JP6476865B2 - 樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 硬化被膜層(A)、硬化被膜層(B)及び樹脂基材層(C)を含む樹脂積層体であって、樹脂基材層(C)が硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)の間にあり、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)が下記式(1)〜(3)を満足する樹脂積層体。
(1)6H≦P(A)
(2)3H≦P(B)≦6H
(3)P(A)>P(B)
ただし、P(A)は硬化被膜層(A)の鉛筆硬度を表し、P(B)は硬化被膜層(B)の鉛筆硬度を表す。
[2] P(A)が7H以上である[1]に記載の樹脂積層体。
[3] P(A)が8H以上である[1]に記載の樹脂積層体。
[4] 下記の耐クラック性の評価において、曲率半径Xが40mmの場合にクラックが発生しない[1]に記載の樹脂積層体。
<耐クラック性の評価>
幅30mm、長さ120mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の曲率半径RがXである型の上に硬化被膜層(B)を有する面が外側になるように乗せて、型に沿って曲げて、30秒間保持する。その後、樹脂積層体の硬化被膜層(B)の表面を目視観察して、クラックの発生の有無を判断する。
[5] 耐クラック性の評価において、耐クラック性が、曲率半径Xが30mmの場合にクラックが発生しないものである[4]に記載の樹脂積層体。
[6] 硬化被膜層(A)が、
(A−1)(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体、
(A−2)(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体及び
(A−3)重合開始剤を含む硬化性組成物(A)を硬化して得られる硬化被膜層であって、
前記硬化性組成物(A)は、前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計100質量部に対し、前記(A−1)成分を65〜85質量部及び前記(A−2)成分を15〜35質量部含有する硬化性組成物である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
[7] 前記(A−1)成分がジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の単量体である[6]に記載の樹脂積層体。
[8] 硬化被膜層(A)の膜厚が20〜40μmである[1]に記載の樹脂積層体。
[9] 硬化被膜層(B)が、
(B−1)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを除く、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体、
(B−2)(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体及び
(B−3)重合開始剤を含む硬化性組成物(B)を硬化して得られる硬化被膜層であって、
前記硬化性組成物(B)は、前記(B−1)成分と前記(B−2)成分の合計100質量部に対し、前記(B−1)成分を40〜75質量部及び前記(B−2)成分を25〜60質量部含有する硬化性組成物である[1]に記載の樹脂積層体。
[10] 樹脂積層体の硬化被膜層(A)の第1面の、水に対する接触角が100度以上であり、かつトリオレインに対する接触角が60度以上である[1]に記載の樹脂積層体。
[11] 樹脂基材層(C)が、
メタクリル酸メチル単位のみを含有する重合体、又は共重合体の総質量に対し50以上100質量%未満のメタクリル酸メチル単位及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体単位を有する共重合体を含む樹脂である[1]に記載の樹脂積層体。
[12] 樹脂基材層(C)が、前記メタクリル酸メチル単位のみを含有する重合体、又は前記共重合体100質量部に対してオレフィン−アクリル酸アルキル共重合体を0.02〜1質量部含有する樹脂である[11]に記載の樹脂積層体。
[13] メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体単位が、メタクリル酸メチル以外の炭素数2〜20の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の単量体単位を含む[11]に記載の樹脂積層体。
[14] 以下に示す型(A)と型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型にメタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体を含む樹脂基材原料を流し込んだ後に、樹脂基材原料を注型重合して樹脂基材層(C)を形成した後に鋳型を除去する、樹脂基材の第1面に硬化被膜層(A)が積層され、第2面に硬化被膜層(B)が積層された樹脂積層体の製造方法であって、硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が6H以上で、硬化被膜層(B)の鉛筆硬度が3〜6Hで、硬化被膜層(A)が硬化被膜層(B)よりも高い鉛筆硬度を有する樹脂積層体の製造方法。
型(A):鋳型の表面に硬化性組成物(A)を塗布した後に硬化性組成物(A)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型
型(B):鋳型の表面に硬化性組成物(B)を塗布した後に硬化性組成物(B)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(B)が積層された型
[15] 硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が7H以上である[14]に記載の樹脂積層体の製造方法。
[16] 硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が8H以上である[14]に記載の樹脂積層体の製造方法。
[17] 前記型(A)として、鋳型の硬化性組成物(A)と接触する面に、水に対する接触角が105°以上である被膜が形成された鋳型を用いる[14]に記載の樹脂積層体の製造方法。
[18] 以下に示す型(A)と型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型にメチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体を含む樹脂基材原料を流し込んだ後に、樹脂基材原料を注型重合して樹脂基材層(C)を形成した後に鋳型を除去して得られる、樹脂基材の第1面に硬化被膜層(A)が積層され、第2面に硬化被膜層(B)が積層された樹脂積層体であって、硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が6H以上で、硬化被膜層(B)の鉛筆硬度が3〜6Hで、硬化被膜層(A)が硬化被膜層(B)よりも高い鉛筆硬度を有する樹脂積層体。
型(A):鋳型の表面に硬化性組成物(A)を塗布した後に硬化性組成物(A)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型
型(B):鋳型の表面に硬化性組成物(B)を塗布した後に硬化性組成物(B)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(B)が積層された型
本発明で使用される樹脂基材層(C)は硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)の間に位置する層である。
樹脂基材層(C)の樹脂基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ラジカル重合性単量体とは、例えばラジカル重合性の二重結合ラジカル重合性の二重結合を含有する化合物をいい、例えば、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体を含有する化合物をいう。
樹脂基材の第1面とは、樹脂基材の面のうち最も広い面積を有する二面の一つをいう。樹脂基材の第2面とは、樹脂基材において、樹脂基材の第1面に対向する面をいう。
本発明における硬化被膜層(A)は、樹脂基材層(C)の第1面に備えられ、硬化被膜層(A)の第1面における鉛筆硬度が6H以上であり、一般的に6〜9Hである。また、硬化被膜層(A)は硬化被膜層(B)よりも高い鉛筆硬度を有する。
硬化被膜層(A)の第1面とは、硬化被膜層(A)において、樹脂積層体を形成する際に樹脂基材と接する面と対向する面をいう。硬化被膜層(A)の第2面とは、硬化被膜層(A)において、樹脂積層体を形成する際に樹脂基材と接する面をいう。
本発明において、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れ成分の除去性を良好にする為に、必要に応じて、硬化被膜層(A)に撥水性を付与することができる。指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れ成分の除去性を良好にする為に、硬化被膜層(A)の第1面の水に対する接触角は70度以上が好ましく、100度以上であることがより好ましく、100度以上、120度以下であることが更に好ましい。
また、本発明において、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れ成分の除去性を良好にする為に、必要に応じて、硬化被膜層(A)の第1面に撥油性を付与することができる。指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れ成分の除去性を良好にする為に、硬化被膜層(A)の第1面のトリオレインに対する接触角が60度以上であることがより好ましく、70度以上、90度以下であることが更に好ましい。
硬化被膜層(A)の表面に撥水性を付与することで、指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れ成分の除去性を良好とすることができる傾向にある。
また、本願において、ある固体の表面のトリオレインに対する接触角は、23℃及び相対湿度50%の環境下において、その固体の表面にトリオレイン0.2μLの1滴を滴下し、携帯型接触角計(Fibro system ab社製、商品名:PG−X)を用いて求めた。
尚、ここでいう「多価アルコール」とは、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールを意味する。
「多価カルボン酸」とは、分子中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味する。
「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、(メタ)アクリル酸の水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。
「線状」とは、直鎖状及び分岐鎖状を意味する。
上記の中でも、好ましくは、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(1)樹脂基材層(C)の第1面に硬化性組成物(A)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(A)を硬化させる方法
(2)鋳型の表面に硬化性組成物(A)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(A)を硬化させて鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型(A)と、後述する鋳型の表面に硬化性組成物(B)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(B)を硬化させて鋳型の表面に硬化皮膜層(B)が積層された型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型に、樹脂基材原料を流し込んだ後に樹脂基材原料を注型重合し、更に2つの鋳型を除去する方法
上記の方法の中で、高い鉛筆硬度を有する硬化被膜層(A)を得る点で、(2)の方法が好ましい。
前記反応は、トリイソシアネートに(III−1)及び(III−2)を同時に反応させてもよいし、或いは(III−1)及び(III−2)を順次反応させてもよい。反応する各成分量は、トリイソシアネート1モルに対して、(III−1)の有する水酸基と(III−2)の有する水酸基の総和が3モルとなる成分量であることが好ましい。(III−1)の量は、トリイソシアネート1モルに対して、0.0001〜2.0モル(0.01〜2.0モル)であることが好ましく、0.01〜1.2モル(0.1〜1.2モル)であることがより好ましい。(III−2)の量は、トリイソシアネート1モルに対して、1.0〜2.5モルであることが好ましく、1.2〜2.0モルであることがより好ましい。
F(CF2)vCH2CH(I)CH2OH (IV−2)
尚、式(IV−1)及び(IV−2)において、v及wはそれぞれ独立に1〜8の整数を表す。
R21−O−R22 (V)
(式(VI)中、Mは金属原子を表し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、mは金属原子Mの原子価(3又は4)を表す。)
金属原子Mとしては、高屈折率層の屈折率の点で、チタン、アルミニウム、ジルコニウム及びスズが好ましく、チタンがより好ましい。
本発明における硬化被膜層(B)は、樹脂基材層(C)の第2面に備えられ、硬化被膜層(B)の第2面、すなわち硬化被膜層(B)の樹脂基材層(C)に接する面に対向する面における鉛筆硬度が3〜6Hである。
硬化被膜層(B)の第1面とは、硬化被膜層(B)において、樹脂積層体を形成する際に樹脂基材と接する面をいう。樹脂積層体の硬化被膜層(B)の第2面とは、硬化被膜層(B)において、樹脂積層体を形成する際に樹脂基材層(C)と接する面と対向する面をいう。
<耐クラック性の評価>
幅30mm及び長さ120mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の弧の曲率半径Rが40mm又は30mmである型の上に硬化被膜層(B)の第2面が鉛直方向上側になるように乗せる。樹脂積層体を型に沿って曲げて、30秒間保持する。その後、樹脂積層体の硬化被膜層(B)の第2面を目視観察して、クラックの発生の有無を判断する。
耐クラック性の評価において用いる樹脂積層体の厚みは、例えば0.2mm以上3mm以下である。
耐クラック性の評価に使用する型の材質としては特に限定されるものではなく、例えば、木製、樹脂製及び鋼鉄製が挙げられる。また、型の大きさは、評価に使用する試験片全体が載置されるサイズであれば特に限定されない。
樹脂積層体を型に沿って曲げる行為は、例えば2〜10秒間かけて行う。
多官能単量体(B−2)の含有量が、多官能単量体(B−1)及び多官能単量体(B−2)の合計量100質量部に対して25質量部以上の場合に、硬化性組成物(B)を硬化させる際の硬化収縮率が低下し、硬化被膜層(B)の耐クラック性が良好となる傾向にある。また、樹脂基材層(C)の第2面に硬化被膜層(B)を積層した樹脂積層体の反りを抑制できる傾向にある。樹脂硬化組成物(B)における多官能単量体(A−2)の含有量が60質量部以下の場合に、硬化被膜層(B)の耐擦傷性及び表面硬度が良好となる傾向にある。
本発明の一態様として、硬化性組成物(B)として本組成物を用いる際、硬化性組成物(A)として20〜50質量部のジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、又は20〜50質量部のカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物;20〜50質量部のペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物;5〜15質量部のウレタン化合物であって、ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物;10〜40質量部の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;並びに0.5〜3質量部のベンゾインエチルエーテルを含有し、前記化合物の質量部の合計が90〜110質量部である組成物(A’)を用いてもよい。
硬化性組成物(B)としては、例えば、15〜35質量部のカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物;20〜40質量部のペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物;5〜25質量部のウレタンアクリレート化合物;20〜40質量部の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;並びに0.5〜3質量部のベンゾインエチルエーテルを含有し、前記化合物の質量部の合計が70〜110質量部である組成物が挙げられる。
本発明の一態様として、硬化性組成物(B)として本組成物を用いる際、硬化性組成物(A)として上述の組成物(A’)を用いてもよい。
硬化性組成物(B)としては、例えば、20〜40質量部のペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物;30〜50質量部のウレタンアクリレート化合物;20〜40質量部の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;並びに0.5〜3質量部のベンゾインエチルエーテルを含有し、前記化合物の質量部の合計が70〜110質量部である組成物が挙げられる。
本発明の一態様として、硬化性組成物(B)として本組成物を用いる際、硬化性組成物(A)として上述の組成物(A’)を用いてもよい。
(1)樹脂基材層(C)の第2面に硬化性組成物(B)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(B)を硬化させる方法
(2)鋳型の表面に硬化性組成物(B)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(B)を硬化させて鋳型の表面に硬化皮膜層(B)が積層された型(B)と、鋳型の表面に硬化性組成物(A)の塗膜を形成した後に硬化性組成物(A)を硬化させて鋳型の表面に硬化皮膜層(A)が積層された型(A)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型に、樹脂基材原料を流し込んだ後に樹脂基材原料を注型重合し、更に2つの鋳型を除去する方法
上記の方法の中で、樹脂積層体の硬化被膜層(B)が曲率半径40mmに曲げた際にクラックが発生しない耐クラック性を有するものを得る場合、(2)の方法が好ましい。
本発明の樹脂積層体は、樹脂基材層(C)の第1面に硬化被膜層(A)を備え、樹脂基材層(C)の第2面に硬化被膜層(B)を備えた積層体である。
(1)樹脂基材層(C)の第1面に硬化被膜層(A)を積層した後に樹脂基材層(C)の第2面に硬化被膜層(B)を積層する、又は樹脂基材層(C)の第2面に硬化被膜層(B)を積層した後に樹脂基材層(C)の第1面に硬化被膜層(A)を積層して樹脂積層体を得る方法
(2)鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型(A)と、鋳型の表面に硬化被膜層(B)が積層された型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置することにより得られる積層鋳型に樹脂基材原料を流し込んだ後に樹脂基材原料を注型重合し、更に2つの鋳型を除去して樹脂積層体を得る方法
以下に上記の(2)の方法について更に説明する。
(1)硬化被膜の膜厚
樹脂積層体の断面の微分干渉顕微鏡写真を用いて硬化被膜層(A)及び硬化被膜層(B)の膜厚を測定した。
(2)ヘーズ
日本電色工業(株)製HAZE METER NDH4000(商品名)を用いてJIS K7136に示される測定法に準拠して、樹脂積層体のヘーズを測定した。
(3)耐擦傷性
樹脂積層体の表面の硬化被膜の耐擦傷性を、擦傷試験前と擦傷試験後の樹脂積層体のヘーズ値の差△ヘーズ(%)により評価した。擦傷試験は、#000のスチールウール(日本スチールウール(株)製、商品名:ボンスターNo.000)を装着した直径24mmの円形パッドを樹脂積層体の硬化被膜側の表面上に置き、2,000gの荷重下で20mmの距離を、100回往復させて実施した。
(4)鉛筆硬度
樹脂積層体の表面、すなわち硬化被膜層(A)の第1面及び硬化被膜層(B)の第2面の鉛筆硬度をJIS K5600−5−4に準拠して測定し、表面硬度を評価した。
(5)耐衝撃性
50mm角に切断した厚み1mmの樹脂積層体のサンプルを、直径20mmの円形の穴が空いた5mm厚のアクリル板である支持台の上に設置した。サンプルは支持台の穴がサンプル中央の下になるように、サンプルの対抗する2辺をセロハンテープでサンプル支持台に固定した。23℃及び相対湿度50%の条件下で、ステンレス球(球径20.0mmφ、質量35.9g)を樹脂積層体の中央に落下させたときの50%破壊高さを測定し、耐衝撃性を評価した。尚、50%破壊高さはISO 6603−1に準拠して求めた。
(6)耐クラック性
樹脂積層体の表面の耐クラック性を、樹脂積層体を曲率半径40mm及び30mmに曲げた時のクラック発生の有無を観察することにより評価した。耐クラック性の評価は、以下の手順で行った。幅30mm、長さ120mm及び厚み1mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の弧の曲率半径Rが40mm又は30mm、底辺の長さが100mmである木製の型の上に樹脂積層体の硬化被膜層(B)の第2面が鉛直方向上側になるように樹脂積層体を載置した。樹脂積層体の全体を型の弧に沿って曲げて、30秒間保持した。その後、樹脂積層体の硬化被膜層(B)の第2面を目視観察して、下記基準で判断した。
「◎」:クラックが認められない。
「○」:曲率半径30mmに曲げた時にクラックが認められる。
「×」:曲率半径40mmに曲げた時にクラックが認められる。
(7)水に対する接触角
23℃及び相対湿度50%の環境下において、樹脂積層体の硬化被膜層(A)の第1面又は硬化被膜層(B)の第2面に水0.2μLの1滴を滴下し、携帯型接触角計(Fibro system ab社製、商品名:PG−X)を用いて樹脂積層体の硬化被膜層(A)の第1面及び硬化被膜層(B)の第2面の水に対する接触角を求めた。
(8)トリオレインに対する接触角
23℃及び相対湿度50%の環境下において、樹脂積層体の硬化被膜層(A)の表面にトリオレイン0.2μLの1滴を滴下し、携帯型接触角計(Fibro system ab社製、商品名:PG−X)を用いて樹脂積層体の硬化被膜層(A)の第1面のトリオレインに対する接触角を求めた。
ポリアクリレート1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ポリアクリレート1の総質量に対して60〜70質量%)とジペンタエリスリトールペンタアクリレート(ポリアクリレート1の総質量に対して40〜30質量%)の混合物。
ポリアクリレート2:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(ポリアクリレート2の総質量に対して60〜70質量%)とカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ポリアクリレート2の総質量に対して40〜30質量%)の混合物。
ポリアクリレート3:ペンタエリスリトールトリアクリレート(ポリアクリレート3の総質量に対して50〜70質量%)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(ポリアクリレート3の総質量に対して50〜30質量%)の混合物
ポリアクリレート4:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:5:4の縮合混合物
ウレタンアクリレート1:ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物
ジアクリレート1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
BEE:ベンゾインエチルエーテル(精工化学 (株)製、商品名)
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
メガファック903NST:フッ素含有アクリレート化合物(DIC(株)製、商品名)
UN−2300:ウレタンアクリレート化合物(根上工業(株)製、商品名)
〔実施例1〕
ポリアクリレート1;30部、ポリアクリレート3;30部、ウレタンアクリレート1;10部、ジアクリレート1;30部及びBEE;1.5部を混合し、硬化被膜層(A)を形成するための硬化性組成物(A1)を得た。また、ポリアクリレート4;50部、ジアクリレート1;50部及びBEE;1.5部を混合し、硬化被膜層(B)を形成するための硬化性組成物(B1)を得た。
次いで、この積層鋳型(1)内に、樹脂基材原料(1)を減圧下において溶存空気を除去した後、前記の積層鋳型(1)内に注入し、80℃の水浴中で1時間、次いで130℃の空気炉で1時間重合させた。冷却後、積層鋳型(1)から型(A1)及び型(B1)を剥離して、樹脂基材の第1面に硬化被膜層(A1)を備え、樹脂基材の第2面に硬化被膜層(B1)を備える厚さ1mmの樹脂積層体(1)を得た。評価結果を表1に示す。
硬化性組成物(A)及び(B)として表1に示す組成のものを使用する以外は実施例1と同様の方法で硬化被膜層(A2)、(A3)、(A4)、(A7)、(A8)、(A9)、(A11)及び(A12)並びに硬化被膜層(B2)、(B3)、(B4)、(B7)、(B8)、(B9)、(B11)及び(B12)を得、次いで樹脂積層体(2)、(3)、(4)、(7)、(8)、(9)、(11)及び(12)を得た。評価結果を表1に示す。
硬化被膜層(A)を形成する鋳型となる鏡面を有するSUS304板上に、フッ素含有コーティング剤として「フロロサーフFG5010Z130−0.1」((株)フロロテクノロジー製、商品名)を、バーコーターを用いて乾燥膜厚が15nmとなるように塗布し、フッ素含有コーティング剤塗膜を有する塗膜形成鋳型を得た。次いで、この塗膜形成鋳型を60℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥し、更に室温で8時間放置し、表面がフッ素処理されたSUS積層鋳型を得た。
実施例1と同様にして得られた樹脂積層体(6´)の硬化被膜層(A6)の表面を放電量135W分/m2でコロナ処理した。次いで、コロナ処理した面に、フッ素含有コーティング剤として「ノベックEGC1720」(住友スリーエム(株)製、商品名)を、バーコーターを用いて乾燥膜厚が10nmとなるように塗布し、フッ素含有コーティング剤塗膜を有する樹脂積層体(6´)を得た。次いで、フッ素含有コーティング剤塗膜を有する樹脂積層体(6´)を60℃の熱風乾燥炉で10分間乾燥し、更に室温で8時間放置し、表面がフッ素処理された樹脂積層体(6)を得た。尚、実施例6の硬化被膜層(A)の評価結果は、フッ素含有コーティング剤塗膜上の評価結果を示す。評価結果を表1に示す。
硬化性組成物(A)及び(B)として表1に示す組成のものを使用する以外は実施例1と同様の方法で硬化被膜層(A10)及び(A14)並びに硬化被膜層(B10)及び(B14)を得た。
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、EB050S;エチレン−アクリル酸メチル共重合体(商品名レクスパールEMA、アクリル酸メチル単位含有量24%、日本ポリエチレン株式会社製)を0.1部溶解したメタクリル酸メチル68部、メタクリル酸イソボルニル20部、アクリル酸イソボルニル3部、メタクリル酸t-ブチル8部、アクリル酸ブチル1部の混合物を供給し、撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。内温が60℃になった時点で、ラジカル重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部を添加し、更に内温100℃まで加熱した後、13分間保持した。その後、反応器を室温まで冷却して、シラップを得た。このシラップの重合率は約30質量%であった。
前記シラップ100部にt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部及び2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.03部を含有する、樹脂基材原料(2)を得た。樹脂基材原料(2)を使用する以外は実施例1と同様の方法で樹脂積層体(10)及び(14)を得た。評価結果を表1に示す。
硬化性組成物(A)として表1に示す硬化性組成物(A13)を、厚さ1mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱レイヨン(株)製、商品名)の第1面に塗布し、硬化性組成物(A13)の塗膜が被覆された硬化性組成物塗膜被覆メタクリル樹脂板を得た。
Claims (20)
- 硬化被膜層(A)、硬化被膜層(B)及び樹脂基材層(C)を含む樹脂積層体であって、樹脂基材層(C)が硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)の間にあり、
硬化被膜層(A)の膜厚が20〜40μmであり、
硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)が下記式(1)〜(3)を満足する樹脂積層体。
(1)6H≦P(A)
(2)3H≦P(B)≦6H
(3)P(A)>P(B)
ただし、P(A)は硬化被膜層(A)の鉛筆硬度を表し、P(B)は硬化被膜層(B)の鉛筆硬度を表す。 - P(A)が7H以上である請求項1に記載の樹脂積層体。
- P(A)が8H以上である請求項1に記載の樹脂積層体。
- 下記の耐クラック性の評価において、曲率半径Xが40mmの場合にクラックが発生しない請求項1に記載の樹脂積層体。
<耐クラック性の評価>
幅30mm、長さ120mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の曲率半径RがXである型の上に硬化被膜層(B)を有する面が外側になるように乗せて、型に沿って曲げて、30秒間保持する。その後、樹脂積層体の硬化被膜層(B)の表面を目視観察して、クラックの発生の有無を判断する。 - 耐クラック性の評価において、耐クラック性が、曲率半径Xが30mmの場合にクラックが発生しないものである請求項4に記載の樹脂積層体。
- 硬化被膜層(A)が、
(A−1)(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体、
(A−2)(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体及び
(A−3)重合開始剤を含有する硬化性組成物(A)を硬化して得られる硬化被膜層であって、
前記硬化性組成物(A)は、前記(A−1)成分と前記(A−2)成分の合計100質量部に対し、前記(A−1)成分を65〜85質量部及び前記(A−2)成分を15〜35質量部含有する硬化性組成物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂積層体。 - 前記(A−1)成分がジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の単量体を含む請求項6または7に記載の樹脂積層体。
- 硬化被膜層(B)が、
(B−1)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを除く、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体、
(B−2)(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体及び
(B−3)重合開始剤
を含む硬化性組成物(B)を硬化して得られる硬化被膜層であって、
前記硬化性組成物(B)は、前記(B−1)成分と前記(B−2)成分の合計100質量部に対し、前記(B−1)成分を40〜75質量部及び前記(B−2)成分を25〜60質量部含有する硬化性組成物である請求項1に記載の樹脂積層体。 - 樹脂積層体の硬化被膜層(A)の第1面の、水に対する接触角が100度以上であり、かつトリオレインに対する接触角が60度以上である請求項1に記載の樹脂積層体。
- 樹脂基材層(C)が、
メタクリル酸メチル単位のみを含有する重合体、又は共重合体の総質量に対し50以上100質量%未満のメタクリル酸メチル単位及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体単位を有する共重合体を含む樹脂である請求項1に記載の樹脂積層体。 - 樹脂基材層(C)が、前記メタクリル酸メチル単位のみを含有する重合体、又は前記共重合体100質量部に対してオレフィン−アクリル酸アルキル共重合体を0.02〜1質量部含有する樹脂である請求項11に記載の樹脂積層体。
- メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体単位が、メタクリル酸メチル以外の炭素数2〜20の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の単量体単位を含む請求項11に記載の樹脂積層体。
- 以下に示す型(A)と型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型にメタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体を含む樹脂基材原料を流し込んだ後に、樹脂基材原料を注型重合して樹脂基材層(C)を形成した後に鋳型を除去する、樹脂基材の第1面に硬化被膜層(A)が積層され、第2面に硬化被膜層(B)が積層された樹脂積層体の製造方法であって、
硬化被膜層(A)の膜厚が20〜40μmであり、
硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が6H以上で、硬化被膜層(B)の鉛筆硬度が3〜6Hで、硬化被膜層(A)が硬化被膜層(B)よりも高い鉛筆硬度を有する樹脂積層体の製造方法。
型(A):鋳型の表面に硬化性組成物(A)を塗布した後に硬化性組成物(A)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型
型(B):鋳型の表面に硬化性組成物(B)を塗布した後に硬化性組成物(B)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(B)が積層された型 - 硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が7H以上である請求項14に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が8H以上である請求項14に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 前記型(A)として、鋳型の硬化性組成物(A)と接触する面に、水に対する接触角が105°以上である被膜が形成された鋳型を用いる請求項14に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 以下に示す型(A)と型(B)を、硬化被膜層(A)と硬化被膜層(B)とを対向させて配置して得られる積層鋳型にメチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体を含む樹脂基材原料を流し込んだ後に、樹脂基材原料を注型重合して樹脂基材層(C)を形成した後に鋳型を除去して得られる、樹脂基材の第1面に硬化被膜層(A)が積層され、第2面に硬化被膜層(B)が積層された樹脂積層体であって、
硬化被膜層(A)の膜厚が20〜40μmであり、
硬化被膜層(A)の鉛筆硬度が6H以上で、硬化被膜層(B)の鉛筆硬度が3〜6Hで、硬化被膜層(A)が硬化被膜層(B)よりも高い鉛筆硬度を有する樹脂積層体。
型(A):鋳型の表面に硬化性組成物(A)を塗布した後に硬化性組成物(A)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(A)が積層された型
型(B):鋳型の表面に硬化性組成物(B)を塗布した後に硬化性組成物(B)を硬化させて、鋳型の表面に硬化被膜層(B)が積層された型
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