JP6825363B2 - 樹脂積層体及びその製造方法並びにディスプレー前面板及び移動体用グレージング - Google Patents
樹脂積層体及びその製造方法並びにディスプレー前面板及び移動体用グレージング Download PDFInfo
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Description
<方法1>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
<方法1−2>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
<方法2>
(1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
(2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。
(1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
(2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。
(1)硬化性組成物(b)を鋳型の表面に塗布した後に、該硬化性組成物(b)に、活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記鋳型の表面に前記硬化被膜が設けられた積層鋳型を得ること、
(2)次いで、メタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布すること、
を含む樹脂積層体の製造方法であり、
前記硬化性組成物(b)が、該硬化性組成物(b)の総重量に対して、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)40質量%以上83質量%以下を含む硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物(b)は、前記硬化性組成物(b)の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、
前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、前記樹脂積層体の前記硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子であり、前記硬化性組成物(b)が、前記無機微粒子(b1−3)を分散した無機微粒子含有溶液と、前記(b1−1)及び前記(b1−2)を混合してなる硬化性組成物であり、前記硬化性組成物(b)のJIS Z 8803に準じて測定した粘度が50mPa・s以上600mPa・s以下である、樹脂積層体の製造方法にある。
本発明の第5の要旨は、上述した樹脂積層体を含む移動体用グレージングにある。
また、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
本発明の一実施形態である樹脂積層体は、シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体である。
0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
ΔHAZE1=100回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE2=500回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE3=1000回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
E1の下限が0.15以上であれば、樹脂積層体の耐クラック性が良好となる観点から好ましく、一方、上限が0.3以下であれば樹脂積層体の耐摩耗性と表面硬度が良好となる観点から好ましい。
膜厚Atの下限は、得られた樹脂積層体の耐摩耗性及び表面硬度が良好となる観点から17μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。一方、膜厚Atの上限は、得られた樹脂積層体を曲面形状に成形加工したときに、硬化被膜にクラックが発生するのを抑制できる観点から40μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましく、35μm以下がさらに好ましい。膜厚Atの値は、後述する硬化被膜(B)の形成方法や硬化性組成物(b)の粘度を適宜選択することにより、制御できる。
本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜(B)と前記樹脂基材(A)の間に、硬化被膜(B)の成分と、該樹脂基材(A)の成分である後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層を有する。
本発明で使用される硬化性組成物(b)は、後述する(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)、後述する(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)、後述する無機微粒子(b1−3)を含有する。、硬化性組成物(b)は、該硬化性組成物の総重量を100質量%として、多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を10質量%以上50質量%以下、多官能(メタ)アクリレート(b1−2)を40質量%以上83質量%以下、前記無機微粒子(b1−3)を7.0質量%以上30質量以下を含む硬化性組成物である。
即ち、前記硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−1)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、40質量%以上83質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化性組成物中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量は、該硬化性組成物の総重量に対して、7.0質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
特に、自動車、鉄道、飛行機及び船舶等の移動体車両用のグレージング用途において、樹脂製品は屋外で太陽光に長時間曝されて使用されるため、樹脂積層体には高い耐候性が要求されている。樹脂積層体に耐候性を付与する観点から、硬化性組成物中に紫外線吸収剤及び光安定剤を配合することが好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(b1−1)は、(メタ)アクリロイル基を2個有する単量体である。
多官能(メタ)アクリレート(b1−1)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)は、(メタ)アクリロイル基を3個以上、10個以下有する単量体である。
多官能(メタ)アクリレート(b1−2)としては、例えば、各(メタ)アクリロイル基を結合する残基が炭化水素基又はその誘導体である多官能単量体が挙げられ、その分子内にはエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合等を含むことができる。
なお、ここでいう「多価アルコール」とは、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールを意味する。「多価カルボン酸」とは、分子中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味する。「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、(メタ)アクリル酸化合物の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「多価カルボン酸の誘導体」とは多価カルボン酸の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「線状」とは、直鎖状及び分岐鎖状を意味する。
B−1)1モルの多価アルコールと、3モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物
例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ) アクリレート、エチレンオキシド付加物ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
例えば、多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸の好ましい組み合わせ例としては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
B−4)エポキシポリアクリレート
B−5)ウレタンポリアクリレート
B−6)下式(I)で示されるポリイソシアネート1モルに対して、活性水素を有するアクリルモノマー3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート
(式中、Rは置換基を含んでも良い、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)
本発明においては、前記硬化被膜(B)に無機微粒子(b1−3)を含有させることにより、樹脂積層体の耐摩耗性及び表面硬度を優れたものにできる。無機微粒子(b1−3)としては、例えば、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカ、フッ化マグネシウム、氷晶石、ZrO2,TiO2,NbO,ITO,ATO,SbO2,In2O3,SnO2及びZnO等の公知の無機微粒子を採用できる。
硬化性組成物(b)は、該硬化性組成物の粘度を50mPa・s以上600mPa・s以下の範囲とするために、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレート(b1−4)を含有することができる。硬化性組成物(b)中の前記(b1−4)の含有量は、樹脂積層体の耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性を損なわない範囲で適宜決めることができる。
単官能(メタ)アクリレート(b1−4)としては、例えば、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリオキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルへキサヒドロフタル酸、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及び2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸が挙げられる。
本発明における硬化被膜(B)は、前述の硬化性組成物(b)の硬化物からなり、該硬化被膜の総重量に対して、前記(b1−1)由来の構造単位を10質量%以上50質量%以下、前記(b1−2)由来の構造単位を40質量%以上83質量%以下、前記無機微粒子(b1−3)を7質量%以上30質量%以下の範囲で含む硬化被膜である。
また、硬化被膜(B)は前記(b1−4)由来の構造単位を、樹脂積層体の耐摩耗性、表面硬度及び耐クラック性を損なわない範囲で含むことができる。
即ち、前記硬化被膜中の(b1−1)由来の構造単位の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化被膜中の(b1−2)由来の構造単位の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、40質量%以上83質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましい。
即ち、前記硬化被膜中の前記無機微粒子(b1−3)の含有量は、該硬化被膜の総重量に対して、7.0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
即ち、硬化被膜(B)の膜厚Atは、17μm以上40μm以下が好ましく、25μm以上35μm以下がより好ましい。
ここでいう「硬化被膜(B)の膜厚At」とは、樹脂積層体における硬化被膜の膜厚を意味するものであり、後述する実施例に記載した測定方法により測定できる。
重合開始剤は、硬化性組成物(b)を硬化させるための成分であり、熱重合開始剤、光重合開始剤など公知の重合開始剤を採用することができる。
熱重合開始剤としては、特に限定されず、有機過酸化物、アゾ系化合物、上記過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミン類を組み合わせたレドックス重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されず、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、メチルベンゾイルホルメート系化合物、ビスアクリジニルヘプタン系化合物、アクリジン系化合物を用いることができる。これら1種の化合物を単独で又は2種以上の化合物を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用される樹脂基材(A)を構成する樹脂は、透明性に優れる観点から、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル樹脂組成物が好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位100質量%からなる重合体又はメタクリル酸メチル由来の繰り返し単位90質量%以上100質量%未満及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0質量%を超えて10質量%以下を含有する(共)重合体を意味する。
上記単官能単量体の中でも、(メタ)アクリル酸エステルとして、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートが(メタ)アクリル系樹脂の耐熱性と透明性を両立する観点から好ましい。
上記の中でも、エチレングリコールジメタクリレート又はネオペンチルグリコールジメタクリレートは樹脂積層体の耐衝撃性、表面硬度と透明性を十分なものにできる観点から好ましい。
前記樹脂基材(A)の原料を樹脂基材形成用組成物という。樹脂基材(A)が、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる場合には、メタクリル酸メチル90質量%以上100質量%以下及びメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体0質量%以上10質量%以下を含有する単量体組成物を、樹脂基材形成用組成物として用いることができる。
上記のメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、前述の共重合可能な単量体と同様の化合物を用いることができる。
前記樹脂基材形成用組成物としては、上述した単量体組成物をそのまま使用することができる。或いは、上述した単量体組成物の一部を重合させた部分重合体と残りの単量体組成物の混合物であるシラップを樹脂基材形成用組成物として使用することもできる。或いは又、(メタ)アクリル系重合体を前記単量体組成物に溶解させたタイプのシラップを樹脂基材形成用組成物として使用することもできる。
本発明の樹脂積層体は、前記硬化性組成物(b)を硬化処理して形成した硬化被膜の表面に、前記樹脂基材形成用組成物を塗布した後に、該樹脂基材形成用組成物を重合して、樹脂基材の層を形成することによって製造される。このような製造方法を採用することにより、耐擦傷性、表面硬度及び耐クラック性の優れた樹脂積層体を得ることができる。
・ 鋳型の内面に先述した硬化性組成物(b)を塗布する。
次いで、活性エネルギー線を該硬化性組成物(b)に照射して硬化した後に、鋳型の内表面に硬化被膜が積層された積層鋳型を得る。
(2)次いで、先述した樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布する。
(3)前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を注型重合する。
(4)次いで、前記(3)の樹脂積層体を鋳型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が積層された樹脂積層体を得る。
なお、本発明においては、硬化被膜を1つの型の表面に形成してもよいし、対向して配置された2つの型の内側表面に形成してもよい。
鋳型の内面に硬化性組成(b)物を塗布する方法としては、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法及びエアーナイフコート法等などの公知の方法を用いることができる。
活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線及び可視光線が挙げられ、装置コストや生産性の観点から紫外線が好ましい。活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されるものではないが、前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、厚み(Bt)0.1μm以上3.0μm以下の混合層が形成されるように、当業者が適宜調整して決めることができる。通常は、5mJ/cm2以上2000mJ/cm2以下の範囲内で選択して決めることができる。
本発明の一実施形態であるディスプレー前面板は、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのままディスプレー前面版として使用することができる。
本発明の一実施形態である移動体用グレージングは、前述した本発明の実施形態であるいずれかの樹脂積層体をそのまま移動体用グレージングとして使用することができる。
(1)硬化性組成物の粘度
B型粘度計(東機産業(株)製、商品名:TVB−10)を用いて、JIS Z8803に示される測定法に準拠して、硬化性組成物の粘度を測定した。
(2)表面硬度
JIS K5600−5−4に準拠して樹脂積層体の表面の硬化被膜の鉛筆硬度を測定し、これを樹脂積層体の表面硬度とした。
(3)硬化被膜の膜厚(At)、及び混合層の膜厚(Bt)
樹脂積層体を、主表面に対して垂直方向に切断した。次いで樹脂積層体の切断面から、ミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡(TEM)用の小片を切り出した。透過型電子顕微鏡(加速電圧100V、倍率10000倍)を用いて、切り出した小片の断面を観察してTEM観察像を取得した。得られたTEM観察像の、3層構造が観察された領域において、順に樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層として、硬化被膜の層の膜厚をAt、混合層の膜厚Btとした。3層構造が観察されたTEM観察像の一例を図3に示した。
樹脂積層体の耐摩耗性を、擦傷処理前・後のヘイズ値の変化量により評価した。JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、テーバー摩耗試験機((株)東洋精機製作所製、商品名:ROTARY ABRASION TESTER)の回転台に樹脂積層体を乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着して、加圧重量500g、回転速度72rpmで所定の回数だけ、樹脂積層体を回転させ、擦傷処理を行った。
ΔHAZE1=100回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE2=500回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
ΔHAZE3=1000回転後のヘイズ値−初期のヘイズ値
次いで、前記ΔHAZE1〜3より、下記式を用いて、△HAZEの変化率を算出した。
[ΔHAZE変化率]={(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1
幅30mm、長さ120mm、厚み1mmの樹脂積層体を、半円筒形の型であって、断面の曲率半径RがXである型の上に硬化被膜を有する面が外側になるように乗せて、型に沿って曲げて、30秒間保持した。前記曲率半径RはX=60mm、80mmの2条件で行った。樹脂積層体の硬化被膜の表面を目視観察して、クラックの発生の有無を下記の基準で三段階で評価した。
○:クラックが全く観察されなかった
△:クラックが1本以上5本以下観察された
×:クラックが6本以上観察された
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、商品名)
U6HA:ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物(新中村化学工業(株)製、商品名)
M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製、商品名)
M309:トリメチルールプロパントリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製、商品名)
Darocure1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
IRGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
Darocure TPO:ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、商品名)
IPA−ST:コロイダルシリカゾル 固形分濃度30質量%、イソプロピルアルコール分散(日産化学工業(株)製、商品名)
KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、商品名)
撹拌機及び冷却管付4ツ口フラスコ反応容器に、IPA−STを63g仕込み、KBM503を12g添加した。その後、攪拌しながら、水を4.4g添加し、0.01N塩酸水溶液を0.1g添加し、80℃で2時間加熱を行った。その後、反応系を減圧状態にし、固形分濃度が40質量%となるまで溶媒を留出させた。次いで、トルエンを38g添加して80℃で2時間加熱を行った。その後、反応系を減圧状態にし、固形分濃度が60質量%となるまで溶媒を留出させ、再度80℃で2時間加熱を行い、表面修飾された無機微粒子(1)を得た。得られた無機微粒子(1)は無色透明液体であり、固形分濃度は60質量%であった。なお、固形分濃度は、得られた無機微粒子(1)を80℃で3日間加熱して、溶媒を揮発させ、溶媒の揮発前後の重量差から算出した。
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、メタクリル酸メチル単量体100部を供給し、撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。反応器内の単量体の温度が80℃に到達した時点で、ラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.06部を添加し、さらに反応器内の単量体の温度が100℃となるまで昇温した後、13分間保持した。その後、反応器内の単量体の温度を室温まで冷却して、樹脂基材形成用組成物(1)を得た。この樹脂基材形成用組成物(1)の重合率は約21質量%であった。
前記硬化前積層体(1−1)のPETフィルム上にゴムロールを圧着させて、過剰な硬化性組成物(1)をしごき出しながら硬化性組成物(1)中に気泡が含まれないようにし、硬化前積層体(1−2)を得た。次いで、前記硬化前積層体(1−2)を、PETフィルム面を鉛直方向上側にして、出力40Wの蛍光紫外線ランプ(東芝(株)製、商品名:FL40BL)の下方20cmの位置を2m/分のスピードで通過させて、硬化性組成物(1)を硬化させて硬化被膜(1)とし、硬化後積層体(1−3)を得た。この後、硬化後積層体(1−3)のPETフィルムを剥離し、硬化後積層体(1−4)を得た。
樹脂積層体には、厚さ2.5μmの混合層が観察され、硬化被膜の鉛筆硬度は8Hであり、テーバー摩耗性及び耐クラック性に優れていた。
硬化性組成物(b)の組成及び/又は硬化被膜の膜厚(At)、混合層の膜厚(Bt)を表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
表1に記載の硬化性組成物(6)を、厚さ1mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱レイヨン(株)製、商品名)の一方の面(メタクリル樹脂の層が露出している面)に塗布した。
このメタクリル樹脂板、硬化性組成物(6)の層及びPETフィルムが順次積層された積層物を、1分間保持した後に、メタルハライドランプ(出力120W/cm2)の下24cmの位置を2.5m/分間の速度で通過させながら、メタルハライドランプの光を、前記PETフィルムを介して照射して、硬化性組成物(6)の層が空気中に曝されていない条件で硬化させる条件(表1の製造方法(M2))とすることにより、メタクリル樹脂板、硬化被膜及びPETフィルムが順次積層された硬化積層物を得た。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、メタクリル樹脂板に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
表1に記載の硬化性組成物(7)を、厚さ1mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱レイヨン(株)製、商品名)の一方の面(メタクリル樹脂の層が露出している面)にバーコーターを用いて塗布し、樹脂積層体を得た。硬化性組成物(7)には、多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を使用しないかわりに、単官能(メタ)アクリレート(b1−4)として2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を使用した。
硬化性組成物(b)の組成及び/又は硬化被膜の膜厚(At)、混合層の膜厚(Bt)を表1記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
比較例2の樹脂積層体は、(メタ)アクリル系樹脂上に硬化性組成物中を塗工したため、混合層の膜厚Btが薄く、硬化性組成物中に多官能(メタ)アクリレート(b1−1)を含まず、無機微粒子(b1−3)含有量が多く、かつ、硬化被膜の膜厚Atが厚すぎるため、耐クラック性が不良であった。
比較例3の樹脂積層体は、硬化性組成物中に無機微粒子(b1−3)を含まないため、テーバー摩耗性が不十分であった。
比較例4の樹脂積層体は、硬化性組成物中の多官能(メタ)アクリレート(b1−2)の含有量が少ないため、混合層の膜厚Btが厚く、表面硬度が不十分であった。
比較例5の樹脂積層体は、硬化性組成物中の無機微粒子(b1−3)含有量が少ないため、テーバー摩耗性が不十分であった。
比較例6の樹脂積層体は、硬化性組成物中の無機微粒子(b1−3)含有量が多いため、耐クラック性が不良であった。
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
4 樹脂基材の層
5 混合層
6 硬化被膜の層
Claims (11)
- シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
前記樹脂基材(A)は、該樹脂基材の総重量に対して、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を90質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなり、
前記硬化被膜(B)は、
・(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)由来の構造単位と、
・(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)由来の構造単位と、
・無機微粒子(b1−3)を含み、
前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜(B)の総重量に対して、無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、且つ、
前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法1で測定された該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、
前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子である、樹脂積層体。
<方法1>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。 - 前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜(B)の総重量に対して、
・前記(b1−1)由来の構造単位10質量%以上50質量%以下と、
・前記(b1−2)由来の構造単位40質量%以上83質量%以下と、
・前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下
を含む、請求項1に記載の樹脂積層体。 - 前記無機微粒子(b1−3)がラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物で表面処理されている請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
- 前記硬化被膜(B)が、
・前記(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、
・前記(b1−2)40質量%以上83質量%以下と、
・前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下
を含む硬化性組成物(b)の硬化物からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂積層体。 - 前記硬化被膜(B)は、該硬化被膜の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)10質量%以上20質量%以下を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 前記硬化被膜(B)が、前記(b1−2)由来の構造単位として、トリメチルールプロパントリアクリレート由来の構造単位を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂積層体。
- シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体であって、
前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法1−2で測定された該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下である、
前記樹脂積層体の硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、
前記樹脂積層体について下記方法2で測定されたヘイズ値の増加量ΔHAZE1〜ΔHAZE3が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす樹脂積層体。
0.5%≦ΔHAZE1≦3.0%・・・(1)
0.15≦{(ΔHAZE3−ΔHAZE2)/5}/ΔHAZE1≦0.3・・・(2)
<方法1−2>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
<方法2>
(1)JIS K 7204で規定されるテーバー擦傷試験方法に準拠して、樹脂積層体を回転台に乗せ、該樹脂積層体表面の硬化被膜に2個の摩耗輪CS−10Fを圧着させ、加圧重量500gで、回転速度72rpmで所定の回数だけ回転させ、樹脂積層体を擦傷処理する。
(2)前記樹脂積層体の、初期(擦傷処理前)のヘイズ値(%)に対する、100回転、500回転及び1000回転だけ擦傷処理した後のヘイズ値(%)の増加量を、それぞれ△HAZE1(%)、ΔHAZE2(%)及びΔHAZE3(%)とする。樹脂積層体のヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定する。 - シート状の樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に硬化被膜(B)を備えた樹脂積層体の製造方法であって、
(1)硬化性組成物(b)を鋳型の表面に塗布した後に、該硬化性組成物(b)に、活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜を形成し、前記鋳型の表面に前記硬化被膜が設けられた積層鋳型を得ること、
(2)次いで、メタクリル酸メチルを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に接触するように塗布すること、
(3)次いで、前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を注型重合すること、(4)次いで、前記(3)の樹脂積層体を鋳型から剥離して、前記樹脂基材(A)の表面に前記硬化被膜(B)が積層された樹脂積層体を得ること、
を含む樹脂積層体の製造方法であり、
前記硬化性組成物(b)が、該硬化性組成物(b)の総重量に対して、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能(メタ)アクリレート(b1−1)10質量%以上50質量%以下と、(メタ)アクリロイル基を3個以上10個以下有する多官能(メタ)アクリレート(b1−2)40質量%以上83質量%以下を含む硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物(b)は、前記硬化性組成物(b)の総重量に対して、前記無機微粒子(b1−3)7.0質量%以上30質量%以下を含み、
前記樹脂基材(A)と前記硬化被膜(B)の間に、該樹脂基材の成分と該硬化被膜の成分との混合層を有し、下記方法3で測定された該混合層の厚みBtが0.2μm以上3.0μm以下であり、
前記樹脂積層体の前記硬化被膜(B)の表面の鉛筆硬度が8H以上であり、
前記無機微粒子(b1−3)がシリカ系微粒子であり、
前記硬化性組成物(b)が、前記無機微粒子(b1−3)を分散した無機微粒子含有溶液と、前記(b1−1)及び前記(b1−2)を混合してなる硬化性組成物であり、
前記硬化性組成物(b)のJIS Z 8803に準じて測定した粘度が50mPa・s以上600mPa・s以下である、樹脂積層体の製造方法。
<方法3>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材(A)の層/混合層/硬化被膜(B)の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。 - 前記無機微粒子(b1−3)がラジカル重合性官能基を有する加水分解性シラン化合物で表面処理されている、請求項8に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含むディスプレー前面板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂積層体を含む移動体用グレージング。
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