JP6485457B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、導電性高分子層を具備する電解コンデンサに関する。
小型かつ大容量で低ESR(Equivalent Series Resistance)のコンデンサとして、誘電体層を形成した陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成された導電性高分子層とを具備する電解コンデンサが有望視されている。導電性高分子層は、π共役系高分子とドーパントを含んでいる。ドーパントを用いることで、π共役系高分子に高い導電性が付与される。ドーパントとしては、スルホン酸基を有する高分子ドーパントが一般的に用いられている(特許文献1)。
国際公開第09/131011号パンフレット
しかし、スルホン酸基を有する高分子ドーパントは、導電性高分子層の導電性を高める機能には優れるものの、電解コンデンサの漏れ電流の低減には限界がある。
本発明の一局面の電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子層と、を備えている。導電性高分子層は、導電性高分子と、高分子ドーパントとを含む。高分子ドーパントは、
(A)重合性基とスルホン酸基とを有する第一モノマーに由来する第一ユニットと、
(B)重合性基とリン含有基とを有する第二モノマーに由来する第二ユニットと、を含む。
リン含有基が、
一般式(1):−P(=O)(OR)(OR)、
一般式(2):−PH(=O)(OR)およ
般式(3):−PH(=O)
の少なくとも1つで表される。一般式(1)〜(3)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、親水性基、C〜Cのアルキル基またはカチオン性基である。
本発明によれば、誘電体層の修復効果が高められ、漏れ電流を低減した電解コンデンサを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
本実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子層とを備える。導電性高分子層は、導電性高分子と、高分子ドーパントとを含む。高分子ドーパントは、(A)重合性基とスルホン酸基とを有する第一モノマーに由来する第一ユニットと、(B)重合性基とリン含有基とを有する第二モノマーに由来する第二ユニットとを含む。高分子ドーパントが第二ユニットを含むことで、誘電体層の修復効果が高められる。
重合性基は、ラジカル重合性を示す基が好ましく、例えば炭素間二重結合、炭素間三重結合などである。
第一モノマーは、スルホン酸基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するジエンモノマー(例えばイソプレンスルホン酸)などである。スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸誘導体などが挙げられる。スチレンスルホン酸誘導体としては、スチレンスルホン酸塩(例えばスチレンスルホン酸ナトリウム)、ジビニルベンゼンスルホン酸またはその塩、ビニルトルエンスルホン酸またはその塩などが挙げられる。第一モノマーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
第二モノマーは、リン含有基を有するビニルモノマー、リン含有基を有するジエンモノマーなどである。第二モノマーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
リン含有基は、
一般式(1):−P(=O)(OR)(OR)、
一般式(2):−PH(=O)(OR)および/または
一般式(3):−PH(=O)
で表される。即ち、リン含有基は、一般式(1)〜(3)の少なくとも1つで表される。ここで、、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、親水性基、C〜Cアルキル基またはカチオン性基である。
親水性基は、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、およびC2〜C3アルキレンオキサイド基よりなる群から選択される少なくとも一種を有することが好ましい。親水性基は、第二モノマーの水への溶解性又は分散性を高めると考えられる。よって、高分子ドーパントの合成が容易になる。
1〜C3アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
カチオン性基(M)は、リン原子に直接結合するイオン結合性の−OM基を形成する基である。カチオン性基は、金属カチオン、アンモニウムイオン(NH4 +)、有機カチオンなどである。金属カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの一価の金属カチオンが好ましい。有機カチオンとしては、4級アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
第二モノマーは、例えばRabC=CXac、RdbC=CXceで表すことができる。ここで、Xa〜Xcはそれぞれ独立にリン含有基を有する基である。Xa〜Xcはリン含有基のみでもよく、ビニル基を形成する炭素原子とリン含有基との間にアルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基などを有してもよい。Xa〜Xcがリン含有基のみである第二モノマーとして、ホスホン酸ビニル、ホスフィン酸ビニルなどが挙げられる。Ra〜Reはそれぞれ独立に水素原子、メチル基などのアルキル基などである。
1種の第二モノマーが2つ以上のリン含有基を有してもよい。その場合、1種の第二モノマーが、一般式(1)〜(3)から選ばれる2つ以上の一般式で表される複数のリン含有基を含んでもよい。
2種以上の第二モノマーを用いる場合、これらの第二モノマーは同じ一般式で表されるリン含有基を含んでもよく、それぞれ異なる一般式で表されるリン含有基を含んでもよい。
リン含有基が一般式(1)で示される場合、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子またはカチオン性基であることが好ましい。これにより、導電性高分子層による誘電体層の修復機能が更に高められ、漏れ電流を低減する効果が高められる。また、第二モノマーは、R1およびR2の少なくとも1つが水素原子であるリン含有基を含むことが好ましい。導電性高分子層内においてR1又はR2の水素原子が解離することにより、リン含有基による修復機能が更に高められるからである。
同様に、リン含有基が、一般式(2)で示される場合、R3は水素原子またはカチオン性基であることが好ましい。これにより、導電性高分子層による誘電体層の修復機能が高められ、漏れ電流を低減する効果が高められる。
高分子ドーパントは、例えば、第一ユニットと第二ユニットとを含む共重合体を含む。このような共重合体は、ランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体でもよい。ただし、導電性高分子層の全体で均一な修復機能を得る観点からは、ランダム共重合体が好ましい。
共重合体は、第一モノマーおよび第二モノマー以外の第三モノマーに由来する第三ユニットを含んでもよい。また、第三ユニットは1種または2種以上含まれてもよい。ただし、高分子ドーパントにおいて、第一ユニットの数と第二ユニットの数との和は、第三ユニットの数よりも多いことが好ましい。
高分子ドーパントは、第一ユニットを含む第一重合体と、第二ユニットを含む第二重合体とを含むこともできる。すなわち、高分子ドーパントは、第一モノマーと第二モノマーとの共重合体である必要はない。ただし、リン含有基の分布の均一性を高め、リン含有基による修復機能を高める観点からは、共重合体を用いることがより好ましい。
第一重合体は、第一モノマー以外の第三モノマーに由来する第三ユニットを含んでもよい。同様に、第二重合体は、第二モノマー以外の第三モノマーに由来する第三ユニットを含んでもよい。ただし、高分子ドーパントにおいて、第一重合体に含まれる第一ユニットの数と第二重合体に含まれる第二ユニットの数との和は、第一重合体および/または第二重合体に含まれる第三ユニットの数よりも多いことが好ましい。第一重合体および/または第二重合体において、第三ユニットは1種または2種以上含まれてもよい。
共重合体を用いる場合、および第一重合体と第二重合体とを併用する場合のいずれにおいても、高分子ドーパントに含まれる第一ユニットと第二ユニットとの合計に対する、第二ユニットの割合は、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%が更に好ましく、15〜25モル%が特に好ましい。第二ユニットの割合が上記範囲である場合、第一ユニットと第二ユニットの作用がバランスよく発揮され、導電性高分子の導電性と分散性を向上させやすく、かつ導電性高分子層による誘電体層の修復機能も向上させやすい。
第三モノマーの種類は、第一モノマーおよび/または第二モノマーと共重合できるモノマーであれば特に限定されない。例えば、マレイミド、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル、これらの誘導体などが好ましい。
安価かつ合成が容易な高分子ドーパントを得る場合には、第一モノマーとして、スチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、第二モノマーとしては、(メタ)アクリル酸誘導体および/またはマレイン酸誘導体を用いることが好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸誘導体は、一般式(4):R45C=CX16で表すことができる。また、マレイン酸誘導体は、一般式(5):R72C=CX38で表すことができる。このとき、X1〜X3はそれぞれ独立にオキシカルボニル結合を有する基であり、例えば一般式(6):
−CO−(OCH2CH2n−O−P(=O)(OR1)(OR2
で表されることが好ましい。
ただし、より均質な導電性高分子層を形成する観点からは、一般式(4)および(5)において、nは1〜10であることが好ましい。R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子またはカチオン性基であることが好ましい。R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であることが好ましい。
更に均質な導電性高分子層を形成する観点からは、一般式(4)および(5)において、nは2〜5が更に好ましく、4〜5が特に好ましく、R4、R5、R7およびR8は、それぞれ水素原子であることが更に好ましい。R1およびR2は、それぞれ水素原子またはカチオン性基であることが更に好ましい。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法を表していない。
<電解コンデンサの構造>
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
電解コンデンサ1は、コンデンサ素子11と、コンデンサ素子11を封止する樹脂外装体12と、樹脂外装体12の外部にそれぞれ露出する陽極端子13および陰極端子14とを備えている。コンデンサ素子11は、箔状または板状の陽極体2(または陽極部)と、陽極体2の一端部側を覆う誘電体層3と、誘電体層3を覆う陰極部15とを含む。陽極端子13は、陽極体2と電気的に接続し、陰極端子14は、陰極部15と電気的に接続している。樹脂外装体12はほぼ直方体の外形を有しており、これにより、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
陽極体2と陰極部15とは、誘電体層3を介して対向している。陰極部15は、誘電体層3を覆う導電性高分子層4と、導電性高分子層4を覆う陰極層5とを有している。図示例の陰極層5は、2層構造であり、導電性高分子層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bとを有している。
陰極部15から突出した陽極体2の他端部のうち、陰極部15に隣接する領域には、陽極体2の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部16が形成され、陰極部15と陽極体2との接触が規制されている。陰極部15から突出した陽極体2の他端部は、陽極端子13の第1端部13aと、溶接などにより電気的に接続されている。一方、陰極部15の最外層に形成された銀ペースト層5bは、陰極端子14の第1端部14aと、導電性接着材17(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子13の第2端部13bおよび陰極端子14の第2端部14bは、それぞれ樹脂外装体12の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
以下に、電解コンデンサの構成について、より詳細に説明する。
(陽極体)
陽極体としては、表面積の大きな導電性材料が使用できる。導電性材料としては、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などが例示できる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、チタン、タンタル、アルミニウム、および/またはニオブが好ましく使用される。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極体の構成材料として適している。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化したもの、および導電性材料の粒子の成形体またはその焼結体などが挙げられる。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体の表面の少なくとも一部に形成される。具体的には、誘電体層は、陽極体を構成する導電性材料の表面を陽極酸化することにより形成することができる。陽極体が箔状または板状であり、その表面が粗面化されている場合、誘電体層は、図2に示すように、陽極体2の表面の孔や窪み(ピット)の内壁面に沿って形成される。
誘電体層は、陽極体を構成する導電性材料(特に、弁作用金属)の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであればよい。
誘電体層は、陽極体の表面に沿って形成されるため、誘電体層の表面には、陽極体の表面の形状に応じて、凹凸が形成される。導電性高分子層の一部は、このような誘電体層の凹凸を埋没させるように形成することが好ましい。
(導電性高分子層)
導電性高分子層は、導電性高分子と高分子ドーパントを含む。導電性高分子層は、誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように形成されている。導電性高分子層は、誘電体層の表面のできるだけ多くの領域を覆うことが望ましい。
図1、2の場合、誘電体層3を覆うように形成される導電性高分子層4は、誘電体層3を覆う第1導電性高分子層4aと、第1導電性高分子層4aを覆う第2導電性高分子層4bとを有する。ただし、導電性高分子層の構造は特に限定されず、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。
〈導電性高分子〉
導電性高分子としては、電解コンデンサに使用される公知のもの、例えば、π共役系導電性高分子が使用できる。このような導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、および/またはポリチオフェンビニレンなどを基本骨格とする高分子が挙げられる。導電性高分子は、単独重合体でもよく、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)でもよい。例えば、ポリチオフェンを基本骨格とする高分子としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。導電性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。このような導電性高分子は、導電性が高く、ESR特性に優れている。導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000〜1,000,000である。
〈高分子ドーパント〉
高分子ドーパントは、(A)重合性基とスルホン酸基とを有する第一モノマーに由来するユニットと、(B)重合性基とリン含有基とを有する第二モノマーに由来するユニットとを含む。これにより、誘電体層に対する修復機能が高められる。
高分子ドーパントの重量平均分子量は、例えば10,000〜1,000,000であり、好ましくは30,000〜500,000である。このような分子量を有する高分子ドーパントを用いると、導電性高分子層を均質化し易い。
導電性高分子層に含まれるドーパントの量は、導電性高分子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜400質量部であることがさらに好ましい。
(陰極層)
極層としてのカーボン層は、導電性を有していればよく、例えば、グラファイトを用いて構成することができる。銀ペースト層には、例えば銀粉末とエポキシ樹脂を含む組成物を用いることができる。
なお、陽極端子および陰極端子は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。また、樹脂外装体の素材としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
<高分子ドーパントの合成方法>
高分子ドーパントはラジカル重合により合成することができる。例えば、反応容器に、溶媒と、第一モノマーおよび/または第二モノマーと、必要に応じて第三モノマーとを含む均一なモノマー溶液を仕込み、反応容器内を脱酸素した後、重合開始剤をモノマー溶液に添加し、所定温度で重合反応を進行させる。必要に応じて、モノマー溶液に種々の分子量調整剤を添加してもよい。急激な重合反応を避ける観点から、モノマー溶液を複数回に分けて反応容器に仕込んでもよい。
このとき、第一モノマーおよび第二モノマーを含む溶液を用いると、第一ユニットと第二ユニットとを含む共重合体の高分子ドーパントが得られる。一方、第一モノマーを含み、第二モノマーを含まない溶液を用いると、第一ユニットを含む第一重合体が得られる。同様に、第二モノマーを含み、第一モノマーを含まない溶液を用いると、第二ユニットを含む第二重合体が得られる。
第一および/または第二モノマーを溶解させる溶媒は、水であることが好ましいが、水溶性溶媒や、水と水溶性溶媒との混合物を用いてもよい。水溶性溶媒は、特に限定されないが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドンなどを用いることができる。
分子量調整剤は、特に限定されないが、例えばチオール系化合物やキノン系化合物などを用いることができる。
重合開始剤は、特に限定されないが、パーオキサイド類、アゾ化合物類などを用いることができる。パーオキサイド類としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが挙げられる。アゾ化合物類としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
<導電性高分子の合成方法>
高分子ドーパントの存在下で、導電性高分子の原料モノマーを重合させることにより、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を合成できる。重合方法としては、化学酸化重合および電解酸化重合のどちらも採用することができる。
電解酸化重合は、導電性高分子の原料モノマーおよび高分子ドーパントを含む重合液に、例えば、0.05mA/cm2〜10mA/cm2の定電流、または0.5V〜10Vの定電圧を印加すれば進行する。重合液には、重合を促進させるために触媒を加えてもよい。触媒としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いることができる。
化学酸化重合は、導電性高分子の原料モノマーを、高分子ドーパントおよび酸化剤と混合することで進行する。化学酸化重合の際に用いる酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩が用いられる。このとき、触媒として硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いてもよい。
化学酸化重合および電解酸化重合を行う際、原料モノマーおよび高分子ドーパントを溶解または分散させる溶媒を用いてもよい。溶媒としては、先述した水や水溶性溶媒が好ましい。このとき、導電性高分子は、溶媒に分散した状態で得られる。その後、必要に応じて、未反応のモノマー、未ドープもしくは過剰なドーパント、過硫酸塩、触媒などの不純物を、透析、イオン交換法などにより、除去することが好ましい。
化学酸化重合は、誘電体層を有する陽極体の存在下で行うこともできる。この場合、生成した導電性高分子は高分子ドーパントとともに誘電体層に被着する。
<電解コンデンサの製造方法>
次に、電解コンデンサの製造方法について説明する。
(第1工程)
まず、陽極体を準備する。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより得られる。粗面化方法は、基材表面に凹凸を形成できればよい。例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)してもよく、蒸着などの気相法を利用して、基材表面に導電性材料の粒子を堆積させてもよい。
(第2工程)
次に、陽極体上に誘電体層を形成する。誘電体層は、陽極体の表面を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の化成処理により行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬し、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液、リン酸アンモニウム水溶液、またはアジピン酸アンモニウム水溶液などを用いることが好ましい。
(第3工程)
次に、誘電体層が形成された陽極体を、第1処理液に浸漬し、誘電体層が形成された陽極体に第1処理液を含浸させた後、乾燥処理し、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層を形成する。次に、第1導電性高分子層が形成された陽極体を、第2処理液に浸漬し、第1導電性高分子層が形成された陽極体に第2処理液を含浸させた後、乾燥処理し、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を形成する。
ここで、第1処理液および/または第2処理液は、先述したように、第一モノマーに由来する第一ユニットと第二モノマーに由来する第二ユニットとを含む高分子ドーパントを含んでいる。また、少なくとも第1処理液が第一ユニットと第二ユニットとを含む高分子ドーパントを含む場合、誘電体層の修復機能を高めやすくなる。
また、誘電体層が第1導電性高分子層から露出する場合は、第2処理液のみに第一ユニットと第二ユニットとを含む高分子ドーパントを含ませてもよい。この場合にも、誘電体層の修復機能を高めることができる。
第1導電性高分子層の厚みが薄い場合(例えば、厚み5μm以下の場合)には、第2処理液中の高分子ドーパントは、誘電体層の表面にまで浸透すると考えられる。よって、この場合も、第2処理液のみに第一ユニットと第二ユニットとを含む高分子ドーパントを含ませることにより、誘電体層の修復機能を高めることができる。
第1処理液および/または第2処理液には、例えば、溶媒に分散した状態の導電性高分子、すなわち導電性高分子の分散液を用いることができる。この場合、処理液に陽極体を浸漬した後、引き上げるだけで、導電性高分子層を形成することができる。導電性高分子の分散液は、先述したように、溶媒を用いて高分子ドーパントの存在下で、前駆体モノマーを重合させることにより得ることができる。なお、前駆体モノマーは、必ずしも単量体である必要ななく、例えば、低分子のオリゴマーも含む概念である。
第1処理液および/または第2処理液は、導電性高分子の原料である前駆体モノマー、ドーパント、酸化剤などを含む処理液でもよい。この場合、処理液中のモノマーの重合と、誘電体層上への導電性高分子層の形成とが並行して進行する。このとき、ドーパントは、高分子ドーパントに加えて、低分子ドーパントを用いてもよい。また、第1処理液または第2処理液のいずれか一方に高分子ドーパントを用い、他方に導電性高分子の原料である前駆体モノマー、ドーパント、酸化剤などを含む処理液を用いてもよい。この場合、他方のドーパントとして、低分子ドーパントを用いてもよい。
低分子ドーパントとしては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸などが挙げられる。
なお、上記実施形態では、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層を含む2層構造の導電性高分子層を形成する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、導電性高分子層は、1層構造でもよく、3層以上でもよい。
第2導電性高分子層は、電解重合により形成してもよい。その場合、第2処理液に第1導電性高分子層を有する陽極体を浸漬し、陽極体に電流または電圧を印加すればよい。
また、化学酸化重合では、誘電体層を有する陽極体を、前駆体モノマーを含む処理液に浸漬した後、別途、ドーパントおよび/または酸化剤を含む溶液に浸漬してもよい。逆に、誘電体層を有する陽極体を、ドーパントおよび/または酸化剤を含む溶液に浸漬した後、前駆体モノマーを含む処理液に浸漬してもよい。
導電性高分子層の形成後、陽極体に、カーボン層、銀ペースト層、陽極端子、接着層、陰極端子などを配置する。最後に、樹脂外装体で素子を封止することにより電解コンデンサが製造される。
なお、本発明の電解コンデンサは、上記構造の電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。具体的に、巻回型の電解コンデンサ、金属粉末の焼結体を陽極体として用いる電解コンデンサなどにも、本発明を適用できる。また、本発明に係る導電性高分子層の用途は、電解コンデンサに限られず、帯電防止層、電磁波シールド材、集積回路、有機薄膜太陽電池、色素増感層、有機ELパネル、各種電極など、様々な導電性薄膜にも適用可能である。
[実施例]
以下、実施例に基ついて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を添加し、フラスコ内に、第一モノマーであるスチレンスルホン酸ナトリウム132gと、第二モノマーである式(7):
CH2=CH−CO−OCH2CH2−O−P(=O)(OH)2
で表されるアクリル酸誘導体34gを添加し、均一なモノマー溶液を得た。更に、モノマー溶液に酸化剤として過硫酸アンモニウムを0.5g添加して、第一モノマーと第二モノマーとの重合反応を8時間かけて進行させ、共重合体の高分子ドーパントを得た。その後、高分子ドーパントに純水とイオン交換樹脂を添加し、攪拌し、濾過する操作を繰り返し、不純物を除去した。
得られた共重合体について、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて分子量を分析したところ、重量平均分子量は約7万であった。仕込み比から計算した第一モノマーに由来する第一ユニットと第二モノマーに由来する第二ユニットとのモル比は、第一ユニット:第二ユニット=80:20であった。
(製造例2)
第二モノマーとして式(8):
CH2=CH−CO−(OCH2CH25−O−P(=O)(OH)2で表されるアクリル酸誘導体を用いたこと以外、製造例1と同様にして、共重合体の高分子ドーパントを得た。重量平均分子量は約9万であった。仕込み比から計算した第一ユニットと第二ユニットとのモル比は、第一ユニット:第二ユニット=80:20であった。
(製造例3〜7)
第一モノマーと第二モノマーとの仕込み比を変更したこと以外、製造例2と同様にして、種々の共重合体の高分子ドーパントを得た。重量平均分子量はいずれも30,000〜200,000の範囲内であった。
仕込み比から計算した第一ユニットと第二ユニットとのモル比は以下の通りである。
製造例3:第一ユニット:第二ユニット=95:5
製造例4:第一ユニット:第二ユニット=90:10
製造例5:第一ユニット:第二ユニット=75:25
製造例6:第一ユニット:第二ユニット=60:40
製造例7:第一ユニット:第二ユニット=50:50
(製造例8)
第一モノマーであるスチレンスルホン酸ナトリウムだけを165g用い、第二モノマーを用いなかったこと以外、製造例1と同様にして、高分子ドーパント(第一重合体)を得た。重量平均分子量は約11万であった。
(製造例9)
式(8)で表される第二モノマーを73g用い、第一モノマーを用いず、第三モノマーとしてアクリル酸を用いて共重合体の高分子ドーパントを得たこと以外、製造例1と同様にして、高分子ドーパント(第二重合体)を得た。この高分子ドーパントの重量平均分子量は約6万であった。仕込み比から計算した第二モノマーに由来する第二ユニットとアクリル酸に由来するアクリル酸ユニットとのモル比は、第2ユニット:アクリル酸ユニット=50:50であった。
(製造例10)
第二モノマーとして式(9):
CH2=CH−CO−(OCH2CH25−O−P(=O)(ONa)2で表されるアクリル酸誘導体を用いたこと以外、製造例1と同様にして、共重合体の高分子ドーパントを得た。重量平均分子量は約9万であった。仕込み比から計算した第一ユニットと第二ユニットとのモル比は、第一ユニット:第二ユニット=80:20であった。
(製造例11)
第二モノマーとして式(10):
CH2=CH−CO−(OCH2CH210−O−P(=O)(OH)2で表されるアクリル酸誘導体を用いたこと以外、製造例1と同様にして、共重合体の高分子ドーパントを得た。重量平均分子量は約9万であった。仕込み比から計算した第一ユニットと第二ユニットとのモル比は、第一ユニット:第二ユニット=80:20であった。
(製造例A)
1Lの攪拌機付容器に、製造例1で得られた高分子ドーパントの水分散液(共重合体の含有量3質量%)を投入した。次に、高分子ドーパントの水分散液100質量部に、酸化剤として過硫酸ナトリウム2質量部、触媒として硫酸第二鉄0.2質量部を添加し、その後、3,4−エチレンジオキシチオフェン1質量部を徐々に滴下して化学酸化重合を行った。その後、得られた高分子ドーパントと導電性高分子(ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む水分散液にイオン交換樹脂を添加し、撹拌し、濾過する操作を繰り返し、液中の不純物を除去して、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を得た。
(製造例B〜G)
製造例2〜7で得られた第一ユニットと第二ユニットを含む高分子ドーパントの水分散液を用いたこと以外、製造例Aと同様にして、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を得た。
(製造例H)
製造例8で得られた第一ユニットだけを含む高分子ドーパントの水分散液を用いたこと以外、製造例Aと同様にして、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を得た。
(製造例I)
製造例8で得られた高分子ドーパントと製造例9で得られた高分子ドーパントとを、第一ユニットと第二ユニットとのモル比が第一ユニット:第二ユニット=80:20となるように混合した。得られた混合物を用いたこと以外、製造例Aと同様にして、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を得た。
(製造例J)
製造例10で得られた第一ユニットと第二ユニットを含む高分子ドーパントの水分散液を用いたこと以外、製造例Aと同様にして、高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を得た。
(製造例K)
製造例11で得られた第一ユニットと第二ユニットを含む高分子ドーパントの水分散液を用いたこと以外、製造例Aと同様にして、高分子ドーパントがドープされた導電性高分
子を得た。
《実施例1》
下記の要領で、電解コンデンサを作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体を準備する工程(第1工程)
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体を作製した。
(2)誘電体層を形成する工程(第2工程)
陽極体の一端部側(分離部から一端部までの部分)を、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層を形成した。
(3)導電性高分子層を形成する工程(第3工程)
(3−1)第1導電性高分子層を形成する工程(工程A)
製造例H(製造例8の高分子ドーパントを含む)で得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を1質量%含む水分散液(第1処理液)に、誘電体層を有する陽極体を浸漬した後、第1処理液から取り出し、120℃で10〜30分の乾燥を行った。第1処理液への浸漬と、乾燥とをさらに1回ずつ繰り返すことで、誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように第1導電性高分子層を形成した。なお、第1導電性高分子層の平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約1μmであった。
(3−2)第2導電性高分子層を形成する工程(工程B)
製造例Aで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を4質量%含む水分散液(第2処理液)に、第1導電性高分子層を有する陽極体を浸漬した後、第2処理液から取り出し、120℃で10〜30分の乾燥を行った。第2処理液への浸漬と、乾燥とをさらに2回ずつ繰り返すことで、第1導電性高分子層の表面の少なくとも一部および第1導電性高分子層から露出した誘電体層の少なくとも一部を覆うように第2導電性高分子層を形成した。なお、第2導電性高分子層の平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約30μmであった。
(4)陰極層の形成工程(第4工程)
導電性高分子層で覆われた誘電体層を有する陽極体を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することによりカーボン層を形成した。乾燥は、130〜180℃で10〜30分間行った。
次に、カーボン層の表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150〜200℃で10〜60分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層を形成した。こうして、カーボン層と銀ペースト層とで構成される陰極層を形成した。
上記のようにして、コンデンサ素子を作製した。
(5)電解コンデンサの組み立て
コンデンサ素子の陰極層と、陰極端子の一端部(第1端部)とを導電性接着剤で接合した。コンデンサ素子から突出した陽極体の他端部と、陽極端子の一端部(第1端部)とをレーザ溶接により接合した。
次に、トランスファモールド法により、コンデンサ素子の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体を形成した。このとき、陽極端子の他端部(第2端部)と、陰極端子の他端部(第2端部)とは、樹脂外装体から引き出した状態とした。このようにして、実施例1の電解コンデンサAを完成させた。上記と同様にして、電解コンデンサを合計250個作製した。
《実施例2〜7》
製造例B〜Gで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を含む水分散液(第2処理液)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、各実施例の電解コンデンサB〜Gを合計250個ずつ作製した。
《比較例1》
製造例Hで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を4質量%含む水分散液(第2処理液)により、第2導電性高分子層の形成を行ったこと以外、実施例1と同様にして、比較例1の電解コンデンサを合計250個作製した。
《実施例8》
製造例Iで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を含む水分散液(第2処理液)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、実施例8の電解コンデンサIを合計250個作製した。
(6)評価
(a)ESR
電解コンデンサからランダムに120個選び、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定し、平均値を求めた。
(b)漏れ電流(LC)
電解コンデンサの陽極体2と陰極層5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、漏れ電流量が100μA以下のものを良品と判断して、各実施例および各比較例におけるLC良品率を算出した。
(c)耐電圧
1.0V/秒のレートで昇圧しながら、上記で良品と判断された電解コンデンサに電圧を印加し、1Aの過電流が流れる破壊耐電圧(BDV)を測定し、平均値を求めた。
表1に、実施例1〜8および比較例1の評価結果を示す。
Figure 0006485457
表1に示すように、比較例1では、実施例よりも漏れ電流が大きくなっている。このことは、各実施例の誘電体層の修復機能が比較例1よりも高められたことを意味している。さらに、各実施例は比較例1と比べて耐電圧特性を高めることができた。これも、各実施例の誘電体層の修復機能が比較例1よりも高められたためである。また、実施例2と実施例8を対比すると、実施例2の方が漏れ電流が抑制されている。よって、高分子ドーパントとして、第一モノマーと第二モノマーとの共重合体を用いる方が、誘電体層の修復機能を高めやすいことがわかる。さらに、実施例3〜7より、第一ユニットと第二ユニットとのモル比は、95:5〜50:50であることがより好ましく、95:5〜75:25であることが更に好ましいことがわかる。
《実施例9》
以下の要領で導電性高分子層を形成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例9の電解コンデンサXを合計250個作製し、同様に評価した。表2に、評価結果を示す。
(3−1)第1導電性高分子層を形成する工程(工程A)
製造例Aで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を1質量%含む水分散液(第1処理液)に、誘電体層を有する陽極体を浸漬した後、第1処理液から取り出し、120℃で10〜30分の乾燥を行った。第1処理液への浸漬と、乾燥とをさらに1回ずつ繰り返すことで、誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように第1導電性高分子層を形成した。なお、第1導電性高分子層4aの平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約1μmであった。
(3−2)第2導電性高分子層を形成する工程(工程B)
製造例Hで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を4質量%含む水分散液(第2処理液)に、第1導電性高分子層を有する陽極体を浸漬した後、第2処理液から取り出し、120℃で10〜30分の乾燥を行った。第2処理液への浸漬と、乾燥とをさらに2回ずつ繰り返すことで、第1導電性高分子層の表面の少なくとも一部及び第1導電性高分子層から露出した誘電体層の少なくとも一部を覆うように第2導電性高分子層を形成した。尚、第2導電性高分子層4bの平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約30μmであった。
《実施例10》
製造例Jで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を4質量%含む水分散液(第2処理液)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、実施例10の電解コンデンサYを合計250個作製し、同様に評価した。表2に、評価結果を示す。
《実施例11》
製造例Kで得られた高分子ドーパントがドープされた導電性高分子を4質量%含む水分散液(第2処理液)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、実施例11の電解コンデンサZを合計250個作製し、同様に評価した。表2に、評価結果を示す。
Figure 0006485457
表2に示すように、第2導電性高分子層の代わりに第1導電性高分子層に第二ユニットを含む高分子ドーパントを用いた場合にも、比較例1に比べて漏れ電流が小さくなった。また、リン含有基がカチオン性基(Na)を有する場合や、リン含有基のポリオキシアルキレン基のn数が10である場合にも同様の効果が得られることがわかる。
本発明に係る電解コンデンサは、漏れ電流の低減が求められる様々な用途に利用できる。
1 電解コンデンサ
2 陽極体
3 誘電体層
4 固体電解質層
4a 第1導電性高分子層
4b 第2導電性高分子層
5 陰極層
5a カーボン層
5b 銀ペースト層
11 コンデンサ素子
12 樹脂外装体
13 陽極端子
13a 陽極端子の第1端部
13b 陽極端子の第2端部
14 陰極端子
14a 陰極端子の第1端部
14b 陰極端子の第2端部
15 陰極部
16 分離部
17 導電性接着剤

Claims (8)

  1. 陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子層と、を備え、
    前記導電性高分子層は、導電性高分子と、高分子ドーパントとを含み、
    前記高分子ドーパントは、
    (A)重合性基とスルホン酸基とを有する第一モノマーに由来する第一ユニットと、
    (B)重合性基とリン含有基とを有する第二モノマーに由来する第二ユニットと、を含み、
    前記リン含有基が、
    一般式(1):−P(=O)(OR)(OR)、
    一般式(2):−PH(=O)(OR)および
    一般式(3):−PH(=O)
    の少なくとも1つで表され、前記一般式(1)〜(3)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、親水性基、C〜Cのアルキル基またはカチオン性基である、電解コンデンサ。
  2. 前記リン含有基が、前記一般式(1)で示され、かつ、RまたはRは、それぞれ独立に水素原子またはカチオン性基である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記リン含有基が、前記一般式(2)で示され、かつ、Rは水素原子またはカチオン性基である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記高分子ドーパントは、前記第一ユニットと前記第二ユニットとを含む共重合体を含む、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記高分子ドーパントは、前記第一ユニットを含む第一重合体と、前記第二ユニットを含む第二重合体と、を含む、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記高分子ドーパントに含まれる前記第一ユニットと前記第二ユニットとの合計に対する、前記第二ユニットの割合が、5〜50モル%である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  7. 前記第一モノマーは、スチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記第二モノマーは、(メタ)アクリル酸誘導体およびマレイン酸誘導体の少なくとも1つであり、かつ
    一般式(4):RC=CXおよび一般式(5):RC=CX の少なくとも1つで表され、前記一般式(4)または(5)において、X〜Xは、それぞれ独立に一般式(6):−CO−(OCHCH−O−P(=O)(OR)(OR)で表され、
    前記一般式(4)〜(6)において、nは1〜10であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子またはカチオン性基であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である、請求項4に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記一般式(4)〜(6)において、nは4〜5であり、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子であり、RおよびRは、それぞれ水素原子またはカチオン性基である、請求項7に記載の電解コンデンサ。
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