JP6745830B2 - ブランク材分離装置及びこれを用いたブランク材分離システム - Google Patents
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Description
したがって連続して加工を行う場合、スタックから確実に1枚ずつブランク材を取り上げる必要があり、そのために最上位のブランク材をその直下のブランク材から分離する装置が利用されている。
これを解決するために、ブランク材を取り出す際にブランク材同士を分離させる分離装置が開発されている。
しかし、これは磁化され得るブランク材にしか適用できず、汎用性に乏しい。
これは、ブランク材の種類を問わずに汎用的に適用できるという長所を有するが、吹き込むエアーの指向性を完全には制御できないためエネルギー効率が悪く、ランニングコストも高くなり、一方では騒音も大きいという欠点がある。
これは、鋸歯状の歯を持つブレードを備えるもので、ブレードの歯にスタックのブランク材を引っ掛けて下方から斜め上方向にめくり上げるものである。
これらの分離装置は機械的な作用によりブランク材をめくり上げるため、スタックを構成するブランク材が磁性体、非磁性体、あるいはそれらの混合であるか否かに関わらずブランク材を分離することができ、汎用性が高い。
また、ブレードの歯がブランク材をめくり上げるため、エネルギー的に見て分離効率が高い。
これにより最上位のブランク材のみならず、数枚のブランク材を予期せず同時にめくり上げてしまう現象が生じた。
特に、ブランク材の板厚が厚い場合や、重量が大きい場合には、このような傾向が顕著だった。
すなわち、本発明の目的はブランク材の磁性体、非磁性体の別に関わらず、スタック最上位のブランク材のみを装置にかかる負荷を低減しながら確実にめくり上げ、かつ突き上げバーのブランク材に対する当接位置に関わらずブランク材のめくり上げ動作を開始できる分離装置を提供することである。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
該分離装置と該押出装置とが、ブランク材を介して対向する位置に配置され、
押圧部はブランク材に対する当接面が下部から上部にスタック側に傾斜しているものである分離システムに存する。
また、第2スライダ体を上下方向に動かす第2直動機構を備えることにより、突き上げバーのブランク材に対する当接位置に関わらずブランク材のめくり上げ動作を開始できる。
また、磁性を有するブランク材と磁性を備えないブランク材とが混在するスタックに対しても、スタック最上位のブランク材を分離することができる。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図2は、分離装置Aを図1におけるXX’を含む前後方向の面で切断した断面図である。
本発明の分離装置Aは、ブランク材B1が複数枚積み上げられているスタックBにおいて最上位のブランク材B1をその直下のブランク材B1から分離するための装置である。
また、天秤バー3を両側から軸支する一対の側壁部6の前端に両方の側壁部6をまたぐように前壁部7が設けられ、前壁部7には、ブランク材B1を磁力により分離するためのマグネット8が内蔵されて取り付けられている。側壁部6の外側にはスタックB最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1との間にエアーを吹き付けるための図示しないエアーノズルが設けられている。
なお、本明細書において前側とは分離装置AのスタックBに対向する側を指し、後側とはその逆側を指す。
天秤バー3にはその長さ方向に延びる長穴状の天秤バー穴31が設けられ、突き上げバー5の基部51にはその長さ方向に延びる長穴状の基部案内穴51aが設けられている。
第1スライダ体1は第2スライダ体9よりも前側に設けられている。また、第1スライダ体1は、天秤バー穴31及び側壁案内穴41に遊挿されており、第2スライダ体9は、基部案内穴51aに遊挿されている。
したがって、側壁案内穴41に沿って第1スライダ体1が案内され、且つ基部案内穴51aに沿って第2スライダ体9が案内される。
歯部52は基部51に対し取り外し自在であり、水平に伸びた基部51の前側の一端から上が前側、下が後ろ側となるように、斜め上の方向に設けられおり、突き上げバー5全体が略L字状に形成されている。すなわち、歯部52の面が傾斜状態にある。歯部52には鋸歯状の歯が設けられており、歯のピッチは、対象となるブランク材B1の厚みより、小さく設定されている。
突き上げバー5の歯部52が基部51に対して取り外し自在に取り付けられている場合、歯部52の歯が損耗した場合に交換が可能である。
第2直動機構11は、第2スライダ体9に取り付けられており、第2スライダ体9を上下に移動させる。これにより、第2スライダ体9が取り付けられた基部51の前側が持ち上げられ、基部案内穴51aが前後方向から上下方向へ向く。このとき、第2直動機構11によって駆動される第2スライダ体9は、基部案内穴51aの内部を移動するため、第1直動機構2による突き上げバー5の前後の移動を妨げることがない。
第2直動機構11が第2スライダ体9を上下させることにより、突き上げバー5のブランク材B1に対する当接位置に関わらずブランク材のめくり上げ動作を積極的に開始できる。
また、第2直動機構11はエアシリンダー以外のサーボモーターを使った動力機構を。この場合、動力機構としてはボールネジやラックピニオンを利用できる。これにより、突き上げバー5のブランク材B1に対する当接位置に関わらず、かつ突き上げバー5に余計な負荷を掛けずにブランク材B1のめくり上げ動作を積極的かつ正確に開始又は停止することができる。
このようにブランク材B1が階段状の傾斜を形成していない状態とは、相対向する位置にある押出装置Cを使用しない場合である。
この場合、歯部52の歯の先がブランク材B1の端面に少し食い込み或いは歯の先とブランク材B1の端面との摩擦により、端面を押し上げるように作用する。
その結果、ブランク材B1の端部がめくり上げられることになる。
また、鋸歯状の歯は一定の領域に形成されているので、突き上げバー5が最上位のブランク材B1に当接する位置が目標位置より上方にずれた場合であっても、ブランク材B1を確実にめくり上げることができる。
この場合も、歯部52の歯の先がブランク材B1の端面に少し食い込み或いは歯の先とブランク材B1の端面との摩擦により、端面を押し上げるように作用する。
或いは歯の先が最上位の一枚のブランク材B1の端部を載せて押し上げるように作用することもある。
その結果、ブランク材B1の端部がめくり上げられるのである。
歯部52の鋸歯状の歯は一定の領域に形成されているので、スタック最上位のブランク材B1をめくり上げることができる。
また、第2直動機構11が突き上げバー5を上下に移動させるため、例えば図3の二点鎖線に示すように突き上げバー5が上方にずれてスタックBに当接し、突き上げバー5のブランク材B1に対する当接位置が下方にずれたとしても、確実にめくり上げ動作を開始することができる。
案内板4は、側壁部6から取り外し自在であり、水平方向に側壁案内穴41が形成されている。
側壁部6に案内板4を取り付けるためのネジ穴が設けられており、該ネジ穴にボルトを用いて、側壁部6に案内板4を取り付けることができる。
従って、案内板4はボルトを外すことにより、側壁部6から取り外すことができ、異なる形状の側壁案内穴41を有する案内板4と交換が容易に可能である。
これにより、分離装置Aは突き上げバー5の動き(すなわち軌道)を変更し、板厚や形状、材質が異なるブランク材B1に対応できることとなる。
同様に、第2直動機構11が駆動することにより、第2スライダ体9が上下に移動する。これにより、第2スライダ体9が取り付けられた突き上げバー5が上下に移動する。第2スライダ体は、基部案内穴51aにより案内されるため、第2直動機構11による突き上げバー5の移動を妨げることがない。
これらの、第1直動機構2及び第2直動機構11の動きの組み合わせにより、突き上げバー5が特有の動きを行う。
例えば、第1直動機構2と第2直動機構11を同時に駆動することで突き上げバー5は前方かつ上方に斜めに移動し、その後、第1直動機構2のみを駆動させることで前方へ水平に移動する。
また、これらの逆順に第1直動機構2及び第2直動機構11を駆動させることにより、突き上げバー5は元の位置に移動する。
前述したように、側壁案内穴41を有する案内板4を交換することにより、容易に突き上げバー5の動きを変更することが可能である。
その後、第2直動機構11により、突き上げバー5が持ち上げられる。
この際、第1直動機構2による突き上げバー5の駆動と、第2直動機構11による突き上げバー5の駆動は、両者が同時に行われても、タイミングをずらして行われても良い。
第1直動機構2及び第2直動機構11により、前方かつ上方へ移動した突き上げバー5は、ブランク材B1に当接する。
この時、突き上げバー5の歯部52が、ブランク材B1の端部をめくり上げるように作用する。
図8は、突き上げバー5の軌道の例を示す説明図である。(a)は、第1直動機構2及び第2直動機構11が同時に駆動され、突き上げバー5が斜め上方向に前進する例を示す。(b)は、第1直動機構2が駆動し突き上げバー5が前進し、その後第2直動機構11が駆動し突き上げバー5が上昇する例を示す。(c)は、第1直動機構2及び第2直動機構11が同時に駆動され突き上げバー5が曲線的に斜め上方向に前進する例を示す。(d)は、第1直動機構2が駆動され突き上げバー5が前進し、その後第1直動機構2及び第2直動機構11が駆動され突き上げバー5が斜め上方向に前進する例を示す。いずれも、図1におけるXX’を含む前後方向の面で切断した断面図である。
ところで、側壁部6には、図示しないエアーノズルが前方へ開口するように設けられている。
このエアーノズルは、本発明の分離装置AがスタックBから最上位のブランク材B1をめくり上げる際に、最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1の間に高圧の空気を吹き込む。
また、両側壁部6の前端には、2枚の側壁部6に渡るように前壁部7が設けられている。
この前壁部7の中央には、突き上げバー5が前壁部7を通り抜けるための、貫通部10が設けられている。
突き上げバー5は、通常時は前壁部7より後方に待機しており、必要時には貫通部10を挿通して前方に移動する。
分離装置Aにより分離されたブランク材B1は、吸着カップ等を有する搬送装置により把持され、他所(次の工程)へ搬送される。
リフターLは、前述したように、ブランク材B1が一枚取り上げられる毎に、スタック全体を持ち上げる場合と、複数枚取り上げられる毎に、その枚数分だけ持ち上げる場合とがある。
前者の場合は、最上位のブランク材B1が搬送されるたびに、搬送されたブランク材B1の厚みだけスタック全体が上昇するため、スタック最上位のブランク材B1が常に同じ高さとなる。
そのため分離装置Aの突き上げバー5が上下方向に常に一定の位置でスタック最上位のブランク材B1をめくり上げることができ、分離性能が均一のものとなる。
これにより、水平方向にブランク材同士がずれることがなく、スタックBが常に安定した状態となる。
また、位置決めピンの位置を適宜調整することにより、大きさの異なるブランク材B1や、不定形のブランク材B1によって構成されたスタックBにも対応することができる。
この分離装置Aと押出装置Cとを有する装置が分離システムである。
この場合、分離装置Aは、突き上げバー5がスタックBに対面するように配置され、同様に、スタックBを介して反対側にある押出装置Cは、その押圧部C1がスタックBに対面するように配置される。
この押圧部C1は上側がスタック側に突出し、下側がスタック側から後退する傾斜を備えている。
押出装置Cは、押圧部C1がスタック最上位のブランク材B1とその下の複数枚のブランク材B1を一挙に押圧することで、それらの端部をずらす。押出部C1が傾斜を備えることにより、端部をずらされた複数のブランク材B1はスタック上位のものほど分離装置A側に突出し階段状の傾斜を形成する。これにより、最上位のブランク材B1が最も分離装置Aの側に突出するように押し出される。
図10は、押出装置Cの押圧部C1がスタック最上位のブランク材B1とその下の複数枚のブランク材B1を一挙に押圧して階段状に傾斜するように突出させた状態を説明する側面図である。図1におけるXX’を含む前後方向の面で切断した断面図を示す。
分離装置Aの突き上げバー5がブランク材B1に当接するまでの前段階であり、押出装置Cの押圧部C1が前進して、スタック最上位のブランク材B1とその直下のブランク材B1を分離装置Aの側へ押し出し階段状の傾斜を形成した状態である。
この場合、突き上げバー5は後退して待機状態にある。第1スライダ体1が天秤バー穴31及び側壁案内穴41に遊挿されており、第2スライダ体9が基部案内穴51aに遊挿されているため、突き上げバー5の動きには遊びがあり、待機状態において前側が下がった状態にある。これにより、突き上げバー5は斜め下方向からブランク材B1に当接することが可能となる。
押出装置Cの押圧部C1による押圧が終了した後の段階であり、今度は分離装置Aの突き上げバー5が斜め上方向に移動して最上位のブランク材B1に当接する。 押出装置Cの押圧部C1は停止して同じ位置にある。
尚、最上位のブランク材B1は歯部52の鋸刃状の歯が形成されている範囲内に位置している。
突き上げバー5が斜め上方向に移動して最上位のブランク材B1をめくり上げるように作用する。この際、第1直動機構2が突き上げバー5を前方へ移動させ、第2直動機構11が突き上げバー5を上方へ移動させる。
突き上げバー5は最上位のブランク材B1のみに作用するため、余分な重量が加わらずエネルギー効率が高い。
押出装置Cの押圧部C1は停止して同じ位置にある。
図13に示す分離システムは、一つの分離装置AとスタックBを挟んで対向する一つの押出装置Cとが一対で用いられる
これにより、分離装置Aがブランク材B1をめくり上げる側(図の左右)を切り替えることが可能である。
前後、左右のいずれの方向からもブランク材B1をめくり上げることが可能となる。
これにより、ロット替えや搬送方向の変更にも十分対応することができる。
これにより、突き上げバー5の移動がより安定することとなる。
加工対象となるワークが板材で、積み上げられた状態にある場合に適用可能であり、プレス加工をはじめとする板材加工の分離工程に広く有用される。
1・・・第1スライダ体
2・・・第1直動機構
3・・・天秤バー
31・・・天秤バー穴
4・・・案内板
41・・・側壁案内穴
5・・・突き上げバー
51・・・基部
51a・・・基部案内穴
52・・・歯部
6・・・側壁部
7・・・前壁部
8・・・マグネット
9・・・第2スライダ体
10・・・貫通部
11・・・第2直動機構
B・・・スタック
B1・・・ブランク材
C・・・押出装置
C1・・・押圧部
L・・・リフター
Claims (7)
- ブランク材が複数枚積み上げられたスタックから最上位のブランク材をその直下のブランク材から分離するための分離装置であって、
ブランク材に当接される歯部及び該歯部に連続する基部からなる突き上げバーと、
該基部に設けられた第1スライダ体及び第2スライダ体と、
一端が前記第1スライダ体に枢着された天秤バーと、
該天秤バーの他端が枢着された第1直動機構と、
前記第2スライダ体に連結された第2直動機構と、
前記天秤バーを軸支する側壁部と、
を備え、
前記天秤バーには長穴状の天秤バー穴が設けられ、
前記側壁部には長穴状の側壁案内穴が設けられ、
前記基部には長穴状の基部案内穴が設けられ、
前記第1スライダ体は、前記天秤バー穴及び前記側壁案内穴に遊挿されており、
前記第2スライダ体は、前記基部案内穴に遊挿されており、
前記側壁案内穴に沿って前記第1スライダ体が前後に案内され、
且つ前記基部案内穴に沿って前記第2スライダ体が上下に案内され、
前記第1直動機構により前記第1スライダ体が前後に移動され、前記第2直動機構により前記第2スライダ体が上下に移動されることにより
前記突き上げバーが前記最上位のブランク材の端部を持ち上げる分離装置。 - 前記側壁部が取り外し自在に取り付けられた案内板を備え、
前記側壁案内穴が該案内板に設けられている請求項1記載の分離装置。 - 前記側壁部の前方に前壁部が設けられ、
前記前壁部には、前記ブランク材を磁力により分離するためのマグネットが取り付けられている請求項1又は2に記載の分離装置。 - 前記側壁部の少なくとも一方側にスタック最上位の前記ブランク材とその直下の前記ブランク材との間にエアーを吹き付けるためのエアーノズルが設けられている請求項1〜3いずれか1項に記載の分離装置。
- 前記第1直動機構及び前記第2直動機構が共にエアシリンダーである請求項1〜4いずれか1項に記載の分離装置。
- 前記第2直動機構がサーボ駆動される請求項1〜5いずれか1項に記載の分離装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離装置と、前記ブランク材を水平方向に押し出すための押圧部を有する押出装置とを備え、
該分離装置と該押出装置とが、ブランク材を介して対向する位置に配置され、
前記押圧部は前記ブランク材に対する当接面が下部から上部に前記スタック側に傾斜しているものである分離システム。
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