JP2012167395A - 編地 - Google Patents

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孝叔 鈴木
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Abstract

【課題】 凹凸感に優れた編地を提供する。
【解決手段】 高バットの編針と低バットの編針とを交互に配置した編機で、8コースを1組みとして編み、最初の2コースは、低バットの編針でニット編みし、高バットの編針でタック編みし、次の2コース以上を低バットの編針と高バットの編針の双方でニット編みする平編みとし、この平編みに続く2コースは最初の2コースとは逆になるように、低バットの編針でタック編みし、高バットの編針でニット編みし、最後の2コースでは、低バットの編針と高バットの編針の双方でニット編みする平編みとした編組織を備えた。
【選択図】 図2

Description

本発明は凹凸感に優れた編地に関する。
従来よりシングルシリンダ丸編機で編まれる生地は、ニット、タック、ミスの組合せにより凹凸を出していたが、凹凸に乏しい生地であった。
また、凹凸を出すために、太さの異なる糸や、ウレタン糸やゴム糸などの伸縮性のある糸を組み合わせて凹凸を出していた。しかし、太さの異なる糸を使用しても、期待したほど凹凸が出ず、伸縮性のある糸を使用すると、生地自体に余分な伸縮性が付いてしまうなどの問題が起こった。
凹凸感のある編地としては、かのこ編みが知られている。かのこ編みは、平編みにタックを応用した編組織で、並かのこ編み、表かのこ編み、総かのこ編みなどがあり、鹿の子の背中のように細かい斑点状の突起が並んだ編み目を持っている。
かのこ編みは、高バットの編針と低バットの編針の2種類の編針を一本ずつ交互に配置したシングルシリンダ丸編機で編まれている。
以下に、図3から図5により従来のかのこ編みについて説明する。
なお、図3(b)、図4(b)及び図5(b)は、編み方を示す組織図であるが、これらの図において、垂直の長い線は低バットの編針を示し、垂直の短い線は高バットの編針を示している。また、これらの図には、高低バットの編針を合計5本又は7本しか示していないが、これらの編針の両側に多数の低バットの編針と高バットの編針が交互に配置され、環状に配置され、同じ編み方が繰り返されている。各針の上にループがあるのはニット編みを意味し、ループのないのはタック編みを意味している。
図3は、従来の並かのこ編みの図で、(a)は編地の編目を表す図、(b)は編み方を示す組織図である。並かのこ編みは、4コースで1組みの組織としている。図3(a)では、各コースの糸に対応した1〜4の符号を付けている。図3(b)に示すように、第1コースは、低バットの編針でニット編みし、高バットの編針でタック編みする。第2コースは低バットの編針、高バットの編針ともにニット編みしている。すなわち、平編みである。第3コースは、第1コースと逆で、低バットの編針でタック編みし、高バットの編針でニット編みする。第4コースは第2コースと同じく平編みである。以下、第1から第4コースを繰り返すことになる。並かのこ編みの編地は、図3(a)に示す通り、2本の糸が重なる部分ができ、これらが鹿の子の背中の模様に似た模様を形成するが、2本の糸の重なる部分が均等に分布し、かつ、2本しか重ならないので、凹凸は小さい。
図4は、従来の表かのこ編みの図で、(a)は編地の編目を表す図、(b)は、編み方を示す組織図である。図4(b)に示すように、表かのこ編みは、2コースで1組みの組織としている。図4(a)では、各コースの糸に対応した1、2の符号を付けている。そして、第1コースは、低バットの編針でニット編みし、高バットの編針でタック編みする。第2コースは、第1コースと逆で、低バットの編針でタック編みし、高バットの編針でニット編みする。
この表かのこの編地も図4(a)に示すように、2本の糸が重なる部分ができるが、並かのこ編みと同様に、2本の糸の重なる部分が均等に分布し、かつ、2本しか重ならないので、凹凸は小さい。
図5は、従来の総かのこ編みの図で、(a)は編地の編目を表す図、(b)は、編み方を示す組織図である。この総かのこ編みは、編地に隆起や透かし目効果が目立つことが知られている。
図5(b)に示すように、総かのこ編みは、4コースで1組みの組織としている。図5(a)では、各コースの糸に対応した1〜4の符号を付けている。そして、第1、第2コースは、ともに、低バットの編針でニット編みし、高バットの編針でタック編みする。第3、第4コースは、第1、第2コースと逆で、低バットの編針でタック編みし、高バットの編針でニット編みする。
この総かのこの編地は、図5(a)に示すように、3本の糸が重なるところができるので、並かのこ編みや表かのこ編みに比べて凹凸感はある。しかし、3本の糸が重なる部分どうしが近くに均等に配置され、中間の薄くなる部分が狭いので、凹凸感は小さいものとなってしまう。
上述したように、かのこ編みの中で最も凹凸感のある総かのこ編みでも、凹凸感が不十分であり、もっと凹凸感のある編地が欲しいという声がある。このような凹凸感に優れた編地は、新規な編地として、そのファッション性が期待されるからである。本発明は、斯かる実情に鑑み、従来にない凹凸感に優れた新しい感覚の編地を提供しようとするものである。
上記の目的を達成するために本発明の編地は、高バットの編針と低バットの編針とを交互に配置した編機で、6コース以上を1組みとして編み、最初の2コースはタック編みし、次の1コース以上を平編みとし、この平編みに続く2コースはタック編みし、最後の1コース以上では、平編みした編組織を備えたことを特徴としている。
前記最初の2コースのタック編みでは、低バットの編針と高バットの編針のいずれか一方でニット編みしていずれか他方でタック編みし、前記最初の平編みに続く次の2コースのタック編みでは最初の2コースとは逆になるように、低バットの編針と高バットの編針のいずれか一方でタック編みしていずれか他方でニット編みした編組織を備えた構成としたり、前記平編みとなるコースが各2コースで、合計8コースを1組みとした構成としたり、前記タック編み部分の編糸の色と、平編み部分の編糸の色とを相違させた構成としたり、各コースの糸を、積極送り出し方式で編機に供給して編んだ構成とすることができる。
本発明の編地によれば、タック編みの部分で生地に凸部が形成され、中間にある平編み部分が低くなるので、凸部が際だち、凹凸感に優れた編地を得ることができる。
特に、8コースを1組みとして、8コースのうちの中間と最後にある2箇所の平編み部分をそれぞれ2コースずつにすると、凹凸の配置のバランスがよくなり、凹凸感が強調された優れた編地となる。
また、タック編み部分と平編み部分の編糸の色を異ならせることで、凹凸を強調したり、給糸方式を、積極送り出し方式にすることで、凹凸をさらに際だたせることができる。
本発明の編地の図で、編地の編目を表す図である。 図1の編地の編み方を示す組織図である。 従来の並かのこ編みの図で(a)は編地の編目を表す図、(b)は、編み方を示す組織図である。 従来の表かのこ編みの図で(a)は編地の編目を表す図、(b)は、編み方を示す組織図である。 従来の総かのこ編みの図で(a)は編地の編目を表す図、(b)は、編み方を示す組織図である。
以下、本発明を添付図面を参照して説明する。
図1、図2は、本発明の編地の図で、図1は編地の編目を表す図、図2は、編み方を示す組織図である。
本発明の編地は、上記のかのこ編みと同じく、シリンダ(下釜)の針溝に、高バットの編針と低バットの編針の2種類の編針を一本ずつ交互に配置したシングルシリンダ丸編機で編む。素材となる糸は、ウレタン糸やゴム糸のように大きく伸縮するものではなく、殆ど伸縮しない素材を使用する。すなわち、綿糸や絹糸などの天然繊維糸、テトロン、ナイロンなどの合成繊維糸、スフ糸などの人造繊維糸のいずれでもよい。
従来例と同様に、図2において、垂直の長い線は低バットの編針を示し、垂直の短い線は高バットの編針を示している。各針の上にループがあるのはニット編みを意味し、ループのないのはタック編みを意味している。高低バットの編針は、図示した7本だけではなく、両側に多数の低バットの編針と高バットの編針が交互に環状に配置され、同じ編み方が繰り返される。
なお、高バットの編針と低バットの編針を持たない選針式の編機によっても、選針機構によって高バットの編針に相当する編針を、また、低バットの編針に相当する編針を選針し、本発明の編地を編むことができる。したがって、本願でいう高バットの編針及び低バットの編針には、これら選針式の編機において選択された編針も含むものとする。
本発明の編地は、8コースで1組みの組織とし、図1では、各コースの糸に対応した1〜8の符号を付けている。第1、第2コースは、タック編みとしている。このタック編みは、2コースがともに、低バットの編針でニット編みし、高バットの編針でタック編みするものである。第3、第4コースは、低バットの編針、高バットの編針ともにニット編みしている。すなわち、平編みである。第5、第6コースはタック編みとしている。ここのタック編みは、第1および第2コースとは、逆で、低バットの編針でタック編みし、高バットの編針でニット編みしている。第7、第8コースは、第3、第4コースと同じく平編みである。
本発明の編地は、図5に示す総かのこ編みを第1、第2コースと、第3、第4コースとに分け、その間に平編みを2コース加えた構成である。このように平編み部分を付加することで、平坦な低い部分ができ、2コース続けたタック編部分の膨らみをはっきりと見せることができ、凹凸感に富んだ編地となった。
図1、図2の実施例では、平編みのコースを2コースとしたが、1コースとしてもよく、3コース以上にしてもよい。しかしながら、2コースが凸部の強調に一番適している。
また、タック編みの部分と平編みの部分とで、編糸の色を異ならせると、凹凸感を強調することができる。たとえば、平坦で低い平編み部分の編糸に白く染めた糸を使用し、膨らみのあるタック編み部分の編糸に黒く染めた糸を使用すると、生地が波打った部分や、折れ曲がった部分で、膨らんでいる部分の黒が、平坦部の白を隠し、玉虫風に色合いが変化する生地になる。
次に、糸の送り出しについて説明する。素材となる糸を編機に送り込む方法として、給糸装置を使用しない消極送り出し方式と、給糸装置を使用する積極送り出し方式とがある。消極送り出し方式は、編針が編むときに糸に加わるテンションによって、糸を引き出す方式であり、他方、積極送り出し方式は、編み速度と同期した速さで糸を送り出す方式である。消極送り出しの場合は、編針の移動量が変化することにより、糸に加わるテンションが変化し、テンションが変化することで、引き出す糸の長さも変化し、編み込まれる糸の長さが、コースごとに相違する原因となる。
これに対し、積極送り出し方式では、送り出す糸の長さは、編み速度に合わせているので、各コースごとの編み込み長さを、1%程度の誤差内に収めることができる。
本発明の編地では、消極送り出しでもよいが、積極送り出し方式の方が望ましい。この積極送り出し方式を採用すると、凸部の高さを低くすることがなく、したがって、編地の凹凸をさらに、際立たせることができる。

Claims (5)

  1. 高バットの編針と低バットの編針とを交互に配置した編機で、6コース以上を1組みとして編み、最初の2コースはタック編みし、次の1コース以上を平編みとし、この平編みに続く2コースはタック編みし、最後の1コース以上では、平編みとした編組織を備えたことを特徴とする編地。
  2. 前記最初の2コースのタック編みでは、低バットの編針と高バットの編針のいずれか一方でニット編みしていずれか他方でタック編みし、前記最初の平編みに続く次の2コースのタック編みでは最初の2コースとは逆になるように、低バットの編針と高バットの編針のいずれか一方でタック編みしていずれか他方でニット編みした編組織を備えたことを特徴とする請求項1に記載の編地。
  3. 前記平編みとなるコースが各2コースで、合計8コースを1組みとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の編地。
  4. 前記タック編み部分の編糸の色と、平編み部分の編糸の色とを相違させたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の編地。
  5. 各コースの糸を、積極送り出し方式で編機に供給して編んだことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の編地。
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