JP6485048B2 - ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、ウェット性能、低燃費性能、耐クラック発生性、耐摩耗性をいずれも向上させ得るゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年、空気入りタイヤは、ラベリング(表示方法)制度が開始され、タイヤへの要求性能は年々高度になってきている。
例えば、ウェットの路面でのグリップ性能(ウェット性能)を維持しつつ、低燃費性を兼ね備えたタイヤの開発が強く望まれている。
ウェット性能を向上させるために、カーボンブラックやシリカ等のフィラーを増量したり、小粒径化する技術があるが、このような手法では、転がり抵抗性が悪化し、低燃費性能が得られない。また、耐クラック発生性が悪化してしまう。
一方、キャップトレッドの厚さを全体的に薄くすることにより、低転がり抵抗性を得ることができるが、この場合、耐摩耗性能が低下する等の問題点が生じる。
なお下記特許文献1には、ゴム材料と特定構造のメチレンビス(アルキルスルフィド)およびフェノール系酸化防止剤等から選ばれる劣化防止剤とを混合する技術が開示されている。しかし特許文献1には、下記で説明する本発明のスチレン化フェノール化合物については開示も示唆もない。また、特定のスチレン化フェノール化合物を用いてウェット性能、低燃費性能、耐クラック発生性、耐摩耗性を同時に改善しようとする技術思想は何ら開示されていない。
特公平8−26178号公報
したがって本発明の目的は、ウェット性能、低燃費性能、耐クラック発生性、耐摩耗性をいずれも向上させ得るゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の平均ガラス転移温度(Tg)および組成を有するジエン系ゴムに対し、シリカおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.下記製造方法により製造された特定共役ジエン系ゴムを30質量部以上含み、平均ガラス転移温度(Tg)が−60℃〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
前記特定共役ジエン系ゴムの製造方法:
不活性溶媒中で、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を、重合開始剤により重合し、イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含む活性末端を有する重合体ブロック(A)を形成させる工程、
前記活性末端を有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物と、を混合して重合反応を継続させ、1,3−ブタジエン単量体単位50〜100質量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50質量%を含む活性末端を有する重合体ブロック(B)を、前記重合体ブロック(A)と一続きにして形成させることにより、前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程、および、
前記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の前記活性末端に、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤を、重合に使用した前記重合開始剤に対する前記変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計モル比が0.1〜1となる範囲で反応させる工程、を含む製造方法。
2.前記1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
本発明によれば、特定の平均ガラス転移温度(Tg)および組成を有するジエン系ゴムに対し、シリカおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合したので、ウェット性能、低燃費性能、耐クラック発生性、耐摩耗性をいずれも向上させ得るゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムは、その全体を100質量部としたときに、下記で説明する特定共役ジエン系ゴムを30質量部以上含む必要がある。特定共役ジエン系ゴムが30質量部未満であると、本発明の効果を奏することができない。特定共役ジエン系ゴムのさらに好ましい配合量は、ジエン系ゴムの全体を100質量部としたときに、40質量部以上である。
また本発明では前記特定共役ジエン系ゴム以外にも、ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
また本発明で使用されるジエン系ゴムは、平均ガラス転移温度(平均Tg)が−60〜−20℃であることが必要である。平均Tgが−60℃未満であると、ウェット性能が低下し、逆に−20℃を超えると、低燃費性能が悪化する。平均Tgは、ガラス転移温度の平均値であり、各ジエン系ゴムのガラス転移温度と各ジエン系ゴムの配合割合から平均値として算出することができる。
(特定共役ジエン系ゴム)
本発明の特定共役ジエン系ゴムは、公知であって、その製造方法を含め、国際公開WO2014/050341号パンフレットに詳細に開示されている。以下、特定共役ジエン系ゴムの製造方法について、説明する。本発明における特定共役ジエン系ゴムは、以下の各工程を有する製造方法によって製造することができる。
不活性溶媒中で、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を、重合開始剤により重合し、イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含む活性末端を有する重合体ブロック(A)を形成させる工程、
前記活性末端を有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物と、を混合して重合反応を継続させ、1,3−ブタジエン単量体単位50〜100質量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50質量%を含む活性末端を有する重合体ブロック(B)を、前記重合体ブロック(A)と一続きにして形成させることにより、前記重合体ブロック(A)および前記重合体ブロック(B)を有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得る工程、および、
前記活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の前記活性末端に、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤を、重合に使用した前記重合開始剤に対する前記変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計モル比が0.1〜1となる範囲で反応させる工程。
[重合体ブロック(A)]
前記重合体ブロック(A)は、イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含んでいれば特に限定されず、イソプレン単量体単位85〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜15質量%を含んでいることが好ましく、イソプレン単量体単位89〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜11質量%を含んでいることがより好ましい。
重合体ブロック(A)に含まれる芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、およびジメチルアミノエチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体ブロック(A)は、イソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位のみからなることが好ましいが、所望により、イソプレン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、および1,3−ヘキサジエンなどのイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、および無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、および5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。これらのその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合体ブロック(A)中、その他の単量体単位の含有割合は、15質量%以下であり、10質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
本発明で用いる共役ジエン系重合体鎖中の重合体ブロック(A)は、不活性溶媒中、イソプレン、芳香族ビニル単量体、および必要に応じて加えられるその他の単量体、を含む単量体混合物を、重合開始剤により重合することにより形成される。形成された重合体ブロック(A)は、活性末端を有する。
重合体ブロック(A)を形成するために、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物の重合に用いられる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであって、重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、および2−ブテンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、およびシクロヘキセンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。不活性溶媒の使用量は、単量体濃度が、例えば、1〜80質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。
重合体ブロック(A)を形成するために用いられる重合開始剤としては、イソプレンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を重合させて、活性末端を有する重合体鎖を与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、有機アルカリ金属化合物および有機アルカリ土類金属化合物、ならびにランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。
重合開始剤の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、単量体混合物100g当り、好ましくは4〜250mmol、より好ましくは6〜200mmol、特に好ましくは10〜70mmolの範囲である。
単量体混合物を重合するに際し、重合温度は、例えば、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。また、結合様式としては、例えば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。
重合体ブロック(A)におけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、および2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、0.01〜30molが好ましく、0.05〜10molがより好ましい。
重合体ブロック(A)におけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量は、5〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。なお、本明細書中において、イソプレン単量体単位中のビニル結合含有量とは、イソプレン単量体単位中の、1,2−構造を有するイソプレン単量体単位および3,4−構造を有するイソプレン単量体単位の合計量の割合を指すものとする。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、500〜15,000であることが好ましく、1,000〜12,000であることがより好ましく、1,500〜10,000であることが特に好ましい。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。
[重合体ブロック(B)]
重合体ブロック(B)は、1,3−ブタジエン単量体単位50〜100質量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50質量%を含んでいれば特に限定されず、1,3−ブタジエン単量体単位55〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜45質量%を含んでいることが好ましく、1,3−ブタジエン単量体単位55〜90質量%および芳香族ビニル単量体単位10〜45質量%を含んでいることがより好ましい。
重合体ブロック(B)に含まれる芳香族ビニル単量体単位を構成するために用いられる単量体としては、上述した重合体ブロック(A)で例示された芳香族ビニル単量体を同様に用いることができ、スチレンが好ましい。
重合体ブロック(B)においては、1,3−ブタジエン単量体単位のみ、または1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位のみからなることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、所望により、1,3−ブタジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位以外に、さらに、その他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体としては、1,3−ブタジエンを除き、上述した重合体ブロック(A)で例示された化合物を同様に用いることができる。また、重合体ブロック(B)においては、その他の単量体としてイソプレンを用いることもできる。重合体ブロック(B)中、その他の単量体単位の含有割合は、50質量%以下であり、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。
本発明で用いる共役ジエン系重合体鎖中の重合体ブロック(B)は、活性末端を有する重合体ブロック(A)と、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物と、を混合して重合反応を継続させることにより、重合体ブロック(A)と一続きに形成される。形成された重合体ブロック(B)は、活性末端を有する。
重合体ブロック(B)を形成するために用いられる不活性溶媒は、上述した重合体ブロック(A)の調製に用いられる不活性溶媒と同様である。
重合体ブロック(B)を形成させる際の活性末端を有する重合体ブロック(A)の使用量は、目的とする分子量に応じて決定すればよいが、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物100g当り、例えば、0.1〜5mmol、好ましくは0.15〜2mmol、より好ましくは0.2〜1.5mmolの範囲である。
重合体ブロック(A)と1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物との混合方法は、特に限定されず、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有する重合体ブロック(A)を加えてもよいし、活性末端を有する重合体ブロック(A)の溶液中に1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を加えてもよい。重合の制御の観点より、1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物の溶液中に活性末端を有する重合体ブロック(A)を加えることが好ましい。
1,3−ブタジエン、または1,3−ブタジエンおよび芳香族ビニル単量体を含む単量体混合物を重合するに際し、重合温度は、例えば、−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式など、いずれの様式をも採用できる。重合体ブロック(B)を共重合体鎖とする場合には、結合のランダム性を制御しやすい点で、回分式が好ましい。
重合体ブロック(B)を共重合体鎖とする場合の各単量体の結合様式は、例えば、ブロック状、テーパー状、およびランダム状などの種々の結合様式とすることができる。これらの中でも、ランダム状が好ましい。ランダム状にすることにより、得られるタイヤは低発熱性に優れる。
重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するためには、重合体ブロック(A)におけるイソプレン単量体単位中のビニル結合含有量の調節時と同様、重合に際し、不活性溶媒に極性化合物を添加することが好ましい。ただし、重合体ブロック(A)の調製時に、不活性溶媒に、重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。ビニル結合含有量を調節するために用いられる極性化合物についての具体例は、上述の重合体ブロック(A)の調製に用いられる極性化合物と同様である。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、重合開始剤1molに対して、好ましくは0.01〜100mol、より好ましくは0.1〜30molの範囲で調節すればよい。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ、重合開始剤の失活による不具合も発生し難い。
重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは25〜70質量%である。
このようにして、重合体ブロック(A)および重合体ブロック(B)を有する、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得ることができる。本発明で用いる活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖は、生産性の観点より、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)で構成され、重合体ブロック(B)の末端が活性末端であることが好ましいが、重合体ブロック(A)を複数有していてもよいし、その他の重合体ブロックを有していてもよい。例えば、重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−重合体ブロック(A)、および重合体ブロック(A)−重合体ブロック(B)−イソプレンのみからなるブロックなどの、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖が挙げられる。共役ジエン系重合体鎖の活性末端側にイソプレンのみからなるブロックを形成させる場合、イソプレンの使用量は、初めの重合反応に使用した重合開始剤1molに対して、10〜100molであることが好ましく、15〜70molであることがより好ましく、20〜35molであることが特に好ましい。
本発明で用いる活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)との重量比(重合体ブロック(A),(B)が複数ある場合は、それぞれの合計重量を基準とする)は、(重合体ブロック(A)の重量)/(重合体ブロック(B)の重量)として、0.001〜0.1であることが好ましく、0.003〜0.07であることがより好ましく、0.005〜0.05であることが特に好ましい。
本発明で用いる活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、100,000〜1,000,000が好ましく、150,000〜700,000がより好ましく、150,000〜500,000が特に好ましい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.0〜2.2であることが特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の分子量分布の値(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン単量体単位および1,3−ブタジエン単量体単位の合計単量体単位と、芳香族ビニル単量体単位との含有割合は、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖中、イソプレン単量体単位および1,3−ブタジエン単量体単位の合計単量体単位50〜99.995質量%、および芳香族ビニル単量体単位0.005〜50質量%を含んでいることが好ましく、イソプレン単量体単位および1,3−ブタジエン単量体単位の合計単量体単位55〜95質量%、および芳香族ビニル単量体単位5〜45質量%を含んでいることがより好ましく、イソプレン単量体単位および1,3−ブタジエン単量体単位の合計単量体単位55〜90質量%、および芳香族ビニル単量体単位10〜45質量%を含んでいることが特に好ましい。また、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖におけるイソプレン単量体単位中および1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、上述した重合体ブロック(B)における1,3−ブタジエン単量体単位中のビニル結合含有量と同様である。
本発明における特定共役ジエン系ゴムの製造方法では、次に、上述した活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤を、重合に使用した重合開始剤に対する変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計モル比が0.1〜1となる範囲で反応させる工程を実施することにより、共役ジエン系ゴムを得る。
[変性剤]
本明細書において「変性剤」とは、分子中に、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基を有するものであり、本発明において、この官能基は、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基である。本発明において、この官能基の数は、1分子中に3以上である。エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤を用いることにより、共役ジエン系重合体鎖を高効率に変性させることができるため、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムは、シリカとの親和性が高まる。その結果、得られるタイヤは、低発熱性に優れる。なお、本明細書において「エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する」とは、一分子中にエポキシ基を3以上有する場合、一分子中にアルコキシ基を3以上有する場合、一分子中に1のエポキシ基および2以上のアルコキシ基を有する場合、一分子中に2のエポキシ基および1以上のアルコキシ基を有する場合、ならびに一分子中に3以上のエポキシ基および1以上のアルコキシ基を有する場合を含むことを意図している。
本発明で用いられる変性剤としては、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有するものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)エタンなどのアルコキシシラン;などを挙げることができる。これらの中でも、下記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンが好ましい。
Figure 0006485048
(上記一般式(I)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、複数あるXは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは3〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数である。)
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(I)のR〜R、XおよびXを構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得る炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、共役ジエン系重合体鎖の活性末端との反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
また、一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、X、およびXを構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、例えば、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。
−Z−Z−E ・・(II)
一般式(II)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
一般式(II)で表される基において、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数1〜3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、XおよびXとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。さらに、XおよびXが炭素数1〜6のアルキル基であり、Xがエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(III)で表される基が好ましい。
Figure 0006485048
一般式(III)中、tは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、Qは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。これらの中でも、tが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、Rが水素原子であり、かつ、Qがメトキシ基であるものが好ましい。
一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは3〜200、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜120の整数である。mが3以上であると、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムは、シリカとの親和性が高まる。その結果、得られるタイヤは、低発熱性に優れる。また、mが200以下であると、ポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
また、一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜130の整数である。m、nおよびkの合計数は、3〜400であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜250であることが特に好ましい。m、nおよびkの合計数が上記範囲内にあると、ポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
なお、一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基が共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のエポキシ基が開環することにより、エポキシ基が開環した部分の炭素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中のアルコキシ基が共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のアルコキシ基が脱離することにより、脱離したアルコキシ基が結合していたポリオルガノシロキサンにおけるケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との結合が形成されると考えられる。
変性剤の使用量は、重合に使用した重合開始剤1molに対する変性剤中のエポキシ基およびアルコキシ基の合計mol数の比が0.1〜1の範囲となる量であり、0.2〜0.9の範囲となる量であることが好ましく、0.3〜0.8の範囲となる量であることがより好ましい変性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の共役ジエン系ゴムの製造方法では、上述した変性剤にて、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を変性する他に、重合停止剤、上述した変性剤以外の重合末端変性剤、およびカップリング剤などを重合系内に添加することにより、一部の共役ジエン系重合体鎖の活性末端を、本発明の効果を阻害しない範囲で、不活性化してもよい。
変性剤などを添加する時期は、特に限定されないが、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液に変性剤などを添加することが望ましい。変性剤などの添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と重合系中に含まれる不純物との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端に、上述した変性剤などを反応させるときの条件としては、温度が、例えば、0〜100℃、好ましくは30〜90℃の範囲であり、それぞれの反応時間が、例えば、1分〜120分、好ましくは2分〜60分の範囲である。
(スチレン化フェノール化合物)
スチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。
Figure 0006485048
本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、nが2であるジスチレン化フェノールまたはnが3であるトリスチレン化フェノールを主成分とする。本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である、市販品としては、例えば三光(株)製SP−24(ジスチレン化フェノールを主成分とする)、TSP(トリスチレン化フェノールを主成分とする)等が挙げられる。
一般的に製造されたスチレン化フェノール化合物は、フェノール1モルに対してスチレン1モルが付加したモノスチレン化フェノール(上記式中、n=1);フェノール1モルに対してスチレン2モルが付加したジスチレン化フェノール(上記式中、n=2);フェノール1モルに対してスチレン3モルが付加したトリスチレン化フェノール(上記式中、n=3);およびその他の成分の混合物となる。本発明では、これらのスチレン化フェノール化合物のうち、主成分としてジスチレン化フェノールおよびトリスチレン化フェノールを使用する。上述のように製造されたスチレン化フェノール化合物は、主に、モノ、ジおよびトリ体の混合物であるので、本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、モノ体がある程度存在することができる。したがって本発明で言う、「ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とする」とは、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールが全体の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上を占めることを意味し、それ以外の成分としてモノスチレン化フェノールやその他の成分(例えばテトラ体あるいはそれ以上の付加物のスチレン化フェノール化合物)が含まれていてもよい。
なお、上記式におけるスチレン部位は、スチレンの誘導体であってもよい。例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等が挙げられる。
(シリカ)
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカの窒素吸着比比表面積(NSA)(ISO 9277)は、80〜300m/gであるのが好ましく、100〜250m/gであるのがさらに好ましい。
(ゴム組成物の配合割合)
本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とする。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に30質量部を超えると低燃費性能を得ることができない。
シリカの配合量が30質量部未満であると、ウェット性能を得ることができない。逆に180質量部を超えると、低燃費性能が悪化する。
さらに好ましい前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、1.0〜25質量部である。
さらに好ましい前記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、60〜150質量部である。
(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに適しており、トレッド、とくにキャップトレッドに適用するのがよい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
標準例、実施例1〜3および比較例1〜4
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。
混合時の刺激臭:前記サンプルの調製において、加硫促進剤および硫黄を加える前のバンバリーミキサー混合時の刺激臭の有無を調べた。
ウェット性能:JIS K6394に準拠して、岩本製作所社製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、伸長変形歪率=10±2%、振動数=20Hz、温度0℃の条件下でtanδ(0℃)を測定し、この値をもってウェット性能を評価した。結果は、標準例を100として指数で示した。指数が大きいほど、ウェット性能が良好であることを示す。
低燃費性能:(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、標準例の値を100として指数表示した。指数が小さいほど低燃費性能が良好であることを示す。
耐クラック発生性:JIS K6260に準拠して屈曲亀裂性試験を行った。結果は標準例の値を100として指数で示した。指数が小さいほど、耐クラック発生性が良好であることを意味する。
耐摩耗性:JIS K6264に準拠し、ランボーン摩耗試験機を用い、荷重1.5kg(15N)、スリップ率50%の条件にて測定した。結果は標準例の値を100として指で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを意味する。
結果を表1に示す。
Figure 0006485048
*1:SBR(日本ゼオン(株)製NS522、Tg=−31℃、油展品(表1では実際のゴム量を記載した))
*2:特定共役ジエン系ゴム(WO2014/050341の実施例1に準じて製造した共役ジエン系ゴム。Tg=―25℃、油展品(表1では実際のゴム量を記載した)、以下の特性を有する:
活性末端を有する重合体ブロック(A)の構造=スチレンおよびイソプレンのランダムブロックのヒドロカルビルリチウム。
重合体ブロック(A)におけるイソプレン含量=92.8質量%
重合体ブロック(A)におけるスチレン含量=7.2質量%
重合体ブロック(A)の重量平均分子量=8400
重合体ブロック(B)の単量体=1,3−ブタジエンおよびスチレンの混合物
変性剤=下記式(IV)で表されるポリオルガノシロキサン(使用した重合開始剤の0.33倍モルに相当する量を反応させた)
特定共役ジエン系ゴムのスチレン含量=21.6質量%
特定共役ジエン系ゴムのビニル含量=53.6質量%
特定共役ジエン系ゴムの重量平均分子量=375000)
Figure 0006485048
*3:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220、Tg=−106℃)
*4:シリカ(エボニックデグッサ社製ULTRASIL VN3)
*5:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト KH)
*6:オイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*7:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*8:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*9:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*10:シランカップリング剤(エボニックデグッサ社社製Si69)
*11:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*12:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*13:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*14:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄、硫黄含有量=95.24質量%)
前記の表1の結果から明らかなように、実施例1〜3で得られたゴム組成物は、特定の平均ガラス転移温度(Tg)および組成を有するジエン系ゴムに対し、シリカおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合したので、従来の代表的な標準例に対し、ウェット性能、低燃費性能、耐クラック発生性、耐摩耗性がいずれも向上している。
これに対し、比較例1は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、混合時に刺激臭が発生し、耐摩耗性能が悪化した。
比較例2は、スチレン化フェノール化合物の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、低燃費性能および耐摩耗性が悪化した。
比較例3は、ジエン系ゴムの平均Tgが本発明で規定する範囲外であるので、ウェット性能および低燃費性能が共に悪化した。
比較例4は、特定共役ジエン系ゴムを配合していないので、ウェット性能、低燃費性能、耐摩耗性が悪化した。

Claims (2)

  1. 記特定共役ジエン系ゴムを30質量部以上含み、平均ガラス転移温度(Tg)が−60℃〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜30質量部配合してなることを特徴とするタイヤキャップトレッド用ゴム組成物。
    前記特定共役ジエン系ゴム:
    活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の前記活性末端と、エポキシ基およびアルコキシ基から選ばれる少なくともいずれかの基を1分子中に3以上有する変性剤とが結合してなる共役ジエン系ゴムであり、
    前記共役ジエン系重合体鎖は、重合体ブロック(A)と、前記重合体ブロック(A)と一続きに形成された重合体ブロック(B)と、を有し、
    前記共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)は、100,000〜1,000,000であり、
    前記重合体ブロック(A)が、イソプレン単量体単位80〜95質量%および芳香族ビニル単量体単位5〜20質量%を含み、
    前記重合体ブロック(B)が、1,3−ブタジエン単量体単位50〜100質量%および芳香族ビニル単量体単位0〜50質量%を含む。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物をキャップトレッドに使用した空気入りタイヤ。
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