JP6476885B2 - ポリアリーレンスルフィド系組成物 - Google Patents
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ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−1)(以下、単にPPS(A−1)と記す。)
:重合後の溶融粘度400ポイズ、硬化後の溶融粘度2000ポイズである硬化型ポリ(p−フェニレンスルフィド)。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−2)(以下、単にPPS(A−2)と記す。)
:重合後の溶融粘度280ポイズ、硬化後の溶融粘度3000ポイズである硬化型ポリ(p−フェニレンスルフィド)。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−3)(以下、単にPPS(A−3)と記す。)
:重合後の溶融粘度400ポイズ、硬化後の溶融粘度5000ポイズである硬化型ポリ(p−フェニレンスルフィド)。
ガラス繊維(B−1):オーウェンスコーニング社製、(商品名)CS 03 JA FT591(集束剤:エポキシ樹脂/ウレタン樹脂/アミノシランカップリング剤、繊維径=10μm)。
ガラス繊維(B−2):日東紡績(株)製、(商品名)CS 3J 953(集束剤:エポキシ樹脂/ウレタン樹脂/アミノシランカップリング剤、繊維径=10μm)。
ガラス繊維(B−3):日本電気硝子(株)製、(商品名)EX−1748(集束剤:エポキシ樹脂/ウレタン樹脂/アミノシランカップリング剤、繊維径=10μm)。
ガラス繊維(B−4):日本電気硝子(株)製、(商品名)ECS 03 T−747H(集束剤:エポキシ樹脂/ウレタン樹脂、繊維径=10μm)。
ガラス繊維(B−5):日東紡績(株)製、(商品名)CS 3J 256(集束剤:ウレタン樹脂/アミノシランカップリング剤、繊維径=10μm)。
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(C−1)(以下、単にシランカップリング剤(C−1)と記す。):信越化学製、(商品名)KBM−403。
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(C−2)(以下、単にシランカップリング剤(C−2)と記す。):信越化学製、(商品名)KBE−403。
合成ゼオライト(D−1):東ソー(株)製、(商品名)A型ゼオライトA−4粉末(細孔径:4Å、比表面積:480m2/g)。
合成ゼオライト(D−2):東ソー(株)製、(商品名)A型ゼオライトA−5粉末(細孔径:5Å、比表面積:570m2/g)。
合成ゼオライト(D−3):東ソー(株)製、(商品名)X型ゼオライトF−9粉末(細孔径:9Å、比表面積:640m2/g)。
炭酸カルシウム(E−1):白石工業(株)製、(商品名)ホワイトンP−30。
カルナバワックス(F−1−1);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、硫化ソーダ(Na2S・2.8H2O)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7120gとN−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。このポリ(p−フェニレンスルフィド)を、さらに空気雰囲気下250℃で2時間硬化を行い、PPS(A−1)を得た。得られたPPS(A−1)の溶融粘度は、2000ポイズであった。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、硫化ソーダ(Na2S・2.8H2O)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。このポリ(p−フェニレンスルフィド)を、さらに空気雰囲気下250℃で4時間硬化を行い、PPS(A−2)を得た。得られたPPS(A−2)の溶融粘度は、3000ポイズであった。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、硫化ソーダ(Na2S・2.8H2O)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7120gとN−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が400ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)を得た。このポリ(p−フェニレンスルフィド)を、さらに酸素雰囲気下250℃で4時間硬化を行い、PPS(A−3)を得た。得られたPPS(A−3)の溶融粘度は、5000ポイズであった。
機械的強度を代表する物性として引張強度を、靭性を代表する物性として引張破断エネルギーを評価した。
トヨタ純正スーパーロングライフクーラントJCC273Kを50体積%、イオン交換水を50体積%からなる試験液を調整した。次いで、引張強度の測定と同じ試験片を作製し、該試験片全体が該試験液に浸かるようにして試験片を試験液に入れた。試験片を入れた試験液を130℃に加熱し、1000時間放置した。試験液に1000時間浸漬した試験片を取り出し、付着している試験液を拭い去った後、引張強度の測定と同じ測定装置、試験条件で引張強度を測定し、引張強度残率を求めた。引張強度残率として80%以上であるものを、耐ロングライフクーラント性及び耐熱水性に優れると判断した。
溶融流動性の指標としてバーフロー長さ(以下、BFLと記す。)を測定した。射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)に、深さ1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにポリアリーレンスルフィド系組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さをBFLとして測定した。BFLが大きいものほど溶融流動性に優れると判断した。
ポリアリーレンスルフィド系組成物のペレットを精密天秤で約3g採取し、これを図1に示す装置の試験管に入れた。該試験管中の空気を真空ポンプにて排出し、真空状態の該試験管を350℃の加熱炉に入れ1時間加熱した。その後、加熱により発生した該試験管中のガスの圧力を、マノメータを用い測定し、ボイル−シャルルの法則からポリアリーレンスルフィド系組成物1g当りのガス量を発生ガス量として算出した。一方、加熱後、該試験管に付着するヤニを綿棒ですべて拭い取り、拭い取る前後の綿棒の重さを精密天秤にて量り、この差を採取したポリアリーレンスルフィド系組成物の重量で除し、この値を発生ヤ二量とした。発生ガス量が1.2ml/g以下であるもの、発生ヤニ量が0.06%以下であるものを、発生ガス・ヤニ量が少なく優れると判断した。
PPS(A−1)100重量部、シランカップリング剤(C−1)1重量部、合成ゼオライト(D−1)1重量部、及びカルナバワックス(F−1−1)0.5重量部の割合で配合して、シリンダー温度310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(B−1)をPPS(A−1)100重量部に対して66.7重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物を冷却後裁断し、ペレット状のポリアリーレンスルフィド系組成物を作製した。得られたポリアリーレンスルフィド系組成物を、シリンダー温度310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張破断エネルギーを測定するための試験片を成形すると共に、BFLを測定した。該試験片を用い、引張強度、引張破断エネンルギーを評価すると共に、耐ロングライフクーラント性及び耐熱水性を評価した。また、ポリアリーレンスルフィド系組成物のペレットを用い、発生ガス・ヤニ量を評価した。これらの結果を表1に示した。
PPS(A−1、A−2、A−3)、シランカップリング剤(C−1、C−2)、合成ゼオライト(D−1、D−2、D−3)、炭酸カルシウム(E−1)、及びカルナバワックス(F−1−1)を表1に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(B−1、B−2、B−3)を、表1に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示した。
PPS(A−1、A−2)、シランカップリング剤(C−1)、合成ゼオライト(D−3)、炭酸カルシウム(E−1)、及びカルナバワックス(F−1−1)を表2に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(B−1、B−4、B−5)を、表2に示す構成割合になるように二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法によりポリアリーレンスルフィド系組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示した。
Claims (7)
- ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対して、少なくとも、エポキシ樹脂,ウレタン樹脂及びシランカップリング剤を含有する集束剤で表面処理されたガラス繊維(B)30〜100重量部、アミノ基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種以上の官能基を有するシランカップリング剤(C)0.5〜3重量部並びに細孔径4〜10Å、比表面積200m2/g以上を有する合成ゼオライト(D)0.1〜2重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド系組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)が、下記(1)及び(2)を満足する硬化型ポリアリーレンスルフィドであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
(1)測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した重合後の溶融粘度が200〜600ポイズ。
(2)硬化後、測定温度315℃、荷重10kgの条件下、直径1mm、長さ2mmのダイスを用いて高化式フローテスターで測定した溶融粘度が700〜8000ポイズ。 - シランカップリング剤(C)が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランらなる群より選択される1種以上のものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- 合成ゼオライト(D)が、細孔径4〜10Å、比表面積200〜1000m2/gを有する合成ゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対して、さらに、マイカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムからなる群より選択される1種以上の非繊維状充填材(E)50〜100重量部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- ポリアリーレンスルフィド(A)100重量部に対して、さらに、カルナバワックス(F−1)、脂肪酸アミド系滑剤(F−2)からなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤(F)0.05〜3重量部を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
- 130℃のロングライフクーラント剤に1000時間浸漬後の引張強度の残率が80%以上を示すものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド系組成物。
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