JP6825363B2 - 樹脂積層体及びその製造方法並びにディスプレー前面板及び移動体用グレージング - Google Patents

樹脂積層体及びその製造方法並びにディスプレー前面板及び移動体用グレージング Download PDF

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Description

本発明は、樹脂積層体及びその製造方法に関する。また、前記樹脂積層体を含むディスプレー前面板、及び前記樹脂積層体を含む移動体用グレージングに関する。
パーソナルコンピューターや、液晶テレビ、携帯電話等のディスプレー表面を保護するディスプレー前面板用途や、自動車用グレージング用途には、透明性、耐摩耗性及び表面硬度の観点から、ガラス板が使用されてきた。
近年、上記用途においは、部材の軽量化に対する要求が高まりつつある。しかし、ガラス板は薄板化すると割れ易くなることが課題であった。そこで、軽量で透明性に優れ、薄板化しても耐衝撃性に優れている(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、AS樹脂等からなる樹脂板が検討されている。
しかしながら、通常の樹脂板は表面硬度が低いため、ディスプレー前面板用途に使用した場合、引掻き等による傷が発生し易い。さらに、移動体用グレージング用途、例えばヘッドランプレンズ等の用途では、小石・砂埃等の他の硬い物との接触や衝突、引掻きなどによってグレージング表面が傷を受けたり、損傷しやすいため、樹脂板には、高い耐摩耗性や表面硬度が要求されている。
さらに、上記の用途においては、樹脂板を曲面形状に加工して用いる場合が増えつつあり、高い耐クラック性を有する樹脂板が要求されている。
耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性に優れた樹脂板として、例えば、特許文献1には、5又は6官能性アクリレート系単量体と、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体と、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体を含有する硬化性組成物を硬化して得られる、膜厚22〜40μmの硬化被膜を、樹脂基材の表面に積層した樹脂積層体が開示されている。
特許文献2には、3〜6官能性アクリレート系単量体の光硬化性架橋共重合体と無機微粒子とを含むハードコーティング層が、支持基材の少なくとも一面に形成された、ハードコーティングフィルムが開示されている。
特許文献3には、(メタ)アクリル系樹脂フィルムからなる基材層、ハードコート層形成用組成物を活性エネルギー線で硬化してなるハードコート層及び前記基材層と前記ハードコート層の間に混合層を有する光学積層体が開示されている。
WO2014/184983号公報 特表2015−523241号公報 特開2012−234163号公報
しかしながら、特許文献1に記載の被覆材組成物は、表面硬度は十分であるものの移動体用グレージング用途に適用した場合、耐摩耗性が不十分であった。
また、特許文献2に記載のアクリル樹脂積層体は、耐摩耗性に優れるが、複雑な曲面形状のディスプレー前面板に適用したとき、アクリル樹脂積層体の硬化被膜にクラックが生じる。
特許文献3に記載の光学積層体は、混合層を設けることにより樹脂基材と硬化被膜の密着性が向上し、耐クラックが向上する。しかしながら、特許文献3の光学積層体は酸素存在下で硬化処理されるため、活性エネルギー線による硬化の際に光学積層体の外側表面は酸素による硬化阻害を受け易く、光学積層体の耐摩耗性と表面硬度が不十分であった。
本発明はこれらの課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性に優れた樹脂積層体及び該樹脂積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の要旨は、シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、前記樹脂基材(A)は、該硬化被膜(B)の総重量に対して、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、前記硬化被膜(B)は、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)由来の構造単位と、(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)由来の構造単位と、無機微粒子(b1−3)を含み、前記硬化被膜(B)は、該樹脂基材の総重量に対して、無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、且つ、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子である、樹脂積層体にある。
<方法1>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
本発明の第2の要旨は、シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法1−2で測定された該混合層の厚みBt0.2μm以上3.0μm以下である、前記樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、前記樹脂積層体について下記方法2で測定されたヘイズ値の増加量ΔHAZE1〜ΔHAZE3が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす樹脂積層体にある。
0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
<方法1−2>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
<方法2>
(1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
(2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。
<方法2>
(1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
(2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。
本発明の第3の要旨は、樹脂積層体の製造方法であって、シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体の製造方法であって、
(1)硬化性組成物(b)を鋳型の表面に塗布した後に、該硬化性組成物(b)に、活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記鋳型の表面に前記硬化被膜が設けられた積層鋳型を得ること、
(2)次いで、メタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布すること、
(3)次いで、前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を注型重合すること、(4)次いで、前記(3)の樹脂積層体を鋳型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が積層された樹脂積層体を得ること、
を含む樹脂積層体の製造方法であり、
前記硬化性組成物(b)が、該硬化性組成物(b)の総重量に対して、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)40質量%以上83質量%以下を含む硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物(b)は、前記硬化性組成物(b)の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、
前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、前記樹脂積層体の前記硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子であり、前記硬化性組成物(b)が、前記無機微粒子(b1−3)を分散した無機微粒子含有溶液と、前記(b1−1)及び前記(b1−2)を混合してなる硬化性組成物であり、前記硬化性組成物(b)のJIS Z 8803に準じて測定した粘度が50mPa・s以上600mPa・s以下である、樹脂積層体の製造方法にある。
本発明の第4の要旨は、上述した樹脂積層体を含むディスプレー前面板にある。
本発明の第5の要旨は、上述した樹脂積層体を含む移動体用グレージングにある。
本発明により、耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性に優れた樹脂積層体を提供することができる。このよう樹脂積層体は、タッチパネル方式のディスプレー等のディスプレー前面板や、特に自動車等の移動体用グレージングのように、高い耐摩耗性、表面硬度が要求され、且つ、曲面形状に加工されて、使用される使用用途に好適に用いることができる。
本発明の一実施形態である、硬化被膜1が樹脂基材2の一方の面に積層した樹脂積層体3の断面を示した模式図である。 本発明の一実施形態である、硬化被膜1が樹脂基材2の両方の表面に積層した樹脂積層体3の断面を示した模式図である。 樹脂積層体の切断面から切り出した小片についての透過型電子顕微鏡の観察像であって、樹脂基材の層4/混合層5/硬化被膜の層6の3層構造が観察された場合の観察像の一例である。 樹脂積層体の切断面から切り出した小片についての透過型電子顕微鏡の観察像であって、樹脂基材の層4と硬化被膜の層6の間に混合層が観察されない場合の観察像の一例である。
以下本発明を詳細に説明する。本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」は、各々「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種並びに「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
また、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。「構造単位」とは、(メタ)アクリル樹脂組成物の製造に用いる単量体に由来する構造単位を意味する。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
<樹脂積層体>
本発明の一実施形態である樹脂積層体は、シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体である。
本発明の樹脂積層体は、硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、且つ、JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験前・後のヘイズ値の変化量ΔHAZE1〜3が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす樹脂積層体である。
0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
ΔHAZE1=100回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE2=500回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE3=1000回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
樹脂積層体の硬化被膜の表面の鉛筆硬度が8H以上であれば、指の爪等による引掻き傷の発生を抑制でき、耐摩耗性が良好となるので好ましい。
上記式(1)において、ΔHAZE1の下限が0.5%以上であれば、樹脂積層体の耐摩耗性と表面硬度が良好となる観点から好ましい。ΔHAZE1の上限が3.0%以下であれば、樹脂積層体の耐摩耗性と表面硬度が良好となる観点から好ましい。
上記式(2)において、{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZ
E1の下限が0.15以上であれば、樹脂積層体の耐クラック性が良好となる観点から好ましく、一方、上限が0.3以下であれば樹脂積層体の耐摩耗性と表面硬度が良好となる観点から好ましい。
樹脂積層体の硬化被膜の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、上記式(1)及び上記式(2)を満たす樹脂積層体は、例えば、前記樹脂基材(A)が、該樹脂基材の総重量に対して、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、前記硬化被膜(B)が、該硬化被膜の総重量に対して、後述する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)由来の構造単位を10質量%以上50質量%以下、後述する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)由来の構造単位を40質量%以上83質量以下、後述する多官能単量体無機微粒子(b1−3)を7.0質量%以上30質量以下の範囲で含む硬化被膜であり、且つ、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、前記硬化被膜(B)の成分と該樹脂基材(A)の成分とが互いに混合して形成された混合層を有する樹脂積層体により達成できる。前記混合層の詳細に関しては後述する。
上述した樹脂積層体の硬化被膜の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、上記式(1)及び上記式(2)を満たす樹脂積層体は、後述する本発明の樹脂積層体の製造方法により製造される。
本発明において、前記硬化被膜(B)の膜厚Atは特に制限されないが、後述する硬化被膜の膜厚の測定方法で測定される膜厚Atを17μm以上40μm以下の範囲とすることができる。
膜厚Atの下限は、得られた樹脂積層体の耐摩耗性及び表面硬度が良好となる観点から17μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。一方、膜厚Atの上限は、得られた樹脂積層体を曲面形状に成形加工したときに、硬化被膜にクラックが発生するのを抑制できる観点から40μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましく、35μm以下がさらに好ましい。膜厚Atの値は、後述する硬化被膜(B)の形成方法や硬化性組成物(b)の粘度を適宜選択することにより、制御できる。
<混合層>
本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜(B)と前記樹脂基材(A)の間に、硬化被膜(B)の成分と、該樹脂基材(A)の成分である後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層を有する。
ここで、前記混合層とは、前記樹脂基材を形成する樹脂基材形成用組成物の濃度が、前記硬化被膜側から前記樹脂基材側へ連続的に高くなる層のことをいう。濃度が連続的に高くなることは、樹脂積層体の切断面上において、屈折率の変化を測定することにより確認できる。具体的には、瞬間マルチ測光装置(大塚電子(株)製、製品名「MCPD3700])を用いて、反射スペクトルを測定して、屈折率の変化を測定することができる。
本発明の樹脂積層体は、前記混合層を有することにより、硬化被膜と樹脂基材の密着性が向上して、樹脂積層体の表面硬度及び耐摩耗性が向上する。さらに、樹脂積層体を曲面形状に成形加工したときのクラック発生が抑制される。
前記混合層の膜厚Btの下限は、樹脂積層体の耐クラック性や、硬化被膜と樹脂基材の密着性が良好となる観点から0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。一方、膜厚Btの上限は、樹脂積層体の硬度及び耐摩耗性が良好となる観点から3.0μm以下が好ましく、2.8μm以下がより好ましい。混合層の膜厚Bt(0.1μm以上3.0μm以下)は、硬化性組成物(b)の組成、活性エネルギー線照射する際の雰囲気温度、製膜から照射までに要する時間、活性エネルギー線の積算光量などの条件を最適化して、制御できる。なお、混合層の膜厚Btは、後述する測定方法で測定できる。
<硬化性組成物(b)>
本発明で使用される硬化性組成物(b)は、後述する(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)、後述する(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)、後述する無機微粒子(b1−3)を含有する。、硬化性組成物(b)は、該硬化性組成物の総重量を100質量%として、多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を10質量%以上50質量%以下、多官能(メタ)アクリレート(b1−2)を40質量%以上83質量%以下、前記無機微粒子(b1−3)を7.0質量%以上30質量以下を含む硬化性組成物である。
硬化性組成物(b)中の多官能(メタ)アクリレート(b1−1)の含有量の下限が10質量%以上であれば、硬化性組成物を硬化させる際の硬化収縮率が低下し、得られる樹脂積層体において、硬化被膜の耐クラック性が良好となり、さらに樹脂基材の表面に硬化被膜を積層した樹脂積層体の反りを抑制できる観点から好ましく、15質量%以上がより好ましい。多官能(メタ)アクリレート(b1−1)の含有量の上限が50質量%以下であれば、樹脂積層体において、硬化被膜の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、40質量%がより好ましい。
即ち、前記硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−1)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。
硬化性組成物(b)中の多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量の下限が40質量%以上であれば、樹脂積層体において、硬化被膜の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、45質量%がより好ましい。また、多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量の上限が83質量%以下であれば、硬化性組成物を硬化させる際の硬化収縮率が低下し、得られる樹脂積層体において、後述する樹脂基材に対する硬化被膜の密着性が良好となり、硬化被膜の耐クラック性が良好となるため好ましく、70質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、40質量%以上83質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましい。
硬化性組成物(b)中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量の下限が7.0質量%以上であれば、樹脂積層体において、硬化被膜の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、前記無機微粒子(b1−3)の含有量が30質量%以下であれば、硬化被膜の柔軟性が向上することで耐クラック性が良好となるため好ましく、20質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化性組成物中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、7.0質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
本発明の硬化性組成物(b)は、後述する重合開始剤を含有することができる。さらに、硬化性組成物(b)は、必要に応じて、樹脂積層体の耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性を損なわない範囲で、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリレート(b1−4)、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、又は連鎖移動剤等の各種添加剤を含有することができる。
特に、自動車、鉄道、飛行機及び船舶等の移動体車両用のグレージング用途において、樹脂製品は屋外で太陽光に長時間曝されて使用されるため、樹脂積層体には高い耐候性が要求されている。樹脂積層体に耐候性を付与する観点から、硬化性組成物中に紫外線吸収剤及び光安定剤を配合することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的にはチヌビン234、チヌビンP(BASF社、商品名)、アデカスタブLA−31(ADEKA社製、商品名)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、チヌビン1577、チヌビン1600(BASF社、商品名)、LA−F70(ADEKA社製、商品名)等のトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の添加量は、公知の条件を採用できる。
光安定剤としては、公知の添加剤を用いることができるが、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。具体的には、CHIMASSORB2020、CHIMASSORB944、チヌビン123、チヌビン765、チヌビン770(BASF社、商品名)、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−77(ADEKA社製、商品名)等が挙げられる。光安定剤の添加量は、公知の条件を採用できる。
<多官能(メタ)アクリレート(b1−1)>
多官能(メタ)アクリレート(b1−1)は、(メタ)アクリロイル基を2個有する単量体である。
多官能(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(b1−1)としては、上記の中から1種類の単量体を単独で又は2種以上の単量体を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、硬化被膜と樹脂基材の密着性を高める点で、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
<多官能(メタ)アクリレート(b1−2)>
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)は、(メタ)アクリロイル基を3個以上、10個以下有する単量体である。
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)としては、例えば、各(メタ)アクリロイル基を結合する残基が炭化水素基又はその誘導体である多官能単量体が挙げられ、その分子内にはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合等を含むことができる。
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の具体例としては、下記の単量体が挙げられる。
なお、ここでいう「多価アルコール」とは、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールを意味する。「多価カルボン酸」とは、分子中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味する。「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、(メタ)アクリル酸化合物の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「多価カルボン酸の誘導体」とは多価カルボン酸の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「線状」とは、直鎖状及び分岐鎖状を意味する。
B−1)1モルの多価アルコールと、3モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物
例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ) アクリレート、エチレンオキシド付加物ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の中でも、好ましくは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
B−2)多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られる線状のエステル化物
例えば、多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸の好ましい組み合わせ例としては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
B−3)トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート
B−4)エポキシポリアクリレート
B−5)ウレタンポリアクリレート
B−6)下式(I)で示されるポリイソシアネート1モルに対して、活性水素を有するアクリルモノマー3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート
(式中、Rは置換基を含んでも良い、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)
前記式(I)で示されるポリイソシアネートとしては、イソシアネート化合物の3量化により得られるポリイソシアネートが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記活性水素を有するアクリルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)としては、上記の単量体の中から、1種の単量体を単独で又は2種以上の単量体を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、硬化被膜の耐摩耗性及び表面硬度の点で、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
<無機微粒子(b1−3)>
本発明においては、前記硬化被膜(B)に無機微粒子(b1−3)を含有させることにより、樹脂積層体の耐摩耗性及び表面硬度を優れたものにできる。無機微粒子(b1−3)としては、例えば、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカ、フッ化マグネシウム、氷晶石、ZrO,TiO,NbO,ITO,ATO,SbO,In,SnO及びZnO等の公知の無機微粒子を採用できる。
特に、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカなどのシリカ系無機微粒子は樹脂積層体の耐摩耗性向上や、硬化性組成物(b)の透明性や貯蔵安定性に優れる点から好ましい。
さらに前記無機微粒子(b1−3)は、前記硬化性組成物(b)中における分散安定性を向上させて、得られた樹脂積層体の耐摩耗性及び表面硬度をより優れたものとする観点から、前記無機微粒子(b1−3)の表面をラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物で処理することができる。
前記ラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
粒子の形状としては、例えば、球状、塊状、板状、繊維状及びフレーク状が挙げられるが、これらの中で、分散性や他の部材に接触した際の粒子の脱落のし難さの点から球状の粒子が好ましい。
<単官能(メタ)アクリレート(b1−4)>
硬化性組成物(b)は、該硬化性組成物粘度を50mPa・s以上600mPa・s以下の範囲とするために、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート(b1−4)を含有することができる。硬化性組成物(b)中の前記(b1−4)の含有量は、樹脂積層体の耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性を損なわない範囲で適宜決めることができる。
単官能(メタ)アクリレート(b1−4)としては、例えば、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリオキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルへキサヒドロフタル酸、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸が挙げられる。
<硬化被膜(B)>
本発明における硬化被膜(B)は、前述の硬化性組成物(b)の硬化物からなり、該硬化被膜の総重量に対して、前記(b1−1)由来の構造単位を10質量%以上50質量%以下、前記(b1−2)由来の構造単位を40質量%以上83質量以下、前記無機微粒子(b1−3)を7質量%以上30質量以下の範囲で含む硬化被膜である。
また、硬化被膜(B)は前記(b1−4)由来の構造単位を、樹脂積層体の耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性を損なわない範囲で含むことができる。
硬化被膜(B)の(b1−1)由来の構造単位の含有量の下限が10質量%以上であれば、硬化性組成物(b)を硬化させる際の硬化収縮率が低下し、得られる樹脂積層体において、硬化被膜の耐クラック性が良好となるため好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、樹脂基材(A)の表面に硬化被膜を積層した樹脂積層体の反りを抑制できる傾向にある。(b1−1)由来の構造単位の含有量の上限が50質量%以下であれば、得られる樹脂積層体において、樹脂積層体の硬化被膜の表面の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、40質量%がより好ましい。
即ち、前記硬化被膜中の(b1−1)由来の構造単位の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。
前記硬化被膜(B)中の前記(b1−2)由来の構造単位の含有量の下限が40質量%以上であれば、得られる樹脂積層体において、樹脂積層体の硬化被膜の表面の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、45質量%がより好ましい。また、前記(b1−2)由来の構造単位の含有量の上限が83質量%以下であれば、硬化性組成物(b)を硬化させる際の硬化収縮率が低下し、得られる樹脂積層体において、後述する樹脂基材(A)に対する硬化被膜の密着性が良好となり、硬化被膜の耐クラック性が良好となるため好ましく、70質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化被膜中の(b1−2)由来の構造単位の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、40質量%以上83質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましい。
前記硬化被膜(B)中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量の下限が7.0質量%以上であれば、得られる樹脂積層体において、樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、前記無機微粒子(b1−3)の含有量の上限が30質量%以下であれば、硬化被膜の柔軟性が向上することで耐クラック性が良好となるため好ましく、20質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化被膜中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、7.0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
硬化被膜(B)の膜厚Atは17μm以上40μm以下とすることができる。膜厚Atの下限が17μm以上であれば、樹脂積層体において、樹脂積層体の硬化被膜の表面の耐摩耗性及び表面硬度が良好となるため好ましく、25μm以上がより好ましい。また、膜厚Atの上限が40μm以下であれば、樹脂積層体において、硬化被膜の耐クラック性が良好となり、樹脂積層体の反りを抑制することができる。さらに、膜厚Atの上限が40μm以下であれば、樹脂積層体の切断時の割れを抑制でき、樹脂積層体の取り扱い時に硬化被膜にクラックが発生するのを抑制でき、加工性が良好となるため好ましく、35μm以下がより好ましい。
即ち、硬化被膜(B)の膜厚Atは、17μm以上40μm以下が好ましく、25μm以上35μm以下がより好ましい。
ここでいう「硬化被膜(B)の膜厚At」とは、樹脂積層体における硬化被膜の膜厚を意味するものであり、後述する実施例に記載した測定方法により測定できる。
本発明の樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の表面硬度としては、JIS K 5600−5−4に準拠して測定した、樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度の下限が8H以上であることが好ましい。鉛筆硬度の下限が8H以上であれば、タッチパネル方式ディスプレーの前面板等のように人が直接触れて使用される用途に、本発明の樹脂積層体が用いられた場合であっても、硬化被膜の表面に傷がつきにくくなる。鉛筆硬度の上限値は、特に制限されるものではないが、9H以下であれば、樹脂積層体の取り扱い時に硬化被膜にクラックが発生するのを抑制でき、加工性が良好となる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、硬化性組成物(b)を硬化させるための成分であり、熱重合開始剤、光重合開始剤など公知の重合開始剤を採用することができる。
熱重合開始剤としては、特に限定されず、有機過酸化物、アゾ系化合物、上記過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン類を組み合わせたレドックス重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されず、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、メチルベンゾイルホルメート系化合物、ビスアクリジニルヘプタン系化合物、アクリジン系化合物を用いることができる。これら1種の化合物を単独で又は2種以上の化合物を組み合わせて使用することができる。
硬化性組成物中の重合開始剤の含有量は、特に限定されるものではないが、該硬化性組成物の総重量を100質量%として、0.1〜10質量%とすることができる。重合開始剤の含有量の下限が0.1質量%以上であれば、生産性が向上する傾向がある。また、重合開始剤の含有量の上限が10質量%以下であれば、硬化被膜の着色を抑制することができる。
<樹脂基材(A)>
本発明で使用される樹脂基材(A)を構成する樹脂は、透明性に優れる観点から、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル樹脂組成物が好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位100質量%からなる重合体又はメタクリル酸メチル由来の繰り返し単位90質量%以上100質量%未満及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0質量%を超えて10質量%以下を含有する(共)重合体を意味する。
前記メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、公知のマレイミド系化合物、ヒドロキシ基含有ビニル単量体、の窒素含有ビニル単量体、エポキシ基含有単量体、芳香族ビニル単量体などの公知の単官能単量体が挙げられる。
上記単官能単量体の中でも、(メタ)アクリル酸エステルとして、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートが(メタ)アクリル系樹脂の耐熱性と透明性を両立する観点から好ましい。
また、上記の単官能単量体以外に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の公知の二官能(メタ)アクリレートや、ジビニルベンゼン等の分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するビニル単量体、エチレン性不飽和ポリカルボン酸を含む少なくとも1種の多価カルボン酸と少なくとも1種のジオールから得られる不飽和ポリエステルプレポリマー、エポキシ基の末端をアクリル変性することにより得られるビニルエステルプレポリマーを用いることができる
上記の中でも、エチレングリコールジメタクリレート又はネオペンチルグリコールジメタクリレートは樹脂積層体の耐衝撃性、表面硬度と透明性を十分なものにできる観点から好ましい。
<樹脂基材形成用組成物>
前記樹脂基材(A)の原料を樹脂基材形成用組成物という。樹脂基材(A)が、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる場合には、メタクリル酸メチル90質量%以上100質量%以下及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体0質量%以上10質量%以下を含有する単量体組成物を、樹脂基材形成用組成物として用いることができる。
上記のメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、前述の共重合可能な単量体と同様の化合物を用いることができる。
前記樹脂基材形成用組成物としては、上述した単量体組成物をそのまま使用することができる。或いは、上述した単量体組成物の一部を重合させた部分重合体と残りの単量体組成物の混合物であるシラップを樹脂基材形成用組成物として使用することもできる。或いは又、(メタ)アクリル系重合体を前記単量体組成物に溶解させたタイプのシラップを樹脂基材形成用組成物として使用することもできる。
樹脂基材形成用組成物を重合して、樹脂基材を得る方法としては、特に限定されず、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法及び懸濁重合法など公知の方法を採用することができる。樹脂積層体の透明性、溶剤使用等による環境負荷、樹脂積層体の生産性や製造コストの観点から、塊状重合法が好ましい。また、重合開始剤は、特に限定されず、アゾ系化合物、有機過酸化物を用いることができる。
樹脂基材形成用組成物には、必要に応じて、着色剤、離型剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、耐衝撃改質剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、連鎖移動剤等の各種添加剤を添加することができる。
<樹脂積層体の製造方法>
本発明の樹脂積層体は、前記硬化性組成物(b)を硬化処理して形成した硬化被膜の表面に、前記樹脂基材形成用組成物を塗布した後に、該樹脂基材形成用組成物を重合して、樹脂基材の層を形成することによって製造される。このような製造方法を採用することにより、耐擦傷性、表面硬度及び耐クラック性の優れた樹脂積層体を得ることができる。
本発明の樹脂積層体の製造法は、具体的には、下記の(1)〜(4)の処理を順次行うことを含む。
・ 鋳型の内面に先述した硬化性組成物(b)を塗布する。
次いで、活性エネルギー線を該硬化性組成物(b)に照射して硬化した後に、鋳型の内表面に硬化被膜が積層された積層鋳型を得る。
(2)次いで、先述した樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布する。
(3)前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を注型重合する。
(4)次いで、前記(3)の樹脂積層体を鋳型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が積層された樹脂積層体を得る。
前記(1)の処理において、鋳型の種類としては、例えば、金型、シート等の型が挙げられる。鋳型は、通常2つの型を、硬化被膜が積層された面が内面となるように対向させて作成される。型の硬化被膜が積層される面は、平滑な表面を有することが好ましい。
鋳型の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ガラス及び樹脂等が挙げられる。また、鋳型は、同材質の2つの型を対向させた鋳型でも、異なる材質の2つの型を対向させた鋳型でもよい。
鋳型を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、まず、1つの型の表面に硬化被膜が形成された1つの積層型(1)を配置し、次いで該積層型と対向するように、もう1つの型(2)を配置し、前記積層型(1)と前記型(2)の間に形成された空間部の周縁部に、ガスケットを設けてシールすることにより、内側に一定の容積を有する積層鋳型を作製する方法が挙げられる。
なお、本発明においては、硬化被膜を1つの型の表面に形成してもよいし、対向して配置された2つの型の内側表面に形成してもよい。
ガスケットの材質としては、ポリ塩化ビニル等の公知の材料を使用することができる。
鋳型の内面に硬化性組成(b)物を塗布する方法としては、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法及びエアーナイフコート法等などの公知の方法を用いることができる。
前記硬化性組成物(b)のJIS Z 8803に準じて測定した粘度は、塗工安定性が良好となり、硬化性組成物(b)中で前記無機微粒子(b1−3)が凝集することなく均一分散して、得られた樹脂積層体の耐摩耗性と表面硬度が良好となる観点から、50mPa・s以上600mPa・s以下の範囲となるように調整することが好ましい。例えば、硬化性組成物(b)中の多官能(メタ)アクリレート(b1−1)の含有量を調整することや、多官能(メタ)アクリレート(b1−1)として低粘度の化合物を選択すること、前記単官能(メタ)アクリレート(b1−4)を樹脂積層体の性能を損なわない範囲で含有させることにより、硬化性組成物の粘度を50mPa・s以上600mPa・s以下の範囲に制御できる。
また、樹脂基材の表面に硬化性組成物(b)を塗布した後に、硬化性組成物(b)の表面を透明樹脂フィルムで被覆することができる。透明樹脂フィルムで硬化性組成物(b)の表面を被覆してから、活性エネルギー線を照射することにより、硬化性組成物の架橋反応は、酸素による硬化阻害を受け難いため、充分に進行して、硬化被膜の耐擦傷性及び表面硬度が良好となる。また、異物等の混入を抑制して、欠陥のない良好な外観を有する硬化被膜を得ることができる。
前記透明樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム及びポリフッ化ビニリデンフィルムなどの公知の透明樹脂フィルムを用いることができる。透明樹脂フィルムの厚みとしては8〜125μmが好ましい。
活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線及び可視光線が挙げられ、装置コストや生産性の観点から紫外線が好ましい。活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されるものではないが、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、厚み(Bt)0.1μm以上3.0μm以下の混合層が形成されるように、当業者が適宜調整して決めることができる。通常は、5mJ/cm以上2000mJ/cm以下の範囲内で選択して決めることができる。
活性エネルギー線の光源としては、蛍光紫外線ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、キセノンランプなどの公知の光源及び太陽光を用いることができる。
前記(2)の処理において、積層鋳型の表面に樹脂基材形成用組成物を塗布する方法としては、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法及びエアーナイフコート法等などの公知の方法を用いることができる。
前記(3)の処理において、「注型重合」とは、例えば、所定間隔で対向配置された2つの型を対向させた鋳型とその周縁部に配置された封止材料とによって形成された積層鋳型を用い、積層鋳型内に樹脂基材形成用組成物を注入し、加熱して重合させる方法を意味する。
樹脂基材形成用組成物の注型重合の方法としては、例えば、樹脂基材形成用組成物を積層鋳型内に注入した後に加熱するセルキャスト法や連続注型重合法などの公知の方法を用いることができる。
連続注型重合法とは、同一方向に同一速度で走行する、対向させたステンレス製エンドレスベルトの表面に硬化被膜が積層された積層ステンレス製エンドレスベルトと、他のステンレス製エンドレスベルトと、これらのステンレス製エンドレスベルトの両側端部を上記のガスケットと同様のガスケットでシールした空間部に、上流から連続的に樹脂基材形成用組成物を注入して加熱することによって連続的に重合させる重合法である。
積層鋳型の加熱方法としては、例えば、積層鋳型を30〜98℃の温水等の熱源で加熱する方法が挙げられる。重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。
本発明においては、樹脂基材形成用組成物の重合率を高めるために、必要に応じて空気雰囲気下、遠赤外線ヒーター等の熱源により、90〜150℃の熱処理を行うこともできる。重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。また、熱処理後に、必要に応じて送風等の冷却処理を行うことができる。
前記(4)の処理において、得られた樹脂基材を型から、硬化被膜と樹脂基材とが一体化された状態で取り出すことにより、樹脂積層体を得ることができる。
本発明の樹脂積層体は硬化被膜の表面の鉛筆硬度が8H以上である。鉛筆硬度が8H以上であれば、樹脂積層体の表面に指の爪等による引掻き傷の発生を抑制でき、耐摩耗性が良好となる。鉛筆硬度を8H以上とするには、前記硬化性組成物(b)を塗布した後の厚みを調整して、樹脂積層体の硬化被膜(B)の膜厚Atが17μm以上40μm以下の範囲になるようにすればよい。
<ディスプレー前面板>
本発明の一実施形態であるディスプレー前面板は、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのままディスプレー前面版として使用することができる。
<移動体用グレージング>
本発明の一実施形態である移動体用グレージングは、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのまま移動体用グレージングとして使用することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。なお、実施例における各種評価は下記の方法により実施した。また、以下において、「%」は「質量%」を表す。
(1)硬化性組成物の粘度
B型粘度計(東機産業(株)製、商品名:TVB−10)を用いて、JIS Z8803に示される測定法に準拠して、硬化性組成物の粘度を測定した。
(2)表面硬度
JIS K5600−5−4に準拠して樹脂積層体の表面の硬化被膜の鉛筆硬度を測定し、これを樹脂積層体の表面硬度とした。
(3)硬化被膜の膜厚(At)、及び混合層の膜厚(Bt)
樹脂積層体を、主表面に対して垂直方向に切断した。次いで樹脂積層体の切断面から、ミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡(TEM)用の小片を切り出した。透過型電子顕微鏡(加速電圧100V、倍率10000倍)を用いて、切り出した小片の断面を観察してTEM観察像を取得した。得られたTEM観察像の、3層構造が観察された領域において、順に樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層として、硬化被膜の層の膜厚をAt、混合層の膜厚Btとした。3層構造が観察されたTEM観察像の一例を図3に示した。
(4)テーバー摩耗試験
樹脂積層体の耐摩耗性を、擦傷処理前・後のヘイズ値の変化量により評価した。JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、テーバー摩耗試験機((株)東洋精機製作所製、商品名:ROTARY ABRASION TESTER)の回転台に樹脂積層体を乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着して、加圧重量500g、回転速度72rpmで所定の回数だけ、樹脂積層体を回転させ、擦傷処理を行った。
前記樹脂積層体について、下記式を用いて、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転の擦傷処理後のヘイズ値(%)の増加量を算出し、これをヘイズ値の変化量(ΔHAZE(%))とした。なお、樹脂積層体のヘイズ値は、ヘイズ計(日本電色工業(株)製、商品名:HAZE METER NDH4000)を用いて、JIS K 7136に示される測定法に準拠して測定した。
ΔHAZE1=100回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE2=500回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE3=1000回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
次いで、前記ΔHAZE1〜3より、下記式を用いて、△HAZEの変化率を算出した。
[ΔHAZE変化率]={(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1
(5)耐クラック性
幅30mm、長さ120mm、厚み1mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の曲率半径RがXである型の上に硬化被膜を有する面が外側になるように乗せて、型に沿って曲げて、30秒間保持した。前記曲率半径RはX=60mm、80mmの2条件で行った。樹脂積層体の硬化被膜の表面を目視観察して、クラックの発生の有無を下記の基準で三段階で評価した。
○:クラックが全く観察されなかった
△:クラックが1本以上5本以下観察された
×:クラックが6本以上観察された
以下において、略称は下記の化合物を示す。
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名)
U6HA:ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物(新中村化学工業(株)製、商品名)
M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製、商品名)
M309:トリメチルールプロパントリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製、商品名)
Darocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
IRGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
Darocure TPO:ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、商品名)
IPA−ST:コロイダルシリカゾル 固形分濃度30質量%、イソプロピルアルコール分散(日産化学工業(株)製、商品名)
KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、商品名)
[製造例1]無機微粒子(1)の調製
撹拌機及び冷却管付4ツ口フラスコ反応容器に、IPA−STを63g仕込み、KBM503を12g添加した。その後、攪拌しながら、水を4.4g添加し、0.01N塩酸水溶液を0.1g添加し、80℃で2時間加熱を行った。その後、反応系を減圧状態にし、固形分濃度が40質量%となるまで溶媒を留出させた。次いで、トルエンを38g添加して80℃で2時間加熱を行った。その後、反応系を減圧状態にし、固形分濃度が60質量%となるまで溶媒を留出させ、再度80℃で2時間加熱を行い、表面修飾された無機微粒子(1)を得た。得られた無機微粒子(1)は無色透明液体であり、固形分濃度は60質量%であった。なお、固形分濃度は、得られた無機微粒子(1)を80℃で3日間加熱して、溶媒を揮発させ、溶媒の揮発前後の重量差から算出した。
[実施例1]
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、メタクリル酸メチル単量体100部を供給し、撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。反応器内の単量体の温度が80℃に到達した時点で、ラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.06部を添加し、さらに反応器内の単量体の温度が100℃となるまで昇温した後、13分間保持した。その後、反応器内の単量体の温度を室温まで冷却して、樹脂基材形成用組成物(1)を得た。この樹脂基材形成用組成物(1)の重合率は約21質量%であった。
C6DAを50部、M309を42.5部及び無機微粒子1を12.5部(無機微粒子固形分7.5部)を混合し、トルエンを脱揮した。重合開始剤として、Darocure1173を1.5部混合し、硬化性組成物(1)を得た。
次いで、板表面を鏡面仕上げしたSUS304板を鋳型として、この鋳型の鏡面上に、前記硬化性組成物(1)を塗布した後、厚さ12μmのPETフィルム「NS」(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名)を被せ、硬化前積層体(1−1)を得た。
前記硬化前積層体(1−1)のPETフィルム上にゴムロールを圧着させて、過剰な硬化性組成物(1)をしごき出しながら硬化性組成物(1)中に気泡が含まれないようにし、硬化前積層体(1−2)を得た。次いで、前記硬化前積層体(1−2)を、PETフィルム面を鉛直方向上側にして、出力40Wの蛍光紫外線ランプ(東芝(株)製、商品名:FL40BL)の下方20cmの位置を2m/分のスピードで通過させて、硬化性組成物(1)を硬化させて硬化被膜(1)とし、硬化後積層体(1−3)を得た。この後、硬化後積層体(1−3)のPETフィルムを剥離し、硬化後積層体(1−4)を得た。
次いで、前記硬化後積層体(1−4)を、硬化被膜(1)を上側にして、出力60W/cmの高圧水銀灯の下方20cmの位置を2m/分のスピードで通過させて、前記硬化後積層体(1−4)に積算光量600mJ/cm(波長320〜380nmの紫外線エネルギー量)の紫外線を照射してさらに硬化させた。これにより、膜厚25μmの硬化被膜(1)が積層された型(1A)を得た。得られた積層型(1A)と、硬化被膜を形成していないSUS304板とを、積層型(1A)の硬化被膜が内側になるように対向させて、これら2枚のSUS304板の周縁部を樹脂製のガスケットで封じて、積層鋳型(1B)を作製した。
次いで、前記樹脂基材形成用組成物(1)を、減圧下において溶存空気を除去した後、前記の積層鋳型(1B)内に注入し、樹脂製ガスケットで完全に封止した。次に、前記積層鋳型(1B)を80℃の水浴中で1時間、次いで130℃の空気炉中で1時間加熱して、前記樹脂基材形成用組成物(1)を重合させ、樹脂基材の層を形成した。次に、前記積層鋳型(1B)を室温まで冷却した後、前記積層鋳型(1B)から両側2枚のSUS304板を剥離して、樹脂基材の層の片側一方の表面に硬化被膜を有する厚さ1.0mmの樹脂積層体を得た。
すなわち、硬化性組成物(1)の層が空気中の酸素に曝されない条件で硬化させた後に、樹脂基材形成用組成物(1)の層を後から形成する条件(表1の製造方法(M1))とすることにより、メタクリル樹脂板、硬化被膜及びPETフィルムが順次積層された樹脂積層体を得た。
得られた樹脂積層体について、前述の評価方法にて、混合層の有無と膜厚Bt、表面硬度、硬化被膜の膜厚、テーバー摩耗性及び耐クラック性を評価した。評価結果を表1に示す。
樹脂積層体には、厚さ2.5μmの混合層が観察され、硬化被膜の鉛筆硬度は8Hであり、テーバー摩耗性及び耐クラック性に優れていた。
[実施例2〜6]
硬化性組成物(b)の組成及び/又は硬化被膜の膜厚(At)、混合層の膜厚(Bt)を表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
表1に記載の硬化性組成物(6)を、厚さ1mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱レイヨン(株)製、商品名)の一方の面(メタクリル樹脂の層が露出している面)に塗布した。
次いで、PETフィルム「OX−50」(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名)を、該フィルムの高平滑面が前記メタクリル樹脂板の硬化性組成物(6)の塗布面に接触するように貼り合わせた後、プレスロールにより7m/分間の速度でプレスし、最終的に得られる硬化被膜の膜厚が30μmになるように、前記硬化性組成物(6)の膜厚を調整した。
このメタクリル樹脂板、硬化性組成物(6)の層及びPETフィルムが順次積層された積層物を、1分間保持した後に、メタルハライドランプ(出力120W/cm)の下24cmの位置を2.5m/分間の速度で通過させながら、メタルハライドランプの光を、前記PETフィルムを介して照射して、硬化性組成物(6)の層が空気中に曝されていない条件で硬化させる条件(表1の製造方法(M2))とすることにより、メタクリル樹脂板、硬化被膜及びPETフィルムが順次積層された硬化積層物を得た。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、メタクリル樹脂板に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
表1に記載の硬化性組成物(7)を、厚さ1mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱レイヨン(株)製、商品名)の一方の面(メタクリル樹脂の層が露出している面)にバーコーターを用いて塗布し、樹脂積層体を得た。硬化性組成物(7)には、多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を使用しないかわりに、単官能(メタ)アクリレート(b1−4)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を使用した。
次いで、高圧水銀灯を用いて積算光量600mJ/cm(波長320〜380nmの紫外線エネルギー量)の紫外線を照射して、硬化性組成物(7)の層が空気中に曝された条件で硬化させる条件(表1の製造方法(M3))とすることにより、メタクリル樹脂板の表面に、膜厚(At)が100μmの硬化被膜を有する樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例3〜6]
硬化性組成物(b)の組成及び/又は硬化被膜の膜厚(At)、混合層の膜厚(Bt)を表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
比較例1の樹脂積層体は、(メタ)アクリル系樹脂上に硬化性組成物中を塗工したため、混合層の膜厚Btが薄く、表面硬度やテーバー摩耗性、耐クラック性が不十分であった。
比較例2の樹脂積層体は、(メタ)アクリル系樹脂上に硬化性組成物中を塗工したため、混合層の膜厚Btが薄く、硬化性組成物中に多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を含まず、無機微粒子(b1−3)含有量が多く、かつ、硬化被膜の膜厚Atが厚すぎるため、耐クラック性が不良であった。
比較例3の樹脂積層体は、硬化性組成物中に無機微粒子(b1−3)を含まないため、テーバー摩耗性が不十分であった。
比較例4の樹脂積層体は、硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量が少ないため、混合層の膜厚Btが厚く、表面硬度が不十分であった。
比較例5の樹脂積層体は、硬化性組成物中の無機微粒子(b1−3)含有量が少ないため、テーバー摩耗性が不十分であった。
比較例6の樹脂積層体は、硬化性組成物中の無機微粒子(b1−3)含有量が多いため、耐クラック性が不良であった。
本発明の樹脂積層体は、耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性、並びにデザイン加工性に優れている。このような樹脂積層体は、タッチパネル方式のディスプレーの前面板や自動車等の移動体用グレージングに好適に用いることができるので、産業上極めて有用である。
1 硬化被膜
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
4 樹脂基材の層
5 混合層
6 硬化被膜の層

Claims (11)

  1. シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
    前記樹脂基材(A)は、該樹脂基材の総重量に対して、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、
    前記硬化被膜(B)は、
    ・(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)由来の構造単位と、
    ・(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)由来の構造単位と、
    ・無機微粒子(b1−3)を含み、
    前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜(B)の総重量に対して、無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、且つ、
    前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法1で測定された該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、
    前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子である、樹脂積層体。
    <方法1>
    樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
  2. 前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜(B)の総重量に対して、
    ・前記(b1−1)由来の構造単位10質量%以上50質量%以下と、
    ・前記(b1−2)由来の構造単位40質量%以上83質量%以下と、
    ・前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下
    を含む、請求項1に記載の樹脂積層体。
  3. 前記無機微粒子(b1−3)がラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物で表面処理されている請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
  4. 前記硬化被膜(B)が、
    ・前記(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、
    ・前記(b1−2)40質量%以上83質量%以下と、
    ・前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下
    を含む硬化性組成物(b)の硬化物からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂積層体。
  5. 前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)10質量%以上20質量%以下を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂積層体。
  6. 前記硬化被膜(B)が、前記(b1−2)由来の構造単位として、トリメチルールプロパントリアクリレート由来の構造単位を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂積層体。
  7. シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
    前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法1−2で測定された該混合層の厚みBt0.2μm以上3.0μm以下である、
    前記樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、
    前記樹脂積層体について下記方法2で測定されたヘイズ値の増加量ΔHAZE1〜ΔHAZE3が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす樹脂積層体。
    0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
    0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
    <方法1−2>
    樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
    <方法2>
    (1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
    (2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。
  8. シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体の製造方法であって、
    (1)硬化性組成物(b)を鋳型の表面に塗布した後に、該硬化性組成物(b)に、活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記鋳型の表面に前記硬化被膜が設けられた積層鋳型を得ること、
    (2)次いで、メタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布すること、
    (3)次いで、前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を注型重合すること、(4)次いで、前記(3)の樹脂積層体を鋳型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が積層された樹脂積層体を得ること、
    を含む樹脂積層体の製造方法であり、
    前記硬化性組成物(b)が、該硬化性組成物(b)の総重量に対して、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)40質量%以上83質量%以下を含む硬化性組成物であって、
    前記硬化性組成物(b)は、前記硬化性組成物(b)の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、
    前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法3で測定された該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、
    前記樹脂積層体の前記硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、
    前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子であり、
    前記硬化性組成物(b)が、前記無機微粒子(b1−3)を分散した無機微粒子含有溶液と、前記(b1−1)及び前記(b1−2)を混合してなる硬化性組成物であり、
    前記硬化性組成物(b)のJIS Z 8803に準じて測定した粘度が50mPa・s以上600mPa・s以下である、樹脂積層体の製造方法。
    <方法3>
    樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
  9. 前記無機微粒子(b1−3)がラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物で表面処理されている、請求項に記載の樹脂積層体の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含むディスプレー前面板。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含む移動体用グレージング。
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