JP6478895B2 - エレベータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータのブレーキ装置の騒音レベルの異常を検知して乗りかごの運行を制御するエレベータ装置及びその運行制御方法に関する。
従来、エレベータ装置では乗りかごを停止させるモードではないにも拘らず、ブレーキ装置が作動したまま巻上機が回転し、乗りかごが走行する異常な状態の所謂引き摺り走行状態が発生する場合がある。こうした引き摺り走行状態は、ブレーキ装置の故障や調整不良等の不測の原因により発生するが、係る状態が継続すると被制動体を押圧する制動部材の摩耗が進行し、制動力が低下してしまう。従って、引き摺り走行状態が発生した場合には適切に検出する必要があり、また引き摺り走行状態が検出された場合には乗りかごから利用者(乗客)を安全且つ迅速に降車させる必要がある。
そこで、エレベータの巻上機の異常検知に係る技術も提案されており、例えば巻上機の騒音および振動を同時に検出することにより、高い信頼性で巻上機の異常発生を判定することができる「エレベータ装置」(特許文献1参照)や、巻き上げ機の保守点検をエレベータの運転中にでき、異常が起こった場合に異常時間前後の状況を遠隔により確認でき、巻き上げ機の異常時に原因究明が容易であり、消耗品の最適な交換時期を把握できる「エレベータ遠隔保守システム」(特許文献2参照)が挙げられる。
特開2005−247468号公報 特開2003−192248号公報
上述した特許文献1記載の技術は、加速度センサ及びマイクロフォンを用いて巻上機の振動・騒音を測定し、それぞれの測定結果を組み合わせて異常部位を判定するもので、通常走行時との騒音レベル偏差が小さく、振動レベル偏差のみが所定値より大きい場合にブレーキの解放不良状態と判定するため、引き摺り走行状態を検出するためには振動・騒音の両方の測定が必要となり、装置が複雑化して小型化や低コスト化を実現し難いという問題がある。
また、特許文献2記載の技術は、巻き上げ機の状態を監視するためのカメラ及びマイクと、それらの位置・方向を変動させる駆動機構と、ネットワークに接続された遠隔保守装置と、を備えたシステム構成において音の大きさが閾値より大きい場合に異常を判断するもので、異常判断時には音が最大となる位置を特定し、特定した位置で音及び映像を測定することで異常部位を判定するため、その判定した異常部位よりも大きい音源が他に発生(存在)する場合には異常部位の特定が困難となってしまう虞がある。
即ち、特許文献1や特許文献2に係る技術では、引き摺り走行状態の検出を安価な小型構成で簡易且つ適確に検出できないという問題がある。その他、一般に利用者(乗客)の安全を確保するためには全てのエレベータ装置が引き摺り走行状態の継続を防止する機能を有していることが望まれるため、係る機能を持たない既設の旧式エレベータ装置については改造を行って専用ユニットを追加設置する等の対処が必要になるが、こうした場合には適用台数が多い程、必要コストが膨大となる他、設置スペースが限られるためになるべく小型化できることが望まれている。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、引き摺り走行状態を安価な小型構成で簡易にして適確に検出でき、制動部材の摩耗進行の抑制に寄与し得るエレベータ装置及びその運行制御方法を提供することにある。
上記技術的課題を解決するため、本発明の第1の手段は、乗りかごを建物に設備された昇降路における階床間で昇降させる巻上機と、前記巻上機に制動力を与えるブレーキ装置と、前記ブレーキ装置に付設されて当該ブレーキ装置の制動部材の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音測定装置と、前記騒音レベル信号に基づいて異常を検出する異常検出装置と、前記巻上機及び前記ブレーキ装置の動作を制御する制御装置と、を備えたエレベータ装置において、前記異常検出装置は、前記騒音測定装置からの前記騒音レベル信号を測定データとして記録する記録部と、前記騒音レベル信号のレベル値についてのエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値に対する周波数分析を行って騒音特徴点のデータを生成する周波数分析部と、前記騒音特徴点のデータの分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音特徴点のデータの騒音レベル値とを比較した結果、当該分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に前記巻上機の異常として、前記乗りかごの引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力する異常判定部と、を備え、前記制御装置は、前記異常検出装置の前記異常判定部から前記異常信号を入力した場合、非常時の運行制御として、前記巻上機を動作制御して前記乗りかごを減速走行させた上で前記階床における所定の階で停止させる動作制御部を備え、前記騒音測定装置は、鉛直方向に伸縮可能な土台部と当該土台部に対して伸縮及び回転可能な腕部とを含む架台構造として前記巻上機の近傍に設置されると共に、当該腕部の先端外方側に前記ブレーキ装置の制動部材の騒音レベルを検出して前記騒音レベル信号を出力する集音手段による騒音センサ部が設けられたことを特徴とする。
また、上記技術的課題を解決するため、本発明の第2の手段は、乗りかごを建物に設備された昇降路における階床間で昇降させる巻上機と、巻上機に制動力を与えるブレーキ装置と、ブレーキ装置に付設されて当該ブレーキ装置の制動部材の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音測定装置と、騒音レベル信号に基づいて異常を検出する異常検出装置と、巻上機及びブレーキ装置の動作を制御する制御装置と、を備えたエレベータ装置の運行制御方法において、異常検出装置における周波数分析部による騒音測定装置からの騒音レベル信号のレベル値についてのエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値に対する周波数分析を行って生成される騒音特徴点のデータの分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音特徴点のデータの騒音レベル値とを当該異常検出装置における異常判定部で比較した結果、当該分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に巻上機の異常として、引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力する引き摺り走行状態判定ステップと、引き摺り走行状態判定ステップでの異常信号を入力した場合に制御装置の動作制御部により非常時の運行制御として、巻上機を動作制御して乗りかごを減速走行させた上で階床における所定の階で停止させる動作制御ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、上記構成により、引き摺り走行状態を安価な小型構成で簡易にして適確に検出でき、制動部材の摩耗進行の抑制に寄与し得るようになる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例に係るブレーキ装置を含むエレベータ装置の全体的な構成を示した図である。 図1に示すエレベータ装置における要部のブレーキ装置(正面方向及び側面方向での構造を示す)及びそれに対する制御系の制御装置の細部構成を示した図である。 図2に示すブレーキ装置に付設される騒音測定装置の概略構成を正面方向から示した図である。 図2に示す制御装置におけるブレーキ装置の引き摺り走行状態の検出を含む非常時の運行制御処理に係る動作処理を示したフローチャートである。 図2に示す制御装置における異常判定部での引き摺り走行状態の判定に供されるブレーキ装置の制動部材の通常走行時及び引き摺り走行発生時に係る周波数に対する騒音レベルの関係で示される特性図である。
以下、本発明のエレベータ装置及びその運行制御方法について、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係るブレーキ装置6を含むエレベータ装置1の全体的な構成を示した概略図である。
図1を参照すれば、このエレベータ装置1は、利用者(乗客)を収容して建物に設備された昇降路7における階床間を昇降する乗りかご2と、一端が乗りかご2に接続されると共に、他端が釣合い錘3に接続される主ロープ4と、主ロープ4が巻き掛けられると共に、ブレーキ装置6が付設されて乗りかご2を昇降させる巻上機5と、が昇降路7内に備えられ、昇降路7上部の機械室等に設けられる図1中では図示されない後述する制御装置8によって巻上機5を制御することで主ロープ4を介して乗りかご及び釣合い錘3に駆動力が伝動される結果、乗りかごと釣合い錘3とが相反する方向にシーソ式で昇降するようになっている。
図2は、エレベータ装置における要部のブレーキ装置6(正面方向及び側面方向での構造を示す)及びそれに対する制御系の制御装置8の細部構成を示した図である。
図2を参照すれば、ブレーキ装置6は、巻上機5に制動力を与えるために電磁式タイプが採用されており、主にブレーキドラム61、ブレーキレバー62、ブレーキシュー63、ブレーキライニング64、制動ばね65、及び電磁コイル66等を備えて構成される他、その制動部材(後述するブレーキシュー63、ブレーキライニング64が該当する)の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音測定装置76がブレーキドラム61近傍に付設されている。
このうち、ブレーキドラム61は、巻上機5の回転軸に連結され、その回転軸の回転動作に伴って回転する円筒形状の被制動体である。ブレーキレバー62は、ブレーキドラム61の両側にそれぞれ配置され、下端はピン75により回転可能に固定され、制動時にブレーキドラム61を挟み込むように動作する。ブレーキシュー63は、ブレーキレバー62に固定され、制動時にブレーキレバー62の挟み込む動作に連動してブレーキドラム61を押圧する制動部材となる。また、ブレーキライニング64は、ブレーキシュー63に固定され、制動時にブレーキシュー63の押圧動作に連動してブレーキドラム61の外周面に当接する制動部材となる。このブレーキライニング64がブレーキドラム61の外周面に当接することにより、ブレーキライニング64とブレーキドラム61との間に摩擦力が発生する。そして、この摩擦力により、ブレーキドラム61に連結されている回転軸の回転動作を停止すること、即ち、乗りかご2の走行を停止することができる。
ロッド73に抜け止め係止部を介して取り付けられた制動ばね65は、ブレーキレバー62に対してブレーキドラム61を挟み込ませるばね力を付勢する付勢部材である。電磁コイル66は、ブレーキレバー62の上部に設置され、一方のプランジャ67、他方のプランジャ68、ロッド69、L形レバー70、及びボルト71を連動させて、制動ばね65のばね力に抗ってブレーキレバー62を開放するように動作する。
具体的に詳述すれば、マグネットケース72内に収容された電磁コイル66に電流を流すと、電磁コイル66は一方のプランジャ67を励磁し、励磁された一方のプランジャ67は、他方のプランジャ68を吸引し、他方のプランジャ68に接続されているロッド69を下方に移動させる。下方に移動したロッド69は、ピン74により回転可能に固定されたL形レバー70を介してボルト71をブレーキドラム61の方向とは反対方向に押圧する。これによって、ブレーキライニング64とブレーキドラム61との当接状態が解除される非制動状態となる。
これに対し、電磁コイル66に流れる電流を遮断すると、一方のプランジャ67により吸引されていた他方のプランジャ68が一方のプランジャ67から引き離され、他方のプランジャ68に接続されているロッド69が上方に移動し、L形レバー70を介してボルト71に付勢されていた押圧力が解除される。これによって上述した通り、制動ばね65がブレーキレバー62を押圧し、ブレーキライニング64とブレーキドラム61とが当接する制動状態となる。
ところで、実施例に係るエレベータ装置1では、電磁コイル66に電流を流し、非制動状態としたにも拘らず(乗りかご2を停止させるモードでないにも拘らず)、調整不良等によりブレーキライニング64の一部又は全部とブレーキドラム61とが当接した制動状態となる引き摺り走行状態(巻上機5がブレーキ装置6からの制動力を受けたまま回転し、乗りかご2が走行する状態)を適切に検出し、検出後のブレーキライニング64の摩耗を抑制することを技術的課題としている。そこで、このブレーキ装置6には、引き摺り走行状態を適切に検出するために上述した騒音測定装置76が備えられている。
図3は、ブレーキ装置6に付設される騒音測定装置76の概略構成を正面方向から示した図である。
図3を参照すれば、この騒音測定装置76は、鉛直方向に伸縮可能な土台部78と土台部78に対して伸縮及び回転可能な一対の腕部79とを含むY字形架台77の構造として巻上機5の近傍に設置されるもので、腕部79の先端外方側に制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する集音手段としてのマイクロフォン80による騒音センサ部が設けられた構成となっている。
係る騒音測定装置76では、マイクロフォン80で集音して検出される騒音レベル値(Dn)が予め設定されている騒音レベル設定値(D0)以上である場合(Dn≧D0である場合)に、騒音レベル信号S1を生成して制御装置8へ出力する。このような騒音測定装置76は、通常既設の旧式のエレベータ装置1に設置されていないため、旧式のエレベータ装置1を対象にして後述する制御装置8による運行制御処理を実行させる場合には、騒音測定装置76を別途設置しておく必要がある。上述した騒音測定装置76によれば、設置に際してY字形架台77を制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の近くに設置し、両方の腕部79の先端外方側にマイクロフォン80を取り付ければ良い。この場合、ブレーキ装置6の構造に依らずマイクロフォン80を制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の近傍に配置することができるため、騒音測定装置76を簡易に設置でき、制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の騒音レベルを適確に測定することができる。
制御装置8は、巻上機5及びブレーキ装置6と共に図示されない昇降路1上部の機械室に設置され、巻上機5及びブレーキ装置6の動作を制御するコンピュータ機能を持つもので、よく知られているように中央演算処理部(CPU:Central Processing Unit)86の他、中央演算処理部(CPU)86を動作させるためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを備える。尚、エレベータ装置1が機械室レスの構造であれば、制御装置8は巻上機5及びブレーキ装置6と共に昇降路7内に設置される構成となる。
制御装置8のメモリには、エレベータ装置1の通常走行時の運行を制御するためのプログラムが格納される他、非常時の運行を制御するためのプログラムが格納される。ここでは非常時の運行を制御するプログラムとして、後述する異常検出部81及び動作制御部82として働く処理機能が格納されており、中央演算処理部(CPU)86はこれらの異常検出部81及び動作制御部82の処理機能と協働してエレベータ装置1の非常時の運行を制御することにより、制御装置8による引き摺り走行状態の検出を含む運行制御処理機能が構築される。
異常検出部81の処理機能は、騒音測定装置76からの騒音レベル信号S1を測定データとして記録する記録部83と、騒音レベル信号S1のレベル値についての中央演算処理部(CPU)86から取得したエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値に対する周波数分析を行って騒音特徴点のデータを生成する周波数分析部84と、騒音特徴点のデータの分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音特徴点のデータの騒音レベル値とを比較した結果、分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に巻上機5の異常として、乗りかごを停止させるモードでないにも拘らず、巻上機5がブレーキ装置6からの制動力を受けたまま回転し、乗りかご2が走行する引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力する異常判定部85と、を有する。
このうち、周波数分析部84は、分析結果の騒音レベル値として、中央演算処理部(CPU)86から入力したエレベータの定格速度データに示される定格速度走行に対応して設定される周波数値に対するピーク値を抽出する。また、異常判定部85は、分析結果の騒音レベル値の周波数値に対するピーク値が所定の騒音レベル値よりも大きい場合に引き摺り走行状態と判定して異常信号を生成する。
動作制御部82の処理機能は、異常検出部81の異常判定部85から異常信号を入力した場合、制限運転指令信号S2を生成してエレベータ装置1の非常時の運行制御として、巻上機5を動作制御して乗りかご2を減速走行させた上で所定の階で停止させるものである。乗りかご2を停止する所定の階は、階床における最寄階とすることが好ましいが、それ以外にも地面と最も近い地上階としても良い。また、動作制御部82の処理機能は、巻上機5を制御して乗りかご2を所定の階で停止させた後に制限運転指令信号S2により巻上機5及びブレーキ装置6を動作休止させると共に、引き摺り走行状態が検出されたことを外部に通知する機能を持つ。
図4は、制御装置8におけるブレーキ装置6の引き摺り走行状態の検出を含む非常時の運行制御処理に係る動作処理を示したフローチャートである。
図4を参照すれば、制御装置8の運行制御処理に係る動作処理は、制御装置8の電源がオンにされた状態を契機として、制御装置8の中央演算処理部(CPU)86、異常検出部81、及び動作制御部82の処理機能が協働して実行される。まず騒音測定装置76から騒音レベル信号S1が異常検出部81に入力された場合にブレーキ引き摺り発生(ステップS101)の処理モードが実施され、異常検出部81が制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の記録部83に記録された騒音レベル信号S1の騒音レベル値Dnが騒音測定装置76で予め設定されている騒音レベル設定値D0以上(Dn≧D0)であるか否かを判定(ステップS102)する。例えば引き摺り走行状態が継続している場合を想定すると、摩擦により被制動体であるブレーキドラム61と制動部材であるブレーキライニング64との接触部分の騒音レベルが上昇し、ブレーキライニング64及びブレーキシュー63の騒音レベルが上昇するため、上昇した騒音レベル値Dnが異常検出部81に入力されることになる。
この判定(ステップS102)の結果、Dn≧D0でなければ(Dn<D0であれば)、この判定(ステップS102)の前に戻って判定処理を繰り返すが、Dn≧D0であれば、異常検出部81では異常継続時間tをカウント開始(ステップS103)する処理を行った後、異常継続時間tが異常継続時間設定値t0以上(t≧t0)であるか否かを判定(ステップS102)する。この判定の結果、t≧t0でなければ(t<t0であれば)、先の判定(ステップS102)の前に戻って判定処理を繰り返すが、t≧t0であれば、異常検出部81の周波数分析部84で周波数分析を実施するために中央演算処理部(CPU)86から定格速度より設定された周波数値(エレベータの定格速度データに示される定格速度走行に対応して設定された周波数値)fを入力(ステップS105)し、検出データ(測定データ)に対して周波数分析部84での周波数分析(ステップS106)を実施する。
更に、異常判定部85では、周波数分析部84経由で中央演算処理部(CPU)86から通常走行時の騒音データ(騒音レベル値)Fnを入力(ステップS107)し、分析結果の騒音データ(騒音レベル値)Fと通常走行時の騒音データ(騒音レベル値)Fnとの偏差(F−Fn)が周波数帯騒音レベル設定値F0以上(F−Fn≧F0)であるか否かを判定(ステップS108)することで引き摺り走行状態であるか否かの判定を行う。この判定の結果、F−Fn≧F0でなければ(F−Fn<F0であれば)、引き摺り走行状態ではないが、他の異常発生を想定して点検が必要であるため、保守会社に発報(ステップS112)して外部に通知を行うようにするが、F−Fn≧F0であれば引き摺り走行状態であるとみなし、異常信号を発生して動作制御部82に出力し、動作制御部82では異常信号を入力すると制限運転指令信号S2を生成して巻上機5に出力し、ブレーキ装置6を作動させずに乗りかご2の走行速度を減速させ、乗りかご2を最寄階で停止させる最寄階運転(ステップS109)を実施する。
因みに、ブレーキ装置6の制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)には通常樹脂系の材料が用いられ、高温になると摩耗率が増大する傾向にあり、また摩耗量と被制動体(ブレーキドラム61)に対する押し付け面圧及び摺動距離との間に相関関係があることが知られている。これにより、乗りかご2を急停止させると制動中に発生する摩擦熱により制動部材の温度が急激に上昇して高温になり、摩耗率が増大するため、摩耗量が増加して制動力が低下してしまう。そこで、最寄階運転(ステップS109)の実施については、走行異常を検出した場合には乗りかご2を急停止させず、最寄階まで減速走行させるようにするため、制動力の低下を低減することができる。
その後、動作制御部82は、制限運転指令信号S2を生成して乗りかご2を最寄階で停止させた後に巻上機5及びブレーキ装置6を動作休止させるエレベータ休止(ステップS110)の処理を行った後、引き摺り走行状態が検出されて点検が必要であることを保守会社に発報(ステップS111)して外部に通知を行い、動作処理を終了してエレベータ復旧に供する。通知を受領した保守会社の保守点検員は、現場に赴いてブレーキ装置6を点検し、制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の摩耗量を確認し、摩耗量が小さい場合にはブレーキ装置6の再調整を実行し、また摩耗量が大きい場合には制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)を交換する等の適切な処置を行う。最終的に安全運転が確認されると、エレベータ復旧となってエレベータ装置1の運転が再開されることになる。
図5は、上述した制御装置8における異常判定部85での引き摺り走行状態の判定に供されるブレーキ装置6の制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の通常走行時及び引き摺り走行発生時に係る周波数に対する騒音レベルの関係で示される特性図である。
図5を参照すれば、制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)の騒音レベルは、通常走行時の値に対し、引き摺り走行状態時は被制動体であるブレーキドラム61が一回転する間に偏芯等により制動部材(ブレーキシュー63、ブレーキライニング64)との接触状態が変化するため、ブレーキドラム61の回転速度、即ち、エレベータの走行速度に比例した周波数帯の値が増大する傾向がある。具体的には、エレベータの走行速度をv[m/s]、被制動体であるブレーキドラム61の直径をDs[m]とすると、ブレーキドラム61の回転周期T[s]はT[s]=πDs/vなる関係式で得られ、引き摺り走行状態時には周波数f[Hz]=v/πDsの騒音が発生する。従って、検出(測定)された騒音データを周波数分析する場合には、予めエレベータの定格速度に合わせて処理する周波数帯(定格速度走行に対応する周波数)を設定することにより、周波数分析処理の手間を低減することができる。また、異常判定部85での異常検出後に動作制御部82が直ちに乗りかご2を減速して最寄階に停止させれば、制動能力の低下が最小限に抑えられ、安全且つ速やかに乗りかご2内の利用者(乗客)を退避させることができる。
以上に説明したように、実施例に係るエレベータ装置1によれば、制御装置8の異常検出部81において、ブレーキ装置6の制動部材(ブレーキシュー63又はブレーキライニング64)の騒音レベルを検出した騒音測定装置76からの騒音レベル信号S1を記録部83で記録すると共に、周波数分析部84がその信号レベル値についての中央演算処理部(CPU)86から取得したエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値に対する周波数分析を行い、異常判定部85が分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音レベル値とを比較した結果、分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に巻上機5の異常の引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力し、制御装置8の動作制御部82が異常信号を入力した場合、巻上機5を動作制御して乗りかご2を減速走行させて最寄階で停止させるため、引き摺り走行状態を安価な小型構成で簡易にして適確に検出でき、制動部材(ブレーキシュー63又はブレーキライニング64)の摩耗進行の抑制に寄与し得るようになる。また、乗りかご2を最寄階で停止させた後に巻上機5及びブレーキ装置6を動作休止させるため、制動部材(ブレーキシュー63又はブレーキライニング64)の制動力の低下を防止することができる。更に、引き摺り走行状態が検出されて点検が必要であることを外部に通知するため、エレベータ復旧を迅速且つ適確に行わせることが可能になる。加えて、周波数分析においては、予め設定された周波数値に対してのみ実施すれば良いため、制御装置8の演算能力は最低限で良く安価に処理を実行することができる。
以上に説明した実施例に係るエレベータ装置1では、引き摺り走行状態を安価な小型構成で簡易にして適確に検出できるように、制御装置8のメモリ内に異常検出部81の処理機能及び動作制御部82の処理機能がプログラムによって構築される場合を説明したが、異常検出部81の各部の処理機能については同等な処理機能を持つ各部を備えた異常検出装置を制御装置8とは別体にしてハードウェア構成として付設する構成としたり、或いは動作制御部82の処理機能についても同様にハードウェア構成の動作制御装置として制御装置8の内外に設けることが可能である。何れにせよ、図4を参照して説明した制御装置8による引き摺り走行状態の検出を含む運行制御処理は、エレベータ装置1の運行制御方法として換言することができる。
この場合のエレベータ装置1の運行制御方法は、異常検出装置(異常検出部81)における周波数分析部84による騒音測定装置76からの騒音レベル信号のレベル値についてのエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値(CPUから取得される)に対する周波数分析を行って生成される騒音特徴点のデータの分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音特徴点のデータの騒音レベル値とを異常検出装置(異常検出部81)における異常判定部85で比較した結果、分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に巻上機5の異常として、引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力する引き摺り走行状態判定ステップと、引き摺り走行状態判定ステップでの異常信号を入力した場合に制御装置8の動作制御部82により非常時の運行制御として、巻上機5を動作制御して乗りかご2を減速走行させた上で階床における所定の階で停止させる動作制御ステップと、を有するものとなる。また、動作制御ステップでは、乗りかご2を停止する所定の階として、階床における最寄階又は地面と最も近い地上階とすることが好ましい。因みに、乗りかご2を地上階まで走行させて地上階で停止させる場合には乗りかご2内の利用者(乗客)の安全を十分に図ることができる。更に、動作制御ステップの実施後に制御装置8の動作制御部82により巻上機5及びブレーキ装置6を動作休止させると共に、引き摺り走行状態が検出されたことを外部に通知する動作休止及び引き摺り走行検出通知ステップを有するものとなる。
尚、上述した実施例に係るエレベータ装置1では、ブレーキ装置6をドラム式ブレーキとした場合について説明したが、ディスク式ブレーキについても同様に適用できるため、代用することが可能である。また、実施例では昇降路7内に乗りかご2が1台設置された1系統のエレベータ装置1について説明したが、乗りかご2が2台以上設置される複数系統のエレベータ装置についても同様に適用できるため、本発明のエレベータ装置及びその運行制御方法は実施例で開示した形態に限定されない。
1 エレベータ装置
2 乗りかご
3 釣合い錘
4 主ロープ
5 巻上機
6 ブレーキ装置
7 昇降路
8 制御装置
61 ブレーキドラム
62 ブレーキレバー
63 ブレーキシュー
64 ブレーキライニング
65 制動ばね
66 電磁コイル
67、68 プランジャ
69、73 ロッド
70 ボルト
71 L形レバー
72 マグネットケース
74、75 ピン
76 騒音測定装置
77 Y字形架台
78 土台部
79 腕部
80 マイクロフォン
81 異常検出部
82 動作制御部
83 記録部
84 周波数分析部
85 異常判定部
86 中央演算処理部

Claims (5)

  1. 乗りかごを建物に設備された昇降路における階床間で昇降させる巻上機と、前記巻上機に制動力を与えるブレーキ装置と、前記ブレーキ装置に付設されて当該ブレーキ装置の制動部材の騒音レベルを検出して騒音レベル信号を出力する騒音測定装置と、前記騒音レベル信号に基づいて異常を検出する異常検出装置と、前記巻上機及び前記ブレーキ装置の動作を制御する制御装置と、を備えたエレベータ装置において、
    前記異常検出装置は、前記騒音測定装置からの前記騒音レベル信号を測定データとして記録する記録部と、前記騒音レベル信号のレベル値についてのエレベータの定格速度データに基づいて設定される周波数値に対する周波数分析を行って騒音特徴点のデータを生成する周波数分析部と、前記騒音特徴点のデータの分析結果の騒音レベル値と通常走行時の騒音特徴点のデータの騒音レベル値とを比較した結果、当該分析結果の騒音レベル値の偏差が所定値よりも大きい場合に前記巻上機の異常として、前記乗りかごの引き摺り走行状態であると判定して異常信号を出力する異常判定部と、を備え、
    前記制御装置は、前記異常検出装置の前記異常判定部から前記異常信号を入力した場合、非常時の運行制御として、前記巻上機を動作制御して前記乗りかごを減速走行させた上で前記階床における所定の階で停止させる動作制御部を備え、
    前記騒音測定装置は、鉛直方向に伸縮可能な土台部と当該土台部に対して伸縮及び回転可能な腕部とを含む架台構造として前記巻上機の近傍に設置されると共に、当該腕部の先端外方側に前記ブレーキ装置の制動部材の騒音レベルを検出して前記騒音レベル信号を出力する集音手段による騒音センサ部が設けられたことを特徴とするエレベータ装置。
  2. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記所定の階は、前記階床における最寄階であることを特徴とするエレベータ装置。
  3. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記所定の階は、前記階床における地面と最も近い地上階であることを特徴とするエレベータ装置。
  4. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記周波数分析部は、前記分析結果の騒音レベル値として、前記制御装置が具備する中央演算処理部から入力した前記エレベータの定格速度データに示される定格速度走行に対応して設定された前記周波数値に対するピーク値を抽出し、
    前記異常判定部は、前記分析結果の騒音レベル値の前記周波数値に対するピーク値が所定の騒音レベル値よりも大きい場合に前記引き摺り走行状態と判定して前記異常信号を生成することを特徴とするエレベータ装置。
  5. 請求項1記載のエレベータ装置において、
    前記制御装置は、前記動作制御部により前記巻上機を制御して前記乗りかごを前記所定の階で停止させた後に当該巻上機及び前記ブレーキ装置を動作休止させると共に、前記引き摺り走行状態が検出されたことを外部に通知することを特徴とするエレベータ装置。
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