JP2022030169A - 樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022030169000001
【課題】耐擦傷性、表面硬度、密着性及び耐クラック性に優れた樹脂積層体及び該樹脂積層体の製造方法を提供する。
【課題を解決する手段】樹脂基材の少なくとも一方の面に硬化被膜を備えたシート状の樹脂積層体であって、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に膜厚0.1~3.0μmの混合層を有し、前記混合層は、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材を形成する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成され、且つ、前記樹脂基材形成用組成物の濃度が、前記硬化被膜側から前記樹脂基材側へ連続的に高くなる層であり、且つ、前記硬化被膜は、イソシアヌル骨格に由来する構造単位を含有する、樹脂積層体。
【選択図】 図3

Description

本発明は、樹脂積層体に関する。
パーソナルコンピューターや、液晶テレビの表面を保護するために、ガラス板や透明樹脂板が、ディスプレー前面板に使用されている。最近では、スマートフォン型携帯電話やタブレット型パソコンのタッチパネル方式のディスプレー前面板に、樹脂板を使用する検討が行われている。
従来、ディスプレー前面板には、耐擦傷性に優れたガラス板が使用されてきた。しかし、ガラス板は割れ易く、耐衝撃性が低いことが問題であった。そこで、透明性に優れ、軽量化が可能で、高い加工性を有する樹脂板を、ディスプレー前面板に使用することが検討されている。
ディスプレー前面板に用いられる透明樹脂材料には、人や物との接触により製品に傷が付いたり、割れたりすることがあるため、耐擦傷性と耐衝撃性に優れることが要求されている。
また、ディスプレー前面板に用いられる透明樹脂材料には、複雑な形状に加熱加工するため、加熱成形性に優れることが要求されている。
樹脂板の耐擦傷性を向上する方法として、特許文献1には、アクリル系樹脂板の表面に、特定の多官能性単量体を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化被膜を形成して、透明性と耐擦傷性を改善した樹脂積層体が開示されている。
特開2005-248070号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、単にアクリル系樹脂板の表面に硬化被膜を形成しても、硬化被膜の密着性が不十分となり、樹脂積層体を加熱形成する時に、硬化被膜とアクリル系樹脂板の熱収縮率が異なると、硬化被膜が剥がれたり、加熱皺が発生して製品外観が損なれることという課題があった。さらに、硬化被膜の密着性が不十分だと、外部からの衝撃を硬化被膜が十分に吸収して分散できないため、樹脂積層体の耐衝撃性が不十分という課題があった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性に優れた樹脂積層体を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、樹脂基材の少なくとも一方の面に硬化被膜を備えたシート状の樹脂積層体であって、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に混合層を有し、前記混合層は、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材を形成する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成され、且つ、前記樹脂基材形成用組成物の濃度が、前記硬化被膜側から前記樹脂基材側へ連続的に高くなる層であり、前記硬化被膜は、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル骨格に由来する構造単位を含有する、樹脂積層体を有する樹脂積層体にある。
Figure 2022030169000002

(式中、Rは、それぞれ独立に、置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。3つの*は、それぞれ結合位置を表す。)
本発明により、耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性に優れた樹脂積層体を提供することができる。
本発明の一実施形態である、硬化被膜が樹脂基材の一方の面に積層した樹脂積層体の断面を示した模式図である。 本発明の一実施形態である、硬化被膜が樹脂基材の両方の表面に積層した樹脂積層体の断面を示した模式図である。 実施例1で得られた樹脂積層体の切断面から切り出した小片についての透過型電子顕微鏡の観察像であって、樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層の3層構造が観察された場合の観察像の一例である。 比較例1で得られた樹脂積層体の切断面から切り出した小片についての透過型電子顕微鏡の観察像であって、樹脂基材の層と硬化被膜の層の間に混合層が観察されない場合の観察像の一例である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」は、各々「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種並びに「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
また、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
また、「質量%」とは、特に断らない限りは、全体量を100質量%としたときに含まれる所定の成分の含有割合を示す。
<樹脂積層体>
本発明の一実施形態である樹脂積層体は、後述する樹脂基材における2つの表面(表面と裏面)の少なくとも一方の面に、後述する硬化被膜を備えた、シート状の樹脂積層体である。
樹脂基材の表面の50%以上に硬化被膜を有することが好ましく、樹脂基材の表面の80%以上に硬化被膜を有することがさらに好ましく、樹脂基材の表面すべてに硬化被膜を有することが最も好ましい。
本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、前記硬化被膜の成分と後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層を有する。混合層の詳細に関しては後述する。
本発明の樹脂積層体において、硬化被膜の膜厚Atと下記方法1で測定された前記混合層の膜厚Btが、下記式(1)及び(2)を満たすことができる。
17μm≦ At ≦40μm (1)
0.002≦Bt/At≦0.3 (2)
At:硬化被膜の膜厚、Bt:混合層の膜厚
<方法1>
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
硬化被膜の膜厚Atの下限は、特に制限されるものではないが、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、及び耐衝撃性が良好となる観点から17μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。一方、硬化被膜の膜厚Atの上限は、特に制限されるものではないが、樹脂積層体の加熱性形成を良好に維持できる観点から40μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましく、35μm以下がさらに好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
ここでいう「硬化被膜の膜厚」とは、樹脂積層体における硬化被膜の膜厚を意味するものであり、後述の実施例において説明する測定方法により測定できる。
また、膜厚Atの値は、後述する硬化被膜の形成方法や硬化性組成物の粘度を適宜選択することにより、制御することが好ましい。
Bt/Atの下限は、特に制限されるものではないが、樹脂積層体の耐衝撃性や、樹脂基材と硬化被膜の密着性が良好となる観点から0.002以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.015以上がさらに好ましい。一方、Bt/Atの上限は、特に制限されるものではないが、樹脂積層体の耐擦傷性及び加熱性形成を良好に維持できる観点から0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.1以下がさらに好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
なお、樹脂基材と硬化被膜の密着性は、後述する硬化被膜の残存率を測定することにより評価できる。
また、Bt/Atの値は、硬化性組成物の組成や活性エネルギー線の積算光量を適宜選択することにより、制御することができる。
<混合層>
本発明の樹脂積層体は、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層を有する。
ここで、前記混合層とは、前記樹脂基材を形成する樹脂基材形成用組成物の濃度が、前記硬化被膜側から前記樹脂基材側へ連続的に高くなる層のことをいう。濃度が連続的に高くなることは、樹脂積層体の切断面上において、屈折率の変化を測定することにより確認できる。具多的には、瞬間マルチ測光装置(大塚電子(株)製、製品名「MCPD3700])を用いて、反射スペクトルを測定して、屈折率の変化を測定することができる。
本発明の樹脂積層体は、前記混合層を有することにより、硬化被膜と樹脂基材の密着性が向上して、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性が優れたものとなる。
本発明の樹脂積層体において、前記混合層の膜厚Btは、0.1μm以上3.0μm以下の範囲とすることができる。混合層の膜厚Btは、後述する測定方法で測定できる。
膜厚Btの下限は、樹脂積層体の耐クラック性や、硬化被膜と樹脂基材の密着性が良好となる観点から0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。一方、膜厚Btの上限は、樹脂積層体の硬度及び耐擦傷性が良好となる観点から3.0μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.0μm以下がさらに好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
なお、前記混合層を形成する方法としては、後述する硬化性組成物に、酸素雰囲気下で活性エネルギー線を照射して、前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合した層を形成できる程度に硬化して、硬化被膜を形成した後に、前記樹脂基材形成用組成物を前記硬化被膜が形成された面に塗布する方法を用いることができる。詳細は、後述する樹脂積層体の製造方法の項で説明する。
混合層の膜厚Btの値は、後述する樹脂積層体の製造方法を用いて、硬化性組成物の組成や活性エネルギー線の積算光量、重合速度等を適宜選択することにより、制御することができる。
<硬化被膜>
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル骨格に由来する構造単位(以下、「イソシアヌル骨格由来の構造単位」という。)を含有する。
Figure 2022030169000003

(式中、Rは、それぞれ独立に、置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。3つの*は、それぞれ連結基を示す。)
前記イソシアヌル骨格由来の構造単位において、「*」が付された三か所の連結基の少なくとも一か所において、イソシアヌル骨格と、後述する分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物の水酸基とが、連結基「*」を介して結合される。
前記イソシアヌル骨格由来の構造単位が、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物と、一か所又は二か所の連結基「*」で結合している場合、残りの連結基(連結部位)には水素原子又は本発明の効果を阻害しない限り、他の置換基が結合していてもよい。
前記イソシアヌル骨格由来の構造単位が、イソシアヌル骨格を含有することにより、硬化被膜の機械的強度の剛直性が向上して、樹脂積層体の耐擦傷性、及び耐衝撃性が優れたものとなる。
前記イソシアヌル骨格由来の構造単位が、アミド結合(―NHCO-)を含有することにより、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層が形成されやすくなり、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性が優れたものとなる。
本発明の樹脂積層体において、前記イソシアヌル骨格由来の構造単位は、特に限定されるものではないが、後述する構造単位(A-1)を用いることができる。
<構造単位(A-1)>
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、前記イソシアヌル骨格由来の構造単位として、下記一般式(2)で表される、分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物(a-1)と、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(a’-1)との反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物に由来する構造単位(A-1)を含有することができる。
Figure 2022030169000004

(式中、Rは、それぞれ独立に、置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。)
すなわち、本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、前記一般式(2)で表される分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物(a-1)と、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(a’-1)との反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物に由来する構造単位(A-1)(以下、「構造単位(A-1)」という。)を含有することができる。
前記構造単位(A-1)としては、例えば、前記化合物(a-1)1モルに対して、前記化合物(a’-1)3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートに由来する構造単位が挙げられる。
前記硬化被膜が、構造単位(A-1)を有することで、上述した理由と同様の理由により、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性が優れたものとなる。
なお、本発明において、前記構造単位(A-1)は、後述する構造単位(A-2)及び構造単位(A-3)を含まないものとする。
前記一般式(2)で表される化合物(a-1)は、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の3量体からなるものが好ましい。
分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、あるいは、これらジイソシアネート化合物のうち芳香族のイソシアネート類を水添して得られるジイソシアネート化合物(例えば水添キシリレンジイソシアネート等)などが挙げられる。これらを3量化させることにより、前記一般式(2)で表される化合物(a-1)を得ることができる。なお式中、Rは置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。Rの炭素数が12以下であることによって得られる被覆層の耐擦傷性が向上する。
前記一般式(2)で表される化合物(a-1)と反応させる、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(a’-1)の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2,3-プロパントリオール-1,3-ジメタクリレート、3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
化合物(a’-1)は、例示されたように複数のアクリロイルオキシ基やメタクリロイルオキシ基を有することができる。
化合物(a’-1)の水酸基と、前記一般式(2)で表される化合物(a-1)のイソシアネート基とが反応することにより、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位(A-1)となるウレタン化合物を得ることができる。
特に、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性のバランスの点から、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体と、1,2,3-プロパントリオール-1,3-ジメタクリレート又は3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの反応により得られるウレタン化合物に由来する構造単位(A-1)が好ましい。
<構造単位(A-2)>
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、さらに、分子中に3個又は4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物に由来する構造単位(A-2)(但し、前記構造単位(A-1)を除く。)を含むことができる。
硬化被膜が、前記構造単位(A-2)を含むことで、樹脂積層体の耐擦傷性が優れたものとなる。
前記構造単位(A-2)としては、下記(B-1)又は下記(B-2)に挙げた化合物に由来する構造単位が挙げられる。
(B-1)1モルの多価アルコールと、3モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化合物:
例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加物トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン付加物ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(B-2)多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られる線状のエステル化合物:
例えば、多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸の好ましい組み合わせ例としては、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記の単量体のなかから、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、ここでいう「多価アルコール」とは、分子中に水酸基を2個以上有するアルコールを意味する。「多価カルボン酸」とは、分子中にカルボキシル基を2個以上有するカルボン酸を意味する。「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、(メタ)アクリル酸化合物の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「多価カルボン酸の誘導体」とは多価カルボン酸の官能基又は水素原子が、他の官能基に置換された化合物を意味する。「線状」とは、直鎖状及び分岐鎖状を意味する。
前述した種々の化合物は、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。
上記のなかでも、構造単位(A-2)として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種に由来する構造単位が好ましい。
<構造単位(A-3)>
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、さらに、分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物に由来する構造単位(A-3)(但し、前記構造単位(A-1)を除く。)を含有することができる。
硬化被膜が、前記構造単位(A-3)を含むことで、硬化被膜の原料である硬化性組成物の粘度を低くできるので、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と後述する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層が形成されやすくなり、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性が優れたものとなる。さらに、硬化被膜自体の剛直性が過度に高くなることを防げるので、樹脂成形体の耐衝撃性が優れたものとなる。
前記構造単位(A-3)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加物トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の化合物に由来する構造単位が挙げられる。
上記の中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記のなかでも、好ましくは、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
或いは又、前記構造単位(A-3)として、多価アルコールと、多価カルボン酸又はその無水物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物から得られる化合物に由来する構造単位が挙げられる。例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸又はその無水物と、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られる1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエステル化物から得られる化合物に由来する構造単位が挙げられる。
なお、ここでいう「多価アルコール」、「多価カルボン酸」及び「(メタ)アクリル酸の誘導体」とは、前記構造単位(A-2)で説明したものと同様である。
前述した種々の化合物は、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。
前記構造単位(A-1)、前記構造単位(A-2)、及び前記構造単位(A-3)の好ましい組み合わせとしては、構造単位(A-1)が前記一般式(2)で表される化合物(a-1)と、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(a’-1)との反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物に由来する構造単位であり、構造単位(A-2)が、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種の単量体又は単量体混合物に由来する構造単位であり、構造単位(A-3)が、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートに由来する構造単位である組み合わせが挙げられる。
また、前記硬化被膜は、本発明の樹脂積層体の性能を損なわない範囲で、前記構造単位(A-1)、前記構造単位(A-2)及び前記構造単位(A-3)のいずれにも含まれない、他の重合性化合物に由来する構造単位(A-4)を含むことができる。
前記硬化被膜における前記構造単位(A-1)の含有割合の下限は、特に限定されないが、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱形成性、及び耐衝撃性が良好となる観点から、該硬化被膜の総質量100%に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、22質量%以上がさらに好ましい。前記単位(A-1)の含有割合の上限は、特に限定されないが、硬化被膜自体の耐擦傷性が過度に低くなることを抑え、樹脂積層体の耐擦傷性を良好に維持できることから、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、33質量%以下がさらに好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
すなわち、前記硬化被膜に含まれる前記単位(A-1)の含有割合は、該硬化被膜の総質量100%に対して、10~40質量%が好ましく、20~35質量%がより好ましく、22~33質量%がさらに好ましい。
前記硬化被膜における前記構造単位(A-2)の含有割合の下限は、特に限定されないが、樹脂積層体の耐擦傷性が良好となる観点から、該硬化被膜の総質量100%に対して、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。前記単位(A-2)の含有割合の上限は、特に限定されないが、硬化被膜自体の剛直性が過度に高くなることを抑え、樹脂層体の耐衝撃性を良好に維持できることから、35質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
すなわち、前記硬化被膜に含まれる前記単位(A-2)の含有割合は、該硬化被膜の総質量100%に対して、5~35質量%が好ましく、15~25質量%がより好ましい。
前記硬化被膜における前記構造単位(A-3)の含有割合の下限は、特に限定されないが、樹脂積層体の耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性が良好となり、硬化液組成物の粘度が良好となる観点から、該硬化被膜の総質量100%に対して、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましい。前記単位(A-3)の含有割合の上限は、特に限定されないが、樹脂積層体の耐擦傷性及び耐衝撃性を良好に維持できることから、65質量%以下が好ましく、62質量%以下がより好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
すなわち、前記硬化被膜に含まれる前記単位(A-3)の含有割合は、該硬化被膜の総質量100%に対して、40~65質量%が好ましく、45~62質量%がより好ましい。
前記構造単位(A-1)、前記構造単位(A-2)、及び前記構造単位(A-3)の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。
すなわち、本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、該硬化被膜の総質量100%に対して、前記構造単位(A-1)10質量%以上40質量%以下、前記構造単位(A-2)5質量%以上35質量%以下、及び前記構造単位(A-3)40質量%以上65質量%以下を含有することができる。前記構造単位(A-1)20質量%以上35質量%以下、前記構造単位(A-2)15質量%以上25質量%以下、及び前記構造単位(A-3)45質量%以上62質量%以下を含有することがより好ましく、前記構造単位(A-1)22質量%以上33質量%以下、前記構造単位(A-2)15質量%以上25質量%以下、及び前記構造単位(A-3)45質量%以上62質量%以下を含有することがさらに好ましい。
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜は、例えば、前記構造単位(A-1)を形成する、上述した前記化合物(a-1)と、前記化合物(a’-1)との反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物10質量%以上40質量%以下、前記構造単位(A-2)を形成する、上述した分子中に3個又は4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物5質量%以上35質量%以下、及び、前記構造単位(A-3)を形成する、上述した分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物40質量%以上65質量%以下を含む硬化性組成物を塗布し、硬化させることにより形成できる。硬化性組成物で用いる各化合物の好ましい含有割合及び具体例等は前述の通りである。
前記硬化被膜は、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、又は連鎖移動剤等の各種添加剤を含有することができる。
<樹脂基材>
本発明の樹脂積層体を構成する樹脂基材は、樹脂積層体の透明性に優れる観点から、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
「メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂」とは、該(メタ)アクリル系樹脂を構成する全構成単位の総質量100%に対して、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位100質量%、又は、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位60質量%以上100質量%未満及びメチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体由来の繰り返し単位0質量%を超えて40質量%以下を含有し、前記各成分の合計量が100質量%を超えない重合体を意味する。
他の単量体、すなわちメチルメタクリレートと共重合可能な単量体としては、例えば、以下の単量体が挙げられる。
1)メタクリル酸エステル
例えば、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられる。
2)アクリル酸エステル
例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
3)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸
4)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物
5)N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド
6)ヒドロキシ基含有ビニル単量体
例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。;
7)酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル
8)塩化ビニル、塩化ビニリデン及びそれらの誘導体
9)メタクリルアミド、アクリロニトリル等の窒素含有ビニル単量体
10)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体
11)スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体
上記の中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の中でも、樹脂積層体の透明性、耐熱性、及び成形性のバランスに優れる観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが好ましい。
また、上記の単量体以外に、以下の単量体が挙げられる。
12)アルカンジオールジ(メタ)アクリレート
例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
13)ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
14)ジビニルベンゼン等の分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するビニル単量体
15)エチレン性不飽和ポリカルボン酸を含む少なくとも1種の多価カルボン酸と少なくとも1種のジオールから得られる不飽和ポリエステルプレポリマー
16)エポキシ基の末端をアクリル変性することにより得られるビニルエステルプレポリマー
上記の中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記のなかでも、樹脂積層体の耐熱性と透明性のバランスに優れる観点から、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、メチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体の組成物、即ち、メチルメタクリレート50質量%以上100質量%以下とメチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体0~50質量%とを含有し、前記メチルメタクリレートと前記メチルメタクリレートと共重合可能な単量体との合計量が100質量%を超えない、ラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を重合することにより得られる。
<樹脂基材形成用組成物>
前記樹脂基材の原料を樹脂基材形成用組成物という。樹脂基材形成用組成物としては、(メタ)アクリル系樹脂の総質量に対して、メチルメタクリレート100質量%、又はメチルメタクリレート50質量%以上100質量%未満及びメチルメタクリレートと共重合可能な単量体0質量%を超えて50質量%以下を含有し、前記メチルメタクリレートと前記メチルメタクリレートと共重合可能な単量体との合計量が100質量%を超えない、ラジカル重合性単量体を含む混合物のことをいう。
前記樹脂基材形成用組成物は、上述したラジカル重合性単量体を含む混合物の一部を重合させた部分重合体と、残りのラジカル重合性単量体の混合物であるシラップを使用することもできる。また、必要に応じて、樹脂基材形成用組成物として、上述したメチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物に、樹脂基材の原料として(メタ)アクリル系重合体を溶解させたタイプのシラップを使用することもできる。
上記のシラップ中の前記部分重合体又は前記樹脂基材形成用組成物としての(メタ)アクリル系重合体の分子量は特に制限されるものではなく、質量平均分子量5万以上30万以下とすることができる。また、シラップ中の部分重合体又は(メタ)アクリル系樹脂と、ラジカル重合性単量体との混合割合は、質量比で2:98~50:50とすることができる。
樹脂基材形成用組成物には開始剤を添加することができる。開始剤としては、例えば、重合開始剤(D)における有機化酸化物及びアゾ系化合物と同様の化合物が挙げられる。開始剤の添加量は、特に制限されるものではないが、樹脂基材形成用組成物中のラジカル重合性単量体100質量%に対して、0.005~5質量%が好ましい。
樹脂基材形成用組成物には、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光剤、又は連鎖移動剤等の各種添加剤を添加することができる。
樹脂基材形成用組成物を重合して、樹脂基材を得る方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法及び懸濁重合法が挙げられるが、樹脂積層体の透明性、溶剤使用等による環境負荷、樹脂積層体の生産性や製造コストに優れる観点から、塊状重合法が好ましい。
塊状重合法の具体的な手段は、特に限定されないが、例えば後述する注型重合法が挙げられる。
<樹脂積層体の製造方法>
本発明の樹脂積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の(1)~(4)の処理を順次行うことにより製造できる。
(1)前記硬化被膜の原料である硬化性組成物を型の表面に塗布した後に、酸素雰囲気に露出された前記硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射して、硬化処理して、硬化被膜とし、前記型の表面に前記硬化被膜が積層された積層鋳型を形成する。
(2)次いで、樹脂基材の原料であるメチルメタクリレートを主成分とするラジカル重合性単量体の混合物を含む樹脂基材形成用組成物を、前記積層鋳型内に注入、又は、前記積層鋳型の前記硬化被膜が形成された面に塗布する。
(3)前記積層鋳型に塗布した前記樹脂基材形成用組成物を、加熱重合して、硬化処理して、硬化被膜の表面に樹脂基材が形成された積層体を形成する。
(4)次いで、工程(3)の樹積層体を型から剥離して、前記樹脂基材の表面に前記硬化被膜が積層された樹脂積層体を得る。
即ち、本発明の樹脂積層体は、
型の表面に硬化性組成物を塗布すること;
酸素雰囲気に露出された前記硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射して、後から塗布する前記樹脂基材形成用組成物と互いに混合した層を形成できる程度に前記硬化性組成物を硬化して、前記型の表面に硬化被膜が設けられた積層鋳型を得ること;
前記積層鋳型に樹脂基材形成用組成物を注入し、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合した層を形成した後に、注型重合により前記樹脂基材形成用組成物を硬化して、硬化被膜の表面に樹脂基材が形成された積層体を形成すること;
前記型を剥離して、樹脂基材の表面に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得ること;
を含む樹脂積層体の製造方法である。
型の表面に硬化性組成物を塗布する方法としては、例えば、刷毛塗り法、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、ディッピング法等が挙げられる。
硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化する方法としては、光重合開始剤を配合して、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソ
ブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド;などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、通常は、硬化性組成物100質量部に対して、0.1~10質量部である。
活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線及び可視光線挙げられるが、装置コストや生産性に優れる観点から紫外線が好ましい。
活性エネルギー線の積算光量の下限は特に制限されるものではないが、200mJ/cm以上であれば耐擦傷性及び表面硬度が良好となる観点から好ましく、400mJ/cm以上がより好ましい。活性エネルギー線の積算光量の上限は特に制限されるものではないが、1500mJ/cm以下であれば、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層が得られることから好ましく、1200mJ/cm以下がより好ましい。
前記硬化処理において、酸素雰囲気に露出された前記硬化性組成物に活性エネルギー線を照射することで、後述する理由により、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合した混合層を形成することができる。
活性エネルギー線の光源としては、例えば、蛍光紫外線ランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He-Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ及び太陽光が挙げられる。これらの中で、硬化性組成物の硬化速度の点で、蛍光紫外線ランプ及び高圧水銀灯が好ましい。
光硬化法に使用する光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソ
ブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド;などが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、通常は、硬化性組成物100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であり。
さらに、前記工程(1)の硬化処理は、前記硬化性組成物が酸素雰囲気に露出された状態で、活性エネルギー線を照射することができる。前記硬化性組成物に酸素雰囲気下で活性エネルギー線を照射することにより、硬化反応の際に酸素による硬化阻害を受けやすくなり、後から塗布する前記樹脂基材形成用組成物と互いに混合した層を形成できる程度に前記硬化性組成物を硬化することが可能となる。そして、前記樹脂基材形成用組成物を前記硬化被膜が形成された面に注入又は塗布すると、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合した層を形成した状態となるので、これを硬化処理することで、最終的に得られた樹脂積層体において、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成された混合層が形成されるので、樹脂積層体の耐クラック性や密着性を向上することができる。ここで酸素雰囲気下とは、酸素を含む気体存在下であれば特に制限はなく、経済性及び安全性を考慮すると、空気が特に優れている。
鋳型の種類としては、例えば、金型、シート等の型が挙げられる。鋳型は、通常2つの型を、硬化被膜が積層された面が内面となるように対向させて作成される。型の硬化被膜が積層される面は、平滑な表面を有することが好ましい。
鋳型の材質としては、例えば、ステンレス鋼、ガラス及び樹脂等が挙げられる。また、鋳型は、同材質の2つの型を対向させた鋳型でも、異なる材質の2つの型を対向させた鋳型でもよい。
鋳型を作製する方法は、特に限定されないが、例えば、まず、1つの型の表面に硬化被膜が形成された1つの積層型(1)を配置し、次いで該積層型と対向するように、もう1つの型(2)を配置し、前記積層型(1)と前記型(2)の間に形成された空間部の周縁部に、軟質樹脂製のガスケットを設けてシールすることにより、内側に一定の容積を有する積層鋳型を作製する方法が挙げられる。
なお、本発明においては、硬化被膜を1つの型の表面に形成してもよいし、対向して配置された2つの型の内側表面に形成してもよい。
得られた積層鋳型内に、樹脂基材形成用組成物を注入して注型重合を行い、樹脂基材を形成する。
得られた樹脂基材を型から、硬化被膜と樹脂基材とが一体化された状態で取り出すことにより、樹脂積層体を得ることができる。
なお、本明細書及び請求の範囲において、「注型重合」とは、例えば、所定間隔で対向配置された2つの型を対向させた鋳型とその周縁部に配置された封止材料とによって形成された積層鋳型を用い、積層鋳型内に樹脂基材形成用組成物を注入して重合させる方法を意味する。
樹脂基材形成用組成物の注型重合法としては、例えば、樹脂基材形成用組成物を積層鋳型内に注入した後に加熱する、セルキャスト法が挙げられる。
樹脂基材形成用組成物の注型重合法としては、上記の方法以外に、連続注型重合法も好適な方法として挙げられる。
連続注型重合法とは、同一方向に同一速度で走行する、対向させたステンレス製エンドレスベルトの表面に硬化被膜が積層された積層ステンレス製エンドレスベルトと、他のステンレス製エンドレスベルトと、これらのステンレス製エンドレスベルトの両側端部を上記のガスケットと同様のガスケットでシールした空間部に、上流から連続的に樹脂基材形成用組成物を注入して加熱することによって連続的に重合させる重合法である。
積層鋳型の加熱方法としては、例えば、積層鋳型を30~98℃の温水等の熱源で加熱する方法が挙げられる。重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。
本発明においては、樹脂基材形成用組成物の重合率を高めるために、必要に応じて遠赤外線ヒーター等の熱源により、90~150℃の熱処理を行うこともできる。重合時間は、重合の進行に応じて適宜決定される。また、熱処理後に、必要に応じて送風等の冷却処理を行うことができる。
樹脂積層体の厚みは、特に制限されるものではないが、0.2mm~15mmであればよく、0.3mm~5mmが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。尚、実施例における各種評価は下記の方法により実施した。
(1)硬化被膜の膜厚(At)
硬化被膜の膜厚(At)とは、樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断した断面を微分干渉顕微鏡にて撮影し、硬化被膜の混合層に接する面から樹脂積層体の硬化被膜の面までの寸法を任意の3箇所測定した平均値をいう。なお、混合層が観察されない場合は、硬化被膜の樹脂基材に接する面から樹脂積層体の硬化被膜の面までの寸法を採用した。
(2)混合層の膜厚(Bt)
樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断した。次いで樹脂積層体の切断面から、ミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出した。透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)製、型式:JEM―10111、加速電圧100V、倍率10000倍)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得した。得られたTEM観察像の、樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層の3層構造が観察された部分について、硬化被膜の層と混合層の膜厚を測定して、混合層の膜厚をBtとした。3層構造が観察されたTEM観察像の一例を図3に示した。
(3)ヘーズ値
ヘイズ計(日本電色工業(株)製、商品名:HAZE METER NDH4000)を用いて、JIS K 7136:2000に示される測定法に準拠して、樹脂積層体のヘーズ値(%)を測定した。
(4)耐擦傷性
樹脂積層体における、硬化被膜表面の耐擦傷性の指標として、擦傷試験前後のヘーズ値の差(△ヘーズ(%))により評価した。
擦傷試験は、#000のスチールウール(日本スチールウール(株)製、商品名:ボンスターNo.000)を装着した直径24mmの円形パッドを、樹脂積層体の硬化被膜側の表面上に置き、2,000gの荷重下で50mmの距離を、100回往復させて、下記式を用いて、擦傷前のヘーズ値と擦傷後のヘーズ値の差(△ヘーズ(%))を算出して、これを△ヘーズ(%)とした。
[耐擦傷性(△ヘーズ(%))]=[擦傷後のヘーズ値(%)]-[擦傷前のヘーズ値(%)]
(5)密着性
樹脂積層体における、硬化被膜と樹脂基材の密着性の指標として、JIS K5600-5-6に準拠して、25マスの碁盤目のクロスカット剥離試験を、3個所で実施し、合計75マスの中で、樹脂積層体の表面に剥離せずに残存している硬化被膜の残存率(単位:%)を測定した。
(6)耐衝撃性
樹脂積層体の耐衝撃性の指標として、樹脂積層体の試験片(50mm×50mm×3.0mm)について、デュポン衝撃試験機(東洋精機製作所社製(株)製、商品名)を用いて、撃芯突端の半径は7.9mm(5/16インチ)にて、300gの錘を用いて、ASTMD2794に準拠して、亀裂が生じたものを破壊として、50%破壊エネルギーを算出した。樹脂積層体の試験片10個について測定を行い、その平均値を求めた。
(7)加熱成形性(2次元曲げ)
樹脂積層体の加熱成形性(2次元曲げ)の指標として、樹脂積層体を曲率半径25mm、50mm及び75mmに180度曲げた時にクラックが発生しない曲率半径(成形R)を以下の方法で求めた。
樹脂積層体の試験片(30mm×120mm×3.0mm)の積層体片を9枚切り出した後に、積層体片の切断面を端面鏡面研磨機で研磨し、これを加熱成形性(2次元曲げ)評価用の試験片とした。次いで、前記試験片を130℃の加熱炉に30分保管して加熱処理した後に取り出し、速やかに、加熱処理後の試験片を、試験片の硬化膜を有する面が曲げ治具の面と反対側になるように乗せて、曲げ治具の凸形状の表面に密着させながら曲げ、5秒間保持した。5秒間保持後の試験片の表面を目視で観察して、クラックが全く観察されない場合を合格、1本以上のクラックが観察された場合を不合格とした。3種類の曲率半径(曲率半径25mm、50mm及び75mm)の曲げ治具について、それぞれ3サンプルを用いて測定を行なった。3サンプルのうち2つ以上のサンプルが合格となる最も小さい曲率半径の値を、最小成形Rとして記録した。
(8)加熱成形性(3次元曲げ)
樹脂積層体の加熱成形性(3次元曲げ)の指標として、樹脂積層体を曲率半径40mmの半球形状に曲げた時のクラックの発生数を、以下の方法で求めた。
樹脂積層体の試験片(50mm×50mm×3.0mm)と、半球形の型であって、断面の弧の曲率半径Rが40mm、底辺の長さが100mmである、凹凸形状を有する一対の木製の型を、130℃に設定した加熱炉に30分入れて加温した後、加熱炉から取り出して5秒以内に、木製の型(凸形状)の上に樹脂積層体の硬化被膜が形成された面が鉛直方向上側になるように樹脂積層体を載置して、木製の型(凹形状)を上から被せて、樹脂積層体の全体を半球形の型の弧に沿って曲げて、2分間保持した。その後、前記型から前記試験片を取り出した後、室温(25℃)まで冷却した。次いで、前記試験片の硬化被膜の表面に水性マジックで対角線を書き、前記試験片の中心点から各四隅にむけた4本の線上に目視で観察されたクラックの本数をカウントし、その合計値を4で割り(小数点が含まれる場合は四捨五入)、これをクラック数として算出した。樹脂積層体の試験片4個について測定を行い、その平均値を求めた。
以下において、略称は下記の化合物を示す。
U6HA:ヘキサメチレンジイソシアネートを3量化して得られるトリイソシアネート1モルに対して3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート3モルを反応して得られるウレタン化合物(新中村化学工業(株)製、商品名)
M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製、商品名)
C6DA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名)
Darocure1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(BASFジャパン(株)製、商品名)
IRGACURE819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、商品名)
〔実施例1〕
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、MMA100部の混合物を供給し、撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。内温が60℃になった時点で、ラジカル重合開始剤である2,2'-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1部を添加し、更に内温100℃まで加熱した後、13分間保持した。その後、反応器を室温まで冷却して、樹脂基材形成用組成物(1)を得た。このシラップの固形分濃度は30質量%であった。
U6HA;30部、M305;20部、C6DA;50部及びDarocure1173;3.0部、IRGACURE819:0.15部を混合し、硬化性組成物(1)を得た。
次いで、板表面を鏡面仕上げしたSUS304板を鋳型として、バーコーターを用いて、表1に記載の硬化性組成物(1)を、硬化被膜の膜厚が27μmとなるようにこの鋳型の表面上にコートして、硬化前被膜(1-1)の層を設けた。
次いで、前記鋳型を、硬化前被膜(1-1)の層が上側になるようにして、高圧水銀灯(出力30W/cm)の下方20cmの位置を速度10m/分で通過させながら、空気に晒された状態の硬化前被膜(1-1)に高圧水銀灯の紫外線を照射し、硬化前被膜(1-1)を硬化させて硬化被膜とした。前記鋳型の表面に膜厚27μmの硬化被膜が積層された積層型(1A)を得た。得られた積層型(1A)と、硬化被膜を形成していないSUS304板とを、積層型(1A)の硬化被膜が内側になるように対向させて、これら2枚のSUS304板の周縁部を軟質樹脂製のガスケットで封じて、積層鋳型(1B)を作製した。
次いで、前記樹脂基材形成用組成物(1)を、減圧下において溶存空気を除去した後、前記の積層鋳型(1B)内に注入し、軟質樹脂製のガスケットで完全に封止した。次に、前記積層鋳型(1B)を80℃の水浴中で1時間、次いで130℃の空気炉中で1時間加熱して、前記樹脂基材形成用組成物(1)を重合させ、樹脂基材の層を形成した。次に、前記積層鋳型(1B)を室温まで冷却した後、前記積層鋳型(1B)から両側2枚のSUS304板を剥離して、樹脂基材の層の片側一方の面に硬化被膜を有する厚さ3.0mmの樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
硬化性組成物(1)の配合割合を表1記載のとおりに変更し、高圧水銀灯の下方20cmの位置を速度0.3m/分で通過させた以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
硬化性組成物(1)の配合割合を表1記載のとおりに変更し、厚さ3.0mmのメタクリル樹脂板「アクリライトL」(三菱ケミカル(株)製、商品名)の一方の面(メタクリル樹脂の層が露出している面)に塗布した。
次いで、塗布した直後に、PETフィルム「OX-50」(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名)を、該フィルムの高平滑面が前記メタクリル樹脂板の硬化性組成物(1)の塗布面に接触するように貼り合わせた後、プレスロールにより7m/分間の速度でプレスし、最終的に得られる硬化被膜の膜厚が27μmになるように、前記硬化性組成物(1)の膜厚を調整した。
このメタクリル樹脂板、硬化性組成物(1)の層及びPETフィルムが順次積層された積層物を、1分間保持した後に、高圧水銀灯(出力30W/cm)の下方20cmの位置を3.0m/分間の速度で通過させながら、高圧水銀灯の紫外線を、前記PETフィルムを介して硬化性組成物(1)に照射することにより、メタクリル樹脂板、硬化被膜及びPETフィルムが順次積層された硬化積層物を得た。すなわち、前記PETフィルムにより酸素雰囲気に曝されていない状態の硬化性組成物(1)に、高圧水銀灯の紫外線を照射して、硬化した。
この後、得られた硬化積層物からPETフィルムを剥離し、メタクリル樹脂板に硬化被膜が積層された樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
[比較例2、実施例3~6]
硬化性組成物(1)の配合割合を表1記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表1に示す。
実施例1~6の樹脂積層体は、耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性がすべて良好であった。
比較例1の樹脂積層体は、硬化性組成物(1)がPETフィルムにより酸素雰囲気に曝されていないため、硬化処理の際に酸素による硬化阻害を受けなかった。そのため、最終的に得られた樹脂積層体において、前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に混合層が形成されていないため、耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性が不十分であった。
比較例2の樹脂成形体は、硬化被膜が前記一般式(1)で表されるイソシアヌル骨格に由来する構造単位を含有しないため、耐擦傷性と加熱性形成が不十分であった。
本発明の樹脂積層体は、耐擦傷性、密着性、加熱性形成、及び耐衝撃性に優れている。このような樹脂積層体は、タッチパネル方式のディスプレーの前面板等に好適に用いることができる。
1 硬化被膜
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
4 樹脂基材の層
5 混合層
6 硬化被膜の層


























Figure 2022030169000005

Claims (9)

  1. 樹脂基材の少なくとも一方の面に硬化被膜を備えたシート状の樹脂積層体であって、
    前記硬化被膜と前記樹脂基材の間に混合層を有し、
    前記混合層は、前記硬化被膜の成分と前記樹脂基材を形成する樹脂基材形成用組成物とが互いに混合して形成され、且つ、前記樹脂基材形成用組成物の濃度が、前記硬化被膜側から前記樹脂基材側へ連続的に高くなる層であり、
    前記硬化被膜は、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル骨格に由来する構造単位を含有する、樹脂積層体。
    Figure 2022030169000006

    (式中、Rは、それぞれ独立に、置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。3つの*は、それぞれ結合位置を表す。)
  2. 前記混合層は、膜厚Btが3.0μm以下である、請求項1に記載の樹脂積層体。
  3. 前記混合層は、膜厚Btが0.1μm以上である、請求項1又は2に記載の樹脂積層体。
  4. 前記硬化被膜が、分子中に3個のイソシアネート基を有する下記一般式(2)で表される化合物(a-1)と、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(a’-1)との反応物である(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン化合物に由来する構造単位(A-1)を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
    Figure 2022030169000007

    (式中、Rは、それぞれ独立に、置換基を含んでも良い、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表す。)
  5. 前記硬化被膜が、さらに、分子中に3個又は4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物に由来する構造単位(A-2)、及び分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する他の重合性化合物に由来する構造単位(A-3)を含有する、請求項4に記載の樹脂積層体。
  6. 前記硬化被膜が、該硬化被膜の総質量100%に対して、前記構造単位(A-1)10質量%以上40質量%以下、前記構造単位(A-2)5質量%以上35質量%以下、及び前記構造単位(A-3)40質量%以上65質量%以下を含有する、請求項5に記載の樹脂積層体。
  7. 前記樹脂基材が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を60質量%以上含有する(メタ)アクリル系樹脂である、請求項1~6にいずれかに記載の樹脂積層体。
  8. 前記(メタ)アクリル系樹脂が、炭素数2~20の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を含む、請求項7に記載の樹脂積層体。
  9. 前記硬化被膜の膜厚Atと下記方法1で測定された前記混合層の膜厚Btが、下記式(1)及び下記式(2)を満たす、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂積層体。
    17μm≦ At ≦40μm (1)
    0.002≦Bt/At≦0.3 (2)
    At:硬化被膜の膜厚、Bt:混合層の膜厚
    <方法1>
    樹脂積層体を主表面に対して垂直方向に切断し、次いで切断面からミクロトームを用いて透過型電子顕微鏡用の小片を切り出す。前記切り出した小片について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、前記小片の断面を観察してTEM観察像を取得する。得られたTEM観察像の、樹脂基材の層/混合層/硬化被膜の層の3層構造が観察された部分について、混合層の膜厚を測定してBtとする。
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