JP6478465B2 - 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器 - Google Patents

導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP6478465B2
JP6478465B2 JP2014038431A JP2014038431A JP6478465B2 JP 6478465 B2 JP6478465 B2 JP 6478465B2 JP 2014038431 A JP2014038431 A JP 2014038431A JP 2014038431 A JP2014038431 A JP 2014038431A JP 6478465 B2 JP6478465 B2 JP 6478465B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive adhesive
ether
resin
glycidyl ether
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014038431A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015160932A (ja
Inventor
真尚 原
真尚 原
クン ドウ
クン ドウ
若林 正一郎
正一郎 若林
内田 博
博 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2014038431A priority Critical patent/JP6478465B2/ja
Publication of JP2015160932A publication Critical patent/JP2015160932A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6478465B2 publication Critical patent/JP6478465B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Description

本発明は、導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器に関する。
近年、半導体素子および各種電気電子部品の組立あるいは基板への接着には、はんだに代わって導電性接着剤が多用されている。
例えば、下記特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤および導電性フィラーを含み、エポキシ樹脂は、25℃で250mPa・s以下の粘度で2官能以上の反応基を有する液状エポキシ樹脂をエポキシ樹脂の全量に対して10〜90質量%含有し、硬化剤は、25℃で10000Pa・s以下の粘度を有する液状フェノール樹脂を含有し、液状フェノール樹脂の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して20〜70質量%であり、導電性フィラーは、(a)D50が5〜10μm、タップ密度が4.0g/cm以上、比表面積が0.35m/g以下であるリン片状の第1の導電性フィラーと、(b)D50が1〜5μm、比表面積が0.6m/g以上、D90/D10が8以上となる粒度分布を有する第2の導電性フィラーとからなり、(b)/(a)の混合比が0.1〜1で、導電性フィラー全体の含有量は、全量に対して85〜95質量%である導電性接着剤が記載されている。
また、下記特許文献2には、十分な強度と導電性を有する導電性接着剤として銅を含有する金属フィラーと、エポキシ化合物と、ノボラック型フェノ−ル樹脂と、低分子多価フェノ−ル化合物と、硬化剤とを必須成分とする導電性接着剤が記載されている。また、下記特許文献3には、より接着強度に優れた導電性接着剤として室温で液状のエポキシ樹脂と室温で液状のフェノール樹脂とを含有させた導電性接着剤が記載されている。
特開2009-1604号公報 特開2000−192000号公報 特開2009−7453号公報
上記従来の技術においては、導電性接着剤の耐熱性が十分に確保できないという問題があった。
本発明は、耐熱性が高い導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器を提供することを目的の一つとする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、導電性接着剤であって、(A)25℃において液体であり、炭素−塩素結合を実質的に含まないグリシジルエーテル化合物と、(B)25℃において固体である平均分子量が350以上のフェノール樹脂系硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)導電フィラーとを含み、前記(A)グリシジルエーテル化合物100質量部に対して(B)フェノール樹脂系硬化剤を50〜150質量部含有することを特徴とする。
上記(A)グリシジルエーテル化合物は、炭素数が3〜30の脂肪族多価アルコールの多価グリシジルエーテルであるのが好適である。また、上記(A)グリシジルエーテル化合物は、アリルエーテル化合物のアリル基の炭素−炭素二重結合を酸化剤と反応させて得られるものであるのが好適である。
また、上記(A)グリシジルエーテル化合物の25℃における粘度は、1mPa・s〜1000mPa・sであるのが好適である。
また、上記(A)グリシジルエーテル化合物は、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、及びソルビトールヘキサグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好適である。
また、上記(B)フェノール樹脂系硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好適である。
また、上記(C)硬化促進剤は、イミダゾール化合物及びその誘導体、ホスフィン化合物及びその誘導体、並びに3級アミン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好適である。
また、上記(A)グリシジルエーテル化合物及び(B)フェノール樹脂系硬化剤の合計100質量部に対して、前記(C)硬化促進剤を0.1〜10質量部含むのが好適である。
導電性接着剤において溶剤および反応性希釈剤を含まないのが好適である。
また、上記(D)導電フィラーは、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属、または前記複数の金属の合金よりなる粒子または繊維、上記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子または繊維、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子または繊維、あるいは前記金属粒子、コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものであるのが好適である。
また、導電性接着剤中の上記(A)グリシジルエーテル化合物、(B)フェノール樹脂系硬化剤および(C)硬化促進剤の合計含有量が5〜90質量%であるのが好適である。
また、本発明の他の実施形態は、電子機器であって、上記導電性接着剤により、半導体素子、ソーラーパネル、熱電素子、チップ部品、ディスクリート部品またはこれらの組合せが基板に実装されていることを特徴とする。
また、本発明のさらに他の実施形態は、電子機器であって、上記導電性接着剤により、フィルムアンテナ、キーボードメンブレン、タッチパネル、RFIDアンテナの配線形成及び基板への接続を行ったことを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性が高い導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器を実現することができる。
製造例2で得られた1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CDMDG)のガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)で得られたトータルイオンクロマトグラム及びクロマトグラム中のピーク1(CDMDG)におけるマススペクトルを示す図である。 製造例3で得られたグリセリントリグリシジルエーテル(GLYG)のガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)で得られたトータルイオンクロマトグラム及びクロマトグラム中のピーク1(GLYG)におけるマススペクトルを示す図である。 製造例4で得られたペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETG)のサイズ排除クロマトグラフィ/質量分析(SEC/MS)で得られたトータルイオンクロマトグラム及びクロマトグラム中の画分1〜4(画分1:保持時間11〜12分、画分2:保持時間12〜13分、画分3:保持時間13〜14分、画分4:保持時間14〜15分)におけるマススペクトルを示す図である。 実施例で用いた回路サンプルの構成を示す図である。 実施例で実施した剪断強度測定方法の説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
実施形態にかかる導電性接着剤は、(A)25℃において液体であり、炭素−塩素結合を実質的に含まないグリシジルエーテル化合物と、(B)25℃において固体である平均分子量が350以上のフェノール樹脂系硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)導電フィラーとを含み、前記(A)グリシジルエーテル化合物100質量部に対して(B)フェノール樹脂系硬化剤を50〜150質量部含有することを特徴とする。本明細書において(A)グリシジルエーテル化合物、(B)フェノール樹脂系硬化剤および(C)硬化促進剤を、導電性接着剤を構成する樹脂成分としてまとめて樹脂組成物と称することがある。
(A)グリシジルエーテル化合物
本実施形態の導電性接着剤中に含まれるグリシジルエーテル化合物は、実質的に分子内に炭素−塩素結合を含まない25℃において液体である化合物である。従来のエポキシ樹脂組成物で使用されているグリシジルエーテル化合物は、主として脂肪族アルコール又はフェノールとエピクロルヒドリンとの縮合反応により製造されているが、その際に分子内に式(1)で表されるような炭素−塩素結合を含む末端基を有する化合物が副生物として生成する。これらの副生物の分離及び除去には非常に手間がかかり、完全に除去することは極めて困難である。副生物が混入したグリシジルエーテル化合物を用いると、樹脂組成物の粘度が高くなるうえ、得られる硬化物はガラス転移温度が低く耐熱性に劣る。
Figure 0006478465
本実施形態において、「炭素−塩素結合を実質的に含まない」とは、グリシジルエーテル化合物のマススペクトルにおいて炭素−塩素結合を含む化合物及びそのフラグメントに対応するピークが認められないことを意味する。より具体的には、グリシジルエーテル化合物のマススペクトルにおいて、脂肪族アルコールを原料として用いたエピクロルヒドリン法でグリシジルエーテル化合物を製造する際に副生する炭素−塩素結合を含む化合物及びそのフラグメントに対応するピークが認められないことを意味する。
本実施形態で使用する、上記副生物を生成しないグリシジルエーテル化合物の製造方法としては、アリルエーテル化合物のアリル基の炭素−炭素二重結合を酸化剤により酸化する方法が挙げられ、より具体的には例えば以下のような方法で製造することができる。
1)アリルエーテル化合物の炭素−炭素二重結合を過酸(過酢酸など)を酸化剤として用いて酸化する方法(例えば特開平7−145221号公報など)
2)アリルエーテル化合物の炭素−炭素二重結合を過酸化水素(より具体的には過酸化水素水溶液)を酸化剤として、タングステン、ゼオライトなどの触媒を用いて酸化する方法(例えば特開昭60−60123号公報など)
3)アリルエーテル化合物の炭素−炭素二重結合を過酸化水素(より具体的には過酸化水素水溶液)を酸化剤として用いてアセトニトリルの共存下塩基性雰囲気で酸化する方法(例えば特開昭59−227872号公報など)
上記方法により得られるグリシジルエーテル化合物は、必要に応じて蒸留、吸着剤処理などによって精製して用いることが好ましい。
本実施形態において用いられるグリシジルエーテル化合物は25℃において液体である。グリシジルエーテル化合物の25℃における粘度は1mPa・s〜1000mPa・sの範囲であることが好ましい。いくつかの好適な実施態様では、グリシジルエーテル化合物の25℃における粘度は5mPa・s以上、又は10mPa・s以上、500mPa・s以下、又は300mPa・s以下である。グリシジルエーテル化合物のエポキシ当量は80〜300g/当量の範囲であることが好ましく、90〜200g/当量の範囲であることがより好ましい。エポキシ当量が80g/当量未満であると、硬化物の耐衝撃性が減少する。一方、300g/当量を超えると、硬化剤を添加した時の粘度が非常に高くなり、取り扱い性が悪くなる。
本実施形態において用いられるグリシジルエーテル化合物は、硬化物としての良好な機械的強度を発現する上で一分子中に平均2個以上のグリシジル基を有するものが好ましい。その中でも、炭素数が3〜30である脂肪族多価アルコールの多価アリルエーテル(多価アルコールのヒドロキシル基の少なくとも2つがアリルオキシ基に置換されたものであり、一部のヒドロキシル基が残存するものを含む)の炭素−炭素二重結合を酸化剤によりエポキシ化して得られる、炭素数が3〜30の脂肪族多価アルコールの多価グリシジルエーテルを用いることが特に好ましい。
具体的には、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、エリスリトールテトラグリシジルエーテル、キシリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、イノシトールペンタグリシジルエーテル、イノシトールヘキサグリシジルエーテルなどが例示できる。これらの中でも、化合物の粘度と硬化物の耐熱性を鑑みた場合に、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、及びソルビトールヘキサグリシジルエーテルが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルが特に好ましい。
(B)フェノール樹脂系硬化剤
本実施形態の導電性接着剤は、前記(A)グリシジルエーテル化合物と反応させて硬化物を形成するための(B)フェノール樹脂系硬化剤を含む。本発明に用いられる(B)フェノール樹脂系硬化剤は、25℃において固体であり、平均分子量が350以上のものである。液体のフェノール系硬化剤を使用する場合に比べて樹脂の剛直性が高いため、分子の自由回転が束縛され高いガラス転移温度を有する硬化物を得ることができる。平均分子量が350未満のフェノール樹脂系硬化剤や低分子のフェノール系硬化剤では硬化時の接着強度が劣るため好ましくない。
フェノール樹脂系硬化剤としては、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物を用いることが好ましい。具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂などが例示される。これらの中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が、グリシジルエーテルとの相溶性や耐熱性を鑑みた場合特に好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのフェノール樹脂系硬化剤は前述のグリシジルエーテル化合物との相溶性が良好であるため、溶剤及び/又は反応性希釈剤を用いなくても均一に溶解し液状の硬化性組成物が得られる。
本実施形態の導電性接着剤中のフェノール樹脂系硬化剤の配合量は、(B)フェノール樹脂系硬化剤の水酸基当量、及び用いる(A)グリシジルエーテル化合物のエポキシ当量によっても異なるが、(A)グリシジルエーテル化合物と(B)フェノール樹脂系硬化剤の相溶性、樹脂組成物としての粘度、硬化物の耐熱性などを考慮し、(A)グリシジルエーテル化合物100質量部に対して、(B)フェノール樹脂系硬化剤を50〜150質量部の割合で配合させる。好ましくは60〜140質量部、より好ましくは70〜130質量部、さらに好ましくは80〜120質量部である。
(C)硬化促進剤
本実施形態の導電性接着剤には、適切な硬化性を得るために硬化促進剤を配合することができる。この硬化促進剤はエポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されうるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができるが、イミダゾール系、ホスフィン系、又は3級アミン系の硬化促進剤を使用することが好ましい。
具体的には、イミダゾール系硬化促進剤としては、イミダゾール化合物及びその誘導体、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、エポキシ−イミダゾールアダクトなどが例示される。ホスフィン系硬化促進剤としては、ホスフィン化合物及びその誘導体、例えばトリフェニルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,4−ビスジフェニルホスフィノブタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレートなどが例示される。3級アミン系硬化促進剤としては、3級アミン及びその誘導体、例えば1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN)、DBUのフェノール塩、DBUのオクチル酸塩、DBUのp−トルエンスルホン酸塩、DBUのフェノールノボラック樹脂塩、DBNのフェノールノボラック樹脂塩、DBU誘導体のテトラフェニルボレート、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。
硬化促進剤の使用量は、用いるフェノール樹脂系硬化剤及び硬化促進剤の種類によって様々であってよいが、(A)グリシジルエーテル化合物及び(B)フェノール樹脂系硬化剤の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部の割合で用いるのが好ましい。
本実施形態の導電性接着剤を構成する樹脂組成物は、それ自体25℃において液状である。固体の(B)フェノール樹脂系硬化剤および(C)硬化促進剤が液状の(A)グリシジルエーテル化合物に溶解し、25℃で液状の樹脂組成物となる。すなわち、溶剤や反応性希釈剤を併用しなくても液状であるため、溶剤や反応性希釈剤は必須成分ではない。その粘度は特に限定されず、用いるグリシジルエーテル化合物及びフェノール樹脂系硬化剤の種類によって様々な粘度範囲であってよいが、取り使い性の点から、樹脂組成物の粘度は2000Pa・s以下が好ましい。樹脂組成物がフィラーを含む場合は、フィラーの充填量向上及び沈降防止の点から、フィラー充填前の樹脂組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sの範囲であることが好ましい。粘度が低すぎる場合はフィラーが沈降しやすく分散状態が不均一となるおそれがあり、高すぎる場合はフィラーの充填量を増やすことが困難となる。なお、樹脂組成物の粘度を調整する上で必要に応じて溶剤や反応性希釈剤を併用することができる。
(D)導電フィラー
本実施形態の導電性接着剤に使用される導電フィラーは、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属、または前記複数の金属の合金よりなる粒子または繊維、上記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子または繊維、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子または繊維、あるいは前記金属粒子、コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものであることが好適であるが、これらに限定されるものではなく、導電性を発現でき、かつ接着性を大きく(接着剤として使用できない程度に)損なうものでなければ使用することができる。導電フィラーの形状は特に限定されず、粒子の場合は球状、平板(扁平)状、棒状等種々の形状のものを使用できる。好ましい粒子径としては5nm〜20μmの範囲のものを使用できる。ここでいう粒子径とは500nm以上の粒子径の場合には、レーザー回折・散乱法で、500nm未満の場合には動的光散乱法で各々測定した、個数基準のD50(メジアン径)の粒子径を意味する。また繊維の場合は径0.1〜3μm、長さ1〜10μm、アスペクト比5〜100のものが好ましい。
導電性接着剤中の樹脂成分(樹脂組成物)の含有量は、印刷適性と、硬化して得られる導電層の導電性から、該樹脂組成物((A)グリシジルエーテル化合物、(B)フェノール樹脂系硬化剤および(C)硬化促進剤)と(D)導電フィラーの合計に対して、5〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜85質量%であり、最も好ましくは70〜80質量%である。導電フィラーを樹脂組成物中に均一に分散させる場合は5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が特に好ましい。また、異方性導電接続を可能にする異方性導電接着剤を構成するには、樹脂組成物の含有量を80〜99.1質量%とするのが好適である。
導電性接着剤は、導電フィラーおよび上記樹脂組成物を含むバインダー樹脂の種類と量を選択し、また必要に応じて希釈剤を用いることにより、素子、基板などへの印刷方法または塗布方法に応じて、適切な粘度に調製することができる。たとえば、スクリーン印刷の場合には、沸点が200℃以上の有機溶媒を希釈剤として用いることが好ましく、このような有機溶媒としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。印刷方法または塗布方法にもよるが、好ましい導電性接着剤の粘度はレオメーターで25℃で測定した粘度が5Pa・s〜500Pa・sの範囲である。
その他、本実施形態の導電性接着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、充填材(例えば、シリカ、アルミナ、ボロンナイトライド、窒化アルミニウムなど)、着色剤(例えば、カーボンブラック、染料など)、難燃剤、イオントラップ剤、消泡剤、レベリング剤などを含有させてもよい。また、基板への接着性を向上させるためにシランカップリング剤を含有させてもよい。シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、2−(2,3−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
導電性接着剤には、上記のほか、必要に応じて、分散助剤として、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタート)アルミニウムのようなアルミニウムキレート化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタナートのようなチタン酸エステル;脂肪族多価カルボン酸エステル;不飽和脂肪酸アミン塩;ソルビタンモノオレエートのような界面活性剤;またはポリエステルアミン塩、ポリアミドのような高分子化合物などを用いてもよい。また、無機および有機顔料、シランカップリング剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、消泡剤などを配合してもよい。
本実施形態の導電性接着剤の調製方法は特に限定されず、各成分を所定の配合割合でライカイ機、プロペラ撹拌機、ニーダー、ポットミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサーなどの混合手段により、均一に混合して調製することができる。予め樹脂組成物を調製することもできるし、(D)導電フィラーや必要に応じて添加する充填材等をまとめて混合して調製することもできる。
導電性接着剤は、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンスなど、任意の方法で基板に印刷または塗布することができる。有機溶媒を希釈剤として用いる場合は、印刷または塗布の後、常温で、または加熱によって、該有機溶媒を揮散させる。ついで、樹脂を、樹脂および硬化剤や硬化促進剤の種類に応じて、たとえば2−エチル−4−メチルイミダゾールの場合、120〜150℃で20〜60分加熱して硬化させて、基板表面の必要な部分に導電パターンを形成させることができる。
このようにして、導電性接着剤を使用して、半導体素子、ソーラーパネル、熱電素子、チップ部品、ディスクリート部品またはこれらの組合せを基板に実装した電子機器を形成させることができる。また、導電性接着剤を使用して、フィルムアンテナ、キーボードメンブレン、タッチパネル、RFIDアンテナの配線形成及び基板への接続を行った電子機器を形成させることもできる。
上記導電性接着剤を離型フィルム上に製膜することにより異方性導電フィルムを製造することができる。従来の異方性導電フィルムと同様に、フレキシブル基板、リジッド基板、電子部品等の接続すべき電極間に配置し、電極間を加圧しつつ、加熱、UV照射等を行い、電極間を電気的、機械的に接続する異方性導電接続に使用することができ、これにより異方性導電接続体を備える電子機器の製造が可能となる。ここで、異方性導電接続とは、相対する電極間(縦方向)では導電性で、隣接する電極間(横方向)には絶縁性が保たれる接続をいう。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<エポキシ当量の測定>
エポキシ当量はJIS−K7236に準拠して決定する。試料を0.1〜0.2g秤量し、三角フラスコに入れた後、ジクロロメタン10mLを加えて溶解させる。次に、酢酸20mLを加え、続いて臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mLに溶解させたもの)10mLを加える。この溶液にクリスタルバイオレット指示薬を1、2滴加え、0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液で滴定し、滴定結果に基づいて、下記式に従いエポキシ当量を求める。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×m)/{(V1−V0)×c}
m:試料の重量(g)
V0:空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
V1:終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
c:過塩素酸酢酸溶液の濃度(0.1mol/L)
<粘度の測定>
グリシジルエーテル化合物及び液状エポキシ樹脂組成物の粘度は、ブルックフィールド社製コーンプレート型粘度計RVDV−II+Proを用いて測定する。サンプル0.5mLを試料台に載せた後にコーンプレート(直径48mm又は24mm、コーン角3°)で挟み、測定温度:25℃、回転数:1rpmの条件で粘度測定を行う。粘度1mPa・s〜1Pa・sのサンプルは直径48mmのコーンプレートを用い、1Pa・s〜2000Pa・sのサンプルは直径24mmのコーンプレートを用いる。
<全塩素量の測定>
全塩素量の測定は、試料を800℃以上の高温でアルゴン気流中に酸素ガスを導入した雰囲気下で燃焼・分解させ、その分解ガスを超純水などに吸収し、イオンクロマトグラフィーで定量することによって行う。イオンクロマトフィーは、メトローム社製 861 Advanced Compact IC、Shodex SI−90 4Eカラムから構成され、溶離液として1.7mM NaHCO/1.8mMNaCO水溶液を用い流量1.3mL/minで測定する。
<マススペクトルの測定>
<GC/MS測定>
化学イオン化(CI)法によるガスクロマトグラフィ/質量分析(GC/MS)を以下に示す条件で実施する。
装置:7890A(GC部分、アジレントテクノロジー株式会社製)/JEOL JMS−Q1000GC MkII(MS部分、日本電子株式会社製)
カラム:Agilent HP−5(内径0.32mm;長さ30m;膜厚0.25μm)
カラムオーブン温度:50℃(3min)→〔20℃/min〕→320℃(10min)
キャリアガス:He
カラム流量:1.5mL/min(コンスタントフローモード)
注入モード:スプリット(1:20)
注入口温度:300℃
注入量:1μL(オートサンプラー使用)
トランスファーライン温度:300℃
イオン化法:CI(化学イオン化法)
CI反応ガス:イソブタン
スキャン範囲:m/z60〜600
試料調製:50mg/mL(溶媒はアセトン)
<SEC/MS測定>
大気圧化学イオン化(APCI)法によるサイズ排除クロマトグラフィ/質量分析(SEC/MS)を以下に示す条件で実施する。
1)SEC部
カラム:ShodexGPC KF−402×2
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(HPLCグレード)、0.3mL/min
2)質量分析部
イオン化法:大気圧化学イオン化法(+)
スキャン範囲:m/z50〜2000
<平均分子量の測定>
フェノール樹脂系硬化剤の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。カラム構成は昭和電工(株)製のKF−804を2本用い、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、流量1ml/分、カラム温度40℃、検出器として示差屈折率計で測定した。分子量はポリスチレン換算で算出した。
[製造例1:多価アリルエーテルの合成]
後述の製造例2〜4で用いる各種多価アリルエーテルはウィリアムソン合成に基づき合成した。一例として1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテルの合成法を以下に記す。
撹拌機及び温度計の付いた2リットル3口フラスコに1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化株式会社製)144.2g(1.00mol)を入れ、反応装置系内を窒素置換し、水酸化ナトリウム水溶液(50質量%)を480.0g(6.0mol)を加え、40℃まで加熱し、臭化テトラブチルアンモニウム(和光純薬工業株式会社製)3.224g(0.01mol)を添加した。反応系内を約40℃に保ちながら、塩化アリル(鹿島ケミカル株式会社製)168.3g(2.20mol)を滴下し、2時間経過後、1,4−シクロヘキサンジメタノール72.11g(0.50mol)、塩化アリル84.17g(1.10mol)を追添した。その後、反応温度を徐々に上げながら反応を継続し、反応の進行状況を見ながら塩化アリルを25.25g(0.33mol)ずつ追添し、反応を完結させた。反応終了後、トルエン33.7gを加え分液処理し、有機層を純水200mL/回で中性になるまで洗浄し、分液後、有機層をエバポレーターにより溶媒、塩化アリルなどを留去した。溶媒留去後、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテルを精密蒸留により取得した(留出温度が63.9〜67.7℃(11Pa))。
他の多価アリルエーテルも上記操作に準じて合成した。
[製造例2:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CDMDG)の合成]
上記製造例1で得られた1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル(100g、0.45mol)、アセトニトリル(73.2g、1.78mol、純正化学株式会社製)、メタノール(92.9g、2.90mol、純正化学株式会社製)を500mL3径ナス型フラスコに量りとった。水浴を用いて系内の温度を35℃にし、飽和水酸化カリウム水溶液(KOH/HO=110g/100mL)によりpHを10.5に到達させた。反応終了時まで、反応温度が40℃を超えないように飽和水酸化カリウム水溶液を随時添加しpHを10.75〜10.25の範囲に制御した。45%過酸化水素水溶液(81.6g、1.08mol、日本パーオキサイド株式会社製)を300mL滴下漏斗により16時間かけて滴下した後、さらに10時間撹拌して反応を終了させた。反応液をガスクロマトグラフィにて測定したところ、基質であるシクロヘキサンジメタノールジアリルエーテルの転化率は100%であり、ジエポキシ体であるシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルの収率は88.5%、モノエポキシ体であるモノグリシジルエーテルの収率は2.6%であることを確認した。
得られた反応溶液を、大科工業株式会社製の精密蒸留装置を用いて、真空度13kPa、フラスコ温度265℃、カラム温度190℃で蒸留することで、ガスクロマトグラフィによる純度が99.5%の1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CDMDG)を得た。CDMDGの粘度は34mPa・sであり、滴定により求めたエポキシ当量は136であった。全塩素量は5ppmであり、GC/MS分析結果(図1)より有機塩素を含まない(含有塩素が炭素−塩素結合を有する化合物由来ではない)ことをマススペクトルにおける塩素の同位体(ピークCl35とCl37)に基づく2つのピーク(質量Nと(N+2)のピークであり、Nのピーク強度が(N+2)のピーク強度の3倍)がないことから確認した。
[製造例3:グリセリントリグリシジルエーテル(GLYG)の合成]
上記製造例1と同様に合成して得られたグリセリントリアリルエーテル(50g、0.24mol)、アセトニトリル(77g、1.9mol、純正化学株式会社製)、メタノール(91g、2.8mol、純正化学株式会社製)を500mL4口フラスコに仕込み、50質量%水酸化カリウム水溶液を加え、反応液のpHを約10.5に調整した。反応終了時まで、反応温度が40℃を超えないように飽和水酸化カリウム水溶液を随時添加しpHを10.75〜10.25の範囲に制御した。35質量%過酸化水素水溶液(82g、0.8mol)を9時間かけて滴下し、さらに16時間撹拌した後、反応液に亜硫酸ナトリウム1gを加え反応を停止した。ダイアフラムポンプを用いて溶媒留去した後、酢酸エチル500g、10質量%硫酸ナトリウム水溶液を加え水層と有機層を分離した。その後有機層を純水20gで5回洗浄して残存する亜硫酸ナトリウム、副生アセトアミドなどの不純物を除去した後、溶媒を留去することにより、純度91%、収量36g、収率59%でグリセリントリグリシジルエーテル(GLYG)を得た。GLYGの粘度は32mPa・sであり、滴定により求めたエポキシ当量は91であった。全塩素量は112ppmであり、GC/MS分析結果(図2)より有機塩素を含まない(含有塩素が炭素−塩素結合を有する化合物由来ではない)ことを製造例2と同様にして確認した。
[製造例4:ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETG)の合成]
上記製造例1と同様に合成して得られたペンタエリスリトールテトラアリルエーテル(200g、0.67mol)、アセトニトリル(220g、5.36mol、純正化学株式会社製)、メタノール(100g、3.12mol、純正化学株式会社製)を2リットル3口フラスコに仕込み、50質量%水酸化カリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)を少量加え、反応系内のpHを約10.5に調整した。反応終了時まで、反応温度が40℃を超えないように飽和水酸化カリウム水溶液を随時添加しpHを10.75〜10.25の範囲に制御した。45質量%過酸化水素水溶液(160g、2.12mol、日本パーオキサイド株式会社製)を18時間かけて滴下した。反応液に亜硫酸ナトリウム2.11g(和光純薬工業株式会社製)とトルエン1000gを加え反応を一旦停止し、室温で30分間撹拌し、水層と有機層を分離した。その後有機層を純水150gで2回洗浄し、溶媒を留去して反応混合物を得た。
その後反応混合物にアセトニトリル(220g、5.36mol)、メタノール(100g、3.12mol)を加え、50質量%水酸化カリウム水溶液を少量加え、反応液のpHを約10.5に調整した後、内温35℃で45質量%過酸化水素水溶液(125g、1.65mol)を、内温が45℃を超えないように28時間かけて滴下した。滴下終了後、亜硫酸ナトリウム15.9gとトルエン800gを加え反応を停止し、室温で30分間撹拌し、水層と有機層を分離した。その後有機層を純水150gで2回洗浄して残存する亜硫酸ナトリウム、副生アセトアミドなどの不純物を除去し、溶媒を留去することにより、純度90%、収量176.04g、収率72.4%でペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETG)を得た。PETGの粘度は166mPa・sであり、滴定により求めたエポキシ当量は98であった。全塩素量は636ppmであり、SEC/MS分析結果(図3)より有機塩素を含まない(含有塩素が炭素−塩素結合を有する化合物由来ではない)ことを製造例2と同様にして確認した。
[樹脂組成物の調製]
表1に示す配合で50℃の超音波水浴を用いて各成分を混合溶解させることで、実施例1〜9、及び比較例1の樹脂組成物を調製した。表中の液状エポキシ樹脂組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
(A)グリシジルエーテル化合物
(A−1)製造例2で得られた1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CDMDG、全塩素量5ppm)
(A−2)製造例3で得られたグリセリントリグリシジルエーテル(GLYG、全塩素量112ppm)
(A−3)製造例4で得られたペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETG、全塩素量636ppm)
(B)フェノール樹脂系硬化剤
(B−1)フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノール(登録商標)BRG−556、軟化点77〜83℃、平均分子量1050)
(B−2)フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノール(登録商標)BRG−555、軟化点67〜72℃、平均分子量800)
(B−3)フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノール(登録商標)BRG−558、軟化点93〜98℃、平均分子量1550)
(B−4)トリフェニルメタン型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製、ショウノール(登録商標)TRI−220、軟化点83℃、平均分子量380)
(B−5)液状フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、特許文献:特開2012−67253号公報に開示の方法に基づき合成、平均分子量230)
25℃において(B−1)〜(B−4)はいずれも固体、(B−5)は液体。
(C)硬化促進剤
(C−1)2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール(登録商標)2E4MZ)
(C−2)トリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社製)
<ガラス転移温度(Tg)>
実施例1〜9及び比較例1で作製した樹脂組成物をそれぞれ真空脱気した後、厚さ3mmの硬化物を作製できる型の中に流し込み、オーブン中にて150℃、30分加熱して硬化板を得た。得られた硬化板を10×10×3mmの試験片にカットし、熱機械測定(TMA)によりガラス転移温度(Tg)を測定する。エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100熱機械分析装置を使用し、温度範囲−10〜250℃、昇温速度5℃/min、荷重20.0mNの条件で測定を行う。得られた膨張曲線における転移に基づく変曲点前後の直線領域で各々引いた2本の直線の外挿線の交点の温度をガラス転移温度とする。
[導電性接着剤の調製]
上記各液状エポキシ樹脂組成物を使用し、表1に示す配合で実施例1〜9、及び比較例1の導電性接着剤を調製した。表中の導電性接着剤の調製に用いた導電フィラーを以下に示す。
(D)導電フィラー
(D−1)銀粒子(福田金属箔工業株式会社製、AgC−GS、平均粒径5〜10μm(カタログ値))
(D−2)銀粒子(福田金属箔工業株式会社製、AgC−239、平均粒径2〜15μm(カタログ値))
(D−3)銀粒子(トクセン工業株式会社製、N300、平均粒子径0.3μm)
導電性接着剤の調製方法は以下の通りである。すなわち、上記各液状エポキシ樹脂組成物と上記導電フィラーをディスポカップに配合し、スパチュラで均一になるまでよく混合した。混合物をさらに自転・公転ミキサー あわとり練太郎 ARE−310(株式会社シンキー製)で自転/公転=800/2000rpmで1分間混合を行い、導電性接着剤を調製した。
<回路サンプルの作製>
上記のようにして得られた導電性接着剤を使用して回路サンプルを作製した。作製した回路サンプルの構成が図4に示される。図4において、導電性接着剤12を、厚さ75μmのメタルマスクを用いて、銅張ガラスエポキシ基板14の銅面に孔版印刷(パターン形状は、チップ抵抗器16の両端の電極と銅配線(幅:0.5±0.2mm)18a、18bを接続できるような形状)した。これに錫メッキ(厚み2μm)された2012サイズ(具体的な形状は、L(長さ),W(幅),d(電極幅),t(厚み)(単位:mm)=5.0±0.2,2.5±0.2,0.5±0.2,0.5±0.2)のチップ抵抗器16を手で圧着し、150℃で30分加熱して、該接着剤を硬化させることにより、回路基板14にチップ抵抗器16を接続させて、回路サンプル10を作製した。
<せん断強度>
せん断強度の評価は、ボンドテスター (DAGE Series4000 Dage(英)社製、テイジ・ジャパン(株)より購入)を用い、水平方向に力がかかる剪断強度を回路サンプル10を用いて測定した。サンプル数は5でその平均値を求めた。
具体的には、図5に示されるように、室温で基板14にチップ抵抗器16を導電性接着剤12で接着した回路サンプル10において、荷重センサーがとりつけられたシェアツール20をチップ抵抗器16のL辺(図の左辺)に接して水平方向に押し、チップ抵抗器16と基板14との接合面が破壊された時の強度を測定する。シェアツール20は、基板面まで矢印A方向に下降し(図5(a))、基板位置を検出した後、予め設定した高さhまで矢印B方向に上昇する(図5(b))。その後、任意の速度でチップ抵抗器16を水平方向に押し(図5(c))、接合面が破断された時(図5(d))の荷重を計測する。
<初期抵抗>
回路試料10の接続抵抗(銅配線18a、b間の電気抵抗)(Ω)をテスター(SANWA製 形式:PC500a RS−232C)にて測定した。サンプル数は5でその平均値を求めた。
<高温高湿試験>
上記初期抵抗を測定したサンプルを、楠本化成株式会社製恒温高湿器TH402Aを使用して、温度85℃湿度85%の環境下に保管し、経時的に抵抗の変化を測定した。測定結果から初期抵抗が10倍になる時間を求め表1に示した。
<高温試験>
上記初期抵抗を測定したサンプルを、ヤマト科学株式会社製定温乾燥機DX302を用いて120℃の環境下に保管し、経時的に抵抗の変化を測定した。測定結果から初期抵抗が2倍になる時間を求め表1に示した。
Figure 0006478465
表1に示したとおり、樹脂組成物を150℃で30分加熱して得られる硬化物のTg(ガラス転移温度)を比較すると、固体フェノールを用いた実施例1〜10の方が液体フェノールを用いた比較例1より高く、耐熱性の高い硬化物が得られている。そこに導電フィラーを配合して導電性接着剤とした結果、いずれの実施例においてもせん断強度が比較例より高く、接着強度の高い導電性接着剤が得られた。また高温高湿試験、高温試験においても抵抗値の上昇の程度が低く抑えられているため、導電性接着剤としても高い耐熱性が維持されていることが確認できた。
10 回路サンプル、12 導電性接着剤、14 基板、16 チップ抵抗器、18a、18b 銅配線、20 シェアツール。

Claims (10)

  1. (A)25℃において液体であり、炭素−塩素結合を実質的に含まない多価グリシジルエーテル化合物と、(B)25℃において固体である平均分子量が350以上のフェノール樹脂系硬化剤と、(C)硬化促進剤と、(D)導電フィラーとを含み、前記(A)多価グリシジルエーテル化合物が、炭素数が3〜30の脂肪族多価アルコールの多価グリシジルエーテルであり、前記(B)フェノール樹脂系硬化剤がフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のみからなり、(A)多価グリシジルエーテル化合物100質量部に対して(B)フェノール樹脂系硬化剤を50〜150質量部含有し、溶剤および反応性希釈剤を含まないことを特徴とする導電性接着剤。
  2. 前記(A)多価グリシジルエーテル化合物が、アリルエーテル化合物のアリル基の炭素−炭素二重結合を酸化剤と反応させて得られるものである請求項1に記載の導電性接着剤。
  3. 前記(A)多価グリシジルエーテル化合物の25℃における粘度が1mPa・s〜1000mPa・sである請求項1または2に記載の導電性接着剤。
  4. 前記(A)多価グリシジルエーテル化合物が、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、及びソルビトールヘキサグリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性接着剤。
  5. 前記(C)硬化促進剤が、イミダゾール化合物及びその誘導体、ホスフィン化合物及びその誘導体、並びに3級アミン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性接着剤。
  6. 前記(A)多価グリシジルエーテル化合物及び(B)フェノール樹脂系硬化剤の合計100質量部に対して、前記(C)硬化促進剤を0.1〜10質量部含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性接着剤。
  7. 前記(D)導電フィラーは、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属、または前記複数の金属の合金よりなる粒子または繊維、上記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子または繊維、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子または繊維、あるいは前記金属粒子、コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性接着剤。
  8. 前記導電性接着剤中の上記(A)多価グリシジルエーテル化合物、(B)フェノール樹脂系硬化剤および(C)硬化促進剤の合計含有量が5〜90質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性接着剤。
  9. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の導電性接着剤により、半導体素子、ソーラーパネル、熱電素子、チップ部品、ディスクリート部品またはこれらの組合せが基板に実装されていることを特徴とする電子機器。
  10. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の導電性接着剤により、フィルムアンテナ、キーボードメンブレン、タッチパネル、RFIDアンテナの配線形成及び基板への接続を行ったことを特徴とする電子機器。
JP2014038431A 2014-02-28 2014-02-28 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器 Active JP6478465B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014038431A JP6478465B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014038431A JP6478465B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015160932A JP2015160932A (ja) 2015-09-07
JP6478465B2 true JP6478465B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=54184261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014038431A Active JP6478465B2 (ja) 2014-02-28 2014-02-28 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6478465B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3985045A4 (en) * 2019-06-14 2023-06-14 DIC Corporation EPOXY RESIN COMPOSITION, CURED PRODUCT, FIBER REINFORCED COMPOSITE, PREPREG AND TOW-PREPREG
CN110218543A (zh) * 2019-06-25 2019-09-10 西安理工大学 一种耐高温耐酸防腐蚀导电胶的制备方法
CN110272703A (zh) * 2019-07-19 2019-09-24 上海本诺电子材料有限公司 一种低温固化高导电单组分环氧粘合剂及其制备方法
CN111849385A (zh) * 2020-07-24 2020-10-30 深圳市中欧新材料有限公司 一种镍包石墨导电胶制备工艺
WO2022202505A1 (ja) * 2021-03-23 2022-09-29 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物、高熱伝導性材料および半導体装置
JP7351437B2 (ja) 2021-07-02 2023-09-27 住友ベークライト株式会社 ダイアタッチ材用導電性樹脂組成物、高熱伝導性材料および半導体装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS601221A (ja) * 1983-06-17 1985-01-07 Sumitomo Bakelite Co Ltd 導電性樹脂ペ−スト
JP4242019B2 (ja) * 1999-09-01 2009-03-18 住友金属鉱山株式会社 導電性樹脂組成物
JP2003238769A (ja) * 2002-02-20 2003-08-27 Nippon Shokubai Co Ltd 導電性樹脂ペースト用エポキシ樹脂組成物
JP4962156B2 (ja) * 2007-06-19 2012-06-27 住友金属鉱山株式会社 導電性接着剤
JP2012092247A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Showa Denko Kk 液状硬化性組成物
TWI582210B (zh) * 2012-02-03 2017-05-11 Showa Denko Kk Conductive adhesives and electronic machines using them

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015160932A (ja) 2015-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6478465B2 (ja) 導電性接着剤及びそれらを使用した電子機器
KR101799820B1 (ko) 도전성 접착제, 이방성 도전 필름 및 그들을 사용한 전자 기기
JPWO2014162990A6 (ja) 導電性接着剤、異方性導電フィルム及びそれらを使用した電子機器
JP2012092247A (ja) 液状硬化性組成物
JP6429793B2 (ja) 液状エポキシ樹脂組成物
TW201217455A (en) Electroconductive composition, solar battery cell, and method for producing solar battery cell
JP6080776B2 (ja) 導電性接着剤及びそれを使用した電子機器
JP2010070582A (ja) 基板穴埋め用熱伝導性ペースト組成物、及び、プリント配線基板
KR102318602B1 (ko) 도전성 접착제 및 그것을 사용한 전자 부품
TW201710456A (zh) 硬化性組成物
JP2016000801A (ja) エポキシ樹脂用希釈剤、及びエポキシ樹脂組成物
WO2014153911A1 (zh) 热固性树脂组合物及填充有该树脂组合物的印刷电路板
JP6331500B2 (ja) エポキシ樹脂組成物および硬化物
JP2004231787A (ja) エポキシ樹脂希釈剤、エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物
JP5768529B2 (ja) 三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物及びその塗布液
WO2018198992A1 (ja) 液状封止樹脂組成物、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法
JP6664147B2 (ja) 異方性導電フィルム及び異方性導電接続体
KR20140118800A (ko) 폴리하이드록시폴리에테르 수지의 제조 방법, 폴리하이드록시폴리에테르 수지, 그 수지 조성물 및 그 경화물
JP7252196B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP2018062606A (ja) アンダーフィル材、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法
JP5716512B2 (ja) エポキシ樹脂及びその製造方法
JP2013189504A (ja) 液状組成物
JP4207770B2 (ja) 複合体分散物および複合体硬化物
JP5716511B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP2020186397A (ja) アンダーフィル材、電子部品装置及び電子部品装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171024

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6478465

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350