JP6487207B2 - W/o/w型乳化組成物 - Google Patents
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Description
W/O/W型乳化組成物は、従来のO/W型乳化組成物やW/O型乳化組成物とは異なる使用感を与えることができる。
油溶性の保湿剤として、植物由来のダイマー酸のエステルであるダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)が知られている。
例えば、特許文献2には、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の他、水溶性高分子、液状油、室温でペースト状の油剤、そして多価アルコールを必須成分として含むO/W型の皮膚外用剤が、保湿感などの面で優れていることが開示されている。
一方、W/O/W型乳化組成物にダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有させ、これに保湿感を付与しようとする試みは、これまでになされてこなかった。
しかし、W/O/W型乳化組成物において、肌に与えるハリ感を向上させる技術はこれまでに提案されていない。
また、本発明の好ましい形態では、優れた保湿感とハリ感を有しながら、べたつきが生じにくいW/O/W型乳化組成物を提供することを課題とする。
また、W/O/W型の乳化物にダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を添加すると、肌に与えるハリ感までも顕著に向上することを見出した。
これらの発見は、これまでの技術常識では予期することができない驚くべきものであった。
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有するW/O/W型乳化組成物は、優れた保湿感とハリ感を有する。
このような形態とすることによって、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
このように、(W1/O1+O2)/W型の乳化形態として、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を外水相に分散する単層の油相滴に含有させることによって、本発明のW/O/W型乳化組成物の保湿感とハリ感を向上させることができる。
このように水溶性高分子の含有量を前記範囲とすることによって、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
以下、本明細書においては、図1に示すように、内水相をW1、外水相をW2、水相を内包する油相をO1、水相を内包しない油相をO2と呼ぶ。
また、本明細書においては、水相を内包しない油滴を、さらに外水相に分散させた形態のW/O/W型乳化組成物を、特に(W/O1+O2)/W型乳化組成物という。
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有するW/O/W型乳化組成物は、保湿感とハリ感に優れる。
本発明を(W/O1+O2)/W型乳化組成物とする場合には、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)は、O1とO2の何れに含有させてもいい。
本発明の好ましい実施の形態では、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)をO2に含有させる。
このような実施の形態の本発明は、特に保湿感とハリ感に優れる。
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の使用時における保湿感とハリ感を向上させることができる。
また、このような形態とすることによって、べたつきが生じにくいW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
油相におけるダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の使用時における保湿感とハリ感を向上させることができる。
W1とO1の質量比を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の保湿感を向上させることができ、また、べたつきを抑制することができる。
W1とW2の質量比を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の使用時における保湿感を向上させることができる。
水相と油相の質量比を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の保湿感を向上させることができ、また、べたつきを抑制することができる。
O1とO2の質量比を前記範囲とすることによって、より保湿感に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
本発明における乳化剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の何れをも制限なく用いることができる。
本発明のより好ましい実施の形態では、乳化剤としてシリコーン系界面活性剤を用いる。
界面活性剤の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O型乳化組成物の調製の際に添加する界面活性剤の添加量を前記範囲とすることにより、W/O型乳化組成物、ひいてはW/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O/W型乳化組成物の調製の際に添加する界面活性剤の添加量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
有機変性粘土鉱物を含有することにより、W/O/W型乳化組成物の安定性をさらに向上させることが可能になる。
W/O粒子が有機変性粘度鉱物を含有することで、W/O/W型乳化組成物の安定性をさらに向上させることができる。
有機化合物としては、4級アミノ基を有する化合物があげられる。具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等があげられる。
本発明の実施の形態では、有機変性粘土鉱物として、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライト(ジステアリルジモニウムヘクトライト)を用いることが好ましい。
ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライトを含有することにより、W/O/W型乳化組成物の安定性がより向上する。
また、W/O/W型乳化組成物のギャップ感を向上させることが可能になる。
W/O粒子がシリコーン系界面活性剤を含有する形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることが可能になる。
W/O粒子が有機変性粘土鉱物及びシリコーン系界面活性剤を含有する形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることができる。
水溶性高分子の含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
また、本発明のさらに好ましい実施の形態では、変性されていてもよいカルボキシビニルポリマーを含まない。
変性されていてもよいカルボキシビニルポリマーの含有量を前記範囲とすることにより、W/O/W型乳化組成物のべたつきを抑制することができる。
内水相に電解質を含有しない形態とすることにより、W/O/W型乳化組成物の安定性を向上させることができる。
このような実施の形態のW/O/W型乳化組成物は、肌への塗布前から塗布の初期段階にかけて、リッチで濃密な触感(コク感)を有し、塗布の中盤から終盤にかけて軽やかに肌に広がり心地の良い使用感を与えるユニークな使用感、すなわちギャップ感を有する。
W/O/W型乳化組成物にギャップ感を付与することにより、肌への塗布の中盤から終盤にかけて保湿感とハリ感が一気に肌に広がるような使用感を有するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
以下、当該実施形態についてさらに詳細に説明する。
また、コク感とはリッチで濃密な触感のことを言い、伸びの良い使用感とは軽やかに肌に広がる心地の良い使用感のことを言う。
ギャップ感は、官能評価によって評価することができる。具体的には、コク感と、伸びの良い使用感について官能評価を行うことによって評価することができる。
また、ギャップ感は市販のレオメーターを用いて評価することもできる。具体的には、応力を変化させたときの貯蔵弾性率G´を測定することによって評価することができる。
図2に示すように、前記実施形態のW/O/W型乳化組成物の貯蔵弾性率G´は、応力1Paのときには、2000Pa以上である。また、前記実施形態のW/O/W型乳化組成物の貯蔵弾性率G´は、応力1Paのときには、好ましくは3000Pa以上、さらに好ましくは4000〜10000Paである。すなわち、前記実施形態のW/O/W型乳化組成物は、皮膚への塗布前においては、一定以上の硬さを有する乳化組成物である。
応力1Paにおける貯蔵弾性率G´を前記範囲に調整するためには、外水相の粘度を調整すればよい。外水相の粘度が高いほど、応力1Paにおける貯蔵弾性率G´は高くなる。
外水相の粘度の調整方法としては、具体的には、外水相における増粘剤の濃度の調整、また、外水相に分散させるW/O粒子又は水相を内包しない油相の量の調整、さらに、外水相における高級アルコールと親水性界面活性剤によるαゲルの形成などが挙げられる。
外水相におけるαゲルの形成に関しては後に詳述する。
本発明者らは、上記条件で計測した応力と貯蔵弾性率G´の関係が、W/O/W型乳化組成物を肌へ塗布する際の塗布初期段階〜塗布終盤にかけての感触の変化を如実に表していることを見出した。
具体的には1〜100Pa程度までの応力が加わる段階は、肌への塗布の初期段階においてW/O/W型乳化組成物に加わる応力であると擬制することができることを見出した(図2)。また、80Paより大きい応力、例えば90Paより大きい応力又は100Paより大きい応力が加わる段階は、肌への塗布の中盤以降のW/O/W型乳化組成物に加わる応力であると擬制することができることを見出した(図2)。
本発明の好ましい実施の形態のW/O/W型乳化組成物では、上記条件で応力を加えると、加える応力が比較的小さい範囲、例えば1〜100Pa程度の範囲においては、貯蔵弾性率G´は応力の変化の影響をほとんど受けない。しかし、ある一定の応力を越えた時点、例えば80Paを超える範囲で、貯蔵弾性率G´は応力の増加に応じて顕著に低下する(図2)。この貯蔵弾性率G´の顕著な低下が、前記実施形態のユニークな使用感を特徴づけるギャップ感に影響する。
応力1〜80Paにおける貯蔵弾性率G´を前記範囲とすることにより、肌への塗布の初期段階において、優れたコク感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
このように、より大きい応力を加えた時であっても、大きな貯蔵弾性率G´を示す形態とすることにより、肌への塗布の初期段階における一定の間、十分なコク感を奏するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
前記応力における貯蔵弾性率G´を前記範囲に調整するためには、外水相の粘度を調整すればよい。外水相の粘度が高いほど、前記貯蔵弾性率G´は高くなる。
外水相の粘度の調整方法としては、具体的には、外水相における増粘剤の濃度の調整、また、外水相に分散させるW/O粒子又は水相を内包しない油相の量の調整、さらに、外水相における高級アルコールと親水性界面活性剤によるαゲルの形成などが挙げられる。
外水相におけるαゲルの形成に関しては後に詳述する。
また、好ましくは1〜90Pa、さらに好ましくは1〜100Paの応力の範囲においても、前記貯蔵弾性率G´の低下量が前記範囲であることが好ましい。
前記応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量を前記範囲とすることにより、肌への塗布の初期段階の操作中には、優れたコク感を持続させることができ、それにより、後述する使用感の変化を顕著に感じさせることが可能となる。
具体的には、W/O粒子の含有量、好ましくはこれに加えてW/O粒子の粒子径を、後述する範囲に調整することにより、実現できる。
また、前記実施形態のW/O/W型乳化組成物は、100Paの応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が好ましくは3000Pa以上、さらに好ましくは4000Pa以上であることが好ましい。
このような形態とすることにより、肌への塗布の初期段階と中盤以降に感じる触感の差が大きい、よりユニークな使用感を有するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
上述した応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量を前記範囲に調整するためには、W/O粒子の含有量、及びW/O粒子の粒子径を調整すればよい。W/O粒子の含有量が高いほど前記応力の範囲における貯蔵弾性率G´の低下量が小さくなる。また、W/O粒子の粒子径が大きいほど応力1〜80Paにおける貯蔵弾性率G´の低下量が小さくなる。
具体的には、W/O粒子の含有量、好ましくはこれに加えてW/O粒子の粒子径を、後述する範囲に調整することにより、実現できる。
また、前記貯蔵弾性率G´の低下量が55Pa以上((ΔY/ΔX)の値が−55以下)の範囲があることが好ましい。
このように、応力の増加に応じた貯蔵弾性率G´の低下が急激に起こるような実施の形態のW/O/W型乳化組成物は、コク感から、保湿感とハリ感が肌に広がる伸びの良い使用感への急激な使用感の変化を示し、非常にユニークな使用感を有する。
W/O粒子の含有量が大きいほど、前記(ΔY/ΔX)の値は小さくなる。したがって、W/O粒子の含有量を調整することにより、前記範囲の(ΔY/ΔX)の値を示すW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
W/O粒子の含有量を前記範囲とすることによって、肌への塗布の中盤から終盤にかけて、保湿感とハリ感が肌に広がる伸びの良い使用感を向上させることができる。
なお、後述するW/O/W型乳化組成物の調製工程において外水相に添加するW/O型乳化組成物(一次乳化物)の量を、W/O/W型乳化組成物におけるW/O粒子の含有量とみなすことができる。すなわち、外水相に分散させる一次乳化物の量を調整することにより、所望のW/O粒子の含有量とすることができる。
W/O粒子の平均粒子径を前記範囲とすることにより、肌への塗布前から塗布の初期段階に感じるコク感を向上させることができる。また、肌への塗布の中盤から終盤にかけての、保湿感とハリ感が肌に広がる使用感を向上させることができる。すなわち、このような実施の形態のW/O/W型乳化組成物は、コク感と伸びの良い使用感の落差の大きいユニークな使用感を有する。
また、後述するように、膜乳化法によって外水相に一次乳化物を分散させる場合には、膜乳化に使用する多孔質膜の孔径によってW/O粒子の粒子径を調整することができる。
このような実施の形態とすることにより、外水相に形成されたαゲルの作用によりW/O粒子の合一や排液が抑制され、高温安定性に優れたW/O/W型乳化組成物を提供することができる。すなわち、このような実施の形態の本発明のW/O/W型乳化組成物は、高温下での保存を経ても優れた保湿感とハリ感を維持する。
イオン性界面活性剤を用いることによって、よりW/O/W型乳化組成物の高温安定性を向上させることができる。
イオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウムなどの脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、アルカロイルアルキルタウリン塩、アルカロイルグルタミン酸塩、アルカロイル乳酸塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドアミンおよびその塩などを好適に例示できる。
本発明の好ましい実施の形態では、イオン性界面活性剤として脂肪酸塩を含有する。
このような親水性度の高い界面活性剤を用いることによって、よりW/O/W型乳化組成物の高温安定性を向上させることができる。
なお、本明細書におけるHLBとはグリフィン法にて計算されたHLBのことを言う。
前記親水性界面活性剤の含有量を前記範囲とすることにより、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
前記範囲の炭素数の高級アルコールを用いることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
高級アルコールの含有量を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
高級アルコールと親水性界面活性剤のモル比を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
W/O粒子と親水性界面活性剤及び高級アルコールの質量比を前記範囲とすることによって、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができる。
まず、油相成分と内水相成分をそれぞれ加熱混合して均一な混合物を調製しておく。次に、撹拌混合装置を用いて前記油相成分の混合物を撹拌した状態で、前記内水相成分の混合物を該油相成分の混合物に徐々に添加して乳化させて(一次乳化工程)、一次乳化物を調製する。
この場合、高級アルコールは、O1成分として添加しても、O2成分として添加しても外水相にαゲルを形成する形態とすることができる。
一般に、前記二次乳化工程において使用する撹拌混合装置の回転数が大きいほど、また、撹拌時間が長いほど、せん断・衝突・キャビテーションによる負荷が大きくなるので、形成されるW/O粒子は微小化する。したがって、本発明のW/O/W型乳化組成物のW/O粒子の平均粒子径は、撹拌混合装置の種類、その回転数、撹拌時間といった撹拌条件を複合的に調製することによって、目的の粒径範囲に制御することができる。
つまり、分散相となる液体を、多孔質膜を通して、連続相となる液体内に窒素ガス等により圧入する方法により調製することも可能である。
以下の方法により、実施例1〜4並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物を製造した。
まず、表1に示すO1成分、W1成分をそれぞれ加熱溶解した後、O1成分にW1成分を撹拌しながら徐々に加えて乳化し、冷却してW/O型の一次乳化物を作製した。
20人のパネラーに、実施例1〜4並びに比較例1及び2のW/O/W型乳化組成物と、比較例3のO/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させ、以下の評価基準に従って、保湿感とハリ感を評価させた。
結果を表2に示す。
・保湿感
◎・・・強い保湿感を感じる
○・・・保湿感を感じる
△・・・あまり保湿感を感じない
×・・・保湿感を感じない
・ハリ感
◎・・・強いハリ感を感じる
○・・・ハリ感を感じる
△・・・あまりハリ感を感じない
×・・・ハリ感を感じない
この結果から、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有するW/O/W型乳化組成物は、使用時の保湿感とハリ感に優れることがわかった。
一方、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の含有量が、2質量%又は5質量%の実施例1及び4のW/O/W型乳化組成物は、べたつきを生じないことがわかった。
この結果から、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の含有量が2〜5質量%のW/O/W型乳化組成物は、優れた保湿感を有しながらもべたつきを生じないことがわかった。
この結果から、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有することによる保湿感とハリ感の向上は、W/O/W型乳化組成物において特に顕著であることがわかった。
表3に示す配合率のW/O/W型乳化組成物を製造例1と同様の方法により製造した(実施例5〜9)。
製造例2で製造した実施例5〜9のW/O/W型乳化組成物について、以下の方法でコク感と伸びの良さとついて評価した。
20人のパネラーに、容器に入った実施例5〜9のW/O/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させた。そして、以下の評価基準に従って、容器からW/O/W型乳化組成物をすくい上げた時から塗布の初期段階までに感じるコク感と、塗布の中盤から終盤にかけての伸びの良さについて1〜5点の評点を付けさせ、その平均値をとった。
そして、コク感と伸びの良い使用感の評価結果に基づき、ギャップ感の評価を行った。
結果は表3に示す。
・コク感
5点・・・非常にコク感が強い
4点・・・コク感が強い
3点・・・コク感がある
2点・・・コク感が弱い
1点・・・コク感が無い
・伸びの良さ
5点・・・伸びがかなり良い
4点・・・伸びが良い
3点・・・伸びがある
2点・・・伸びがやや悪い
1点・・・伸びがかなり悪い
この結果から、W/O粒子の含有量が15質量%以上であるW/O/W型乳化組成物は、両立が困難なコク感と伸びの良い使用感というユニークな特性を有することがわかった。
つまり、W/O粒子の含有量が15質量%以上であるW/O/W型乳化組成物を肌に塗布すると、コク感から、伸びの良い使用感に転じる際に保湿感とハリ感を感じることができる。
実施例5〜9のW/O/W型乳化組成物について、測定面がテフロン製円錐−ステンレス製円盤型のレオメーター(ティー・エイ・インスツルメント AR500)を用い、温度20℃、オシレーション測定、ギャップ1mm、1Hzの条件で応力を1Paから増加させながら貯蔵弾性率(G´)を測定した。結果を表4と図3に示す。
一方、実施例8及び9のW/O/W型乳化組成物は、1Pa〜80Paの応力の範囲において、それぞれ約2300Pa、約700Pa低下する。
この結果と表3の結果を合わせると、レオメーターによる計測の結果、上記(a)と(b)を満たすW/O/W型乳化組成物は、コク感が強く、伸びの良い使用感にも優れ、ギャップ感が強いことがわかる。
つまり、上記(a)と(b)を満たすW/O/W型乳化組成物を肌に塗布すると、コク感から、伸びの良い使用感に転じる際に保湿感とハリ感を感じることができる。
この結果と表3の結果を合わせると、貯蔵弾性率G´がほとんど低下しない応力の範囲が大きいほど、W/O/W型乳化組成物の肌への塗布の初期段階に感じるコク感が強く、ギャップ感が強まる傾向があることがわかる。
つまり、貯蔵弾性率G´がほとんど低下しない応力の範囲が大きいW/O/W型乳化組成物は、コク感から伸びの良い使用感に転じたときに、より強く保湿感とハリ感を実感させることができる。
この結果と表3の結果を合わせると、前記範囲を超えてからの貯蔵弾性率G´の低下幅が大きいほど、コク感が強くなる傾向があることがわかる。
つまり、前記範囲を超えてからの貯蔵弾性率G´の低下幅が大きいW/O/W型乳化組成物は、コク感から伸びの良い使用感に転じたときに、より強く保湿感とハリ感を実感させることができる。
この結果と表3の結果を合わせると、(c)80Paを超える応力の範囲において、応力の増加量に対する貯蔵弾性率G´の低下量が50Pa以上の範囲があるW/O/W型乳化組成物は、コク感が強く、ギャップ感が強いことがわかる。
つまり、上記(c)の条件を充足するW/O/W型乳化組成物は、ギャップ感が強いため、より強く保湿感とハリ感を実感させることができる。
表5に示す配合率のW/O/W型乳化組成物を製造例1と同様の方法により製造した(実施例10〜17)。
以下の方法により実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物の高温安定性、保湿感及びべたつきのなさを評価した。結果は表5に示す。
・高温安定性
実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物を40℃下で保存し、保存試験開始前に観察されたW/O/W型を維持している期間を調べた。
・保湿感及びべたつきのなさ
20人のパネラーに、実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物を自分の肌に塗布させた。そして、以下の評価基準に従って保湿感とべたつきのなさについて評点を付けさせ、その平均値をとった。
保湿感
5点・・・非常に良好な保湿感を感じる
4点・・・良好な保湿感を感じる
3点・・・保湿感を感じる
2点・・・ほとんど保湿感を感じない
1点・・・保湿感を感じない
べたつきのなさ
5点・・・全くべたつかない
4点・・・ほとんどべたつかない
3点・・・少しべたつく
2点・・・べたつく
1点・・・非常にべたつく
そして、表5に示す通り、実施例10〜17のW/O/W型乳化組成物はいずれも40℃下において1か月以上の間W/O/W型の乳化形態を維持している。
この結果は、親水性界面活性剤と高級アルコールとが形成するαゲルを外水相に含むW/O/W型乳化組成物は、高温下における長期保存を経ても優れた保湿性とハリ感を維持することを示している。
この結果は、親水性界面活性剤としてステアリン酸カリウムを含有することにより、W/O/W型乳化組成物の高温安定性が向上することを示している。
すなわち、この結果は、αゲルの形成のための親水性界面活性剤としてイオン性界面活性剤を含有することで、より長期にわたる高温下での保存を経た後であっても、優れた保湿感とハリ感を発揮するW/O/W型乳化組成物を提供することができることを示している。
またラウリルアルコール(炭素数12)を用いた実施例16のW/O/W型乳化組成物に比して、セタノール(炭素数16)、ベヘニルアルコール(炭素数22)を用いた実施例10〜12のW/O/W型乳化組成物は、より高温安定性に優れている。この結果は、炭素数が16以上の高級アルコールを用いることがより好ましいことを示している。
また、高級アルコールの総含有量が3.5質量%の実施例11のW/O/W型乳化組成物に比して、高級アルコールの総含有量が2.6質量%の実施例10は、べたつきのなさに優れている。
これらの結果は、高級アルコールの含有量が2〜3質量%であるW/O/W型乳化組成物が特に優れた保湿性及びべたつきのなさを有し、その特性が高温下における長期の保存によっても失われにくいことを示している。
この結果は、高級アルコールと前記親水性界面活性剤のモル比が2:1〜5:1の形態のW/O/W型乳化組成物が特に高温安定性に優れていることを示している。
Claims (6)
- ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を含有するW/O/W型乳化組成物。
- 前記ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を1〜10質量%含有する、請求項1に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を2〜5質量%含有する、請求項1又は2に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 前記W/O/W型乳化組成物が(W/O1+O2)/W型乳化組成物であり、
前記ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)をO2に含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。 - 水溶性高分子の含有量が0.1質量%以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載のW/O/W型乳化組成物を含有する化粧料。
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