JP2011032049A - エレベータ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの増加を抑制することができ、回転体に対する制動部材の接触による鳴き音の発生を抑制することができるエレベータ装置を得る。
【解決手段】エレベータ装置において、ブレーキ装置5は、ブレーキ装置5は、かご6の移動に応じて回転されるブレーキディスク9と、ブレーキディスク9に接離するブレーキシュー10とを有している。かご6には、ブレーキシュー10がブレーキディスク9に接触することにより制動力が与えられる。ブレーキ制御装置16は、巻上機エンコーダ13からの情報に基づいて、ブレーキ装置5を制御する。また、ブレーキ制御装置16は、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが保守運転時に行われているときにかご6の速度が所定の基準速度以下になると、ブレーキシュー10をブレーキディスク9から離し、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、かごの移動に応じて回転する回転体に制動部材を接触させることによりかごに制動力を与えるブレーキ装置を備えたエレベータ装置に関するものである。
エレベータ装置では、巻上機の駆動シーブと一体に回転されるブレーキディスクにライニングを押し当てることによりかごに制動力を与えるブレーキ装置が用いられていることが知られている。乗場に停止しているときのかごの位置は、ブレーキ装置による制動力がかごに与えられることにより保持される。
従来、かごに与える制動力の低下を抑制するために、ブレーキディスクに対してライニングを摺動させ、摺動により発生するライニングの磨耗粉をブレーキディスクに付着させるエレベータのブレーキ装置が提案されている。ライニングの磨耗粉の付着によってブレーキディスクに磨耗粉移着層が形成されると、ブレーキディスクとライニングとの接触面積が増加し、ブレーキディスクとライニングとの間の静摩擦係数が向上する。これにより、ブレーキ装置のかごに対する制動力の低下が抑制される(例えば特許文献1参照)。
しかし、ブレーキディスクに対してライニングを摺動させると、ブレーキディスクとライニングとがこすれることによる鳴き音が騒音として生じるおそれがある。
従来、鳴き音に起因する騒音を防止するために、ブレーキドラムの摺動部に軸方向溝を形成することによりブレーキドラムの縦波2次共振周波数を可聴波周波数以上の高周波とし、鳴き音を人間に感じさせないようにしたドラムブレーキが提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2003−146564号公報 特開平6−207632号公報
しかし、従来のブレーキ装置では、ブレーキドラムに溝を設けるという新たな加工が必要になるので、製造コストが増加してしまう。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、製造コストの増加を抑制することができ、回転体に対する制動部材の接触による鳴き音の発生を抑制することができるエレベータ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータ装置は、かごの移動に応じて回転される回転体と、回転体に接離する制動部材とを有し、制動部材を回転体に接触させることにより回転体に制動力を与えるブレーキ装置、かごの速度を検出するかご速度検出器、及び記かご速度検出器からの情報に基づいて、ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置を備え、ブレーキ制御装置は、制動部材と回転体との摺り合わせが保守運転時に行われているときにかごの速度が所定の基準速度以下になると、制動部材を上記回転体から離し、制動部材を回転体に再度接触させる。
この発明に係るエレベータ装置では、制動部材と回転体との摺り合わせが保守運転により行われているときにかごの速度が所定の基準速度以下になると、制動部材を回転体から離し、制動部材を回転体に再度接触させる制御がブレーキ制御装置により行われるので、摺り合わせ時に、鳴き音が発生しやすい回転体の回転速度の範囲を避けて制動部材を回転体に接触させることができる。これにより、回転体に対する制動部材の接触による鳴き音の発生を抑制することができる。また、ブレーキ装置に対して新たな加工を行わなくてよいので、製造コストの増加を抑制することもできる。
この発明の実施の形態1によるエレベータ装置を示す構成図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータ装置を示す構成図である。図において、昇降路1内の上部には、巻上機2が設置されている。巻上機2は、モータ3と、モータ3により回転される駆動シーブ4と、駆動シーブ4に制動力を与えるブレーキ装置5とを有している。
駆動シーブ4には、かご6及び釣合おもり7を吊り下げる懸架体8が巻き掛けられている。懸架体8としては、例えばロープやベルト等が用いられている。かご6及び釣合おもり7は、駆動シーブ4の回転により昇降路1内を上下方向へ移動される。
ブレーキ装置5は、駆動シーブ4と一体に回転するブレーキディスク(回転体)9と、共通のブレーキディスク9に接離可能な複数(この例では、2つ)のブレーキシュー(制動部材)10と、各ブレーキシュー10を個別に往復変位させる複数(この例では、2つ)のアクチュエータ11とを有している。
ブレーキディスク9は、駆動シーブ4と同軸に配置されている。また、ブレーキディスク9は、駆動シーブ4とともに、かご6及び釣合おもり7の移動に応じて回転される。
各アクチュエータ11は、ブレーキディスク9に接触する方向へブレーキシュー10を付勢する図示しない付勢ばね(付勢装置)と、付勢ばねの付勢力に逆らってブレーキシュー10をブレーキディスク9から離す開放力を発生するブレーキコイル(開放装置)12とを有している。
ブレーキシュー10は、ブレーキコイル12への給電が停止されることにより、付勢ばねの付勢力に従ってブレーキディスク9に接触する。駆動シーブ4、かご6、釣合おもり7及びブレーキディスク9には、ブレーキディスク9に対するブレーキシュー10の接触により制動力が与えられる。また、ブレーキシュー10は、ブレーキコイル12への給電が行われることにより、付勢ばねの付勢力に逆らってブレーキディスク9から離れる。駆動シーブ4、かご6、釣合おもり7及びブレーキディスク9に対する制動力は、ブレーキシュー10がブレーキディスク9から離れることにより消滅する。
モータ3には、駆動シーブ4の回転に応じた信号(パルス信号)を発生する巻上機エンコーダ13が設けられている。昇降路1内には、制御盤14が設けられている。制御盤14には、エレベータ制御装置15、ブレーキ制御装置16及び電力変換装置17が搭載されている。巻上機エンコーダ13からの信号は、エレベータ制御装置15及びブレーキ制御装置16のそれぞれへ送られる。エレベータ制御装置15及びブレーキ制御装置16では、巻上機エンコーダ13からの信号に基づいて、かご6の速度及び移動距離が求められる。即ち、巻上機エンコーダ13は、かご6の速度及び移動距離をそれぞれ検出するかご速度検出器及び移動距離検出器とされている。
制御盤14によるエレベータの運転は、図示しないモード切替スイッチの操作により、通常運転モードと保守運転モードとの間で切り替え可能になっている。通常運転モードではエレベータの通常運転が行われ、保守運転モードでは図示しない保守運転スイッチの操作による手動運転が可能になる。
エレベータ制御装置15は、通常運転時に、巻上機エンコーダ13からの信号に基づいて、目標の設定速度パターンに従った速度でかご6を移動させるための速度指令を発生する。また、エレベータ制御装置15は、保守運転時に、保守運転スイッチの操作に応じてかご6を低速で移動させるための速度指令を発生する。
電力変換装置17は、エレベータ制御装置15からの速度指令に応じた電力をモータ3に供給する。モータ3は、電力変換装置17からの電力に従って駆動シーブ4を回転させる。
ブレーキ制御装置16は、巻上機エンコーダ13からの信号及びエレベータ制御装置15からの速度指令のそれぞれに基づいて、各ブレーキコイル12への給電を制御する。ブレーキ制御装置16による各ブレーキコイル12への給電の制御は、ブレーキコイル12ごとに個別に行われる。
ブレーキ制御装置16は、通常運転時にエレベータ制御装置15の制御によりかご6が乗場に停止されると、各ブレーキコイル12への給電を停止してかご6に制動力を与える。これにより、かご6の停止位置が保持される。ブレーキ制御装置16は、保守運転時に保守運転スイッチの操作に応じた給電の制御を各ブレーキコイル12に対して個別に行う。
ここで、例えばブレーキシュー10のブレーキディスク9に対する接触面が劣化している場合やブレーキシュー10の交換を行った場合には、ブレーキディスク9を回転させながらブレーキシュー10をブレーキディスク9に接触させる摺り合わせが保守運転時に行われる。ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが行われることにより、ブレーキシュー10の接触面が活性化され、ブレーキシュー10の接触によるブレーキディスク9への制動力の安定化が図られる。
回転するブレーキディスク9にブレーキシュー10が接触すると、ブレーキディスク9に制動力が与えられ、ブレーキディスク9の回転速度が連続的に低下する。ブレーキシュー10がブレーキディスク9に接触したままブレーキディスク9の回転速度が所定の臨界速度にまで低下すると鳴き音が発生する。
ブレーキ制御装置16は、保守運転時にエレベータ制御装置15の制御によりかご6が移動されている状態で各ブレーキコイル12の少なくともいずれかへの給電を停止しているときに、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせを行っていると判断する。また、ブレーキ制御装置16は、保守運転によってブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが行われているときにかご6の速度が所定の基準速度以下になると、ブレーキシュー10をブレーキディスク9から離し、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させる制御をブレーキ装置5に対して行う。
所定の基準速度は、ブレーキ制御装置16にあらかじめ設定されている。また、所定の基準速度は、鳴き音を発生する臨界速度以上の速度とされている。臨界温度は、実験や解析等により特定されている。
一方、ブレーキシュー10の温度が所定の上限許容温度よりも高くなると、ブレーキシュー10の変質等が生じるため、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との良好な摺り合わせが行えなくなってしまう。ブレーキシュー10の温度は、回転するブレーキディスク9にブレーキシュー10が接触すると摩擦熱の発生により上昇し、ブレーキディスク9からブレーキシュー10が離れると熱の放散により低下する。従って、摺り合わせ時のブレーキ制御装置16がブレーキシュー10をブレーキディスク9から離している開放時間は、ブレーキシュー10からの熱の放散によりブレーキシュー10の温度が上限許容温度以下に維持される所定の基準時間となっている。
所定の基準時間は、ブレーキ制御装置16にあらかじめ設定されている。また、所定の基準時間は、実験や解析等により特定されている。
所定の基準時間の特定は、以下のようにして行われる。即ち、ブレーキディスク9に対するブレーキシュー10の接離をブレーキシュー10の温度が安定するまで繰り返し、温度が安定したときのブレーキシュー10の温度を測定する。この後、ブレーキシュー10をブレーキディスク9から離す開放時間を変えながら、同様の測定を行う。これにより、ブレーキシュー10のブレーキディスク9に対する開放時間と、摺り合わせ時に安定するブレーキシュー10の温度との関係が得られる。得られた関係に基づいて、ブレーキシュー10の温度が上限許容温度以下になるときの開放時間を求め、求めた開放時間を所定の基準時間とする。
次に、保守運転によって摺り合わせを行うときの手順について説明する。保守員は、まず制御盤14の運転モードを通常運転モードから保守運転モードに切り替える。この後、保守員は、保守運転スイッチの操作により、モータ3の動力で駆動シーブ4を回転させながら、かご6を移動させる。
この後、保守員は、保守運転スイッチの操作により、かご6を移動させたまま、2つのブレーキコイル12のいずれか一方のみへの給電を停止する。これにより、2つのブレーキシュー10のうち、一方のブレーキシュー10のみが付勢ばねの付勢力によりブレーキディスク9に接触する。これにより、一方のブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが行われる。
一方のブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが完了した後、保守員は、他方のブレーキシュー10についても、一方のブレーキシュー10の場合と同様にしてブレーキディスク9との摺り合わせを行う。このようにして、すべてのブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが完了する。
即ち、保守員は、各ブレーキシュー10のそれぞれについて、ブレーキディスク9との摺り合わせを個別に行う。
次に、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが行われているときのブレーキ装置5及びブレーキ制御装置16の動作について説明する。回転するブレーキディスク9にブレーキシュー10が接触して摺り合わせが開始されると、ブレーキディスク9に制動力が与えられ、ブレーキディスク9の回転速度が連続的に低下する。これにより、巻上機エンコーダ13により検出される速度も連続的に低下する。
巻上機エンコーダ13により検出される速度が所定の基準速度まで低下すると、ブレーキ制御装置16の制御により、ブレーキコイル12への給電が行われてブレーキシュー10がブレーキディスク9から離される。これにより、ブレーキディスク9の回転速度が上昇するとともに、ブレーキシュー10から熱が放散される。
この後、ブレーキシュー10がブレーキディスク9から離れてから、所定の基準時間が経過したときに、ブレーキ制御装置16の制御により、ブレーキコイル12への給電が停止されてブレーキシュー10がブレーキディスク9に再度接触する。
保守運転時には、上記の動作を繰り返しながら、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが行われる。
このようなエレベータ装置では、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との摺り合わせが保守運転により行われているときにかご6の速度が所定の基準速度以下になると、ブレーキシュー10をブレーキディスク9から離し、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させる制御がブレーキ制御装置16により行われるので、摺り合わせ時に、鳴き音が発生しやすいブレーキディスク9の回転速度の範囲を避けてブレーキシュー10をブレーキディスク9に接触させることができる。これにより、ブレーキディスク9に対するブレーキシュー10の接触による鳴き音の発生を抑制することができる。また、ブレーキ装置5に対して新たな加工を行わなくてよいので、製造コストの増加を抑制することもできる。
また、ブレーキ制御装置16がブレーキシュー10をブレーキディスク9から離している開放時間は、ブレーキシュー10の温度が上限許容温度以下に維持される所定の基準時間となっているので、ブレーキシュー10から熱を放散させる開放時間を必要以上に延ばすことなく、ブレーキシュー10の温度の異常な上昇を防止することができる。従って、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との良好な摺り合わせを維持しながら、摺り合わせを行う時間の短縮化を図ることができる。
なお、上記の例では、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に接触させるディスク式のブレーキ装置5を備えたエレベータ装置にこの発明が適用されているが、ブレーキシュー10をブレーキドラムに接触させるドラム式のブレーキ装置を備えたエレベータ装置にこの発明を適用してもよい。
また、上記の例では、かご6ぼ速度及び移動距離をそれぞれ検出するかご速度検出器及び移動距離検出器として巻上機エンコーダ13が用いられているが、かご6の移動に応じて回転される調速機シーブを有する調速機に設けられた調速機エンコーダをかご速度検出器及び移動距離検出器として用いてもよい。この場合、調速機エンコーダは、調速機シーブの回転に応じた信号(パルス信号)を発生する。また、調速機エンコーダからの信号は、エレベータ制御装置15及びブレーキ制御装置16へ送られる。
また、上記の例では、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させるときの時期が、ブレーキシュー10がブレーキディスク9から離れた後、あらかじめ設定された基準時間が経過したときとされているが、ブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させる時期を、ブレーキシュー10の温度を検出する温度センサ(温度検出器)からの情報に基づいて決定するようにしてもよい。
この場合、温度センサは、各ブレーキシュー10に接触して温度を常時検出する。また、ブレーキ制御装置16は、ブレーキシュー10をブレーキディスク9から離した後、ブレーキシュー10の温度が所定の基準温度以下になったときにブレーキシュー10をブレーキディスク9に再度接触させる。所定の基準温度は、上限許容温度(良好な摺り合わせを維持する温度の上限値)よりも低い温度とされる。このようにしても、ブレーキシュー10とブレーキディスク9との良好な摺り合わせを維持しながら、摺り合わせを行う時間の短縮化を図ることができる。
5 ブレーキ装置、6 かご、9 ブレーキディスク(回転体)、10 ブレーキシュー(制動部材)、13 巻上機エンコーダ(かご速度検出器)、16 ブレーキ制御装置。

Claims (3)

  1. かごの移動に応じて回転される回転体と、上記回転体に接離する制動部材とを有し、上記制動部材を上記回転体に接触させることにより上記回転体に制動力を与えるブレーキ装置、
    上記かごの速度を検出するかご速度検出器、及び
    上記かご速度検出器からの情報に基づいて、上記ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置
    を備え、
    上記ブレーキ制御装置は、上記制動部材と上記回転体との摺り合わせが保守運転時に行われているときに上記かごの速度が所定の基準速度以下になると、上記制動部材を上記回転体から離し、上記制動部材を上記回転体に再度接触させることを特徴とするエレベータ装置。
  2. 上記ブレーキ制御装置が上記制動部材を上記回転体から離している開放時間は、上記制動部材の温度が上限許容温度以下に維持される所定の基準時間となっていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
  3. 上記制動部材の温度を検出する温度検出器をさらに備え、
    上記ブレーキ制御装置は、上記制動部材を上記回転体から離した後、上記制動部材の温度が所定の基準温度以下になったときに上記制動部材を上記回転体に再度接触させることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
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