JP6483526B2 - 電子装置用基板 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁基板の主面に設けられた電極パッドを有する配線基板、電子装置用基板および多数個取り配線基板に関するものである。
IC、LSI等の半導体集積回路素子、LD(半導体レーザーダイオード)、LED(発光ダイオード)、PD(フォトダイオード)、イメージセンサ等の光半導体素子およびその他の種々の電子部品を搭載する配線基板として、次のようなものが多用されている。すなわち、ガラスセラミック質焼結体等からなる四角板状等の絶縁基板と、絶縁基板の主面等に銅または銀等の金属材料を用いて設けられた電極パッドと、絶縁基板の内部に設けられた内部導体等を含む配線導体とを有するものが多用されている。電極パッドに電子部品および外部回路基板の信号用または接地用等の電極が接続される。電極パッドは、対応する内部導体に電気的に接続されている。
上記配線基板は、電極パッドの露出表面に、ニッケル、銅および金等の金属材料からなるめっき被膜が被着されて電子装置用基板になる。このめっき被膜は、電極パッドの露出表面の酸化を抑制し、電子部品および外部回路基板との接続に使用されるはんだ材料等との接続強度を向上させる。接続強度の向上のためには、所定の厚みのめっき被膜が必要である。
無電解めっき法でめっき被膜を被着させる場合、通電による電子ではなく、めっき液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子によりめっき被膜を被着させるため、電気めっき法に比べてめっき被膜の厚みばらつきの低減に対して有効であることが知られている。電子は、電極パッドおよび内部導体等を介して(具体的には電極パッドおよび内部導体等における自由電子の移動によって)、被めっき面である電極パッドの露出表面においてめっき液中のめっき金属(イオン)に供給される。
例えば、このような絶縁基板は複数の絶縁層が積層されてなる四角板状の形状である。この絶縁基板の主面のうち、無電解ニッケルめっき被膜および無電解金めっき被膜が順に被着された電極パッドが設けられた部位に電子部品の搭載部が設けられる。この電極パッドに電子部品がはんだ材料等の接続材によって電気的および機械的に接続される。すなわち、搭載部に電子部品が搭載され、搭載された電子部品は、電極パッドおよび内部導体と電気的に接続される。また、必要に応じて、電子部品を保護するための樹脂モールドや金属蓋体等が電子装置用基板に接合されて電子装置となる。
また、近年、電子装置の小型化の要求に伴って、配線基板は小型化されており、小型の配線基板を効率よく製作するために、多数個取り配線基板が用いられている。多数個取り配線基板は、母基板の中央部に上記のような配線基板となる複数の配線基板領域が互いに縦横に配列されて形成されたものである(たとえば、特許文献1参照)。
特開平7−30251号公報 特開2001−291966号公報 特開2003−96573号公報
配線基板の小型化に伴い、電極パッドも小型化している。電子部品および外部電気回路等と電極パッドとの接続強度を所定の強度とするためには、複数の電極パッドの露出表面に無電解めっき法で被着されるめっき被膜(無電解めっき被膜)の厚みのばらつきをより一層小さくすることが必要である。
しかしながら、電極パッドの露出表面に無電解めっき被膜を被着させる場合、電極パッドに電気的に接続されている内部導体の体積の違いによって、無電解めっき被膜の厚みがばらつく可能性があった。これは、以下のような機構によるものと考えられる。複数の電極パッドにおいて、内部導体から電極パッドの露出面近傍に移動することができる電子(自由電子)の数が相違する。そのため、より大きい体積の内部導体が接続された電極パッドの方に、その内部導体から、無電解めっき被膜の還元析出に必要な電子がより安定して(早い速度で)供給される。この電子の供給の差、つまりはめっき速度の差によって、上記の無電解めっき被膜の厚みがばらつきが生じる可能性があった。
本発明の一つの態様による電子装置用基板は、一対の主面を含む外表面を有する絶縁基板、該絶縁基板の内部に設けられた第1内部導体および該第1内部導体よりも体積が大きい第2内部導体、前記絶縁基板の前記一対の主面の少なくとも一方に設けられており、前記第1内部導体に電気的に接続された第1電極パッド、前記絶縁基板の前記一対の主面の少なくとも一方に設けられており、前記第2内部導体に電気的に接続された第2電極パッド、および前記絶縁基板の前記外表面に設けられており、前記第2内部導体に接続されたダミー導体を備える配線基板と、前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドの露出表面に被着された無電解めっき被膜とを備えており、前記一対の主面のうち、前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドが設けられた部位に電子部品の搭載部を有することを特徴とする。
本発明の一つの態様による電子装置用基板の配線基板は、第1内部導体よりも体積が大きい第2内部導体にダミー導体が接続されていることから、無電解めっき被膜を形成する際に第2内部導体から第2電極パッドの露出表面に移動する電子をダミー導体露出表面に分散させることができる。そのため、第2電極パッドの露出表面に被着する無電解めっき被膜の厚みを従来よりも低減することができる。これによって、第2電極パッドの露出表面に被着される無電解めっき被膜の厚みを、第1電極パッドの露出表面に被着するめっき被膜の厚みに近づけることできる。したがって、本発明の一つの態様による電子装置用基板は、上記構成の配線基板を有していることから、第1電極パッドおよび第2電極パッドに被着された無電解めっき被膜の厚みのばらつきが小さい電子装置用基板を提供することができる。
(a)は本発明の実施形態の配線基板における一方主面の平面図であり、(b)は(a)の他方主面の平面図であり、(c)は(a)のA−A線における断面図である。 (a)は本発明の実施形態の多数個取り配線基板における一方主面の平面図であり、(b)は(a)の他方主面の平面図であり、(c)は(a)のB−B線における断面図である。 本発明の実施形態の変形例の多数個取り配線基板における一方主面の平面図である。
本発明の配線基板、電子装置用基板および多数個取り配線基板について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に配線基板等が使用されるときの上下を限定するものではない。また、以下の説明において、簡単のため、無電解めっき被膜を単にめっき被膜という場合がある。
図1(a)は本発明の実施形態の配線基板および電子装置用基板の一方主面の平面図であり、図1(b)は図1(a)の他方主面の平面図であり、図1(c)は図1(a)のA−A線における断面図である。第1電極パッド1、第2電極パッド2、第1内部導体11、第2内部導体22およびダミー導体3が絶縁基板4の外表面または内部に設けられて配線基板10が基本的に形成されている。
また、この配線基板10の第1電極パッド1および第2電極パッド2およびダミー導体3のそれぞれの露出表面に無電解めっき被膜(めっき被膜)が被着されて電子装置用基板20が形成される。なお、めっき被膜は、第1電極パッド1および第2電極パッド2およびダミー導体3等に比べて非常に厚みの薄いものであり、図を見やすくするために図示を省略している。
絶縁基板4は、例えば四角板状(平板状)であり、一方主面(図1の例では上面)および他方主面(図1の例では下面)との一対の主面、および一対の主面を含む外表面(一対の主面以外の側面等を含む)を有している。また、この実施形態の例では、絶縁基板4はガラスセラミック焼結体等からなる複数の絶縁層(絶縁層としては符号なし)が互いに上下に積層されて形成されている。
絶縁基板4は、電子部品(図示せず)を搭載して固定するための基体として機能する。また、絶縁基板4は、電子部品と電気的に接続される導体(第1および第2電極パッド1、2等)を、互いの電気的な短絡を避けて配置するための基体等としても機能する。
絶縁基板4の一方主面に設けられた第1電極パッド1および第2電極パッド2は、電子部品を電気的に接続させるための導体部分である。例えば、電子部品が有する信号用、接地用および電源用等の電極が、それぞれに第1電極パッド1および第2電極パッド2の対応するものに対向して、はんだ等の導電性接続材を介して互いに電気的および機械的に接続される。
絶縁基板4は、例えば、ガラスセラミック焼結体、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体またはムライト質焼結体等のセラミック焼結体によって形成されている。
絶縁基板4は、例えばガラスセラミック焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。まず、酸化ケイ素、酸化ホウ素および酸化アルミニウム等の粉末を主成分とする原料粉末を、有機溶剤、バインダと混練するとともに、ドクターブレード法やリップコータ法等の成形方法でシート状に成形してガラスセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートという)を作製する。次に、複数のグリーンシートを積層した後、約900〜1000℃程度の焼成温度で焼成することによって絶縁基板4を製作することがで
きる。
第1電極パッド1および第2電極パッド2は、例えば、銅、銀、パラジウム、金、白金タングステン、モリブデンもしくはマンガン等の金属材料、またはこれらの金属材料を主成分とする合金材料もしくは混合材料等によって形成されている。
第1電極パッド1および第2電極パッド2は、例えば、銅等の金属材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製し、この金属ペーストを絶縁基板4となるグリーンシートに所定パターンで印刷し、同時焼成することによって形成することができる。
絶縁基板4の内部に設けられた第1内部導体11および第2内部導体22は、それぞれ対応する第1電極パッド1または第2電極パッド2と電気的に接続されて、これらを他の導体に電気的接続させるための導電路として機能する。すなわち、図1に示すように、第1電極パッド1が第1内部導体11と電気的に接続され、第2電極パッド2が第2内部導体22と電気的に接続されている。
第1電極パッド1と第1内部導体11との電気的な接続、および第2電極パッド2と第2内部導体22との電気的な接続は、例えば第1内部導体11および第2内部導体22の一部であるビア導体(ビア導体としては符号なし)の部分によって行なわれている。ビア導体は、第1内部導体11および第2内部導体22のうち絶縁層を厚み方向に貫通している部分である。各々の絶縁層を貫通しているビア導体は、絶縁層間において、配線導体の一部であるパターン導体(パターン導体としては符号なし)に接続されている。
第1内部導体11は、この実施形態においては電子部品の信号用電極と電気的に接続される線路状のパターンで形成された信号用の導電路である。線路状のパターンには、上述のビア導体および、ビア導体同士を絶縁層間で接続するために設けたランド導体(図示せず)も含まれる。この第1内部導体11は、例えば、後述するアンテナ素子形成部5に配置されたアンテナ素子(素子としては図示せず)の給電部(図示せず)に電気的に接続されている。すなわち、信号用の導電路の端部にアンテナ素子の給電部が形成されている。これによって、電子部品の信号用電極と、アンテナ素子の給電部とが互いに電気的に接続されて信号の授受ができるようになる。また、第1内部導体11は、さらに外部電気回路の接地用回路または電源用回路等と電気的に接続されるものが含まれていてもよい。
第2内部導体22は、この実施形態においては電子部品の接地用電極または電源用電極と電気的に接続される接地用または電源用のビア導体および、平面視で第1電極パッド1および第2電極パッド2よりも大きい面状の導体層(いわゆるべたパターン状等)を含む。これによって、電子部品の接地用電極または電源用電極における接地または電源の電位が強化される。また、第2内部導体22は、さらに外部電気回路の接地用回路または電源用回路等と電気的に接続されるものが含まれていてもよい。第2内部導体22は、上記のように比較的広い面積であるため、第1内部導体11よりも体積が大きい。
第1内部導体11および第2内部導体22は、例えば、第1電極パッド1および第2電極パッド2と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。第1内部導体11および第2内部導体22と、第1電極パッド1および第2電極パッド2とは、互いに同じ金属材料からなるものであってもよく、互いに異なる金属材料からなるものであってもよい。例えば、第1内部導体11および第2内部導体22が銀または銀を主成分とする合金材料からなり、第1電極パッド1および第2電極パッド2が銅または銅を主成分とする合金材料からなるものであってもよい。
なお、第1内部導体11および第2内部導体22のうち絶縁層を厚み方向に貫通しているビア導体の部分は、例えば、あらかじめ絶縁基板4(絶縁層)となるグリーンシートに機械的な孔あけ加工またはレーザ加工によって貫通孔を形成しておき、この貫通孔内に上記の金属ペーストを充填して同時焼成することによって形成することができる。
前述したように、第1電極パッド1、第2電極パッド2およびダミー導体3の露出表面にめっき被膜が被着されて電子装置用基板20が形成されている。この場合、絶縁基板4の一対の主面のうち第1電極パッド1および第2電極パッド2が設けられた部位が電子部品の搭載部となる。例えば図1(a)の例において、絶縁基板4の上面(一方主面)のうち第1および第2電極パッド1、2が設けられた部分を外周位置とする四角形状の領域が電子部品の搭載部である。
めっき被膜は、例えばニッケル、銅および金等の金属材料、またはこれらの金属材料を含む合金材料等によって形成されている。例えば、第1電極パッド1および第2電極パッド2がスズ−銀等のはんだによって電子部品の電極と接続されるものである場合には、第1電極パッド1および第2電極パッド2それぞれの露出表面から順に、ニッケルめっき被膜および金めっき被膜が被着される。これらの金属材料は、無電解めっき法によって形成されている。無電解めっき法によってめっき被膜が形成されていることによって、例えば電気めっき法の場合のようなめっき用の引き出し線が不要であるため、配線基板10および電子装置用基板20としての小型化および高密度化が容易になっている。
めっき被膜は、例えば、ニッケルまたは金等の金属の供給源としての金属塩と、リン系還元剤またはホウ素系還元剤等の還元剤とを主成分とし、安定剤およびpH緩衝剤等の添加剤が添加された水溶液(無電解めっき液)中に配線基板10を浸漬することによって、所定部位に被着される。
また、実施形態の配線基板10は、第1内部導体11よりも体積が大きい第2内部導体22にダミー導体3が接続されている。結果として、ダミー導体3は、第2電極パッド2とも電気的に接続されている。
これによって、第2内部導体22から第2電極パッド2の露出表面に移動する電子をダミー導体3の表面に分散させることができる。そのため、第2電極パッド2の露出表面に被着するめっき被膜の厚みを第1電極パッド1の露出表面に被着するめっき被膜の厚みに近
づけることできる。したがって、第1電極パッド1および第2電極パッド2に被着されるめっき厚みのばらつきが小さい配線基板10を提供することができる。
言い換えれば、ダミー導体3は、第1内部導体11と電気的に接続されているとともにめっき被膜が被着される表面(第1電極パッド1の露出表面)に対する第1内部導体11の体積の比と、第2内部導体22と電気的に接続されているとともにめっき被膜が被着される表面(第2電極パッド2とダミー導体3とを合わせた露出表面)に対する第2内部導体22の体積の比との差を低減する機能を有している。
また、実施形態の電子装置用基板20は、上記構成の配線基板10を有していることから、第1電極パッド1および第2電極パッド2に被着されためっき被膜の厚み(以下、単にめっき厚みともいう)のばらつきが小さい電子装置用基板20を提供することができる。
なお、第1内部導体11および第2内部導体22は、絶縁層間の密着性の向上、および配線基板10としての生産性等の観点から、互いに同じ程度の厚みに設定される。この場合には、上記のような第1内部導体11と第2内部導体22との体積の差は、平面視におけるそれぞれの面積の合計の差とみなすことができる。例えば上記のように、この実施形態では、第1内部導体11が、平面視における面積が比較的小さい線路状のパターンであり、第2内部導体22が、平面視における面積が比較的大きい面状の導体層であることから、互いに面積が大きく異なっている。また、互いに厚みが同じ程度であるため、その面積の差に応じて互いに体積が大きく異なっている。
言い換えれば、互いに体積が異なる第1内部導体11と第2内部導体22とが、互いに平面視における面積が異なる線路状のものと面状のものとであるため、上記のように信号の伝送と、接地および電源の電位の強化(安定)とに適した配線基板10とすることができる。
このように第1内部導体11は線路状のパターンで形成された信号用の配線導体であるときに、第2内部導体22は、平面視で第1電極パッド1および第2電極パッド2よりも大きい面状の接地用または電源用の導体層を含むものであってもよい。この場合には、接地および電源の電位をさらに効果的に強化する上で有利である。
なお、第2内部導体22は、例えばその全域または一部において第1内部導体11よりも厚みが大きい部分を含み、その厚みの差によっても、第1内部導体11よりも体積が大きくなっているものでもよい。このような例としては、例えば、絶縁層の平面視における一部領域に厚み方向に貫通した開口部が設けられ、この開口部に第2内部導体22の一部または全部が絶縁層と同じ程度の厚みで配置されている形態が挙げられる。この第2内部導体22は、必ずしも接地用または電源用ののみに限定されず、放熱用等の機能を有するものであっても構わない。
実施形態の配線基板10および電子装置用基板20について、絶縁基板4の一対の主面のうち一方主面に第1電極パッド1および第2電極パッド2が形成されている。また、絶縁基板4の外表面のうち前記一対の主面と反対側の他方主面にはダミー導体3のみが形成されている。この場合には、より一層体積が大きい(平面視における面積が大きい)ダミー導体3を絶縁基板4の外表面に設けるスペースの確保がより容易である。そのため上記のようなダミー導体3によるめっき厚みのばらつき低減の効果がより有効に得られる。
また、この場合には、第1電極パッド1および第2電極パッド2とダミー導体3とが、絶縁基板4の一方主面と他方主面とに分かれて配置されるため、それぞれの配置スペースの確保が容易であり、配線基板10および電子装置用基板20としての設計の自由度等の点でも有利である。
また、実施形態の配線基板10および電子装置用基板20は、絶縁基板4の内部に設けられたアンテナ素子形成部5をさらに有している。アンテナ素子形成部5は、例えば、マイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)やホーンアンテナ等のアンテナ部、給電部およびスロット部等を有するアンテナ素子が形成される領域を含む。さらに、ダミー導体3は平面透視でアンテナ素子形成部5と重なっていない。
アンテナ素子形成部5が含まれていることによって、外部電気回路(上記の外部電気回路基板に搭載される他の電子装置または他の電子機器が備える電子回路等)との無線による信号の授受が可能になる。
また、このアンテナ素子形成部5がダミー導体3と平面透視で重なっていないため、アンテナ素子形成部5に含まれるアンテナ素子(素子としては図示せず)から送信または受信される信号をダミー導体3が妨げる可能性が低い。例えば、アンテナ素子形成部5にパッチアンテナの複数のアンテナ部が縦横に配列されている場合に、アンテナ部間にダミー導体3を設けたとき、すなわち、アンテナ素子形成部5がダミー導体3と平面透視で重なっているときには、この重なりに起因した互いの電磁的な干渉や、アンテナ部を覆う絶縁層の厚みのばらつきに起因して、アンテナ特性の向上が難しい。これに対して、このように重ならないようにすることでアンテナ特性をより効果的に高くすることができる。
本発明の実施形態の多数個取り配線基板の一例を図2に示す。図2(a)は本発明の実施形態の多数個取り配線基板30における一方主面の平面図であり、図2(b)は図2(a)の他方主面の平面図であり、図2(c)は図2(a)のB−B線における断面図である。
実施形態の多数個取り配線基板30は、例えば、ダミー導体3以外については実施形態の配線基板10と同様の配線基板となる複数の領域(配線基板領域6)が縦横の並びに配列されて基本的に形成されている。また、この複数の配線基板領域6の外側にダミー領域7が設けられている。
すなわち、四角板状の母基板44の中央部に複数の配線基板領域6が配列され、外周部に四角枠状のダミー領域7が配置されている。ダミー領域7は、例えば捨て代領域であり、多数個取り配線基板30の取り扱いを容易とすること等のために設けられている。以下の説明において、それぞれの配線基板領域6における個片の配線基板10と同様の部位については同様の呼称とし、同様の符号を付している。
母基板44は、上記のように個片の配線基板10における絶縁基板4になる複数の領域(配線基板領域6)およびダミー領域7を有しているとともに、主面を含む外表面を有している。
また、それぞれの配線基板領域6において母基板44の内部に第1内部導体11および第1内部導体11よりも体積が大きい第2内部導体22を有している。
また、それぞれの配線基板領域6において母基板44の主面(図2の例では上面)に第1電極パッド1が設けられている。また、それぞれの配線基板領域6において母基板44の内部には第1内部導体11が設けられている。それぞれの第1電極パッド1は、第1内部導体11に電気的に接続されている。
また、それぞれの配線基板領域6において母基板44の主面(図2の例では上面)に第2電極パッド2が設けられている。また、それぞれの配線基板領域6において母基板44の内
部には第2内部導体22が設けられている。それぞれの第2電極パッド2は、第2内部導体22に電気的に接続されている。
多数個取り配線基板30においても、第1電極パッド1、第2電極パッド2、第1内部導体11および第2内部導体22の機能は、それぞれ個片の配線基板10の場合と同様である。
また、ダミー領域7において母基板44の外表面にダミー導体3が設けられている。このダミー導体3についても、個片の配線基板10の場合と同様に第2内部導体22と電気的に接続されている。
実施形態の多数個取り配線基板30は、上記の構成を有することから、上記の配線基板10と同様に第1電極パッド1および第2電極パッド2に、厚みばらつきを小さくしてめっき被膜を被着させることができる。また、そのダミー導体3をダミー領域7に形成できることから、配線基板領域6(個片の配線基板10に相当)にダミー導体3を設ける必要がない。さらに、より広い露出面積のダミー導体3を設けることも容易である。したがって、個片の配線基板10としての小型化および高密度化がより容易であり、第1電極パッド1および第2電極パッド2に被着されるめっき厚みのばらつきが小さい多数個取り配線基板30を提供することができる。
多数個取り配線基板30は、上記の配線基板10と同様の各種の材料を用い、同様の方法で製作することができる。
すなわち、母基板44は、例えば絶縁基板4と同様にガラスセラミック焼結体等のセラミック焼結体によって形成され、絶縁基板4と同様にして作製したガラスセラミックグリーンシート(グリーンシートという)を積層し、焼成することによって製作することができる。
また、第1電極パッド1、第2電極パッド2は、第1内部導体11および第2内部導体22についても、銅等の金属ペーストを母基板44となるグリーンシートに印刷し、同時焼成することによって形成することができる。
母基板44はガラスセラミック焼結体からなるものであるときに、母基板44の外表面に設けられているとともに第2電極パッド2とダミー導体3とを直接に接続する接続導体8をさらに有するものであってもよい。またこの場合に、接続導体8を介して、第2内部導体22とダミー導体3とが互いに電気的に接続されているものであってもよい。この場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
また、多数個取り配線基板30が上記構成を有する場合には、多数個取り配線基板30およびこれが個片に分割されてなる配線基板10、さらにその配線基板10を含む電子装置用基板20の電気的な特性、および長期信頼性の向上においてより有利である。
すなわち、この場合には、多数個取り配線基板30としての焼成温度が、例えば酸化アルミニウム質焼結体で母基板44が形成されるときに比べて低く抑えられるため、第1および第2電極パッド1、2等の導体部分を低抵抗の銅または銀等の金属材料を含むものとすることが容易である。そのため、電気特性の向上が容易である。
また、母基板44がガラスセラミック焼結体からなる場合には、上記のように焼結温度が比較的低く、仮に絶縁層の層間に、第2電極パッド2とダミー導体3とを電気的に接続する接続導体が配置されている場合(図示せず)には、個片に分割されたときに、接続導体周辺におけるデラミネーションの可能性が比較的高い。これは、個片の絶縁基板4の側面
に接続導体の端部(分断された部位)が露出すること等に起因する。
これに対して、例えば図3に示すように、母基板44の主面等の外表面に接続導体8が設けられていれば、デラミネーションの可能性が低減される。また、デラミネーション部分から外部の水分が絶縁基板4の内部に侵入する可能性も効果的に低減される。なお、図3は、本発明の実施形態の変形例の多数個取り配線基板30における一方主面の平面図である。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
なお、接続導体8の上面にさらに絶縁コート層(図示せず)を設けても構わないが、接続導体8と絶縁コート層との間で剥離が生じる可能性がある。この場合には、その剥離部分(隙間)に外部から水分が侵入して毛管現象で広がり、この水分が互いに隣り合う接続導体8同士でつながり、電気的短絡を生じる可能性がある。そのため、このような水分の広がりに起因した電気的短絡をより効果的に抑制するために、互いに異なる電位の接続導体8間には絶縁コートの非形成部を設けることが望ましい。非形成部において上記の水分の広がりが妨げられるため、互いに異なる電位の接続導体8間における電気的短絡の可能性が大きく低減される。
また、図3の例においては、それぞれの配線基板領域6において、複数の第2電極パッド2が縦横に配列されている。また、接続導体8は、縦横に配列された複数の第2電極パッド2のうち配列の角部に配置された第2電極パッド2以外の第2電極パッド2に直接に接続されている。図3の例では、配列の最外周のうち辺部分に相当するもののうち中央に位置する第2電極パッド2に接続導体8が直接に接続されている。なお、接続導体8の上面には絶縁コート層が設けられておらず、表面に露出している。
この場合にも上記と同様に第1電極パッド1と第2電極パッド2との間で、それぞれに被着されるめっき被膜の厚みのばらつきが好適に低減され得る。
また、この場合には、例えば第2電極パッド2がはんだ等の、接続作業時には流動性を有する導電性接続材を介して電子部品等と電気的に接続されるときに、接続導体8上に導電性接続材が濡れ広がる。仮にこのような濡れ広がりが生じると、接続導体8上の部分からはんだ等にクラックが生じやすくなる可能性がある。例えばこのクラックが起点になって、第2電極パッド2と電子部品等との間でもはんだ等にクラックが生じ、接続信頼性の向上が難しくなる可能性がある。これに対して、上記のように、熱応力が比較的大きい配列の角部を避けて第2電極パッド2と接続導体8とを接続させることで、上記のようなクラックをより効果的に抑制することができる。
なお、上記課題を解決するために、異なる電位の接続導体8間に絶縁コート層非形成部を設けるようにして、接続導体8上に絶縁コート層を設けて接続導体8上に導電性接続材が濡れ広がらないようにしてもよい。
なお、本発明は以上の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、絶縁基板4または母基板44の内部にさらに内部ダミー導体(図示せず)を設けるとともにこれを第1電極パッド1に電気的に接続してもよい。この場合には、第1内部導体11(および内部ダミー導体)と第2内部導体22との体積の差を低減して、第1電極パッド1および第2電極パッド2に被着されるめっき厚みのばらつきをより容易に小さくすることができる。
また、第1内部導体11および第2内部導体22がともに複数の線路状のパターン、またはともに、線路状のパターンと面状の導体層(上記べたパターン)との両方を有するものであって、第2内部導体22の体積の合計が、第1内部導体11の体積の合計よりも大きい形態
であっても構わない。
1・・・第1電極パッド
2・・・第2電極パッド
11・・・第1内部導体
22・・・第2内部導体
3・・・ダミー導体
4・・・絶縁基板
44・・・母基板
5・・・アンテナ素子形成部
6・・・配線基板領域
7・・・ダミー領域
8・・・接続導体
10・・・配線基板
20・・・電子装置用基板
30・・・多数個取り配線基板

Claims (3)

  1. 一対の主面を含む外表面を有する絶縁基板、
    該絶縁基板の内部に設けられた第1内部導体および該第1内部導体よりも体積が大きい第2内部導体、
    前記絶縁基板の前記一対の主面の少なくとも一方に設けられており、前記第1内部導体に電気的に接続された第1電極パッド、
    前記絶縁基板の前記一対の主面の少なくとも一方に設けられており、前記第2内部導体に電気的に接続された第2電極パッド、
    および前記絶縁基板の前記外表面に設けられており、前記第2内部導体に接続されたダミー導体、を備える配線基板と、
    前記第1電極パッド、前記第2電極パッドおよびダミー導体の露出表面に被着された無電解めっき被膜とを備えており、
    前記一対の主面のうち、前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドが設けられた部位に電子部品の搭載部を有することを特徴とする電子装置用基板。
  2. 前記第1内部導体は線路状のパターンで形成された信号用の配線導体であり、前記第2内部導体は、平面視で前記第1電極パッドおよび前記第2電極パッドよりも大きい面状の接地用または電源用の導体層を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子装置用基板
  3. 前記絶縁基板の内部に設けられた、アンテナ素子が形成されるアンテナ素子形成部をさらに備えており、
    前記ダミー導体は平面透視で前記アンテナ素子形成部と重なっていないことを特徴とする請求項1に記載の電子装置用基板
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