型が好ましい。また、不織布の均一性を確保する意味から、ウエブを積層して不織布化することが好ましく、その積層枚数は3〜10枚が好ましい。積層後のウエブを例えば特許第787914号公報、特許第877579号公報に記載の方法により、ウエブ状態でセルロースを再生させたり、精練したりした後、高圧水流により繊維交絡させ不織布を製造する。この際に意匠性を付与するために不織布に穴や凹凸をつけたりすることが高圧水流の条件や不織布の下及び/又は上に配置されるネットの柄によって可能となる。得られた不織布は乾燥、巻き取り品として得ることができる。紡糸から巻き取りまでが一連の工程で成されるため繊維が切断されずに連続的に繋がっているので連続長繊維不織布という。
本発明を実施例に基づいて説明する。
尚、実施例中の評価は以下の方法で行った。
(1)繊維径の存在比率
前述の方法で測定した。
(2)平均繊維径
前述のように3つのレンジに分けて測定した。
(3)繊維配列状態係数
前述の方法で測定、算出した。
(4)表面吸水速度係数
前述の方法で測定した。
(5)白色係数
前述の方法で測定した。
(6)目付、厚み
JIS−L−1096記載の方法にて測定した。
尚、実施例中の評価は以下の方法で行った。
(1)繊維径の存在比率
前述の方法で測定した。
(2)平均繊維径
前述のように3つのレンジに分けて測定した。
(3)繊維配列状態係数
前述の方法で測定、算出した。
(4)表面吸水速度係数
前述の方法で測定した。
(5)白色係数
前述の方法で測定した。
(6)目付、厚み
JIS−L−1096記載の方法にて測定した。
(7)油膜拭き取り性
鏡の上に口紅を塗り、更にティッシュ等で塗り広げて出来る限り均一な油膜を作成する。標準品としてカネボウ合繊株式会社製クリーンルーム用ワイピングクロス、ザヴィーナミニマックス(商品名)と日本薬局方綿ガーゼを用意する。基材1枚を取り、親指と人差し指と中指で保持し、人差し指の腹で油膜を1回拭き取る。同程度の力で各基材を用いて拭き取りを実施し、拭き取り性を官能評価し下記のように級判定を行う。各基材について5回の評価を行い、平均値を結果とした。
10級:油膜がほぼ完全に拭き取れる(ザヴィーナミニマックス(商品名)で拭き取った状態)
5級:油膜はそこそこ拭き取れているが筋状の拭き残しがある
1級:油膜は殆ど拭き取れず、伸ばされた感じである(日本薬局方ガーゼで拭き取った状態)
尚、1〜10級の間は相対的に見て中間の級を補間する。6級以上を合格とする。
鏡の上に口紅を塗り、更にティッシュ等で塗り広げて出来る限り均一な油膜を作成する。標準品としてカネボウ合繊株式会社製クリーンルーム用ワイピングクロス、ザヴィーナミニマックス(商品名)と日本薬局方綿ガーゼを用意する。基材1枚を取り、親指と人差し指と中指で保持し、人差し指の腹で油膜を1回拭き取る。同程度の力で各基材を用いて拭き取りを実施し、拭き取り性を官能評価し下記のように級判定を行う。各基材について5回の評価を行い、平均値を結果とした。
10級:油膜がほぼ完全に拭き取れる(ザヴィーナミニマックス(商品名)で拭き取った状態)
5級:油膜はそこそこ拭き取れているが筋状の拭き残しがある
1級:油膜は殆ど拭き取れず、伸ばされた感じである(日本薬局方ガーゼで拭き取った状態)
尚、1〜10級の間は相対的に見て中間の級を補間する。6級以上を合格とする。
(8)液体拭き取り性
テーブルの上に1mlの水をたらし、4枚重ねにしたサンプルでさっと拭き、テーブル上の拭き残り状態を観察し、官能判定する。
判定水準
○:ほとんど水が残っていない
△:若干の拭き残りが見られる
×:かなり拭き残りが見られる
テーブルの上に1mlの水をたらし、4枚重ねにしたサンプルでさっと拭き、テーブル上の拭き残り状態を観察し、官能判定する。
判定水準
○:ほとんど水が残っていない
△:若干の拭き残りが見られる
×:かなり拭き残りが見られる
(9)脱落繊維の定性測定評価
サンプルの入った純水の容器を超音波洗浄機で洗浄後、純水を濾過し濾紙に残った繊維の多い、少ないを官能判定する。評価方法及び判定水準は下記のとおりである。
評価方法:サンプル25cm×25cmを準備し、純水300mlの入った500mlビーカーに入れる。超音波洗浄機(BRANSON社製B2210)にオペレーティングレベルまで水を入れ、サンプルの入った500mlビーカーを入れる。15分間超音波洗浄機で洗浄後、黒色濾紙(ADVANTEC NO131)で濾過する。恒温室(20℃×65%)に12時間入れて乾燥させ官能判定する。
判定水準
○:黒色濾紙にほとんど糸屑がない
△:黒色濾紙に残った糸屑が目立つ
×:黒色濾紙の色が消えるほどの糸屑が残る
サンプルの入った純水の容器を超音波洗浄機で洗浄後、純水を濾過し濾紙に残った繊維の多い、少ないを官能判定する。評価方法及び判定水準は下記のとおりである。
評価方法:サンプル25cm×25cmを準備し、純水300mlの入った500mlビーカーに入れる。超音波洗浄機(BRANSON社製B2210)にオペレーティングレベルまで水を入れ、サンプルの入った500mlビーカーを入れる。15分間超音波洗浄機で洗浄後、黒色濾紙(ADVANTEC NO131)で濾過する。恒温室(20℃×65%)に12時間入れて乾燥させ官能判定する。
判定水準
○:黒色濾紙にほとんど糸屑がない
△:黒色濾紙に残った糸屑が目立つ
×:黒色濾紙の色が消えるほどの糸屑が残る
[実施例1]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、セルロース濃度10重量%の紡糸原液を準備した。原液吐出孔の直径が0.3mm、180個/cm2で存在する長方形の紡糸口金から原液を押し出し、紡糸水による脱アンモニアで凝固させ、同時に延伸させた。凝固した繊維は通液可能なメッシュ構造のネット上に振り落としつつ、ネットをネット進行方向と垂直方向に振動させた。得られた1層のウエブの上に同様の条件で紡糸したウエブを更に4層重ね、最終的に5層重ねのセルロース連続長繊維ウエブを得た。得られたセルロース連続長繊維ウエブを希硫酸で再生し、水洗後、得られた再生セルロース連続長繊維ウエブを高圧水流で繊維を交絡させた後、熱風乾燥を行い貫通孔及び凹部が表面に形成された再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、セルロース濃度10重量%の紡糸原液を準備した。原液吐出孔の直径が0.3mm、180個/cm2で存在する長方形の紡糸口金から原液を押し出し、紡糸水による脱アンモニアで凝固させ、同時に延伸させた。凝固した繊維は通液可能なメッシュ構造のネット上に振り落としつつ、ネットをネット進行方向と垂直方向に振動させた。得られた1層のウエブの上に同様の条件で紡糸したウエブを更に4層重ね、最終的に5層重ねのセルロース連続長繊維ウエブを得た。得られたセルロース連続長繊維ウエブを希硫酸で再生し、水洗後、得られた再生セルロース連続長繊維ウエブを高圧水流で繊維を交絡させた後、熱風乾燥を行い貫通孔及び凹部が表面に形成された再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付29.0g/m2、厚み0.22mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は100%であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として極めて良好であった。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として極めて良好であった。
[実施例2]
特表2002−521585号公報に記載された方法において、原液吐出孔の直径を30μmにし、その他の条件は適正な条件を用いて不織布を得た。得られたセルロース長繊維不織布の目付は、22.5g/m2、厚み0.18mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は100%であり、繊維配列係数は0.90であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として極めて良好であった。
特表2002−521585号公報に記載された方法において、原液吐出孔の直径を30μmにし、その他の条件は適正な条件を用いて不織布を得た。得られたセルロース長繊維不織布の目付は、22.5g/m2、厚み0.18mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は100%であり、繊維配列係数は0.90であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として極めて良好であった。
[実施例3]
原液吐出孔の直径が0.6mm、45個/cm2の長方形の紡糸口金から原液を押し出し、3層に積層させたウエブを形成し、得られた3層のウエブ上に、直径0.3mm、180個/cm2の長方形の紡糸口金から原液を押し出して更に2層のウエブを積層して、最終的に5層重ねのセルロース連続長繊維ウエブにした以外は実施例1と同様の条件にて貫通孔及び凹部が表面に形成された再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付27.5g/m2、厚み0.32mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は66%であり、繊維配列係数は0.76であった。特性及び機能性の評価結果を表1及び表2に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として良好であった。
原液吐出孔の直径が0.6mm、45個/cm2の長方形の紡糸口金から原液を押し出し、3層に積層させたウエブを形成し、得られた3層のウエブ上に、直径0.3mm、180個/cm2の長方形の紡糸口金から原液を押し出して更に2層のウエブを積層して、最終的に5層重ねのセルロース連続長繊維ウエブにした以外は実施例1と同様の条件にて貫通孔及び凹部が表面に形成された再生セルロース連続長繊維不織布を得た。
得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付27.5g/m2、厚み0.32mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は66%であり、繊維配列係数は0.76であった。特性及び機能性の評価結果を表1及び表2に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として良好であった。
[実施例4]
実施例1において原液の吐出量を減少させ、かつネットのスピードを上げた以外は同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は目付19.0g/m2、厚み0.13mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は89%であり、繊維配列係数は0.72であった。目付10.1g/m2、厚み0.08mm、平均単繊維径18μmのポリエステルスパンボンド不織布と得られた再生セルロース連続長繊維不織布を重ねて高圧水流により複合し、乾燥させて複合不織布を得た。
実施例1において原液の吐出量を減少させ、かつネットのスピードを上げた以外は同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は目付19.0g/m2、厚み0.13mmであり、単繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は89%であり、繊維配列係数は0.72であった。目付10.1g/m2、厚み0.08mm、平均単繊維径18μmのポリエステルスパンボンド不織布と得られた再生セルロース連続長繊維不織布を重ねて高圧水流により複合し、乾燥させて複合不織布を得た。
得られた複合不織布は、目付30.2g/m2、厚み0.24mmであり、再生セルロース連続長繊維不織布側における単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が不織布表面を構成する本数割合は93%であり、その面の繊維配列係数は0.72であった。特性及び機能性の評価結果を表1及び表2に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として良好であった。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、油膜拭き取り性が良好で、表面吸水特性に優れ、漂白を行わないでも白く、脱落繊維が少ない通常乾燥状態で使用される拭き取り布として良好であった。
[比較例1]
実施例3において、原液吐出孔の直径が0.6mm、45個/cm2の長方形の紡糸口金を用いて若干原液吐出量を増加させ5層全てを紡糸し、ネットの振動数を若干減少させ、若干ネットスピードを上げた以外は実施例3と同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付27.5g/m2、厚み0.39mm、繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は0%であり、繊維配列係数は0.63であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、本発明品と比べて油膜拭き取り性、表面吸水性に劣ったものであった。
実施例3において、原液吐出孔の直径が0.6mm、45個/cm2の長方形の紡糸口金を用いて若干原液吐出量を増加させ5層全てを紡糸し、ネットの振動数を若干減少させ、若干ネットスピードを上げた以外は実施例3と同様の方法で再生セルロース連続長繊維不織布を得た。得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、目付27.5g/m2、厚み0.39mm、繊維径2.9〜7.1μmの繊維が不織布表面を構成する本数割合は0%であり、繊維配列係数は0.63であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、本発明品と比べて油膜拭き取り性、表面吸水性に劣ったものであった。
[比較例2]
実施例3で得られた再生セルロース連続長繊維不織布と実施例4で用いたポリエステルスパンボンド不織布を実施例4と同様の条件で複合して複合不織布を得た。
得られた複合不織布は、目付39.5g/m2、厚み0.28mm、再生セルロース連続長繊維不織布側における繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が不織布表面を構成する本数割合は58%であり、その面の繊維配列係数は0.71であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、本発明品と比べて油膜拭き取り性、表面吸水性に劣ったものであった。
実施例3で得られた再生セルロース連続長繊維不織布と実施例4で用いたポリエステルスパンボンド不織布を実施例4と同様の条件で複合して複合不織布を得た。
得られた複合不織布は、目付39.5g/m2、厚み0.28mm、再生セルロース連続長繊維不織布側における繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維が不織布表面を構成する本数割合は58%であり、その面の繊維配列係数は0.71であった。特性及び機能性の評価結果を表1に示す。
表からもわかるとおり、得られた再生セルロース連続長繊維不織布は、本発明品と比べて油膜拭き取り性、表面吸水性に劣ったものであった。
表からもわかるとおり、本発明の拭き取り布は油膜拭き取りや液体の拭き取り等通常乾燥状態で用いられる各種ワイピング作業において極めて優れた特徴を有するものである。
本発明の拭き取り布は、油膜等の拭き取り性が良好で、かつ、液体等の吸液性及び拭き取り性も良好で、形態保持性が高く、白色度も高く、メガネ拭きやレンズワイパー等の油膜等の拭き取り、ほこり取りや床用ワイパー等の塵埃の拭き取り、カウンタークロス等の液体の拭き取り等、通常乾燥状態で使用される拭き取り布として好適に利用できる。
Claims (3)
- 少なくとも片側表面を構成する繊維本数の60%以上が単繊維径2.9〜7.1μmのセルロース繊維である不織布からなり、該表面での表面吸水速度係数が10以上であることを特徴とする拭き取り布。
- セルロース繊維がセルロース長繊維である請求項1に記載の拭き取り布。
- セルロース繊維が再生セルロース連続長繊維である請求項1または2に記載の拭き取り布。
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Cited By (4)
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JP2008127688A (ja) * | 2006-11-16 | 2008-06-05 | Nippon Paper Crecia Co Ltd | ドライ又はウェット清掃ワイパー用特定パターン不織布シートと加工製品 |
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JP2016023373A (ja) * | 2014-07-16 | 2016-02-08 | 旭化成せんい株式会社 | 清拭用不織布 |
JPWO2015194563A1 (ja) * | 2014-06-17 | 2017-04-20 | 株式会社クラレ | 吸水性積層体及びその製造方法 |
-
2004
- 2004-03-04 JP JP2004060529A patent/JP2005245752A/ja active Pending
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