JP6664147B2 - 異方性導電フィルム及び異方性導電接続体 - Google Patents

異方性導電フィルム及び異方性導電接続体 Download PDF

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本発明は、異方性導電フィルム及び異方性導電接続体に関する。
従来より、回路基板同士またはICチップ等の電子部品と回路基板の接続とを電気的に接続する際には、樹脂中に導電粒子を分散させた異方性導電フィルムが用いられている。異方性導電フィルムを互いに対向する電極間に配置し、加熱、加圧して電極同士を接着することにより加圧方向に導電性を持たせ、電気的に接続することができる。
このような異方性導電フィルムの例として、例えば、下記特許文献1には、重合された光重合性樹脂、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂用硬化剤、及び導電粒子を含有する第1接着フィルム層と、熱硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂用硬化剤を含有する第2接着フィルム層とが積層されてなる異方性導電フィルムが開示されている。また、下記特許文献2には、導電性粒子がシランカップリング剤を含有する絶縁性接着剤に分散した異方性導電フィルムが開示されている。
特開2013−12498号公報 特開2012−186448号公報
しかし、上記従来の技術においては、上記導電粒子を分散させる樹脂として使用されるエポキシ樹脂等に原料であるエピクロルヒドリン由来の塩素等のハロゲンが含有されている場合があり、マイグレーション等が著しく生じ、異方性導電フィルムの信頼性が確保できないという問題があった。
本発明の目的は、ハロゲンによる接着部分の劣化が生じにくい異方性導電フィルム及び異方性導電接続体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、異方性導電フィルムであって、全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が300質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下であるエポキシ樹脂を含むバインダー樹脂中に導電粒子が0.1〜20質量%分散されていることを特徴とする。前記エポキシ樹脂はアリルエーテル基を二個以上有する化合物を酸化して得られたグリシジルエーテル化合物であることが好ましい。
また、上記導電粒子は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属または前記複数の金属の合金よりなる粒子、前記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子、あるいはこれらの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものであるのが好適である。
また、本発明の他の実施形態は、異方性導電接続体であって、上記各異方性導電フィルムを用いて電子部品同士が異方性導電接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、半導体素子および各種電気電子部品の組立あるいは基板への接着の際に、ハロゲンに由来する接着部分の劣化を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態に係る異方性導電フィルムは、全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が300質量ppm以下であるエポキシ樹脂を含むバインダー樹脂中に導電粒子が0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%分散されている。
また、上記全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計は、好ましくは50質量ppm以下であり、さらに好ましくは10質量ppm以下である。
ここで、上記エポキシ樹脂は、例えば過酸化物を酸化剤として炭素−炭素二重結合を有する原料化合物(基質)の炭素−炭素二重結合をエポキシ化することにより得ることができる。この方法によると従来のエピハロヒドリンを用いるエポキシ樹脂の製造方法と異なり原料に炭素−塩素結合を有する化合物を使用しないため、本実施形態の異方性導電フィルムを構成するバインダー樹脂としてのエポキシ樹脂は、分子内に炭素−塩素結合および炭素−臭素結合を含む化合物を実質的に含まない。そのため従来のエポキシ樹脂中に含有するエピハロヒドリン由来のハロゲンの過度の精製工程が不要である。本明細書において「実質的に含まない」とは、エポキシ樹脂を合成するために用いる原料に炭素−塩素結合および炭素−臭素結合を含む化合物を使用しない、すなわち、エポキシ樹脂中のそのような化合物およびその反応生成物の含有量がゼロであることを意味する。酸化剤としては過酸化水素、過酢酸等が挙げられるが、安価で取り扱いが容易な過酸化水素がより好ましい。特に過酸化水素の10〜60質量%水溶液を用いることが反応性および取り扱い性の点で好ましい。この方法では原料に塩素および臭素を含まないので塩素および臭素の含有量が少ないエポキシ樹脂が得られる。本明細書において「エポキシ樹脂」とは異方性導電フィルムのバインダー成分、すなわち硬化物を構成するオキシラン環を有する化合物を指し、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれをも含む。
炭素−炭素二重結合を有する原料化合物(基質)としては、炭素数4から12のシクロアルケン、共役していない炭素数6から12のシクロアルカジエン、シクロアルカトリエン、またはシクロアルカテトラエン、あるいは、アリルエーテル基を有する化合物が挙げられる。アリルエーテル基とは、CH=CH−CH−O−で表される官能基をいう。
このような原料化合物(基質)としては、フェニルアリルエーテル類、クレゾールモノアリルエーテル類、シクロヘキセン類、シクロオクテン類等であり、例えばビスフェノール−Aジアリルエーテル、ノボラック型フェノール系樹脂のアリルエーテル化合物、シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステル、3、4−シクロヘキセニルメチル−3’、4’−シクロヘキセンカルボキシレート等を例示できる。
これらの中でも、アリルエーテル基を二個以上有する化合物を使用することが好ましい。アリルエーテルを二個以上有する化合物を原料に用いてエポキシ樹脂を製造する利点として、塩素の混入が著しく低くなるという以外にも、通常のエピクロルヒドリンを用いてエポキシ樹脂を製造する場合に比べて低粘度化が可能である。エピクロルヒドリンを用いてエポキシ樹脂を製造する場合には、以下のように水酸基がエピクロルヒドリンに付加する際に、末端側から付加するもの(正常付加)に対して、逆側から付加するもの(異常付加)が必ず副生する。
Figure 0006664147
この副反応は、特に粘度を低くできる脂肪族エポキシ樹脂において顕著である上に、脂肪族エポキシの場合には、塩素が残存するのみならず生成した副生物の1級アルコールと原料の水酸基(通常は一級アルコール)の反応性がほぼ同等であるために、以下の反応式のように、そこにもエピクロルヒドリンが反応し、分子量が増大し粘度が高くなるという問題もあった。
Figure 0006664147
芳香族化合物を原料に用いる場合には、原料のフェノール性水酸基と副生物のアルコール性水酸基の差により、このような問題はそれほど多くは起きないが、逆に生成物のエポキシ基と原料のフェノール性水酸基が反応しやすく、以下に示すような副反応がある割合で起こり、やはり粘度が増大するという問題があった。
Figure 0006664147
これに対して、多価のアリルエーテルを原料に用いて、過酸化水素によりエポキシ化を行った場合には、水酸基はアリルエーテルで保護されているともいえるので、前記のような問題は起こらず、副生物は以下のようにアリルエーテルが残存したものである。この場合にはむしろ粘度はジグリシジルエーテル自体よりも低下するので、塩素の問題だけでなく、Agなどの導電粒子を混合するのにより相応しいといえる。
Figure 0006664147
アリルエーテル基を二個以上有する化合物としては、例えば、以下の一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006664147
{式中、R及びRは、各々独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数4〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、あるいは、RとRは一緒になって炭素数3〜12のシクロアルカンを形成し、R、R、R及びRは、各々独立して水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、nは0又は1の整数を表す。}
このような化合物としては、具体的には、ビスフェノール−Aジアリルエーテル、ビスフェノール−Fジアリルエーテル、2,6,2’,6’−テトラメチルビスフェノール−Aジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノール−Aジアリルエーテル、2,2’−ジ−t−ブチルビスフェノール−Aジアリルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジアリルエーテル、2,2’−ジイソプロピルビフェノールジアリルエーテル、4,4’−エチリデンビスフェノールジアリルエーテル、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノールジアリルエーテル、4,4’−(1−α−メチルベンジリデン)ビスフェノールジアリルエーテル、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールジアリルエーテル、4,4’−(1−メチル−ベンジリデン)ビスフェノールジアリルエーテルなどが挙げられる。
芳香環を有し、かつアリルエーテル基を二個有するビフェニル型ジアリルエーテルとしては、具体的には、2,2’−ビフェニルジアリルエーテル、テトラメチルビフェニルジアリルエーテルなどが挙げられる。
また、クレゾールノボラック樹脂やフェノールノボラック樹脂のようなポリフェノールをアリルエーテル化した化合物も用いることができる。
また、アリルエーテル基を二個またはそれ以上有する脂肪族ポリアリルエーテルも用いることができ、具体的には、1,5−ペンタンジオールジアリルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジアリルエーテル、1,9−ノナンジオールジアリルエーテル、1,10−デカンジオールジアリルエーテル、ネオペンチルグリコールジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどが挙げられる。
アリルエーテル基を二個有する脂環式ジオレフィンとしては、具体的には、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアリルエーテルなどが挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合を有する原料化合物(基質)を酸化剤として過酸化水素を用いて酸化することによりエポキシ樹脂を製造することができる。過酸化水素の使用量は特に制限はないが、過酸化水素をエポキシ化しようとするアリルエーテルの炭素−炭素二重結合の量に対して、0.5〜10当量、好ましくは0.8〜2当量の範囲から選ばれる。
上記炭素−炭素二重結合を有する原料化合物(基質)を過酸化水素を用いて酸化することによりエポキシ樹脂を製造する方法に特に制限はないが、以下に説明するアセトニトリルの存在下で反応させる方法を用いると効率よく触媒残渣を含まないエポキシ樹脂が得られ好適である。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法に用いるアセトニトリルの反応系内の濃度は、0.6〜5mol/Lの範囲内となるように、反応の進行中、制御される。反応の進行に伴い反応系内のアセトニトリルの濃度は低下する。反応系内の濃度が0.6mol/L未満となると収率が低下し、一方、5mol/Lを超えると過酸化水素のエポキシ化選択率が低下する傾向があり、またコスト高となるため好ましくない。そのため、反応を開始する際の初期濃度を上記濃度範囲に設定し、反応の進行中濃度をモニタリングし、濃度が上記下限値を下回る前に上限値を超えない範囲で追添することにより濃度を制御する。好ましくは、該濃度は0.7〜2mol/Lの範囲内である。また、前記反応に用いるアセトニトリルの総使用量は前記過酸化水素の総使用量に対して0.6〜2倍(モル比)とすることが好ましく、0.65〜1.85倍とすることがより好ましい。
アセトニトリルの反応開始時の仕込み量は、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物の二重結合数を基準として、1.2〜5モル当量の範囲とすることが好ましく、2〜4モル当量がより好ましい。1.2モル当量より少ないと収率が低下し、一方、5モル当量より多くしても、過酸化水素のエポキシ化選択率が低下する傾向があり、またコスト高となるため好ましくない。なお、アセトニトリルの反応開始時の仕込み量は、上記反応進行中の反応系内の濃度範囲である0.6〜2mol/Lを満たすものでなければならない。なお、本発明で使用するアセトニトリルの由来は特に制限はなく、市販品のほか、例えばアクリロニトリルのソハイオ法による製造時に副生するアセトニトリル等を使用してもよい。
本発明に係るエポキシ化合物の製造方法において、反応液のpHを9〜11とすることが好ましく、より好ましくは9.5〜11、さらに好ましくは10〜11の範囲である。pHが9より低いと反応速度が低下するため、生産性が悪くなり、一方、11より高い場合、反応が急激に進行し危険であり収率も低下するため好ましくない。炭素−炭素二重結合を有する有機化合物として炭素−炭素二重結合を二つ有する化合物を使用する場合、反応系のpHによりジエポキシドの収率と選択性が影響されるが、pHが10〜11の範囲内であるとジエポキシドの収率と選択性がともに高くなるため好ましい。
反応系内のpH調整に用いられる塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等の無機塩基性化合物やカリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機塩基性化合物が挙げられるが、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムは水やアルコールへの溶解性が高く、反応性も良いため好ましい。これらの中でも炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドは、pH調整が容易である点で、より好ましい。
前記した塩基性塩化合物は、水溶液又はアルコール溶液として用いることができる。アルコール溶液の溶媒として用いられるアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、後述の反応溶媒と同一のものを使用することが好ましい。塩基性塩化合物の溶液は、反応液のpHが過酸化水素水溶液の添加に伴い9を下回らないように追加することが好ましく、このとき反応液の温度が20〜100℃ の範囲で、より好ましくは25〜60℃の範囲を保持するように追加することが好ましい。
上記エポキシ化合物の製造方法において、反応温度は、通常、20〜100℃の範囲、好ましくは25〜60℃の範囲で行われる。また、反応時間は、反応温度により左右され、一概に定めることはできないが、通常は4〜48時間の範囲、好ましくは4.5〜28時間の範囲で行われる。
反応終了後、反応液を純水で希釈し、又は反応液に必要に応じて硫酸等の酸を加えて中和後に純水で希釈した後に、溶媒を留去し、残分を酢酸エチル等の有機溶媒で抽出する。このようにして水層と分離した有機層を濃縮した後、蒸留、クロマト分離、再結晶や昇華等の通常の方法によって、得られたエポキシ化合物を取り出すことができる。
また、バインダーとして機能する樹脂には、上記エポキシ樹脂に加えて、他の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含んでもよい。これらの樹脂として、例えば反応性エラストマーとして機能する樹脂を含有させることにより、フィルム成形性が向上する。反応性とは、異方性導電フィルム中の他の樹脂成分(エポキシ樹脂を含む)と反応する官能基を有することを示す。また、硬化後の樹脂の弾性率を下げ接着力を向上させ、接続時の残留応力を小さくすることができる。このため、接続信頼性を向上することができる。
反応性エラストマーの材料は、特に限定するものではないが、フィルム形成性があるもの、たとえば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ナイロン、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などを用いることができ、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
反応性エラストマーの配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂、硬化剤との合計100質量部に対して10質量部以上300質量部以下であることが好ましい。配合量が上限値以下であると、異方導電性フィルムの流動性が向上し、接続信頼性が向上する。また、各種被着体との濡れ性が向上し、密着性が向上する。また配合量が下限値以上であると、異方導電性フィルムとした時の製膜性が向上する。また、硬化物の弾性率が高くなるため、各種被着体に対する密着性が向上したり、熱衝撃試験後の接続信頼性が向上したりするメリットがある。
上記反応性エラストマーの好適な例としてアクリルゴムが挙げられる。アクリルゴムとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリルのうち少なくともひとつをモノマー成分とした重合体または共重合体があげられ、中でもグリシジル基を含有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムが好適に用いられる。
アクリルゴムは、具体的には、たとえば、下記一般式(2)で示される化合物とすることができる。
Figure 0006664147
上記一般式(2)において、R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示し、R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示す。また、R とR とが同じ基であっても異なる基であってもよい。また、上記一般式(2)において、Xは40mol%以上98.5mol%以下、Yは1mol%以上50mol%以下、Zは0.5mol%以上10mol%以下である。また、上記一般式(2)に示したアクリルゴムの分子量は、たとえば、10000以上1500000以下である。上記一般式(2)に示したアクリルゴムを用いることにより、密着性および接続信頼性をさらに向上させることができる。
これらの他の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂も含有する、バインダーとして機能する樹脂は、塩素濃度および臭素濃度が低いものが好ましく、バインダーとして機能する樹脂全量に対する全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が300質量ppm以下であることが好ましい。より好ましくは50質量ppm以下であり、さらに好ましくは10質量ppm以下である。
エポキシ樹脂としては、樹脂の配合量を導電性を損ねない量に抑えても、優れた接着性が得られるとともに、優れた耐熱性も得られることから、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。また、同様の観点から、レゾール型フェノール樹脂を混合してもよい。
フィルム形成性の点から常温で固体のエポキシ樹脂を用いることが好ましいが、配合してもフィルム形成に支障がない範囲で液状エポキシ樹脂を併用することもできる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの;p−グリシドキシフェニルジメチルトリルビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどの脂肪族ポリグリシジルエーテル;ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンの少なくとも一種を構成成分としてなる脂環式エポキシ樹脂が例示される。
常温で固体のエポキシ樹脂としては、高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジグリシジルビフェニル、ノボラックエポキシ樹脂のようなエポキシ樹脂;ノボラックフェノール樹脂、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステルなどの二重結合とエポキシ基を持った化合物の二重結合を重合させた重合体および他のラジカル性二重結合をもつ化合物との共重合体などが例示される。
共重合を行えるラジカル性二重結合を持つ化合物としては、安息香酸アリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチルなどが挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
エポキシ樹脂の硬化機構としては、自己硬化型樹脂を用いても、硬化剤や硬化促進剤を用いてもよい。
上記エポキシ樹脂に対して通常使用される硬化剤としては、酸無水物、ポリアミン、ポリフェノール化合物等がある。
このような硬化剤としては、具体的に酸無水物の場合には、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸のほか、α−テルピネンやアロオシメン等の共役二重結合を有する脂環式化合物と無水マレイン酸とのディールス・アルダー反応生成物やこれらの水素添加物等の脂環式カルボン酸無水物系硬化剤や、芳香族酸無水物としては無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等であり、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等がある。
ポリアミンとしては、脂肪族アミンとしてジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、水添ジアミノジフェニルメタンなどがあり、芳香族アミンとしてはm−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォンなどがある。
ポリフェノール化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂のようないわゆるフェノール樹脂やポリビニルフェノール等が用いられる。
また、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進するために、イミダゾールやジシアンジアミドのような硬化促進剤を併用することもできる。なお、これらの硬化剤、硬化促進剤にも塩素、臭素の含有量は低いほうが好ましいことはいうまでもない。
また、本実施形態の異方性導電フィルムに使用される導電粒子は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属、または前記複数の金属の合金よりなる粒子、上記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子、あるいはこれらの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものであることが好適であるが、これらに限定されるものではなく、導電性を発現でき、かつ接着性を大きく(接着剤として使用できない程度に)損なうものでなければ使用することができる。導電粒子の形状は特に限定されず、球状、平板(扁平)状、棒状等種々の形状のものを使用できるが、球状のものが好ましい。好ましい粒子径は、接続する電子部品の隣接する端子(バンプ)や配線の間隔にもよるが、隣接する端子(バンプ)や配線の間隔の1/2以下、好ましくは1/5以下、より好ましくは1/10以下であり、5nm〜20μmの範囲のものを使用できる。ここでいう粒子径とは500nm以上の粒子径の場合には、レーザー回折・散乱法で、500nm未満の場合には動的光散乱法で各々測定した、個数基準のD50(メジアン径)の粒子径を意味する。
異方性導電フィルムを構成するバインダー樹脂中に分散される導電粒子の配合量は、0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%の範囲とする。0.1質量%を下回ると異方性導電フィルムとしての導通信頼性が低下し、20質量%を超えると異方導電性が低下する。
本実施形態の異方性導電フィルムは、導電粒子および上記エポキシ樹脂を含むバインダー樹脂の種類と量を選択し、また必要に応じて希釈剤を用いることにより、素子、基板などの接着に適切な粘度に調製することができる。
本実施形態の異方性導電フィルムには、上記のほか、必要に応じて、分散助剤として、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタート)アルミニウムのようなアルミニウムキレート化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタナートのようなチタン酸エステル;脂肪族多価カルボン酸エステル;不飽和脂肪酸アミン塩;ソルビタンモノオレエートのような界面活性剤;またはポリエステルアミン塩、ポリアミドのような高分子化合物などを用いてもよい。また、無機および有機顔料、シランカップリング剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、消泡剤などを配合してもよい。
異方性導電フィルムは、上述のバインダー樹脂に導電粒子を分散させ、得られた分散物を離型フィルム上に製膜することにより製造することができる。バインダー樹脂に導電粒子を分散させるには、ライカイ機、プロペラ撹拌機、ニーダー、ロール、ポットミルなどのような混合手段により、均一に混合して調製する。調製温度は、特に限定されず、たとえば常温で調製することができる。
本発明の異方性導電フィルムは、従来の異方性導電フィルムと同様に、フレキシブル基板、リジッド基板、電子部品等の接続すべき電極間に配置し、電極間を加圧しつつ、加熱、UV照射等を行い、電極間を電気的、機械的に接続する異方性導電接続に使用することができ、これにより高い接続信頼性を有する異方性導電接続体の製造が可能となる。ここで、異方性導電接続とは、相対する電極間(縦方向)では導電性で、隣接する電極間(横方向)には絶縁性が保たれる接続をいう。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例で使用した導電粒子は以下の銀粒子である。
EHD :三井金属鉱業株式会社製銀粒子(球状) D50=620nm
ここで、上記D50は、レーザー回折・散乱法で測定した個数基準のメジアン径である。
合成例1
・3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステルの合成とその重合体の作製
NaWO・2HO(500mg,1.5mmol)、40質量%過酸化水素水溶液(7.65g,90mmol)、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム(260mg,0.56mmol)及び3−シクロヘキセン−1−カルボン酸アリル(12.5g,75mmol)を混合し、25℃にて15分間反応させた後、70℃まで昇温し、3.5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却させた。チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液にて後処理を行った後、有機層を取り出した。得られた溶液をガスクロマトグラフィーにて測定したところ、原料である3−シクロヘキセン−1−カルボン酸アリルの転化率は79%であり、2官能性エポキシモノマーである3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステルが69%の収率で生成していることを確認した。ジエポキシドは全く生成しておらず、モノエポキシドの選択率が87.3%であるという結果が得られた。
なお、転化率及び選択率は、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1−残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
選択率(%)={(収率(%)/転化率(%)}×100
これとほぼ同様の方法でスケールアップを行って得られた3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステル100gを、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート80g、安息香酸アリルエステル89g、t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネート(日本油脂株式会社製パーブチルI(主成分75%含有))4.7gとともに攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた500mlセパラブルフラスコに仕込み、110℃に昇温後、1時間撹拌した。t−ブチルイソプロピルパーオキシカーボネートを、1時間毎、3回に分けて4.7gずつ添加し、添加終了後さらに110℃、窒素雰囲気下で2時間熟成することによって、エポキシ基含有重合体溶液を得た。反応は窒素気流下で行った。
反応中、ガスクロマトグラフィーで、3,4−エポキシシクロヘキサン−1−カルボン酸アリルエステルと安息香酸アリルエステルの残量を測定し、転化率を算出することによって反応を追跡し、両エステルが1%以下になった点を反応終点とした。この時点でのゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと省略する)の結果と合わせて、重合反応が進行したことを確認した。得られた樹脂の固形分のエポキシ当量は381g/eq.(理論エポキシ当量344g/eq.)、数平均分子量Mnは1,315であった。また、全塩素原子濃度は6質量ppm、全臭素原子濃度は1質量ppm未満であった。
なお、エポキシ当量、数平均分子量、全塩素原子濃度および全臭素原子濃度は各々以下の方法により求めた。
<エポキシ当量>
エポキシ当量はJIS−K7236に準拠して求めた。試料を0.1〜0.2g秤量し、三角フラスコに入れた後、クロロホルム10mLを加えて溶解させる。次に、酢酸20mLを加え、続いて臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mLに溶解させたもの)10mLを加える。この溶液にクリスタルバイオレット指示薬を4〜6滴加え、0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液で滴定し、滴定結果に基づいて、下記式に従いエポキシ当量を求めた。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×m)/{(V1−V0)×c}
m :試料の重量(g)
V0:空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
V1:終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
c :過塩素酸酢酸溶液の濃度(0.1mol/L)
<数平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと省略する。)を用い、ポリスチレン(標準試料 昭和電工(株)製STANDARD SM−105使用)に換算した値で求めた。なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置名:日本分光(株)製HPLCユニット HSS−2000
カラム:ShodexカラムLF−804
移動相:テトラヒドロフラン
流速 :1.0mL/分
検出器:日本分光(株)製 RI−2031Plus
温度 :40.0℃
試料量:サンプルループ 100μリットル
試料濃度:0.1質量%前後に調製。
<全塩素原子濃度および全臭素原子濃度>
塩素原子濃度および臭素原子濃度の測定は、エポキシ化合物を800℃以上の高温で燃焼・分解させ、その分解ガスを超純水等に吸収させ、イオンクロマトグラフィーで塩素原子および臭素原子を定量することにより測定した(前処理燃焼装置 AGF−100(株式会社三菱化学アナリティック製)、ガス吸着装置 GA−100(株式会社三菱化学アナリティック製)、イオンクロマト ICS−100(ダイオネクス・コーポレーション製))。
合成例2
・ビスフェノール−A−グリシジルエーテルの合成
2000mlのナス型フラスコに、ビスフェノール−A(三井化学株式会社製)148.4g(0.650mol)、50%含水5%−Pd/C−STDタイプ(エヌ・イーケムキャット株式会社製)1.38g(0.650mmol)、トリフェニルホスフィン(北興化学株式会社製)1.639g(6.50mmol)、炭酸カリウム(日本曹達株式会社製)189g(1.37mol)、酢酸アリル(昭和電工株式会社製)143g(1.43mol)、及びイソプロパノール64.1gを入れ、窒素雰囲気中、85℃で8時間反応させた。反応後、一部サンプリングし、酢酸エチルで希釈後、ガスクロマトグラフィーによる分析で、ビスフェノール−A−ジアリルエーテル対モノアリルエーテルの比率が98:2までになっていることを確認した。
この後、反応液にトルエン200gを加え、Pd/Cと析出した固体を濾過により除き、エバポレーターにより、イソプロパノールとトルエンを留去した。この反応、後処理操作を4回繰り返した後、分子蒸留装置(大科工業株式会社製)により、留出物493g(単離収率61.7%、ジアリルエーテル98.1%、残りはモノアリルエーテル)、非留出物245g(ジアリルエーテル96.5%)を得た。
1L4径ナス型フラスコに上記操作により得られたビスフェノール−A−ジアリルエーテル(50.05g、162.3mmol)、アセトニトリル(26.63g、648.7mmol)、エタノール(265.1g、5754.2mmol)を量りとった(この段階での系内のアセトニトリル濃度1.55mol/L、pH=8.2)。pH=9を下回らないように飽和水酸化カリウム水溶液(KOH/HO=110mg/100mL)を加えながら45%過酸化水素水(53.92g、713.5mmol)を100mL滴下漏斗により2時間かけて滴下した(この段階での系内のアセトニトリル濃度1.18mol/L、pH=9.2)。反応温度が30℃を超えないよう飽和水酸化カリウム水溶液を滴下しpHを2時間かけて(過酸化水素水滴下終了時点から2時間)10.5に到達させ、pHを10.5に制御しながらさらに2時間攪拌した(この段階での系内のアセトニトリル濃度0.61mol/Lに低下)。続いて50mL滴下漏斗にアセトニトリル(13.31g、324.2mmol)を量りとり、2時間かけて滴下した(追添後アセトニトリル濃度0.91mol/L)。これと同時に、45%過酸化水素水(53.92g、713.5 mmol)を100mL滴下漏斗により4時間かけて滴下(この間の4時間は反応温度が30℃を超えないようにpHを10〜10.5に保持している。)し、さらにpHを10.5に制御しながら4時間攪拌して反応を終了させた(反応終了時のアセトニトリル濃度0.62mol/L)。反応液に、純水(100g)を加え希釈し、減圧下、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(100g)により抽出後、再び純水(100g)を加え、分液操作を行った。得られた溶液をガスクロマトグラフィーにて測定したところ、原料であるビスフェノールA型ジアリルエーテルの転化率は100%であり、ジエポキシモノマーであるビスフェノールA型ジグリシジルエーテルが87.7%、モノグリシジルエーテルが5.1%であることを確認した。
エバポレーターにより酢酸エチルを留去し、目的とするエポキシ化生成物を得た。合成例1同様に測定したこのものの塩素原子濃度は6質量ppm、全臭素原子濃度は1質量ppm未満で、エポキシ当量は178g/eq.あった。
合成例3
アクリルゴムの重合
ブチルアクリレート40.0g、エチルアクリレート30.0g、アクリロニトリル30.0g、及びグリシジルメタクリレート30.0g、酢酸エチル260gをメカニカルスターラー、ジムロート冷却器のついた1000mlナスフラスコに仕込み、窒素気流下でアゾビスイソブチロニトリル0.65gを酢酸エチル1.3gに溶解したものを65℃で滴下した。2時間後、4時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.65gを酢酸エチル1.3gに溶解したものを再度滴下し、10時間かけて反応を行い、モノマーがほぼ消失したことをガスクロマトグラフィーにより確認した。得られた重合体の分子量は80,000であった。
実施例1
合成例1のエポキシ樹脂5g、合成例3のアクリルゴム54g、及び、合成例2のエポキシ樹脂15gに酢酸エチル10gを加えて溶解した。この溶液に、カチオン系硬化剤(スルホニウム塩、三新化学工業株式会社製:SI−60)2gを添加し、接着剤溶液を作製した。この接着剤溶液にシリカフィラー(日本アエロジル社製:Aerosil R805)の酢酸エチル分散液(10質量%)を30g添加し攪拌した。更に、EHD20gを接着剤溶液と混合して、超音波分散を行った。この分散液を、シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルムであるセパレータ(厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で5分間乾燥して、厚み20μmの異方性導電フィルムを作製した。
比較例1
合成例2のエポキシ樹脂のかわりにjER828(三菱化学株式会社製、塩素原子濃度1710ppm、全臭素原子濃度は1質量ppm未満)を用いた以外は実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
実施例1と比較例1で作製したフィルムから塩化メチレンを溶剤に用いて接着剤部分を抽出し、溶媒留去、乾固後の固形物中の塩素原子濃度を測定したところ実施例は2ppmであるのに対し、比較例からは382ppmの塩素原子が検出された。
次に、作製した異方性導電フィルムを用いて、金バンプ(面積:30×90μm、スペース10μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7×17mm、厚み:0.5μm)と配線ピッチ40μm(ライン/スペース=30μm/10μm、ライン厚み:10μm)のAl回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)の接続構造体サンプルを、以下の方法で作製した。
まず、異方性導電フィルム(2×19mm)をAl回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとAl回路付きガラス基板の位置合わせを行った。次いで、190℃、40g/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。サンプル作製直後の接続抵抗を測定した結果、実施例、比較例ともに異方性導電接続できていることを確認できた。その後温度85℃、湿度85%、200時間処理(HH処理)し接続抵抗を再度測定した結果実施例1では良好な異方性導電接続を保持したが、比較例1では導電接続不良が発生した。

Claims (7)

  1. 全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が50質量ppm以下であるエポキシ樹脂と反応性エラストマーとしてのアクリルゴムとを含むバインダー樹脂中に導電粒子が0.1〜20質量%分散されており、前記エポキシ樹脂が、アリルエーテル基を二個以上有する化合物を酸化して得られた、アリルエーテル基を有するグリシジルエーテルを含むグリシジルエーテル化合物であり、前記アクリルゴムが、下記一般式(2)で表される化合物である異方性導電フィルム。
    Figure 0006664147
    (式中R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示し、R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示す。また、R とR とが同じ基であっても異なる基であってもよい。Xは40mol%以上98.5mol%以下、Yは1mol%以上50mol%以下、Zは0.5mol%以上10mol%以下である。)
  2. 前記アクリルゴムが、グリシジル基を含有するグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムである請求項1に記載の異方性導電フィルム。
  3. 全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が10質量ppm以下である請求項1または2に記載の異方性導電フィルム。
  4. 前記導電粒子が、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、パラジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属または前記複数の金属の合金よりなる粒子、前記金属表面に金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた金属粒子、樹脂ボールにニッケル、金、パラジウム、銀のいずれかがめっきされた樹脂コアボール、カーボンまたはグラファイトの粒子、あるいはこれらの粒子表面へ絶縁樹脂薄膜コートしたものである請求項1から請求項のいずれか一項に記載の異方性導電フィルム。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の異方性導電フィルムを用いて電子部品同士が異方性導電接続されている異方性導電接続体。
  6. エポキシ樹脂として、アリルエーテル基を二個以上有する化合物を酸化して得られた、アリルエーテル基を有するグリシジルエーテルを含むグリシジルエーテル化合物であって、全塩素原子濃度及び全臭素原子濃度の合計が50質量ppm以下であるグリシジルエーテル化合物を合成する工程と、
    前記エポキシ樹脂と反応性エラストマーとしてのアクリルゴムとを含むバインダー樹脂中に導電粒子を0.1〜20質量%分散させた分散物を得る工程と、
    前記分散物を製膜する工程と、
    を含み、
    前記アクリルゴムが、下記一般式(2)で表される化合物である異方性導電フィルムの製造方法。
    Figure 0006664147
    (式中R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示し、R は、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかを示す。また、R とR とが同じ基であっても異なる基であってもよい。Xは40mol%以上98.5mol%以下、Yは1mol%以上50mol%以下、Zは0.5mol%以上10mol%以下である。)
  7. 前記アクリルゴムが、グリシジル基を含有するグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムである請求項に記載の異方性導電フィルムの製造方法。
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