JP6486871B2 - ブランク材分離装置及びこれを用いたブランク材分離システム - Google Patents
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Description
したがって加工の過程の最初の段階においては、スタックから1枚ずつブランク材を取り上げて次の加工エリアに送り込む必要があり、そのためには連続的にブランク材を分離する工程が不可欠となる。
スタックに積み上げられたブランク材同士は、ブランク材同士の間の真空や表面に形成された油膜等により密着し、分離が困難となる場合があった。
しかし、これは磁化され得るブランク材にしか適用できず、その他のアルミニウムや銅、或いは木材、アクリル等、広く工業用に使われる素材に対応できないという欠点があった。
これは、ブランク材の種類を問わずに汎用的に適用できるという長所を有するが、吹き込むエアーの指向性を完全には制御できないためエネルギー効率が悪く、ランニングコストも高くなり、一方では騒音も大きいという欠点がある。
これは、鋸歯状の歯を持つブレードを備えるもので、ブレードが下方から斜め上方向にスタックに当接することで、ブレードの歯にスタックのブランク材を引っ掛けて捲りあげるものである。
機械的な接触によりブランク材を持ち上げるため、スタックを構成するブランク材が磁性体、非磁性体、あるいはそれらの混合であるか否かに関わらず用いることができ、汎用性が高い。
また、ブレードの歯は接触する部分にのみ作用するため、エネルギー的に見て効率が高い。
これにより最上位のブランク材のみならず、数枚のブランク材を予期せず同時に持ち上げてしまう場合があった。
特に、ブランク材の板厚が厚い場合や、重量が大きい場合には、このような傾向が顕著だった。
すなわち、本発明の目的はブランク材の磁性体、非磁性体の別に関わらず、スタック最上位のブランク材のみを確実に、かつ効率的に捲りあげることができる分離装置を提供することである。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
また、突き上げバー5が移動する際にもぶれることがなく、ブランク材B1に対して安定的に当接することで、確実に最上位のブランク材B1を捲りあげることができる。突き上げバー5の軌道が一定のものとなり、ブランク材B1への当接が安定する。また、エネルギー効率が高くなる。
また、磁性を有するブランク材B1或いは磁性を備えないブランク材B1とが混在するスタックBに対しても、スタック最上位のブランク材B1を分離することができる。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図2は、分離装置Aの側面を示す説明図である。
本発明の分離装置Aは、ブランク材B1が複数枚積み上げられているスタックBにおいて最上位のブランク材B1をその直下のブランク材B1から分離するための分離装置Aである。
また、両側壁部6の前端には、2枚の側壁部6に渡るように前壁部7が設けられている。
この側壁部6には、後述するように図示しないエアーノズルが、また前壁部7にはマグネット8が備わっている。
すなわち、側壁部6は天秤バー3の中央部を軸支した状態となっている。
第1スライダ体1は天秤バー3の長穴31及び案内孔41に遊挿されており、第2スライダ体9は、案内面42に当接している。
案内孔41に沿って第1スライダ体1が案内され、且つ案内面42に沿って第2スライダ体9が案内されて、突き上げバー5が前後及び上下方向に移動することが可能である。
これにより突き上げバー5が移動する際にもブレることがなく、ブランク材B1に対して安定的に当接することで、確実に最上位のブランク材B1を捲りあげることができる。
突き上げバー5の軌道が一定のものとなりブランク材B1への当接が安定する。
また、エネルギー効率が高くなる。
天秤バー3の回動運動が無理なく第1スライダ体1の往復運動に変換され、直動機構2によって駆動される天秤バー3の動きが後述する突き上げバー5に伝達される。
歯部52が基部51に取り外し自在に設けられており、歯部52は、斜め上の方向に設けられていることとなる。
突き上げバー5がその基部51に対して取り外し自在に取り付けられていることにより、歯部52の歯が損耗した場合に交換が可能である。
このようにブランク材B1が階段状の傾斜を形成していない状態とは、相対向する位置にある押出装置Cを使用しない場合である。
通常、歯部52の歯のピッチは、対象となるブランク材B1の厚みよりは、小さく設定されている。
この場合、歯部52の歯の先がブランク材B1の端面に少し食い込み或いは歯の先とブランク材B1の端面との摩擦により、端面を押し上げるように作用する。
その結果、ブランク材B1の端部が捲り上げられることになる。
また、鋸歯状の歯は一定の領域に形成されているので、突き上げバー5が最上位のブランク材B1に当接する位置が目標位置より上方にずれた場合であっても、ブランク材B1を確実に捲り上げることができる。
この場合も、歯部52の歯の先がブランク材B1の端面に少し食い込み或いは歯の先とブランク材B1の端面との摩擦により、端面を押し上げるように作用する。
或いは歯の先が最上位の一枚のブランク材B1の端部を載せて押し上げるように作用することもある。
その結果、ブランク材B1の端部が捲り上げられるのである。
ところでスタックBは、ブランク材B1が一枚取り上げられる毎に、スタック全体がその一枚分リフターLにより持ち上げられる場合と、複数枚続けて取り上げられる毎に、その枚数分がリフターLにより持ち上げられる場合とがある。
後者の場合は、スタック最上位のブランク材B1が順次下がっていくが、歯部52の鋸歯状の歯は一定の領域に形成されているので、問題は生じない。
案内板4は、側壁部6に取り外し自在であり、案内孔41と該案内孔41の前方側に隣接して形成された案内面42とを有する。
案内板4に形成された肉厚部の上面が案内面42となっており、この案内面42は水平面と該水平面に連続する傾斜面とを有する。
側壁部6には案内板4を取り付けるためのネジ孔が設けられており、該ネジ孔に案内板側のボルトを捻じ込んで、側壁部6に案内板4を取り付けることができる。
従って、案内板4はボルトを外すことにより、側壁部6から取り外すことができ、異なる案内孔41と案内面42とを有する案内板4と交換が容易に可能である。
突き上げバー5の動き(すなわち軌道)を変更し、板厚や形状、材質が異なるブランク材B1に対応できることとなる。
例えば、突き上げバー5が斜め上方向に移動し、その後、水平に移動することができる。
また、元の位置に後退することができる。
この場合、図7に示すように、案内孔41は案内面42の水平面及び傾斜面と対応するように水平孔及び該水平孔に連続する傾斜孔が設けられる。案内孔41と案内面42は、平行に設けられる。これらが平行に設けられることで、突き上げバー5が案内孔41と案内面42の2つにより案内され、突き上げバー5の軌道が一定のものとなり、ブランク材B1への当接がより安定する。
突き上げバー5の動きは案内孔41及び案内面42の形状により決定されるので,これらを有する案内板4を交換することで、突き上げバー5の動きを異なったものに変更することができる。
この時、突き上げバー5の歯部52が、ブランク材B1の端部を捲り上げるように作用する。
その後、突き上げバー5は真っ直ぐ前進しようとするが、その動きはブランク材B1により阻止される。
その結果、第1スライダ体1を起点として前方が首を持ち上げるように上方に動く。
すなわち突き上げバー5は移動する第1スライダを軸として更に上方に回動するのである。
これにより、突き上げバー5の歯部52に当接したスタック最上位のブランク材B1が確りと捲り上げられる。
エアーノズルは図1における向こう側の側壁部に設けられている。
このエアーノズルは、本発明の分離装置AがスタックBから最上位のブランク材B1を持ち上げる際に、最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1の間に高圧の空気を吹き込む。
これにより、ブランク材同士が真空、油膜等により密着している場合にも、エアーを吹き込むことで分離作用を助け、より確実に突き上げバー5がスタック最上位のブランク材B1を捲りあげることができる。
この前壁部7の中央には、突き上げバー5が前壁部7を通り抜けるための、貫通部10が設けられている。
突き上げバー5は、通常時は前壁部7より後方に待機しており、必要時には貫通部10を挿通して前方に顔を出す。
マグネット8を用いることにより、突き上げバー5を使わずに非接触でスタック最上位のブランク材B1を分離することができる。
磁性の無いブランク材B1を剥離する場合には、マグネット8はその機能を発揮できないので、突き上げバー5により分離機能が発揮される。
また、磁性を有するブランク材B1或いは磁性を備えないブランク材B1とが混在するスタックBに対しては、突き上げバー5とマグネット8の機能を共働させてスタック最上位のブランク材B1を分離することができる。
リフターLは、前述したように、ブランク材B1が一枚取り上げられる毎に、スタック全体を持ち上げる場合と、複数枚取り上げられる毎に、その枚数分だけ持ち上げる場合とがある。
前者の場合は、最上位のブランク材B1を捲り上げる毎に、捲り上げたブランク材B1の厚みだけ上昇するため、スタック最上位のブランク材B1が常に同じ高さとなる。
そのため分離装置Aの突き上げバー5が上下方向に常に一定の位置でスタック最上位のブランク材B1を持ち上げることができ、分離性能が均一のものとなる。
これにより、水平方向にブランク材同士がずれることがなく、スタックBが常に安定した状態となる。
また、位置決めピンの位置を適宜調整することにより、大きさの異なるブランク材B1や、不定形のブランク材B1によって構成されたスタックBにも対応することができる。
押出装置Cと共に用いられる場合は、ブランク材B1の端部は階段状に傾斜するので、図5及び図6で示したような作用を発揮する。
この分離装置Aと押出装置Cとを有する装置が分離システムである。
この場合、分離装置Aは、突き上げバー5がスタックBに対面するように配置され、同様に、スタックBを介して反対側にある押出装置Cは、その押圧部C1がスタックBに対面するように配置される。
この押圧部C1は上側がスタック側に突出し、下側がスタック側から後退する傾斜を備えている。
押圧部C1がスタック最上位のブランク材B1とその下の複数枚のブランク材B1を一挙に押圧することで、それらの端部がずれて階段状の傾斜を形成し、分離装置Aの方へ突出する。
これは、分離装置Aのエアーノズル同様に、真空や油膜等によるスタック最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1との密着を脱し、分離装置Aが最上位のブランク材B1のみを持ち上げる動作を補助する。
分離装置Aの突き上げバー5と押出装置Cの押圧部C1とは同期して動くように制御される。
図9は、押出装置Cの押圧部C1がスタック最上位のブランク材B1とその下の複数枚のブランク材B1を一挙に押圧して階段状に傾斜するように突出させた状態を説明する側面図である。
分離装置Aの突き上げバー5がブランク材B1に当接するまでの前段階であり、押出装置Cの押圧部C1が前進して、スタック最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1を分離装置Aの側へ押し出し階段状の傾斜を形成した状態である。
この場合、突き上げバー5は後退して待機状態にある。
押出装置Cの押圧部C1による押圧が終了した後の段階であり、今度は分離装置Aの突き上げバー5が斜め上方向に前進して最上位のブランク材B1に当接する。
押出装置Cの押圧部C1は停止して同じ位置にある。
尚、最上位のブランク材B1は歯部52の鋸刃状の歯が形成されている範囲内に位置している。
突き上げバー5が前進して最上位のブランク材B1を捲り上げるように作用する。
突き上げバー5は最上位のブランク材B1のみに作用するため、余分な重量が加わらずエネルギー効率が高い。
押出装置Cの押圧部C1は停止して同じ位置にある。
図12に示す分離システムは、一つの分離装置AとスタックBを挟んで対向する一つの押出装置Cとが一対で用いられる
これにより、分離装置Aがブランク材B1を持ち上げる側(図の左右)を切り替えることが可能である。
前後、左右のいずれの方向からもブランク材B1を捲りあげることが可能となる。
これにより、ロット替えや搬送方向の変更にも十分対応することができる。
これにより、突き上げバー5の移動がより安定することとなる。
加工対象となるワークが板材で、積み上げられた状態にある場合に適用可能であり、プレス加工をはじめとする板材加工の分離工程に広く有用される。
1・・・第1スライダ体
2・・・直動機構
3・・・天秤バー
31・・・長穴
4・・・案内板
41・・・案内孔
42・・・案内面
5・・・突き上げバー
51・・・基部
52・・・歯部
6・・・側壁部
7・・・前壁部
8・・・マグネット
9・・・第2スライダ体
10・・・貫通部
B・・・スタック
B1・・・ブランク材
C・・・押出装置
C1・・・押圧部
L・・・リフター
Claims (7)
- ブランク材が複数枚積み上げられているスタックにおいて最上位のブランク材をその直下のブランク材から分離するための分離装置であって、
ブランク材を分離する突き上げバーと、
突き上げバーの基部に取り付けられた第1スライダ体と、
該第1スライダ体の前方で前記突き上げバーに取り付けられた第2スライダ体と、
第1スライダ体を間接的に動かす直動機構と、
直動機構と第1スライダ体を連結する天秤バーと、
天秤バーに設けられた長穴と、
天秤バーの中央部を軸支する側壁部と、
側壁部に取り付けられた案内板と、
該案内板に形成された案内孔及び案内面とを備え、
天秤バーは直動機構に枢着され、第1スライダ体は長穴に遊挿されており、
第2スライダ体は、案内面に当接しており、
案内孔に沿って第1スライダ体が案内され、且つ案内面に沿って第2スライダ体が案内され、
突き上げバーが前後及び上下方向に移動可能となっていることを特徴とする分離装置。 - 案内板が側壁部に対して取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の分離装置。
- 側壁部の前端には前壁部が設けられており、該前壁部には貫通部が形成されており、該貫通部に突き上げバーが挿通されていることを特徴とする請求項1記載の分離装置。
- 前壁部には、ブランク材を磁力により分離するためのマグネットが取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の分離装置。
- 側壁部の外側にスタック最上位のブランク材とその直下のブランク材との間にエアーを吹き付けるためのエアーノズルが設けられていることを特徴とする請求項1記載の分離装置。
- 突き上げバーは、第1スライダ体及び第2スライダ体を有する基部と鋸歯状の歯を有する歯部とを備え、
該突き上げバーの歯部は、該突き上げバーの基部に対して取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の分離装置。 - 請求項1〜6のいずれか一つに記載の分離装置と、該分離装置と対向する位置に配置されたブランク材を水平方向に押し出すための押圧部を有する押出装置とを備え、
該押出装置の押圧部はブランク材に対する当接面が下部から上部にブランク材側に傾斜しているものであることを特徴とする分離システム。
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